The Washington Post
Putin expands Russia’s nuclear policy – The Washington Post
Russia’s nuclear doctrine to
include attacks on non-
nuclear states
(ロシア、核ドクトリンを改定、
核兵器非保有国も攻撃対象に)
ロシアのヴラディミール プーティン
大統領が核使用方針を拡大、
核保有国の支援を受ける非核保有国
に対してもロシアは核兵器を使用する
可能性を示唆
Francesca Ebel 記者
Natalia Abbakumova 記者
Robyn Dixon 記者
Catherine Belton 記者
最終更新 2024年9月25日
こわい!
私の20分クロッキー
たぶん、「脅し」であろうと私も
思います。それでも形式的には、
つまりロシアの規定としては、
非核保有国に対しても核兵器を
使用できる条件が設定されて
しまったことになります。
「遠い外国の話」などと、思わないで
ください。ロシアは日本の隣国で、
しかも領土問題まで抱えております。
しかも、アメリカの「核の傘」の下に
あります。ですからこの記事を
「他人事」と思わないで、世界から
核兵器と核発電がなくなることを
祈りましょう。
その意味で重要なThe Washington Post
の記事を、日本語で紹介しますね。
いつもどおり、
私の日本語化
< >内は私からの補足説明
です。
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水曜日 <9月25日>、ロシアの
ヴラディミール プーティン大統領が
西側諸国とウクライナに対し新たな
核の脅迫を行った。いかなる国がロシア
に対し通常兵器による攻撃を加えても、
それを核兵器保有国が支援している場合
には、両者による合同でのロシアへの
攻撃とみなす、というものだ。
ロシアの安全保障協議会とのミーティ
ングでのプーティンの話によれば、
「ロシアならびに同盟諸国に対する
新たな軍事的脅威とリスクの源泉が生じ
つつある」ことを鑑み、ロシアの国防省
やその他の関係政府機関の専門家たちが
それまでの1年間をかけてロシアの
核兵器に関するドクトリン<原理的
方針>を深く再考したそうだ。
「この新たになったドクトリンの文書
では、いかなる非核保有国がロシアに
攻撃を加えても、それを核兵器保有国が
援助あるいは参加している場合には、
ロシア連邦共和国に対する合同での攻撃
であるとみなす」とプーティンは協議会
に語った。
敵の味方は、みんな敵だあ~~
同大統領によれば、ロシアが核兵器を
発射するための条件として「大気圏内外
で大量の攻撃手段 <兵器> が発射
され、ロシア国境を越境しているという、
信頼できる情報があること」とされて
いるそうだ。
さらにプーティンは「ロシアならびに
ベラルーシに対し攻撃が行われれば、
核兵器を使用する権利をわれらは有して
いる」とも付け加えた。
<先日>ウクライナがアメリカならびに
他の同盟諸国に対し、兵器の使用制限を
解除するよう求めたが、それを受け
ロシア高官たちは核兵器使用という脅迫
を持ち出した。その騒ぎを経ての、今回
のこの発表である。現在のところウク
ライナは、同盟諸国から供与された
長距離ミサイルをロシア国内の遠い位置
へと打ち込むことが許可されていない。.
ウクライナは核兵器を保有していない
が、2022年2月にロシアが同国に侵略
を始めて以来、アメリカをはじめと
する核兵器保有国から軍事支援を受けて
いる。
ロシア外交官と関係の深いアナリストや
高官たちによると、核兵器を使用するぞ
という脅迫の多くは非現実的なもので
あるそうだ。西側がウクライナを支援し
ているが、プーティンはそれに対応する
術を必死に探しているからだ。
話し合いにならない~~
私の作品 “Argument IV – Conclusion”
近年、アメリカとロシアの間での
核兵器管理のための話し合いは停滞して
おり、ほぼ先に進めない現状だ。そんな
中、核を使用するぞという脅迫行為は
悪化してきている。今回の<ロシアに
よる>侵略が始まって以来、ロシア国内
からはヨーロッパとウクライナへの
核攻撃を求める声が高まってはいるが、
国際社会ではそうした声は単なる脅し
に過ぎないという理解が広まりつつある。
「クレムリンでは、核を使うぞという
脅しが日常茶飯となってしまっている。
ウクライナ軍が西側から新たな兵器の
供与を受けるたびに、あるいは西側から
の武器でロシア領土内を攻撃して良い
との許可をウクライナが受けるごとに、
はたまたロシアのミサイル警戒シス
テムにウクライナが攻撃を行うたびに、
ロシアは核使用という脅しを始める」
そう語るのは、核問題の専門家の
Maxim Starchakだ。カーネギー基金の
最近の分析で、そう記している。
「核脅迫に訴えることで、ロシアは
20世紀後半の <冷戦時代の> 世界
秩序を取り戻そうとしているのだ」
それでも、ロシアのプロパガンダ担当者
たちや高官たちは、すぐにプーティンの
発言を後押ししていた。
今後は、そっちにもこっちにも~~
やめてくれ!!
ロシアのデュマつまり下院の国防委員会
委員長であるAndrey Kartapolovは
ロシアの国営メディアへの発言で、今回
のロシアの核兵器ドクトリン変更に
よって「柔軟性と有効性とが向上する」
と述べた。「確実に現代の現実に合わ
せたドクトリンを保つための変更だ」
とも、Kartapolovは述べている。
Telegram <というソーシャル
メディア> への投稿で、ロシアの
プロパガンダ担当者 Sergey Markov が
述べているところでは、今回の変更で
核兵器使用のための条件を下げロシアが
核兵器を使用しやすくなった。「一般論
として、この変更によりロシアがウク
ライナに対し核兵器を使用することが
容易になった。クルスク地区では、ウク
ライナ軍による侵攻が続いている。
しかもアメリカ、英国、フランスという
核兵器保有諸国がそれを支援している。
そうである以上、<ウクライナの首都>
キーフを核で攻撃することは、既に
あり得るのだ」と、Markovは語って
いる。
さらにMarkov によれば、ロシアが
今回、核ドクトリンを変更せざるを
得なくなったのは「西側がロシアに
対する戦争を全面戦争へと発展させ
ようとしているためだ」
拡大解釈して、世界のどこにでも発射できることになりまして~~」
ロシアの上級外交官たちと関係の深い
あるロシア人学者によれば、今回の変更
により核ドクトリンがより柔軟になる
だけでなく「ある意味では、拡大解釈
もされる」ことになる。なおこれは
極めて複雑な問題であるため、この学者
が自由に発言できるよう、The
Washington Postではこの学者の個人
特定につながる情報を公開しない。
「ある程度の不確定要素も保持して
おき、それによって柔軟性を高く保つ
つもりのようだ。だが・・・クルスクへ
の攻撃のような場合に核兵器を使用する
というのには、かなりのマイナスの副
作用も伴うため、軍事的には今回の変更
は正当化できない」と、この学者は
語っている。
この学者によると、今回プーティンがこ
の変更を発表したタイミングは決して
偶然ではなく、明らかに西側に対する
「合図」だ。「ただし、それでもなお、
核攻撃に至るまでの意思決定のルート
には、多様な選択肢がある」
「核使用という選択肢は、好ましい
ものではない」とも、この学者は
述べている。
「hammerがないと、ボクシングができないのか!?」(核で脅迫しないと、侵略を継続できないのか??)
一方、ロシアの政治アナリストで以前
にはプーティンの演説原稿を作成して
いた Abbas Gallyamovは今回の
プーティン大統領による発表を「実に
大きな恥だ」としている。
「通常兵器ではウクライナを退けられ
ないということを、再度認めたわけだ」
と、GallyamovはTelegramに投稿して
いる。
ジュネーブに本拠を置いてロシア
核兵器軍プロジェクト <という調査
研究プロジェクト> を進めている
アナリストPavel PodvigがThe
Washington Post に述べたところでは、
今回の変更は「ロシアがどのような
対応に出るかについての不確実性と
曖昧性とを」増長させることが狙いで、
ロシア側の多くの人たちが今までの
各ドクトリンでは「制約があり過ぎた」
と考えていたそうだ。
「全体として今回の変更は西側に
対する警告という意図でのメッセージ
で、今回の場合では、いま話し合いが
進んでいるような <西側からの>
軍事支援は深刻な問題を招きえるのだ
というメッセージだ」と、Podvigは
語っている。
さらにPodvig によるとプーティンの
今回の発表により、ロシアへの攻撃とは
何かという定義問題に関する疑問が
拡大、「ロシアへの攻撃ととられかね
ない行為に関しては慎重となり、各種
の憶測も招くこととなろう」
このところ西側は、ウクライナによる
ロシア領土への攻撃に西側からの
長距離ミサイルを使用しても良いか否か
という問題を熟考してきた。その間、
ロシアが核兵器のドクトリンを変更する
兆しが見られていた。
この6月にプーティンが述べたところ
によれば、ロシアの核ドクトリンは
「生きた規定」であって、世界情勢に
合わせて変化しうる。さらにこの9月
にはロシアの副外務大臣Sergei
Ryabkovがロシアの国営メディアに
対し、ウクライナでの戦争の激化を
西側が目論んでいるようなので、それに
合わせロシアはその核使用に関する
ドクトリンを変更することになろうと
語っていた。
「変更作業は既にかなり進んでおり、
変更を加えようとする意図が明白だ」
と、Ryabkov はロシアの通信社タスに
述べていた。
こういう圧力は、やめましょう
タカ派 → 指導者 → 核ボタン
従来の核ドクトリンは2020年に
プーティンの命により定めたもの
だったが、敵国による核攻撃があった
場合、あるいは通常兵器による攻撃で
あってもロシアの存続が脅かされている
場合には、ロシアは核兵器を使用できる
と定めていた。
ロシアのタカ派勢力と軍事アナリスト
たちとは以前からプーティンに対し、
核兵器使用のための条件を緩和して
西側の反ロシア勢力の「目を覚ま
させる」べきだと圧力をかけてきた。
ロシアの政治学者でタカ派外交政策を
唱えるSergei Karaganovは核兵器
使用の態度を強硬化させるべきだと
プーティンに迫っていたのだが、この
9月にKommersant紙に対し、全面
戦争とは言わないがロシアがNATO
祖国に局地的な核攻撃を行う可能性は
あると述べていた。彼によればロシア
の核ドクトリンの主たる意図とは、
「ロシアは核兵器を使用する用意が
できているということを、現在そして
爽籟の敵国に対し確実に知らせること
にある」
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「核抑止」なんて、本気??
私の20分クロッキー
核装備を正当化しようとする主張として
「核兵器の存在が敵からの攻撃を抑止
するのだ」というものが昔からあります
が、上述のロシアの主張もまさしく
抑止を狙ったものとも理解できます
よね。
しかし、「抑止」と呼ぶから聞こえが
良いだけで、他国にとっては「脅迫」
に聞こえます。
「核の脅迫」が沈黙を強いるような世界
・・・そんなもの、平和と呼べる
のでしょうか??
それと
2024年10月5日現在、イスラエルが
イランの核施設を攻撃するのか否かと
いう問題が各種の推測を呼んでいます。
核施設への攻撃があった場合、文字通り
核が敵国からの攻撃を招いた
という結果になりますし。
結局、核なんてものが存在すると、
ロクな事態を招きません。