原発そのものを攻撃しなくても、その変電所なら~~

原発そのものを攻撃しなくても、その変電所なら~~

ウクライナのフメルニツキ原発とリウネ原発とに外部電力を
供給している変電施設を、ロシア軍が攻撃の標的にした件です。
すでに先週、下でThe Kyiv Independent 紙による報道を抜粋で
紹介しました。あまり本件に関する報道が聞こえてこないので、
1つの情報源だけでは危ういと考え、他の報道も探してみたら、
ありました!
Nuclear Engineeringのウェブサイトのもので、11月11日付です。

元の英語記事を、読める方はぜひ:
Ukrainian substations hit in latest drone strike – Nuclear Engineering International

いつもどおり、私の抜粋・要約・日本語化
<  > 内は、私からの補足説明です。
**************************************

再掲 簡略化した地図ですよ

Ukrainian substations hit in latest drone strike
(先日のドローン攻撃で、ウクライナの変電所が被弾)

ウクライナのエネルギーシステムに <先日の> ドローンと
ミサイルによる新たな攻撃があり、A火力発電所の大半を破壊し、
あるいは損害をもたらすとともに、クメルニツキ原発とリウネ
原発 に給電する変圧所をも攻撃した。

・・・(注略)・・・

ロシアのメディアの論調を見ると、ウクライナの全原発を
稼働不能にしてザポリージャ原発と同じ状態に陥れては、
といった議論が見られる。「モスクワを”ブラックアウトに
陥れる”というゼレンスキーの脅迫に応じ、ロシア軍は
ウクライナの全火力発電所を”稼働不能”にした。だが、
今も発電中の原発はどうすべきか?」と、<ロシアで2000年に
開発されたニュースの集計ソフトウェアである> Dzenは
問うている。

・・・ 軍事の専門家として名高いValery Shiryaevは
<ロシアのタブロイド紙> Novaya Gazetaの代理ディレクター
でもあるが、その彼はこう説明している:「ロシア軍にとっても、
原発への攻撃はレッドラインであり、原発を爆撃するわけには
いかない。だが原発用の変電所となると、話は別だ」

*****************************

再掲 核からつぶしていけ~~
核がむしろ攻撃を招きかねない実例

「原発に給電している変圧所が破壊された ⇒ 原発にメルト
ダウンの危険性が発生、稼働不能に」(緊急用ディーゼル発電
装置は、あまり長期間は使えません)という現実の問題を、
読者が理解しているものと前提した記事ですね。

その前提をまだ学んでいない、たとえば「え?原発って、
稼働していなくても電気を使って冷却しなきゃ、いけないの?」
とか仰る方々は、上の肥大化した黒いメニューの下のほうに
あるページ 付録 w-15) をお読みくださいませ。

で、「そんなことくらい、特訓に学んでいるよ!」と仰る方々
向けに述べておくと、
原発そのものが攻撃されなくても、そこに給電している送電
システムを破壊すればメルトダウンのリスクが存在している
ってことですね。
原発そのものの防御をいくら固めても、それへの送電システムを
破壊してしまえば、その原発のホスト国はメルトダウン リスクに
襲われる、ってことです。
これは私個人の「奇抜な杞憂」などではなく、ロシア軍がこの
リスクを認めて行動してるわけですね。

こうなると、「原発防衛」を徹底したければ、結局はその原発に
給電しているグリッド全体も防御するしかありません。でも、
グリッドって大規模・広範囲のものなので、どうやって??
それに、それだけの防御を電力系統だけに配備すると、その他の
防御が手薄になるのでは??

ですから現実には、原発とは「国防の穴」でしかないのですね。
真の「愛国者」であれば、原発には反対するのが当然です。

ああ、ひどいリスク~
私の5分クロッキー

 

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韓国が原潜へ ⇒ 日本で議論白熱 ・・・ これって、どういうこと?

韓国が原潜へ ⇒ 日本で議論白熱
これって、どういうこと?

シンガポールの英語紙The Straits Times(1845年創設)のウェブ
サイトより
元の英語記事は、ここをクリック

現在、韓国の原潜保有に向けた動きに応じた議論が、日本で
進行中ですよね。
単純に見ると、直接的な因果関係が分かりにくいかも。

この関係を分かりやすく説明してくれているニュース解説を、
The Straits Timesに見つけました。
長いので全部の紹介はできませんが、一部抜粋・要約・
日本語化して紹介しますね。
読める方は、上のリンクから元記事をお読みくださいな。
<  > 内は、私からの補足説明です。

深海の闇の中で、にらみ合い ・・・

**************************************************
ニュース分析
アメリカが、韓国の原潜保有を承認。日本と東アジア地域には、
どのような影響が?

Wendy Teoさん(The Straits Timesの韓国特派員、ソウル駐在。
韓半島の南北問題を担当)
Walter Simさん(The Straits Timesの日本特派員、容共駐在。
政治、経済、社会文化問題を担当)

公表: 2025年11月9日
アップデート: 2025年11月10日

サマリー
トランプは、韓国が原潜を製造することを承認した。
それを受け、東アジア地域での安全保障に関する憂慮が
高まる中、原潜などに関する日本での議論が高まっている。

専門家たちは、ロシア、中国、北朝鮮からの反発を警戒、
この地域での軍拡競争と不安定性の高まりとを恐れている。

韓国にはこうした原潜を10年未満で建造できる能力があるの
だが、その製造場所についてはアメリカとの交渉が続いている。

アメリカのドナルド トランプ大統領が、韓国が自国製の原子力
潜水艦を建造することを承認したのだが、この決定のため
日本ではある議論に再び火が付いた。日本も自力での各防衛力を
強化すべきか否かという議論だ。専門家たちは、東アジアでの
緊張の激化と軍拡競争が悪化してしまう危険性について、
懸念を表明している。

専門家たちはさらに、ロシアや中国、北朝鮮からの反発をも
予想している。これら三国はいずれも、アメリカの同盟国が
東アジアにおいて自分たちよりも進んだ潜水兵器を保有する
ことを好んでいない。

「見えない深淵」での軍拡競争

——-(中略)——-
今回の決定を受け、日本も韓国に続き原潜を求めるべきか否か
という議論が日本では喧しい。特にその発端として、高市早苗
新総理大臣が10月21日に発表した新たな国防計画があった。
その計画は、「最先端の推進能力を有する次世代型潜水艦」の
入手を進めているのだ。

高市氏の施政方針演説は防衛省の専門家パネルによる9月19日付
の推奨事項とぴったりと合致していた。この推奨事項は、上述の
ような潜水艦を日本が手に入れることを勧めている。こうした
推奨を日本政府の正式の諮問機関が公にしたのはこれが初めての
ことで、日本国の国防政策が地滑り的に変化した可能性が窺える。

——–(中略)———
中国の原潜は、すでに東シナ海と南シナ海そして太平洋西部で
稼働中だと言われており、またロシアの原潜は北海道の北、
オホーツク海で稼働している。
<アメリカの公共政策の研究機関である> ブルッキング研究所(Brookings Institution)のアジア政策研究センター(Centre
for Asia Policy Studies)でSK-韓国財団の長、ならびにシニア
フェローを努める Andrew Yeo博士は、韓国が原潜を
保有すれば、北朝鮮も中国もロシアも快く受け取っては
くれないと警告を発している —(中略)—-

韓半島の安定化を進めるのではなく、「不安定化のリスクがあり、
軍拡競争のらせん状の激化が起こる」危険性があると、
Yeo博士はThe Straits Timesに語った。そのため日本政府に
とっての最大の懸念とは、東アジアでの核兵器の拡散という
シナリオとみられると、同博士は述べた。

Yeo博士はさらに、「韓国は核兵器こそ保有しようとはして
いないが、ウラニウム濃縮能力を高め原潜を手に入れることで、
核関連の能力を拡大することを容認しやすい環境が出来うる。
それには、核兵器も含まれる恐れがある」とも語っている。

韓国の国防大臣Ahn Gyu-back によれば、同国の技術力であれば
原潜を10年以内に建造できるそうだ。

潜水艦を標的に ・・・ ジョンじょろり~~ン

 

—–(中略)—–

原潜入手ゲームで韓国に続くべきか否か日本は揉めているのだが、
東京大学の公共政策大学院のHeng Yee Kuang 教授は、原潜獲得に
よって東アジア地域でのパワーバランスが改善する結果になると
見ている。

「そうなれば、アメリカとその同盟諸国とが東アジアでの海面下
でのパワーバランスにおいて優位に立てよう」と、同教授は
分析している。

*******************************************

確かに、厳密にいえば軍用の原子力潜水艦といっても、あくまで
推進力用の核エネルギーであって、核兵器を搭載するとは
限りません。しかしPWRとはそもそもこうした推進力のために
軍で使用されていたものでして、「発電」用とはいえど
「軍事利用」だったわけです。軍事と「原子力」との不可分性が
明らかな実例の1つですよね。

当然の結果として、「推進力としての核エネルギー」を利用する
「乗り物」の導入からも、これだけの騒ぎが発生します。

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ロシア、原発2か所に給電する変電所も標的に

ロシアがウクライナのエネルギー施設に大規模攻撃
原発2か所に給電する変電所も標的に、とSybiha外相

The Kyiv Independent (ウクライナのオンライン英語紙)より
Russia targeted substations powering nuclear plants during large-scale overnight energy attacks, Sybiha says

Dmytro Basmatさん
2025年11月9日

ウクライナの原発での緊急事態というと、今のところどうしても
ザポリージャが広く取り上げられているのですが、
外部電力供給が途絶えた ⇒ 原子炉と使用済み核燃料冷却プール
との冷却ができなくなる ⇒ メルトダウンへ
というパターンは、どの軽水炉でも起こりえます。
(このパターンをご存じない方は、上の黒いメニューで
付録 w-15) をお読みくださいな)

すると、ウクライナにある他の原発でも、外部電力供給が確保
されているのかどうか、注視しておりませんと ・・・

まさにそうした問題をロシア軍が引き起こした、とウクライナの
Sybiha外相が述べたそうです。

The Kyiv Independent紙の関連記事を、私が抜粋・要約・
日本語化して紹介しますね。
いつもどおり、<  > 内は私からの補足説明です。
****************************************

簡略化した地図ですよ

<ウクライナの> フメルニツキ原発とリウネ原発とに外部電力を
供給している変電施設を、ロシア軍が攻撃の標的にした。11月7日
から8日にかけて夜通しでロシア軍が行った大規模攻撃の一環である。
ウクライナのエネルギー関連インフラストラクチャーを破壊しよう
とした大攻撃であったと、ウクライナのAndrii Sybiha外相が述べた。

「<今回の標的選択は> 偶然ではなく、入念に立案した攻撃だった。
ヨーロッパを巻き込んだ核の安全を、ロシアは意図的に危険に
さらしている」とSybihaは11月8日にソーシャル メディア
<日本でいうSNSのこと> で述べている。標的にされた変電施設が
損害を受けたのか否か、実際に今回の攻撃で被弾したのかどうかに
ついては、同外相は言及していない。

ウクライナの関連高官たちからは、両原発の稼働中断は報告されて
いない。

・・・(中略)・・・

今回の攻撃を受け、ウクライナ国内数地域では緊急の停電措置が
取られた。・・・(中略)・・・

・・・(中略)・・・ SybihaはIAEAの緊急理事会の開催を求めた。

同外相はロシアからのエネルギー輸入のツートップである中国と
インドに呼びかけ、「ロシアが核を脅迫に利用しているが、それを
やめさせるよう国際的なプレッシャーが必要だ。核エネルギー施設
への攻撃は無謀であり破局を招きかねない。ロシアに対し、
そうした無謀な行為をやめるよう要請していただきたい」
******************************************

原子炉そのものをどれだけ頑丈にしても、外部電力供給が絶たれれば原発は ~~

核発電所(原発)があると、攻撃を受ける場合にいかに面倒で深刻な
問題になるのか、もう明らかですよね。
ウクライナの原発は現在4か所(チョルノービリを除いて)ですが、
日本には廃炉が決まっている福島第一・第二を除いて15か所あります。
停止中のものも含めての数値ですが、停止中であっても
そこには核燃料(使用済みも含む)があり、冷却が必須であることに
違いはないです。(「なんで?」と思われた方は、上の黒いメニューで
付録 w-15) を参照)
実際、ロシア軍が東海第二原発(新宿から約118㎞)を軍事標的の
1つにしていたことは、上の黒いメニューにあるページ d-11) で
紹介済みです。

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イランの60% U、その後

The Week誌のウェブサイトより
What happened to Iran’s 400kg enriched Uranium? Iran’s foreign minister reveals fate of nuclear fuel – The Week

The Week News Desk
2025年11月3日

イランには60%という民生用の用途がない(もう少し
濃縮して、核兵器に使うしか用途がない)ウラニウムが
400㎏あったと報じられているのですが、6月のアメリカに
よる爆撃の後、そのUはどうなったのか?
気になりますよね。
英国に本部を置くニュース週刊誌The Weekのウェブ
サイトに、関連記事を見つけました。
その内容を私が抜粋・要約・日本語化して紹介しますね。
<  > 内は、私からの補足説明です。

IAEAの査察官たちも、締め出されてたし~~

**************************************************

What happened to Iran’s 400kg enriched Uranium?
Iran’s foreign minister reveals fate of nuclear fuel
(イランの400㎏もの濃縮Uはどううなったのか?
同国の外務大臣が、核燃料がどうなったのかを明かす)

<イランの> 外務大臣Abbas Araghchiが明かした
ところによれば、イランにある400㎏もの60%濃縮U は、
同国核施設に対する <6月の> アメリカによる爆撃で、
残骸の下に埋もれているそうだ。

・・・(中略)・・・

・・・ 今年6月のアメリカによる爆撃でイランの濃縮Uが
どうなったのかについては、憶測を呼んでいた。フォルドウ
核施設では施設外にイランがUを運び出していた、との報道も
あった。フォルドウは、アメリカのB-2爆撃機が壊滅させた
核施設の1つである。爆撃の2日前の衛星画像を見ても、この
核施設の外側に土砂の運搬車両やダンプ車が列をなして
いた様子がわかる。

だがAraghchiはAl Jazeeraとの独占インタビューで、
核物質のほとんどは瓦礫の下に埋もれていると明かした。
さらに、がれきの下から取り出せる状況が整うまでは、
核物質を掘り出す予定はないとも、Araghchiは語った。
また、どれだけの核物質が破壊され、どれだけが無傷で
残っているのかも、イランは把握していないそうだ。

「それが判明するのは、掘り出すことが可能になった時の
こととなろう」とも、Araghchiは述べた。

武力では消えないもの ・・・

同外相によれば、<アメリカによる> 爆撃は確かに構造物
への広範な被害をもたらしたが、イランの核に関する
ノウハウまでは破壊できなかった。「イランの施設は大損害を
被ったが、技術そのものにを爆撃することなど、できなかった。
さらに重要な問題として、イランの <核プログラムを
推進するという> 決意は、爆撃を受けてさらに固まった」

面白いことに、このAraghchによる発言があった前日に、
基礎科学研究所の所長であり最高指導者アリ ハメネイ師の
最高補佐官でもあるMohammad Javad Larijaniは、イランが
「作る気になれば2週間以内に核兵器を保有できる」のだが、
核兵器を持つつもりはないのだ、と述べていた。

Larijaniはハメネイ師によるファトゥワ についても触れ、
「イスラムの考えでもアール アル・ベイト <預言者
ムハンマドの家族の事。シーア派では、神の啓示の守護者と
されます> 学派でも、無制限の暴力というものはないのだ
ということが、このファトゥワで分かる」と述べていた。
イラン政府のトップ高官の一人である同氏は「私は核能力の
開発を強く支持する」としながらも、イランは核兵器保有を
望んでいないとの事実に、世界は驚くはずだ、と述べていた。
「全世界に、U濃縮能力を持つ国は10か国しかない。
その1つがイランだ。だがイランには、核兵器を持つ意図は
全くない」

・・・ 以下略 ・・・
**************************************

ああ、やっぱり ・・・
私の人体デッサン
Croquis Cafe 366をベースに

やはり、武力で平和を作ろうとする行為そのものに、
自己矛盾と限界があるようですね。
同じように、核抑止でできることにも限界があります。
先日のパグウォッシュ会議の広島宣言も、それを指摘して
ましたよね。

 

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新固定ページ g-12) (ジャパン) Nuclear latency をアップロード

新しい固定ページ g-12) をアップロードしました。
nuclear latency(潜在的核保有)という問題を考えるとき、
日本が大変頻繁にトップに取り上げられていることは、
ご存じでしょう。
すると、「いや、そんなの誤認だ、誤解だ!」といった
反応が見られるものですが~~
発作的に反応する前に、そもそもnuclear latencyとは
何なのか?それを明確にするとともに、どんな基準をもって
ある国がnuclear latencyを有しているのか、その基準も
明確にせねば。

そこで、英語版WikipediaのNuclear latencyというページを
紹介しております。
ただ、その際に驚いたのですが、このページ、日本語版が
ありません。つまり、日本語だけで情報収集をしていると、
Nuclear latencyの「百科事典的な」解説を得られなくなる
恐れもある、ってことですよね。

そんなわけで、英語版Wikipediaの該当ページを日本語化して
紹介することにしました。

上の黒いメニューが肥大化しており使いにくいのですが、
g-12) を見つけてクリック!

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新たな固定ページ g-11) 日本の核兵器プログラム をアップロード

新しいページ  g-11) 日本の核兵器プログラム  をアップロード
しました。
Wikipediaの日本語版と英語版で、日本の核兵器プログラムに
関する同じページを比較したところ、日本語版にはPostwar
(二次大戦終結後)の記載がすっぽりと欠落していることを
発見しました。
つまり、今(2025年)とそれに直接つながる時期の、日本の
核兵器プログラムに関する記述が、日本語だけを読んでいる
読者には「存在しない」になっちゃうわけです!

これはいけません!
そこで、英語版ページのPostwar の個所を私が日本語化し、
補足説明も加えて紹介しております。

上の黒いメニューが使いづらくて申し訳ないのですが、
g-11)  を見つけてクリック!

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イラン、国連による制裁の終了を宣言

Nuclear Engineering ウェブサイトより
Iran declares end to UN nuclear sanctions – Nuclear Engineering International

Iran declares end to UN nuclear sanctions
(イラン、国連による制裁の終了を宣言)

JCPOAの期限が切れた今、イランの核開発プログラムも
他のNPT加盟諸国のプログラムと同様に扱われるべき
だと、イランは断固として主張。IAEAによる査察は
今も限定的。
2025年10月28日

JCPOAの期限が終わりました。・・・というと、ただ
それだけの事のように聞こえるかも。「どうせ、2018年に
第1次トランプ政権下のアメリカが抜けたわけだし、
今更JCPOAに大した意味なんてないよ」とか。
でも、ある種のIAEAによる査察はJCPOAの定めて
いた規定で、それがなくなっちゃうと ・・・
無論、現場ではとっくにイランはIAEAによる査察を
制限しているのですが、JCPOAが期限切れになった
ことで、いよいよ誰にも把握されないままでイランの
核開発が進んでしまう危険性も。NPTの要求する制限は
ありますが、ご存じのように北朝鮮の先例がありまして ・・・
つまり、核技術や核物質がある程度揃った時点で、
NPTから脱退 ⇒ 独自に核兵器を製造、という
パターンですね。
(上の膨らみ過ぎた黒いメニューで、c-5) の
「2009年」の段落を参照)
北朝鮮に続いてイランもこのパターンをやらかした
場合、追随する第3・第4の諸国も登場してしまうかも。
そうなった場合、世界は核の悪夢におびえながら
暮らす場所に ・・・
そんなことにならないよう、祈ります!!

Kyrie, eleison!
私の、昔描いたボールペン スケッチ
東京・四谷の聖イグナティオ教会内部

そういったイランの動きについて、Nuclear Engineering
という核産業向けのウェブサイトに記事を見つけました。
日本で反原発派の皆さんの多くを見ていると、原発産業
向けのサイトや雑誌などを読みたがらないですね。でも、
そうした動向を知らないで、ただ「原発反対!」とだけ
叫んでいても、その時・その時の状況に応じた抗議活動は
できなくなって しまいますよ。

では、いつもどおり、
私の抜粋・要約・日本語化で紹介します。
原文は長いので、かなり抜粋しております。
しっかりと全文を読みたい方は、
上のリンクをクリックして元記事をどうぞ!
<  > 内は、私からの補足説明です。
**********************************************

イラン議会の議長Mohammad Baqer Qalibafは、
外交並びに国際法上でのイランにとっての大きな勝利を
主張した。ロシア、中国、ならびに非同盟諸国120か国が
国連安全保障理事会の決議第2231号の期限切れを支持し、
西側による <イランへの経済制裁の> 再開要求を
拒否したのだ。

イラン外務省が発表した声明によれば、10月18日に
国連安全保障理事会の決議第2231号ならびにJCPOAの
期限が切れたため、イランの核プログラムの扱いも、
核不拡散条約(NPT)の下での非核兵器保有諸国すべて
と同じ扱いとするべきだ。この期限切れ以降、イランを
拘束するのはNPTでの権利と義務のみとなり、それ以外の
制限は認識もされず課されてもいないとしている。

イランの核プログラムに対しては1979年以来、アメリカと
ヨーロッパが大掛かりな制裁を科してきている。
のちには、国連も制裁を始めた。核兵器開発の
プログラムではないか、との疑惑が生じたためだ。
こうした制裁は2015年に国連安全保障理事会の決議
第2231号によりJCPOAが定められ、P5+1諸国
(アメリカ、英国、フランス、ロシア、中国にドイツ)
とイランとがこのJCPOAに署名した時点で、制裁は
いったん解除された。このJCPOAの下でイランは
核開発プログラムに制限を設け、イランの核施設に
対するIAEAの査察をも受け入れた。

いち抜けた~~

だが2018年にアメリカがJCPOAから脱退、一方的に
イランへの制裁を再開した。
ヨーロッパ諸国もそれを暗黙の裡に承認した。その後
1年間交渉が続いたが実を結ばず、対抗してイランは
核プログラムを再開した。実りなき交渉はさらに幾年か
続き、今年の6月にはイスラエルとアメリカがイランの
核施設への爆撃を実施した。その結果、イランはIAEA
との関係を断絶、今もこの断絶は続いている。

決議2231とJCPOAとは、この10月18日に期限切れと
なった。だが英国、フランス、ドイツ(E3)はこの
期限切れに応じて制裁再開の規定をJCPOAに加えた。
IAEAによる査察を再度受け入れるようにE3はイランに
対して求めたのだが、イランがそれを拒否したことが
理由だ。ロシアと中国はこれに反対したのだが、
国連による制裁は結局、公式に再開された。

イランとロシア、中国が連名で署名した2つの書簡では、
この制裁再開は規定への違反とされている。
—- (中略) —-

Qalibaf 議長の発言によれば、決議2231の第8条によると JCPOAによる一切の制約と義務とは失効した
はずである。同議長によると期限内にあった決議内容は
すべて無効となったはずで、よってイランがU濃縮を
行う権利も正式に認められねばならない。したがって、
イランの核という問題は安全保障理事会の議題からは
消去されたはずである、という。

. —- (中略) —-

爆撃の後も、核は残る・・・

—- IAEAのラファエル グロッシ事務局長の今週初め
<10月27日ごろ> の発言によれば、6月の <イスラエル
とアメリカによる空爆という> 12日間戦争の後も
イランの核技術は残存している。<スイスのフランス
語新聞> Le Temps とのインタビューを見ると、
イランがU濃縮を続けることにしたと想定すると、
同国には今や核弾頭10個分に相当する高濃縮Uがある
ことになる。ただし、イラン政府には核兵器を
製造する意図があるとの証拠は皆無であるとも
グロッシは述べていた。

<イスラエルとアメリカによる爆撃の> イランの
核施設に及ぼした損害の深刻さについて尋ねられた
グロッシは、「主要施設であるイスファハン、ナタンズ、
フォルドウの損害は、深刻なものだ。だがトランプは
”全滅させた”と主張しているものの、イランの核技術
ノウハウまで消えたわけではない。・・・・
遠心分離機も、再建は可能だ。そして何であれ、
イランは今ものうしゅくUを保有しており、その中には
濃縮度60%のものも約400㎏含まれている。この濃度
だと、核兵器グレードの一歩手前だ」

グロッシはさらに、述べている。「これから濃縮を
続けるとすれば、イランは大雑把に言って核弾頭
10個分に相当する濃縮Uを手に入れることとなる。
ただし、イラン政府が核兵器製造を目指していると
いう証拠は、ない。 —- (以下略) —-

************************************

Just a 20-min croquis / 単なる20分クロッキーです
やれやれ、まだ残ってんじゃん~~
私の20分クロッキー
頭の「お団子2つ」は、ヘアーを丸くまとめたもの

核施設をぶっ壊したところで、再建は可能。
したがって、核物質がある限り、空爆で原子炉などを
破壊しても、相手の核兵器製造能力は残ってしまいます。
本気で核発電と核兵器を廃絶したければ、核物質を
監視するだけでなく押収までできる世界的機関が必要に
なるのでしょうね。爆撃機やミサイルでは、廃絶は
できないようです。

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プーティンの誕生日までにZNPPを外部グリッドと再接続しようとしたが ・・・

The Independentのウェブサイトより
Ukraine foiled plans to reconnect Zaporizhzhia plant in time for Putin’s birthday | The Independent

Ukraine foiled plans to reconnect Zaporizhzhia Power Plant
in time for Putin’s birthday
(ロシアはプーティンの誕生日までにZNPPを外部グリッドと
再接続しようとしたが、ウクライナがそれを阻止)

James C. Reynoldsさん
Oct. 24, 2025

ウクライナのロシア支配地にあるZNPP、1か月間外部電力
供給が途絶えていたが、修復が始まる

そもそも、「自分の誕生日に間に合うように送電グリッドを
修復せよ」などと宣う人物は、国家元首になるべきで
ありません。まともな国家元首なら、ZNPPのような問題に
ついては、まず何よりも市民の安全を優先させるはずです。
それと言うまでもありませんが、まともな元首なら
そもそも初めからウクライナへの侵略などしなかったでしょう。

この「プーティンの誕生日問題」に関する記事を一部抜粋・
日本語化で紹介しますね。
The Independentのウェブサイトより
<  > 内は、私からの補足説明です。

あっちで爆発!?どないなっとんねん!?

**************************************
今月(2025年10月)にはヴラディミール プーティンの
誕生日があったのだが、その日までにロシアが占拠して
いるザポリージャ原発の外部電力供給を修復しようと
していた。だが敵の軍勢の背後に展開されていた
ウクライナ軍が、その目論見を阻止したと、情報筋は
述べている。

ウクライナの情報筋がThe Guardian 紙に明かしたところに
よれば、ロシアは10月7日のプーティン大統領の誕生日
までに、同原発の外部グリッドとの接続を回復しようと
していた、とのことだ。同原発は9月下旬に外部電力の
供給を失っていた。

・・・(中略)・・・

だが、この原発への賀部電力を復旧しようとする努力は、
ウクライナのゲリラ戦術兵士たちの手で阻止された。
ゲリラ兵たちはロシア軍の背後で変電所を攻撃、
ザポリージャ原発をマリウポリ経由でロシアのグリッドに
接続する新しい接続経路に損害をもたらした。
10月6日のことだ。

木曜日 <10月23日> に高官たちが述べたところでは、
原発への外部電力供給はようやく回復した。ただ、その
接続はウクライナのグリッドとのものだ。

ウクライナの Svitlana Grynchuk エネルギー大臣によると、
同原発とウクライナのグリッドとを結ぶ送電線は修復を
終えたが、ロシア占領中の地帯を通っているバックアップ用
送電線の修復作業は進行中だ。

・・・(中略)・・・

該当地域の知事としてロシアから任命されているYevgeny
Balitskyによれば、プーティンの誕生日当日には当該地域の
すべての「定住地区」(settlements)全体で停電があった
そうだ。ウクライナによるドローン攻撃のせいだと
している。

・・・(以下略)・・・

********************************

背後ってものがあったのね~~
私の点描練習

 

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イランは核開発プログラムをどう再構築しているのか?

エルサレムからの視点:
イランは核開発プログラムをどう再構築しているのか?
過去のイスラエルによる攻撃からの教訓

The Jerusalem Postのウェブサイトより
How Iran is rebuilding its nuclear program, learning from past Israeli strikes
Yonah Jeremy Bobさん、
2025年10月24日

ZNPPでは今のところ外部電力供給が一部復旧できたものの、
・ イランの核開発
・ その敵であるイスラエルはとっくの昔から核兵器を保有
(おそらく)
・ インド VS パキスタンは、相変わらず一触即発状態
・ 中国はICBMサイロなど増設中とみられる
・ 北朝鮮の核に対抗すべく、韓国の世論は核を求める
・ そして「当初の核保有5か国」にも不審な動き
と、どうも核をめぐる世界の動きは眩暈を引き起こし
そうな勢いです。

そんな只中、イランの核開発プログラム債権の様子を、
イスラエルのメディアがどう見ているのか?
その一例を紹介します。

不安 ・・・
私の、かなり昔の10分クロッキー
20分クロッキーの予定だったものが、
モデルさんの体調不良で10分になったものです。

いつもどおり、
私が抜粋・要約・日本語化しております。元の英語記事は
長いので。
全部を読みたい方は、上のリンクをクリックして、
元の英語記事をどうぞ!
<  > 内は、私からの補足説明です。
***************************************

How Iran is rebuilding its nuclear program,
learning from past Israeli strikes
(イランは核開発プログラムをどう再構築しているのか?
過去のイスラエルによる攻撃からの教訓)

昨年10月、イスラエル空軍(IAF)がTaleghan 2という
イランの核施設を攻撃した。それ以来今までに、その
施設では建設との関連で少なくとも4つの展開があった。

An Institute for Science and International Security
<科学国際安全保障研究所アメリカのNPOで、設立者の
Albrightは元IAEAの核査察官> の理事長David Albrightが
この月曜日 <10月20日> にある報告書を公表したのだが、
同研究所の他のメンバーたちがその4つの展開の間の
衛星画像を詳細に分析している。

イランがその核開発プログラムの再建に努めている
という点で、イスラエルと西側諸国にとって憂慮の対象
となっている施設は多数あり、Taleghan 2はその1つに
過ぎないのだが、この施設は有益なテスト ケースであり、
そこからイラン政府の全体的な方向性が見えてくる。

それでもまだやっとるがな~~

全体像

一歩退いて全体像を見てみよう。昨年10月の攻撃でIAFは
イランにある標的およそ20か所を攻撃した。それから7か月
以上後の今年6月には、さらに大掛かりな攻撃を実施、
少なくても1,000の標的を爆撃した。

昨年10月の攻撃での主な目的は、イランが保有している
先端型のロシア製S-300対空ミサイル システムをすべて
破壊することだった。

それを達成したことで、この6月にはイスラエルはさらに
大規模な攻撃を実施、それによりイランの核開発プログラム
を約2年遅らせる結果となった。

2024年10月の攻撃の主な標的はS-300対空システムで
あったが、同時にイスラエルはイランの核施設と弾道
ミサイル施設も数か所攻撃していた。

Albrightの報告書によれば、今年5月中旬までにはイランは
10月に攻撃を受けた現場に黒い一時的なカバーを設置、
破壊された施設の一部の再建に着手していた。

今年6月の攻撃の直前6月12日までには、衛星画像からは
上述の黒いカバーの前でイランが土台を構築していることが
判明していた。

上述のように、この6月の攻撃までにイランはこの2種類の
再建活動を始めていた。

8月30日までに、その土台の上には新たなアーチ型屋根の
建造物1棟と小型のやはりアーチ型屋根の建造物2棟とが
建設途上であった。土台は、大型建造物の前と両側とに
できていた。

さらに9月27日までには、第3のアーチ型屋根の建造物も
衛星画像で確認された。さらにその他のアーチ型建造物も、
ゆっくりと建設が進んでいた。

ことによるとさらに重大な問題だが、先に発見された2棟の
建造物の配置は、地中へのバンカーバスター攻撃を受けた
場合に「ブラスト トラップ」となるよう設計されていると
思われた。それぞれ、爆撃の威力を軽減するように働くのだ。
<通常、blast trapとは侵入などがあると爆発するトラップ
ですが、ここでは爆撃の影響を軽減するためのものの
ようです>

Albrightの報告書はさらに、このメインとなる再建
プロジェクトから200mほど離れた地点にも、新たな
サポート施設があったと記している。

上述の2つの動きが、6月の空爆以降にイランが行っている
核施設再建の動きである。

同研究所の報告書によれば、該当箇所でイランが何を建設
しようとしているのか、決定的に判定することはできない。
また、建設中の建造物が核開発プログラムとは無関係である
可能性もありえる、とのことだ。

再掲、20年以上も前にも、やっとったがな~~

とはいってもAlbrightはこうも記している:「その昔にはAMAD
<というイランの昔の核開発プログラム> で核兵器開発の
現場であった場所で、建設作業が行われているという事実
そのものが、充分に憂慮を招く。これら施設の本当の用途が
何なのか、重大な疑問が生じる」

Albrightの警告によれば、西側諸国とイスラエルそしてIAEAは、
こうした建築作業が「以前にはAMADプログラムで用いた
核兵器に伴う高性能爆薬のテスト室を再建しようとする
ものでないのか、あるいは比較的最近報告されたPETN
<peathriteとも呼ばれる爆薬で、可塑剤と混合してプラスチック
爆薬にも用いられます。C(CH2oNO2)4> というプラスチック
爆薬の製造所の再建行為ではないのか、見極める必要がある。
PETNの製造は、イランの核兵器開発活動の重要な一環で
あった」

さらに同研究所によれば、新しい建造物を土で埋めてバンカー
にした場合、イスラエル軍の空爆では従来よりも破壊しにくく
なる恐れがあるそうだ。

Albrightの報告には結論と呼べる記載はないものの、最悪の
シナリオとなった場合には、イラン政府は2024年10月の
イスラエルによる空爆から、IAFがイランの核施設をどこまで
破壊できるのかという能力を見極めており、また空爆の限界に
ついてもある程度学んだ可能性もある。

そういった視点で見ると、この5月から6月にかけての建設の
進捗は、新たな核施設をイスラエルからの攻撃から保護する
という対策であったように思われる。

6月の爆撃を受けてイラン政府が上述の以前核施設があった
箇所での再建プロジェクトの有効性を信用しない判断をして
いたのであれば、イランは建設をやめて別の場所を建設地点に
選んでいたはずだ。

だが <現実には> イランはその同じ場所で建設を続け、
拡張すらしている。それも、2024年10月の空爆の後のみならず、
この6月の攻撃の後ですら、そうなのだ。この事実から、
新設中の核施設の一部を将来のイスラエルによる攻撃から
保護するための新しい方式をイランが見つけたと、
アヤトーラたちは考えているようだ。

この報告書の多数箇所にある記載からは、イランがその核施設を
さらに地下へと移そうとしている模様だ。その地下戦略以外にも
各種の戦略を利用、将来のIAFによる空爆の効果を制限しようと
しているようだ。

イランに対する2024年10月とこの6月との空爆は大変効果的な
ものであったのだが、オープン ソースの記録からは、一部の
核施設には数回に及ぶ攻撃が必要であったことが明らかだ。

そうした例の一部として、同じ核施設敷地にある複数の施設の
一部が以前には標的にされていなかったのだが、それらも
破壊する必要があったのかもしれない。

再掲、壊せるもんなら、壊してみろ~

だが一部の例では、以前の攻撃では対象となる核施設に
充分な損害をもたらすことができなかったことが明らか
なのだ。

同じような理由から、この6月の攻撃ではイスラアエルは、
地下深くに全体があるフォルドウ核施設そしてイスファハン
核施設の地下部分への攻撃に当たっては、アメリカに対し
支援を求め、かつ支援を受けたことは皆が知るとおりである。

複数の核施設の攻撃でイスラエルがアメリカの支援を求めた
という事実から、核施設を保護するというイランの戦術の
一部が効果を発揮していることは、一層明らかだ。そうした
保護のため、施設を地下に建設したり、空爆による爆破や
ショック ウェーブの威力を軽減したりするのである。

さらに次のような方法によっても、イスラエルがとりえる
選択肢をイランは制限してきた。つまり、IAEAによる査察
すべてを実質的に禁止し、2015年の核合意では関係者全員に
より無視されてしまい、今のところ西側とイランの間では
核に関する交渉は行われていないのだ。

世界からの経済制裁

イランに対し外交・経済面での最も強力な武器は世界からの
経済制裁の「再開」であるが、ほぼひと月前に英国、
フランス、ドイツ(E3と呼ばれる)がこの制裁を再開している。
だがそれでも、イランが交渉の席に戻ろうとする様子は皆無だ。

・・・(中略)・・・

ずっと先を見てみると・・・
私の点描練習
Kettle, 2016, Nov 16

イランの核プログラムが再建されるのではという懸念は、
短中期的なものではない。これは、確かだ。

6月の爆撃以降のこの4か月間、イランはその核プログラムが
今も充分に生き続けていることを示す兆候を、何一つ
示せずにいた。その例として、爆撃以前にはウラニウム濃縮用
の遠心分離機が約2万台揃っていたのだが、<爆撃後には>
一台の遠心分離機も濃縮を行っているところを提示できて
いない。

憂慮すべきは、長期的につまり2年以上先にイランがまたもや
核の脅威となっているのでは、という問題なのだ。

イランが忍耐強くその核施設のすべてあるいは大部分をより
深い地下に移し、空爆の影響を軽減するための新たな防御策を
実施した場合、イスラエルがそれを攻撃するには、フォルドウ
とイスファハンという特に攻撃困難な施設だけでなく、
いずれの核施設を爆撃するにもアメリカ軍の支援を必要と
するのであろうか?

さらにトランプ政権の将来、つまりあまりアメリカの軍事力を
行使したがらなくなった時点で、イランの核開発プログラムが
重大な発展を遂げたとすれば、どうなるのだろうか?
あるいは、次のアメリカ大統領の政権が誕生し、大型バンカー
バスター爆弾でアメリカ軍が攻撃を行うというハイ リスクの
決断を嫌がる可能性もある。その時まで、ハメネイが待つ
つもりだとしたら?

イランはかつて秘密裏にAMADという核兵器開発プログラムを
進めていたが <1989年から2003年のことでした>、それを
発見したのはモサドであった。また昨年10月また今年6月の
空襲で使用したイラン核施設すべてを示した地図を発見した
のも、イスラエルのスパイ機関であるモサドであった。
そのとき、テヘランにある核資料アーカイブにイスラエルの
スパイたちが侵入したのだ。2018年のことである。

イランはIAEAを国内から締め出し、世界からの制裁を受け
ながらも外交を閉ざしている。今後もイランの核施設を
モサドが監視し続けること、また必要なら核施設を妨害する
ことが、今後は今まで以上に重要となろう。
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やれやれ、もうイヤ・・・
私の点描練習

核開発なんて、やめていただくのが一番ですよね。
ただ、イランに核開発をやめてもらうには、イスラエルも
核兵器を放棄しないといけないでしょう ・・・

同様に、北朝鮮への対抗で韓国が核兵器を保有した場合、
どちらも相手が核を放棄するまで、自分たちも放棄しないと
言い出すんじゃ?
そして、そうした脅威に対抗するのだと日本が核兵器開発を
始めた場合には、北朝鮮が日本の核施設(原発や使用済み
核燃料再処理工場、U濃縮工場なども含む)を攻撃して
こないという保証はあるのでしょうか??

それと、モサドが云々という箇所、まるでスパイ映画
みたいな話ですが、フィクションではなく広く世界中で
報道されています。たとえば、次の英語のヴィデオを
ご覧ください:
Israel’s Strike on Iran That Took 20 Years to Plan | Explained

Inside Israel’s nighttime attack on Iran’s nuclear program | About That

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ZNPPの外部電力、1か月ぶりに復旧

ZNPPの外部電力、1か月ぶりに復旧

UKRINFORMの記事より
Zaporizhzhia Nuclear Power Plant is out of month-long blackout — Hrynchuk

日本語メディアではReutersなどの記事を要約したものが
公表されていますが、「やかんをのせたら~~」では
ウクライナのUKRINFORMの記事を紹介しましょう。

いつもどおり、
私による要約・抜粋・日本語化、
<  > 内は私からの補足説明です。
***********************************

再掲。Island operationという、
原子炉を少しだけ稼働させて、その発電で原子炉自体や使用済み核燃料冷却プールなどを
冷却するという場合もときにあるのですが、うまく調整して
持続するのが難しいようです。
結局、原発は外部からの電力を大量に消費する代物なのですね。

Zaporizhzhia Nuclear Power Plant is out of month-long blackout
— <ウクライナのエネルギー大臣である スヴィトゥラーナ>
フリンチュク

2025年10月23日

ZNPPに外部電力を供給する電力線の1つの修復作業を、
作業員たちが完了した。

Ukrinformによれば、<ウクライナの> エネルギー大臣
スヴィトゥラーナ フリンチュクがこの復旧について
Facebookで報告している。

同エネルギー大臣の投稿によれば、「エネルギー作業員
たちが、一時的に <ロシア軍に> 占拠されている
ザポリージャ原発への外部電力供給を復旧させた。これに
より同原発は、この1か月ほど続いた完全な <ステーション>
ブラックアウトから脱出したことになる。ロシアによる
全面的侵略が始まって以来、今回のステーション ブラック
アウトは10回目であった。750 kV のDniprovska 電力線の
修復が完了したのだが、それに続けて330 kV のFerospavna
電力線の修復作業が進行中だ」

フリンチュクが強調して述べていることとして、ZNPPでの
今回の1か月にわたる外部電力喪失は占拠しているロシア軍の
活動によるものであり、ロシア軍は体系的な砲撃を行って
同原発をウクライナのエネルギーシステムに接続している
電力線に損傷を起こしている。

さらに同大臣が強く訴えている点として、「今回の全面的
侵略の開始以来、ウクライナのエネルギー関連の作業員
たちはZNPPの電力線を42回修復してきた。同時に、核の
安全を長期的に確保できる唯一の方法は、非武装化を徹底
しザポリージャ原発の <ロシア軍による> 選挙を終わらせる
ことだ。そして、同原発をウクライナの原発事業者である
Energoatomの合法的な管理下に、完全に戻すことである」

・・・・ 以下略 ・・・・
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今後も、修復作業の進捗に関する報道を見つけたら
紹介しますね。
軍事活動の干渉なく、無事に修復が完了することを
祈っています!

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