エルサレムからの視点:
イランは核開発プログラムをどう再構築しているのか?
過去のイスラエルによる攻撃からの教訓
The Jerusalem Postのウェブサイトより
How Iran is rebuilding its nuclear program, learning from past Israeli strikes
Yonah Jeremy Bobさん、
2025年10月24日
ZNPPでは今のところ外部電力供給が一部復旧できたものの、
・ イランの核開発
・ その敵であるイスラエルはとっくの昔から核兵器を保有
(おそらく)
・ インド VS パキスタンは、相変わらず一触即発状態
・ 中国はICBMサイロなど増設中とみられる
・ 北朝鮮の核に対抗すべく、韓国の世論は核を求める
・ そして「当初の核保有5か国」にも不審な動き
と、どうも核をめぐる世界の動きは眩暈を引き起こし
そうな勢いです。
そんな只中、イランの核開発プログラム債権の様子を、
イスラエルのメディアがどう見ているのか?
その一例を紹介します。

不安 ・・・
私の、かなり昔の10分クロッキー
20分クロッキーの予定だったものが、
モデルさんの体調不良で10分になったものです。
いつもどおり、
私が抜粋・要約・日本語化しております。元の英語記事は
長いので。
全部を読みたい方は、上のリンクをクリックして、
元の英語記事をどうぞ!
< > 内は、私からの補足説明です。
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How Iran is rebuilding its nuclear program,
learning from past Israeli strikes
(イランは核開発プログラムをどう再構築しているのか?
過去のイスラエルによる攻撃からの教訓)
昨年10月、イスラエル空軍(IAF)がTaleghan 2という
イランの核施設を攻撃した。それ以来今までに、その
施設では建設との関連で少なくとも4つの展開があった。
An Institute for Science and International Security
<科学国際安全保障研究所アメリカのNPOで、設立者の
Albrightは元IAEAの核査察官> の理事長David Albrightが
この月曜日 <10月20日> にある報告書を公表したのだが、
同研究所の他のメンバーたちがその4つの展開の間の
衛星画像を詳細に分析している。
イランがその核開発プログラムの再建に努めている
という点で、イスラエルと西側諸国にとって憂慮の対象
となっている施設は多数あり、Taleghan 2はその1つに
過ぎないのだが、この施設は有益なテスト ケースであり、
そこからイラン政府の全体的な方向性が見えてくる。

それでもまだやっとるがな~~
全体像
一歩退いて全体像を見てみよう。昨年10月の攻撃でIAFは
イランにある標的およそ20か所を攻撃した。それから7か月
以上後の今年6月には、さらに大掛かりな攻撃を実施、
少なくても1,000の標的を爆撃した。
昨年10月の攻撃での主な目的は、イランが保有している
先端型のロシア製S-300対空ミサイル システムをすべて
破壊することだった。
それを達成したことで、この6月にはイスラエルはさらに
大規模な攻撃を実施、それによりイランの核開発プログラム
を約2年遅らせる結果となった。
2024年10月の攻撃の主な標的はS-300対空システムで
あったが、同時にイスラエルはイランの核施設と弾道
ミサイル施設も数か所攻撃していた。
Albrightの報告書によれば、今年5月中旬までにはイランは
10月に攻撃を受けた現場に黒い一時的なカバーを設置、
破壊された施設の一部の再建に着手していた。
今年6月の攻撃の直前6月12日までには、衛星画像からは
上述の黒いカバーの前でイランが土台を構築していることが
判明していた。
上述のように、この6月の攻撃までにイランはこの2種類の
再建活動を始めていた。
8月30日までに、その土台の上には新たなアーチ型屋根の
建造物1棟と小型のやはりアーチ型屋根の建造物2棟とが
建設途上であった。土台は、大型建造物の前と両側とに
できていた。
さらに9月27日までには、第3のアーチ型屋根の建造物も
衛星画像で確認された。さらにその他のアーチ型建造物も、
ゆっくりと建設が進んでいた。
ことによるとさらに重大な問題だが、先に発見された2棟の
建造物の配置は、地中へのバンカーバスター攻撃を受けた
場合に「ブラスト トラップ」となるよう設計されていると
思われた。それぞれ、爆撃の威力を軽減するように働くのだ。
<通常、blast trapとは侵入などがあると爆発するトラップ
ですが、ここでは爆撃の影響を軽減するためのものの
ようです>
Albrightの報告書はさらに、このメインとなる再建
プロジェクトから200mほど離れた地点にも、新たな
サポート施設があったと記している。
上述の2つの動きが、6月の空爆以降にイランが行っている
核施設再建の動きである。
同研究所の報告書によれば、該当箇所でイランが何を建設
しようとしているのか、決定的に判定することはできない。
また、建設中の建造物が核開発プログラムとは無関係である
可能性もありえる、とのことだ。

再掲、20年以上も前にも、やっとったがな~~
とはいってもAlbrightはこうも記している:「その昔にはAMAD
<というイランの昔の核開発プログラム> で核兵器開発の
現場であった場所で、建設作業が行われているという事実
そのものが、充分に憂慮を招く。これら施設の本当の用途が
何なのか、重大な疑問が生じる」
Albrightの警告によれば、西側諸国とイスラエルそしてIAEAは、
こうした建築作業が「以前にはAMADプログラムで用いた
核兵器に伴う高性能爆薬のテスト室を再建しようとする
ものでないのか、あるいは比較的最近報告されたPETN
<peathriteとも呼ばれる爆薬で、可塑剤と混合してプラスチック
爆薬にも用いられます。C(CH2oNO2)4> というプラスチック
爆薬の製造所の再建行為ではないのか、見極める必要がある。
PETNの製造は、イランの核兵器開発活動の重要な一環で
あった」
さらに同研究所によれば、新しい建造物を土で埋めてバンカー
にした場合、イスラエル軍の空爆では従来よりも破壊しにくく
なる恐れがあるそうだ。
Albrightの報告には結論と呼べる記載はないものの、最悪の
シナリオとなった場合には、イラン政府は2024年10月の
イスラエルによる空爆から、IAFがイランの核施設をどこまで
破壊できるのかという能力を見極めており、また空爆の限界に
ついてもある程度学んだ可能性もある。
そういった視点で見ると、この5月から6月にかけての建設の
進捗は、新たな核施設をイスラエルからの攻撃から保護する
という対策であったように思われる。
6月の爆撃を受けてイラン政府が上述の以前核施設があった
箇所での再建プロジェクトの有効性を信用しない判断をして
いたのであれば、イランは建設をやめて別の場所を建設地点に
選んでいたはずだ。
だが <現実には> イランはその同じ場所で建設を続け、
拡張すらしている。それも、2024年10月の空爆の後のみならず、
この6月の攻撃の後ですら、そうなのだ。この事実から、
新設中の核施設の一部を将来のイスラエルによる攻撃から
保護するための新しい方式をイランが見つけたと、
アヤトーラたちは考えているようだ。
この報告書の多数箇所にある記載からは、イランがその核施設を
さらに地下へと移そうとしている模様だ。その地下戦略以外にも
各種の戦略を利用、将来のIAFによる空爆の効果を制限しようと
しているようだ。
イランに対する2024年10月とこの6月との空爆は大変効果的な
ものであったのだが、オープン ソースの記録からは、一部の
核施設には数回に及ぶ攻撃が必要であったことが明らかだ。
そうした例の一部として、同じ核施設敷地にある複数の施設の
一部が以前には標的にされていなかったのだが、それらも
破壊する必要があったのかもしれない。

再掲、壊せるもんなら、壊してみろ~
だが一部の例では、以前の攻撃では対象となる核施設に
充分な損害をもたらすことができなかったことが明らか
なのだ。
同じような理由から、この6月の攻撃ではイスラアエルは、
地下深くに全体があるフォルドウ核施設そしてイスファハン
核施設の地下部分への攻撃に当たっては、アメリカに対し
支援を求め、かつ支援を受けたことは皆が知るとおりである。
複数の核施設の攻撃でイスラエルがアメリカの支援を求めた
という事実から、核施設を保護するというイランの戦術の
一部が効果を発揮していることは、一層明らかだ。そうした
保護のため、施設を地下に建設したり、空爆による爆破や
ショック ウェーブの威力を軽減したりするのである。
さらに次のような方法によっても、イスラエルがとりえる
選択肢をイランは制限してきた。つまり、IAEAによる査察
すべてを実質的に禁止し、2015年の核合意では関係者全員に
より無視されてしまい、今のところ西側とイランの間では
核に関する交渉は行われていないのだ。
世界からの経済制裁
イランに対し外交・経済面での最も強力な武器は世界からの
経済制裁の「再開」であるが、ほぼひと月前に英国、
フランス、ドイツ(E3と呼ばれる)がこの制裁を再開している。
だがそれでも、イランが交渉の席に戻ろうとする様子は皆無だ。
・・・(中略)・・・
ずっと先を見てみると・・・
私の点描練習
Kettle, 2016, Nov 16
イランの核プログラムが再建されるのではという懸念は、
短中期的なものではない。これは、確かだ。
6月の爆撃以降のこの4か月間、イランはその核プログラムが
今も充分に生き続けていることを示す兆候を、何一つ
示せずにいた。その例として、爆撃以前にはウラニウム濃縮用
の遠心分離機が約2万台揃っていたのだが、<爆撃後には>
一台の遠心分離機も濃縮を行っているところを提示できて
いない。
憂慮すべきは、長期的につまり2年以上先にイランがまたもや
核の脅威となっているのでは、という問題なのだ。
イランが忍耐強くその核施設のすべてあるいは大部分をより
深い地下に移し、空爆の影響を軽減するための新たな防御策を
実施した場合、イスラエルがそれを攻撃するには、フォルドウ
とイスファハンという特に攻撃困難な施設だけでなく、
いずれの核施設を爆撃するにもアメリカ軍の支援を必要と
するのであろうか?
さらにトランプ政権の将来、つまりあまりアメリカの軍事力を
行使したがらなくなった時点で、イランの核開発プログラムが
重大な発展を遂げたとすれば、どうなるのだろうか?
あるいは、次のアメリカ大統領の政権が誕生し、大型バンカー
バスター爆弾でアメリカ軍が攻撃を行うというハイ リスクの
決断を嫌がる可能性もある。その時まで、ハメネイが待つ
つもりだとしたら?
イランはかつて秘密裏にAMADという核兵器開発プログラムを
進めていたが <1989年から2003年のことでした>、それを
発見したのはモサドであった。また昨年10月また今年6月の
空襲で使用したイラン核施設すべてを示した地図を発見した
のも、イスラエルのスパイ機関であるモサドであった。
そのとき、テヘランにある核資料アーカイブにイスラエルの
スパイたちが侵入したのだ。2018年のことである。
イランはIAEAを国内から締め出し、世界からの制裁を受け
ながらも外交を閉ざしている。今後もイランの核施設を
モサドが監視し続けること、また必要なら核施設を妨害する
ことが、今後は今まで以上に重要となろう。
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やれやれ、もうイヤ・・・
私の点描練習
核開発なんて、やめていただくのが一番ですよね。
ただ、イランに核開発をやめてもらうには、イスラエルも
核兵器を放棄しないといけないでしょう ・・・
同様に、北朝鮮への対抗で韓国が核兵器を保有した場合、
どちらも相手が核を放棄するまで、自分たちも放棄しないと
言い出すんじゃ?
そして、そうした脅威に対抗するのだと日本が核兵器開発を
始めた場合には、北朝鮮が日本の核施設(原発や使用済み
核燃料再処理工場、U濃縮工場なども含む)を攻撃して
こないという保証はあるのでしょうか??
それと、モサドが云々という箇所、まるでスパイ映画
みたいな話ですが、フィクションではなく広く世界中で
報道されています。たとえば、次の英語のヴィデオを
ご覧ください:
Israel’s Strike on Iran That Took 20 Years to Plan | Explained
Inside Israel’s nighttime attack on Iran’s nuclear program | About That