英国軍の元司令官が、パキスタンの核兵器のコントロールをタリバンが掌握する可能性を憂慮 2

The Times of Indiaによるケンプ元司令官の問題指摘の紹介、後半です。

(私による日本語化)

この元英軍司令官はさらにイランや中国、ロシアをも非難した。タリバンを支援しているというのだ。こうした状況ではこの南アジア地域は開発からも取り残されかねないが、その中で建設的な役割を演じることができるのはインドであると、この元司令官は述べた。

ケンプ氏の主張では、「イランもタリバンへの資金や資材提供で重要な役割を演じてきている。今回のタリバンの勝利にも、直接に貢献している。イランは聖戦勢力に資金や武器を与えて支援し、特にアフガニスタン駐在のアメリカと英国の軍人たちを殺害する軍事活動を支援した」

さらにケンプ氏によると、中国もタリバンに資金を拠出して反タリバン勢力の指導者たちを殺害させ、今後はアフガニスタンにある資源を「強奪する」とみられる。

カネやるよ、地下資源くれ

カネやるよ、地下資源くれ

この英軍の元司令官によると、「おそらくインドはこの地域で唯一、アフガニスタンで建設的な活動ができる国だ。だがパキスタンと中国が、インドを排除しようとするだろう」とのことだ。

「ロシアと中国はアフガニスタンを、西側に対する一種の武器として利用するだろう。特にアメリカに対して」とも、ケンプ氏は述べた。

「今回の米軍の無条件撤退のため、こうなることは確実で、予想できた」と語るこの元司令官によれば、ジョー バイデン大統領の政権が米軍の撤退を加速させたため、今回の現状はさらに迅速に訪れた。

その米軍撤退という決定のため、それまでのアフガニスタン政府は意気消沈してしまった。その前政府軍には以前から忠誠心に関する問題があり、そこに汚職や兵士への給料支払いの不定期性といった問題がさらに輪をかけたのだ、とこの大佐は述べている。

この元司令官はさらに、こうした展開のため難民問題が発生するという懸念も指摘した。アフガニスタンからの難民は、結局はヨーロッパに到来するだろう。そしてアフガニスタンは、「以前と変わらぬ暴虐で乱暴な暗黒の支配に戻ってしまう。今回のタリバン政権も、2001年ごろのものと何も変わらないからだ」という考えを述べ、それに疑いをはさむ余地もないとした。

さらに彼の主張では、アフガニスタンの支配をタリバンが再度手に入れたことで全世界の聖戦勢力が活気づき、アフガニスタンはそうした勢力にとっての安住の場となろう。

隠れ家と地下道があると ・・・

隠れ家と地下道があると ・・・

この元司令官は、アメリカのバイデン大統領による今回米軍をアフガニスタンから撤退した主な理由の1つとして、中国とロシアへの対抗に注力することがあるという主張を非難、「実際には逆効果だ」とした。

彼によれば、聖戦勢力はアメリカの力が衰えたものと認識、西側、特にアメリカに対する敵対を強化することだろう。さらに、我々西側諸国が西側に味方するものと期待していた国々も、西側の安定性に疑問を抱くようになるだろう。

「そうなると、アメリカの優越性が損なわれる」というのは、彼の結論である。

Yossi Kuperwasser氏はイスラエルの准将(予備軍)で、諜報と安全保障の専門家である。以前、イスラエル軍の軍事諜報部門の調査部のヘッドを務め、イスラエルの戦略問題省の長官も歴任した。そのKuperwasser氏も、上述と同様の意見だ。彼が強調している点として、今回のアフガニスタンでの展開のため、イスラエルも含む中東のアメリカの同盟諸国はワシントンの約束を信頼できないものとみなし、脅威に対しては自国で対抗する能力を強化することを主眼とすべきだという重大な教訓を学ぶことになろう、としている。*************

以上、英陸軍の元司令官としてアフガニスタンやイラクの戦場で指揮をとられたケンプ氏による主張を紹介した記事でした。
しかし、それほどの司令官といっても、一人だけの憂慮なら、「考えすぎだよ」と笑い飛ばす読者の方々もいらっしゃるかも。

問題は、現実には他の識者からも深刻な憂慮が上がっているってことです。そうした「他の実例」を次に紹介しますね。

 

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英国軍の元司令官が、パキスタンの核兵器のコントロールをタリバンが掌握する可能性を憂慮

英国軍の元司令官が、パキスタンの核兵器のコントロールをタリバンが掌握する可能性を憂慮

The Times of India、2021年8月16日付の記事より

正直、泣いてます! 下の9月8日の投稿で私は、タリバンがパキスタンの核兵器を入手してしまう危険性を大いに心配し、アフガニスタンやパキスタン情勢に詳しい読者の皆様からの情報を求めました。無論私としては、「シロートの杞憂」に終わることを願っていたのですね。事情に詳しい方々から、「考え過ぎだ、心配するな!」と慰めていただけることを願っていたのです。

でも。英国陸軍の元司令官で、アフガニスタンで軍の指揮にも当たっておられた軍人が、同様の懸念を表明されたら!??
そんな記事が、今年の8月16日付でThe Times of India紙にありました!やはり、インドはパキスタンの隣国で、しかもお互いに核兵器を保有して睨み合っているだけに、アフガンやパキスタンの軍事情勢には敏感ですね。日本語メディアの多数派とは大違い。

単なる「シロートの考え過ぎ」であってほしかった! でも、ただ泣いていても仕方がないので、その記事を日本語で紹介しますね。

The Times of India、2021年8月16日付の記事
Taliban Afghanistan News: Former British commander cautions Taliban may get control of Pakistan’s nuclear weapons | World News – Times of India (indiatimes.com)
(タリバン、アフガニスタン関連のニュース: 英軍の元司令官、タリバンがパキスタンの核兵器を握る恐れがあると警告)

手に入れたぞ!

手に入れたぞ!

(私による日本語化)

エルサレム発

パキスタンからの積極的な支援がなければ、タリバンがアメリカの支配下で軍事活動を維持し、さらにはアフガニスタンで今回のように勝利を収めることなど、できなかったはずだ。そう主張する英国陸軍の元司令官が、この月曜、イスラム聖戦勢力がパキスタンの核物資を掌中に収めて核武装を行う危険性があると憂慮を表明した。

エルサレムに本拠を置く非営利団体Media Centralのオンライン会議で発言したこの元司令官はリチャード ケンプ(Richard Kemp)大佐で、アフガニスタンやイラクも含む、世界でも特に熾烈な戦場で第一線に立ち軍隊を指揮した。同司令官によれば、「タリバンを作ったのはパキスタンであり、その資金を拠出し支援したのもパキスタンだ」

アフガニスタンでの過酷な戦闘では、この日曜日に勝敗を決する出来事があった。(当時の)タリバン反政府勢力がカブールに迫り、同市に入る前に大統領官邸を占拠、戦闘態勢を整えていたはずのアシュラフ ガニ大統領が他の多数の市民や滞在外国人たちと一緒に、アフガニスタンから脱出したのだ。

ケンプ元司令官によれば、「パキスタンからの支援がなければ、タリバンが20年間もカルザイやガニ政権の下で勢力を保つことはできなかったはずだし、これだけの戦闘を展開することも、ましてや勝利を収めることもなかったはずだ」

だが同元司令官はパキスタンに対する警鐘も忘れてはいない。「イスラム聖戦主義の国家がすぐ隣にあるというのは、パキスタンにとっても大変な危険となる」

ご注文の品を、お届けに参りました~~

ご注文の品を、お届けに参りました~~

この元英軍司令官によれば、「アフガニスタンでの軍事活動の間、最大の脅威の1つとして我々が考えたのは、パキスタンにある核施設や核兵器施設の一部をタリバンが手に入れる、あるいは利用するのではないか、という危険性だ」

その危険性が生じる要因の1つとして、ケンプ元司令官によれば、パキスタン政府とタリバン全体、アフガニスタンのタリバン、パキスタンのタリバン、アルカイーダ、その他の聖戦勢力がパキスタン国内で織りなしている複雑な関係だがある。

「それは深刻な脅威で、忘れては困る。テロリスト集団が核兵器材料で武装するのだから。入手したからといって、必ずしも核ミサイルとして使用するとは限らないが、そうした材料があればタリバンその他のアフガニスタン国内の聖戦勢力は何らかの武装に利用できる」と、ケンプ氏は語った。
***************

この記事も長いですね。後半は次回に。

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イランの核施設の監視カメラに、新たなメモリーカードのインストール  2

イラン核施設監視に関するアメリカのNPRによる報道記事、後半を紹介します。

NPR、2021年9月12日(JSTでは13日)
元の記事は、下記リンク先に:
https://www.npr.org/2021/09/12/1036491483/iran-iaea-memory-cards-nuclear-site-cameras-jcpoa

筆者: Matthews Schwartz
(私による日本語化)

「この土壇場になってイランがIAEAによるカメラのメモリーカード取り換えを認めたことで、JCPOAを台無しにしたいと願うイラン政府の願いを先送りにした。これがなければ、イランの願う通りの結果になってしまっていたことだろう」 そう語るのは、Crisis Group(国際危機グループ、戦争回避のための調査や政策提言を行う)のイラン プロジェクトでディレクターを務めるAli Vaezだ。「これは、Raisiに対する最初の試金石となるもので、今回の合意によりこの新大統領がJCPOAの再建を願っていることが明らかになった。ただし、テヘランの政治体制の中にあってRaisiが充分な柔軟性を発揮し、苦渋に満ちた政治的譲渡を行えるか否かは、別の問題だ」

せめてお茶でも~~ ケーキの代わりにカメラを

せめてお茶でも~~ ケーキの代わりにカメラを

今回の合意によって、「JCPOA順守を再開するための会談の可能性を残すことができた。おそらく、10月初旬には次の会談ができるのではないか」 そう語るのは、Atlantic Council(アメリカが今後の世界の課題にどう対処すべきかを研究・提言する機関)の「イランの今後イニシアティブ」(Future of Iran Initiative)のディレクター、Barbara Slavin だ。「私の現時点で主な関心事項として、イランの交渉チームは今も姿勢を変えておらず、今まで6回のラウンドの会談の成果の上に今後も進んでいこうとしている」

だがFoundation for Defense of Democracies(民主主義防衛のための基金) というアメリカで新保守主義を推進する団体のシニアーフェローであるBehnam Ben Talebluによれば、他の見方もある。彼によれば、「この交渉を見るときには、騙されてはいけない。これは、パワー ポリティクス(力の政治)なのだ」。彼は、イランの核兵器開発に対し新たな問責決議を設けることを支持している。

二面性・・・

二面性・・・

イラン原子エネルギー機関がこの2月に発表したところでは、IAEAによるレビューができるよう、同機関は引き続き情報の記録を続けるという。だが国連の核監視機関IAEAのこの5月の発表によれば、その2月以来5月まで、IAEAは重要なデータを入手できていないとしていた。Ben Taleblu によると、「今回のIAEAによる“救済措置”によって、この2月から続くIAEAがモニター機器を利用できるという空約束の詐欺的策略が今後も続くことになろう。現実には、制裁を解除しないとモニターのテープやその他のデータを消去してしまうぞ、とイランが脅迫すれば、わずか2-3か月で今回のような危機が再発してしまうのだが」

Grossi は記者会見で、今回の合意がその場しのぎの策にすぎないことを認めている。「これを恒久的な解決策とすることなど、できない。何か月なのか、何日なのかはわからない。だが、決して長期的な対応とは言えない」と、彼は述べている。
***************

IAEAとはもともと、
1) 核兵器をあきらめな
2) そしたら、核発電をやらせてあげるよ
3) ただし、核兵器を本当にあきらめているか、査察して確認するからね

という「核発電という ”キャンディー” で核兵器をあきらめさせる」
ことを狙いにした機関でした。

それが現実に機能するには、上述の 3)つまり査察がしっかり機能しないと、
意味をなさないことは明白ですよね。

その査察が今回、あるいは北朝鮮のケースでも、しっかり機能できなかった
ことになります。
ならばもはや、現実的には、
・ この「キャンディーあげるから・・」という策を
やめにして、
・ 核兵器と核発電の両方を世界から廃絶する
という選択しかありますまい。

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イランの各施設の監視カメラに、新たなメモリーカードのインストール??

まず、日本語メディアは自民党の総裁選挙での河野太郎候補による「核燃料サイクル
廃止」発言(当然、既存の原発もいずれ廃炉にすることになりましょう)と、
それに対する財界や政界からの反発という話題で賑やかですね。

これについては、本「やかんをのせたら~~」ではあまり取り上げないことにしますね。
理由は2つで、
・ すでに日本語メディアがこれだけ騒いでいるので、ここで取り上げる必要はないで
しょう。本ウェブサイトでは、JCPOA再建交渉の件や、中国のICBMサイロ新設と
それに対する周辺諸国の反応、その他を引き続き取り上げていきますね。
日本語メディアだけを見ていると、世界の核関連の動向で見落としてしまう
問題が多数ある以上、そうした核関連の問題を取り上げることに、「やかんを
のせたら~~」のraison d’etre(存在理由)の一部があると考えておりますので。
・ そもそも私は、現時点の日本では支持政党がありません。つまり、自由民主党をも
支持しておりません。そんな私が、自民党内部の総裁選挙にトヤカク発言するのもねえ ~~

* なお、自民党総裁選挙と核開発の関連については、東京大学の安富教授が
「一月万札」というYouTubeチャネルにある9月17日付のビデオで、
アレコレ解説をしてらっしゃいます。
自民党総裁選過熱!河野太郎は完全に安倍晋三と旧自民党勢力に喧嘩を売った!核燃料サイクル停止発言に見る日本の原子力と核武装の歴史。安冨歩教授電話出演。一月万冊清水有高。 – YouTube
にございます。

ちょっと待て~~飛んで行って、話がある!

ちょっと待て~~飛んで行って、話がある!

では、今回は何を取り上げるのか?
イランの核施設へのIAEA査察に関する報道記事を紹介します。
アメリカのNPRによる報道ですね。

NPR(アメリカの非営利公共放送局)、2021年9月12日(JSTでは13日)
https://www.npr.org/2021/09/12/1036491483/iran-iaea-memory-cards-nuclear-site-cameras-jcpoa
(イラン、核施設のカメラへの新たなメモリーカードのインストールに合意)
筆者: Matthews Schwartz

(私による日本語化)

(写真下)
国際原子力機関(International Atomic Energy Agency、IAEA)の事務局長Rafael Grossi (右)、テヘラン イマーム ホメイニ国際空港に到着しイラン原子エネルギー機関(Atomic Energy Organization of Iran)の代表代理Behrouz Kamalvandiと会談。土曜日。
AP提供

(本文)
イランの各施設を監視する査察カメラに国際検査官たちが新しいメモリーカードを入れることに、イランが同意した。

国連機関の1つであるIAEAは、イランがIAEAによる調査に協力せず監査活動を妨害しているとの発表をしたが、その数日後に今回の同意が得られた。アメリカも含む西側諸国はイランの不協力を公式に非難することを検討していたとされるが、そうした非難を行うと、2015年の核合意をイランに順守させようとする交渉の今後が危ぶまれてしまう恐れがある。

IAEA事務局長のRafael Grossiはこの週末にテヘランに飛び、イラン原子エネルギー機関(Atomic Energy Organization of Iran)の長と話し合った。Associated Press(AP)の報道によると、Grossiは帰国後に記者団に向かい「イランとは深刻なコミュニケーション断絶が発生していたのだが、解決せねばならない問題は山ほどあるため、断絶しているわけにはいかないことは言うまでもない。その断絶を解消できたと思う」と述べた。

今回の会合の後で両機関は共同声明を発表、「協力し合うという姿勢を再確認し」、対話を続けていくことを約束した、としている。この共同声明ではまた、検査官たちが「問題の発見された危機を修理し、記憶メディアを交換」できると承認している。

査察内容の記録は今後もテヘランで封印されたうえで保管されるため、IAEAの査察官たちは入手できない。だが2015年の核合意を回復するという合意に至った場合には、この週末のこうした合意によって「知識の継続性」が確保できるとGrossiは述べている。さらに損傷のあるカメラも交換できると、同事務局長は語った。

今まで、壊れたままやったんかいな~~?

今まで、壊れたままやったんかいな~~?

今回の展開は検査官たちにとってはちっぽけな勝利にすぎないと思われるかもしれないが、この週末の合意からは、イランの新政権が2015年の核合意を回復させる意欲を有している可能性もうかがえる。この核合意は、包括的共同作業計画(JCPOA)と呼ばれる。2018年に当時のアメリカ大統領Donald Trump がこの合意から脱退し、イランに対して新たな経済制裁を実施したことで、この核合意の今後が危ぶまれることとなった。

アメリカのバイデン政権やヨーロッパ諸国は、この核合意の再建に努めてきた。だが先月イランでは強硬派のEbrahim Raisi大統領が就任、この新政権が今後の交渉に応じるか否かが不透明なままだ。今回の同意で、何らかの道が開けている可能性があるというアナリストたちもいる。
***************

長いので、今回はここまで。
残りは次回に。

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北朝鮮の、新型クルーズ ミサイル発射実験 2

今回の北朝鮮のミサイル発射実験について、The New York Timesの記事、後半を紹介しましょう。
話は前半から続いていますので、前半をまだお読みでない方は、すぐ下の前半紹介を
まずお読みくださいな。

それと、英語の元記事は
North Korea Reports Test of New Cruise Missile as Arms Race Intensifies – The New York Times (nytimes.com)
にございます。9月13日付の記事です。

(私による日本語化)

この韓国のミサイル開発制限が解除されたことに対して、北朝鮮は怒りをもって反応した。「アメリカによる、北朝鮮への敵対的方針が如実に表れている」というのだ。

軍事アナリストたちによると、この解除により韓国は、かなりの破壊力を持つ大型弾頭を装備した弾道ミサイルを製造できることになった。これであれば、北朝鮮がその核兵器を保管している地下のバンカーも標的にできる。北朝鮮の指導層も、戦時にはこうしたバンカーに隠れる。

昨年、文在寅大統領が韓国国防部の国防開発庁(Agency for Defense Development)で会見を持ったおり、同大統領は韓国が「世界でも最大級の弾頭を有する短距離弾道ミサイルを開発した」と述べている。明らかに、ヒュンムー4(玄武4)のことだ。このミサイルは、防衛の専門家たちによれば、北朝鮮全土を2トンの弾頭で標的にできる。

北朝鮮が実施した一番最近のミサイル試射は今年3月25日のことであったが、その際同国は2.5トンの弾頭のある新型弾道ミサイルだと発表した。今月になって韓国のニュース メディアが報道したところによれば、韓国はそれ以上の強力な兵器を開発中だという。つまり、短距離弾道ミサイルで弾頭は3トンに達するという。

空から降ってくる壊滅

空から降ってくる壊滅

こうした兵器開発のつばぜり合いから見て取れるように、両国はお互いを標的にするミサイルの強力化を進めており、飛行距離も弾頭の破壊力も増強し合っている。しかも、迎撃もよりしにくいものを開発している。

「韓国のミサイルの破壊力を増強し、射程を伸ばし、命中精度も向上する。それにより、抑止を実現し韓半島の安全と平和を保つのだ」と語るのは、韓国の防衛相だ。今月の発言である。

北朝鮮が今回のミサイル試験のことを発表した2日後の水曜には、中国のワン イー(王毅)外相と韓国のチョン ウィヨン(鄭義溶)とがソウルで会見、二国間関係ならびに進展しない核兵器削減交渉について話し合う予定だった。

韓半島(朝鮮半島)の緊張が高まったのは2017年のことで、この年に北朝鮮は大陸間弾道弾の試験を3回、そして地下核実験の第6回目を実施、国連からの制裁を受けることになった。そうした試験の後で北朝鮮は、アメリカ本土を核弾頭の射程に収めたと主張した。

行違う二人 ・・・

行違う二人 ・・・

トランプ前大統領は2018年から19年にかけて金正恩と3度にわたり会見を開いたのだが、両首脳は制裁ならびに北の核兵器とミサイルのプログラムに関して、合意に到達できなかった。

昨年10月そして今年1月に行われた軍事パレードで北朝鮮は、新開発の大陸間弾道ミサイルそして潜水艦発射式の弾道ミサイルと見られるものを世界に示した。国連の核監視機関であるIAEAは先月、北朝鮮がその主な核施設であるヨンビョン核施設を再稼働した模様だと発表している。

だが北朝鮮はICBMおよび核装置の試験については、2017年以降実施していない。同国の建国73周年を祝う軍事パレードがこの木曜日に実施されたばかりだが、そこでも新兵器は見られなかった。

************
ヨンビョンの再稼働? → 今回のクルーズ ミサイル試験、という流れは、
とにかく気がかりですね。
で、皆様にもお考えいただきたいのですが、こういう状況にあって日本が核発電や
再処理などのシステムを保有することで、本当に「潜在的核抑止」なんてものが実現するのか??? 上の黒いメニューの下の方、ページ g-3) から g-6) で取り上げた問題です。

 

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北朝鮮の、新型クルーズ ミサイル発射実験 1

やれやれ、ヨンビョンの原子炉再稼働に関する報道紹介をやっと終えたと思ったら、今度は北朝鮮が新型クルーズ(巡航)ミサイル発射実験です!

このタイミングからして当然、この新型クルーズ ミサイルに核弾頭を搭載するつもりか??と、世界は憂慮することになります!

本日(13日)の報道記事の中では、The New York Timesのものが詳細なので、それを何回かに分けて紹介しますね。

2021年9月13日(JST)、The New York Times
North Korea Reports Test of New Cruise Missile as Arms Race Intensifies – The New York Times (nytimes.com)
(軍拡競争が過熱する中、北朝鮮が新型クルーズ ミサイルの実験を報道)

(私による日本語化)

(リード)

この実験自体は国連による制裁への違反ではないが、朝鮮半島で兵器の熾烈化が進んでいることが分かる

(本文   なお、元の記事本文中には、リンクが設定されている箇所が多数あります。上のリンクから、ぜひ原文をご覧ください)

Choe Sang-Hun記者

ソウル発 ― 13日月曜日の北朝鮮による発表によると、同国は新たに開発した長距離クルーズ(巡航)ミサイルの発射に成功した。この半年間では最初のミサイル試験で、この半島での韓国と北朝鮮の間の軍拡競争が過熱していることの表れでもある。

止めないと、いずれ~~

止めないと、いずれ~~

​この土曜から日曜にかけて行われたこのミサイル試験では、北朝鮮のミサイルは2時間ほど飛行した後、約1,500㎞離れた標的に命中した。北朝鮮の国営朝鮮中央通信の発表による。ミサイルは軌道を変更し、円を描いたのちに標的に命中したと、同通信は述べた。

国連の安全保障理事会は一連の決議を定めており、北朝鮮が弾道ミサイルを開発あるいは試験することを禁じている。だが、クルーズ ミサイルはその対象にはなっていない。弾道ミサイルと違い、北朝鮮がクルーズ ミサイルの試験を行っても、あまり警告を受けない。さらに北朝鮮の国営メディアによれば、同国の指導者である金正恩は、週末に実施されたこの試験には出席しなかった。通常なら、彼はここ何年か、主な兵器試験の監督を行っているのだが。

今回の試験から、北朝鮮が保有ミサイルの強化に引き続き務めていることが分かるが、その一方でアメリカとの核兵器廃止交渉は停滞している。月曜日に北朝鮮が述べたところでは、今回の長距離クルーズ ミサイルは「極めて重大な意味を持つ戦略的兵器」で、この1月の労働党の総会議で金正恩が発表した兵器開発目標の一環だ。

同国営メディアの報道によれば、今回の新型ミサイルにより北朝鮮は、「敵対勢力による軍事的な動き」に対抗する有効な抑止手段を手に入れた。

韓国とアメリカは9日間にわたる合同軍事演習を8月に実施している。この同盟2国による合同演習を行うと、北朝鮮が独自の軍事演習を行う、あるいは武器の試験を実施する、ということがよくある。今回の北による試験も、韓国が武装強化を加速していることを示す兆候が見られるさなかで行われた。

刺し合いのエスカレーション

刺し合いのエスカレーション

韓国は今月、潜水艦発射式の弾道ミサイルの初試験に成功している。韓国の高官たちはその詳細の公表を拒否しているが、同国のメディア報道によれば、このSLBM(潜水艦発射式ミサイル)は韓国の新たに建造したドサン アン チャンゴ級攻撃潜水艦から発射された。北朝鮮が潜水艦発射式弾道ミサイルの試験を始めたのは2015年のことで、翌年にはそれを「最大級の成功」であったと報じている。

北朝鮮による軍備増強を食い止めようとする国際交渉はほとんど実を結んでおらず、韓国はミサイルの強力化と独自のミサイル防衛システムの構築とによって、北朝鮮の脅威に対抗を始めている。

近年、アメリカはいわゆるミサイル ガイドラインを緩和した。これは、韓国が開発してよい弾道ミサイルの弾頭重量や射程に制限を設けるものである。北朝鮮が2017年に同国としては初めての大陸間弾道弾を発射したとき、当時のドナルド J. トランプ米国大統領は韓国の弾道ミサイルの爆薬重量の制限を押し上げた。今年5月にバイデン大統領と韓国の文在寅大統領とがサミット会談を持った時には、両同盟国は上述のミサイル ガイドラインを廃止することに合意、韓国は自由に長距離ミサイルを開発できることとなった。

******************
長いので、いったんここまで。残りは、次回に。

韓半島(朝鮮半島)の軍事的緊張や上述のヨンビョン再稼働のことを考えれば、
当然憂慮しておくべき発射試験でしたね。

日本で原発問題のセミナーなど開くと、いまだにオーディエンスからの質問には、
「原発事故 → 食品の汚染」
「でも、電気は足りるの?」
といった質問を少なからず見かけるのが、私としては残念です。

もちろん、そうした問題も重要ですが、日本政府が「それでも」核発電に固執している
大きな理由である「潜在的核抑止」に関する言及がオーディエンスからは少ないのが ・・・
セミナーの講師の方などは、はっきりと「核抑止」とか「核軍備」と明言して
らっしゃっていても、そんな現状なのですよ。

ちょっと考えてみれば、今回の「ヨンビョン再稼働」と「クルーズ ミサイル」の問題からも、「発電と兵器の不可分性」が窺えますよね?
そして、もし、新型クルーズに核弾頭が装備されたら ・・・ 考えたくはないのですが、可能性を否定できませんでしょ?
言うまでもなく、クルーズ(巡航)ミサイルはレーダーなどでは極めて捕捉しにくい
ミサイルなので、ミサイル防衛システムもどこまで機能できるやら。。。
それと、日本語メディアでは「今回のミサイルの射程は1500㎞ほどあるので、
日本のほぼ全土をカバーできる」という点で騒いでいますよね。
はっきりとエラソーなことをヌカシテしまうと、私は日本語メディアの報道を見て、
「あったりめーじゃねーか!!!」と呆れました! 日本には米軍基地が各所にあるのですから、北朝鮮が新型ミサイルを作るのなら、日本のほぼ全土も射程に含むのは当然でしょう!
米軍基地を置くべきか・おかざるべきかという立場の違いとは無関係に、
現時点で米軍基地が存在している以上、北朝鮮としては日本もミサイルの射程内に
入れるはずですよね。

そんなわけで、やはり日本語メディアは相手にせず、The New York Timesの関連記事を紹介しているわけです!

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小出裕章 元助教の、核発電と核兵器の不可分性に関連した講演ビデオ

同じようなことを言っていても、私が言っていると誰もまじめに取り合って
くれない ~~ でも、元京大助教の小出裕章さんが講演でおっしゃったら??

その小出さんの講演ビデオで、あまり視聴回数が多くないものを見つけました!
名古屋岩の上教会という改革派(カルヴィン派)のキリスト教会が主催された
講演会の録画で、「第11回憲法カフェ「原発と憲法」 (講師:小出 裕章氏)」
というビデオが、YouTubeにありました。

第11回憲法カフェ「原発と憲法」 (講師:小出 裕章氏) – YouTube

2021年6月27日の講演です。
長いので、時間がない方は、1:26:30 からご覧ください。講演の後半ですね。
戦後の日本政府の国家的方針との関連という範囲内で、核兵器と核発電の
不可分性に関する話題が展開されています。
日本国憲法第9条を変えるべきか・変えざるべきか、という立場とは無関係に、
この「不可分性」という事実をお分かりいただけるはずです。

 

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北朝鮮、長距離クルーズ ミサイルの発射試験に成功??

The US Suns
North Korea ‘test fires new long-range cruise missile and hits target 1,000 miles away’ reports claim (the-sun.com)
(報道によれば、北朝鮮が新型長距離クルーズ ミサイルの発射試験に成功、1600㎞ほど離れた標的に命中)や

CNN
North Korea says new long-range cruise missiles launched: state media – CNN
(北朝鮮国営メディアによれば、同国が新型長距離クルーズ ミサイルを発射)

その他メディアが2021年9月13日の朝(JST)に報道したところによれば、
北朝鮮が新型長距離クルーズ ミサイル(巡航ミサイル)の発射実験に成功した、とのことです。やれやれ、ヨンビョンの原子炉再稼働の話題を紹介したところで、今度はクルーズ発射ですか~~!

明日(14日)にでも、詳しい記事を選んで紹介しますね。
現時点ではどの報道も、発射成功を知らせる短いものなので。

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ヨンビョン再稼働??問題に戻ります

では、北朝鮮がヨンビョンの原子炉を再稼働したのか??という話題に戻りますね。

38 Northという、北朝鮮問題に話題を絞ったウェブサイトがあります。
ヨンビョン再稼働か?という問題について、そこにある記事を紹介しますね。

38 North   August 30, 2021  BY: FRANK PABIANJENNY TOWN AND JACK LIU

North Korea’s Yongbyon Nuclear Complex: More Evidence the 5 MWe Reactor Appears to Have Restarted | 38 North: Informed Analysis of North Korea
(北朝鮮のヨンビョン核施設、5MWe原子炉が再稼働されているとみられる、さらなる根拠)
リンク先の英語ページに詳細な画像があるので、参照なさってくださいな。

(私による日本語化)
ヨンビョン核科学研究センターの商用衛星による画像を見ると、この5Mwe原子炉の稼働が再開したとみられる証拠が、さらに見つかる。国際原子力機構(IAEA)が最近発表した報告の内容と合致して、8月25日撮影の画像では、この原子炉そばを流れるクリョン川へと流れ込む新設の排水路に冷却水が排水されているのがはっきりと分かる。以前からこの排水の放出こそ、原子炉が稼働していることを示す主な兆候の1つとされてきた。だが、以前にこの原子炉が稼働していた頃とは異なり、発電装置のある建築からは、まだ上記のいずれも観察されていない。

Magnoxの概念図 ・・ 熱したものは、冷やさなきゃ

Magnoxの概念図 ・・ 熱したものは、冷やさなきゃ

こうした、最近観測されている活動は、2018年春以降では初めての、原子炉の稼働を示す兆候である。今回の兆候が見られるようになって以来、この原子炉の内部と周辺では絶えず車両が行き来しており、メインテナンスないしはその他の原子炉指導のための活動を示すものと見られる。クリョン川にあるダムでも、ここ数か月にわたって作業が進行しており、これはこの5MWe原子炉と実験用軽水炉(ELWR)のための貯水池を設けるためとされている。この作業は既に完了したようだ。ただし、今後数週間内に来ると思われる季節性の洪水が、この貯水池にとっての試練となるだろう。

このELWRがすでに稼働を始めたことを示す明確な兆候は、今のところ見つかっていない。

同時に、7月初旬から現在までの一連の画像を見ると、使用済み核燃料の再処理を行う放射化学実験施設に水蒸気を供給する工場の稼働が7月初旬から今までは停止しているように思われる。今回のIAEAの報告にあるように、この2月中旬から7月初旬までという期間は、「5Mwe原子炉で中性子線放射を受けた使用済み燃料の中核部を完全に再処理する」ために必要な期間と良く重なるのだ。
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1つ忘れて欲しくないことが。北朝鮮というと、すぐに「核兵器 → 世界を敵に回す、独裁者 → 早く滅んでしまえ!」といった反応がどこかから返ってくるのですが ・・・
ヨンビョンの5MWe原子炉については、「やかんをのせたら~~」のページ e) の下の方で短く説明しております。もとから、空冷式のMagnox炉(コルダーホール型原子炉)でした。同ページの「コルダホール型 (Magnox) 原子炉が本来、どういう用途のものであったのか?」という箇所にある通り、本来Magnoxとは、兵器用プルトニウム製造と発電という二重用途のための原子炉でした。
「ほらみろ、“将軍様”は初めから、核兵器を作るつもりだったんだぜ」とおっしゃる前に、このMagnox炉は、日本が最初に導入した商用原子炉でもあったのです。やはり、ページ e) をご覧ください。なぜ、国内の反核団体などから、強烈な全国的規模での反対運動が起こらなかったのか??今も私は、不思議でなりません。大半の日本市民が、「平和利用で~~す」と騙されていたのか??

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河野太郎さんの再処理サイクルへの反対については、他所でアレコレ報道されています

使用済み核燃料の再処理サイクル(もんじゅや再処理工場など)に対し、河野太郎さんが引き続き反対されていることは、すでに多くの日本語メディアで報道されていますよね。
なので、「やかんをのせたら~~」では、特に自民党内部の未報道情報とかが入手できない限り、取り上げません。他の日本語メディアの報道内容と同じような内容を、ここで重複して取り上げても、あまり意味がないので。

ただ、現実に日本の核燃料リサイクルや核発電を廃止に持っていくためには、政府や関連官庁に私たち市民が圧力をかけることは、当然必要です。ですから、自民党内や経産省などの内部での関連した動向や事情に詳しい方々からの、情報発信を願っております!

私自身は、自民党員でもありませんし(そもそも、昔から無党派ですが、自民と公明には投票したことが一度もありません)、今ではエネ庁にも出入りしていないので、そうした内部情報を得るすべがありません。反核の立場に立ち、しかもそうした内部事情に詳しい方々による情報発信を待望しております!

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