下の1月27日の記事でも扱ったように、日本は今回発効した核兵器禁止条約に署名しておりません。この条約の採択は2017年7月のことでしたが、その時点で有名な通信社のAPが説明を公開しています。
AP Explainsというニュース解説のシリーズの一部で、2017年9月22日付の「やまぐち まり」さんという方による文章です。
https://apnews.com/article/5a9990f8d9e242438e7b557f228ba9f3
その中から、一部抜粋します。
Japan, as a close U.S. ally, is protected by America’s extended nuclear deterrence, or “nuclear umbrella,” even though Tokyo renounces its own possession, production or entry of nuclear weapons on its turf. That makes it difficult for Tokyo to sign the treaty especially as it steps up its military role amid North Korea’s missile and nuclear threats. Under Prime Minister Shinzo Abe’s hawkish government, the two countries have stepped up bilateral security cooperation. Besides Japan, most U.S. allies — almost all NATO members, South Korea and Australia — also did not participate in the talks on the treaty.
(私の日本語化)
日本はアメリカの重要な同盟国であり、アメリカの拡大した核抑止により守られている。いわゆる、「核の傘」だ。東京の日本政府は自国が核兵器を保有あるいは製造すること、自国領土内に核兵器を入れることは、拒否しているのだが。そうした事情のため、日本政府は今回の条約への署名がしづらいのだ。ことに、日本の軍事的役割の強化が求められており、しかも北朝鮮のミサイルや核兵器の脅威が迫る現状においては、本条約への署名は困難だ。安倍晋三首相のタカ派内閣の下、アメリカと日本は安全保障面での相互協力を強化してきた。日本以外にも、アメリカの同盟国の大半、つまりNATO加盟諸国すべてと韓国、そしてオーストラリアも、今回の条約をめぐる討議には参加しなかった。
上記の事情は、すでに言い古されていますよね。この「やかんをのせたら~~」でも、いずれ将来、核抑止という問題を取り上げます。
続けて、当時の河野外相の発言を取り上げている箇所を引用します。
Japan’s top government officials say the country did not sign because its approach to achieving a nuclear weapons ban is different from the treaty, even though nuclear abolition is their ultimate shared goal. Foreign Minister Taro Kono told reporters in New York that nuclear weapons states and non-nuclear nations have been divided, and there is even a gap among non-nuclear countries over how realistically they should achieve the goal. Kono said Japan seeks to reach out to both sides in hopes of serving as a bridge and create a common ground where everyone can join for the shared goal of nuclear disarmament and abolition.
(私の日本語化)
日本政府高官によれば、日本が今回の条約に署名しなかったのは、究極的には核兵器の廃絶を求める点は同じであっても、日本が核兵器の禁止を求める手法が今回の条約の在り方とは異なっているためだそうだ。河野太郎外務大臣がニューヨークで記者たちに話したところでは、核兵器保有諸国と非保有諸国とが分裂しており、さらに核廃絶という目的を達成するための現実的な方法については非保有諸国の間でも隔たりがある。河野氏によれば日本は両陣営に働きかけて橋渡し役となるべきで、核兵器の軍縮と廃絶という共通の目的にあらゆる国々が協力できるよう共通の足場を作り出すべきだ、という。
さて?? このAP Explainsから3年半ほど経過した現在から振り返ると、「橋渡し役」と言っていたものの、どんな橋を架けたのでしょう??そもそも「共通の足場」など、日本が作ったのでしょうか??
私には、アメリカの核抑止の傘の下に居続けることを正当化するための「言い訳」としか思えないのですが。
皆様は、どうお考えでしょうか??