チョルノービ原発をIAEAのグロッシ総長が訪問することは、
すでに日本語メディアでも報道済みですよね。
しかし、もう1つロシア軍にコントロールされているザポリージャ
原発の現状に関しては、2022年4月25日 JSTの時点で最新の報道が
見当たりません。
報道がないと、余計に気がかりですよね。
こういうときは、反核団体のメッセージや解説なども見てみましょう。
ちょっと古いのですが、今年4月6日付のウェブページがあります。
BANNC (Blackwater Against New Nuclear Group, 直訳すると
「核新設に反対するトイレの汚水グループ」 ・・・ たぶん、
ジョークを解する人たちの反核団体なのでしょうね) という、
英国に本拠を置く反核団体があって、
BANNG – Blackwater Against New Nuclear Group
にそのウェブサイトのフロント ページがあります。
そのフロントページを少しスクロールダウンすると
April 2022 : Zaporizhzhia – a nuclear wake-up call
というタイトルがありますよね。
その記事本文 (Zaporizhzhia: a nuclear wake-up call (banng.info))
を私が日本語化して紹介しますね。いつもどおり、
< > 内は私からの補足説明です。
真新しい事実の報道があるわけじゃ、ありません。ただ、
原発の「軍事的リスク」について明確に警鐘を鳴らして
いるわけでして、英国のこの団体は迅速に警鐘を叩いて
らっしゃるわけですね。
日本の反原発団体なども、ハッキリとこの種の警告
メッセージを発表していただきたいのですが。
私が調べた限りでは、原子力資料情報室さんが「ウクライナ
情勢における原発状況 (随時更新)というウェブページを
出してらっしゃる
(ウクライナ情勢における原発状況(随時更新) | 原子力資料情報室(CNIC))
だけで、日本のその他の反原発団体の声が聞こえてこないのが、
不思議なのです ・・・
黙り込んでないで、何か言いましょうよ・・・
私の昔の作品より
紙にオイルパステル
ザポリージャ: 核発電に対する警告
6 April 2022
BANNGの書記Varrie Blowers
Blowersは、2022年4月付のRegional Life誌に、
ウクライナでの戦争の及ぼしうる結果を論じている。
3月4日未明、ザポリージャでの火災発生が報じられた。
ウクライナのこの原発には、原子炉が6基あり、
ヨーロッパでは最大だ。ロシア陸軍が、計画に従った
攻撃を進めていた。すでにその2-3日前にチョルノービ
原発を制圧していた。1986年4月に、今のところは歴史上
最悪の原発事故を起こした原発だ。
火災が発生したのは、幸運にも訓練棟だった。そうであっても、
稼働中の原発に軍事攻撃を仕掛けるというのは未曽有の事態で
あり、ジュネーヴ条約に対する明確な違反だ。それでもロシアは、
攻撃を思いとどまることはなかった。
原子炉のメルトダウンや放射性廃棄物の保管庫での火災が発生
すれば、核エネルギーの破局に至る可能性があった。さらに
チョルノービ事故を上回る規模の核事故が発生した場合には、
そこからの放射性物質の散乱により、1986年以上の恐るべき
結果を招き得た。
今回の戦争により、原発を有する国での戦争の危険性が、歴史上
はじめて明確に示された。原発は、戦争に耐えられるようには
設計されていないようだ。しかも、単純に稼働を停止させて
ほっておくわけにもいかない。報道によれば、ザポリージャ原発の
作業員たちは無理な勤務体制での作業を強制されており、疲労困憊、
空腹、ストレスに苦しんでいる。こうした状態では、ミスも発生しやすい。
BANNGでは、英国の国境ではこのような事態が決して発生しない
ことを願っているが、核施設でのテロリスト攻撃やサイバー攻撃が
大惨事を招くという脅威は、絶えず実在している。
今回の事態を鑑み、英国政府は核発電からの撤退を決断し、原発新設と
いう暴挙をやめるべきである。これには、ブラッドウェルB原発
<ロンドンの東北東100㎞程度の位置に計画中の新原発。施工担当は、
中国广核集团(CGN)> も含む。原発事故の危険性については、
チョルノービと福島第一が世界に警鐘を鳴らした。ザポリージャは、
意図的な戦闘行為における原発の脆弱性について目を覚ませと我々に
呼び掛けている。
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日本の反核団体(反原発も含む)も、そろそろ「核発電の軍事関連
リスク」に関する共同声明か何か、発表されてはいかがでしょうか?