2022年8月10日 JST
オンライン ラジオのTimes Radioで、ザポリージャ原発の危機を
取り上げた番組を見つけました。
YouTubeに投稿された日付は、2022年8月10日 JSTです。
Shelling Zaporizhzhia power plants would cause a disaster
‘worse than Fukushima’
(ザポリージャ原発での砲撃により、「福島第一を上回る」
大災害の可能性)
Shelling Zaporizhzhia power plants would cause a disaster ‘worse than Fukushima’ – YouTube
Times Radioの番組。Mark Fitzpatrickさんのインタビュー
Mark Fitzpatrick, アメリカ国務省に26年勤務したのち、英国の
国際戦略研究所の南北アメリカ オフィスのエグゼクティブ ディレクター。
地域での核兵器拡散問題と核関連の危険防止が専門。
Times Radioは、英国のWireless Group、The Times、The Sunday Timesが
共同で運営しているオンライン ラジオ局。2020年6月に放送開始。
心配で眠れない ・・・
私の20分クロッキー
現時点で皆様の関心の高い問題だろうと思いますので、このラジオの
音声から直接、私が以下に日本語化して紹介しますね。音声から
直接なので、聞き間違いがあり得ることは、初めにご了承願います。
例によって、< > 内は私からの補足説明です。
7分弱程度のヴィデオですので、英語のニュース番組などを聞いて
わかる方は、ぜひ上のリンクから元の番組をお聞きになって
くださいませ。
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0:37 (実際にはこの番組は、0:37あたりから始まります)
Interviewer
ザポリージャでは危機が高まりつつあるという現状を見て、
国連は国際査察チームの原発現場調査を認めてくれと求めています。
この原発は旧ソヴィエト時代に建設されたもので、それが先週から
砲撃を受けているのですね。ヨーロッパでも最大の原発で、加圧水型
原子炉が6基あります。400万世帯に電気を供給できます。
それでは、核兵器拡散問題担当のセクレタリー、さらに英国の国際
戦略研究所の核兵器拡散問題や軍縮研究担当のディレクターを歴任
された、Mark Fitzpatrickさんにお話を伺います。
Patrickさん、Times Radioに登場いただき、ありがとうございます。
Fitzpatrick
こちらこそ、お目にかかれてうれしいです。
Interviewer
先ほど申しましたように、ヨーロッパ最大の原発での戦闘に
ついて国連は、「自殺的な」危険だと述べています。「 」 付きの
自殺的な(suicidal) ですね。そこでまず、放射線を伴うような災害が
実際に起きるという目に見える危険はあるのでしょうか?
もしあるのなら、それはどういった意味を?
Fitzpatrick
危険は間違いなくあります。6基の原子炉があって、今までの発電
稼働のなかで、使用済み核燃料も何千トンと溜まっています。それを、
今まで冷却し続けてきているのです。この冷却を常時続けないと、
もしその冷却プールへの電力供給が途絶えてしまうと、冷却プールの
水が蒸発してしまいます。この場合、<ザポリージャ> 原発は巨大な
ダーティ ボムと化してしまい、その放射性物質の漏れは日本の福島
第一事故の場合よりもひどいものに なるでしょう。外部電源供給が
途絶えた場合ですね。チョルノービの事故よりもひどい結果に
なるでしょう。
Writing on the wall —- (ダニエル書5章)
私の20分クロッキー
Interviewer
実際にそんなひどい大事故になりえるのでしょうか?
Fitzpatrick
もちろん、その他の偶然に変化する要因もありますから、最悪の
シナリオを説明しているのですが、あくまで現実にあり得る可能性です。
安全性を高めるため、原発は充分な冗長性を持たせて設計されています。
原発への外部電源の供給が途絶えた場合、これはよく発生する問題なの
ですが、バックアップとしてのディーゼル発電機とその燃料が原発には
用意してあり、ディーゼル発電で冷却システムその他の稼働を維持します。
ところが戦闘が行われているようだと、そうしたバックアップ システムも
悪影響をこうむり、大災害のシナリオが現実化してしまうのも想像に
難くありません。
Interviewer
The Timesの今日の記事を見ますと、ウクライナでロシア軍が
使用している武器の中では、西側の電子工学が使われているそうです。
しかも、そうしたコンポーネントの多くは秘密裏に入手されたものだ
そうです。こうした報道を聞いて、西側はこうした技術漏出を防ぐために
もっと手を打つべきだとお考えでしょうか? どうお考えに、なりますか?
Fitzpatrick
そうですね、ウクライナ問題のもう1つの側面がそれですね。ロシアの
機器類の多くには、西側の高度なチップが使用されていると。そういう
報道は、私も読んでおります。ロシアはそうしたチップなどを合法的には
入手できないので、何らかの非合法な入手方法があって、それをロシアが
利用しているはずです。全世界のブラック マーケット システムなどですね。
チップは小さくて運びやすいので、誤った手に入ってしまいやすいものです。
西側の諜報機関は網を張り巡らせているはずですが、こうした技術漏出を
完全に防ぐのは困難です。
Interviewer
わかりました。
その他にも、多くの人たちにとっての不安の種があります。
海運の拠点でウクライナの船が一晩足止めを食わされたうえで出港した
のですが、それが先週末のことでしたね。そして、ガザでの爆発。
国際問題となると、いろいろなことが起きています。そうした事件が
あっても、ここ英国では新聞などのヘッドラインにもならない場合さえ
ありますが。Patrickさんは、ガザでの爆発などをご覧になると、
どうお感じになりますか?
Fitzpatrick
そうですね、世界中で火災が発生しているような。台湾では紛争の影が
ちらついていますし、ガザではすでに実際の紛争になっています。
私の考えでは、ガザの紛争は話し合いで抑え込むことが可能だとみて
おります。イスラエルも、攻撃に対して応戦していますが。
で、どう言えばよいのか、このインタビューの最初に話し合った
ザポリージャ原発の問題は、かなりスケールが違う問題で、
一種のダーティボムですよね。その深刻さを軽んじるわけでは全く
ないのですが、切迫のレベルは異なっています。
Interviewer
時間が迫ってきましたが、世界中で問題が発生している中、Patrickさんの
最重要問題は台湾だと。現時点で最も注目してらっしゃるのは、
台湾なのですね。
Fitzpatrick
そうでしょうね。台湾では、2つの超大国が交戦してしまう危険性が
あります。一方、ウクライナでは確かに超大国が1つ戦争をしていますが、
他の超大国つまりアメリカとヨーロッパ、要するにNATOは、注意深く
ロシア本来の領土には攻撃がなされないように配慮しています。ところが
台湾のシナリオでは、中国が台湾に攻め込んでくる可能性が少なからず
あります。そしてアメリカは、台湾防衛のために抗戦する可能性が。
まだそうなってはいませんが、そうなりやすい状態ですね。
Interviewer
Mark Fitzpatrickさん、いろいろ伺いたいことはあるのですが、今夜は
TIMES RADIOにご登場くださり、ありがとうございました。
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あ~~あ
私の20分クロッキー
最悪のシナリオ、つまりザポリージャ原発の原子炉すべてがメルト
ダウンしたり、and / or 使用済み核燃料冷却プールが蒸発した場合には、
福島第一の大事故程度ではすまない、ひどい放射性物質漏出に
なっちゃいますよね。一刻も早く、プーティンが正気を取り戻して
くれることを!
原発が巨大なダーティ ボムになりえることについては、上の黒い
メニューの if-3) でも取り上げております。
この種の軍事リスクを考えるなら、原発を建てるとは、とりも
なおさず 「敵国/テロ組織が巨大ダーティ ボムとして利用できる施設を、
わざわざ作ってあげる」 ことに他ならないのですね。
では、次回はMail Onlineによるザポリージャ原発の危機に関する記事、
残りを紹介する予定です ~~ 特に突発的な事件や展開などがない限り。