↓ 9月26日に日本語化した Nuclear-
free, carbon-free! の元の英語ページ
にあるRead Moreをクリックした先に、
関連してオーストラリアの石炭企業が
核発電を笑い飛ばした、という記事が
ありますよね。
日本ではなんやら「原発は費用が少なく
て済むので、再稼働を増やせば電気
料金が下がる」という、将来を考えない
主張が巷にはびこってます。既存の
原発の稼働期間を延長して再稼働したと
しても、10~20年先には廃炉作業が
始まるので、核発電に固執するなら
新たな原発を建てることになります。
その費用と、再生可能エネルギー
(と電力の貯蔵施設や新たなグリッド
建設も含めた)の費用を比較したうえ
で、どちらが低コストなのか?将来を
考えるなら、必ず考えないといけない
問題ですよね。
この問題との関連で、オーストラリア
最大の石炭火力企業が、今後の選択肢
として核発電を笑い飛ばし、再生可能
エネルギーを選んでいる ・・・
そんな記事です。
RenewEconomy(2012年に始まった、
グリーン エネルギーへの移行を説く
オーストラリアのウェブサイト)の
Clean Energy News and Analysisと
いうセクションより
Too expensive, too slow: Australia’s biggest coal generator says no to nuclear | RenewEconomy
(費用も工期もかかる ― オースト
ラリア最大の石炭火力企業、
核発電を拒否)
いつもどおり、
私による抜粋・日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
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Giles Parkinson記者
2023年8月10日
オーストラリア最大の石炭火力発電企業
であるAGL エナジー社がまたも、現存
する石炭火力に変わるオプションと
しての核発電を拒否した。しかも今回は、
強烈な拒否である。.
AGL社からのそのコメントが発表された
とき、おりしも全国の核推進イデオ
ローグたちや保守系メディアが連帯して
再生可能エネルギーに反対し核発電を
推すキャンペーンを展開していた。
その連帯のエネルギー担当スポークス
マンであるTed O’Brien は、石炭火力
の廃止を先送りにし、同じ敷地にSMR
<上の黒いメニューでページ シリーズ
s-x) を参照、メニュー内項目は基本的
にアルファベット順> を設けよと呼び
かけている。
オーストラリアでの反原発主張は本質
的に、コストと工期に根拠を置いて
いる。核エネルギーの崇拝者として最も
熱心な一人である前チーフ サイエン
ティストであったAlan Finkelでさえ、
SMRはあまりにも経費が掛かりすぎ、
しかも工期が長すぎると述べている。
Finkelに限らず、SMRという技術は
まだ商用化ができておらず、最初の
パイロット発電所もこの2020年代終わり
までには稼働できそうにない。気候変動
対策の目標を達成したいのであれば、
<炭素の> 排出を削減するため再生
可能エネルギーと蓄電施設を2020年代末
までに実現すべきだ。
オーストラリアのエネルギー業界も
核発電のキャンペーンには首を横に
振っているのだが、マードックの所有
するメディア コングロマリオットが総体
となって核発電推進キャンペーンを展開
していることに押され、核推進に惑わさ
れつつある。再生可能エネルギーが却下
され、ソーシャル メディアに限らず
主流メディアにおいてさえ、誤情報の
キャンペーンが異常なまでに展開されて
いるのだ。
AGLはこの4月に <オーストラリア
南西部にある> ニューサウス
ウェールズ州にあるその老朽化したよぼ
よぼのLiddell発電所を閉鎖したのだが、
その際に同社CEO の Damien Nicksは
上記の連帯による同石炭発電所の延命と
SMRに置き換えよという要請を笑い
飛ばした。
その際に同CEOは、頭を横に振り
ながら「ノー」と答えた。そして、
その場を離れた。
<2023年8月9日の> 木曜日、
同社の年次業績を発表した際、AGLは
2か所の残っている石炭火力発電所で
ある Bayswater と Loy Yang A に
代えて12 GWの新規風力発電所、
太陽光発電所、ならびに蓄電施設を
設ける計画をアップデートした。今後
10年以内に実現される見込みだ。その
際、同CEOは核発電を採用しない
という判断を繰り返し述べた。
「AGLとしてはあくまで再生可能
エネルギー施設と常時稼働パイプライン
の開発に集中しており、核エネルギーに
投資する計画は皆無だ」
RenewEconomy宛にEメールで送信
された声明で、Nicksはそう述べている。
「オーストラリアの法律は核エネルギー
の開発をサポートしていないし、原発の
工期や経費、そして世論もすべて
核エネルギー開発には否定的だ」
核エネルギーを推す動きにはやはり、
気候変動に関する動きを歪曲し化石燃料
業界を守ろうとする狙いが絡んでいる。
この10年以上、そうした傾向が顕著だ。
送電グリッドに関するある種の見解も、
これに関与している。つまり、信頼性の
高い電力供給を実現するには、「ベース
ロード」電力が必要だというものだ。
だがオーストラリアの電力市場で稼働
している事業者や電力業界によれば、
安定した電力供給に必要なのは柔軟性と
常時供給能力なのだ。
アメリカの原子力規制委員会 (Nuclear
Regulatory Commission) の前委員長で
あったAlisson Macfarlaneがすでに
核エネルギーとSMRにともなう多数の
問題を指摘しているのだが、それは次の
リンク先に紹介している。 this piece here
<2023年9月24日 JST現在、この
リンク先は開かなくなっていました。
なぜ??>
Macfarlaneの主張によれば、
核エネルギー技術を支えているのは
イデオロギーだけであり、「技術や
体質の」放任文化の産物である。本
ウェブサイト <RenewEconomyの
こと> にある記事の中でも、この
Macfarlaneの指摘は、昨年もっとも
閲覧数が多くコメントも多数集めた
記事の一つでもある。
さらにMacfarlane によれば、SMR
技術を利用しても<二酸化炭素など
の> 排出削減には、あまり役立たない。
そもそも、SMRの推進勢力もこうした
削減を主な動機としてきたわけでは
ない。オーストラリアでの上述の連帯の
<化石燃料を延命せよという> 主張を
見れば、<排出削減を念頭に置いて
などいないということは> 明らかだ。
だが最大の問題は経費で、これはもう
何十年も昔からそうだ。Macfarlaneに
よれば、推定経費の金額は既に当初の
2倍に膨れ上がっており、今後もさらに
膨張を続ける見込みだ。しかもそうした
推定では、廃棄物の増大という問題や
そのリスクを含んでいない。
これは、実に皮肉な話だ。上述の「連帯」
は、費用増大のプレッシャーに対抗する
ためには核発電こそがソリューション
なのだと主張してやまない。もっとも、
どのようなエネルギー源と比べても、
明らかに核発電こそずば抜けて経費が
かさむ代物なのだが。最近、電気料金が
高騰しているが、その原因は化石燃料
業界が価格を釣り上げていることにある。
それを理解すれば、ソーシャル メディア
<SNSのこと> や主流派メディアが
再生可能エネルギーを悪魔扱いして譲歩
しないことも、理解できる。役に立た
ないとか、化石燃料の助けなしには稼働
できないといった主張を広め、各種技術
の費用に関するAEMOやCSIROによる
評価の基盤を誤りだと喧伝している。.
<AEMO: Australian Energy Market
Operator、60%政府支出、40%電気
その他の業界支出の機関で、電力やガス
供給市場の運営・監督を行う。
CSIRO: Commonwealth Scientific and
Industrial Research Organisation、科学
究を行うオーストラリア政府の機関。
太陽光発電や風力が2030年までに最も
安価な発電方法となるとの予測を公表
している。
Up to 90% of electricity from solar and wind the cheapest option by 2030: CSIRO analysis – CSIROscope>
無論、CSIRO と AEMOが説明
してきたのは、風力と太陽光と同時に
バックアップ用発電施設も利用し、
そうしたバックアップ施設は本来、
化石燃料で発電した送電用グリッドの
ために建設したものだ。石炭火力や
核発電ではそうしたバックアップが
いらないとの神話が喧伝されているが、
これはひどい誤りの例だ。
<たとえば、上の黒いメニューの終わり
の方にある 付録 w-3) の後半も参照。
下の段落の「バックアップ」とは、
意味が違いますが。それに、そもそも
ザポリージャ原発ではこのところ、
外部電力(いわば一種のバックアップ)
の供給が絶たれて大問題になって
ますよね>
化石燃料や核発電でもバックアップは
必要であり、しかもそうした発電所は
大規模なものであるため、何らかの
問題やメインテナンス作業のため推す
ライン状態になった場合には、穴埋めの
ためのバックアップ発電量も大量に必要
となる。だが核発電を進めようとして
いる政治的な圧力は、ディテールを美緒
としている。あくまで、政治的に勢力を
得ることが目的で、化石燃料業界の利益
を求めてしまっている。だが、それは
危険性を帯びつつある。.
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Up to 90% of electricity from solar and wind the cheapest option by 2030: CSIRO analysis – CSIROscope
にあるCSIROによる論調にも、多くの
皆様はご関心がおありかも。
「やかんをのせたら~~」のフォーカス
からは外れるのですが、日本社会では
いまだに「原発は安いよ~~」などといった
誤謬がまかり通っているので、このCSIRO
の主張をそのうち日本語化しますね。
それと、上の記事にもマードックのメディア
コングロマリオットに対する言及があり
ますが、日本でもメディアを利用した核推進
プロパガンダは、現実の社会問題です。
これについては、また将来「やかんを
のせたら~~」でも取り上げる予定です。