中国 Global Times紙の志賀原発関連の報道

中国のGlobal Times紙ウェブ
サイトより

Suspicions linger over safety of
Japanese nuclear power plants after oil
leakage following Noto quakes
(能登半島地震での油漏れを受け、日本
の原発の安全性に関し消えない疑念)

Suspicions linger over safety of Japanese nuclear power plants after oil leakage following Noto quakes – Global Times

これで「耐震}??

Global Times紙は確かに、「人民日報」
の傘下にあるメディアではあります。
当然、中国共産党からの圧力はある
ものと想定したうえで、読んでいくべき
でしょう。
ただ、逆に「中国のメディアの言うこと
なんか、あてにならない」と無視する
のも、あまりに一面的でしょう。
少なくても中国のおそらく何億人かの
人たちが日本の原発の安全性について、
どう見てらっしゃるのか? それは
弁えておくべきですね。
特に、今回の志賀原発でのトランス
フォーマー(変圧器)の油漏れや使用
済み核燃料冷却プールの「水こぼれ」
のように、日本にいる日本市民の
多くも心配を隠せないでいるような事態
となると、近隣諸国がどう見ているの
かも弁えておくべきですね。
既に、アメリカのBeyond Nuclearの
Bulletinで志賀原発の問題が紹介されて
おり、この下の1月7日の投稿で紹介
済みです。

* なお、トランスフォーマーに異常が
あったということは、外部グリッド
から原発への電力供給の一部に支障が
あったということだ ・・・ それは、
原発の基礎知識がある方々なら、
すぐにお気づきになったはず。
ただ、基礎知識のない方々の中には、
「志賀原発って、停止してるんでしょ?
なんで、外からの電気がいるの??」
とか、真顔で仰る方々も
いらっしゃいます。
そうした真顔の方々のため、最近、
上の黒いメニューの終わり近くに
付録 w-15) 原発の冷却って? を
作成しました。
「外部からの電力を原発に供給する
のは、なぜ?」とか
「原発の停止中に、何を冷やすの?」
とか
お考えの方は、ぜひこの 付録 w-15)
をお読みくださいませ!

では本題に戻り、Global Times紙
ウェブサイトの記事を。

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
*********************************

住宅よりも耐震性に劣る原発って ・・・

Xu Keyue記者
2024年1月9日

先日の能登半島地震の影響で、志賀
原子力発電所(以下、志賀原発)で地震
被害を受けた設備から油漏れがあり、
その漏れた油量が当初の発表よりも
5倍も多かったことが判明した。同原発
は日本の中央部にある石川県でも特に
今回の地震の被害が激しかった地域に
立地している。これを受け、日本列島の
中でも地震の多発する地域にある原発の
安全性に関し、一般社会も原発業界
関係者も新たに疑念を強めている。

志賀原発の運営事業者である北陸電力
(Hokuriku Electric Power Company、
HEPCO)は今回漏れた油には害はなく
原発周辺の放射線レベルにも変化は
見られないと主張しているのだが、
この火曜日 <9日> に原発関係者たち
が北陸電力の信ぴょう性と透明性に
ついて疑問を呈した。なにしろ同社は
発表した内容の根拠を社会に対して
全く発表していないのだ。

さらにそうした人々は、能登地震に
よってこの原発に発生した損害は当初
の発表内容よりもひどいものであった
のではと、憂慮している。志賀原発で
福島第一原発のような災害が繰り
返されるのでは、と心配する人たち
が多い。

逃げろや逃げろ~~

今回の震央から65㎞の位置にある
志賀原発では既に、<外部グリッド
からの電力供給が> 一次的に不足
していたことや、トランスフォーマー
からの油漏れが発生していたこと、
核燃料冷却プールからの水のあふれ出
があったことも報じられている。

HEPCOの現時点での最新の発表で
ある火曜日の発表によると、
「(核発電用の)設備には、安全上の
問題を招くような損害はなかった。
さらにこの原発各所に設置されている
放射線モニター ポストの数値にも、
変化は見られていない。外部への
放射線の影響も発生していない」
だが、そうした主張の根拠となる関連
した具体的なデータを発表して
おらず、発生した問題に関する報告も
していない。

今週これまでにHEPCOは今回の地震
の影響で志賀原発の1号機と2号機
両方への外部からの電源供給に使う
トランスフォーマー <変圧器> に
損傷が発生していた。また2号機の
トランスフォーマーの1つからは
およそ3,500リットルの油が漏れ
出し、外部からの電源供給システムの
一部が作動しなくなったと、土曜日
<6日> に新華社通信は報じている。
<外部から原発への電源供給がなぜ
必要なのかについては、上の黒い
メニューにある 付録 w-15) を
お読みくださいな>

あれも、これも・・・

だが金曜日に北陸電力は、実際の
漏れた油の量が19,800リットルで
あったことを認めた。しかも、外部
からの電力供給システムを修復する
作業のタイムラインも、いまだに
不明だ。

複数の日本メディアの報道によれば、
北陸電力は漏れ出た油の回収を行って
いるという。

2号機のトランスフォーマーのうち
もう1つのものからは、およそ100
リットルの油漏れがあったとも
HEPCOは発表した。

さらに1号機の原子炉建屋周辺の
地面の沈下も報じられている。だが
HEPCOはそれによって志賀原発の
安全性に問題はないと断言
している。

それでも地元メディアの報道に
よれば、同原発の2号機のトランス
フォーマー近くで「爆発音と何かが
燃えるにおい」とがしたそうだ。
HEPCOの説明では、それは自動鎮火
システムからの音だったという。

日本の電力会社の一部には、東京電力
も含めてミスや隠蔽、偽発表の実績が
ある。そのため一般市民はそうした
電力会社への信頼を失ってしまった
ようだ。

思わぬところから出てくる~

HEPCOの主張では、漏れ出た油は絶縁
と冷却のためのもので健康や環境への
悪影響はないという。だが、その油が
放射性物質で汚染されていたのか否か、
油漏れによって原発の稼働に影響が
あり放射性物質の漏出を招く危険性が
あるのか否か、そしてHEPCOが海に
漏れ出た油をすべて回収できたのか
否かについては、いまだに明らかでは
ないと、法学教授のChang Yen-chiang
は述べている。Changはまた、大連
海事大学の黄海渤海研究所の所長
でもある。

火曜日にChangがGlobal Timesに
述べたところによると、HEPCOが
早急に海に漏れ出た油すべてを回収し
海洋環境への拡散と汚染を防止でき
ない場合には、同社は1972年の
「廃棄物その他の物の投棄による海洋
汚染の防止に関する条約」
(「ロンドン条約」という略称で
知られる)ならびに「海洋法に関する
国際連合条約」とに違反したことに
なる恐れがある。

志賀原発と福島第一原発との状況に
類似性があるとすれば、最も憂慮すべき
は志賀原発からも放射性汚染水を海洋
投棄されてしまう可能性があることだ。
その場合、汚染水が直接日本海に捨て
られることになるため、中国の海岸に
もたどり着いてしまう。日本海は半ば
周囲を陸地に囲まれているため、
開けた大洋と比べると自浄能力が
はるかに劣る。そのため汚染水が
いったん流れ込むと、放射性物質による
汚染が日本海とその周辺とでは長く
続いてしまうと、Changは語っている。
********************************

The whole world’s watching — and wondering!

いかがでしたか?「人民日報」傘下の
メディアだとはいえ、この記事の内容の
多くは日本語メディアの報道内容と
よく似ており、おかしなことは言って
いないですよね。
やはり、ソーシャル メディア (SNS)
での無責任な悪口雑言の類とは、
別に扱うべきでしょう。
日本海のような、言ってみれば「内海」
に汚染物質が流入してしまうと、浄化
に時間がかかるのも本当ですし。
(これが瀬戸内海なら、もっとヒドイ
結果になります。中国電力が上関原発
の建設を計画してますよね)
日本の原発は、これだけ世界から
危険視されているってことですね。
The whole world’s watching! という
ことを、日本の政府や財界は忘れちゃ
困ります。

背後で何か ・・・
かなり昔の私の20分クロッキー、オイルパステル

それと、これは中国政府の困った点
ですが、日本の原発には上記のような
批判を述べながら、自らは「第4世代」
原子炉の実用化に努めています。
ぺブルベッド型のHTGRを採用した
原発を建設、先日その商用稼働を始めた
模様です。山東省の石島湾原発で、
2023年12月6日に稼働を始めた
そうです。
HTGRについては、すでに2022年
10-11月に本「やかんをのせたら~~」
では紹介済みです。上の黒いメニュー
で中央よりやや上にあるページ h-0)
から h-3) をお読みくださいませ。
事故危険性やproliferation risksに
ついても、そこで指摘済みです。

それと、福島第一の大事故と今回の
志賀原発の事故との間に類似性が
あるとすれば、と上の記事にはあり
ますが、この比較からは上記とは
別に、私たち日本の反核勢力が
反省すべき点が浮かび出てくると
思います。
それについては、新しい固定ページ
e-9) 犠牲者が出ないと、反原発運動
はポシャるのか?? を
近日中に作成する予定です
しばしお待ちくださいませ。

About FrancisH

A freelance painter, copywriter, and beading artist
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