A crisis at Kursk?? (クルスクで危機?)

Beyond Nuclear Internationalウェブ
サイトより
A crisis at Kursk? | Beyond Nuclear International

2024年9月1日の記事

ロシアによる対ウクライナ戦争のため、
ロシア自身の原発の1つが脅威に
晒される結果に
筆者:Linda Pentz Gunter<Beyond
Nuclearのスタッフ>

IAEAからのクルスク原発の現状に
関する新たな発表がなかなか
見当たらない
(9月11日午前 JST) ので、
Beyond Nuclear Internationalウェブ
サイトからの関連記事を紹介します
ね。

Kursk NPP  再掲
きわめて大雑把な外観

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

**********************************
核技術の問題点として、どのような種
類の核技術なのかとは無関係に、
<核技術を適切に実現・利用するため
には> 人間が適切な、場合によっては
優れた知性による判断を下すことが
前提となる。だがその人間とは、誤りを
避けられない存在なのだ。既にチョル
ノービ原発事故で体験したように、
チョットした間違いでも破局的な結果
を招きえる。

その危険性に加え、核技術はさらに他の
人間の能力にも依存するのだが、その
第一のものが正気である。さらに、
基本的に存在すべき性質である人間への
共感というものも必要なのだが、この
共感なるものが実際には欠落してしまう
場合が多い。つまり、自分が体験したく
ないことは一切、他人にも体験させない
ということなのだが。現実には広く
個人レベルでも地政学的なレベルでも、
人は共感にかける行為を日々やらかし
ている。コンゴやガザ、ハイチ、
スーダン、その他各地で行われている
ことを見れば、すぐにわかることだ。
しかも、そうした実例はいくらでも
続く。

やっちゃったら、やり返されるものだ

そして言うまでもなく、ウクライナの
現状、さらに今ではロシアでの現状も
無視できない。同地での戦争は2022
年2月24日からいまだに続いており、
そこでは核災害の危険性がひたすら
悪化しつつあるのだ。

現時点ではそうした核災害の危険性は
ロシアに集中しており、同国の巨大な
クルスク原発がウクライナ軍からの
攻撃に晒されている。今やウクライナ
軍の部隊が侵攻を続けており、ロシア
軍によるウクライナへの侵攻に対抗
しているのだ。

だが、ウクライナにあり6基の原子炉
を擁するザポリージャ原発のことも、
忘れるわけにはいかない。もう2年
以上もロシア軍に占拠されており、
ウクライナでも特に戦闘の激しい地域
に立地している。ミサイルの誤射が
1回あれば、破局的核事故が発生
しうる。

ウクライナは電力供給のかなりの部分
を核発電に依存しており、4か所ある
原発の15基の原子炉はいずれも稼働
可能な状態にある。2023年の時点で
戦闘は核施設の周辺で戦闘が展開
されていたのだが、それでもなお
ウクライナでは同国の電力需要の
半分よりやや多くを核発電で
供給していた。

ロシアの電力事情は天然ガスへの
依存率が高く、天然ガスの輸出も
行っている。同国には原発11か所に
37基の原子炉があるが、そこから生み
出される電力はロシアの電力需要の
18%を賄うに過ぎない。

VVERとRBMK

さらにザポリージャ原発とクルスク
原発では、基本的な技術面での違いも
ある。クルスクもザポリージャと同様
6基の原子炉を有し、ロシアでも
最大級の原発3か所の1つである。
(ザポリージャはウクライナ最大の
原発であるだけでなく、ヨーロッパ
でも最大である)

だがザポリージャの6基ある原子炉が
いずれもロシア製のVVERであり、
これはアメリカや西ヨーロッパの多くで
採用されている加圧水型原子炉に近い
のに対し、クルスクの原子炉は
旧ソヴィエト製のRBMKという設計
なのだ。

このRBMKとは1986年に爆発した
チョルノービ原発の原子炉と同じもの
であり、この爆発はウクライナ、
ロシア、ベラルーシ、ヨーロッパの
多くに放射性物質をばらまき、その
汚染は多くの地域で今も残存して
いる。

しかも呆れたことに、クルスクの
RBMKには二次格納容器がない。
そのため、ザポリージャよりも戦闘
による損傷に対しては脆弱なのだ。

攻撃なんか、やってまへんでえ~~

さらにザポリージャでは6基ある原子炉
全てが完全に停止中で、メルトダウンが
あり得ないとは言えないが、発生し
にくい。それに対しクルスクでは、2基
の原子炉が今も稼働中だ。しかも
ロシアがIAEAに告げたところでは、
クルスク原発からわずか90mほどの
地点にドローンの残骸をロシアが発見
したそうだ。だが言うまでもなくウク
ライナ側は、同原発に対する攻撃を
試みたことはないと責任を否定して
いる。同様にロシアも、ザポリージャ
原発への攻撃を試みたことはないと
主張している。

IAEAのチーフであるラファエル
グロッシは当然の任務として
クルスクの現場を視察、ウクライナ
側かロシア側かを問わず 関係者
すべてに対し、原発の周辺で戦闘が
行われるということは あまりにも
不都合で恐怖を引き起こすと警告
した。IAEAでは核発電技術の安全性を
世界に知らせ、さらに安全性を高め
たいと努力を重ねているのだが。

だが幼稚園や保育園などの先生が悪戯
幼児に手を焼くように、グロッシも
できることといえば、ロシアとウク
ライナの両者に対し戦闘をやめるよう
繰り返し求めることだけのようだ。
しかしグロッシが両国に「ご褒美」を
あげられるわけではなく、実行できる
処罰もない。結果、両国はIAEAを
無視し続けることになる。

5) IAEAがやめろといっても ・・
なんの強制力があるのだ??

戦争や紛争が日々悪化、終わりなく
止めようもなき悲惨の現場と見られ
ている諸国からのニュースを見ながら、
ほとんどの人間は消されていく犠牲者
たちを見て共感を覚える。

ウクライナかロシアか、それとも他の
どこかなのかとは無関係に、ほとんど
の人間はチョルノービ大災害の再現
など望んでいない。そして核技術を
責任をもって利用するには人間の能力
に頼らねばならない。結局、核技術
とは一種の「おもちゃ」に過ぎず、
こんなものは廃絶すべきなのだ。

Linda Pentz Gunter はBeyond Nuclear
で国際問題を担当しており、Beyond
Nuclear Internationalというウェブ
サイトで執筆と編集を行っている。
今年秋にはHot Stories. Reflections
from a Radioactive World <ホット
ストーリー ― 放射性に堕した世界
より> という著作が発行される予定。
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Lord, have mercy!
私のスケッチ、都内の某教会
私のスケッチから

このHot Stories. Reflections from a
Radioactive Worldという著作、
私も読んでみたいです。販売が始まる
のが楽しみです。
英語の専門書を読める方々も、どうぞ!

About FrancisH

A freelance painter, copywriter, and beading artist
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