“Research”(研究)と言ってるけど ・・・そして、ハニートラップ

  • As I said below on March 25, I’m abolishing my beaded accessory business
    in several months. Then, I’ll remake this whole website into a new, anti-nuke
    site focused on the “historical inseparability between nuclear weapons and power”.
    The new website is to be written in Japanese since it is targeted at Japanese readers. Until then, I’ll occasionally post some articles about this inseparability
    here.
  • 下の3月25日に述べましたように、あと数か月でこのビーズ アクセサリーのビジネスは廃業します。その際、このウェブサイト全体を新たな反核サイトに作り変えます。そのフォーカスは、
    「核兵器と核発電の歴史的不可分性」にあります。
    その作り変えのときまで、時折ここに、その「不可分性」に関する記事を投稿しますね。
    ご注意: 移行期間中の記事においても、数か月先の新ウェブサイトにおいても、あれこれ
    英語のウェブサイトや書籍からの引用をしますが、その日本語訳は致しません。
    私は翻訳者ではないので、正確な翻訳などできないからです。それと、著作権所有者に無断で翻訳・発表をすると、著作権法上の法律問題も発生してしまいます。できるかぎり、皆様も引用元の原文をお読みくださいね。
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    今度は、そのイスラエルが「隠し持っている」と見られる核兵器製造施設のお話です。
    同国が出来たのは1948年のことですが、その前後から核武装を目論む人たちが暗躍していたそうです。現時点(2020年4月)で40歳代以上の方々であれば、1991年の湾岸戦争のことを覚えてらっしゃるでしょう。アメリカが中心となった同盟軍がイラクを攻撃、イラクが占領していたクウェートから撤退させた戦争でしたね。
    そのとき、イラクのサダム フセインがスカッドというミサイルを、イスラエルめがけて発射させました。アラブ諸国をアメリカとの同盟軍から寝返らせ、イラクと共にイスラエルを攻撃させようとしたのでしょうね。スカッドの攻撃を受けたイスラエル軍は、爆撃機をいったん出発させました ・・・それを聞いて、背筋に悪寒が走ったのは、私だけではなかったはず。なにしろ、イスラエルは核兵器を保有しているというのが、すでに「公然の秘密」になっていましたから。で、Tom Zoellner, “Uranium” (Viking, 2009) という書物が出ており、おそらく今でもAmazon (USA) から入手できると思います。本文320ページ程度で一般向けに分かりやすく書かれており、ウラニウムに関する各種の歴史上の出来事を一通り紹介してくれています。英語の書物を読みなれている皆様で、そうした出来事の入門書をお探しの方にはお勧めです。で、同書の103ページから113ページの記載を、以下にかいつまんで紹介しますね。

    建国の前後

    既にその頃、今のイスラエルのネゲブ砂漠に少量のウラニウム鉱が見つかっており、それを重水型原子炉(後日、説明します)で反応させれば、原爆の材料ができる~~ということを、イスラエルの初代大統領ベン グリオンが耳にしたそうです。かくして、イスラエル版のマンハッタン プロジェクトが始まります。その施設は、「合成肥料工場」だとされていました。

    「スエズ動乱」直後

    そのプロジェクトが本格的に進んだのは、1957年からのこと。フランスは最初の原爆実験を1960年に実施していますから、57年には原爆技術も材料もそれ相応に持っていたはずです。
    そのフランスからの援助を受けてネゲブ砂漠に地下施設ができ、「繊維工場」だとされていたそうです。フランスはさらに、ウラン鉱石を生成したもの、つまりイエローケーキも供給していた模様です。1956年の「スエズ動乱」(第二次中東戦争)でフランスとエジプトの関係がこじれ、フランスは中東に友達が欲しかったようですね。

    U-2から見ると、「怪しい」

    この「地下繊維工場」の周辺では、おかしな地殻の動きが検知されていました。CIA は1960年当時、U-2というスパイ偵察機を世界中で飛ばせていたのですが、それが検知したそうです。しかもその近くの動きのパターンが、フランスのプルトニウム工場「マルクール」(Marcoule)周辺での動きに似ていたのです。(なお、マルクールでは炭酸ガス冷却の黒鉛炉や、トリチウム(水爆の材料として、よく使われます)製造用原子炉が稼働していました)

    「内部告発ヒーロー」の登場

    もう上記だけで、「かなり怪しい」ですよね?しかし、イスラエル政府は「無理な白を切りとおして」いたのですが、1986年、ついにネゲブ砂漠の当の施設にいた人物が、内部告発に踏み切りました。Mordechai Vanunu(モルデカイ ヴァヌーヌ)という技術者でした。
    彼はもともと、イスラエルの愛国者でユダヤ教徒だったのですが、自国の政策に嫌疑を抱くようになり、世界を旅するうちにキリスト教に改宗しています。(ユダヤ教から見れば、裏切り行為)
    そのモルデカイさんがネゲブの施設の盗撮写真を撮り、施設の詳細情報を英国のSunday Times という新聞社に密告したのです。同社は、核兵器や発電の専門家たちに、密告内容を確認してもらっていました。

    ハニートラップ

    その確認作業の間、Cindy という若い女性がモルデカイさんに近づき、二人は急速に仲良くなったそうです。デートを重ねるうちに、Cindy はモルデカイさんをローマ旅行に誘いました。
    ローマのアパートに彼が入ると、待ち構えていた2名の男(モサドのエージェント)につかまり、薬剤を注射され、テルアビブに輸送されてしまったそうです。Cindy もモサドのエージェントだったのですね。教科書的な「ハニートラップ」でした。
    あわれ、モルデカイさんは国家への裏切り行為で18年間の投獄に処されました。

    Sunday Times のほうは??10月5日号に、Revealed: The secrets of Israel’s Nuclear Arsenal(暴露: イスラエルの秘密核兵器)というヘッドラインの記事を掲載しました。

    それでも白を切る

    ここまで来たら、核兵器開発を認めそうなものですが、イスラエル政府はなお、白を切り続けました。それについて、次回。

    このモルデカイさんの内部告発に関しては、たとえば英国のBBCがドキュメンタリーを放送しており、YouTubeでもご覧になれます。
    Nuclear Secrets 4 of 5 Vanunu and the bomb という番組で、
    https://www.youtube.com/watch?v=aO9n0gXYkpw
    にございます。もちろん、英語です。日本語字幕など、ありません。
    日本の反核団体などがBBCと交渉して、日本語字幕を付けたものを
    YouTubeなどにアップロードしてみては、と思うのですけどね。

 

About FrancisH

A freelance painter, copywriter, and beading artist
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