皆様もお聞きになってらっしゃると思いますが、中国南部の広東省、香港の西にあるタイシャン(泰山または台山)原発で、放射性物質を含む気体の漏れがあったという報道が、アメリカのCNNから流れています。
発信ソースがもともとCNNだけで、他社の報道はCNN情報をもとにしているので、異なる報道を比較検討することができません。
とにかくCNNの報道内容を見ると、
(タイシャン原発はフランスのFramatomeと中国のパートナーとが共同で運営しているのだが) そのFramatomeがアメリカ政府に6月8日、同原発での放射性物質の漏れが疑われると報告したそうです。中国の原子力安全管理当局は、同原発での安全基準を緩和し続けて稼働停止を回避していると、同社は主張しています。
アメリカ政府は今のところ、タイシャンの状況はまだ危機的レベルには達していないと述べている、とのことです。
そんなわけで、JCPOA再建交渉の話題はいったん中断して、そのCNNの記事そのものを見てまいりますね。
China nuclear plant: US assessing reported leak at facility in Taishan, Guangdong – CNNPolitics
(中国南部の泰山原発で放射能漏れか?通報をアメリカ政府が検討中)
CNN報道、6月14日
CNNの情報提供者は、Kylie Atwood, Kristen Holmes, Yong Xiong and Shanshan Wang
(記事本文、長いので途中まで)
(CNN) The US government has spent the past week assessing a report of a leak at a Chinese nuclear power plant, after a French company that part owns and helps operate it warned of an “imminent radiological threat,” according to US officials and documents reviewed by CNN.
The warning included an accusation that the Chinese safety authority was raising the acceptable limits for radiation detection outside the Taishan Nuclear Power Plant in Guangdong province in order to avoid having to shut it down, according to a letter from the French company to the US Department of Energy obtained by CNN.
Despite the alarming notification from Framatome, the French company, the Biden administration believes the facility is not yet at a “crisis level,” one of the sources said.
While US officials have deemed the situation does not currently pose a severe safety threat to workers at the plant or Chinese public, it is unusual that a foreign company would unilaterally reach out to the American government for help when its Chinese state-owned partner is yet to acknowledge a problem exists. The scenario could put the US in a complicated situation should the leak continue or become more severe without being fixed.
However, concern was significant enough that the National Security Council held multiple meetings last week as they monitored the situation, including two at the deputy level and another gathering at the assistant secretary level on Friday, which was led by NSC Senior Director for China Laura Rosenberger and Senior Director for Arms Control Mallory Stewart, according to US officials.
The Biden administration has discussed the situation with the French government and their own experts at the Department of Energy, sources said. The US has also been in contact with the Chinese government, US officials said, though the extent of that contact is unclear.
The US government declined to explain the assessment but officials at the NSC, State Department and the Department of Energy insisted that if there were any risk to the Chinese public, the US would be required to make it known under current treaties related to nuclear accidents.
Framatome had reached out to the US in order to obtain a waiver that would allow them to share American technical assistance in order to resolve the issue at the Chinese plant. There are only two reasons why this waiver would be granted, and one is an “imminent radiological threat,” the same verbiage used in the June 8 memo.
The memo claims the Chinese limit was increased to exceed French standards, yet it remains unclear how that compares to US limits.
“It is not surprising that the French would reach out,” according to Cheryl Rofer, a nuclear scientist who retired from Los Alamos National Laboratory in 2001. “In general, this sort of thing is not extraordinary, particularly if they think the country they are contacting has some special ability to help.”
“But China likes to project that everything is just fine, all the time,” she added.
(今回は、ここまでにしておきますね。今後もし新たな報道などが見当たらなければ、記事の後続部分も紹介していきます)
(私による日本語化)
(CNN) CNNがレビューした、アメリカ政府高官たちとその関連文書によれば、中国の原発を共同所有しその稼働を支援しているフランスの企業が「逼迫した放射線脅威」に関する警告を発し、それを受けてアメリカ政府は先週、その放射性物質漏れ報告を検討した。
そのフランス企業がアメリカ政府のエネルギー省に提出した書簡をCNNは入手しているが、その書簡によれば警告内容の一部として、中国の安全管理当局が広東省にあるタイシャン原発外部での検出放射線の許容限度を引き上げて原発の稼働停止を回避していると非難している。
そのフランス企業つまりFramatomeからの警告にも関わらず、バイデン政権は同原発がまだ「危機的レベル」には達していないと、関連情報筋の1つは述べている。
アメリカ政府高官たちは今のところ、同原発の従業員や周辺住民を深刻な安全面での脅威にさらすような状況には至っていないと見ているが、Framatomeと共同で同原発の運営に当たっている中国国営企業は、放射性物質漏れの問題が存在することをまだ認めていない。そうした中、アメリカ企業ではないFramatomeがアメリカ政府に一方的に警告を知らせてきたというのは、尋常な行為ではない。こうした状況にあって、放射性物質漏れが続く、あるいは対応ができず悪化した場合には、アメリカは面倒な立場に追いやられる恐れがある。
だがこの警告は充分に現実的なもので、アメリカ政府高官たちによれば、アメリカの国家安全保障会議(NSC)は先週幾度も会合を開き、問題の現状を監視した。代理レベルの会合が2回、さらに金曜日には次官レベルの会議が持たれた。金曜日の会議の指揮を執ったのは、NSCの中国担当上級ディレクターであるLaura Rosenberger と軍縮担当上級ディレクターのMallory Stewartであった。
アメリカのエネルギー省の情報筋によれば、バイデン政権はこの問題について、フランス政府ならびにエネルギー省の専門家たちと相談している。さらにアメリカ政府は中国当局とも連絡を取っていると米高官たちは述べているが、その連絡がどの程度のものかについては明確ではない。
アメリカ政府はその検討の詳細を説明していないが、NSCや国務省、エネルギー省の高官たちが断言するところによれば、中国の一般市民に何らかのリスクが生じた場合には、原子力災害に関する現存の条約の下でアメリカ政府にはそのリスクを公表する義務を負う。
Framatomeがアメリカ政府に警告を伝えたのは、中国の同原発での問題を解消するためにアメリカの技術支援を得るための許可を求めてのことであった。この許可が認められるのは、2つの場合に限られる。その1つとは「逼迫した放射線の脅威」であり、6月8日付の(警告を伝える)メモにも同じ言葉遣いが見られる。
そのメモによれば、中国の放射線許容上限はフランスの基準を超えて引き上げられているそうだが、それがアメリカの上限と比べてどうなのかは、いまだ不明である。
2001年にロス アラモス国営研究所を退任した核科学者Cheryl Roferによれば、「フランス企業がアメリカに働きかけてきたのは、驚くに当たらない。一般に、この種の問題は珍しいことではなく、連絡相手の国に特殊な支援能力があるとみなされている場合には、特にそうだ」
「ただし中国はいつも、万事正常だという取り繕いをしたがる」とも、Roferは語った。
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1986年のチェルノブイリの時もそうでしたが、かなりの放射性物質が漏出しているのに、その国の政府が隠ぺいに努めてしまう場合もありますよね。あのときには、
スウェーデンで放射線の急増が観測されて、ばれたのでした。
今回は、隠ぺいが行われていないことを願います!
では、次回は本件に関する報道記事の様子を見て、本件をさらに続けるか、
それともJCPOA交渉の話題に戻るかを決めますね。