タイシャン原発で放射性物質が漏れだしたというCNN報道について、
やはり他の報道機関からの記事もあれこれ出回るようになりましたね。
今回はそうした報道の中から、BBCの記事を紹介します。
日本時間では、6月16日深夜の発表です。
Taishan nuclear plant: China admits damage to fuel rods – BBC News
(タイシャン原発: 中国政府、燃料棒の損傷を認める)
(記事本文)
The Chinese government has acknowledged damage to fuel rods at a nuclear power plant in the south of the country, but said no radioactivity had leaked.
China’s Ministry of Ecology and Environment said the problem was “common” with no need for concern.
The admission comes after CNN reported that the US government was assessing a reported leak at the facility.
The French energy firm which helps operate the plant in Guangdong province earlier reported a “performance issue”.
On Monday, a spokesperson for EDF Energy said a problem with fuel rods had led to the build-up of gases, which had to be released into the atmosphere.
In its report, CNN said the company had warned the US government that China’s nuclear regulator had raised limits on permissible levels of radiation outside the plant to avoid shutting it down.
But in a statement on Wednesday, China’s environment ministry said this report was not true.
The statement – its first official confirmation of the incident – said while the regulator, the National Nuclear Safety Administration (NNSA), had reviewed the use of noble gases in a reactor, this had “nothing to do with the detection of radiation outside the nuclear plant”.
(中略)
An increase in radiation levels was detected in Taishan’s Unit 1 reactor, but this was within the parameters for safe operations, the ministry said.
The ministry said the increase was caused by damage to the cladding of a small number of fuel rods. Fuel rods are sealed metal tubes which hold nuclear materials used to fuel the nuclear reactor.
Of the 60,000 fuel rods in the reactor, the damaged ones accounted for “less than 0.01 percent”, the ministry said.
Its statement said “fuel-rod damage during the operation of nuclear power plants is unavoidable” and “a common phenomenon”.
The Taishan plant provides power for the Guangzhou and Shenzhen areas, both major manufacturing hubs.
China has dozens of nuclear plants and has invested billions of dollars to develop its atomic energy sector.
(私による日本語化)
中国南部にある(タイシャン)原発で燃料棒に損傷があったことを、中国政府は認めた。だが、放射性物質の漏れはないと主張している。
中華人民共和国生態環境部によれば、今回の問題は「普通に」みられるもので、心配する必要はない。
中国政府が燃料棒の損傷を認めたのは、同原発で放射性物質の漏れがあり、それをアメリカ政府が調査しているとCNNが報道したことを受けてのことだ。
広東省にある同原発の運営に協力しているフランスのエネルギー企業(EDF系列のFramatomeという企業)が先に、「パフォーマンスの問題」を報告していた。
今週月曜、EDF エネルギーのスポークスマンが、燃料棒に問題が発生して放射性ガスが蓄積し、大気中に放出されたと述べていた。
CNNの記事によれば、 Framatomeがアメリカ政府に対し、中国の規制当局が同原発周辺での許容最大放射線量を引き上げ、同原発の稼働を停止させる必要がないようにしたとの警告を出していた。
だが中国の環境部がこの水曜日に発表したところによれば、その報道は誤りだったという。
その発表は、中国政府が初めて公式に今回の事故の発生を認めたものだが、それによると規制当局である中国の国家核安全局(NNSA)が(同原発の)ある原子炉での希ガスの使用状況を調査したのだが、その結果「同原発外部での放射線検出とは何の関係もない」ことが判明したとしている。
(中略)
確かにタイシャン原発の1号炉で放射線レベルの増大が検出されたのだが、安全な稼働のパラメーター以下のものであったと中国環境部は述べている。
同環境部によれば、この放射線レベルの増大を招いたのは少数の燃料棒の被覆に損傷が発生したためである。核燃料棒は金属製のチューブの中に密閉されており、原子炉のエネルギー源となる物質はそのチューブ内部に封じ込まれている。
問題になっている原子炉には60,000本の燃料棒があるが、今回の損傷が発生した燃料棒はそのうちの「0.01%未満」にすぎないと同環境部は主張している。
タイシャン原発は広東と深センの両地域に対して電力を供給しており、ともに重要な工業地帯である。
中国には数十基の原発があり、原子エネルギー部門の発展のために、数十億ドルを今までに投資している。
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実際は、現場ではどうなっているんでしょうね?
・ チェルノブイリの時も、当時のソビエト政府などが大事故を認める前に、
スウェーデンの観測者が放射線の急上昇を発見して世界に発表、
そのためさすがの旧ソビエト政府も事故を認めざるを得なくなったのでした。
・ 日本での福島第一メルトダウンの場合にも、水素爆発などで
原子炉建屋がぶっ壊れている様子が報道されても、一部の「御用学者」たちが
なお「まだ、メルトダウンには至っていないのでは・・・」などと
宣うてらっしゃいましたよね。当然、日本政府はメルトダウンという事実を
なかなか認めませんでした。
要するに、核(兵器も、発電も)については事実がなかなか明らかにされない、
という深刻な問題が洋の東西を問わずあるわけです。
では、しばらくタイシャン原発とJCPOA再建交渉の両方に目を配りながら、
いずれかの新しい報道記事を紹介してまいりますね。