アメリカの新型プルトニウム ピット製造の件、続き

アメリカによる新型プルトニウム ピット(プルトニウム型原爆の中核装置)の開発・製造についての訴訟があり、それに関するリリースを紹介しておりますが、長いので前半を前回紹介しました。今日は、残る後半を私の日本語化で。
リリース本文は、South Carolina Environmental Law Project というサウス カロライナ州の自然環境やコミュニティを守ろうとする法律関係のグループ(1987年結成)によるもので、
Lawsuit Filed Against Biden Administration Over Nuclear Bomb Core Production Plans (scelp.org)
(原爆のコア装置製造計画に関し、バイデン政権を相手取った提訴)
でお読みになれます。
2021年6月29日付のリリースです。

"A National Flag" -- 私の油彩画、1989年

どちらが勝っても、結局は…         私の油彩画、1989年

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(私による日本語化、続き)
「最近あった出来事から、この両政府機関が、この提唱されている計画に伴う費用と所要時間とを大幅に過小評価していたことが明白だ。そのため、本訴訟はさらに適切なタイミングで提訴されたことになる」と、サウス カリフォルニア環境法プロジェクトのスタッフ弁護士であるLeslie Lenhardtは語る。
「今までに実施された国家環境政策法(NEPA)に基づく分析はいずれも旧式のものであり、2008年以降に発生している大きな状況の変化を検討に入れていないということを示す証拠が圧倒的だ。NNSAがこうした環境面のレビューを精査して欠陥を修正し、DOEの各施設全体をカバーするピット製造の影響に対して計画的で透徹した環境情報システム(EIS)を実施することが必須だ」

ニュークリア ウォッチ ニュー メキシコのエグゼクティブ ディレクター、Jay Coghlanのコメント:
NNSAは今までに4回プルトニウム ピットという原爆中核部の装置の増産を試みているが、圧倒的な市民からの反対のためいずれも失敗している。今ではNNSA は一般市民を締め出し、この新型核兵器の設計が賛否の議論を呼んでいるにもかかわらず、そのためのピット製造のレビューを全米規模で実施することを拒否している。我々が今回の提訴に踏み切ったのは、新たな核軍拡競争に何千億ドルもの税金が浪費されることに対し、もの申す市民の法的権利を 行使しているのだ」

サウス カロライナ州コロンビアのサヴァンナ リヴァー サイト ウォッチでディレクターを務めるTom Clementsの発言:
「不必要な核爆弾の増産を目指すDOEの拙速な計画立案のため、すでにSRSのプルトニウム型原爆工場では膨大な経費の膨張と大幅な計画実施の遅れとを招いている。コスト増大も遅延もさらに悪化する見込みだが、DOEは無理な計画を強行してプルトニウム ピットの製造を増大して新たな核軍拡競争という危険に大きく貢献する前に、まず立ち止まって環境関連法の順守に努めるべきだ」

カリフォルニア州リヴァモアのトライヴァレーCAREで活動するMarylia Kelleyによる非難:
NNSAはそのピット製造計画を計画的にレビューすることを拒否しているが、これは理に適った代替策の検討を避けるためだ。たとえば、ローレンス リヴァモア国立研究所(LLNL)によるW87-1の設計のため、スケジュールもタイトになり、ピット増産の必要性も増した。その核弾頭は新型の設計だが、わざわざ意図的に選択した特徴を備えている。その設計とは別の設計を選ぶ選択もあり、それを採用すればピットを増産せずとも必要な核武装を賄える。NNSAは、一般市民が 代替案について発言する権利を無視している。だが製造施設の近隣にあるコミュニティに暮らす我々は、そうした無視の矛先を向けられることになる。事故や漏れ、漏洩、放射線への被ばく、プルトニウム廃棄物の製造や輸送のため被害にあうのは、作業員や一般市民なのだ」

グラー・ジーチー海島しょ連合の創設者でありグラー・ジーチー国(2000年7月にノース カロライナからフロリダの沿岸部で独立を宣言した国家。アフリカ系の方々や先住民の方々が多い)のチーフにして国家元首でもあるQueen Quetの発言:
グラー・ジーチー国はサヴァンナ リヴァー サイトがさらに劣化していくのではと、憂慮している。この施設での活動のため、廃棄物などが推計に侵入し、結果としてグラー・ジーチー国にも入ってくる恐れがある。それだけではなく、プルトニウム製造からの汚染物質が文字通り人々の体内にまで入り込むのではないかと恐れている。サウス カロライナの人たちはプルトニウムよりも貴重であり、政府機関に対抗するためにエネルギーを使わねばならないのは、嘆かわしい。我々は自分のコミュニティを守らねばならず、それがベストに実現できるのは、土地のどのような使用に対しても、そのプロセスが透明である場合だ。土地と環境をどうするのかについては、一般市民が充分に決定に参加できるべきで、それはそうした結果が我々の生活の質に逆戻りできない影響を及ぼすためだ。今回のピット増産に関する提案が環境と我々自身、また我々の環境に及ぼす影響について、我々は真実を探ろうとしているのだ」

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核武装拡大に取り組んでいるのは中国だけではなく、アメリカも新型プルトニウム核弾頭の開発・製造に躍起のようですね。世界はまた、核軍拡競争の時代に入ってしまったようです ・・・
「核発電」反対陣営と「核兵器」反対陣営とに分かれている余裕は、ありませんね。両者の不可分性を認識・情報発信して、力を合わせて「核」廃絶に世界を向かわせないと。

 

About FrancisH

A freelance painter, copywriter, and beading artist
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