パキスタンの核兵器がアフガニスタンに入り込む危険性、他の論者の指摘 2

そのタリバンが核兵器を入手する危険性を指摘するBolton氏の主張、後半を紹介しますね。

The Washington Post, 2021年8月23日
John R. Boltonによる主張
元の記事は、以下のリンク先に。

Opinion | John Bolton: Kabul’s fall poses a risk that Pakistani extremists will increase their influence in Islamabad – The Washington Post

(私による日本語化)
そうした危険を考えるなら、アフガニスタンにはアメリカ軍とNATO軍の駐在を続けるべきであったという理由として、充分だ。駐在を続けていれば、この国での新たなテロリストの発生する危険を監視するだけでなく、パキスタンとイランの国境の動向の監視も続けることができたはずだ。トランプとバイデン両政権は遺憾にも、撤退方針を採用したため、そうした保険となる施策をやめにしてしまったのだ。

消防隊の中に混じって~~

消防隊の中に混じって~~

冷戦時代のソヴィエト軍との争いから、アメリカ2001年の9/11テロ以来の行動に至るまで、パキスタンとアメリカの強力は不可欠だった。それがあれば、アメリカ政府はパキスタン政府の核政策やテロリスト支援政策に対し、激しい批判を投げかけることもできたはずだ。今ではアフガニスタンはタリバンの手に落ち、アメリカは今まで程にはパキスタン政府の善意やロジスティクス支援を必要としない。もちろん予想不可能な要因が膨大にあるが、パキスタンの各能力を考えるなら、パキスタン政府が今後もタリバンその他のテロ集団の支援を続けるようであれば、アメリカはパキスタンに対して強く当たらねばならない。放火魔と消防隊員の両方で構成されている政府は、世界でもパキスタンだけだと言われてきている。消防隊員たちは活動を強化しないといけない。パキスタン市民たちに、近年の同国政府によるテロリスト支援政策によってパキスタンの安全保障が劣化したのであって、強化されたのではないことを説得せねばならない。

パキスタンがタリバンへの支援をやめたという明確な証拠が見当たらない現在、アメリカもパキスタン政府に対する援助を中止すべきだ。また、パキスタンを「NATO以外の同盟国」のリストから外すべきだ。テロに対抗するための制裁を強化するなど、やるべきことはまだある。また、インドにさらに接近するべきである。

彼らが作って、誰かが買っていった

彼らが作って、誰かが買っていった

最重要課題として、パキスタンが保有している核兵器や兵器製造施設に最大限の視線を注ぐべきだ。将来、パキスタンにテロリスト政権が誕生した場合(あるいは、現存の政権であっても、もしくは似たような姿勢の後継政権が登場したとしても)、テロリストに核開発能力を手渡そうとする気配が見られたなら、それを防止する手を打たねばならない。これは大変な苦渋に満ちた選択ではあるが、核兵器がテロリストの手にわたるなら、結果はもっと悲惨なものとなる。中国は長年パキスタンの核兵器開発活動に強大な支援を行ってきており、同国の核兵器が悪用された場合には、中国も責任を問われる。アメリカの意図と真剣さとを、中国に知らしめねばならない。

バイデン大統領は、そうした必要な手を打つだけの覚悟を決めているのだろうか?おそらく、そうではあるまい。George Packerが最近発表したRichard Holbrookeという、アメリカ政府の外交官でアフガニスタンとパキスタンに対する特命代表を務めた人物の伝記を見ると、オバマ政権時代にアフガニスタン問題に関してホワイトハウスの危機管理室で開かれたミーティングにおいてHolbrookeが記したノートからの引用が見つかる。Packerの著作によれば、そうしたノートにはHolbrookeによる個人の感想が挿入されている。たとえば、こうだ。「ジョー バイデン副大統領によれば、パキスタンの利害はいずれも、アメリカの利害ででもあったそうだ  ・・・ はあ!?」  この発言の時点ですでに、このバイデンの発言は誤りであったし、今ではもはや、危険な誤りだ。Holbrookeは的確で、短い言葉ながらも多くを語っていた。バイデンが認識を変えたことを願おう。

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NATO軍の駐在を続けるべきだった、といったBolton氏の主張については、読者の皆様もご意見が分かれると思います。(あくまで彼の主張の紹介であって、私フランシスがそれをすべて肯定しているわけじゃないことには、ご注意くださいね)

ただ、パキスタンの核兵器が同国やアフガニスタンの武装勢力の手に渡ってしまう危険性をBolton氏のような専門家が指摘しているという点で、軽視できない主張ですよね。

さらに、たとえばISIS(日本のメディアは「イスラム国」と呼んでますが、パキスタンのISIと混同しないでね) は、少なくても2014年までには日本にも上陸していたようですし。
イスラム国、大学生が参加を計画 「勤務地:シリア」アキバの古書店に怪しげな求人 | ハフポスト (huffingtonpost.jp)

 

 

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