Beyond Nuclear Bulletinの2023年3月23日号より
Growing Coalition Urges Energy Secretary to Again Deny Palisades “Zombie” Reactor Massive Bailout for Operational Restart – Beyond Nuclear
でもお読みになれます。英語の長いレポートを
読める方々は、ぜひ原文をお読みください。
Beyond NuclearのBulletinに
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をご覧ください。
そのBulletinから・・・
ゾンビ原発を最近買い取った企業が、その
稼働を再開したくて、必要資金の公費からの
拠出を申請した ⇒ ところが、大小の環境
団体や個人が連名で、州知事あてに
申請を却下するよう求めた
⇒ 申請は却下へ
という、アメリカ・ミシガン州での出来事です。
日本の反核勢力も見習いたいものですね。
では、いつもどおり
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
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<五大湖の1つ、ミシガン湖に面した場所
にある> パリセイズ原発 (Palisades
Nuclear Generating Station) の老朽化
しすぎた <1971年に稼働開始!>
「ゾンビ原子炉」 に巨額の公金を注ぎ
込んで再稼働させてほしいとの申請が幾度
か、<2022年5月以降今まで、同原発の
所有者であるHoltec Internationalという
企業から、アメリカのエネルギー省長官に
対して> あった。だが多数の団体が連帯
しての公金注入反対があり、結局この公金
注入はまたもや拒否された。
March 22, 2023年3月22日
BEYOND NUCLEAR発信のニュース
緊急発表用リリース
環境諸団体が協力、エネルギー省の
グランホルム長官に働きかけ、パリセイズ
原発の原子炉に巨額の公金を注入
<して再稼働> しようという目論見を再度
却下
老朽化がひどく危険な原子炉の再稼働する
なら、関連法令への違反となり、健康や安全、
環境にも有害、余計な出費でもあると、
環境諸団体が連帯で警告
ミシガン州コヴァ―ト タウンシップ (Covert
Township) ならびにワシントン DC発、
2023年3月22日
本日、185の団体と191名の個人が連名
でエネルギー長官ジェニファー
グランホルム (Jennifer Granholm) 宛に
書簡を提出した。ミシガン州の南西部、
ミシガン湖岸のヴァン ビューレン郡は
サウス ヘイヴンにあるパリセイズ原発の
原子炉だ。すでに廃炉になったはずのこの
原子炉なのだが、所有企業Holtec
International社は12億ドルもの公金の
注入を申請、この原子炉を再稼働させたい
と申請していた。すでに二度、この申請が
ありいずれも却下されていたのだが、今回
で3回目の申請となる。今回の書簡は、
それを再度却下するよう求めるものだ。
この書簡の連名署名者として、75名の
メンバーからなるWisconsin Network for
Peace and Justice (平和と正義を求める
ウィズコンシン ネットワーク) もあり、その
本部はパリセイズ原発からミシガン湖を
挟んだ対岸にある。この湖は、4つの州に
暮らす何百万人もの市民たちの飲用水源
でもある。他に、ニューメキシコ州の
Multicultural Alliance for a Safe
Environment (安全な環境を求める多文化
連合、MASE) というメンバーが5名の団体
も署名している。<ニューメキシコ州では
先住民の土地でウラニウム採鉱が行われて
いたが、> その過去・現在・未来にわたる
影響などを憂慮したものだ。例として、申請
されているパリセイズ原発の2031年または
それ以降までの稼働延長が認められた場合
には、その分の核燃料も必要となる。
<したがって、ウラニウム鉱山周辺の原住民
に、さらに影響が出る>
今回の連名書簡 <Demand letter re Palisades – Demand letter 3 re Palisades.pdf (beyondnuclear.org)> が指摘している問題
点として、パリセイズ原発はアメリカ
エネルギー省(DOE) のCivil Nuclear Credit
(民生用核信託、CNC) というプログラムが
適用される対象にはなりえない。適用を
受けるための基準いくつかを満たしておらず
そうした基準はInfrastructure Investment
and Jobs Act (インフラストラクチャー投資と
職務法、IIJA) に明確に規定されている。
この法は、Bipartisan Infrastructure Law
(民主・共和両党連名のインフラ法) とも
呼ばれている。そうした指摘されている問題
点として、パリセイズ原発は稼働可能な
状態ではなく、市場競争の中になく、その他
多数の要件も満たしていない。
ことによると健康や安全、セキュリティ、
環境関連での最重要問題として、パリセイズ
原発は老朽化による劣化そして安全に欠かせ
ないシステムや構造物、コンポーネントの
メインテナンスを無視してきたことに関連して、
慢性・急性両種の問題が無数に発生して
いる。その1つとして、原子炉の圧力容器は
中性子脆化がひどく、アメリカ国内の原子炉
としては最悪、ことによると世界的にも最悪
である恐れもある。加圧熱衝撃で壁面を貫く
亀裂が発生するリスクがあり、そうなれば
炉心のメルトダウンに至る危険さえある。
しかもそれ以外にもメルトダウン破局に至る
危険性が存在、原子炉の蓋や蒸気発生器
にも問題があり、これらは最低でも17年前
に交換しておくべきだった。パリセイズの
制御棒駆動メカニズムの漏出防止密閉部は
原子炉業界の中でも他に類を見ないほど
ひどく痛んでおり、それが50年以上も
続いている。こうした無数の問題に加え、
Holtec社は重要なメインテナンスを怠って
おり、たとえばターボ発電装置はその膨大な
自重のために折れ曲がっており、蒸気発生
器も問題があるのだが、これらは数ある問題
のうちわずか2例に過ぎない。
「最近、エネルギー省 (DOE) では
「ガイダンス」 を改訂、これは具体的に
Holtecが連邦政府からの公金ファンド
12億ドルを申請できるようにするための
改訂だった。こんな改訂は、<上述の>
IIJAに照らし合わせれば非合法だ」 そう
語るのは、オハイオ州トレドの弁護士Terry
Lodgeだ。今回の連名書簡を指導した団体
であるBeyond Nuclear ならびに Don’t
Waste Michigan (ミシガンをダメにするな)
の法務顧問を務めている。
さらにHoltecは最近、Inflation Reduction
Act (インフレ軽減法) を根拠とする、連邦
の公金からの10億ドルもの資金拠出を
DOEに対し求めた。Holtecはその資金を
この原子炉の再稼働計画につぎ込み、
上述のCNCプログラムでの公金拠出に
よって時間をかけて返済するつもりだ。
Holtecはさらにミシガン州政府からも
10億ドルを超える補助金を求め、しかも
同地域のある送電企業 (その名称は非公開)
と、電力購入契約を締結しようとしているの
だが、それが市場相場料金を上回る
「おいしい」 契約なのだ。それらに加え、
Holtec はDOEに対し、74億ドルもの連邦
核ローン保証の申請もしている。これは、
2005年のEnergy Policy Act (エネルギー
政策法) に基づく保証で、2007年12月
23日に議会で承認された法だ。小型
モジュール炉 (SMR) の設計認証、建設、
稼働に対して、資金が交付される。
パリセイズ原発の敷地には、2基以上の
SMRを建設する計画がある。<SMRに
ついては、上の黒いメニューでページ s-0)
から s-4) を参照。メニュー内の項目は、
基本的にアルファベット順>
「これは電気使用者と納税者の支払った金銭
100億ドル以上をつぎ込んで、ミシガン湖岸
で放射性物質のロシアン ルーレットという
危険で異常なゲームをやらかそうという
ものだ」 そう述べるのは、Beyond Nuclear
の放射性廃棄物の専門家Kevin Kamps
だ。彼はDon’t Waste Michiganの理事の
一人でもあり、自らのホームタウン
Kalamazoo地区を代表している。
Kampsによれば、「もしHoltecの申請が
通るなら、パリセイズ原発では各種リスクの
中でも両極端が併存してしまう。つまり、
既存の老朽原子炉の劣化はさらに進み、
その一方で新設原子炉に特有の開始期間の
リスクも同時に存在してしまう。最悪の場合、
チョルノービ級の破局が発生してしまう恐れ
すらある。あるいは、福島第一で見られた
ような、ドミノ効果による多発メルトダウンも
あり得る」
グランホルム エネルギー長官は、以前には
ミシガン州の知事と司法長官も務めていた。
そのグランホルムに対し、2023年1月
23日と前年の9月22日に、同じような連名
の書簡が提出された。(今回と同様、連盟の
書簡がミシガン州知事グレッチェン
フィトマー (Gretchen Whitmer) に対し
2022年6月8日に提出されている。同
知事に対し、「ゾンビ原子炉」 への公金
拠出とパリセイズ原発再稼働は公金の
無駄遣いにして危険な愚行であるので、
考え直しやめていただくよう求めるものだ)
こうしたDOE宛の連名書簡はどちらも、
Holtecによる最初の公金拠出申請に対する
反対も表明していた。この拠出申請は
2022年7月5日に秘かに提出されていた
もので、これはHoltecがパリセイズの
所有権を手に入れてから1週間以上後の
ことであった。<同原発は、2022年6月に
以前の所有企業からHoltecに売却され
ました> しかも、同原発を廃炉にするという
虚偽の主張の下での売買であった。当初は
Holtecもグレッチェン フィトマー知事も、
合同での公金拠出と再稼働計画とを公に
発表していた。2022年9月9日のことだ。
もっとも、フィトマー知事はそれ以前、2022年
4月からこの公金拠出と再稼働を進めていた
のだが。しかしDOEは同年11月18日に、
パリセイズへの公金拠出を却下しており、
それを同日Holtecも公表していた。
だが同年の12月19日になって、Holtec
は再度DOEに対しCNCによる公金拠出
を申請すると発表した。資金調達割り
当ての、第2ラウンドということであった。
DOEでは2023年3月初めにCNCガイド
ラインを改訂しており、これはパリセイズ
への公金拠出の承認をしやすくするために
改訂されたものであった。その改訂内容は、
IIJAの多数ある認可基準に明白に違反
するものであったのだが。
この老朽原子炉に対する、CNCプログラム
による公金拠出は60億ドルにのぼるが、
49億ドルは現時点で未払いだ。DOEは
昨年11月にHoltecからの申請をいったん
却下したのだが、DOEはPacific Gas &
Electric社に対しては11億ドルを拠出して
いる。これは、カリフォルニア州にある
ディアブロ キャニオン <Diablo Canyon、
サンフランシスコから南南東に400kmほどに
あります> 原発の1号機と2号機は現時点
ではそれぞれ2024年と2025年に稼働認可
が失効するのだが、それを延長するための
必要資金の拠出だ。さらに昨年、
カリフォルニア州知事と州議会とは、この
稼働期間延長の関連で、PG&E社に対し
ても13億ドルの州政府からの公金拠出を
認可した。それと同様に、Holtecもパリセイズ
原発の再稼働のための必要資金をミシガン州
に求めているのだ。その金額は、10億ドル
にも達すると噂されている。
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Kettle 2014 Sept 24
カリフォルニア州 Los Ososの風景
私のかなり昔のスケッチ
核発電には政府とその公金が絡むので、
大変根が深い問題ですよね。
その廃絶を求めるなら、政府とのパイプ役や
法律の専門家なども含めた、かなりの組織
的行動が必要になります。
「日本ではとても ・・・」 と考えてしまい
やすいのですが、多数の団体や個人が
連帯すれば、道は開けるのでは?上述の
アメリカでの実例にしても、個人や小規模
団体も参加してますからね。日本では無理、
なんてことは考えすぎでしょう。
むしろ問題は、各反核団体などの動きや呼び
かけを1か所から調べられるような
「ポータル」 に当たるものすら、現状では
見当たらないという事実でして ・・・
そして、「ゾンビの再稼働」 は、日本でも
政府が提唱していることでして。。