日本語のメディア報道では、IAEAによる
「数か月は、冷却水は得られる」ばかり
が流れていますよね。
でもBeyond Nuclear Bulletinの6月9日号
では、次のSouth China Morning Postと
いう香港の英語紙の記事を紹介して
います。
Destruction of Nova Kakhovka dam jeopardizes Zaporizhzhia NPP cooling – Beyond Nuclear
その記事を、いつもどおり
私の抜粋・日本語化
< > 内は私からの補足説明
で、紹介しますね。
片面だけ見ていると~~
”Argument II: Existence/Non-existence”
私の昔の作品
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Ukraine Kakhovka dam’s reservoir no longer has enough water to cool nuclear plant, operator says | South China Morning Post (scmp.com)
Ukraine Kakhovka dam’s reservoir no
longer has enough water to cool nuclear
plant, operator says
(ウクライナのカホヴカ ダム貯水池、
原発の冷却用の水が不充分と事業者)
ウクライナ南部にあるカホヴカ ダムの
貯水池からはザポリージャ原発の原子炉
を冷却する水を組みだせないと、同ダム
の運営事業者がこの木曜日 <8日> に
語った。
<その事業者である> Ukrhydroenergo
の Igor Syrota CEOによれば、この
貯水池の水位は「重要な閾値である
12.7mを割り込んでしまっている」
つまり、この貯水池からはもはや
ザポリージャ原発の冷却水池に水を供給
できない」と、同CEOはウクライナ
テレビで述べた。
だが国連の核エネルギー機関 <IAEA
のこと> は、ダム事業者による水供給が
不能になっているとの主張を否定した。
IAEAの発表には、「ウクライナの
ザポリージャ原発では今もカホヴカ
貯水池からの水のくみ上げを続けて
いる」 とある。
このダムはドニプロ川にあり、貯水池を
形成している。そこから約150㎞上流の
ザポリージャ原発に冷却水を供給して
いるが、これはヨーロッパ最大の原発で
目下ロシアが占拠している。
IAEAのRafael Grossi事務局長は来週
同原発を訪問する予定だが、やはり
以前に水位が12.7mを下回るとポンプ
での水のくみ上げができなくなると
語っている。
同原発敷地内外にある冷却水池はまだ
「しばらくは」使用可能で、原子炉と
建屋内の使用済み核燃料冷却プールの
冷却に使えると、Grossiは述べている。
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さらに、ウクライナ国内からの報道も
見てみましょうね。
Euromaidan Press(2014年設立の、
ウクライナの英語報道機関)
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Destruction of Kakhovka Dam continues,
reservoir water levels keep declining –
Ukrhydronergo
(カホヴカ ダムの崩壊続く、貯水池の
水位低下が続ているとUkrhydronergo)
2023年6月8日
ウクライナの水力発電事業者
Ukrhydroenergoの発表によれば、
カホヴカ貯水池の水位は低下を今も
続けており、しかも排水用ダムならびに
発電所ビルと水門の間にある土製の
挿入構造物も崩壊を続けている。
「カホヴカ貯水池の水位は昨日1日で
1m以上低下した」 ― Ukrhydroenergo.
カホヴカ水力発電所(HPP) 下流での
洪水を軽減するため、Ukrhydroenergo
はHPPの稼働を調整していると発表
している。ダムより上流の水をドニプロ
水系の他の貯水池に貯水しているのだ。
この水系には他にも、ドニプロ側に
沿って数か所の発電所やダムがある。
「Ukrhydroenergoでは、設計研究所で
あるUkrhydroproject と協力して、
カホヴカ貯水池に防水せきを建設して
爆破以前の本来の水位を回復する
プロジェクトに取り組んでいる。目下、
優先課題と作業の一覧を作成中だ」
― Ukrhydroenergo
更新情報
Ukrhydroenergoの Ihor Syrota CEO が
この防水せきプロジェクトに関する
詳細を知らせてくれた:
- この防水せきは、この貯水池の
上流部に設ける。 - その建設には約2か月を要するが
該当地域が解放され次第着工が
可能になる。 - 現時点では防水せきの設計を
進めており、必要な材料と機械類
の検討を行っている。 - その設計と建築は、ウクライナの
事業者が行う。
さらにSyrota によると、今回の洪水の
ピークはすでに過ぎているのだが、
カホヴカ貯水池からの水の漏出は今も
続いているそうだ。
「(貯水池の水位が) もうすぐ重要な
敷居値である12.70 にまで低下して
しまう。そうなると、発電所上流での
取水は不可能になってしまう」とも、
Syrotaは語っている。
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防水せきは2か月ほどでできるとの
ことですが、ロシア軍からの妨害が
あったら??
その場合、今の状態がいつまで続いて
しまうのか、神のみぞ知りたもう
・・・そうなると、ザポリージャ原発は
冷却水と冷却用電源の二重の不足を
抱えることになります。
核発電はヒトの手におえない困難な
災害をもたらしえる、特に軍事が
絡んだ場合には・・・ ってこと
ですよね。