10年前、アメリカの核ゴミ処分施設で爆発

Beyond Nuclear Bulletin
2024年2月13日号より

元記事をお読みになりたい方は、
10 years since “impossible” WIPP leak – Beyond Nuclear

10 years since “impossible” WIPP leak
(WIPPでの「考えられない」放射性
物質漏れから、10年)

日本ではあまり報じられないのです
が、10年前のアメリカで起こった
放射性物質漏れ事故に関して、その
事故施設の拡張や存続の断念を求める
記事です。
アメリカ本土の中央から西南西に、
New Mexico州というメキシコと国境を
接している州がありますよね。その州の
南東部にCarlsbadという町があって、
その近郊にWIPPという核兵器からの
超ウラン元素廃棄物の処分施設が
あります。
そこで、10年前に何があったのか?
早速、記事を見てみましょう ・・・
と言いたいのですが、
そもそもWIPPって、どんな施設?
日本語ではあまり紹介されていない
施設ですので、まずはWIPPについて
ごく短く紹介しますね。

WIPPなんて、聞いたこともおまへんでえ
WIPP?? Never heard of it —

WIPP (Waste Isolation Pilot Plant) って?

New Mexico州Carlsbad近郊にある
放射性廃棄物を地下深く埋めて保管
する処分場で、超ウラニウム元素の
核ゴミを10,000年間保管できると
いうライセンスを受けています。
地下約660mにある塩の層に核ゴミを
保管します。建設が議会で承認された
のは1979年、それから20年の時間と
20億ドル近い経費をかけて、1999年に
最初の核ゴミがこの処分場に運び込まれ
ました。なお、New Mexico州には
その他にも各ゴミ処分場があります。
2014年2月5日に事故が発生、この
ときは塩の運搬トラックからの出火
でした。皆さん避難し、このとき
には放射性物質の外部への漏出は
なかった模様です。ところが10日後
の15日にモニターが放射線レベルの
異常な上昇を検知、22名前後が被ばく
しました。この時には放射性物質が
空気中に漏れたようで、アメリシウム
<という人口の放射性元素> とPu
<プルトニウム> の粒子が微量ながら
検出されました。この事故の原因は、
その前日に猫砂入りのバレルが爆発した
ことにあったと言われています。
「核ゴミ処理場と猫砂??」と、私も
不思議だったのですが、猫砂は猫を
飼っている場所以外でも多くの産業で
吸収材として利用されています。
WIPP処理場でも、硝酸塩や液体を
吸収するために猫砂を使っていました
・・・ といいうことは、その猫砂は
硝酸塩と反応しないものを選ばないと、
大変なことになりますよね。ところが。
あるバレルに、誤って硝酸塩と反応
する猫砂を詰めてしまっており、それが
案の定 硝酸塩と反応、爆発したよう
です。
短くいってしまえば、
猫砂の種類を間違えた ⇒ 爆発
⇒ Puなどが漏出
というパターンが現実になった
わけです。

硝酸塩の一種である硝酸カリウム
KNO3 は、黒色火薬の原料です
(硝石)
Potassium nitrate (saltpeter), one of the nitrates, is a material used in preparing black powder.

では、上記を踏まえたうえで、記事
そのものの紹介を。
いつもどおり、
私による抜粋・日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

*****************************

WIPP (Waste Isolation Pilot Plant
[核ゴミ分離パイロット施設]、核兵器
からの複雑な超ウラニウム元素の
保管庫)で発生した2014年2月に
発生した事故の話だ。地下にあって
メインテナンスされていなかった車両
が発火したことがきっかけとなった
産業火災で、WIPPで地下に勤務して
いた従業員たちが大勢で脱出する羽目
になった。火災の煙を吸引したために
20数名の従業員が入院、そのうち1名
には恒久的な障がいが残った。だが、
もしこの火災が発生していなかったら
同じ2月の14日に発生した超ウラニ
ウム元素ゴミを入れたバレルの発火と
爆発による被害はさらに破壊的なものと
なっており、従業員の健康にもっと
深刻な影響をおよぼしていた恐れが
あった。

Puが肺に入ると、極めて危険です!
(体内被曝)
Once Pu has entered into your lung, it’s quite hazardous!
(internal exposure)

つまりその場合には、地下で
作業していたWIPP従業員たちの
多数は呼吸用の保護装置を身に付けて
いなかったため、Puの各種同位体など
アルファ線放出源を呼吸によって
集中的に吸引していた恐れがあった
のだ。実際には14日の爆発よりも
数日前の火災によりWIPPの地下部分
からは人員が脱出していたのだが、
それでも地上にいた20数名の従業員は
アルファ線源を吸引してしまっていた。
たとえ顕微鏡でないと検知できない
程度の微量のPuであっても、ヒトの
肺の中に入るならば時間の経過とともに
肺がんを発症するリスクが増大する。

New Mexico州Carlsbad近郊にある
WIPPを監視する活動が何十年も前から
行われてきており、それに携わる
Robin Seydelが、以下の内容を発表
している:

爆発はするけど、あと50年やりまっせ~
Yeah, we have explosions, still we’ll keep our business for another 50 years!

みなさま、

WIPPで爆発が発生、放射性物質が
環境に漏れ出るという事故があって
から10周年になりました。これを機に
この事故を思い返す活動を皆様に支援
していただきたくお願い申し上げます。

この事故は、全く想定されていな
かったものでした。

WIPPの創業は、今後50年間続くもの
と計画されています。そうなると、
New Mexicoは今後、いったいいう句度
の事故を経験せねばならないので
しょうか?

私どもでは、New Mexico州の州都で
あるRoundhouseで楽しく心に残る
アクションを、ヴァレンタインデーに
行う計画です。詳細は、下記に。

・・・(中略)・・・

ウェブサイト
New Page — Stop Forever WIPP

******************************

猫がおしっこしたら、爆発してPuが飛び出るんか??
いや、そうやなくて、Pu-239みたいなもん置いてあるとこで、
どんな爆発でも起きたらあかんやろ!
So, a cat’s piss makes it blow up and causes a Pu leakage??
Naaaaw, any explosion in a Pu-239 storage can be a deadly disaster!

やれやれ、
吸収材を間違えた ⇒ 爆発 ⇒ Pu漏れ
なんて、何のジョーダンかと思える
かもしれませんが、
そんなことがホントにあったわけ
ですね。

それと、そんな惨事が日本語では
あまり報道されていなかった ・・・
やはり、既存の大手メディアに依存し
すぎないで、私たち反核勢力で独自の
情報発信を展開・継続していくことが
急務なのでは

About FrancisH

A freelance painter, copywriter, and beading artist
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