Washington Examiner(アメリカの
ワシントンDCに本拠を置く報道機関)
のウェブサイトより
US: Russia ties raise risk North Korea will use nuclear weapons – Washington Examiner
おそらく大抵の皆様も、このリスク
増大を心配してこられたこと
でしょう。
やはり、「実際、そうだよなあ」
って感じですよね。
もともと、北朝鮮民主主義人民共和国
という国家そのものが、1948年9月に
当時のソヴィエト連邦によって設立
されたものです。いうなれば、当時の
ソヴィエト最高指導者であった
スターリンの傀儡国家として生まれた
わけですね。
第二次大戦の終わった時点で、韓半島
(朝鮮半島)の南部はアメリカが、
北部はソヴィエトが支配していました。
その構造が今も南北分断に残っており、
現在の緊張に至っている ・・・ なんて
ことは、よく知られた事実ですよね。
プーティンと金正恩との関係により
北朝鮮が核兵器を使用してしまう
リスクが増大したのでは?と心配して
いる方は、私も含め、多数いらっしゃ
いますよね。
その憂慮を、Washington Examinerも
表明しているというわけです。
では、いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です。
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Russia ties raise risk North Korea will
use nuclear weapons
(ロシアとの結びつきのため、北朝鮮に
よる核使用のリスクが増大)
2024年2月18日
Joel Gehrke記者
北朝鮮の指導者 金正恩を強気にさせ、
同国の核兵器を増強、ことによっては
使用すらする気にさせてしまう ・・
そんなリスクをロシアのヴラディミール
プーティン大統領が増幅させてしまって
いると、アメリカ国務省の高官が指摘
している。
「戦術核兵器を大量生産し使用すると
いった発言を、金はしている。ロシア
は、それを見て見ぬふりだ」 と語るの
は、アメリカ国務省の東アジア・
太平洋局で北朝鮮担当のリード役員を
務めるJung Pak博士だ。博士によれば
「この発言は、以前なら非難轟々と
なっていたハズだ。そんな発言があった
のにロシアが見ぬふりをしていたら、
金はどのようなリスク計算をする
だろうか?」
Pak博士は自分が北朝鮮から「何らか
の暴力を受けるのではないかと、絶えず
警戒している」と述べながらも、彼女の
チームとしては「現時点では、どの
ような直接行動に出ようとしている兆候
も見受けられない」としている。だが、
金の外交政策や安全保障関連の姿勢を
幅広く分析してみるとアメリカとしては
憂慮すべき問題がある。しかも、その
憂慮は外部のオブザーバー達や西側の
アナリスト達による見方とよく整合する
のだ。さらに北朝鮮からの脱出者として
著名な人物の見解ともよく合致して
いる。その脱北者の憂慮事項として、
北は南側の民主的な隣人 <である
韓国> に攻撃を仕掛ける機会を探して
いる恐れがあるという。
「この70年間、北はありとあらゆる
挑発を仕掛けてきているのだが、
そうした挑発行為のどれでも北はやって
くる可能性がある」 そう語るのは、
前北朝鮮政府高官であったRi Jong Ho
だ。Riは2014年に韓国に亡命した。
今週、彼はThe National Interest
<というアメリカの外交問題専門の
雑誌> に寄稿している。「金が、
韓国を挑発してもアメリカは同盟国と
しての対応をしてこないと想定する
なら、さらに無謀な挑発に出てくる
ことはあり得る。・・・ 2013年に
北の軍指導層がRiに提示した最悪の
ケース シナリオによれば、ソウルと
プサンに対する核攻撃も含まれていた。
<そうなれば> 韓国は無条件降伏する
<と、彼らは見ていた>」
今週も金はこうした不安をさらに増大
させた。北方限界線という、南北の海上
での境界を現実上定めている境界が
あって何十年か守られてきた <1953年
に国連軍が設定>境界線があるのだが、
北朝鮮政府は「北の海上での主権を
いかなるレトリックでもなく、行動と
武力で守る」と金が宣言したのだ。
「 [北朝鮮の] 西側の海域に何本境界線
があろうと、問題ではない。自明なこと
として、我々が北朝鮮の領海の境界と
見なす線を敵が侵すなら、我々はそれを
北朝鮮の主権への侵害と見なし、軍事的
挑発だと捉える」と金が語ったと、
北朝鮮国営メディアは報じている。
このレトリックからは、海上での攻撃と
いう不安が浮かび上がってくる。そう
述べたのは、脱北者であるRiとともに
上述の記事を共著したアメリカの
アナリストだ。
「そうした <事情を> 利用して [金が]
何らかの軍需衝突を正当化しようとして
いるというのは、充分に考えられること
だ」 Washington Examinerに対しそう
語るのは、 Foundation for Defense of
Democracies <直訳すれば ”民主主義
防衛財団”、研究機関です> で上級
研究員を務めるDavid Maxwellだ。
「そうは言っているものの、北朝鮮の
[高官たちというのは] 詐術の達人で、
我々の目を北朝鮮西岸の海域に向けさせ
ておいて、その間に実際には [非武装
地帯] や東の海域で何かをやらかす
可能性もあるのだ」
北朝鮮はロシア軍に兵器を供給して
いるが、一部のアナリストたちによれ
ば、これは北朝鮮が大量の兵器を必要と
するような全面戦争を実は考えていない
ことの表れだという。
「それよりも可能性が高い衝突として、
非武装地帯あるいは海上の北方限界線
近くで戦術レベルの衝突を北が起こす
恐れはある」 そう述べているのは、
Heritage Foundation <”ヘリテッジ
財団”、アメリカの保守派シンク
タンク> で上級研究員を務める Bruce
Klingnerだ。彼は以前、CIAで韓半島
担当の部長代理として働いていた。その
Klingerが先日のある記事に、「韓国の
高官たちが秘かに述べているところに
よれば、2010年にあった韓国海軍の
軍用艦Cheonanの沈没や韓国人50名
を死亡させたYeonpyeong <延坪島>
への砲撃のような、死者も伴う北朝鮮
による攻撃がまた行われる可能性は
否定できない」と記している。
アメリカ国務省の高官である上述のPak
博士によれば、ジョー バイデン大統領
のチームは今後も金政権への「長期的な
抑止活動をこれからも強化していく」
そうだ。
「今後もアメリカは同盟諸国や
パートナー諸国と協力、金の思惑を
コントロールしていく。ただ、現時点
では差し迫った直接的な攻撃はなさ
そうだ」と、Pak博士は語っている。
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「2013年に北の軍指導層がRiに提示
した最悪のケース シナリオによれば、
ソウルとプサンに対する核攻撃も
含まれていた。<そうなれば> 韓国は
無条件降伏する ・・・」とあるように
核兵器というものを持ってしまうと、
指導層が一種の誇大妄想に陥る場合が
ありますよね。
極めて危険です。妄想のまま核兵器を
使用するまでには至らなくても、
「こちらは核を持ってるんだから、
あいつらにイタズラをしても、何も
やり返しちゃこれまい」という発想で、
戦術規模の紛争を仕掛けてくる危険性は
増大してしまいます。
核兵器は、こうした「波及症状」も
招いてしまう代物です。