Beyond Nuclear Bulletin
2024年2月22日号より
Radioactive Waste Wars
Permian Basin Dumps under Fire
(放射性ゴミをめぐる争い
二畳紀堆積盆地での地層処分に、
非難轟々)
* ここでの「二畳紀堆積盆地」とは
アメリカ南西部のテキサスからニュー
メキシコにかけて存在する堆積盆地の
ことで、豊かな油田が広がっている
ことで有名です。
日本でも核ゴミの最終処分場候補地の
選定問題が喧しいですよね。
アメリカでも実は、この地層処分場
問題が以前からかなりの難物でして。
国境を越えて、「手に負えないゴミ」
であることが明らか。
世界的に、これ以上こんなゴミを作ら
ないことを願います。
では、いつもどおり
私の日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です。
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2月18日のWall Street Journal に、
The War Over Burying Nuclear Waste in
America’s Busiest Oil Field: Plans to store
used nuclear fuel in the Permian Basin
could boost the nuclear sector but are
opposed by oil-and-gas producers
<アメリカでも最も潤沢な油田地帯に
核ゴミを埋めてよいのかという争い:
二畳紀堆積盆地に使用済み核燃料を保管
しようという計画を実施すれば、核産業
は浮上できる可能性があるも、石油や
天然ガス企業から反対が> という長文
の記事が掲載されている。 この記事には
Danny Berryの写真も掲載されており、
彼はニュー メキシコ州にあるHoltec社が
世界最大の高レベル放射性廃棄物の処分場
を建設しようと目論んでいる敷地のそばで
牧場を営んでいる。Berryとその一家は
Beyond Nuclearのメンバーであり、
サポーターでもある。彼のおかげで
Beyond Nuclearは、アメリカ控訴裁
ワシントン特別区裁判所でこの核ゴミ処分
を問題にした訴訟を起こす法的資格を
得ることができた。その口頭弁論が、
この3月5日に予定されている。
2月20日にPermian Basin Coalition
<二畳紀堆積盆地地帯のエネルギー業界
の連盟> はプレス リリースを公表
<下に抜粋紹介>、テキサス州の
Andrews 郡 <ダラスから西に400~
500㎞程度の位置にあります> の議会
が、「低レベル」とされている放射性の
廃棄物 Greater-Than-Class-C
<Class Cを超えるレベルの核ゴミ、
下記の * 参照。GTCCという略称で
よく呼ばれます> を禁止する決議を
成立させた。同郡は上記の連盟に参加、
Waste Control Specialists社 <テキサス
に本部を置く、廃棄物の処理や処分を
営む企業> とアメリカ原子力規制委員会
<Nuclear Regulatory Commission, NRC>
とによる <この堆積盆地に核ゴミ処分場
を設けるという> 計画に反対している。
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* Class C: アメリカのNRCのウェブ
ページ § 61.55 Waste Classification. | NRC.gov
によると、NRCでは核ゴミを次の3種類
に分類しています:
(i) Class A 廃棄物は多くの場合、他の
クラスの廃棄物からは処分場で分離
される。Class A 廃棄物の物理的形態
と特性とは、§ 61.56(a) に定める最低限
の要件を満たしていること。.Class Aの
廃棄物であっても、§ 61.56(b) に定める
安定性に関する要件を満たしている場合
には、その廃棄物を処分時に分離する
必要はない。
(ii) Class B の廃棄物にはClass Aよりも
厳密な形態要件が必要とされ、これは
処分後の安定性を確保するためである。
Class B 廃棄物は、§ 61.56に定める
最小限の要件と安定性に関する要件とを
満たすこと。
(iii) Class C 廃棄物と分類されるには、
安定性を確保するためさらに厳格な形態
に関する要件を満たすことが必要となる。
さらに、その処分施設には不注意による
侵入行為を防止するための追加的対策も
必要とされる。このように、Class C
廃棄物は、§ 61.56に定める最小限の要件
と安定性に関する要件とを満たすこと。
では上の「プレス リリース」も、
抜粋して日本語化紹介しておきますね:
もとのリリース全文をお読みに
なりたい方は、
Press Relese_Andrews passes a resolution against GTCC (Feb. 20 2024)pdf.pdf (beyondnuclear.org)
へどうぞ。
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2024年2月20日
・・・中略 ・・・
テキサス州のAndrews 郡が、Class C
ならびにそれ以上の等級の放射性
廃棄物を禁ずる決議を成立させた。
その狙いは、Waste Control Specialists
社ならびにアメリカ原子力規制委員会
による <核ゴミ処分の> 目論みを
阻止することにある。
テキサス州ミッドランド市(MIDLAND)
— 2014年にWaste Control Specialists
社がテキサス環境品質委員会 (Texas
Commission on Environmental Quality、
TCEQ)にある申請を提出した。それを
受けTCEQは2015年1月30日付の
書簡を原子力規制委員会に提出、
これはGTCC放射性廃棄物の処分を
認可するよう、テキサス州当局に求める
ものであった。TCEQ からのこの書簡を
受け、原子力規制委員会はそのスタッフ
たちに、深層地層処分以外の方法による
GTCC処分のための法規制の基盤を
作成するよう指示した。これには、
地表近くでの地層処分も含まれる。
つまり、Class Cよりも放射能の強い
ものと分類される放射性廃棄物に関する
連邦の法規制の改定を提唱したわけだが
それに対し近隣住民が立ち上がった。
Waste Control Specialists社(WCS) の
目論見が知られるようになって以来、
庭に抗議看板を出す、ソーシャル
メディア (SNS) に反対意見を投稿、
該当地区の選挙民としての郡裁判所への
請願などが行われた。
住民たちの <核ゴミ処分場に反対と
いう> 合意は圧倒的なもので、
Andrews郡裁判所は満場一致で、同郡に
Class C以上の廃棄物を処分することを
禁ずる決議を成立させた。また、
Class Cを超える放射能を有する一切の
物質のダウン ブレンド <濃度の高い
ウラニウム等に薄い濃度のウラニウム等
を混ぜて、濃度を下げること> を
Andrews郡で行うことも禁止した。
この郡の住人であるJose Bustamante
が郡裁判所によるパブリック コメント
募集期間中に述べたことだが、「WCS
が私のコミュニティにやってきて、
廃棄物処分業務のため7,500万ドルの
建設債を求めてきた。その際WCSは
そこで処分するのはClass A、
B、Cの廃棄物に限ると約束した。
Andrews郡では、その約束を前提に
この建設債を承認した。ここAndrews
郡には信念も価値観も物事の筋も
あって、約束を果たすよう全力を尽くせ
と教えている。だがWCSはAndrews郡
でGTCC <Class Cを超える> 廃棄物
の処分が認められるように連邦政府に
対し関連法規の変更を求めており、
これは我々のコミュニティに対する約束
を破ったことに他ならない。この約束は
必ず守ると、同社は書式で誓ったの
だが。そのため私はこの郡裁判所に、
WCSの約束を文書に記録し守らせる
よう、要求しているのだ」
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まったくもう ・・・ 事業の都合のため
なら、法律の改悪も求めてしまうとは。
日本でも、原子力緊急事態宣言は出た
ままになっており、2024年2月現在、
決して撤回はされていないのですが~~
日本政府は、既存原発を再稼働させよう
と躍起ですよね。再稼働したければ、
まず緊急事態宣言を何とかすべきなのは
自明の理なのですが。
何のための、宣言だったのでしょう??