イランのU濃縮、2024年2月27日付の
記事
「やかんをのせたら~~」では、以前
からイランによるU濃縮をフォロー
してきましたが、またIAEAからの報告
があった模様です。
どうしても西側の報道はイランへの非難
に近いものが多くなるのですが、そも
そもイスラエルの核 (上の黒い
メニューでは基本的に項目をアルファ
ベット順に配列していますが、
c-3)、c-4) 参照) に対抗してイランが
核を持とうとしている、という側面を
「やかんをのせたら~~」では忘れない
ようにしたいのですね。
どちらも、核は放棄してほしいもの
です!
イランの核関連の歴史については、
やはり上の黒いメニューにある
f-2)、f-3)、f-4) にまとめてござい
ます。
さらに、「イランがやったら、我が国も」
という動きをサウディが2018年に示して
いたことも、f-4) で紹介しました。
では、英国のオンライン新聞 The
Independent のウェブサイトより、2月
27日付の記事を。
元の記事をお読みになりたい方は、
次へ:
Iran has further increased its total stockpile of uranium, UN nuclear watchdog report says (msn.com)
いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です。
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Iran has further increased its total stock-
pile of uranium, UN nuclear watchdog
report says
<イランの濃縮ウラニウム備蓄、さらに
増大とIAEAのレポート>
Stephanie Liechtenstein 記者
国連の核監視機関 <IAEA> がある報告
を作成したが、それをThe Associated
Pressが月曜日 <2月26日> に読んだ
ところ、イランがそのウラニウム備蓄量
を増大させているようだ。しかも、
いまだに <IAEAの> 査察官の中でも
特に敏腕な数名が核プログラムの監視を
することを禁じている。
さらにIAEAがやはり近日作成した秘密
報告によれば、イランの核施設では
2か所で人工ウラニウム粒子の存在が
検出されているのだが、イラン政府は
その説明も全く進めていない。この秘密
報告は、IAEA加盟諸国には配布済みだ。
IAEAの四半期報告での推定では、2月
10日現在でイランの蓄積したウラニウム
の総量は 5,525.5キログラムで、前回の
四半期報告に記載された2023年11月
時点から 1,038.7キロ増えている。
さらに今回の報告での推定によると、
イランが保有しているウラニウムの中
には純度が60%に達しているものが
121.5キロある。 これは、前回報告の
2023年11月の時点からは6.8キロの
減少だ。
この減少は、この数週間にイランが
低濃度ウラニウムなどで60%の
ウラニウムの一部を希釈したことに
よる。
IAEAの目安では、60%のウラニウムが
42キロあれば、理論上は核兵器1個を
製造可能だ。兵器グレードは90%では
あるが、60%まで濃縮してしまえば、
90%に到達するのは技術的に容易
である。
昨年の6月から11月にかけて、イラン
はいったん濃縮のペースを緩め月間に
3キロに落とした。だが昨年終わりには
このペースを再度上昇、月に9キロに
したとこのIAEA報告は述べている。
2015年にイランがいったん西側諸国と
締結した核合意では、イランが許容され
ていたウラニウム濃縮の度合いはわずか
3.67%であり、保有できるウラニウムの
総量も 300 キロまでとされていた。
また、濃縮作業で気体化したウラニウム
を遠心分離するために許可されていた
遠心分離機も、IR-1 という極めて
基本的なものに限定されていた。
こうした制約の代償として、イランへの
経済制裁は解除されたのだった。この
プログラムの監視をするため、国連の
査察官が任務にあたった。
2018年、当時の <アメリカの>
ドナルド トランプ前大統領がこの
核合意から一方的に脱退、もっと強力な
合意を目指すと述べていたのだが、
そんな合意はできはしなかった。それ
から1年後、イランは核合意への違反
行為を始めた。
アメリカのジョー バイデン現大統領は、
イランとの核合意を再締結したいと
述べていた。だが、その再締結を
目指した公式会談は、2022年8月に
崩れた。そうこうしている間に世界の
政治的状況も様変わりし、中東の緊張も
大幅に高まり、イランとの核に関する
外交はさらに複雑なものとなっている。
イランは長年、一度たりとも核兵器を
求めたことなどなく、今もイランの
核開発プログラムはエネルギーや医療
など平和利用のみを目的としていると
主張している。だがIAEAの事務局長が
昨年に警告を発した問題として、
イランは核兵器を製造しようとすれば
数個を製造できるだけの濃縮
ウラニウムを既に保有している。ただ、
イランがその気になったとしても、
おそらく製造には数か月を要するだろう
と、核不拡散の専門家たちは述べて
いる。
今回の報告でIAEAは、<上述の>
2か所で人工ウラニウム粒子が検出
された件について、その発生事情と現在
の所在場所とを知らせよとIAEAは
イラン政府に求めてきたのだが、
イランからの回答はまだない。この
2か所とは Varamin と Turquzabadで
あり、この2つが核施設となる可能性の
あることを、イラン政府は申告して
いなかった。
このように査察を拒否してきたとのかど
で、IAEAはこの5年間イランを非難
してきている。ただし、2023年に
Marivanという別の地点で検出された
未申告のウラニウム粒子については、
イラン政府は「考えられる説明」を
行っており、多少の進歩は見られた。
西側諸国の高官たちの提案としては、
いわゆる防止策 <核兵器拡散を防止
する施策、safeguard> に則り未申告
の現場を調査すれば、2003年まで
イランが秘密裏に核兵器開発プロ
グラムを進めていたのでは、という
長年の疑念の審議も解明できそうだ。
2022年6月の報告によればさらに、
カメラなど監査用機器類をさらに設置
するという点では、現時点までに
まったく進歩は見られていない。IAEA
によると、査察官たちが「エスファハン
の核作業場に カメラを設置することは
許可されているのだが、そうしたカメラ
が記録したデータを入手することは許可
されていないのだ」
2022年6月以来、記録されたデータと
いえば、2023年5月にイスファハンの
遠心分離施設でカメラに記録された
データだけである。しかも、カメラに
あるデータをIAEA が査察することを、
イランは許可してはいないのだ。
こうした問題に関するアメリカ、英国、
フランス、ドイツからの批判に対抗
して、イランはIAEAの査察官の中でも
特に経験豊富な人たちが核開発プロ
グラムを査察することを、イランは
2023年9月に禁止した。
今回の報告でIAEAは、イラン政府は
こうした姿勢を考え直してはいないと
述べており、IAEAのヘッドである
ラファエル グロッシはそうしたイラン
の姿勢を「強く憂いている」
「グロッシ事務局長は今も、イランが
経験豊富なIAEA査察官数名を突如と
して指名から外したことを、今も強く
非難している」とこの報告にはある。
さらに同報告によると、イランの核プロ
グラムのチーフMohammad Eslamiは
2023年10月下旬に、「IAEAの査察官
の使命を解除することは、イランの
当然の権利だ」という主張を繰り返し
ている。
IAEAの理事会は35名の理事たちで
構成されるが、以前にイランがIAEAと
全面的には協力していないと非難して
いた。理事会の会議は来週に1週間
通して開催されるのだが、そこでも
同様の非難決議がされるのか否かは、
明らかになっていない。
上述の秘密報告は、アメリカとイラン
の間の緊迫が高まるただ中で発行
された。
イランがウクライナに侵略中のロシアに
兵器を売却したことに対し、近日中に
イランに対する新たな制裁を発表すると
ホワイトハウスは約束している。
さらに、イランが弾道弾をロシアに
販売するならば、「強烈で」「迅速な」
対処をすると、ホワイト ハウスは
警告を発している。
アメリカと英国はまた、イランの支援
を受けているフーティ反乱組織が紅海
とアデン湾で商船を相手に攻撃を
仕掛けているが、そうした攻撃が増大
していることを受けてフーティへの
攻撃も行っている。
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今後も「やかんをのせたら~~」では、
イランの核開発問題についての報道を
紹介してまいります。
それにしても、この問題に関する
日本語メディアが少ないのは、
なぜでしょうか??