イランのU濃縮問題も、忘れちゃいません!
ザポリージャ原発の問題については、また進展があり次第その都度
紹介してまいりますね。今回は、イランのU濃縮について。
で、以前にも申しましたが、私はなにもイランに対して嫌悪や
敵意があるわけじゃ、まったくございません。どこであれ、
誰であれ、核兵器とその製造施設に対しては反対せねば
なりませんし、その証拠に上の肥大化した黒いメニューの
c-3) c-4) ではイスラエルの核兵器のことも取り上げております。
しかし。
・ 「例の60%濃縮U」について、イランがいまだに納得できる
説明をしていない
・ イラン当局の示してきた核兵器に関する方針が、
「核兵器はイスラームに反する」という主旨のファトゥワ
(イスラム指導者による判断)と、地下に秘密の核兵器関連
施設を建設・運営するという行為の間で揺れており、外部から
見ると不明確
という現状が続いております。
なら、イランによる核兵器製造の疑念についても、
「やかんをのせたら~~」では取り上げないわけには、
まいりません。「どこの国/団体が」はどーでもよくて、
「核だから問題だ!」なのですね。

誰がやらかしてるかは、関係ない!行為そのものが ~~
で、そのイランの「核に関する本音」を探るうえで重要な
記事が、The Foundation for Defense of Democraciesという
団体のLONG WAR JOURNALというウェブサイトにありました。
その内容を、私の抜粋要約・日本語化で紹介しますね。
元の英語記事を読みたい方は、
https://www.longwarjournal.org/archives/2025/10/analysis-iran-threatens-nuclear-weaponization-ambitions.php
をどうぞ。
Janatan Sayeiiさんによる記事
2025年10月18日付け
です。
< > 内は、私からの補足説明です。
もはや2015年のJCPOAによる拘束を受けないと宣言した、
イランの核開発プログラム。
「やっぱりね~~」と思ったのは、私だけじゃないハズ。
で、内部事情を知る人からの情報を読んでみましょう。

内部を知る人のお話 ・・・
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アナリシス: イラン、核兵器製造で脅し
イランのShahid Beheshti大学学長であり同国を代表する
核科学者の一人でもある、Mahmoud Reza Aghamiri。
そのAghamiriが、イラン政府の核兵器開発の裏にある計算を
探るうえでの、希少な情報を明かしてくれた。
10月16日のインタビューでAghamiriが語ったところによれば、
イラン政府にはすでに「核爆弾を製造する能力はある」そうだ。
さらに、最高指導者アリ ハメネイ師による(核兵器を悪とする)
宗教上の宣言 <ファトゥワのこと> も変更される可能性がある、
とのことだ。イラン政府高官たちや核科学者たちが核兵器製造を
検討したことはあるのか否かという質問に対し、Aghamiriは
「もちろんだ」と答えた。関連科学者たち全員の脳裏を、
核兵器製造がよぎったことがあると述べていた。
さらにAghamiri によれば、イランが核兵器製造を目指すと
すれば、「ベストのやり方で製造する」とのことだ。
さらに、「核製造のプロセスで最重要な部分とは、ウラニウム
濃縮だ」そうである。実際、この5月にはイラン政府と
アメリカ政府の間で5回にわたる交渉が行われたのだが、
そこでもU濃縮と遠心分離機の能力とが中心的な決裂要因と
なった。アメリカもイランも、U濃縮を跨いではならない
レッド ラインとしていた。
EU、英国、カナダ、オーストラリア、スイスはShahid Beheshti
大学を核兵器拡散の責任ありとしているのだが、この大学が
研究してきた事項として、遠心分離機の連結カスケードを
最適化するためのパラメーター、排水からUを抽出するための
電気透析、U製の球体の爆発圧縮における臨界の算出、
そして中性子の精製や測定、移送のモデリングなどがあるのだ。

一度そう決めたなら、守ってくれよ!
Aghamiriの発言に類似した発言を、イラン政府要人たちも
先週しており、その中にはイラン国防省と軍部ロジスティクス
の長を以前務めていたAli Shamkhaniも名を連ねていた。
Shamkhaniは今月12日のインタビューで90年代の自分の任期
当時のことを回想、もし時間を巻き戻せるのなら、自分は
核爆弾の製造を命じていたと述べていた。
Shamkhaniは6月13日のイスラエルによる殺害攻撃を生き延びた
が、以前には国家安全保障最高評議会の秘書を務め、現在は
Expediency Council <交易判別会議 (Expediency Discernment
Council) のことだろうと思います> で最高指導者の顧問と
いう役職にある。したがって、アメリカとイランの核交渉に
おいても主要な役割を演じている。そのShamkhaniも、
防衛大臣としての任期中に核の専門家の「サークル」を形成した
ことを明かしている。その構成員の多くは、先日のイスラエル
との12日間戦争で消された。
Shamkhaniは1990年代前半にはイランは核兵器を求めては
いないと主張していたのだが、実際の証拠を見ると事実は
そうではない。パキスタンの核開発プログラムの父とでも
呼ぶべきAbdul Qadeer Khan <上の肥大化した黒いメニューで
b-11) g-7) f-8) f-3) を参照> は1980年代終わりにこう
記している: Shamkhani が <パキスタンの首都> イスラマ
バードを訪問、核兵器を求めてきた、と。パキスタンは核爆弾を
販売することは拒否したが、遠心分離機の部品や核爆弾の青写真、
世界中のサプライヤーのリストをイランに供給したとされている。
これにより、イラン政権によるU濃縮プログラムの基盤が出来
上がった。

ゴミ容器の中身が「ゴミ」だけとは、限らない
先のアメリカとイスラエルによるイランの核施設への攻撃
以降、イランの濃縮Uが今後どうなるのかは謎に包まれている。
2025年5月中旬の時点で、イランの蓄積ウラニウムのうち
濃度が60%のものはおよそ408.6㎏あった。イスラエルによる
攻撃の後でAbbas Araghchi外相は「イランの濃縮Uは、爆撃を
受けた核施設のがれきの下に埋もれている」と述べたが、
これは 濃縮Uが破壊されたという意味かもしれない。だが
衛星画像と諜報機関からの漏洩情報とによれば、高濃縮Uの
多くはイランのフォルドウ施設から爆撃に先立って搬出され
別の場所に移された可能性がある。同じころ、6月13日に
イランはIAEAに対し自国の核物質を保護するために
「特殊な対策」を取ると通知していた。
イラン政府が西側に対する際、今も裏表のある発言をする
ことが主な様式となっている。核兵器製造に進むぞと見せかけ
つつ、ハメネイ師の上述のファトゥワがそれを禁じていることを
持ち出す。そして後に、このファトゥワも変更される恐れが
あると言い出すのだ。濃縮Uの今後についても同じような
曖昧さが付きまとっており、アメリカ政府の判断を鈍らせる
ための意図的な曖昧性なのだ。<核兵器を持ちたいという>
願望を表す発言はイランの意図を表し、濃縮Uはそうする能力を
示している。そしてイランの国家体制にあっては、能力が
得られると意図も生じた実例がよくあるのだ。
Janatan Sayeh はFoundation for Defense of Democraciesの
研究員で、イランの国内事情と中東地域での悪質な影響とを
専門にしている。
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どっちもどっち ・・・
私の、かなり昔の20分クロッキー x2
やや一方的にイランばかりを悪役にしてしまっている感は
ありますが、AghamirさんやShamkhaniさんの発言、また
アメリカとイスラエル VS イランという対立からは元は
第三者であり「世界の核の闇市場の創始者」でもある
Khan博士の記録などは、読む者を震撼させる恐怖を
覚えますよね。
ただそれを武力でやめさせようとしたイスラエルと
アメリカは、とっくに核兵器を保有しているわけでして ・・・・
イスラエルの核保有については、上の黒いメニューで
c-3) c-4) をクリックしてお読みくださいませ。