Atlantic Councilの卓上シミュレーション、その2

Atlantic Councilの卓上シミュレーション、その2
元の英語記事は、こちら

Atlantic Councilによる昨年(2025年)5月12日付の卓上
シミュレーションの結果、紹介を続けます。

経路2をごく短く抜粋要約・日本語化して紹介しますね。
<  > 内は、私からの補足説明です。
****************************************

結局、こんなことに~

勃発

中国が台湾に侵攻するが、強烈な反撃に会い戦局は停滞。
アメリカ軍もその反撃に参加。
ただ、大量の犠牲者と弾薬消費のため、アメリカは韓国の駐
在米軍を引き上げさせ台湾に充当することを検討。
中国は日本にあるアメリカ軍基地へのミサイル攻撃を実施。
北朝鮮も韓国からの米軍撤退を目指して軍事圧力を強化。
韓国軍は北軍の抑止に集中、最大級の警戒態勢に入る。

展開
中国がミサイルを発射、韓半島上空を飛行して日本本土に
ある米軍基地に命中。
また中国は、広範なサイバー攻撃も展開。
韓国は条約に基づき、米軍の全面的な協力を要請。日本は
米軍基地への場所提供などを拡大。

中国は核兵器使用に向けた姿勢を強化、核使用という脅しを
かける。

北朝鮮は米台韓日の連合軍に対抗すべく、中国との軍事
調整センターを設立。
北は米韓連合軍の主要施設に対し潜水艦発射ミサイルや
ドローンによる攻撃を展開するとともに、潜水艦発射
ミサイルと地下の核実験を実施。

韓国は中国と北朝鮮とに反撃。
日本はミサイル防衛システムやサイバー防御などを強化。

最悪モンスターが・・・

韓国からの攻撃を中断させるべく、北は小形戦術核兵器を
韓国の空軍基地に対して使用
これを受けてアメリカ軍は北の政権転覆作戦を検討するが、
台湾防衛にかなりの兵力や弾薬を使用するため、充分な
兵力や弾薬が得にくい
北が再度核兵器を使用する危険性もある
という問題から、躊躇。

同時に、「核攻撃を受けたのに、核報復をしなかった」
という先例を作らないため、小形戦術核による北への
攻撃もアメリカは検討。だが、現実にはこれがアメリカ
政府から承認されるか否かは、不明。

台湾をめぐる戦争はエスカレートする危険性をはらんで
いるが、米中ともに相手との核戦争は回避したいため、
核抑止という脆い安定は持続していた。しかし韓半島では
北からの核攻撃があったため、誤った判断や核使用が
米中間で生じてしまう危険は高い。

(文字色強調は、私)

*******************************

結局は脆いもの~~

やれやれ、こちらでも北朝鮮による核兵器使用が予想されて
いますね。
結局、「核抑止」とは「脆い」ものに過ぎないものです。

で、この後でこのシミュレーション報告書は発見事項の
まとめと推奨事項を列挙しています。
5つある発見事項のうち4つ目で核兵器関連の問題を
扱っていますので、次回はそれを紹介しますね。

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Atlantic Councilの卓上シミュレーション、その1

Atlantic Councilの卓上シミュレーション、その1
元の英語記事は、こちら

アメリカに本拠があるAtlantic Councilという高名なシンク タンクが
あって、昨年(2025年)5月12日付で、ある卓上シミュレーションの
結果を報告しています。
中国と北朝鮮の「ダブルの核」を脅威として問題にしたシミュレー
ションです。

シミュレーションといっても、Councilのメンバーだけで行った
ゲームのようなものではなく、関連する政府諸機関からの代表者
たちも参加した本格的なものでした。

20ページほどあるので、ごく短く抜粋要約・日本語化して
紹介しますね。
<  > 内は、私からの補足説明です。

思考 ・・・
私のクロッキー(速写画)、Croquis Cafeベース

***************************************

その1

戦争の経緯

・ このシミュレーションの想定として:
2030年を想定
ロシアは関与してこないと想定

経緯1

勃発
北朝鮮が黄海で韓国の船舶と航空機に潜水艦とミサイルによる
攻撃を実施、また韓国北西部諸島にある韓国海軍基地にも精密
誘導ミサイルとロケット弾とで攻撃を加えた。これは韓国が
北朝鮮の主権を侵害したことに対する報復行為だと、北は主張。
だがアメリカの諜報諸機関は、韓国軍とアメリカ軍の兵力増強や
北朝鮮国内での政治的圧力の上昇といった要素のため <対応策を
講じよという> 時間のプレッシャーが金正恩を襲っていた、
と分析。

展開
韓国は北の各地にある軍事標的に攻撃を開始。そこで北は韓国の
軍事施設2か所に化学兵器で応戦。北は、アメリカ軍の介入や
アメリカから北指導層への脅迫、核の使用があった場合には、
北朝鮮は核で応酬するぞと警告。韓国とアメリカの統合軍事
指令室(SFS)は、北の核使用と中国の介入とを抑止しながら
北朝鮮軍の攻撃を決定的に打破する、という方針で合意。中国は
停戦と両軍の撤退とを求めながらも、自軍による介入の準備を
進めている。

後に結局、中国は北に加勢して介入。
北朝鮮は小形戦術核を使用、明らかに日本海にあった韓国海軍の
駆逐艦を標的にしたものであった。
米韓側は、通常兵器による選択的集中攻撃で対応しながら、
米韓には金政権の打倒や核兵器使用の意図はないと、北と中国に
約束する。ただし、北が再度核兵器を使用しない限り、
という前提だ。

この経路1の最終結果は、未定。
<上記で、文字色協調は私>
******************************

たとえばイスラエルはおそらく内緒の核兵器を持ってますが、2025年6月、イランからの攻撃を受けましたよね。
「核抑止」には限界が。
上の黒いメニューにあるページ nd-1) 参照。

無論、私はこんなシナリオが実現してほしくございません。
ただ、こうなる可能性も現実にあると考えるので、知って
おこうと思うのですね。

で、上記の経路1の場合、小形戦術核とはいえ北朝鮮が核を
使用している点にご注目ください。
アメリカにはあれだけの核兵器があるのに北が先に核兵器を
使用すると、専門家たちが認識しているってことですよね。
「核兵器さえ充分に保有しておけば、敵の核攻撃を抑止できる」
というMAD理論は、現実には通用しないと、専門家たちが考えて
いるってことです。

ご存じの通り、
現在のアメリカが保有する核兵器は戦略つまり大型が多く、
戦術核が少ない
そのため、敵が小形戦術核で攻撃してきた場合、下手に戦略核で
報復してしまうと、「過剰報復」と見なされてしまう
といった問題があります。

こういった問題が現実には絡んでくるので、ナンデモカンデモ
核兵器を保有すれば「抑止」できるわけじゃない、という
ことになります。

かといって、
「じゃあ、日本が独自に戦術核を持てば?」という発想も
あろうかと思いますが、戦術核や核施設そのものが敵の
攻撃標的となりえますよね。

あくまで、核は廃絶するのが基本的な正しい方針だと考えて
おります。

では、次回は同じシミュレーションの「経緯2」を紹介しますね。

まだ次がある~~
私の昔のスケッチ

 

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Atlantic Councilのシミュレーションを紹介する準備中

昨年5月のものですが、Atlantic Councilというアメリカの
シンク タンクが、東アジアでの戦争勃発に関する
卓上シミュレーションを発表していました。
A rising nuclear double-threat in East Asia: Insights from our Guardian Tiger I and II tabletop exercises – Atlantic Council

そのシナリオでは、北朝鮮が韓国に対して戦術核兵器を
使用するとあります。

こういうものを紹介すると直ちに、
「ほら、だから日本も核武装せよ!」とか
「そんなシミュレーションは、恐怖で人心を煽り
核武装を推進させようという罠だ!」
といった「発作的な」反応が返ってきやすいものです。

でも、「発作反応」はやめて、まずはそのシミュレーション
そのものを冷静に見ようじゃないですか。

ただ、そのシミュレーション紹介が30ページほど
ある長いものなので、準備に時間がかかっております。
しばし、お待ちくださいな。

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念のため、ヴェネズエラの「核の今まで」

念のため、ヴェネズエラの「核の今まで」

The Nuclear Threat Initiative (NTI) という、大量破壊兵器の廃絶を求めるNPOがあります。
アメリカのワシントンDCに本部があります。
ウェブサイトは
NTI | Advancing Global Nuclear and Biological Security

そのウェブサイトに、各国の核事情を紹介するページがあります。
そのヴェネズエラに関するページから、私が抜粋して日本語化紹介してみます。
Venezuela

<  > 内は、私からの補足説明
********************************

ヴェネズエラが生物兵器や化学兵器、核兵器を保有したことはない。弾道ミサイル開発プログラムもないが、国防問題との関連ではロシアならびにイランと密接な協力関係にある。チャヴェズ前大統領の政権時代には、核エネルギー利用開発に対する関心を表明していたものの、財政緊迫が続いており開発計画は進んでいない。

核兵器

核兵器を保有したことも、その取得を真剣にもとめたこともない。2018年には、核兵器禁止条約(TPNW)を批准している。

2008年に核利用での協力のための一般合意をロシアと締結しており、ロシアを同盟国とみなしている。2008年から今までに、ロシアはトゥポレフという核兵器搭載可能な爆撃機を3度、ヴェネズエラに飛行させている。

2009年には、埋蔵ウラニウムの探索でイランと協力している。

***************************

私たちが一緒にいちゃ、いけないの??
私のクロッキー(速写画)、Croquis Cafeベース

どうもこうした事実を考えると、ヴェネズエラの石油が欲しいアメリカが、ヴェネズエラがロシアやイランと同盟的関係にあることを警戒、政権転覆をはかったというように思えるのですが~~

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ボルトンさんの説明 ー ヴェネズエラ侵略について

Business Todayウェブサイトより
Forward base, uranium reserves: Ex-US NSA details Russia-China-Iran power play in Venezuela

まあ、攻め入った側の弁明も聞いておきましょう。
元National Security Adviser (国家安全保障問題担当
大統領補佐官、NSA)のJohn Boltonさんの見解が、
報道されています。
やはりというか、核問題も絡んでいるようですね。
ただ、その「ウラニウム埋蔵量」というのが~~

Business Todayによる報道を、私の抜粋・要約・日本語化で。
<  > 内は、私からの補足説明
*****************************************

あいつらもいるじゃないか~~


前線基地とウラニウム埋蔵: アメリカの元NSAが
ヴェネズエラでのロシア・中国・イランのパワー
プレイを語る

Business Today Desk
2026年1月6日

アメリカの元国家安全保障問題担当大統領補佐官 <NSA> の
John Bolton が述べたところによれば、Nicolas Maduro
政権下のヴェネズエラは <アメリカに> 敵対する諸国の
前線基地に化していた。その敵対勢力とは、ロシア、中国、
イラン、キューバである。Boltonによればそうした諸国の
活動は石油権益からヒズボラへの協力、さらに埋蔵
ウラニウムにまで及ぶもので、アメリカの国家安全保障に
とって直接の脅威であった。

Bolton の主張では、アメリカのドナルド トランプ大統領が
<先日> ようやくMaduro大統領 <を拉致するという>
動きに出ることを決定したのだが、 もっと早く動くべき
であった。だがBoltonは、Maduroの追放は最初の一歩に
過ぎず、<ヴェネズエラの> 政権そのものは今も揺るいで
いないと警告している。

MS Nowとのインタビューで、Boltonは述べている:「私と
しては。今回のような措置を2019年にやっておくべき
だった。それでも、やらないよりはマシだったのだ。
Maduroの追放はまさしく取るべき措置であり、正当化
できる理由はいくつもあって、アメリカの国家安全保障に
直接にかかわるものだ」

・・・(中略)・・・

・・・  「ここで重要な問題の1つとして、<アメリカに
敵対する> 勢力が数か国いるのだ。ロシア、キューバ、
中国、イランだ。彼らは、Maduro政権をぜひとも存続させ
たかった。これは即ち、アメリカの国家安全保障に対する
脅威である」と、Boltonは語った。

実は、相手は一人じゃない!

・・・(中略)・・・

・・・  元NSA <のBolton> によれば、中国にとっては
ヴェネズエラの意味とは主にエネルギーそして再建の
可能性にある。「中国は世界中で石油を手に入れようと
しているが、<現時点では> 損壊しているヴェネズエラの
石油関連インフラを再建する能力を有している。そう
なれば <ヴェネズエラは> 再度強力な石油生産国となり、
中国はそれをフルに活用できる」

さらにBoltonによると、イランのヴェネズエラとの関わりも
外交という域をはるかに超えたものだ。「イランも長年に
わたり <ヴェネズエラに> 入り込んでおり、全世界にある
イラン大使館のうち、<ヴェネズエラの首都> カラカスに
ある大使館が最大のものである。イランはそれを利用して
西半球でのヒズボラの活動を調整し、マネーロンダリング
を行い、それらはアメリカの経済制裁に違反した石油販売で
得た資金で行われているものだ。さらに、ヴェネズエラが
抱える豊富なウラン鉱石に睨みを効かせている
のだ」

  • ・・・(以下略)・・・

    文字色強調は、私>
    *************************************
    最後のヴェネズエラのウラニウム埋蔵(very extensive
    Venezuelan reserves of uranium)なのですが、これが
    不思議で仕方ありません。
    どなたか、詳しい方は私(ひで)にまでご教示ください
    ませ。
    yadokari_ermite[at]yahoo.co.jp
    です。

    よく見てみれば~~
    私の15分クロッキー、Croquis Cafeベース

    たとえば英語版WikipediaでNuclear power in Venezuela
    というページを見ると、同国の未開拓のウラニウム
    埋蔵量は50トン程度だそうです。
    (— the government estimates that 50 tonnes of unexploited uranium ore are available in the country.)
    この数値、たとえばウラニウム輸出の代表国の1つである
    カザフスタンと比べてみてくださいな:
    World Nuclear Associationのウェブページ
    Uranium and Nuclear Power in Kazakhstan – World Nuclear Association
    を見ると、
    Kazakhstan has 14% of the world’s uranium resources and
    in 2024 produced about 23,270 t U.

In 2009 it became the world’s leading uranium producer,
with almost 28% of world production. Today Kazakhstan
produces over 40% of the world’s uranium.

とあります。
こうした数値と比べて、ヴェネズエラのU資源にはイランが
欲しがるほどの魅力が??
何か、公表されていない「秘密のU鉱山」でもあるので
しょうかねえ??

ご存じの方、お知らせくださいな。

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13枚に増えた!

日本聖公会さんの「原発問題プロジェクト」の
ウェブサイト
原発問題プロジェクト | 日本聖公会 正義と平和委員会 |
に私が連載を担当することになり、その原稿作成に追われて
追われていると下で申しました。その一環としてマンガや
説明図を11枚とも申していたのですが、それが13枚に増えました。
やれやれ~~

その13枚が終わったら、またいつものポストに戻りますね。

13枚の一例、まだ鉛筆段階。原子炉の「臨界」の解説

 

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マンガ11枚で多忙中

祝福溢れる2026年を皆様に願いながら ・・・

日本聖公会さんでは以前から、「原発問題プロジェクト」なる活動を
展開してらっしゃいます。
で、私もそれに協力、「Gen III とIV」原子炉に関する連載を作成する
ことになりました。

この連載では多数の説明図やマンガを使うので、今もマンガ11枚を
作成中です。

その11枚が終わったら、いつものここでの投稿を再開しますね。
しばしお待ちくださいな。

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2026年の1発目

厳密にいうと、これを書いているのは2025年12月
31日の早朝でして、まだ新年を迎えるカウントダウンが
半日ほど後にあるのですが~~
とにかく、2026年が皆様にとって祝福の1年となり、
核廃絶が大きく進む1年となりますように!

一足先に、2026年の投稿第1発目をアップロードしますね。
上の黒いメニューの終わり近くにある新たな固定ページ
付録 w-21) です。

CO2さえ出さなけりゃ、いいのか??
という内容です。

核発電推進勢力はここ2~30年ほど、「原発はCO2を出さない」
との主張をプロパガンダしていますが・・・
「やかんをのせたら~~」ではとっくに、この問題の真偽を
扱っていますが、今回は
本当にCO2を出さないと想定して、CO2さえ出さなきゃ
いいのか??
という切り口です。
温排水や熱い水蒸気の排出は、問題にならないのか??

上の黒いメニューの終わりの方、付録 w-21) をクリック!

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NPT加盟国なら、自国でU濃縮する権利が保障されているって ~~???

The Foundation for Defense of Democraciesのウェブサイトより
9 Myths About Iran’s Uranium Enrichment Program

9 Myths about Iran’s Uranium Enrichment Program
(イランの核プログラムに関する、9つの神話)

私(ひで)は、なにもアメリカやイスラエルのサイドに立ちたい
わけじゃ、ありません。
ただ、誰様の主張であれ、根拠があるのか否かは問題にせざるを
得ないのですね。
その意味で ・・・

以前からイランは「NPT条約の下で、U濃縮はイランの当然の
権利だ」と主張してきたのですが、はたしてNPTにはそんな
規定があるのでしょうか??
The Foundation for Defense of Democraciesの研究フェロー、
Andrea Strickerさんによる論考を紹介しますね。

要約・抜粋・日本語化で紹介しますね
<  > 内は、私からの補足説明です
************************************************
Andrea Strickerさん(核不拡散プログラムのディレクター
代理、研究フェロー>
2025年5月21日 <6月の軍事攻撃以前のものである点には、
ご注意くださいな>

トランプ大統領とその政権は、イランがその核兵器プログ
ラムを完全かつ恒久的に廃止し、それを検証できるようにせよ
と要求してきている。それには、イランが濃縮ウラニウムを
製造する能力の廃棄も含む。その廃絶が、どのような核合意を
今後締結するにせよ、その前提となるのだ。だが、イランの
ウラニウム濃縮プログラムに関してはいくつもの誤った神話が
あり、その脅威が歪曲され、今後の存続もいびつに正当化され、
その過去や性質も誤って伝えられている。核プログラムの
廃止を実現させたいのであれば、そうした神話の誤りを
証明することが不可欠だ。

鏡に映る像は、実物そのものではない ・・・
私のクロッキー(速写画)、Croquis Cafeをベースに


神話その1:
 イランには、ウラニウム濃縮する
法的な権利がある

事実は: 無条件でウラニウム濃縮を行う権利など、
イランにはない

核兵器製造の第一歩となるのが、核兵器に必要な爆薬の
製造だ。イランは既に60%の濃縮を達成しており、
・・・(中略)・・・ この濃縮度にまで達してしまうと、
核兵器グレードのウラニウムを製造する作業の99%は達成済み
なのだ。イラン政府はたびたび、核不拡散条約(NPT)の
締結国であるイランにはウラニウム濃縮を行う法的な権利が
あると主張してきたが、実はNPTの規定には、ウラニウム
濃縮やプルトニウム再処理を 締結国が行う権利を有すると
明言している条文など、ないのだ。・・・(中略)・・・

NPT の第4条には、「核エネルギーの研究・製造・利用を
展開する、犯すべからざる権利」を締結国が有すると明記
してある。<下記の*参照> ただし、それは「平和目的」
のものに限定される。しかもそうした研究も、同条約の
第1条と第2条とに準じて行わねばならない。この2つの
条文は、核兵器の譲渡や受領を禁じている。イランはもう
何年もこの第2条に違反しており、これは非核兵器保有
締結国が「核兵器やその他の核爆発装置を製造、あるいは
その他の手段で入手してはならない。また、核兵器や
その他の核爆発装置の製造のためのいかなる支援も求め、
ないしは受けてはならない」と定めているのだ。このため
IAEAは2002年以来現在までイランの核関連活動の監視を
続けている。2006年以降、国連の安全保障理事会はこと
あるごとにイランに対し、「ウラニウム濃縮とプルトニウム
再処理に関する一切の活動を停止するよう」要求して
きている。これには「研究開発活動も含む」

<* NPTの条文は、いずれ紹介しますね>

いい加減なマシーン ・・・


神話その2:
 イランは核兵器保有を目指しては、
いない  

事実は: 将来の核兵器製造に役立つような取り組みを、
イランは積極的に進めている

2025年2月のNew York Timesの報道によれば、アメリカと
イスラエルはイランの秘密チームの存在を発見した。この
チームは「粗末な」核兵器の製造に取り組んでいる。組み
立てるために必要となる核実験や機能保証が少なくて済む
核兵器だ。現時点でイランには、最低でも核爆弾7個を製造
できるだけの高濃縮ウラニウムがある。

さらに2024年始めにアメリカとイスラエルは、イランが
「兵器化」にかかわる二重用途の活動 <つまり、核発電と
核兵器という二重用途> に取り組んでいたことを検知した
と報じられていた。つまり、核の装置の製造であった。
<当時の> バイデン政権は、そうした取り組みをやめさせ
ようと、警告を発した。同年7月にはアメリカの国家情報
長官室 (Director of National Intelligence、ODNI)も、
それまで長年抱いていたイランは核兵器保有を目指しては
いないという見方を変更した。そして10月、イスラエルが
<イランの> タレガン2という施設を破壊した。これは、
パルチンという複合軍事施設の中にある核施設だ。<なお、
2025年10月の時点で、再建工事が行われていた模様です:
詳細は、ここをクリック> この核施設でイランは、核兵器
開発に関わる実験を進めていたようだ。

・・・(中略)・・・

神話その3: イランの核施設を攻撃すると、
放射線漏出の関わる災害を招く

事実は: イランに軍事攻撃を実施しても、死の灰を招く
ことにはならない

・・・(中略)・・・.

さらにイランの3か所にあるウラニウム濃縮施設や転換
施設に大規模なバンカーバスターの攻撃を行ったとすれば、
施設内にある濃縮ウラニウムのストックを地下に埋め、
拡散を制限する結果になる可能性もある。仮に最小限の
大気中への漏出が発生したとしても、環境や健康への被害は
局所的なものに留まろう。エスファハンのウラニウム転換
施設から酸化ウラニウムの放出があれば、もっと被害はひどい
ものとなるだろう。そうであっても、その被害範囲は限られた
もので同施設のすぐ周辺に限定されるはずだ。周辺住民の
被爆は、回避できよう。

ファイルを見ると ~~


神話その4:
 イランの核プログラムは平和利用の
ものだ

事実は: 2025年2月という遠からぬ時点でのIAEAの
報告によればイランの核プログラムが「平和目的のみ
のもの」だという「保証はできない」

・・・(中略)・・・ イランは2015年に一度は核合意を
締結、そこではNPTの規定に則り決して核兵器を
入手しないと繰り返し約束していたのだが、一方で2004年
以前の核兵器製造の計画を詳細に記した核開発関連ファイル
のアーカイブを秘匿していた。このアーカイブのファイル
から、イランは当時国際社会からの非難とアメリカによる
軍事攻撃の公算の大きさとから、2003年半ばには核兵器の
製造を中止するものの、製造できる能力は保持するという
選択をしたことが判明した。 ・・・(中略)・・・

神話その5: イランは自国の原発の燃料とする
ために、ウラニウムを濃縮する必要がある

事実は: イランには稼働中の原発は1か所だけだが、
その燃料はロシアが供給している

確かにイランはウラニウム濃縮に何千億ドルもの資金を投じ、
国内の3か所の核施設で何千キログラムものウラニウムを
濃縮、それを「産業用」の濃縮プログラムだと主張している。
つまり、発電用原子炉の燃料だというのだ。ところが、
ブシェールにある同国唯一の稼働中原発の核燃料を自給
できずにいる。そのうえ、イラン政府はさらに原発を増設
する計画でいるのだが、それもロシアが建設を担当する。
ロシアは通常、<他国で> 原発を建設した場合、その
核燃料も供給している。2015年の核合意では、イランは
テヘラン研究原子炉という小型原子炉のための20%濃縮
ウラニウムもロシアから輸入する計画でいた。この小型
原子炉は、医療用の同位体を製造するためのものだ。
イランはいずれ、また同様の輸入を考える可能性もある。
つまりイランの濃縮プログラムは昔から常に、核兵器用の
濃縮ウラニウムを製造することに向けられたもので
あったのだ。

あそこで売ってるけど、自分で ・・・


神話その6:
 イランは国外からは濃縮ウラニウム
燃料を入手できず、国内で濃縮を行う能力を
保持する必要がある

事実は: 国際市場で多くの諸国が濃縮ウラニウム燃料を
商業的に販売している

現時点でウラニウム燃料を供給販売している諸国としては、
フランス、中国、ロシアがあり、さらにURENCOという
コンソーシアムもある。これは、英国・ドイツ・オランダの
多国籍コンソーシアムだ。アメリカも近い将来、商業規模での
濃縮ウラニウム燃料の製造を開始する。またカザフスタンに
あるIAEAの核燃料バンクは、原子炉用低濃縮ウラニウムの
供給が厳しくなった場合に備え、最後の供給源となっている。
そのうえ、世界では23の諸国が平和目的の核エネルギーの
プログラムを展開しており、そのために必要な核燃料を輸入
している。これら諸国は、ウラニウム濃縮とプルトニウム
再処理という経費が巨額で核兵器の拡散にもつながりかねない
プロセスを破棄したのである。

神話その7: 低濃縮ウラニウムであれば、核兵器
拡散リスクなしに、イランは製造できる

事実は: イランが国内で濃縮能力を有していれば、たとえ
低濃縮であっても、核兵器グレードのウラニウムを製造する
能力とインフラストラクチャーとをイランが有している
ことになる

例として、イラン政府が何かの核合意を締結し、製造する濃縮
ウラニウムは3.67%まで、つまり原子炉用核燃料のレベル
までにしたとしても、3.7%までの濃縮が出来れば、核兵器
グレードにまで濃縮するための作業のうちおよそ70%は完了
したことになるのだ。<下記の * 参照>  科学国際安全保障
研究所 <Institute for Science and International Security、ISIS、
アメリカの非営利・非政府研究機関> によれば、イランの
掌中に低濃縮ウラニウムのストックと最新式の高速遠心
分離機 <ウラニウム濃縮に使います> 13,000台以上とを
残す以上、イランのいわゆる「breakout time」つまり核兵器
グレードのウラニウムを製造するための所要期間は、1か月
未満となる。兵器グレードの核燃料をイランが製造できない
ようにできる確実な方法とは、ウラニウム濃縮ならびに
プルトニウム再処理能力のすべてを、完全かつ恒久的に
破棄し検証することだけなのだ。

<* U濃縮は「線形的に」つまり正比例的に濃度が高まる
わけではなく、最初の0.7% から1%、2%、3%と高めていく
「最初のプロセス」が大変なのです。いったん4%まで
高めると、そこからさらに濃縮していくのはかなり楽に
なります。特に20%前後まで達すると、核兵器グレード
までの道のりは遠くありません>

俺たちはやってない、あいつはやってる


神話その8:
 ウラニウム濃縮とプルトニウム
再処理なんて、世界で広く行われている

事実は: ウラニウム濃縮とプルトニウム再処理とは、
少数の国しか行っていない

アメリカとその同盟諸国は方針として、ウラニウム濃縮と
プルトニウム再処理の能力とを厳密に管理し、その普及
防止に努めてきている。NPTへの参加・不参加を問わず
核兵器を保有している9か国を除けば、ウラニウム濃縮を
行っているのはアルゼンチン、ブラジル、ドイツ、日本、
オランダだけである。ただし日本だけは、ウラニウム濃縮
とプルトニウム再処理の両方を行っている。<なぜ日本
だけが?これ、結構な謎なんですよ> イランとは異なり、
こうしたNPT加盟の核兵器非保有諸国はいずれも、IAEAの
セイフガードに違反していないか、核兵器製造の活動を
秘密裏に行っていないか、というIAEAの査察を今の
ところ受けていない。

核は闇の中で美しいのだ


神話その9:
 イランのウラニウム濃縮プログ
ラムは、自国で独自に始めたものだ

事実は: イランの <核開発用> 機材は非合法に入手し、
施設も秘密裏に建設したもので、そのウラニウム濃縮は
合法的な <IAEAの> セイフガード規定 <核の拡散を
防止するための規定> に違反するものだ

秘密裏の核兵器開発プログラムを進めていた他の諸国、
たとえばリビアや北朝鮮もそうであったが、イランも最初に
入手したウラニウム濃縮用のガス遠心分離機技術は、
パキスタンに本拠を置くA.Q. Khanのネットワークの闇市場
<下の*参照> ならびにドイツの企業の汚職エグゼクティブ
たちから手に入れたものであった。そのようにして、NPTに
直接的に違反してイランは秘密のうちに <核物質製造の>
能力を身に着けたのであった。

<* Khanの闇の核ネットワークについては、上の黒い
メニューにある次の各ページで既に言及しております:
b-11) の中ほどの「カーンの参入」という段落、
f-3) の「・・・「カーンの闇のネットワーク」です」という段落
f-8) の「闇に潜む核」という段落

***********************************

繰り返しますが、私は何もアメリカのサイドに立ってイランを
非難したいわけじゃ、ありません。
そうじゃなくて、このイランの実例は、今後の他国による
「秘密の核兵器開発」を防ぐための知識・洞察として役立つと
考えるのですね。

Mirror, Mirror, on the wall —(物事には表と裏が)
私のクロッキー(速写画)、Croquis Cafeをベースに

 

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アメリカとイラン、核交渉再開のための条件を巡り国連で衝突

Israel National Newsのウェブサイトより
英語の元記事は、ここをクリック

US and Iran clash at UN over conditions for reviving
nuclear talks

(アメリカとイラン、核交渉再開のための条件を巡り国連で衝突)

ああ、やっぱり~~という感じの記事内容です。核交渉を本気で
するのなら、
相手の核施設に軍事攻撃をするなんて ・・・


これじゃ交渉なんて、できない
私の作品”Suspicion-Mutual”

抜粋・要約しての日本語化です。
<  > 内は、私からの補足説明
*****************************************

国連という場でアメリカとイランが、核交渉をめぐり熾烈な言葉を
応酬した。アメリカ政府が <イランの> ウラニウム濃縮の
全面廃止を求めたのに対し、イラン政府はそれが「不公正な」条件
だと拒否。

2025年12月24日
Elad Benari記者

火曜日 <12月23日>、国連安全保障理事会でアメリカとイランが
衝突した。核交渉を再開するための条件に関する衝突であると、
Reutersは報じている。

アメリカ政府は直接交渉を再開する用意ができていることを再度
確約したのだが、そのためにアメリカが要求している条件を
イラン側は「不公正」だとして拒絶した。

両国は6月のイラン対イスラエルという12日間戦争以前に、5回の
交渉を実施していた。12日間戦争では、アメリカ軍はイスラエル軍に
合流してイランの核施設を攻撃した。

そうした交渉だが、ウラニウム濃縮という問題で難航した。イランが
核兵器を開発することを防ぐため、西側諸国はイランによる
ウラニウム濃縮をなしにしたいのだが、それが交渉での大きな難点に
なっている。イラン政府は、同国には領土内で濃縮を行う権利が
あると主張して譲らないのだ。

・・・(以下略)・・・
*******************************

イランが主張している「NPTの下でU濃縮を行う権利」については、
異論があります。
The Foundation for Defense of Democraciesのウェブサイトより、
下記をご覧くださいな:
ここをクリック

・・・ とはいっても英語での論考なので、次回以降、このAndrea
Strickerさんによる論考を、抜粋・要約で日本語化して
紹介しますね。

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