UPIの記事で、原発の「軍事的リスク」のまとめ

(2022年8月24日)

Shelling of Ukraine nuclear power
plant exposes multiple risks
(ウクライナの原発での砲撃から、
多数のリスクが)

ロンドンのキングズ カレッジで研究ならびに知識拡散担当
マネジャーを務めてらっしゃるRoss Peelさんが、2022年8月22日
現在でのザポリージャ原発が抱えるリスクを まとめて
くださっています。
特に目新しい内容はないのですが、現時点での主なリスクを
要約的に把握するには、良いテキストです
ですので、いつも通り私が抜粋・日本語化して紹介しますね。
例によって、< > の中は私からの補足説明です。

Shelling of Ukraine nuclear power plant exposes multiple risks – UPI.com
2022年8月22日
Ross Peel, King’s College London

Felt-tip marker on paper / 紙にマーカー
ああやだ、もう考えたくもない~~
私の点描練習

********************
Aug. 22 (UPI) – ロシア軍が占拠しているザポリージャ原発では
このところ、砲撃が激化しており、安全性に関する憂慮が
世界的に高まっている。この巨大原発の稼働はウクライナ人
スタッフが続けており、厳格な管理をストレスの激しい条件下で
実施している。

攻撃と損害発生が続く中、ロシアとウクライナ両国はお互いへの
非難合戦を続けている。今回の紛争では情報操作とフェイク
ニュースが大きな役割を演じており、正確な状況は明らかに
なっていない。

・・・(中略)・・・

同原発の原子炉は強度の高い建屋の中に納まっている。
こうした建屋は内部での爆発があっても耐えられるように設計
されており、外部からの力にもある程度抵抗できる。だが、
確かに最近の原発は航空機の衝突にも耐えられるようには設計されて
いるものの、意図的な砲撃にも耐えられるか否かについては、
意見が分かれる。何メートルものコンクリートの壁の中には
鉄骨などが入っているのだが、適した武器を選んで集中的に
砲撃を加えれば、建屋の壁を貫通することは可能であろう。
それ以上に懸念すべきかもしれないものとして、建屋外にある
使用済み核燃料の冷却プールだ。そこには強度の放射能を有する
使用済み核燃料が水の中に保管されている。いずれかの冷却
プールに攻撃が加えられれば、放射性物質が大気中に大量に
漏れ出す恐れがある。空からの攻撃に対しては、プールは防御が
比較的弱いためだ。

<冷却水の> ポンプやパイプ類など安全に欠かせない装置は、
原発の稼働を停止させた後でも、なお重要だ。ザポリージャ原発
には全部で6基の原子炉があるが、そのうち3基は停止している。
だが原子炉内にある核燃料も、使用済み核燃料も、稼働停止の後、
もしくは原子炉から取り出した後、数年間大変な高温を保つ。
ザポリージャのような原発の場合、<使用済みの> 核燃料も絶えず
冷却していないと過熱し、爆発性のガスが発生したり、溶融、
発火などの問題を起こす場合がある。そうなると、放射性物質の
漏出も発生しうる。

ザポリージャにある核燃料の場合、余分な熱を除去するため
冷却水を常時流していることが不可欠だ。パイプやプール、
原子炉などへの損傷のためにこの冷却水を喪失、あるいはポンプが
稼働しなくなった場合には、早急に対処せねばならない。
対応が遅いと、危険な結果を招く危険がある。
・・・(中略)・・・

Buttocks too small?? Legs too short?? / お尻が小さすぎ?? 客が短すぎ??
眠らせてもくれない ・・・
私の20分クロッキー
ロシアの戦略

ロシアのヴラディミール プーティン大統領がザポリージャ原発を
管理下に置きたがっているのには、理由がいくつか考えられる。
1つには、同原発からウクライナへの送電をカットしたいのかも
しれないが、今回の侵略開始の時点で同原発はすでに低電力モード
での稼働になっていたので、この影響は限られたものと見られる。
他の意図として、ロシアはこの原発を政治的交渉での条件として
利用、占拠した地域を入手してしまうことの正当化に用いるのかも
しれない。また各種の情報源を見ると、ロシア軍はこの原発に
部隊を配備、兵器類も配置したようだ。これによってこの原発は
一種のロシア軍基地となり、ここから軍事ミッションを開始できる。
しかもウクライナ軍は、この基地に対しては反撃を加えにくい。

ジュネーヴ条約の1977年改訂では、核施設周辺での軍事戦闘を
禁じている。それでも、ロシア軍によるザポリージャ原発占拠に
対処しようとする国際社会の努力は、ほとんどが功を制していない。
IAEAはたびたび、同原発の現状を調査し放射性物質がしかるべき
位置に保管されているか否かを確認する調査団の派遣を求めて
きたが、まだ現地入りを果たしてはいない。

国連は最近、同原発の非武装化を求めたが、ロシアの言い分に
よれば非武装化すれば核施設テロリズムの脅威が発生し、同原発の
リスクがさらに増大してしまうという。セキュリティ確保のため、
同原発を中立的なサード パーティー機関の管理下に置くことが、
適切なソリューションかもしれない。だが、たとえサード パーティー
機関が原発を管理下に置いていても、姿を隠した武装集団が原発に
攻撃を仕掛ける危険性は残る。ロシアは、ザポリージャ原発への攻撃は
ウクライナのテロリスト集団によるものだと主張しており、その
<でっち上げ> 根拠として、テロ攻撃が行われる危険性はあるのだ。

なんにせよ、原発周辺での戦闘行為はやめて もらわねばならない。
さらに、国際機関による検証チームの現場調査を可能にせねばならない。
原発周辺での軍事行動は、できるだけ早急にやめる必要がある。
人命や環境、インフラストラクチャーを守るためだ。
***************

Just a 20-min croquis, "Very low on the floor" / 単なる20分クロッキー、「床に近い低い視点から」
ああ、もう~~
私の20分クロッキー

「やかんをのせたら~~」では、今まで、核発電の軍事的リスクとして
次の4種類を指摘してきました。

1) Proliferation risks ― 核兵器拡散リスク。原子炉がもともと原爆用
Pu製造装置であった以上、核の歴史の初めから今もずっとあるリスク。
本ウェブサイトでも、一番詳細に取り上げてきた。ただ、
なぜか日本で原発問題や新型原子炉開発などが論じられるときには、
素通りされてしまう (推進派と反対派の両方から!) ことが多い。
だが現実には、上の黒いメニューにある付録 w-4) の後半で紹介した、
アル ゴア元副大統領のインタビューをお忘れなく。

2) 巨大ダーティ ボム化リスク ― 原発そのものが、軍事攻撃や
テロリスト占拠などによってメルトダウンを起こす、使用済み
核燃料冷却プールの冷却停止 ⇒ 放射性物質の大量漏出
(上の黒いメニューで、g-5), g-6), u-1), u-2), u-3) など参照)

3) 言いがかりリスク ― 「XX国が、自国の原発や関連施設の地下で、
ひそかに核兵器開発をやっている」 ⇒ その施設を攻撃 という
パターンを実行してしまうリスク。本サイトのページ c-1), c-2) のほか、
2003年3月に始まったアメリカの対イラク戦争も現実の例。
現在のロシアによるウクライナ侵略でも、侵略当初にロシアが
この種の言いがかりをつけていた。

4) 敵軍の基地化リスク ― 上の記事にあるように、敵軍が原発や
核施設を基地にしてしまうリスク。やられると、被害国は反撃が
しにくい。

これらのうち、2) 以外はいずれも、いかんせん現実化してきた
リスクです。2) だって、テロ団体やテロ国家による原発破壊が
いつ現実のものになるか、分かったもんじゃありません。
現実、目下世界がザポリージャ原発に関してもっとも恐れている
のは、このリスクですよね。
(それにしても、現時点でのロシア連邦共和国は、テロ国家と
呼ぶべきでしょうか、テロ団体と呼ぶべきでしょうか??)

結局、現実をしっかりと見つめるなら、
・ 核兵器の拡散を防ぐためにも、
・ 自国を守るためにも、
・ 周辺諸国への放射性物質汚染を防ぐためにも、
核発電は核兵器とともに廃絶するのがもっとも賢明ですよね。

「日本の場合、真冬や真夏の電力需要が・・・」 というのであれば、
11年前、2011年春から 「国内にあるエネルギー源」 の開拓をもっと
進めるべきでした。輸入資源はしょせん、戦争や軍事動向、市況などの
影響を大きくこうむります。日本の場合、私見ではクリーン コール
技術の開発にもっと力を入れておけば ・・・ と思うのですが。

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原発事故があれば、NATO諸国が戦闘に?

VOA News より(アメリカの国営放送VOAは
有名だから、皆様もご存じですよね?)

British Lawmaker: Nuclear Accident Could Draw
NATO Allies into War
(英国の議員、<ザポリージャで> 原発事故が
あれば、)NATO諸国が戦闘に?)

なんとも物騒な発言ですが、現状ではまんざら
「ありえない」 では済ませられないので、余計に
怖いですよね。
「やかんをのせたら~~」 では、「原発が巨大
ダーティ ボムになってしまう」 軍事リスクを幾度も
指摘してきました (上の黒いメニューにある
g-5), g-6), u-1) など) が、さらにそこから世界
大戦がはじまってしまう危険性すら、笑って済ませる
ことはできなくなってる ・・・ ということです。
従来の日本の反原発団体の多くが、なんでこうした
深刻な軍事面のリスクを声高に指摘してこなかった
のか?? ショージキ、私は理解に苦しんでおります。

では、この英国議員の発言を取り上げている VOA
Newsの記事を紹介しますね。

British Lawmaker: Nuclear Accident Could Draw NATO Allies into War (voanews.com)

2022年8月20日

いつもどおり、私の抜粋・日本語化で。
< > 内は、私からの補足説明。

やだ、こわい~~ 私の10分クロッキーより

やだ、こわい~~
私の10分クロッキーより

******************
英国保守党の議員Tobias Ellwoodは、同下院の国防
特別委員会の委員長でもある。そのEllwoodが、
ザポリージャ原発で何らかの核事故が発生した場合には、
ロシア対ウクライナの現在の戦争に、NATOが参戦する
可能性が生じると警告した。

「もうはっきりさせておかないといけないが、ウクライナに
あるいずれかの原子炉に対して意図的に損傷を加え、
放射性物質漏出の危険性をもたらすなら、NATOの規約
第5条への違反となりかねない」 と、同議員は金曜日
<8月19日> に Twitterで述べた。

NATOの条約規約第5条によれば、ヨーロッパか北米かを
問わず、NATO加盟の同盟国のいずれかに対する武装攻撃が
あれば、NATOの全加盟国に対する攻撃とみなされ、
加盟国はすべてその攻撃を受けた当該国を支援するために
必要と判断する措置を講じる義務を負う。

はっきりさせておこう:
ウクライナにあるいずれかの原子炉に対して意図的に
損傷を加え、放射性物質漏出の危険性をもたらすなら、
NATOの規約第5条への違反となりかねない
@ thetimes pic.twitter.com/FFv6KR1xdq

— Tobias Ellwood MP (@Tobias_Ellwood) 2022年8月19日 ]]

フランスのエマニュエル マクロン大統領との金曜日の電話会談で、
ロシアのヴラディミール プーティン大統領は、ロシアは
国際査察官たちが、ロシア軍が占拠しているウクライナの
ザポリージャ原発に入るのを許可すると述べた。同原発は、
ヨーロッパでは最大の核施設だ。

その階段から数時間後、二次大戦後半にナチスが占拠して
いたフランス南部に <英米などの>連合軍が上陸した作戦
<1944年夏のドラグーン作戦のことでしょう> の第78周年の
記念日に合わせた演説をしていたマクロンは、プーティン
大統領がウクライナに 「野蛮な攻撃」 を仕掛けたのは、
帝国主義的かつ報復主義的なこういであり国際法に違反して
いると非難した。

マクロンはフランスの市民に対し、この <ロシアによる>
攻撃が招いたヨーロッパを直撃しているエネルギーおよび
経済の危機はまだ続いており、「われらの価値観、われらの
自由の代価である」 とした。

「ヴラディミール プーティンがウクライナへの野蛮な攻撃を
開始して以来、フランスからもわずか数時間の場所、
ヨーロッパの中で戦争が再び始まってしまった」 とマクロンは
語り、さらにプーティンはその 「帝国主義的な意図」 を
ヨーロッパに押し付け、「諸国の主権や権利を暴虐的に無視」 し
「復讐の悪霊を」 呼び覚まそうとしている、とも述べた。

ヨーロッパでは、ザポリージャと周辺の砲撃のため1986年の
チョルノービ原発災害を上回るほどの破局が起きてしまうのでは、
という憂慮が拡大している。

はやく出かけたいけど ~~ 私の昔のエスキース

はやく出かけたいけど ~~
私の昔のエスキース

IAEAのヘッド Rafael Grossi は、「最近ロシアとウクライナの
両国がIAEAによるザポリージャ原発への調査団派遣を支持する
との意志を表明したことを、歓迎する」 と語っている。

ウクライナのヴォロディミール ゼレンスキー大統領は、
金曜日に毎日の演説において、「ウクライナの外交官たち、
また国連ならびにIAEAへのウクライナ代表者たちは、
ザポリージャ原発への調査団派遣の具体的な詳細を詰めている。
・・・ この作業と計画に協力してくださっているすべての
方々に、私からお礼を申し上げたい」 と語った。

ゼレンスキーはさらに同演説の中で、「放射性物質を
利用したロシアの脅迫が続くようなら、今年の夏は多くの
ヨーロッパ諸国の歴史の中に、最も悲劇的な夏の1つとして
記録される恐れもある。なにしろ、テロリスト国家が原発を
攻撃目標にしてしまった場合のことを想定した対応
指示などというものは、世界のどの原発にもないからだ」
と警告を発していた。
*******************

被害当事国の大統領による最後の言葉、重いですよね。
VOAの英語原文では、
— not a single instruction at any nuclear power plant
in the world envisages a procedure in case a terrorist
state turns a nuclear power plant into a target.
です。

こうした、「既存原発が一種の “核兵器” として悪用されて
しまう」 リスクを、日本でももっと広く論じる必要が
ありますよね。
実際、日本の自衛隊で各種リスクを分析してらっしゃる方々の
見解では、某 一党独裁国家が日本本土に攻め込んできた場合、
最初に上陸・占拠するのは若狭湾にある敦賀原発と見られて
いるそうですし。

神道の神社? そう ”誤解” する方もいらっしゃいますが、都内のカトリック教会です。 私がかなり昔に描いたスケッチ。

神道の神社?
そう ”誤解” する方もいらっしゃいますが、都内のカトリック教会です。
私がかなり昔に描いたスケッチ。

なお、言うまでもなく 「英語のニュースの読み・聞きなんて、
大変だ」 とおっしゃる皆様のために、「やかんをのせたら~~」
では各種の核関連英語ニュースの日本語化紹介をしております。
でも、皆さんがご自分で英語圏のニュースを聞き・読みして
充分に理解し、比較検討できるようになれば、それに
越したことはありません。

そんなことを言うと、
「なんだよ、英語ができなきゃ、原発に反対しちゃ
いけないのかよ!」
といった誤解をなさる方がいらっしゃるものです。
「英語ができなきゃ、原発に反対しちゃいけない」など
とは、私は一言も申しておりません。
ただ、反原発派の中の何十%かが充分に英語での
情報収集や分析、英語圏の反核団体とのやり取り、
英語での世界への情報発信などもできる程度にならないと、
日本の反核運動は 「2011年から今までの、“敗北の11年間”」 を
繰り返すでしょうからね。

上の黒いメニューにある add-4) をクリックして、
ごちゃごちゃの図もご覧ください。
日本の原発関連法規、ホスト自治体の経済、原発作業員の
雇用とよせば問題、原発事故避難者で日本語を話せる方々への
支援といった問題を専門にしたい方々の場合、別に日本語さえ
充分に使えればそれで良いですよね。

でも、たとえば世界での核兵器拡散問題、地球規模の気候変動、
原発が絡んだ軍事問題 (ザポリージャもその1つです)、
新型原子炉、世界的な情報発信などに携わりたければ、現実上、
英語がかなりできないと (1つの目安として、最低でもTOEIC
スコアが750前後以上)、お話になりません。

さらに、原子炉工学を詳しく扱う場合なら、関連論文類
(英語のものが多い) を読めるだけでなく、その中にある
数式も充分に理解できませんと。

「原発問題」 という1つの分野があるわけじゃないので、
一人一人が 「自分は、どの関連問題系に取り組んでいくのか、
何をやるのか」 を明確にすることが必要ですね

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上の黒いメニューの終わりのほう、新しい固定ページ
w-10) 冷却水が ・・・
をアップロードしました。

「風や太陽光と違って、原発は自然環境に左右されず
発電を続けられる!」 という無茶な主張が飛び回っていますよね。

実際には、水蒸気タービンで発電している限り、冷却水が必要
不可欠です。しかも、大量の水が。

干ばつに喘ぐヨーロッパから、DWというドイツ国営放送のニュースで、
原発依存度の高いフランスの原発の現状を伝えてくれています。

YouTubeにあり、
Record drought poses serious threat to Europe’s environment and critical infrastructure | DW News – YouTube
(ヨーロッパの記録的干ばつで、環境と不可欠インフラに深刻な打撃)
というヴィデオです。
2022年8月16日公開のもので、英語です。
英語のニュースを直接聞いてお分かりになる方々は、上のリンクから
直接元のヴィデオをご覧ください。

「英語のニュースなんか、聞いてもわからない!」 とおっしゃる
方々のために、付録 w-10) で私が音声から直接に日本語化したものを。

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ウクライナでの侵略戦争が始まってすぐ、チョルノービ原発が
いったん、ロシア軍に対して ”無血開城” となりましたよね。
なぜ、戦闘がなかったのか?? 大変、不思議でした。

Reuters社もそれを不思議に思われたようで、特別な調査を実施、
7月終わり付でSpecial Reportを発表されました。

そのSpecial Reportの内容、大半を私の日本語化で紹介しております。
かなり長いReportなので、何回かに分けてお読みください
上の黒いメニュー(基本、項目はアルファベット順)で、
u-4) をクリック!

原発の軍事面リスクを現実的に考えるなら、スパイ対策まで
強化せねばならない、
そんな事実がよく分かるレポートです。
しかも、ウクライナでつい最近、実際に起きた問題ですよね。

原発問題を、
(エネルギー問題 + CO2問題) VS (事故問題 + 核ゴミ処理問題)
という二項対立だけで考えていては困る、それがよく分かるレポート
です。
各発電賛成派と反対派の両方にとって重要な事実を突きつけて
くれています。

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「付録の付録」に加筆

2022年8月現在、日本では、政権政党とカルト団体の癒着に
ついて世論が喧しいですね。

その ”家庭連合” (以下、”統一教会”)については、日本国内で
ある集団が遅くとも1970年代から、すでに警鐘を鳴らしていました。
それについて短く紹介する加筆を、上の黒いメニューの末尾にある
「付録の付録」の終わりにいたしました。

本ウェブサイトの本題ではない問題なので、「付録の付録」 としております。
ただ、「旧冷戦構造」 の ”後遺症” が今も世界に緊張や戦乱を招いている
現実の一面として、「勝共連合と自民党の長年の癒着」 を捉えることも
できるかと思います。
世界に核兵器が拡散してしまったのも、元をただせば 旧冷戦の招いた
ところですよね。

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ザポリージャ関連で、ロシアが予想通りの妄言

ザポリージャ関連で、ロシアが予想通りの妄言
(2022年8月16日)

インドの右翼系報道ウェブサイト、RepublicWorld.com より。
Russia calls on US and EU ‘to force Ukraine to stop shelling’ Zaporizhzhia Nuclear Plant | Russia Ukraine Crisis (republicworld.com)
(ロシア、アメリカとEUに、ウクライナがザポリージャ原発への
砲撃をやめるよう圧力をかけよと呼びかけ)

\(;; ^O^) / ははははは、やっぱり言い出しおった!!
皆さんも予想してらっしゃいましたよね! ザポリージャ原発の関連で、
ロシア政府がとんでもない要求を言い出しました。まあ、
「だったら初めから、原発の占拠だの基地化だのするなよ!」 って
ことなんですが、まあ報道を読んで苦笑しましょう!

いつもどおり私の抜粋・日本語化、< > 内は私からの補足説明です。

「あっちは、ずいぶん傾いてるわね」・・・って、自分は?? 私の20分クロッキーより

「あっちは、ずいぶん傾いてるわね」・・・って、自分は??
私の20分クロッキー

****************

最終更新: 2022年8月16日JST

ロシア、アメリカとEUに、「ウクライナがザポリージャ原発への砲撃を
やめるよう」 圧力をかけよと要求

日曜日 <8月14日> ウクライナは、ロシア軍がザポリージャ原発周辺に
砲撃を加えていると非難した。これに対しロシア高官たちはウクライナが
<同原発に> 攻撃を仕掛けているのだと、ウクライナ政府を非難した。

Mahima Joshi 記者

月曜日にロシアはアメリカやEU、その他諸国に対し、ザポリージャ原発
(ZNPP) 周辺での 「裏工作」をやめて、ウクライナに同原発への砲撃を
やめさせてほしいと求めたと、ロシアの通信社TASSは報じている。

ロシア外務省の情報報道担当局長Maria Zakharovaは、「ロシアとしては、
ワシントンやブルッセル <EUの本部>、その他諸国、特にヨーロッパ
諸国の政府に対し、ZNPP周辺での無責任な駆け引きや工作をやめて
直ちにウクライナ政府に働きかけ、同原発並びに隣接地域への砲撃を
やめさせてほしい」 と求めた。

「ウィーンにある諸国際機関 <IAEAなどのことでしょう> へのEU
代表団が、数か国による共同声明を発したが、これがZNPPの核や
物理的なセキュリティに対する脅威に関し、偏向した情報の塊と
なっている」 とZakharova は述べたと、TASSは報じている。
Zakharova はさらに、ザポリージャ州北西部にある都市Energodar と
ザポリージャ原発とへの攻撃はウクライナ政府からの指示に従って
ウクライナの武装集団が行っていることであり、それは疑いようも
ない」 とも語っている。

・・・ (以下略) ・・・
*************

まあ、ここまでで充分でしょ? ここまで予想通りの発言が国際舞台で
出てくると、苦笑するしかないじゃないですか。
上の記事をさらに紹介するよりも、ウクライナ側の報道を見てみましょう。

自分をまっすぐにして見直してみたら? 私の20分クロッキー

自分をまっすぐにして見直してみたら?
私の20分クロッキー

キーフに本社を置くUkrainian News Agency (1993年設立) の
ウェブサイトより。

Russia’s Nuclear Terrorism. Rada Asks UN To Introduce New Sanctions Against Russia Due To Enerhodar Shelling | Ukrainian news (ukranews.com)

(ロシアによる核テロリズム。<ウクライナ国家議会である>Radaは
国連に対し、<ザポリージャ原発のある> Enerhodarでの砲撃に応じ
ロシアへの新たな制裁を要求)

2022年8月15日
Таня Герасимова記者

**********************
<ウクライナの国家議会> Verkhovna Radaは国際社会に対し、
ロシアの核産業全般に対し制裁を発動するよう求めた。特に、
<ロシアの国営核企業> Rosatom が主な対象で、これはロシア軍
部隊によるザポリージャ原発への砲撃に対応した制裁だ。

この制裁呼びかけはこの国家議会での決議草案第7667号で、可決には
最低で226票が必要だが、賛成301票で採択されたと、Ukrainian News
Agencyは報じた。

この草案を見ると、RadaはIAEA加盟各国の議会や政府に対し、ロシア
連邦が同原発を占拠しそこで砲撃や地雷敷設を行った事実を認めて
ほしいと求めている。そのため、世界の安全と存続が脅かされており、
これは核テロリズムに他ならない。

同決議はさらに、国連 (UN) やEU、欧州評議会、欧州安全保障協力
機構 (OSCE)、そしてIAEA に 対し、ロシアの核産業全体に対する
制裁を求めている。特にRosatom社、同社を構成しているすべての企業や
組織体、それらのすべての系列企業が対象の制裁であり、その所在地が
ロシア国内か国外かを問わない。さらに、ウクライナに敵対的なロシア
連邦の政策の実行に責任がありウクライナの領土での核テロリズムの
意思決定や実行に直接に関与したRosatomならびに系列各社の指導層に
いるロシア人個々人も制裁対象となる。

さらにIAEA総会に対し、IAEA加盟国としてのロシアの特権や権利の
一時停止、さらにIAEA理事会でのロシアの投票権のはく奪、IAEAの
後援の下で行われる技術協力プログラムや科学技術交流、国際研究
プロジェクにロシアが参加する機会のはく奪、そして国連とIAEA
合同セキュリティ チームの編成とザポリージャ原発への派遣、
さらには同原発の非武装化と武装ロシア軍部隊およびその装備の
同原発ならびに周辺地域からの撤退を求めている。この周辺地域には、
Enerhodarの都市も含まれる。
… (以下略)
*********************

視点を変えてみてみれば ・・・ 私のオイルパステル練習より

視点を変えてみてみれば ・・・
私のオイルパステル練習より


戦争の展開や状況については、情報戦やプロパガンダが常に絡み
つくので、いたずらにどちらかのサイドの主張を信じることは、
してはいけません。
しかし。本件に関しては、そもそも初めからロシア軍が原発の占拠
なんて馬鹿げた真似をやらかさなきゃ、この罵倒合戦そのものが起きて
いなかったことは明らかです。
こういう 「とんでもないテロ行為をしでかしといて、しかも反省
しないで被害者のせいにする」 テロリストまがいの国家が地球上に
ある現状で、原発にはどれだけの軍事リスクがあるのか ・・・
今後の日本の反原発派は、もっと核発電の軍事リスクを訴えるべき
でしょう。
現実に発生しているリスクなのですから。
そしてもちろん、この
敵国軍による原発占拠 ⇒ 巨大ダーティボム化リスク
以外にも
・ proliferation risks (核兵器拡散につながるリスク)
・ 言いがかりリスク (敵国が、“XX原発の陰で、核兵器開発が” という
言いがかりをつけて攻め込んでくるリスク。今回のロシアによる
ウクライナ侵略でも、この言いがかりがありましたよね)
があることを、お忘れなく。

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u-4) (ウクライナ) 作成中

固定ページ u-4) を作成中です。
ロシアがウクライナ侵略を始めたとき、チョルノービ原発は
ほぼ無抵抗に占拠されましたよね。
その時点から、私も含め多くの方々には疑問であった
事実です。

侵略開始以前からロシアのスパイ網が工作をしていたのが
大きな要因だったようで、それについてReutersが調査を実施、
Special Reportを公表しています。

2022年7月28日付の
How Russia spread a secret web of agents across Ukraine (reuters.com)
(ウクライナ全土に、ロシアが秘密のエージェントのウェブを張り巡らせていた様子)
というレポートです。
原文で読める方は、上のリンクで元記事をお読みくださいませ。

日本語版がネット上に見当たらないので、「英語の元記事を読めと
言われても ・・・」 とおっしゃる方々のため、
固定ページ u-4) では同レポートの大半を日本語化しております。

原発の軍事関連リスクを考えるうえで、重要なレポートです。
国家の正規軍が攻め込んでこなくても、国際テロ組織がスパイ網を
潜入させ、原発内部にスパイを忍び込ませたら~~??
そしてテロ組織が原発を占拠した場合、自衛隊も警察も
いたずらに手を出せないですよね。
ページ g-5) の終わりに紹介した実例も、お読みくだされば。

公開するまで、しばしお待ちくださいな!

 

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BBC Newsより、ザポリージャ原発の内情

(2022年8月12日JST)

Zaporizhzhia nuclear workers: We’re kept at gunpoint by Russians – BBC News
(ザポリージャ原発の作業員: 絶えず、ロシア軍の銃口がこちらをにらんで)

James Waterhouse記者
BBC News、キーフ
2022年8月12日

ザポリージャ原発の情勢、頻繁に報道が入っています。
今日は、BBC Newsのものを私の抜粋と日本語化で。
例によって、< > 内は私からの補足説明です。

20-min croquis / 20分クロッキー
武器を持たぬものを捕虜に ・・・
私の20分クロッキー

**************
ロシア軍に占拠されているザポリージャ原発に勤務するスタッフ
がBBCに、同原発を軍事基地として利用しているロシア軍部隊に
銃口を向けられている現状を説明してくれた。

侵入部隊はヨーロッパ最大の同原発を今年3月初めに占拠、それ以来
選挙を続けている。だが、今も稼働作業に当たっているのは、
ウクライナの技術者たちだ。

ロシア政府はこのところ、同原発を 「盾」 として利用していると
非難されているが、実際占拠している部隊は同原発から周辺地域に
ロケット弾を発射している。

この木曜日 <8月10日> には、砲撃の激化が報じられた。国連
事務総長が、核施設の近くでの戦闘は 「大災害を招きかねない」 と
新たな警告を発した。

<同原発の> 作業員2名がBBCに、連行されるかもしれないという
日々の恐怖、そして核の破局を見るか 「より広い地域が放射性物質に
汚染されてしまうか」 のどちらかになりそうだ、という不安に
ついて語ってくれた。

・・・(中略)・・・

ウクライナ南部の都市ニコポルには、同国でも特に危険な
地点がある。

ドニエプル川の川岸にある、16㎞先にザポリージャ原発が見える地点だ。

ここではこの2週間ほど激しい砲撃が続いており、一晩で最大
120発のロケット弾の発射があったとの報告もある。

そのロケット弾はエネルホダル方面から飛んできた。この原発の
ある町だ。

そのEnerhodarとザポリージャ原発も、激しい砲撃を浴びている。

国連の核監視機関 <であるIAEA> の主張によれば、戦闘をやめて
検査官の現場調査を認めなければ、「核災害が発生するリスクが
現実に存在している」

ウクライナとロシアは、お互いを非難しあっている。実像はかすんで
見えにくいが、リスクの存在はだれの目にも明らかだ。

Shock! 20 minutes / ショックな瞬間、20分
あれは!?
私の20分クロッキー

「勤務日は、常時ストレスだらけです」 と語るのはSvitlana さん。
テキスト メッセージで、BBCに連絡をしてくださった。

Svitlana さんとその同僚のMykola さんは、現時点ではロシア製の
SIMカードしか使用できず、使える信号が限られている。なお、
2名の身の安全のため、氏名は偽名を使っている。

Svitlanaさんによれば、「もう以前のようには仕事ができません。
先週は、職場に来ることもできませんでした。危険すぎて」

「土曜日には、窒素酸素保管庫に砲撃があり、火事が発生しました。
何らかの奇跡的な要因で、そこの作業員の皆さんは死なずに
済んだのです」

Enerhodarの別の住民がBBCに述べたところでは、店舗や薬局などで
売られているモノの値段は、まだウクライナが支配している地域と
比べて4倍ほど高い。しかも、医師も不足してます。ほとんどの
ATMも止まってます」

Svitlanaさんは長年この原発に勤務しており、毎日近くに砲弾が
着弾しているという。

彼女はさらに、「心理的にも、この状況は大変です。<発電所内の>
いたるところをロシア兵士が武器を持って歩きまわっており、どの
作業員も銃口を向けられている」 とも述べた。

ロシア軍は、およそ500名の兵士をこの原発に配置したと、非難を
浴びている。最近の動画を見ると、軍用車両が原発内部へと入り
込んでおり、この原発が <ロシア軍の> 基地になっていることに、
Svitlanaさんは何の疑いも抱いていない。

「ロシア兵たちは毎日、軍用車両で出入りしています」 と、
Svitlana は述べている。

「発電所の建物に密接させて軍用の機械を置いているので、
ウクライナ軍は攻撃ができない」


やだ、怖そう ・・・
私の20分クロッキー

Mykolaさんからのテキスト メッセージには、こうあった。
「<原発の> スタッフは今や、ロシア軍の捕虜です」

「ロシア軍はインターネット接続を切り、固定電話だけを
残しています。食料は、ダイニング ルーム1か所にしか
ありません。その他の部屋などはすべて、ロシア軍基地に
なっています」

ウクライナの憂慮事項として、ロシア軍がこの選挙している地域
への砲撃を始めており、「ウクライナ軍が攻撃をしている」 と
いった偽りの主張をし始めている。つまり、「<今度の住民投票で>
ロシア併合に1票を投じるのが賢明だ。ロシアがここに根を下ろし、
皆さんを守る」 というわけだ。

ロシアが任命したザポリージャ地域の政治家たちは、この住民投票を
すぐに実施すべきという指令に署名をしている。ロシア政府は以前にも
虚偽の投票を実施しており、たとえばクリミアでの住民投票がその
一例で、2014年にロシアはクリミアを併合している。

Mykola さんのメッセージは、さらに続く。「屋上に上がることは、
一切禁じられている。見張り場所を屋上に設置しているためだ。
訓練ビルも、ロシアの兵舎になっている」

「原発のスタッフがセキュリティ ゲートから出ていこうとすると、
連行されていく例が日増しに増えている」

この連行が何のためなのかは、不明だ。だが住民たちは、ロシアが
この地域の法律を決めるようになった場合について、陰鬱たる予想を
描いている。

Svitlana さんとMykola さんはまた、ロシア兵たちがいたる場所に
ゴミをまき散らしていることを指摘する。それでも、今のところ
原発のスタッフは原発施設のモニターをすることはできている。

another pose, 20-min / 別のポーズ、20分
どこに連れて行くのよ!?
私の20分クロッキー

(元記事はまだ続きますが、ここまでにしておきます)
*******************
他の報道によると、今のところザポリージャでの放射線レベルは
正常なようですが、いつまで ・・・

原発を推進している人たちは、こうした軍事関連リスクをまじめに
検討しているのでしょうか?
一方、反原発団体の多くは、いつになれば proliferation risksも
含めた軍事関連リスクを、強く・具体的にアピールするようになる
のでしょうか?

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ザポリージャ原発での砲撃により、「福島第一を上回る」 大災害の可能性

2022年8月10日 JST

オンライン ラジオのTimes Radioで、ザポリージャ原発の危機を
取り上げた番組を見つけました。
YouTubeに投稿された日付は、2022年8月10日 JSTです。

Shelling Zaporizhzhia power plants would cause a disaster
‘worse than Fukushima’
(ザポリージャ原発での砲撃により、「福島第一を上回る」
大災害の可能性)

Shelling Zaporizhzhia power plants would cause a disaster ‘worse than Fukushima’ – YouTube

Times Radioの番組。Mark Fitzpatrickさんのインタビュー
Mark Fitzpatrick, アメリカ国務省に26年勤務したのち、英国の
国際戦略研究所の南北アメリカ オフィスのエグゼクティブ ディレクター。
地域での核兵器拡散問題と核関連の危険防止が専門。
Times Radioは、英国のWireless Group、The Times、The Sunday Timesが
共同で運営しているオンライン ラジオ局。2020年6月に放送開始。


心配で眠れない ・・・
私の20分クロッキー

現時点で皆様の関心の高い問題だろうと思いますので、このラジオの
音声から直接、私が以下に日本語化して紹介しますね。音声から
直接なので、聞き間違いがあり得ることは、初めにご了承願います。
例によって、< > 内は私からの補足説明です。

7分弱程度のヴィデオですので、英語のニュース番組などを聞いて
わかる方は、ぜひ上のリンクから元の番組をお聞きになって
くださいませ。

******************
0:37 (実際にはこの番組は、0:37あたりから始まります)

Interviewer
ザポリージャでは危機が高まりつつあるという現状を見て、
国連は国際査察チームの原発現場調査を認めてくれと求めています。
この原発は旧ソヴィエト時代に建設されたもので、それが先週から
砲撃を受けているのですね。ヨーロッパでも最大の原発で、加圧水型
原子炉が6基あります。400万世帯に電気を供給できます。
それでは、核兵器拡散問題担当のセクレタリー、さらに英国の国際
戦略研究所の核兵器拡散問題や軍縮研究担当のディレクターを歴任
された、Mark Fitzpatrickさんにお話を伺います。
Patrickさん、Times Radioに登場いただき、ありがとうございます。

Fitzpatrick
こちらこそ、お目にかかれてうれしいです。

Interviewer
先ほど申しましたように、ヨーロッパ最大の原発での戦闘に
ついて国連は、「自殺的な」危険だと述べています。「 」 付きの
自殺的な(suicidal) ですね。そこでまず、放射線を伴うような災害が
実際に起きるという目に見える危険はあるのでしょうか?
もしあるのなら、それはどういった意味を?

Fitzpatrick
危険は間違いなくあります。6基の原子炉があって、今までの発電
稼働のなかで、使用済み核燃料も何千トンと溜まっています。それを、
今まで冷却し続けてきているのです。この冷却を常時続けないと、
もしその冷却プールへの電力供給が途絶えてしまうと、冷却プールの
水が蒸発してしまいます。この場合、<ザポリージャ> 原発は巨大な
ダーティ ボムと化してしまい、その放射性物質の漏れは日本の福島
第一事故の場合よりもひどいものに なるでしょう。外部電源供給が
途絶えた場合ですね。チョルノービの事故よりもひどい結果に
なるでしょう。


Writing on the wall —- (ダニエル書5章)
私の20分クロッキー

Interviewer
実際にそんなひどい大事故になりえるのでしょうか?

Fitzpatrick
もちろん、その他の偶然に変化する要因もありますから、最悪の
シナリオを説明しているのですが、あくまで現実にあり得る可能性です。
安全性を高めるため、原発は充分な冗長性を持たせて設計されています。
原発への外部電源の供給が途絶えた場合、これはよく発生する問題なの
ですが、バックアップとしてのディーゼル発電機とその燃料が原発には
用意してあり、ディーゼル発電で冷却システムその他の稼働を維持します。
ところが戦闘が行われているようだと、そうしたバックアップ システムも
悪影響をこうむり、大災害のシナリオが現実化してしまうのも想像に
難くありません。

Interviewer
The Timesの今日の記事を見ますと、ウクライナでロシア軍が
使用している武器の中では、西側の電子工学が使われているそうです。
しかも、そうしたコンポーネントの多くは秘密裏に入手されたものだ
そうです。こうした報道を聞いて、西側はこうした技術漏出を防ぐために
もっと手を打つべきだとお考えでしょうか? どうお考えに、なりますか?

Fitzpatrick
そうですね、ウクライナ問題のもう1つの側面がそれですね。ロシアの
機器類の多くには、西側の高度なチップが使用されていると。そういう
報道は、私も読んでおります。ロシアはそうしたチップなどを合法的には
入手できないので、何らかの非合法な入手方法があって、それをロシアが
利用しているはずです。全世界のブラック マーケット システムなどですね。
チップは小さくて運びやすいので、誤った手に入ってしまいやすいものです。
西側の諜報機関は網を張り巡らせているはずですが、こうした技術漏出を
完全に防ぐのは困難です。

Interviewer
わかりました。
その他にも、多くの人たちにとっての不安の種があります。
海運の拠点でウクライナの船が一晩足止めを食わされたうえで出港した
のですが、それが先週末のことでしたね。そして、ガザでの爆発。
国際問題となると、いろいろなことが起きています。そうした事件が
あっても、ここ英国では新聞などのヘッドラインにもならない場合さえ
ありますが。Patrickさんは、ガザでの爆発などをご覧になると、
どうお感じになりますか?

Fitzpatrick
そうですね、世界中で火災が発生しているような。台湾では紛争の影が
ちらついていますし、ガザではすでに実際の紛争になっています。
私の考えでは、ガザの紛争は話し合いで抑え込むことが可能だとみて
おります。イスラエルも、攻撃に対して応戦していますが。
で、どう言えばよいのか、このインタビューの最初に話し合った
ザポリージャ原発の問題は、かなりスケールが違う問題で、
一種のダーティボムですよね。その深刻さを軽んじるわけでは全く
ないのですが、切迫のレベルは異なっています。

Interviewer
時間が迫ってきましたが、世界中で問題が発生している中、Patrickさんの
最重要問題は台湾だと。現時点で最も注目してらっしゃるのは、
台湾なのですね。

Fitzpatrick
そうでしょうね。台湾では、2つの超大国が交戦してしまう危険性が
あります。一方、ウクライナでは確かに超大国が1つ戦争をしていますが、
他の超大国つまりアメリカとヨーロッパ、要するにNATOは、注意深く
ロシア本来の領土には攻撃がなされないように配慮しています。ところが
台湾のシナリオでは、中国が台湾に攻め込んでくる可能性が少なからず
あります。そしてアメリカは、台湾防衛のために抗戦する可能性が。
まだそうなってはいませんが、そうなりやすい状態ですね。

Interviewer
Mark Fitzpatrickさん、いろいろ伺いたいことはあるのですが、今夜は
TIMES RADIOにご登場くださり、ありがとうございました。
******************


あ~~あ
私の20分クロッキー

最悪のシナリオ、つまりザポリージャ原発の原子炉すべてがメルト
ダウンしたり、and / or 使用済み核燃料冷却プールが蒸発した場合には、
福島第一の大事故程度ではすまない、ひどい放射性物質漏出に
なっちゃいますよね。一刻も早く、プーティンが正気を取り戻して
くれることを!

原発が巨大なダーティ ボムになりえることについては、上の黒い
メニューの if-3) でも取り上げております。
この種の軍事リスクを考えるなら、原発を建てるとは、とりも
なおさず 「敵国/テロ組織が巨大ダーティ ボムとして利用できる施設を、
わざわざ作ってあげる」 ことに他ならないのですね。

では、次回はMail Onlineによるザポリージャ原発の危機に関する記事、
残りを紹介する予定です ~~ 特に突発的な事件や展開などがない限り。

 

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「制御不能な」ザポリージャ 原発への砲撃が電力線を破壊 ~ 後半

Daily Mail の Mail Onlineより

Shelling HITS power line at ‘out-of-control’ nuclear power plant: Ukraine and Russia risk disaster | Daily Mail Online
(「制御不能な」 原発への砲撃が電力線を破壊、ウクライナとロシアに災害のリスク)

英国の “中間層読者” 向けタブロイドとして有名なDaily Mailの
Onlineより、2022年8月5日初投稿の記事。前半は下の8月6日に
日本語化紹介しました。
続きを、下に。
いつもどおり、私の抜粋・日本語化、< > 内は私からの補足説明です。

Matthew Lodge, Walter Finch, Chris Jewers記者からMailOnlineへの報告
最終更新: 2022年8月6日
***************


原発を基地にしちゃうなんて、どうかしてる ~~~
私の20分クロッキー
今回の砲撃が行われた時、<英国の> 国防省 (MoD) は、占領軍
<ロシア軍> が 「原発のセキュリティや安全を踏みにじっている」 と
発表、プーティンの軍隊は同原発を建てとして利用していると主張していた。
ロシア軍が同原発を占領したのは今年3月のことであったが、
チョルノービのような大災害を招くのでは、という懸念を集めてきている。

同原発はまだ稼働可能ではあるが、<現時点でウクライナに> 15基ある
原子炉の状態が心配だと、専門家たちは語っている。特に、ロシア軍の
侵攻の間に原発目掛けた砲撃があったことが深刻な憂慮を呼んでいる。

MoD の発表によれば、同原発の周辺地域は砲兵部隊の基地として
利用されている。同原発に沿って流れるドニエプル川の対岸に配備されて
いるウクライナ軍部隊を標的にしているのだ。

IAEAではロシアとウクライナの両国に対し、緊急嘆願を発している。
IAEAの専門家を直ちに紛争の現場であるザポリージャ原発に派遣し、
状況を安定化させるとともに、核事故を防止させてほしい、という嘆願だ。

この派遣を実現できるかどうかは現時点では不明で、MoDは本日、
ロシアによる5か月の占拠を経た現時点での同原発の状態に関する
最新記事を発表している。


“Wise CEOs stay away from nukes”
私のパーカ作品

MoDはTwitterで毎日諜報関連の最新情報を発表しているのだが、
こう記している。「5か月間の占拠を経たが、ザポリージャ原発に
関するロシア軍の狙いが何なのかは、いまだによく分かっていない。
だが、同原発でロシア軍が今までにやってきたことを見れば、
この原発の正常な稼働のセキュリティと安全性とを損なっているようだ」

「ロシア軍はおそらく、同原発に隣接した地域で作戦を展開しており、
その地域に本拠を置く砲兵隊を利用して、ドニエプル川の西岸にある
ウクライナ陣地を目掛けて攻撃を仕掛けてきた。

「おそらくロシア軍は同原発の施設敷地全体を利用しているのだろう。
特に隣接しているエネルホダル市に部隊を休ませ、特別な保護施設で
ある原発の法的ステータスを悪用して自軍の人員や機器がウクライナ軍
からの夜間襲撃を被るリスクを軽減していると見られる」

今週既に <8月1-5日> アメリカの駐ウクライナ大使のBridget Brinkは、
ロシア軍が同原発を一種の核を利用した盾として利用しており、同原発
周辺のウクライナ人に対して砲撃を加えている、との 「信頼できる報告」 が
あると述べている。
・・・・(次回投稿に続く)・・・・
******************

まったく、ある程度以上稼働させた原発には大量の核ゴミが保管される以上、
「巨大ダーティ ボム」 になってしまうリスクが絶えずあります。
ですから、他国を侵略する場合、対象国の原発を占拠するのは、実に
戦略的には巧みなやり方です。でも、世界への汚染ばらまきリスクを考えるならば、
「正気の沙汰ではない、実に卑怯な」やり方ですよね。

では、ウクライナ側はなぜこうも簡単に、原発を占拠されてしまったのか??
それについては後日、Reutersの特別調査をさらに紹介しますね。

とりあえず次回は、上記のDaily Mailの記事の残りを。

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