アメリカのNRC(原子力規制委員会)、中国のCGNとその関係への放射性物質と重水素の輸出を禁止
Guarding Indiaによる、中国のICBMサイロ増設に対するインドの反応の実例を紹介していました。長い記事を4回に分けて紹介しているのですが、その3回目を今回は紹介する予定でした ・・・ が、アメリカから、その中国に対する「新たな措置」のニュースが飛び込んできました。こういう場合、予定を急に変更することをご了解ください。
そのNCRによる指令本文は、下記にございます。
https://www.federalregister.gov/documents/2021/10/01/2021-21342/order-suspending-general-license-authority-to-export-radioactive-material-and-deuterium-to-china
NCRによる輸出禁止の指令、私による日本語での要約
Order Suspending General License Authority To Export Radioactive Material and Deuterium to China General Nuclear (CGN), CGN Subsidiaries, or Related Entities
(中国の中国广核集团(China General Nuclear、CGN)及びその系列各社、関連団体への放射性物質と重水素の一般的輸出許可権限を一時停止する指令)
アメリカ原子力規制委員会からの通知、2021年10月1日
発令機関:
Nuclear Regulatory Commission(アメリカ原子力規制委員会)
行動の種類:
指令、発令
要旨:
アメリカ原子力規制委員会は本指令を発令、NRC規制の下で、中国广核集团(China General Nuclear、CGN)及びその系列各社、関連団体への放射性物質と重水素の一般的輸出許可権限を一時停止する。
日付:
本指令は、直ちに発効する。
中略
本指令の対象となるライセンス取得者は、連邦規制基準(CFR)の表題10の110.21から110.24に定める一般的ライセンスを、1954年の原子力エネルギー法(AEA)の第54、64、82、109b項(改訂後)に則り、NCRから付与されており、それによりCGN及びその系列各社、関連団体へ放射性物質と重水素の輸出を行うことが許可されてきた。アメリカ行政府は、 10 CFR part 110に則りCGN及びその系列各社、関連団体への一般輸出権限を一時的に停止することがアメリカの国家安全保障を保ち、また1954年の原子力エネルギー法(改訂後)の趣旨に則り米国全体の防衛と安全保障とを強化するために、必要であると判断した。本決定は、2018年に行政府が定めたアメリカから中国への民生用放射性物質の輸出権限を認めるうえでの枠組みを拡大したものである。そのため行政府では、・・・(以下省略)
日付: 2021年9月27日
原子力規制委員会を代表して、記す
Nader L. Mamish,
国際プログラム オフィス、ディレクター
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日本語メディアでは、あまり本件を取り上げておりませんが、中国のICBM用サイロ増設の件をご存じの皆様にとっては、「さもありなん」という輸出禁止ですよね。
本件を「中国の電力不足を捉えた、アメリカによる経済・産業面での中国いじめ」でもあるかのように取り上げている人たちもいらっしゃいますが、
・ そもそも上の本文にも、「国家安全保障を保ち、また・・・ 米国全体の防衛と安全保障とを強化 ・・・」とある
・ 前述のように、中国によるICBM用サイロの大幅な増設に、アメリカは間違いなく反応してきている
・ 今回の禁輸の対象には、重水素も含まれている。重水素は、強化型核爆弾に欠かせない物質(これについては、後日また説明します)
という3点を考えれば、この禁輸の主な意図は軍事的なものだと推察できますよね。
やはり核の世界では、発電は兵器を見えなくしてしまう「隠れ蓑」になりやすいものですね。
では次回は、何も飛び込みニュースなどがなければ、Guading Indiaの記事に戻ります。