https://fas.org/blogs/security/2021/02/plarf-jilantai-expansion/
にあるFederation of American Scientists、Hans Kristensenさんによる報告の続きです。
かなり長いテキストですので、次回にも続きます。
(私による日本語化)
サイロの建設
ジランタイ トレーニング地域での新たな動向の中でも最も重要なものの1つとして、弾道ミサイル用とみられるサイロがかなりの個数、建設されている。いずれ、こうしたサイロからミサイルのテスト発射がなされるのを見ることになるかもしれない。
基地のある地域にはDF-5という大型ICBM用のサイロがあるのだが、このジランタイ地域のサイロはそれよりも、ほぼすべて小型である。アメリカ国防省によれば、「ジランタイのサイロは、DF-41の基地とするための作業のコンセプトを最低でも得ることを目的として、使用しているのであろう」
現在建設中のサイロは、少なくても16基ある模様だ(下の画像を参照)。それらには多様な寸法のものがあり、今までのところ建設工事は3段階で行われてきている。まず2016年に最初のサイロ施設の建設が始まり、次に「ロシア型」サイロ4基の建設が2018-2020年にかけて行われた。そして2020年終わりごろ、さらに新たなサイロ11基の建設が始まった。いずれのサイロも、トレーニング地域の中央部10×20㎢の範囲内に配置されていた。サイロ間の間隔は2.2から4.4キロで、1つの核攻撃で2つのサイロが破壊されることのない間隔であったのだろう。
今回のサイロ建設が始まったのは2016年のことで、1基のサイロと地下施設数か所で始まったものとみられる(39.7000, 105.4164)。その輪郭と特徴とは従来のものと類似はしているものの、同一ではない。その実例が、ウーザイ発射試験場にある新設サイロだ(38.888, 111.5975)。ジランタイ施設にあるものがサイロかどうかはまだ確認されておらず、その建設現場は大型の建造物で数年間にわたって覆い隠されていた。だが2019年の衛星画像から確認できたこととして、半円形の構造物が見られ、サイロの壁面である可能性がある。もしこれが正しければ、DF‐5程度のサイズのミサイルを想定しているのかもしれない。
今回のサイロ建設の第2段階が始まったのは2018年6月のことで、今やほぼ完成している。中央のトレーニング地域の西端に沿って配置された4基のサイロも含まれる。建設工事中にこれらのサイロは、第1段階と同様に構造物で覆い隠されていた。この4基のサイロはロシアのものによく似ており、地表のインフラストラクチャーがほとんどない。ミサイルを搬入してくるトラック用の曲がった道路、ミサイル搭載用の全長30mの発射台、そして直径がおよそ6メートルのサイロ蓋がある程度だ。
この第2段階の工事が始まったのは、アメリカ国防総省による中国の軍事動向に関する年次報告2018年版が出る直前であった。その報告には「中国はDF-41の発射方式をさらに拡充することを検討している模様だ。それには、鉄道での可動式の発射や、サイロ発射も含まれる」との記載がある。
2019年9月の記事で私(Hans Krinstensenさん)が取り上げたのはこの第2段階の建設で、その発見事項は後にアメリカ国防省による中国の軍事・国防の動向に関する2020年版議会向け報告においても認められたものだ。同報告によれば、そうしたサイロのサイズを考えると「DF-5の装備は考えられず、DF-41や中国の小型ICBMであるDF-31Aなどの装備を検討してのサイロかもしれない」とある。
第3段階の工事は2020年後半に始まり、今までのところでは最大規模のものだ。2021年の最初の2か月のうちに、合計で11基のサイロと急速に拡大してきている。工事はまだ初期段階だが、衛星画像を見ると今回のサイロは第2段階の4基よりも小型である。だが、今回の建設現場は様子が異なる。以前のサイロが強固な構築物で隠されていたのに対し、今回のサイロを隠しているのは、耐天候用テントあるいは空気を入れて膨らませる構造物のようだ。
ジランタイでのサイロ建設と並行して、ホーナン(河南)省のスンディアン近郊でもサイロが建設中である可能性がある。
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かなり長い記事なので、続きはさらに次回に。