ザポリージャ市の情勢について
ザポリージャ原発はザポリージャ市から南西に
50㎞ほど離れた位置にあります。
その原発の最新状況が、メディアでは報道されて
いないので心配になりますよね。
ザポリージャ市の方の状況については、4月25日付の
新しい報道が英国のThe Guardian紙にありました。
ただし、ザポリージャ原発に関する記事ではありません。
いつもどおり、私が抜粋・日本語化して紹介しますね。
< >内は、私からの補足説明です。
かなり昔に私が描いたヒマワリ
ヒマワリは、ウクライナの国の花です
戦闘が差し迫る中、戦いに備える要塞ザポリージャ
ウクライナ南東部でウクライナ支配下に留まる最後の
都市ザポリージャで、塹壕の設営が進み、教師も射撃訓練
Isobel Koshow (ザポリージャ現地より)
2022年4月25日
ザポリージャ近郊には深い塹壕が何本も並び、サンドバッグや
武装兵士、がそれに沿って並んでいる。幾重にも。
だが同市内の生活は、驚くほど平常通りだ。戦時下にある
ウクライナの都市としては、にぎやかですらある。
ウクライナ南東部では、ウクライナ政府の支配下に残っている
都市は、ザポリージャだけだ。ロシアの支配から逃れた
何十万人もの人たちが、この年を目掛けて移動している。
ザポリージャもその都市圏の70%はすでにロシア軍に
制圧されており、ロシアが都市本体も手に入れようと
攻め込んでくるのでは、という不安が募っている。
ウクライナ軍の補強部隊がザポリージャに向かっており、
熾烈な戦闘が既に始まっている。ウクライナの兵士たちが
The Guardianに述べたところでは、最近ザポリージャ近郊の
ある町から撤退したそうだ。近郊の一部の町や村は、
わずか3週間前にはジャーナリストたちが訪問できたのだが、
この地域担当の軍司令部によれば、今では安全な場所では
なくなっている。
「市民たちが外を歩き、出勤しているのが見えるでしょ。
都市としては応戦の準備はできていますが、まだ市民生活に
までは影響していないのです」 そう語るのは、ウクライナ軍
ザポリージャ地域司令部の広報官 Ivan Ariefievだ。同市では
教師やジャーナリスト向けの戦争関連のトレーニング コースを
幾度か実施しているが、その1つで語ってくれた。参加者たちは
さらに多くの市民たちにトレーニングを施すことになっており、
銃への弾丸装填の仕方や救急処置、基本的な医療判断などを
教えている。
ロシア軍が間近に迫ってはいるものの、Ariefievによれば
この地域のウクライナ軍司令部ではロシア軍を食い止められると
自信を持っているそうだ。「ザポリージャ市そのものから
避難している人は、いません」とAriefievは言う。
「どこかに避難しているのは、ウクライナ南部からの避難民
だけです」
ザポリージャ周辺には、最近掘られたばかりの塹壕が迷路の
ように走っているが、the Guardianは取材中にこちらを目掛けた
砲弾の音を頻繁に耳にした。兵士たちによれば、<同市から>
3-5㎞の地点への砲撃だという。塹壕を掘った兵士たちによれば、
その防衛線を使わずに済むことを願っており、またさらに
南部のウクライナ兵士たちが何とか持ちこたえて欲しい、
とのことだ。
また前線にまだ配備されていない兵士たちが言うには、
必要な衣料品や防御用品が、数分の一しかないそうだ。
その小隊全体として、止血に欠かせない救急医療品である
止血帯が6個しかないのだ。ロシア軍はすぐにでも攻め込んで
くると思うかと尋ねると、戦闘の覚悟はできていると答える
のみだった。
「西部の同志たちから、武器をもらう必要がある。実際、
受け取れる見込みだ。ロシア軍は、旧ソヴィエト時代の古い武器
ばかりなんだ」と、この小隊の長は言う。「もしまだ
ご存じでなければ、ロシア軍は4つの主要地域、つまり
カーキフ、キーフ、包囲されたスーミイとチェルニーヒフに
攻め込んだが、われらウクライナ軍が撃退した。強力な軍隊だと
思われていたが、我々がやっつけたのだ」
・・・(中略)・・・
私の昔の作品 “Contamination” (汚染)より
紙にオイルパステル
同病院の軍広報書記であるNikitaは、以前にはITのマネジャーで
あったが、ロシア軍の侵略が始まって数日後に軍に入隊した。
そのNikitaによればロシア軍のロケット弾は1つとして標的を捉えず、
対空防衛システムに捉えられ、威力を減じたそうだ。
「標的に命中していれば、負傷者数はずっと多かったはずだ」と言う。
同病院の東部外科医によれば、負傷者の治療に当たっており、
24 X 7 無休だそうだ。同医師によれば、戦争が始まって以来、
この医師は帰宅したことが2回しかないそうだ。しかも、いずれの
場合も帰宅したとたんに病院に呼び戻されたとのことだ。
ザポリージャ市の防衛軍のおかげで同市は比較的安全なのだが、
ロシア軍が制圧している地域からここに避難している市民たちの
一部は、故郷に戻りたがっている。
同市の周辺にある駐車場には多数の人たちがいたが、The Guardian
ではその中の一人の女性に話を聞いた。いつもここは、ロシア軍が
占領している地域からの避難民でごった返している。その女性
Irynaは400名ほどのグループの一人で、彼らはBerdyanskに
戻りたがっている。これは、3月初めにロシア軍に占拠された
ザポリージャ南部の町だ。
「私たちはウクライナ人で、ウクライナにいたい。でもこれを
ご理解願いたいんだけど、私の母親が寝たきりで、インシュリンを
切らしているんです」とIrynaは言う。「私は先週ここに来て、
Pampers<というおむつ>と母親用の医薬品を買いました。
Berdyanskには、何もないもので」
だがウクライナ当局によれば、この市民グループをザポリージャ
から去らせるわけには、いかない。道路上で、激しい戦闘が
行われているためだ。
・・・(以下略)・・・
* 一部の登場人物名は、変更しております。ウクライナ国内の
ロシア軍占領地域を通過する可能性のある方々の安全を守るためです。
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ウクライナに平和が1日も早く戻ることを、祈っております!
それとチョルノービ原発の方で明らかになったとおり、
原発を制圧したロシア軍の部隊は必ずしも原発や放射性物質の
危険について、教育を受けていないようでして。
そのあたり、実に心配になります。
では、MSR関連の調査も進めておりますが、やはり日数が
必要なので、しばしお待ちくださいませ。