JCPOA交渉のそもそもの発生は、イランがウラニウムの過剰濃縮を始めたことにあるのですが、それについてIAEAから新たな発表がありました。
もう少し早くここで紹介したかったのですが、東京では危険な暑さが再来襲しており、
私が夏バテして寝込んでおりました~~
REUTERS、2021年8月18日
Iran accelerates enrichment of uranium to near weapons-grade, IAEA says
(イランが準兵器グレードのウラニウム濃縮を加速と、IAEA発表)
Francois Murphy記者
元の記事は
https://www.reuters.com/world/middle-east/iran-accelerates-enrichment-uranium-near-weapons-grade-iaea-says-2021-08-17/
にあります。本文中のリンクも、上記本文でお探しください。
ウィーン発、8月17日(ロイター) – ウラニウムの準兵器グレードへの濃縮を行ってきたイランだが、その過剰な濃縮を加速している。この火曜日(8月17日)に国連の核監視機関であるIAEAが公表した報告による情報で、それをReutersが入手した。西側とイランとはイラン核合意(JCPOA)の再建に向けた交渉の再開を目指しているのだが、この加速により両者の間では緊張が高まる。
イランは以前には、ウラニウム濃縮での核分裂性U235濃度を20%で行っていたのだが、今年4月に60%へと上昇させた。これは、イラン中部のナタンズにある核施設で爆発と停電が発生、主な地下施設であるウラニウム濃縮工場の稼働に障害が発生した事件に対する対応である。
その事件をイランは、イスラエルによる攻撃だとしている。濃縮ウランのU235濃度が90%前後になると、兵器グレードとされる。(元の英語テキストには read more というリンクがありますが、お読みになりたい方は上で紹介したリンクから英語本文をご覧ください)
この5月に国際原子力機関(IAEA)が報告したところでは、ナタンズにある地上の試験的ウラニウム濃縮工場で最大60%までの濃縮を行うに当たっては、最新式遠心分離機をつなぎ合わせたもの(カスケードあるいはクラスターと呼ぶ)を1式使用していた。IAEAの事情通の職員がこの火曜日に述べたところによれば、イランは今やウラニウムの濃縮に第2のカスケードも使用しているそうだ。
2015年の核合意の規定への違反をイランは幾度も犯してきているが、このカスケード増設はその最近のものだ。同核合意によれば、イランによるウラニウム濃縮の上限は3.67%とされている。こうした増強はこの核合意再建のための交渉を危うくするものだと、アメリカならびにヨーロッパの同盟諸国は警告を発してきている。この交渉は目下、一時停止中である。
Reutersの報道によれば、イランは自国の核プログラムは平和目的であると繰り返し主張しており、今回のウラニウム濃縮に関してもIAEAに報告済みだとしている。さらに、イランは確かに2015年の合意から離れてきているが、アメリカさえ同合意に復帰し経済制裁を解除すれば、イランもこの合意順守に戻ると、イランの国営メディアは述べている。
その国営メディアが報じたところでは、イラン外務省のスポークスパーソンSaeed Khatibzadehの発言として、「この核合意の下での義務を参加諸国が再度履行し、アメリカ政府がこの一方的で違法な経済制裁を完全に解除し、それを検証できたならば、イランによる同合意からの逸脱や対抗行為は逆転させることが可能だ」とのべたそうである。
月曜日にIAEAが発表したところでは、イランは濃縮金属ウラニウムの加工を進めている。西側諸国はそれに反対しており、そうした過剰濃縮ウラニウムには、平和的用途はないとしている。
金属ウラニウムは原爆の中核部を製造するために利用できるが、イランはあくまでそのウラニウム濃縮は平和目的であり、原子用燃料開発しているだけだ、と主張している。(元の英語テキストには read more というリンクがありますが、お読みになりたい方は上で紹介したリンクから英語本文をご覧ください)
(Francois Murphyによる報告。Dubai ニュースルームが補足情報。編集はMark Heinrich とPeter Cooney)
***************
最後の段落にあるように、現在のところ60%もの濃度の濃縮ウラニウムには、「平和利用」はないはずです。西側の立場をとっているんじゃなくて、60%の濃縮ウラニウムをどんな「平和利用」に使うのか、イランは明示すべきですね。そうでないと、訳が分からず、疑心暗鬼を増強させるだけです。
さらに、イランだけが問題なわけじゃなくて、ウラニウムの濃縮がいったん広まってしまうと、どこの国であれ過剰濃縮が始まった場合、それをやめさせるのが如何に大変かを実証する実例ですよね。
当然、ウラニウム濃縮と使用済み核燃料再処理とは、各国で行わず国際管理下に置くべきだという動きも出てきているわけですね。本「やかんをのせたら~~」のページ add-2) (追加)もご覧ください。(上の黒いメニューの下部)