NuScale社の電力供給プロジェクトが 瓦解、SMRの 終焉か

The collapse of NuScale’s project
should spell the end of small modular
nuclear reactors
(NuScale社の電力供給プロジェクトが
瓦解、SMR(小型モジュール炉)の
終焉か)

下で紹介したUtilityDiveの関連記事、
抜粋・要約紹介

下の2月12日の記事の本文冒頭で登場
するUtilityDive掲載のRamana博士に
よる記事、抜粋・要約で紹介しますね。

元記事を読みたい方は、次へどうぞ:
The collapse of NuScale’s project should spell the end for small modular nuclear reactors | Utility Dive

PWR型のSMRのメカニズム
かなり簡略化したもの、再掲

いつもどおり、
私による抜粋・要約・日本語化
< > 内は私からの補足説明 で、
原文ではところどころ関連文書への
リンクがあるのですが、以下は
あくまで抜粋・要約なので、
リンクは無視しております。
**************************

ユタ州公営共同電力事業体 <Utah
Associated Municipal Power Systems、
UAMPS> というプロジェクトに固有の
諸問題もあったものの、同プロジェクト
で発生した財務面の課題とコスト面での
傾向とは、今後すべてのSMRプロ
ジェクトにも付き纏うはずだ。

2024年1月31日発表

M.V. Ramana博士

だれがこんなもんに、投資すんねん??

昨年11月、ユタ州公営共同電力事業体
<Utah Associated Municipal Power
Systems、UAMPS> が「アメリカ初の
NuScale Power社のSMR稼働開始」と
なったはずのプロジェクトを終了
させた。これは、予想されていた惨劇
だった。もう数年も前から、警告音は
鳴りっぱなしだった。UAMPSに固有の
諸問題もあったものの、同プロジェクト
で発生した財務面の課題とコスト面での
傾向とは、今後すべてのSMRプロ
ジェクトにも付き纏うはずだ。SMRは
今も理論上の原子炉に過ぎず、正気を
保っているのであれば、SMRに10円
でも投資しようとする電力企業も
政府も考えにくい。

2015年に発表があった通り、UAMPS
プロジェクトは当初、12基のSMRを
建設し合計で600 MWの発電を行う
計画であった。そのころには、
「2023年前後に」稼働を始めるつもり
だった。本来、「とりあえずのコスト」
は30億ドルであった。2018年に
なってNuScalは設計変更を発表、
個々のSMRの発電量を60 MWにする
と述べた。合計では720 MWとなった。
同社の主張では、この変更により
「発電量1キロワットあたりのコスト
を当初の5,000ドルから4,200ドル
前後にまで削減できる」ことになって
いた。

2018年にはこのプロジェクトの推定
コストが42億ドルにまで膨れ上がり
2020年にはさらに61億ドルにまで
上昇した。2023年になると、ついに
93億ドルに達した。2021年に発電量
を462 MWに下げる変更があった
のだ。最終的に、コストが膨れ上がり
過ぎてUAMPSの加盟自治体が対応
できないものと化していた。

——— (中略) ———–

ありゃまあ、どの原子炉もカネクイムシだったのね~~
私の10分クロッキー

このUAMPSプロジェクトは決して
例外的なものではなく、原発プロ
ジェクトには無数にあるコストと工期
の超過という長い歴史に新たな一例を
加えたに過ぎない。2014年にある
学術的研究が行われ、全世界の原発
プロジェクト180件を調査した。
その悔過、なんと175件で当初のコスト
を大きく超過しており、プロジェクト
完成の時点では平均で117%もの超過で
あった。工期も平均で、当初の予定より
64%も長くかかった。

近年のプロジェクトになると、予算や
工期の超過はさらに悪化している。一例
として、フランスで現時点で建設中の
原子炉はFlamanville 3のみであり、
これが原子力産業の申し子のような
存在になっている。その推定コストは
132億ユーロ(150億ドル程度)に
昇っており、建設開始時点での推定額
の4倍ほどに達している。工期も、
建設開始時には4年半であったものが
なんと16年を超えるまでに延長
されている。

これほどコストが膨張しているため
当然、電気料金の値上げにつながって
いる。2023年4月にLazardという
金融企業が推定したところによると
アメリカの場合で新設原発による電力
政府からの補助金が出ない場合には
均一化すると1 MW・1時間当たりの
コストが141から221ドルになって
しまう。これに対し、電力会社に
ふさわしい規模の太陽発電施設を
新たに建設し、日没後も送電できる
よう何らかの蓄電装置を設けた場合、
やはり補助金なしの均一化した
コストは1 MW・1時間当たりで
46ドルから102ドルで済むとLazard
は推定している。.
文字色強調は、私> ———–

———(中略)———-

グリッドで電力需要と供給をマッチさせるには、
大変高度な施術と経験が必要です

Lazardによる推定が示しているように
こうした大型発電所そのものに、
再生可能エネルギーと競争する力は
ない。.

——–(中略)———

核エネルギー推進勢力は再生可能
エネルギーは変動しやすいという点を
指摘、電力システムを安定化させる
には何らかの形態の核発電が必要だと
主張している。だが、安定していると
思われている発電所があっても、
昔から送電グリッドというものは電力
供給の変動に対処してきたのだ。
たとえば原発は、安全性のために突如
としてシャットダウンせねばならなく
なる場合がある。(一例として、
福島第一原発の大事故の後、日本各地
の原発が停止したように) 
<やはり安定していると思われて
いる> 石炭火力も、燃料の輸送列車
の脱線など燃料供給が中断すれば、
稼働できなくなる恐れがある。
フランスの全原発の平均値を求める
と、各原発は2019年には96.2日、
2020年には115.4日、2021年には
103.8日、2022年には152日、停止
していたのだ。<停止原因の一例と
して、上の黒いメニューの終わりの
方にある固定ページ 付録 w-10) も
参照>

揚水発電所の概要、再掲

現在では再生可能エネルギーの 
<発電量の> 変動は、各種技術の
多様化を進め組合わせて用いること、
地理的な所在地を分散化させること、
再生可能エネルギーが潤沢である
時間帯に電気を使うよう消費者向けの
インセンティブを実施すること、
そして最終的には各種の蓄電技術への
投資を進めることで、解消できる。
蓄電技術としては、リチウム電池や
揚水発電などがある。だがそうした
すべての措置以前に、エネルギー利用の
効率化という手がある。効率化を進め
れば、電力供給の変動にも対応しやすく
なる。その例として、建築物の放熱や
吸熱をゆっくりと行われるように
すれば、発電量が低下している場合で
あっても、内部の人たちが快適に
過ごせる時間が長くなる。太陽が照って
いない時間帯や風が凪いでいる間で
あってすら、それを埋め合わせるのに
原発は不要なのだ。

上記のすべてから分かるように、気候
危機を解消するためには、核発電は
必要ではない。核発電はあまりにも
高価であるだけでなく、建設に長期間を
要する。気候変動への対応は緊急の責務
であり、我々には原発を建設している
時間の余裕などないのだ。

———-(以下略)————

思い込みを打ち破ろう

*************************

終わりの方の文字色強調した箇所から
も、現時点の日本社会の一部で叫ばれ
ている
「電気料金を下げるために、原発再
稼働を急げ!」 とか
「再生可能エネルギーでは、不安定
すぎる」
といった主張が、いかにオカシナ
ものか分かりますよね。

こうした社会状況のただ中にあって
正しい情報を発信していくことは、
私たち反核勢力の責任です。

About FrancisH

A freelance painter, copywriter, and beading artist
This entry was posted in Uncategorized. Bookmark the permalink.

Comments are closed.