広東省のタイシャン原発事故についても、長らく続報を待ち、ようやく続報があったので先日取り上げました。(上の黒いメニューでHome ⇒ 2021年12月6日)
もう1つ続報を待っていたもの、それがウィーンでのJCPOA再建交渉ですよね。
「JCPOAって、なに???」とおっしゃる方々は、上の黒いメニューで固定ページ f-4) の「JCPOA合意、しかし ・・・」という箇所をご覧くださいませ。
で、その核合意を再建しようとする交渉・会談がウィーンで続けられていて、今年(2021年)の5月から夏にかけては、本ウェブサイトでもそれに関する報道を紹介しておりました。
ところが。イランで大統領選挙があり、政権交代があったため、しばし会談が中断していたのですね。それがこのほど再開したので、交渉がまとまってイランの無謀なウラニウム濃縮が止まり、アメリカやロシアも核廃絶に向けて進んでいくことを願っていたのですが~~~
なんとまあ、交渉は決裂しそうです。どこの国であれ、いったんウラニウムの過剰濃縮など始めてしまうと、それを止めるのがいかに困難か。
私たちは、
他人を見るとウィルスに警戒し、
空を見上げては核ミサイルが飛んでこないことを願い、
その空の大気中のCO2などを憂いて、
生きていくしかないのでしょうか??
ずっと待っていたのに~~ああ・・・
私の20分クロッキーより
しかも現在、「原発はCO2を出さない」という短絡した誤認識(上の黒いメニューの下部で、固定ページの付録 w-1)を参照)から、あるいはヒョッとして “原発産業の世論操作” によるものか、SMRを世界に普及させようという動きすらあります。核兵器のproliferationはもう止められないのでしょうか?(上の黒いメニューの下部で、固定ページの s-0)から s-3)を参照)
なんだか泣き言を言っちゃってますが、とにかくまずは、ウィーンで何があったのかを知りましょう。
The New York Timesの今年12月3日付の記事から、私の抜粋と日本語化で紹介しますね。
紹介文中の<>の中は、私による説明です。
元の英語記事は、下記にございます。
https://www.nytimes.com/2021/12/03/world/middleeast/iran-nuclear-negotiations-europeans.html
Dec. 3, 2021
空虚だわ ・・・
私の20分クロッキーより
(私による抜粋・日本語化)
「イラン政権が態度を変えない限り、イランと西側の間の核合意再建交渉は頓挫へ」と、ヨーロッパ諸国の代表
<イランとの核合意の再建を目指した>ウィーン会談で、イランの強硬派新政権が主張している姿勢は2015年の<本来の>合意内容と食い違うものだと、ヨーロッパ諸国の交渉担当代表者たちが語る。
記者 Steven Erlanger
ブリュッセル発 — 2015年の核合意を再建しようと願う西側諸国の交渉官たちがこの金曜日<12月3日>に述べたところによれば、イランの強硬派新政権が既存の合意草案に対する容認できない変更を主張しており、しかもその一方でイラン国内の核開発プログラムは予定通り進めている。
ウィーンでの5日間にわたる会談の後、参加していた英国、フランス、ドイツの交渉担当官たちが厳しく語ったところでは、イラン新政権が急速に姿勢を変えない限り、交渉が成功を収める可能性はほとんどない。今回の階段は一旦停止され、参加各国は母国政府との相談に当たっている。来週、会談が再開する可能性もある。
それら3か国の交渉官たちの共同声明によると、「5か月以上間に、イランはこの交渉を中断した。そしてそれ以降、核開発プログラムの方を加速している」 「今週、イランはこれまでの外交の進展を逆戻りさせた。何か月もかけて困難な合意点を練りだしたのに、そのほとんどすべてをイランは無視している。草案への根本的な変更を求めているのだ」 それら交渉官たちによれば、そうした変更を加えるなら、この草案は無駄なものと化してしまう。すでに70から80%完成していたのに、である。
イランが言うには、JCPOAつまり「包括的共同作業計画という正式名称の2015年の合意に復帰したいと、同国も願っているそうだ。だがヨーロッパ諸国代表によると、イランからの提案の一部はこの合意と食い違うだけでなく、同合意の規定を「踏み越える」ものだという。
それら3か国の交渉官たちによると、「イラン側の提出した草案で、そうしたギャップを、現実的な時間の枠組みの中でどのように埋められるのか、それがはっきりしない」 欧州諸国の政府は「外交交渉を進めることに努めているのだが、時間がもうなくなりつつある」
“Argument I” (口論 I)
私のオイルパステル作品より
<中略>
イランは既にウラニウム60%濃縮を開始しており、この濃度のウラニウムには民生用用途はないと専門家たちは述べている。あと1か月程度もあれば、イランは原爆レベルの核燃料を製造できるのだ。
イランは、核兵器を製造する意図はないと主張している。だが同時に、国連の核査察機関であるIAEAがイラン国内の重要な核施設で2015年の合意で認められている施設に入ることは、拒否している。IAEAが査察できるイランの核施設は限られているが、地下深くにあるフォルドウ核複合施設には最先端の遠心分離機が導入されているものとIAEAは判断している。そこで、2015年の合意では禁じられているウラニウム濃縮を行っているようだ。
<2018年に>トランプ前大統領のアメリカがこの核合意から脱退したのだが、その後しばらくはイランも制約を順守していた。他の加盟諸国が何とか解決策を見つけてくれると期待していたのだ。だがアメリカの脱退から1年が過ぎると、イランの堪忍袋の緒が切れ、2015年合意の制約を破り始めた。現在では同国は濃縮ウラニウム2.3トン以上を保有、これは合意の下で認められている量の約11倍に当たる。今やイランは気化ウラニウムを金属に転換しており、これは原爆製造のための重要なステップである。
“Argument V – Logophobia”(口論V ・・ 言語恐怖症)
私のオイルパステル作品より
<中略>
イランの交渉担当官たちによれば、ウィーンで合意を締結したいと望んではいるのだが、先に脱退したアメリカが最初に行動を示すべきだという。イラン側は経済制裁のすべてを解除するよう求めており、しかもそれは核開発プログラムに対応した制裁だけではなく、中東地区での紛争へのイランの関与に関する懲罰的制裁も含む。イランが近隣諸国に攻撃を加えたことに対する制裁も、解除せよというのだ。そうした解除が実現して初めて、イランは核開発プログラムを中止するという。
<中略>
<アメリカの国務長官>ブリンケン氏は、イスラエルのナフタリ ベネット首相からの「イランが脅迫行為に出ている以上、ウィーンでの交渉も打ち切るべきだ」という呼びかけを却下している。
「極めて近い将来、おそらく明日あたりには、イランにこの交渉をまじめに進めるつもりがあるのかないのかを判断できるだろう。正直に言って、ここ数日のイランの動きや言葉遣いを見ていると、あまり楽観的に眺めることはできない」と、ブリンケン氏は語った。
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別に私は、イランもアメリカも、特定国や特定集団を嫌ってはおりません。
核兵器や放射線は、人種や民族、国家の境界を無視してすべての生命を痛めつけ、
あるいは破壊してしまうからですね。
とにかく、イランとイスラエルが核兵器をお互いに向けて睨み合い、そこにサウディ アラビアも加わる ・・・ なんてことだけは、回避できることを祈っています!
時間はもうない ・・・ 私のボールペン デッサンより
次回のアップロードは、また固定ページです
上の黒いメニューの中央あたり、固定ページ -8) で
「このカーンの「闇のネットワーク」は世界的に広がっており、実際に機器類などの製造や配送に関わった国々は13にのぼっていたそうです。Geleskulさんはその13の諸国を名前で列挙してくれています。ドイツ、スペイン、イタリア、リヒテンスタイン、マレーシア、UAE、パキスタン、韓国、シンガポール、トルコ、スイス、南アフリカ、そして日本。」
と記しました。
この「日本」でだれが関与していたのか、固定ページ f-8) を記した2020年の時点では、私が忘れてしまっていたのですが、昨日(2021年12月7日)NTIの2007年の報告書で
この問題を取り上げたものを見つけました! 忘れていた記憶が、よみがえりました!
その報告書を紹介しますが、例によって準備が必要なので、しばしお待ちくださいな。