New York Times
Hopes for a Diplomatic Opening Rise Under Iran’s New President – The New York Times (nytimes.com)
Hopes for a Diplomatic Opening
Rise Under Iran’s New President
(イランの新大統領選出で
外交交渉再開の望みが高まる)
反核を唱える人であれば、イランの
新大統領が核開発プログラムをどう
するのか、当然気になりますよね。
ベゼシュキアン新大統領の方向性を
考察する記事を、The New York Times
の無料箇所より。
いつもどおり、
私の日本語化
<> 内は私からの補足説明
です。
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改革派のマスード ペゼシュキアン
(Masoud Pezeshkian)は西側との
改善の改善を願っており、それに
より経済制裁の解除を目指して
いる。だが彼の権力には限界がある。
Lara Jakes記者
ワシントンより報告
2024年7月7日
イランの大統領選挙では改革派のマスード
ペゼシュキアン候補が当選、同国のこれ
までの絶対主義的な外交政策がどうなる
か、さらには新たな外交のありかたも
観られるか、といった希望を現職
ならびに前職の高官たちや専門家たちが
言明している。
ペゼシュキアン氏は本職が心臓専門医で
イラン議会の委員であるとともに以前
には保健大臣も務めていた。だが外交
問題に関しては、イランでも最高級の
エリートでグローバリストの外交官たち
に権限をゆだねると誓約しており、
西側との関係の軟化が期待されている。
ペゼシュキアン氏は「国内に対しても
国外に向いても、従来よりも現実路線
であり、対立を好まない」 そう述べる
のは、バラク オバマ大統領の特任
アシスタントを務め中東問題での交渉
担当として長年のキャリアを誇る
Dennis B. Rossだ。
ただしRoss氏は次のような注意も
怠っていない。つまりイランの最高
指導者であるアヤトーラ アリ
ハメネイ師はペゼシュキアン氏の
外交面での活動に「かなりの制限を
課すことであろう」
イランの大統領の権限は、その大半が
国内問題に限定されたものだ。同国の
政治と宗教の両面で最高指導者である
ハメネイ師が、主要な政策決定をすべて
下している。特に外交問題やイランの
核開発プログラムに関しては、同師の
権限が強い。
イランの統治システムでは強力な権限を
有しているものがもう1つあり、それは
イスラム革命防衛隊であり、これが
イランの軍事関係すべてを監視している。
この革命防衛隊と最高指導者とが密接に
連携して軍事力をいつ・どのように行使
するのかを決定する。軍事力の行使と
いう場合、イラクやシリア、レバノン、
イエメンでのイラン代行勢力による
軍事活動の開始や、イスラエルに対する
脅威の実現も含むのだ。
外交官やアナリストたちによると
ここ数年でイランの外交政策は強硬化を
続けており、その傾向はペゼシュキアン
氏の下でもその傾向は続きそうだ。その
一環としてイランは他の専制国家との絆
を強める可能性がある。現にイランが
提供したドローンやミサイルにより
ロシアはウクライナを攻撃しており、
しかもイランは自らを中東においても
西側に対しても一大勢力であると提示
している。その内実、イラン国内では
反政府運動が盛り上がり、経済も深刻な
打撃を被っているのだが。
「イランは国外に <反政府勢力などの
武装代理組織の> ネットワークを展開
しており、それが実に大きな成果を収め
てきている。そのおかげでテヘランは
ある程度はやりたい放題に影響力を行使
できている。それだけの影響力と効果の
ある政策を廃止したいとは、誰も思う
まい」 そう述べるのは、Council on
Foreign Relations<というシンク
タンク> でイラン問題の専門家を
務めるRay Takeyhだ。今回の大統領
選が近づいた際に、ある分析文書で上述
の通り記していた。
世界とのかかわり
アナリストたちによれば新大統領が
国際的に実際の成果を上げやすい領域と
して、イランの制作に対する世界の
受け止め方を左右できるという点がある。
大統領が選任する外交官たちによる
影響力が大だ。この点では、
ペゼシュキアン氏と今回の選挙で彼の
最大の対立候補であった反西側の姿勢を
あからさまに示す超保守派のサイード
ジャリリとの間のコントラストは明白だ。
強硬派のマフムード アフマディネ
ジャド前大統領の時代にジャリリ氏は、
経済制裁による被害をなくすために
イランの核開発プログラムに制約を
設けるような交渉には、すべて反対して
いた。それどころかジャリリ氏は
ウラニウムの核兵器グレードへの濃縮を
推進していたと、この6月の分析で
Stimson Center <という研究所> の
専門家たちは記している。
危険な孤立主義者 ・・・
私の作品 “Behind the Masked Smile”
「そうしたやり方のため、イランは
国際的に孤立してしまった」と語るの
は、<独立系平和研究団体である>
International Crisis Groupでイラン担当
のディレクターを務めるAli Vaezだ。
「西側と交渉するという行為そのもの
に、ジャリリは価値を認めていない」
Vaezによれば、ペゼシュキアン氏の下
でなら、「外交的な成果がみられる
可能性は大きくなりそうだ」
西側との関係の改善
ペゼシュキアン氏はまた、国際的な関与
のための方針を打ち出し、西側との関係
も改善して経済制裁の解除を目指す方針
であると述べている。同氏は、イランは
イスラエル以外のすべての諸国との
やり取りを推進したいとも語っている。
ただし、ロシアならびに中国との提携を
重視しすぎる鵜ことに関しては、Vaez
氏は述べている。
「この方針で動いていきたいのであれば、
あらゆる諸国と有効を保ち、国家の威厳
と利益とに基づきつつあらゆる諸国と
良好な関係を構築せねばならない」と、
ペゼシュキアン氏はこの5月に語って
いた。「諸外国との関係を改善していく
につれ、先述の方針に近づくことになる。
逆に緊張を高めてしまうなら、先述の
方針から離れイランの状況は悪化する
ことになる」
Vaez によればペゼシュキアン氏は今の
ところまだ外交政策については何も
具体的なことを述べておらず、自分には
外交政策の実務経験がないことを極めて
正直に認めている。だが新大統領の
キャンペーンにおける外交政策のチーフ
アドバイザーはMohammad Javad Zarif
で、彼は前外務大臣として2015年に世界
の主要勢力を相手に核合意を締結した
人物だ。彼はアメリカで暮らした経験も
あり、巧みに英語を操るZarif氏は、
イラン国内では強硬派たちからアメリカ
かぶれとして馬鹿にされてきている。
トランプという不確定
要因
イランが西側との外交関係にどこまで
本気なのか、それを試す大切な試金石
の1つが、2015年の核合意の再建努力
に応じるか否かだ。この問題は <現在
のアメリカ大統領選挙で> ドナルド
トランプ前大統領が出馬しているという
事実のため、さらに複雑なものとなる。
この核合意はイランによる核兵器の製造
を禁ずるための合意で、規約上は2025
年で失効する。だが2018年にトランプ
前大統領がアメリカをこの核合意から
脱退させて以来、この合意はおぼ有名
無実なものとなってしまっている。
そしてトランプのアメリカはイランへの
経済制裁を再開したのだ。それに対抗
してイランはそのウラニウム濃縮作業を
加速させ、今では専門家たちによれば、
3個あるいはそれ以上の核爆弾に相当
する濃縮ウラニウムなどを数日あるいは
数週間で製造できるそうだ。
イランは以前から、その核開発プログラム
はあくまで平和利用に限定されたもので
あると主張して譲らず、核兵器の製造や
使用は2003年の「ファトゥワ」で禁じ
られているとしている。ファトゥワとは
宗教上の勅令のようなもので、この
ファトゥワはハメネイ師が発したものだ。
アメリカの高官たちによると、現時点で
核兵器グレードに近いウラニウム濃縮を
行っているという証拠はないのだが、
イスラエルの主張によると大学での
<核関連の> 研究を隠れ蓑にイランは
既に核兵器開発を進めている。
英国の外交官で、2013年に暫定合意が
締結された際にEUの外交政策担当
チーフとして核合意のための交渉を指揮
したCatherine Ashtonは、その交渉の
テーブルでジャリリ氏ならびにザリフ氏
の両者と密接に行動していた。Ashton
によれば、ジャリリ氏の関心は「交渉
そのものは続けさせながらも、実質的な
進展や成果は出ないようにすること」
にあった模様だ。
それとは対照的にザリフ氏は「アメリカ
やヨーロッパのことをはるかによく理解
しており、中東でのイランの将来の立場
を確保したいという決意に溢れていた」
と、Ashtonは語っている。
ハメネイ師はイラン国民に対し、西側
特にアメリカに対してオープンすぎる
大統領を選出しないよう警告を発して
いた。また外交官たちの見方では、
イランとロシアは何年間も不信と食い
違いの関係を続けたうえでこの
10年間は通商関係を温めてきているが、
そのおかげでイランは国際的な孤立を
耐えやすくなっている。
ガザでの戦闘のため、アメリカと
レバノン、シリア、イラク、イエメン
でイランからの支援を受けている武装
勢力との間の緊張が高まっており、
ワシントンとテヘランの間で新たな
可能性が形成される可能性は乏しいと、
Stimson Centerの専門家たちは記して
いる。
この4月にシリアにあったイラン
大使館をイスラエルが攻撃、イラン軍の
司令官数名を殺害した。イランはそれに
対する報復として、ミサイルやドローン
数百機をイスラエル目掛けて発射した。
そのほとんどは迎撃された。これは
イラン対イスラエルの対立の激化を表す
事態で、イランはそれまで以上の
抑止力があると確信するに至った
模様だ。
アメリカとの対立の回避
それでも、中東での紛争の拡大を防止
したいとアメリカは腹を決めていると、
イランの人たちも認識している。
<今回の軍事衝突による> 危険性に
ついては、両国間に裏のメッセージが
やり取りされていた。
交渉解体屋さん
私の作品 “Argument IV – Conclusion”
昨年、イランとアメリカの間では捕虜の
交換がなされた。それに伴い外交での
協力が強まるかとの希望が沸き上がっ
た。核開発プログラムに関する間接
交渉も、何らかの希望を匂わせていた。
だが現在、イランの関心の焦点は、
トランプ氏が今年11月の大統領選挙で
選出された場合、果たしてトランプを
交渉相手にするのか、するのなら
どのように、といった問題にある。
イランの政治関係者たちの多くは、
トランプの当選を予想している。
交渉担当者であるRoss氏によれば、
イランの新大統領には「現実主義と
最高指導者のイデオロギー基準の
順守との間の」バランスを保ちつつ
政府決定を下していくうえで、
いくらかの余裕がある模様だ。
だがそうした余裕はペゼシュキアン氏
による外交問題への取り組みに限定
されることになろう。特にアメリカ
との関係では、ハメネイ師が明確な
境界線を引いている。Ross氏による
と2015年の核合意に際しても、最高
指導者 <であるハメネイ師> は
「この合意から距離を置き、トランプ
が一方的に脱退した時に ”ほら、
言わんこっちゃない” と語れる
ような立場を保っていた」
長い記事で、眠くなった~~
私の人物デッサンより
実際、このモデルさんはウトウトして
らっしゃいました
Lara Jakes ローマを本拠に、
ロシアに対抗するウクライナの戦いを
支援する西側の外交・軍事的努力に
関する報道を行っている。ジャーナ
リストとしての経歴は、30年近く
に及ぶ。
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「やかんをのせたら~~」では今後も
イランの核開発に関する報道記事の紹介を
してまいります。
皆様から特報などあれば、私にもぜひ
お知らせくださいませ!
yadokari_ermite[at]yahoo.co.jp
まで!