ウクライナ軍が「ザポリージャ原発 ⇒ ロシア軍基地」 を攻撃??

アメリカの保守系ニュース ウェブサイト (週刊政治誌も発行) の
Washington Examiner の記事より。

ザポリージャ原発で新たな動きがあったとの報道です。
原発を自軍の基地化してそこから周囲を砲撃すれば、ウクライナ軍は
手が出せまい
というロシア軍の狙いだったようですが、こういう手に出たうえ、
さらにロシア軍兵士がその原発の安全規則を無視したとの報道も
ありましたよね。
すると、ウクライナ軍がこの「原発基地」に攻撃を加える可能性も、
考えられます。どうせ、攻撃しなくても原発の安全規則が無視されて
いるわけですから。

この問題に関連する報道です。

いつもどおり、私の日本語化で。< > 内は、私からの補足説明。

Nuclear power plant attacked by Ukrainian kamikaze drones, Russian officials say | Washington Examiner

ウクライナのカミカゼ ドローンが原発を攻撃とロシア高官が主張

速報ニュース担当 Brady Knox

2022年7月20日

**********************
ロシア軍の支配下にあるザポリージャ原発に対して水曜日 <7月20日> に
ウクライナのカミカゼ ドローン数基による攻撃があったと、
ロシア側の高官が述べた。

同原発がある自治体エネルゴダルの役所の広報担当部署によれば、
4機のドローンが使用されたとRIA Newsは報じている。だがこの
地域の行政官によれば、3機だったという。同原発のスタッフ11名が
負傷、うち4名は重傷だと、ザポリージャ地域のロシア派の非戦闘員と
軍部合同行政部の評議員Vladimir RogovはTASS通信に対して述べている。
Rogovによれば、当該のドローンは原発の中の原子炉がある部分は
攻撃しなかったという。

食い違った報道だらけね~~

食い違った報道だらけね~~

ロシア軍制圧下の原発での死を招く 「出来事」 に関して、ウクライナ
国内の市長が謎めいた投稿

“未確認の情報ではあるが、今回の攻撃に使用された無人攻撃機は弾頭を
搭載しており、その爆薬重量はTNT火薬相当量で算定されていた。
このUSILというテロ組織を壊滅させねばならない」 とRogovはロシアの
SNSであるTelegramの自分のページに記している。彼はさらに説明を
加えており、USIL とはUkrainian State of Ivano-Frankivsk and [Lviv]
(イヴァノ・フランキヴスクならびにルヴィヴのウクライナ国家) という
ウクライナ西部にある2つの都市政府のことで、RogovはUSILをISIS
つまりイラクから地中海東岸にかけて存在している過激派イスラム組織に
なぞらえている。

Rogovは他にもTelegramに投稿しており、今回の攻撃は「“ゼレンスキー
大統領のテロリストたち” がザポリージャ地域の住民を脅すために
やらかしたことだ」 と主張している。

「この地域の住民たちはロシアと再度統合化されたいと願っており、
それに対する報復が今回の攻撃だ」とRogovは述べている。彼はさらに、
今回の攻撃で使用されたドローンのパーツであると主張する物体の
画像も数枚投稿している。

この嫌疑について、ウクライナ政府はまだコメントをしていない。
在アメリカ ウクライナ大使館にもコメントを求めたが、まだ回答は
ない。国連事務総長の副報道官Farhan Haqも、水曜日に開かれた
ブリーフィングにて今回の攻撃に関する直接の情報をまったく
有していないと述べたと、TASS通信は報じている。

ヨーロッパ最大の原発 <であるザポリージャ> は、2月にロシアに
よるウクライナ侵略がフルに開始されて以来、すでに幾度もロシア軍と
ウクライナ軍の両方から攻撃を受けている。今週月曜日には
ウクライナから避難中の市長Dmytro OrlovがTelegramに投稿、
ロシア軍兵士数名が死亡あるいは負傷した「出来事」に暗号的に言及
していた。RIA News によれば今回の攻撃はウクライナのドローン1機に
よるもので、兵士ではなく原発のスタッフ11名が負傷したそうだ。
Orlov は今のところ、ザポリージャ原発の施設に対して攻撃があった
との主張に関しては、コメントしていない。

ウクライナ南部にある同原発はロシア軍の基地に改造されており、
ロシア軍は兵器や兵員をそこにかくまってウクライナ軍による攻撃
から守っていると、Wall Street Journalは報じている。

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ザポリージャ原発でロシア部隊が安全規則に違反と、エネルゴアトム

Last Updated: 20th July, 2022 09:07 IST

Russian Troops Breach Safety Rules At Zaporizhzhia Nuclear Power Plant, Says Energoatom
(ザポリージャ原発でロシア部隊が安全規則に違反と、エネルゴアトム)

インドのメディア ネットワーク企業Republic World による、ザポリージャ原発関連の報道です。2022年7月20日付。

ウクライナへの侵略でロシア軍がザポリージャ原発を占拠しているが、ウクライナの国営核発電企業エネルゴアトムによれば、そのロシア軍部隊が同原発の安全規則に違反した。

Riya Baibhawi 記者

Russian troops breach safety rules at Zaporizhzhia Nuclear Power Plant, says Energoatom (republicworld.com)
より。

いつも通り、私の日本語化で。< > 内は私からの補足説明。

*****************
ウクライナへの侵略でロシア軍がザポリージャ原発を占拠しているが、
そのロシア軍部隊が同原発の安全規則に違反した。ウクライナの国営
核発電企業エネルゴアトムによれば、この月曜日 <7月18日> に
プーティンの軍はロシア軍制圧下のエネルホダルにある同原発の従業員
たちから通行書を奪い取った。同部隊の兵士たちは誰も放射線防護服を
着用しておらず、しかも同原発構内を進むうちに幾度も安全規則に違反した。

先週、ザポリージャ地域の親ロシア派軍・市民勢力の代表者である
Yevgeny Balitskyが述べたところでは、同地域のロシアへの併合に関する
住民投票が今年秋初めにも実施されるそうだ。Balitskyは併合のために
あらゆる 「組織的メカニズム」 を整備していると語っていると、
TASS通信は報じている。労働運動や労働組合、活動家たちから、
ザポリージャ地域の命運を早く決めるよう請願を受けていると、
Balitsky は述べている。さらに彼は、同地域の住民たちはロシアへの
併合を望んでいると強調していた。

一方、ロシア軍はウクライナの南部ならびに東部工業地域にある
町や村への攻撃を続けている。火曜日にはクラマトルスクに対して
ミサイルを発射、住民1名が死亡し、住民10名が負傷した。
Pavlo Kyrylenko知事は後に10階建てアパートが攻撃を受けたことを
確認、超音速ミサイルR-37が使用されたと発言した。ウクライナの
国家緊急事態サービスによると、それとは別の攻撃で、プーティンの
軍団はスロヴィアンスクの居住用ビルを部分的に破壊、2名を死亡させた。

早く平和を ・・・ 私の10分クロッキー

早く平和を ・・・
私の10分クロッキー

オデッサ、巡航ミサイルの標的に

さらにオデッサではロシア軍が夜間にKalibr巡航ミサイルを7発発射、
6人が負傷した。ロシアの国防省は後程、このビレンケという村への
攻撃は正当な軍事目的を達成したもので、「アメリカや西欧諸国が
提供した兵器用の弾薬の保管庫を破壊した」 と主張した。だが
オデッサの地方政府の広報官Serhiy Bratchukはこの主張は無根拠だと
否定、ロシアがこの攻撃を加えたのは威嚇戦術の一環であるとした。

 

BratchukがウクライナのTVに述べたところによれば、「こうした
非戦闘員に対する攻撃の目的とは、1つしかない。住民や地方政府当局を
威嚇し、絶えず緊張の中に閉じ込めることだ」 ロシア対ウクライナの
戦争は5か月目に突入しようとしており、両国合わせると何十万人もの
死亡者が出ている。
*****************

どうもロシア軍は自分の兵士たちに放射線防御の必要事項なども教えずに、
原発制圧に放り込んじゃっているようですね。まともな訓練を行う余裕も
ないのでしょう。
問題は、こんなまったく無知な兵員が原発を制圧している以上、その
原発ではどんな異常事態が発生しても不思議ではない ・・・ という
ことですね。
「やかんをのせたら~~」 でたびたび説明してきたように、原子炉とは
もともと核兵器製造用のマシーンです。それにいくら 「やかん」 を
のせて発電をしたところで、「安全な機械」 に変身するわけじゃ、
ありません。
異常事態が起きる前に、プーティンが正気を取り戻してウクライナに
平和が戻ることを!

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“Ten Serious Flaws”, 1つ目の欠陥

では、”Ten Serious Flaws —” に戻って、1つ目の「欠陥」を。

Ten Serious Flaws in Nuclear Deterrence Theory (wagingpeace.org)
(核抑止理論に見られる10の欠陥)
David Krieger | 2011年2月7日)

では、この 「10の欠陥」 から、まず第1の欠陥を。
いつもどおり、私による日本語化、< > 内は私からの補足説明です。

*****************
欠陥1 <核抑止理論は> 単なる理論に過ぎない。  核抑止理論は
実証されたものではなく、そもそも実証不可能だ。理論というものでは、
たとえば誰かが何かをすると、ある種の結果が生じるという因果関係が
提示されている場合もある。核抑止理論では、一方が <相手からの
攻撃に対抗して> 核兵器で報復するという脅威を示せば、その相手は
攻撃しては来ないとする。だが、攻撃がなかったからと言って、それが
核抑止のためだという結論には、必ずしもならない。つまり論理学では、
誤った因果関係の想定というものがあり得る。何か前提条件を満たせば
何か他のことが発生しえないという否定命題は、証明できないのだ。
核攻撃が行われていないという事実の原因としては、他にいくつでも
考えられる。あるいは、単なる例外的な幸運という場合もあり得る。
核戦争が <今までのところ> 発生していない事実を核抑止による
ものだと主張するのは、誤った肯定命題なのだ。そうした誤りのため、
核抑止理論には無根拠な有効性があるものとされてしまう。
******************

「否定命題」云々という箇所が少しわかりにくいかも。
実例として、たとえば
「アメリカは旧ソヴィエト連邦から核攻撃を受けなかった ⇒ だから、
核抑止は有効だ」
というかなり飛躍した主張を、アメリカではいまだに耳にします。
でも、隣国のカナダは1984年以降、少なくても公式には核兵器を
維持・保有しておりません。そしてカナダにも、ソヴィエトからの
核攻撃はありませんでした。
「いやそれは、“アメリカの核の傘” のおかげだ!」 という理屈が
すぐに聞こえてくるのですが、じゃあフィンランドは??旧ソヴィエトと
長い国境を接し、実際に交戦もしていました (1939-40の冬戦争、
1941-44の継続戦争) が、少なくても明示的には核兵器を保有した
ことはありません。最近のニュース報道でNATO加盟が話題に
なりましたが、逆に言えば旧冷戦時代にはNATOの核の傘の下には
いなかったことになります。でも、ソヴィエトから核攻撃を受けた
ことは、ないのです。
核抑止理論の提唱者の間では、どうも 「何でもかんでも核抑止の
おかげ」 にしてしまう傾向があります。

では、欠陥2 は、次回に。ただ、それまでにザポリージャ原発や
JCPOA関連などで何か発生した場合には、それを取り上げます。

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ロシア軍、ザポリージャ原発を「基地として利用」

下で 「ザポリージャ原発の基地化」 を憂慮する記事紹介を
しましたが、ついに同原発からロシア軍がミサイルを発射して
いるという報道が流れています。
ああ、しばらく落ち着いてすぐ下の “Ten Serious Flaws —” を
紹介したかったのですが、核関連の出来事が、それも深刻な
ものが多すぎて、落ち着くことは許されないようです。。。

では、France 24のライブ報道ブログ英語版より、私の抜粋・日本語化で。
いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。

フランスの国営国際放送France 24による英語記事より。
Live: Russia accused of shelling from Zaporizhzhia nuclear plant (france24.com)
(ライブ報道: ロシア軍、ザポリージャ原発から砲撃を実施、
非難を受ける)

初投稿: 16/07/2022 – 07:07   修正: 16/07/2022 – 12:32

************
ウクライナ政府高官たちは、ロシア軍が占拠している原発を
武器保管庫兼発射基地として利用していると、非難している。
ロシア軍はウクライナの諸都市に対する攻撃を激化させており、
土曜日 <16日> にはキーフで空襲警報のサイレンが鳴り響いた
・・・ <下記の> 時刻記載はいずれもパリ時刻。 <東京より
7時間遅い>

・・・ 該当箇所へと飛びます ・・・

あそこを押さえられると、手が出せない ~~ 私の20分クロッキー

あそこを押さえられると、手が出せない ~~
私の20分クロッキー

06:41am: ロシア軍が占拠している原発からミサイルを発射して
いるとの非難

ロシア軍は、ヨーロッパ最大の <ザポリージャ> 原発を基地と
して利用、「ミサイル システム」も含んだ武器を保管している。
さらに同原発を基地として、ウクライナ国内の同原発周辺地域を
砲撃していると、キーフの核エネルギー機関の高官が金曜日に
述べた。同日、ウクライナのほぼ全土が空襲警報の対象となっていた。

その核エネルギー機関エネルゴアトムの理事長によれば、
ザポリージャ原発の状況は 「著しく緊張して」 おり、最大で
500名のロシア軍兵士が同原発を制圧している。

「占拠部隊は軍の機械類をこの原発に運び入れており、
それにはミサイル システムも含まれている。そうした兵器により、
ロシア軍部隊は既にドニエプル川 <ザポリージャ原発のすぐ北側を
流れている大河> の対岸地域やニコポル地区に対し砲撃を加えている」
と、エネルゴアトムのペドロ コーティンはテレビのインタビューで
述べた。川の対岸にある町の状況に関する発言だ。

このウクライナ南西部にあるザポリージャ原発は、ロシア軍による
侵略の初期段階から今まで、ロシア軍の支配下にある。ただし今も
原発の稼働はウクライナのスタッフが担当している。

戦闘の前線から離れた地域からも空襲の報告があり、ウクライナの
ほぼ全土で空襲への警戒が高まった。ヴォロディミール ゼレンスキー
大統領によれば、ロシアの目的は 「ウクライナの諸都市に可能な
限りの被害をもたらすことだ」
同大統領は毎日、TVで国民にメッセージを届けているのだが、
この日は 「改めてお願いしますが、この空襲警報は決して無視しないで
ください」 と述べていた。
********************

早くプーティンが正気を取り戻してロシア軍が撤退し、ウクライナに
平和が戻ることを祈っております。
それと、下の7月9日の記事で問題にした、「原発の軍事的リスク、その4」 が
いよいよはっきり現実化しちゃいましたね。日本の原発を最大9基再稼働する
とか日本政府は仰ってますけど、軍事的防御はできるのでしょうか??
敵国が原発を占拠・基地化してしまった場合、こちらは下手に手を出せない
「極めてやっかいな敵基地」 になるのは、容易に想像できますよね。
また日本国は現時点で、確かに戦争状態にはないですが、テロという
危険もございまして ~~ ページ g-5) と g-6) 参照。
どうしても再稼働したいなら、福島第一の大惨事から今までの11年間の
間に、こうしたリスクへの対策は考えて実施しておくべきでしたよね。
11年間も、何をやっていたのか ・・・

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Ten Serious Flaws in Nuclear Deterrence Theory

では、すぐ下で予告した Nuclear Age Peace Foundation (NAPF)
という国際的 NPOが公表しているTEN SERIOUS FLAWS IN
NUCLEAR DETERRENCE THEORY (核抑止理論に見られる10の
欠陥)という文章を、少しずつ紹介してまいります。NAPF の
設立者の一人、David Kriegerさんの考察です。2011年2月のもの
ですが、核抑止という問題に関する限り、2022年7月現在でも
有効な考察です。
いつもどおり私による抜粋・日本語化、< > 内は私からの
補足説明です。
*******************

「安心できない安心」 私が昔描いた絵画の、地塗り段階

「安心できない安心」
私が昔描いた絵画の、地塗り段階


Ten Serious Flaws in Nuclear Deterrence Theory (wagingpeace.org)
 より

TEN SERIOUS FLAWS IN NUCLEAR DETERRENCE THEORY
(核抑止理論に見られる10の欠陥)

David Krieger | 2011年2月7日

核抑止とは、所定の行動に対する核による報復という脅迫のことで、
一般的には<その「所定の行動」とは> 核抑止に訴えている当該国に
対する <敵対国からの> 攻撃のことである。核抑止理論によれば、
こうした脅迫を <敵対国が> 現実のものであり充分な被害を
もたらすものだと認識すれば、<その敵対国は> 攻撃その他の所定の
行動をとらないはずだ。

核抑止を求める願望は、核兵器そのものが出来上がる以前から
存在していた。二次大戦中にヨーロッパから <アメリカへと>
避難していた科学者たちは、ドイツが核兵器を開発する可能性を
憂慮し、アメリカ政府に対してウラニウムの核兵器製造における
利用を研究するよう促した。アルバート アインシュタインも、
<当時のアメリカの> ルーズベルト大統領に対して核爆弾の実現
可能性を調べるプログラムを発足するよう強く勧めた科学者たちの
一人であった。ドイツが核兵器の製造に成功した場合、その核兵器の
使用を抑止するため、というわけだ。のちに広島と長崎で核爆弾が
使用されたが、それを知ったアインシュタインは <このアメリカ
政府への提言を> 自分の人生での最大の誤りの1つだと認識を変えた。

アメリカが核兵器を開発したのは1945年7月のことだったが、その
時点でドイツは既に降伏していた。アメリカはその強力な新型爆弾を、
広島と長崎に投下した。そうすることでアメリカは、核抑止の
メッセージを他の諸国、特に <当時の> ソヴィエト連邦に送ったのだ。
アメリカは核兵器を保有し、それを必要なら使うぞ、というメッセージだ。
当時ソヴィエト連邦は秘密裏に核兵器プログラムを進めていたが、
アメリカに今後核兵器を使用させないように、ということでその
秘密プログラムが加速される結果を招いた。その他の諸国も同様の
動きに出た。ソヴィエトを抑止するため、英国とフランスも核兵器
装備を始めた。イスラエルも、自らの独立を守り他の核兵器保有
諸国からの介入を防止するため、核兵器開発を進めた。また
インドは、中国とパキスタンを抑止するために核兵器を開発し、
パキスタンはインドを抑止するため同じ動きに出た。北朝鮮は、
アメリカを抑止するために核を保有した。

あいつがやるなら、俺も 私の20分クロッキー

あいつがやるなら、俺も
私の20分クロッキー

核時代 (Nuclear Age) に常に見られる要因の1つとして、
核兵器保有国は必ず核抑止理論を信奉する。核兵器を開発した国は
いずれも、核抑止の実現であるという理由で、その開発を正当化
してきた。その核保有国自体だけでなく、人類の文明そのものの
安全が、核抑止理論の信頼性にかかっている、というワケだ。
全世界の多数の人たちが、核抑止が地球の安全に、さらには自分や
家族の安全に、寄与していると考えている。だが、本当にそうなのか?
核兵器保有国すべての政治・軍事的指導者たちは、核抑止理論を
金科玉条、あたかも神聖不可侵な教えであるかのように扱ってきた。
核抑止があれば、安全が守られる、という非現実的な教義だ。
だが、そうした指導層が間違っていたら? その場合、人類の未来は
致命的な危機を迎えることになりかねない。核抑止が現実には
機能しなくなった場合、人類の存在そのものを脅かす脅威が
訪れかねないからだ。

アメリカ戦略軍の前司令官であったジョージ リー バトラー将軍は、
在任期間中にはアメリカの前核兵器を管轄していた。アメリカ空軍を
退役した後、バトラー将軍は核抑止理論を批判、「国家の安全保障の
究極の目的に関して、この核時代における合理的な思考を危うくして
しまっている。国家安全保障の最終目的とは、その国家を存続
させることだ」 と語った。バトラー将軍の結論として、核抑止とは
「危うい知的構築物で、現実の世界にはほとんど該当しない。
現実世界には、偶発的な危機もあれば動機説明が不可能な動き、
諜報活動の不完全さ、人間関係のもろさといった諸問題が溢れている」

火山が噴火する前には、明確な兆候が見られ警告となる。同様に、
核兵器の使用と核抑止の崩壊にも先立つ兆候があり、我々はこの
核時代においてそうした実例を見てきている。噴火のような力の
ために核兵器群が急激に 「噴火」 し、核抑止理論による比較的
脆いものでしかない 「防御」 をぼろぼろに壊してしまう場合も
あり得る。そうした危険を考えるなら、我々は現状に満足しては
ならない。また、核兵器が自分たちを守ってくれると主張する
「専門家」 たちの意見で安心し続けているわけにも、いかない。
実は憂うべきことは実に多数あり、核兵器保有各国の核政策決定者や
理論家たちが説いているよりもずっと多い。下記 <次回以降に紹介>
では、核抑止理論に私が認める10点の深刻な欠陥を考察する。
こうした欠陥を考えるなら、核抑止理論は安定性にかけ、
信頼できず無効な理論なのだ。
*******************

今回は、イントロですね。
次回から、少しづつ 「10の欠陥」 を紹介してまいります。

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しばらくTen Serious Flaws in Nuclear Deterrence Theoryを

核抑止理論について調べておりますが、今後何年かかけて
追求していくべき問題です。
でも、その「何年か」のあいだ、ずっと新規投稿をお休み
するわけにも、まいりません。

そこで、私が読み調べしている材料の中から、
比較的わかりやすいと判断したものを、少しづつ
紹介していくことといたします。

まずは、
Ten Serious Flaws in Nuclear Deterrence Theory (wagingpeace.org)
を。
Nuclear Age Peace Foundation (NAPF) という国際的 NPO (国連の
Peace Messenger Organization としても認定されています)が
公表している文章です。
タイトルのとおり、「核抑止理論に見られる10の欠陥」を
取り上げています。
NAPF の設立者の一人、David Kriegerさんによる文章で、
2011年2月7日付のものです ーー つまり、11年も前のものですが、
いかんせん、世界情勢はそれ以来改善などしておりません。

分かりやすい内容なので、できるだけ上記のリンク先にある
原文をお読みくださいな
でも、それが無理な読者の皆様もいらっしゃるでしょうから、
そうした方々のため、次回から少しづつこの文章を
私の日本語化で紹介していきますね

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原発の軍事的リスク、さらにもう1種が現実化

Russia turns Zaporizhzhia NPP’s site into military base – Energoatom
(ロシアがザポリージャ原発の敷地を軍事基地に改造と、エネルゴアトム)

UKRINFORM
(ウクライナの放送用マルチメディア プラットフォーム)

ウクライナのUKRINFORMからの下記記事によると、原発の
抱える軍事面でのリスクのうち、新たなリスクが現実化して
しまっているようです。「占拠された原発が軍事基地に ”改造“ されて
しまう恐れがあり、そうなるとその基地には下手に手が出せない」
(原発目掛けて爆弾を落とすわけにいかない)
というリスクですね。
仮に本件がフェイクであったとしても (フェイクであってほしいですが!)。
この 「原発を占拠して、下手に攻撃できない軍事基地に変えてしまう」
というリスクは、いずれ将来現実化してしまう恐れがありますよね。

、今まで 「やかんをのせたら~~」 では、原発の軍事面での
リスクとして、次の3種類を取り上げました:
・ 核兵器の proliferation risks (拡散リスク)
・ 原発が巨大な dirty bomb になってしまうリスク
・ 原発の存在が、他国からの侵入を正当化する 「言いがかり」 に
されてしまうリスク
(「A国は、そのXX原発で核兵器用Pu を製造している可能性が
ある」 ⇒ それを言いがかりに、A国に侵攻、というリスク。2003年に
アメリカや英国がイラクに攻め込んだとき、2022年にロシアが
ウクライナに侵攻したとき、このリスクは現実化してしまった)

そして今や、ザポリージャにおいて上述の 「原発が、攻めづらい
軍事基地に改変されてしまうリスク」 が現実化してしまっております。

ではそのUKRINFORMからの記事を、私の日本語化で紹介しますね。
いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。

英語原文を読める方は、ぜひ原文をお読みくださいな:
Russia turns Zaporizhzhia NPP’s site into military base – Energoatom (ukrinform.net)

***********************

2022年7月8日
ザポリージャ原発の現地を、ロシアが軍事基地に改変してしまい、
同原発のスタッフはロシア軍からのプレッシャーの下で任務をこなしている。

そう述べたのはウクライナのエネルゴアトム国営核発電公社の社長、
ペトロ コーティンで、Ukrinformの記者によれば、EnergoBusinessとの
インタビューでの発言である。

「<同原発の> スタッフは、今もロシア軍からのプレッシャーの下で
作業を続けており、同原発の現場には数百名の武装部隊がおり、
重火器も弾薬の備蓄も備わっている。この原発で起こっているすべての
ことに対して、IAEAは反対すべきであった。つまり、同原発内にロシア軍
部隊が立ち入ること、同原発の周囲の物理的防壁が破壊されたこと、
ウクライナによる同原発の管理が許可されていないこと、である。
<同原発の> スタッフは重いプレッシャーの下で勤務しており、
休むことも許可されていない。安全のための規則では、スタッフの休みは
義務付けられているのだが。食料も不足している。こうした現実は
いずれも、核や放射線の安全性規定への直接的な違反であり、IAEAは
それらすべてに対応すべきだったと、コーティンは語った。

コーティンによれば、同原発は予め作成された計画に沿って稼働している。

「たいていの場合、我々は 「予定ぎりぎりで」 動くことはしない。
コンポーネントも化学物質も予備の備蓄を準備しており、“追加の供給なし
でも” しばらく稼働を続けられる。無論、これがかけてはならないという
生命線はある。それをどう確保するか、あるいはそれらなしにどう稼働
できるのか、検討しているところだ」と、コーティンは述べた。


“Run! For your life!”
私の昔の作品、部分
・・・ (後略) ・・・

*************************
いうまでもなく、原発を敵軍に占拠され、そこからミサイル攻撃や
砲撃を敵軍が行っている場合、その原発を本来保有している国家は、
下手に手出しができませんよね。原発には、下手をするとそうした
厄介な敵基地に改変されてしまうリスクがあるわけですね。

日本で原発問題というと、いまだに反原発派の多くからは 「地震や
津波 ⇒ 原発事故 ⇒ 放射能こわい!」 といった判で押したような
反応が返ってきます。
原発事故を軽視しているわけじゃ、まったくありませんよ。ただ、
当然、原発推進勢力はアレコレ反論を打ち出してくるわけですよ。
たとえば:
・ 最近喧しい 「原発を再稼働しないと、電力が不足する」 という
主張 (⇔ 付録 w-6)、w-9) 参照)
・ 「原発を使わないと、CO2を削減できない」 という
主張 (⇔ 付録 w-1)、w-3)、w-8) 参照)
・ 「新型の小型炉なら、メルトダウンしません」 という
主張 (⇔ ページ s-0) からs-3) 参照)

我々反原発派も扱う問題系を広げ、組織化して、原発に伴う
各種リスクを広く世界に訴えましょうよ。
特に、今まで4種類紹介してきた軍事関連リスクは、いずれも
深刻なものなのに、日本の反原発団体などはあまり具体的に
アピールしてきませんでした。もっと情報発信をしっかり
させましょうよ!

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付録 w-9) をアップロード

付録 w-9) をアップロードしました。

本来の本ウェブサイトのフォーカスである核発電の軍事的側面からは、
大きく離れてしまうのですが、
・ 今年6月終わりの危険な暑さのなかで電力不足リスクがあり、
案の定、「原発を再稼働しないから、熱中症で人が死んでる!」
といった訳の分からない主張を、一部の政治家などがしている
・ それに関して、反原発団体などからの「真実の説明」が、
あまり聞こえてこない

という情けない現状ですので、暑さの中で 「何で、私がこんな事
書かないといけないの??」といぶかりながら記した付録です。

上の黒いメニューでは、項目は基本的にアルファベット順に
配列していますが、「付録」 はメニューの終わりに並べてございます。
メニューの終わりあたりにある付録 w-9) をクリック!

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ザポリージャ原発から、残虐事件

yahoo! news より

The occupiers tortured the diver of the Zaporizhzhia Nuclear Power Plant to death – the mayor of Enerhodar (yahoo.com)
(ザポリージャ原発で潜水士を占拠中のロシア軍が拷問、死なせたと、<ザポリージャ州> エネルホダル市長)

すぐ下の記事で、ザポリージャ原発のスタッフの状態が憂慮
されているとのREUTERSの報道を紹介しましたが、
Ukrayinska Pravdaというウクライナ語オンライン新聞による
7月4日付の記事をyahoo! newsが紹介しているものによれば、
どうも同原発では拷問・致死といった事態も発生しているようです。
そのyahoo! news 経由のUkrayinska Pravdaの記事を日本語化
して紹介しますね。
ウクライナ語 ⇒ 英語ときたものを、さらに日本語にリレー言語
転換するような結果になりますが。

Ukrayinska Pravda

2022年7月4日

KATERYNA TYSHCHENKO 記者、オリジナルは2022年7月3日

ザポリージャ原発 [ZNPP] の水系統施設で潜水士を務めるAndrii
Honcharukさんが同地を占拠中のロシア軍部隊による拷問を受け、
その後エネルホダル市で死亡した。

情報源: エネルホダル市長Dmytro Orlov氏、<SNSのTelegramに公表>

Orlov氏の発表からの引用: 「本日7月3日、ザポリージャ原発の
水系統施設で潜水士を務めるAndrii Honcharukさんが死亡した。

数日前、原発に勤務する経験豊富な専門的潜水士が、同原発を
占拠する部隊から、極度に残虐な拷問を受けた。同潜水士は
ザポリージャ原発の<温水冷却用> 噴水池に潜水するよう
要求された。彼が拒否したところ、人の姿をしたモンスターの
ような占拠部隊はHoncharukさんを拷問にかけた。

ディテール: Orlov市長によれば、Honcharukさんは多数の
けがを負い意識のない状態で、エネルホダルの病院に搬送された。
だが彼が受けた負傷は生命に係るもので、彼は意識を回復すること
なく日曜日に他界した。

背景:

  • Orlov市長によれば、同原発を占拠しているロシア軍部隊は
    同原発の従業員たち地下室に閉じ込め、何週間も拘束して
    いるという。
  • 占拠部隊はさらにカネのために人を拉致しており、釈放して
    ほしければ一人当たり50,000フリヴニア (およそ1,700米ドル) を
    支払えと要求している。

***************
ただならぬ内容ですね。
発電所という施設では、その発電所の現状に慣れたスタッフで
ないと実際には動かせない機械が多くあるものです。そのスタッフを
閉じ込めたり殺害しているって ・・・
ザポリージャ原発を暴走でもさせたいのでしょうか???
さらにザポリージャ原発の latest newsを追いかけ、随時日本語化
紹介してまいりますね。

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ザポリージャ原子炉のスタッフ、窮地に

REUTERS, 2022/06/24

少し遅くなりましたが、ザポリージャ原発で心配な事態が発生、IAEAも現状を確認したいと明確な懸念を表明しているそうです。
日本語のメディアでは、この報道をあまり見かけませんね。なんで??

そこで、REUTERSによる報道
IAEA voices concern for staff at Ukrainian nuclear plant, demands access (msn.com)
から、
IAEA voice concern for staff at Ukrainian nuclear plant, demands access
(IAEA、ザポリージャ原子炉のスタッフに関し懸念を表明、現場視察を要求)
という2022年6月24日付の記事を日本語化して紹介しますね。
例によって、< > 内は私からの補足説明です。

*************
ウィーン発、Reuters  – 国連の核監視機関 <であるIAEA> は、
ウクライナにありロシア軍が占拠中であるザポリージャ原発の
スタッフの状態について、懸念を増大させている。同原発は
ヨーロッパでは最大の原発。IAEAが金曜日 <6月24日> に
発表したところでは、すぐにでも現場視察が必要だとしている。


「ああ、もう ・・・・」
私のデッサン練習

ザポリージャ原発ではウクライナのスタッフがロシア軍部隊の
命令の下で原発稼働に務めているが、IAEAはこの数か月間、
これでは安全上のリスクが高く、使節団を同原発に派遣したい
としてきた。

「IAEAでは各種メディアその他による最近の報道を認識して
おり、ウクライナ最大の同原発でのスタッフの状況悪化を示す
兆候を見聞きしている」 と、ウィーンに本拠を置く国連機関
IAEAによる声明は述べている。

さらに同声明によれば、「同原発スタッフの直面している状況の
困難が激化しつつあり、IAEAでは憂慮を募らせている ・・・
できるだけ早急にIAEA施設が現地に赴き、本件も含めた各種の
緊急事態に対応する必要がある」

そうした各種緊急事態の1つとして、IAEAの査察官が検証作業を
行う必要があり、それには同原発にある 「大量の」 放射性物質の
検査も含む。

そうした放射性物質に関するデータをIAEA本部へと沿革送信する
伝送は今月回復したのだが、物理的なストック確認は査察官が
現場で行わねばならず、そのための期限も 「所定の日時を過ぎて
はならない」 とIAEAは述べたが、それ以上の詳細な説明はない。

同原発には6基の原子炉があるが、そのうち2基では最近核燃料の
交換を行った。そうした場合には、稼働再開の前に燃料の検査が
必須だと、IAEAは述べている。しかも現在、この2基の原子炉は
稼働してしまっている。

「この大型原発でのこうした現状は、擁護のしようもないものだ。
我々が得た情報によれば、同原発の現場は武装したロシア軍部隊が
制圧しており、ウクライナ側のスタッフは極度にストレスの強い
環境下で原発を稼働させている」 と、IAEAのラファエル グロッシ
事務総長は声明で述べている。

「最近見聞きしている報道は実に憂慮を深めるもので、
同原発のスタッフの状態についての心配を募らせている」

(Francois Murphy記者、Mark Heinrich編集者)
***********************

なんやら我々のほとんどが心配してきたとおりの展開に
なっちゃってます!
重大な危機が発生しないうちに、ロシア軍がこの原発から
撤退することを祈っています!
それと、原発というのは戦時に占拠された場合、いかに
厄介なものか、日本社会でも全世界でも広く認識して
もらいたいです!
なんせ、IAEAによる交換後燃料の検査すらすっ飛ばして
稼働を始めちゃってるとは ・・・
ご存じのとおり、IAEAの査察などをすっ飛ばすように
なると、兵器製造に転用されてしまうのを止めようが
なくなってしまいます。(北朝鮮も、その実例でしたよね)

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