ICBM用サイロなんて、ほんとに必要なのか??

SLATE、”War Stories”より
Fred Kaplan, 2021年7月13日

アメリカの核兵器の「近代化」ですが、それについてFred Kaplanというジャーナリストが、SLATEという雑誌に下の記事を執筆なさっています。
この雑誌自体は軍事問題や国際関係を専門にしたものではないので、紹介するのはどうかとも思ったのですが、筆者のKaplanさん自身はそうした分野がご専門のジャーナリストで、関連した著作も数冊おありです。
またSLATE自体は、リベラル/プログレッシブ系のメディアです。
しかし、「朝日新聞の言うことだから~~」とか、「産経の記事だから~~」といった、「この会社の言うことだから、~~~だ」というような決めつけが多い社会状況になっております。そうした先入見に縛られず、読むべきものは読んでいきたいと願っております。

先日、この「やかんをのせたら~~」でも紹介した、中国の西北部ユーメン近郊のICBMサイロ新設との関連で、SLATEのWar Storiesという連載ページに掲載されたものです。

Let’s Not Get Into a Nuclear Arms Race With China

China’s new missile silos are concerning—but we already have more than enough weapons to counter them.
(中国と核武装競争を始めるのは、やめよう
中国の新ミサイル サイロは憂慮すべき存在だが、それに対抗するには充分すぎるほどの核兵器が、アメリカにはすでにある)

記事本文は
https://slate.com/news-and-politics/2021/07/nuclear-weapons-china-missiles-yumen.html
でお読みになれます。

「あっちは、ずいぶん傾いてるわね」・・・って、自分は?? 私の20分クロッキーより

「あっちは、ずいぶん傾いてるわね」・・・って、自分は??
私の20分クロッキーより

以下では、私の日本語翻訳で、2回に分けてこの記事の内容を紹介しますね。
長い記事なので、2回に分けます。

(私による日本語化)
アメリカ軍部の将軍や司令官たちはこの何か月か、2つの大きな課題に取り組んでいる。中国の軍備増強に対抗する必要性と、それとは別にアメリカの既存の核兵器備蓄の「近代化」だ。つまり、既存の核兵器モデルが旧式化しつつあるので、それをアップグレードしあるいは交換するための、新たなミサイルや爆撃機、潜水艦などを製造せよ、というわけだ。

そうした動きを加速しそうな、新たな展開があった。ある衛星画像から、中国が北西部ユーメンという都市の近郊にある砂漠地帯に120か所ものミサイル用サイロを建設した模様だ、という展開のことだ。サイロ10か所を1グループにまとめ、それを制御する発射制御センターが設けられているように見える。中国のDF-41 大陸間弾道弾には、うってつけの組み合わせだ。

アメリカ戦略軍のトップ、Charles Richard司令官はこの展開について、中国各核武装の「息を呑むような急拡大」だと述べている。他にも、このサイロの新設をもって、アメリカ政府が核兵器近代化プランの実施を急ぐべきもう1つの理由とする人たちはいる。下院では、一部の議員たちが戦略的ならびに経済的な理由から、核兵器近代化に反対してきた。(この近代化のコストは、今後30年間で1兆ドルを超える)

今回発見されたサイロにミサイルが配備されると、中国のICBM数はほぼ倍増する。まさに息を呑むような建設プロジェクトであり、急速に完成に近づいている。だが、これらサイロが新たな脅威となるか否かは、まったく明らかではない。それこそ、中国の核戦略の変化によるものなのかどうかも、定かではない。むしろ今回のサイロの増設は、アメリカからの核脅威が増大していると中国高官たちは見ており、それに対する中国の対応である可能性が高い。

そう言うと、一見、おかしな発言に聞こえるかもしれない。確かに近年、アメリカは核兵器を削減してきているし、アメリカ大統領が中国に対し先制核攻撃を始めるというのは大半のアメリカ人にとっては馬鹿げた話だ。だがほとんどの中国人にとっては、そうではない。

第1に、アメリカには「オハイオ」級の潜水艦14隻があり、そのいずれもTrident IIという潜水艦発射型弾道ミサイルを24基搭載している。しかもこのミサイル1基は、8個前後の核弾頭を擁している。つまり、これだけで合計2,600個近い核弾頭を有しているのだ。今年5月、米海軍はLockheed Martin社にTrident IIミサイル増産を5億ドルで発注した。「コロンビア」級の新型潜水艦に搭載するためだ。この新型潜水艦は、近く実戦配備となる。ここで肝心な問題として、この新たな核弾頭1つで、対爆発耐久性に優れたICBM用サイロを破壊してしまうだけの爆破力と精度とがあるのだ。言い換えれば、先制攻撃用のミサイルだと思われても、当然なのだ。
****************

この記事の後半は、次回に紹介しますね。

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JCPOAに戻ると ・・・

JCPOA再建交渉、しばらく中断されていて報道記事も新しいのが見つから
なかったのですが、下のTasnimの記事が今月(2021年7月)になってから、
出ています。

Tasnim News Agency, July 6, 2021(タスニム ニューズ エージェンシー、2021年㋆6日)

Iran’s Stance on JCPOA Unchanged by Shift in Administration – Politics news – Tasnim News Agency
(政権交代でも、JCPOAに対するイランの立場は変わらず)

(私による日本語化)
テヘラン発(Tasnim)– 2015年の核合意ならびに制裁の解除に関する、イラン イスラム共和国の政策原則に変更はなく、新大統領の政権もJCPOA再建についての最終的な決定に従うと、イラン外相のスポークスマンは述べた。

7月6日の火曜日、そのスポークスマンSaeed Khatibzadeh は、包括的共同作業計画(JCPOA)ならびに制裁の解除に関するイランの立場が同国体制の政策原理の一環であり、政権が変わっても変更はないことを強調した。

JCPOA再建交渉において何らかの合意が形成できれば、イランの新大統領Ebrahim Raeisiの政権もその合意を尊重するはずだと、同スポークスマンは念を押した。

さらに同氏が述べたところでは、JCPOAの合意に違反した一部加盟国とは異なり、イランは絶えず規定を順守してきた。

さらにKhatibzadeh によれば、2015年の合意を再生させようとするこのウィーン交渉は進展しているものの、イラン以外の参加国、特にアメリカの決断を待つ主要問題がまだ残っている。

「実際、JCPOA再建という合意を最終的に形成できるか否かは、イラン以外の参加諸国が困難な決定を下す政治的な意志力にかかっている」と、同氏は語っている。

同会談でのイランの交渉チームは会談を実りあるものとし、過酷な制裁の解除を求めて努めており、イラン政府はイランの国益につながるような成果を得ることについて何ら期限を設けてはいないと、同スポークスマンは述べた。さらに、望ましい合意が得られるまでこの会談は続くとも語っている。

イランは合意を求めて焦ることはないが、長期にわたるこの会談が消耗戦になってしまうことは許容しないとも、Khatibzadehは述べている。

包括的共同作業計画の再生を求める会談の最新のラウンドは今年4月にウィーンで始まり、イランと同合意のその他参加諸国とが話し合いを重ねている。イラン以外の参加国とは、英国、フランス、ロシア、中国、ドイツである。

アメリカは2018年にJCPOAを離脱、この合意に基づく経済制裁を再開した。イランは報復として、JCPOAの第36条の定める核に関する活動を実施した。

現在行われている交渉では、JCPOA核合意の再生可能性と、アメリカが復帰する可能性とを 探っている。

*************
JCPOA交渉については、また新しい報道記事を見つけ次第、紹介していきますね。

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アメリカが「ピット」製造を急ぐ事情

US National Nuclear Security Administration (Department of Energyの一部)
による
“Plutonium Pit Production”
という文書から。
(2021年7月15日のものと、Bingの検索結果リストにはあります。
ただ。文書そのものに日付が見当たりません)

アメリカ政府によるプルトニウム ピット製造加速に関連する訴訟について、
下の7月7日と9日にリリースを紹介しました。
では、そもそも、アメリカがプルトニウム ピットの製造を急いでいるには、
どんな事情があるのか?
核兵器にはもちろん反対している私ですが、核兵器を誰かが作っている/作ろうと
している場合、その事情は把握しておかないと。
ただ「反対!反対!」と叫び続けていても、無視されて終わりになって
しまいやすいものですよね。

そこで、アメリカ政府の事情説明を見てみましょう。

https://www.energy.gov/nnsa/plutonium-pit-production

あっちはどうなっているのか、見てみないと ・・ 私がずっと以前に描いたスケッチより

あっちはどうなっているのか、見てみないと ・・
私がずっと以前に描いたスケッチより

(私による日本語化)
NNSA(アメリカ国家核安全保障局)の任務の一環として、アメリカの核兵器備蓄の
安全やセキュリティ、信頼性、有効性を維持する責任を負います。それにおいて、
地下核爆発実験は行いません。そうした核弾頭の主要部の1つとして、
「プルトニウム ピット」という装置があります。これはプルトニウムを内部に
入れた球状の構造物で、ボウリングのボールくらいのサイズです。プルトニウムの
経年劣化や安全性やセキュリティの進展、地球規模でのリスク、兵器の近代化などの
要因のため、核弾頭のピットを適宜交換する必要があります。ところがこの30年
近く、アメリカ合衆国は核弾頭の備蓄を適切に維持するために必要なだけの数量で
ピットを製造する能力がなかったのです。

この必要に応えるため、NNSAの国防プログラムでは、アメリカが核抑止力を
保つため、プルトニウム ピットの製造を再開できるよう計画を立てています。
ピット製造やその他の製造能力に必要な主要スキルやインフラストラクチャーは、Nuclear Security Enterprise(核安全保障エンタープライズ)には不可欠です。
プルトニウムの経年劣化や地政学的な世界情勢には不確実性が伴うため、
アメリカ合衆国によるこのピット製造という不可欠な能力の再生には、
待ったは許されません。この能力再生を遅らせてしまうと、コストの大幅増大や
国家安全保障のリスクを招くことになります。NNSA と防衛省では今後も、
我が国の核兵器の安全性強化に努めてまいります。
**************

分かり切ったことを断っておきますが、上記は私の見解じゃなくて、アメリカNNSAのものですからね!アメリカがどんな事情でプルトニウム ピット製造能力を再生しようと努めているのか、紹介したかったわけです。

なお、
リンク先のウェブページをご覧いただくと、
WHAT IS PLUTONIUM?  とか、
HOW WILL NNSA ADDRESS PLUTONIUM PIT PRODUCTION?
などへのリンクがあります。
そのなかから、
CURRENT AND FUTURE NEEDS FOR PLUTONIUM PITS
(現在、そして将来のプルトニウム ピットの必要性)
というページを次回見てみましょう。

いったい、プルトニウム型原爆にどんな必要性が今後あるというの
でしょうね??

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だれが決めるのか? 東京のオリンピックと核発電存続

もう3か月前のことですが、以下の発言がよく報道されていましたよね。

菅総理大臣は 4月23日の記者会見で、「開催はIOCが権限を持っております」と強調した。

しかし。もとをただせば、2013年に東京でのオリンピック開催を求めたのは、同じ日本国の総理大臣、当時は安倍晋三さんだったはずです。同年9月7日 ブエノスアイレス で行われた 国際オリンピック委員会 総会の最終プレゼンテーションで、 この前首相は 福島第一原発 の状況を「アンダー・コン トロールだと主張したのでしたよね。
しかし。2011 年3月11日午後7時3分にさらに以前の総理大臣、菅直人さんが発した原子力緊急事態宣言は、2013年9月7日の時点で、解除されてはいませんでした。
それどころか、この宣言は2021年7月15日現在も、解除されておりません。

(2021年7月23日追記)
よりによって、その「嘘でオリンピックを誘致した張本人」である元総理大臣は、
今夜のオリンピック開会式を欠席するそうです!

なんだか、はっきりしない ・・・ 私の点描練習より

なんだか、はっきりしない ・・・
私の点描練習より

ここで、日本国における核発電廃止と2020オリンピックの中止とを、
パターン比較してみましょう。

…………………………. 2020 (2021) オリンピック  核発電(原発)

一般市民多数派   中止 …………………………….   廃止
の要望

推進・開催の    偽りあり ………………………   ごまかしだらけ
正当化  …………………………………………………………..  (本ウェブサイトの各ページで説明)

中止・廃止の    よく分からない  ……………..    よく分からない
決定権限      (あるいは、総理大臣が
…………………………………言葉を濁した)

結局は …      部分修正(無観客)で ……..    部分修正(安全基準の改定など)
…………………………………開催 ……………………………      で推進継続

このソフトウェア、Tabも多数スペースの連続も受け入れてくれないので、
どうも作表ができないのですが・・・

まあ要するに、

まやかしが最初から付きまとっており、
責任の所在はよく分からず、
部分修正だけで従来からの方針を続ける
一般市民の意見は、そうやって無視される

というパターンが両者に共通で見られますよね。

では、核発電をやめるには、どこで・どういう決定を下せばよいのか?
国会で決議すればよいのか?
そのあたりは、日本国の政界・官界に詳しい方々に、ぜひご教示いただきたいです!
詳しい方は、
yadokari_ermite(at)yahoo.co.jp
までお知らせくださいな!

そうした最終決定が実際に下される時が、もし来たら ・・・
その場合には、核発電推進側から「潜在的核抑止力」が必要だという
主張が登場するのは、まあ明らかです。
ある意味、その場合に備えて、つまり「潜在的核抑止力」の
ナンセンスさを訴えるために、この「やかんをのせたら~~」を
書き続けております。

(2021年7月23日追記)
もう1つの共通項として私が強く感じるのは、
戦後日本の”若かりし頃”への、高齢政治家のノスタルジア
です!

日本初の核発電所が臨界に達したのは1965年、稼働を始めたのは1966年のこと
でした。(本ウェブサイトの、ページ e) でも申しました)
東京でオリンピックが「まともに行われた」のは、1964年でした。
高齢政治家の皆さんにとっては、高度経済成長中の1960年代の「メモリー」ですよね。

実際、例の「党首会談」において菅総理大臣は、枝野代表に対し、
話の本筋を全く離れて「メモリー」を長々と語ったと報じられていました。

もう1960年代半ばから55年ほど経過し、日本の経済や社会は明らかに劣化しました。
2021年現在の日本には、もう「まともに」オリンピックを主催する能力などない
ことは、数々の不祥事からも明らかです。
ところが、成功体験を伴うノスタルジアというのは、現実に目を閉ざし
昔通りに物事を進めればうまくいくという幻想を生みやすいものですよね。

「原子力(平和利用)」という「まやかし」は、まさにそうした
「高度成長期ノスタルジア カルト」を象徴している存在の1つでしょう!

過去の成長へのこだわりや幻想を捨てて、
今後どうやって平和に貢献し、
エネルギー源を確保しながら環境も保全していけるのか
に発想を切り替えましょうよ。

* A Song for Europe

ROXY MUSIC – A Song For Europe – YouTube

↑ リンク先に、Roxy MusicというバンドのA Song for Europe という
曲の演奏があります。
歌詞は西欧の凋落をうたったもので、最初に英語、そしてラテン語と
フランス語でそれを繰り返しています。1970年代中頃の曲です。

ここ25年くらい、私にはこの曲が、A Song for Japanに聞こえてならないのです。

 

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ページ Add-2) も公開しました

アメリカの National Defense Universityの研究所 Center for the Study of
Weapons of Mass Destruction (大量破壊兵器研究センター)による
Proliferation Risks of Civilian Nuclear Power Programs
(民生核発電プログラムにともなう核兵器拡散リスク)
というテキストの日本語要約、後半を紹介しております。

このテキストの英語本文は、
Proliferation Risks of Civilian Nuclear Power Programs.pdf (ndu.edu)
にございます。
「発電は平和利用だ」という洗脳から抜けきれない方々には、
できれば、ぜひ英語本文をお読みいただきたいのですが、
そうも言ってられない方々のため、日本語要約を紹介している次第です。

いうまでもなく、要約に誤解や曲解などがもしあったら、
すべて私の責任です。

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ページ add-1) (追加) それでも「発電は平和利用だ」と信じ込んでらっしゃる方々へ

ページ add-1) (追加) それでも「発電は平和利用だ」と信じ込んでらっしゃる方々へ
という長いタイトルのページを追加しました。

はっきり言ってしまうと、当の原発反対の市民団体などの中に、「平和利用」と
軍事利用との不可分性を認識できていない方々が、いまだにいらっしゃいます。
やはり、原発マフィアなどによる広報活動の洗脳効果がいかに根強いかを示す実例ですね。

目を覚ましていただくために適切な文書を、見つけました。
Center for the Study of Weapons of Mass Destruction(大量破壊兵器研究センター)のウェブサイトにある、Proliferation Risks of Civilian Nuclear Power Programsという文書です。ページ add-1) ではこの文書を、日本語で短く要点だけ紹介しております。。

このCenterはNational Defense Universityの付属研究機関で、アメリカ国防省の資金により設立された、国家安全保障の人材を育成するための大学ですから、まさしく専門家集団による研究センターと呼べるものです。そうした専門家のうち、上級リサーチフェローの Paul I. BernsteinとリサーチフェローのNima Geramiとによる文章で、2012年6月発表のものです。
全文は、Proliferation Risks of Civilian Nuclear Power Programs.pdf (ndu.edu)
(民生核発電プログラムにともなう核兵器拡散リスク)
にあります。可能なら、ぜひ全文をお読みください。

 

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アメリカの新型プルトニウム ピット製造の件、続き

アメリカによる新型プルトニウム ピット(プルトニウム型原爆の中核装置)の開発・製造についての訴訟があり、それに関するリリースを紹介しておりますが、長いので前半を前回紹介しました。今日は、残る後半を私の日本語化で。
リリース本文は、South Carolina Environmental Law Project というサウス カロライナ州の自然環境やコミュニティを守ろうとする法律関係のグループ(1987年結成)によるもので、
Lawsuit Filed Against Biden Administration Over Nuclear Bomb Core Production Plans (scelp.org)
(原爆のコア装置製造計画に関し、バイデン政権を相手取った提訴)
でお読みになれます。
2021年6月29日付のリリースです。

"A National Flag" -- 私の油彩画、1989年

どちらが勝っても、結局は…         私の油彩画、1989年

*********
(私による日本語化、続き)
「最近あった出来事から、この両政府機関が、この提唱されている計画に伴う費用と所要時間とを大幅に過小評価していたことが明白だ。そのため、本訴訟はさらに適切なタイミングで提訴されたことになる」と、サウス カリフォルニア環境法プロジェクトのスタッフ弁護士であるLeslie Lenhardtは語る。
「今までに実施された国家環境政策法(NEPA)に基づく分析はいずれも旧式のものであり、2008年以降に発生している大きな状況の変化を検討に入れていないということを示す証拠が圧倒的だ。NNSAがこうした環境面のレビューを精査して欠陥を修正し、DOEの各施設全体をカバーするピット製造の影響に対して計画的で透徹した環境情報システム(EIS)を実施することが必須だ」

ニュークリア ウォッチ ニュー メキシコのエグゼクティブ ディレクター、Jay Coghlanのコメント:
NNSAは今までに4回プルトニウム ピットという原爆中核部の装置の増産を試みているが、圧倒的な市民からの反対のためいずれも失敗している。今ではNNSA は一般市民を締め出し、この新型核兵器の設計が賛否の議論を呼んでいるにもかかわらず、そのためのピット製造のレビューを全米規模で実施することを拒否している。我々が今回の提訴に踏み切ったのは、新たな核軍拡競争に何千億ドルもの税金が浪費されることに対し、もの申す市民の法的権利を 行使しているのだ」

サウス カロライナ州コロンビアのサヴァンナ リヴァー サイト ウォッチでディレクターを務めるTom Clementsの発言:
「不必要な核爆弾の増産を目指すDOEの拙速な計画立案のため、すでにSRSのプルトニウム型原爆工場では膨大な経費の膨張と大幅な計画実施の遅れとを招いている。コスト増大も遅延もさらに悪化する見込みだが、DOEは無理な計画を強行してプルトニウム ピットの製造を増大して新たな核軍拡競争という危険に大きく貢献する前に、まず立ち止まって環境関連法の順守に努めるべきだ」

カリフォルニア州リヴァモアのトライヴァレーCAREで活動するMarylia Kelleyによる非難:
NNSAはそのピット製造計画を計画的にレビューすることを拒否しているが、これは理に適った代替策の検討を避けるためだ。たとえば、ローレンス リヴァモア国立研究所(LLNL)によるW87-1の設計のため、スケジュールもタイトになり、ピット増産の必要性も増した。その核弾頭は新型の設計だが、わざわざ意図的に選択した特徴を備えている。その設計とは別の設計を選ぶ選択もあり、それを採用すればピットを増産せずとも必要な核武装を賄える。NNSAは、一般市民が 代替案について発言する権利を無視している。だが製造施設の近隣にあるコミュニティに暮らす我々は、そうした無視の矛先を向けられることになる。事故や漏れ、漏洩、放射線への被ばく、プルトニウム廃棄物の製造や輸送のため被害にあうのは、作業員や一般市民なのだ」

グラー・ジーチー海島しょ連合の創設者でありグラー・ジーチー国(2000年7月にノース カロライナからフロリダの沿岸部で独立を宣言した国家。アフリカ系の方々や先住民の方々が多い)のチーフにして国家元首でもあるQueen Quetの発言:
グラー・ジーチー国はサヴァンナ リヴァー サイトがさらに劣化していくのではと、憂慮している。この施設での活動のため、廃棄物などが推計に侵入し、結果としてグラー・ジーチー国にも入ってくる恐れがある。それだけではなく、プルトニウム製造からの汚染物質が文字通り人々の体内にまで入り込むのではないかと恐れている。サウス カロライナの人たちはプルトニウムよりも貴重であり、政府機関に対抗するためにエネルギーを使わねばならないのは、嘆かわしい。我々は自分のコミュニティを守らねばならず、それがベストに実現できるのは、土地のどのような使用に対しても、そのプロセスが透明である場合だ。土地と環境をどうするのかについては、一般市民が充分に決定に参加できるべきで、それはそうした結果が我々の生活の質に逆戻りできない影響を及ぼすためだ。今回のピット増産に関する提案が環境と我々自身、また我々の環境に及ぼす影響について、我々は真実を探ろうとしているのだ」

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核武装拡大に取り組んでいるのは中国だけではなく、アメリカも新型プルトニウム核弾頭の開発・製造に躍起のようですね。世界はまた、核軍拡競争の時代に入ってしまったようです ・・・
「核発電」反対陣営と「核兵器」反対陣営とに分かれている余裕は、ありませんね。両者の不可分性を認識・情報発信して、力を合わせて「核」廃絶に世界を向かわせないと。

 

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アメリカのプルトニウム ピット増産

中国のICBM増産もやめて欲しいですが、その一方で、アメリカはプルトニウム(長崎型)原爆の中核装置(「プルトニウム ピット」)を増産しようと ・・・近年、アメリカは「プルトニウム ピット」という長崎型原爆の中核となる装置の増産に努めているそうです。
私としては、どちらもやめて欲しいのですが。

South Carolina Environmental Law Project という、サウス カロライナ州の自然環境やコミュニティを守ろうとする法律関係のグループ(1987年結成)によるリリースを紹介します。
「ピット」の増産をやめさせようと、アメリカ政府を相手取った訴訟が起こされたようです。

Lawsuit Filed Against Biden Administration Over Nuclear Bomb Core Production Plans (scelp.org)

(原爆のコア装置製造計画に関し、バイデン政権を相手取った提訴)

2021年6月29日付の発表です。上のリンクをクリックすれば英語本文をご覧になれます。

この下には、私の日本語翻訳を紹介しますね。長いので、今回は前半を。
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(私による日本語化)
原爆の中核装置の製造計画に関し、バイデン政権を相手取った提訴

国を挙げてのプルトニウム ピットの増産を再検討することを連邦諸機関は拒否したが、これはアメリカの国家環境政策法および行政手続法への違反だと、原告各グループは主張

サウス カロライナ州エイケン発 – 本日、コミュニティ グループや公益グループの連合体が、アメリカ政府のエネルギー省(Department of Energy (DOE))ならびに国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration (NNSA))を相手取り、訴訟を提訴した。(元のウェブページの下の方にあるダウンロードというボタンをクリックすると、訴訟本文をご覧になれます) この訴訟は、両機関が「プルトニウム ピット」の製造を4倍以上に増大するという計画を国家環境政策法に則り「厳しく再検討する」ことを怠り、しかもその製造場所をニューメキシコ州のロス アラモス国立研究所とサウス カロライナ州のサヴァンナ リヴァーとの2か所に分割したことを受けてなされた。

プルトニウム ピットとは、核爆弾の中核部であり、起爆装置である。その製造には、極度に有害な放射性物質を広範に処理し扱う作業を伴う。2018年、アメリカ連邦政府は2030年までに最低でも毎年80個のピットを製造するよう求めた。そのうち30個以上をロス アラモスで、50以上をサヴァンナ リヴァーで製造するというものだ。この新たに製造するプルトニウム ピットはW87-1という核弾頭用のものだ。これはカリフォルニアにあるローレンス リヴァモア 国立研究所で開発中の新型核弾頭で、賛否の議論を呼んでいる。 新型の設計であるため新型のピットが必要で、原爆の中核部分はすべて上述の両施設で2038年あるいはそれ以降までに製造する必要があると、政府の文書には記されている。

本文とは関係ありませんが、私が描いた浅草カトリック教会の、クイックスケッチ。ボールペンで30分。

本文とは関係ありませんが、私が描いた浅草カトリック教会の、クイックスケッチ。ボールペンで30分。

3つの団体すなわちニュークリア ウォッチ ニューメキシコ(Nuclear Watch New Mexico)、サヴァンナ リヴァー サイト ウォッチ(Savannah River Site Watch、環境放射性物質に反対するトライヴァレー コミュニティーズ(Tri-Valley Communities Against a Radioactive Environment はエネルギー省(DOE)ならびに国家核安全保障局(NNSA)に対し2019年から今までに6回働きかけているが、それはロス アラモスとサヴァンナ リヴァー サイトでプルトニウム ピットを増産することにあたっては新規または補充的な全米的で広範に及ぶ「計画的な環境への影響に関する声明」(PEIS)が法的に要求されている、という問題に関するものであった。だがそれら3団体に対する2021年3月22日付の回答(リリース本文中のリンクから、PDFをダウンロードできます)でNNSA は、ピットの製造についてはすでに検討済みでそれを再考する計画はなく、10年以上前に作成した時代遅れのPEISを補完的に分析するとともに、サヴァンナ リヴァー サイトだけを対象にする単独のレビューを別途実施することで良しとする、としていた。ピットの製造を1か所だけで行うのか、それとも2か所で実施するのかには大きな違いがあり、2か所だと廃棄物も増えその2施設から廃棄物を輸送する必要も生じる。

今回のピット製造計画の変更に対応した両政府機関の評価活動は断片的かつ事後対応的なものであり、恣意的しかも気まぐれで、国家環境政策法および行政手続法への違反であると、この火曜日に提出された異議申し立ては主張している。この申し立ては、上述の3団体ならびにグラー・ジーチー海島しょ連合(Gullah/Geechee Sea Island Coalition、グラー・ジーチーは2000年7月にノース カロライナからフロリダの沿岸部で独立を宣言した国家。アフリカ系の方々や先住民の方々が多い)に代わりサウス カロライナ環境法プロジェクト(South Carolina Environmental Law Project)が、サウス カロライナ地裁エイケン分所に提出したものだ。

今回の提訴のねらいは、被告である両政府機関に、レビューや意思決定のプロセスに一般市民を参加させ、この大幅に変更されたピット製造計画が環境に及ぼす影響の評価を行うようにさせることにある。これには、両施設近隣にありながらも充分な注意を向けられていないコミュニティ多数にとっての環境的公正さも含む。NNSA が今までに国家環境政策法(NEPA)に基づくレビューを実施したのは、この2か所を結び付けて拡大したプルトニウム ピット製造計画の一部の特定箇所のみであり、ピット製造に関連するすべてのDOEの施設に対する影響やピット製造プロセスで出来る廃棄物の処理、この計画の実現性に深刻な嫌疑を引き起こす一連の新情報など、プログラム レベルでの重大な問題については評価を行っていない。

サヴァンナ リヴァー サイトでのピット製造には、「MOX燃料製造施設」(Mixed Oxide Fuel Fabrication Facility)として知られる失敗した過去のプロジェクトの施設を完全にオーバーホールする必要がある。この失敗で、70億ドル以上もの経費が無駄になった。2020年2月の 推定では、サヴァンナ リヴァー サイトだけの経費が46億ドルとみられていたのだが、今やそれが111億ドルにまで急増しており、この金額は2021年5月28日付のNNSAの予算要求(リリース本文中のリンクから、ご覧になれます)においても確かめられる。最近の下院での証言でNNSAの指導者たちはすでに、SRS(サヴァンナ リヴァー サイト)で2030年までに毎年50個のピットを製造するとの目標であるが、これは2035年にまで先送りする必要が生じるかもしれないと述べている。

(長いので、今回はここまで。後半は、次回に)
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「プルトニウム ピット」ですが、プルトニウム型原爆は起爆するのに implosion という特殊な起爆方法が必要で、それには技術が必要です。そのため、「プルトニウム ピット」という特殊な起爆装置が開発されたのですね。長崎での「実際の使用」から76年、いくつかのタイプのピットが開発されていますが、さらに新型のものをアメリカは作ろうというわけです。
核武装拡大に取り組んでいるのは中国だけではなく、アメリカも新型プルトニウム核弾頭の開発・製造に躍起のようですね。世界はまた、核軍拡競争の時代に入ってしまったのか・・・
「核発電」反対陣営と、「核兵器」反対陣営とに分かれている余裕は、ありませんね。両者の不可分性を認識・情報発信して、力を合わせて「核」廃絶に世界を向かわせないと。

では、このリリース後半の日本語訳は、次回!

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中国北西部にICBM用サイロ新設? 続き

中国北西部ユーメン近郊の砂漠地帯に新たなICBM用サイロが大量建設中のようだ、という専門家の画像分析結果を取り上げたThe Washington Post の記事の前半をすでに紹介しました。長い記事なので、途中まで前回紹介しましたが、今回は後半を。

記事本文は、下の7月2日の投稿にあるリンクをクリックすれば、ご覧いただけます。
ここでは、私の日本語訳の後半を。

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アメリカ防衛省のスポークスマンは、この衛星画像に対しても、アメリカの諜報機関による中国の各プログラムに対する評価についても、コメントを拒否している。だがそのJohn Suppleスポークスマンは、ペンタゴンによる報告や分析によって以前にも、中国のミサイル用サイロに伴う核兵器拡散に関する憂慮が高まったことを指摘した。Suppleによれば、「防衛省の指導道は中国の核武装の増大について以前から証言し、公に発言してきた。今後の10年で、それは倍増あるいはそれ以上に強化されるものと見られる」

ミサイル用サイロを発見するのは、訓練を積んだ画像アナリストであれば容易なことで、核戦争勃発の場合には早い段階で精密誘導ミサイルにより破壊されやすい。そうした理由から、今回のサイロ建設プロジェクトはアメリカとロシアと比較すると核武装がわずかなものに過ぎない中国が、核抑止能力を増強しようとしている戦略の一環であろうとLewis は見ている。米ロ両国の保有核弾頭数は、合計で11,000に達する。

ワシントンならびにモスクワを相手に核軍拡競争を展開すると大変な経費が掛かるので、中国は以前から「限定的抑止」という方針を採用してきた。つまり、規模は小さくても堅固な核武装を構築、攻撃を受けた場合には中国が確実に敵に報復攻撃ができるようにする、というものだ。

U.S.-China space race is heating up

(アメリカと中国の宇宙開発レースが過熱、記事本文のリンクをクリックすればお読みになれます。日本語翻訳は、省略)

だが近年、ロシアとアメリカが核兵器の近代化プログラムを提唱しており、そのため中国の核抑止力が信頼性を失っていると、中国の高官たちは不満を口にしている。新たに核武装の制限を設けられると、中国は米ロに比べ二流の核武装国という立場に恒久的に抑え込まれてしまいかねないとの懸念から、中国は新たな軍縮交渉への参加呼びかけにも難色を示してきている。

カンスー省での今回の建設プロジェクトの画像をLewisおよびEleventhという研究チームに供給したのは商用衛星企業のPlanet社で、核建設現場の更新されていく画像を連続して時系列で供給した。Lewisは自らの分析をもとに、「中国がだまし合いを演じている可能性が高い」と述べた。つまり、サイロのネットワークの中に、少数の核弾頭を隠ぺいしているというのだ。だがLewisによれば、新たな発射用サイロがこれほど多数登場すれば、アメリカの高官たちもアメリカの核武装を近代化する取り組みを加速させよというプレッシャーを受けることになろう。

「我々は新たな軍拡競争に陥ろうとしているが、その大きな原因はアメリカ自身の投資とミサイル防衛だ」とLewisは述べている。ペンタゴンはアメリカの核兵器と配送システムとを今後の20年間で公判にアップグレードすると発表している。その一環として、新型の空中発射クルーズ ミサイル、また少なくても2種類の新型核弾頭も含まれる。

この2月にAntony Blinken国務長官はある声明で、バイデン政権は「中国が核武装の増強と近代化に努めており、その危険を軽減するために軍縮に努める」と宣誓している。 それをどのように実現するのかという方法は述べていないが、バイデン政権は「効果的な軍縮を追求し、安定と透明性、予測可能性を増大させつつ、軍拡競争という経費も膨大で危険なリスクを軽減する」としている。

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なお、本件に限らず、今後報道記事を紹介する場合には、
その記事そのものの本文はイチイチ掲載せず、リンクだけ紹介して、
その記事本文を私が日本語化したテキストだけを本ウェブサイトに
掲載することにしますね。
本文の後に日本語訳という掲載方法だと、大変長くなってしまうので。

ご了承願いますね。

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元のThe Washington Postの記事より

本日は中国のICBM増設に関するThe Washington Postの記事です。これ、日本語メディアでも取り上げられていましたが、短い記事だったのですね。もっと詳しく、The Washington Postの記事全体を、ぜひお読みくださいませ。
私の日本語翻訳の方は、この記事が長いので、今回と自戒の2回に分けて紹介してまいります。

The Washington Post、2021年7月1日付記事
China building more than 100 missile silos, expanding nuclear capabilities – The Washington Post
(中国、ミサイル用サイロを100以上増設、核兵力を増大)

(記事本文)
Exclusive
China is building more than 100 new missile silos in its western desert, analysts say

By Joby Warrick
July 1, 2021 at 4:25 a.m. GMT+9

China has begun construction of what independent experts say are more than 100 new silos for intercontinental ballistic missiles in a desert near the northwestern city of Yumen, a building spree that could signal a major expansion of Beijing’s nuclear capabilities.

Commercial satellite images obtained by researchers at the James Martin Center for Nonproliferation Studies in Monterey, Calif., show work underway at scores of sites across a grid covering hundreds of square miles of arid terrain in China’s Gansu province. The 119 nearly identical construction sites contain features that mirror those seen at existing launch facilities for China’s arsenal of nuclear-tipped ballistic missiles.

The acquisition of more than 100 new missile silos, if completed, would represent a historic shift for China, a country that is believed to possess a relatively modest stockpile of 250 to 350 nuclear weapons. The actual number of new missiles intended for those silos is unknown but could be much smaller. China has deployed decoy silos in the past.

During the Cold War, the United States developed a plan to move its ICBMs across a matrix of silos in a kind of nuclear shell game, to ensure that Soviet war planners could never know exactly where the missiles were at any given time.

The construction boom suggests a major effort to bolster the credibility of China’s nuclear deterrent, said researcher Jeffrey Lewis, an expert on China’s nuclear arsenal and part of a team that analyzed the suspicious sites, first spotted by colleague Decker Eveleth as he scoured photos taken by commercial satellites over northwestern China. Lewis described the scale of the building spree as “incredible.”

“If the silos under construction at other sites across China are added to the count, the total comes to about 145 silos under construction,” Lewis, director of the East Asia Nonproliferation Program at the Center for Nonproliferation Studies, part of the Middlebury Institute of International Studies, said in a summary of his findings provided to The Washington Post. “We believe China is expanding its nuclear forces in part to maintain a deterrent that can survive a U.S. first strike in sufficient numbers to defeat U.S. missile defenses.”

Analysis: China contributing to ‘Cold War mentality’

 The discovery follows recent warnings by Pentagon officials about rapid advances in China’s nuclear capability. Adm. Charles Richard, who commands U.S. nuclear forces, said at a congressional hearing in April that a “breathtaking expansion” was underway in China, including an expanding arsenal of ICBMs and new mobile missile launchers that can be easily hidden from satellites. In addition, the Chinese navy has introduced new nuclear-weapons-capable submarines to its growing fleet.

The reported silo construction project could provide China with yet another means of concealing its most powerful weapons. The construction sites spotted on satellite photos are arrayed in two huge swaths, covering parts of a desert basin stretching to the west and southwest of Yumen, a city of 170,000 people along China’s ancient Silk Road.

Each site is separated from its neighbors by about two miles, and many of the sites are concealed by a large, dome-like covering, following a practice observed at known construction sites for missile silos in other parts of China. At sites where the dome is not in place, construction crews can be seen excavating a characteristic circular-shaped pit in the desert floor. Another construction site appears to be a partially built control center.

Lewis said the silos are probably intended for a Chinese ICBM known as the DF-41, which can carry multiple warheads and reach targets as far away as 9,300 miles, potentially putting the U.S. mainland within its reach. Major excavation work on the sites began early this year, although preparations were probably underway for months, Lewis said.

Emails and faxes seeking comment from China’s Foreign Ministry in Beijing and the Chinese Embassy in Washington did not receive a response.

A Defense Department spokesman declined to comment on the satellite images or to discuss U.S. intelligence assessments of China’s nuclear program. But the spokesman, John Supple, noted that Pentagon reports and analysts have previously raised concerns about the proliferation of China’s missile silos. “Defense Department leaders have testified and publicly spoken about China’s growing nuclear capabilities, which we expect to double or more over the next decade,” Supple said.

Missile silos are easily spotted by trained imagery analysts, and they are vulnerable to destruction by precision-guided missiles in the early hours of a nuclear war. For those reasons, Lewis sees the silo construction project as part of an expanded deterrent strategy by a country whose nuclear arsenal is dwarfed by those of the United States and Russia, which collectively possess more than 11,000 nuclear warheads.

Rather than engaging in an expensive arms race with Washington and Moscow, China has traditionally embraced a “limited deterrence” doctrine that prioritizes a lean but robust nuclear arsenal that ensures Beijing’s ability to retaliate against any adversary if attacked.

U.S.-China space race is heating up

 In recent years, however, Chinese officials have complained that their country’s nuclear deterrent is losing credibility because of nuclear modernization programs proposed or already underway in Russia and the United States. Beijing has resisted calls to join new arms-control talks because of fears that new limits would forever enshrine its status as a second-rate nuclear power compared with Washington and Moscow.

Photos of the Gansu construction project were supplied to Lewis and Eveleth by the commercial satellite company Planet, which provided a continuous stream of updated images showing progress at each of the construction sites over time. Based on his analysis, Lewis said, there was “a very good chance that China is planning a shell game” in which it hides a relatively small number of warheads across a network of silos. Still, he said, the sudden appearance of so many new launch sites could increase pressure on U.S. officials to speed up efforts to modernize the U.S. arsenal.

“We’re stumbling into an arms race that is largely driven by U.S. investments and missile defense,” Lewis said. The Pentagon has announced plans for an extensive upgrade of U.S. nuclear weapons and delivery systems over the next two decades, including a new air-launched cruise missile and at least two new types of warheads.

In February, Secretary of State Antony Blinken vowed in a statement that the Biden administration would “pursue arms control to reduce the dangers from China’s modern and growing nuclear arsenal.” He did not explain how that goal would be accomplished but said the administration would seek “effective arms control that enhances stability, transparency and predictability while reducing the risks of costly, dangerous arms races.”

本文とは関係ありませんが、近所のメソディスト教会のサンクチュアリー、ボールペンでの40分スケッチ

本文とは関係ありませんが、近所のメソディスト教会のサンクチュアリー、ボールペンでの40分スケッチ

(私による日本語化)
スクープ記事
中国が西部砂漠地帯に新たなミサイル用サイロを100以上建設中と、アナリストたち

Joby Warrick
2021年7月1日4:25 a.m. GMT+9

中国はその北西部にあるユーメン(玉門)近郊の砂漠地帯に、100以上もの大陸間弾道ミサイル発射用サイロを新設中であると、独立系の専門家たちが主張している。この建設ラッシュは、中国政府が核武装を大幅に増強しようとしていることを示すものかもしれない。

カリフォルニア州モントレーにあるジェームズ マーティン核不拡散研究センター(James Martin Center for Nonproliferation Studies)の研究者たちが入手した商用衛星による画像を見ると、ユーメンのある中国・カンスー省(甘粛省)の砂漠地帯の中で、数百平方キロに及ぶ1つのグリッドの中に、進行中の建設工事を示す地点が何十も見られる。119か所ある各建設現場はいずれも同一の施設のようで、現存する中国の核弾頭搭載弾道ミサイルの格納庫に生き写しだ。

これら100以上の新設ミサイル用サイロが完成すれば、中国政府の大きな方向転換を示すことになる。今まで同国の保有する核兵器は250から350基と、比較的少数とみられている。新設中のサイロに実際に何基のミサイルが新たに配備されるのかは不明だが、ミサイルの数はサイロよりもずっと少なくなる可能性もある。過去に中国は、ミサイルのないデコイ(おとり)のサイロを配備していたことがあるからだ。

(1940年代後半から1991年まで続いた旧ソビエト連邦とアメリカの間での)冷戦時代には対立諸国の間で核の「だまし合い」が流行り、アメリカもICBM 用サイロを行列に従って移動させる計画を策定していた。ある時点でアメリカのミサイル用サイロが実際にどこにあるのかを、対立していた旧ソビエトの戦略形に発見されないようにするためだ。

ユーメン近郊での建設ラッシュからは、中国が核抑止の信頼性を高めようとする大きな労力が窺えると、研究者のJeffrey Lewisは述べている。Lewisは中国の核武装の専門家で、嫌疑がもたれる今回発見された地点の分析を行ったチームの一員でもある。今回の地点を最初に発見したのは彼の同僚のDecker Eveleth で、中国北西部を撮影した商用衛星画像を調べている際に発見した。Lewisによれば、今回発見された建設ラッシュの規模は、「信じられない」ほどのものだ。

The Washington Postに今回の発見の用紙を説明する際、Lewisは「中国では他の箇所でもサイロを建設しており、それらも含めるなら、合計で145か所ほどにサイロを建設していることになる」と述べている。Lewisは核不拡散研究センターで東アジア不拡散プログラムのディレクターを務めている。このセンターは、ミドルベリー国際関係研究所(Middlebury Institute of International Studies)に所属している。さらにLewisによれば、「中国が核武装を増強しているのは、アメリカから(核による)先制攻撃があった場合に、アメリカのミサイル防衛に勝るだけの充分なミサイルを保有することで、核抑止を維持しようという意図によるだと、我々は考えている」

Analysis: China contributing to ‘Cold War mentality’

(分析: 「冷戦メンタリティ」を増幅する中国 ~~ お読みになりたい方は、記事本文にあるリンクから、ご覧ください。ここでは、翻訳しません)

今回の発見は、中国の核武装能力の急速な発展についてペンタゴンの高官たちがこのところ発していた警告を裏打ちするものだ。アメリカの核兵器軍を率いるCharles Richard司令長官がこの4月の連邦下院公聴会で述べたところでは、「息を吞むほどの増強」が中国で進行中(a “breathtaking expansion” was underway in China)で、その一環としてICBMの備蓄や移動式の新型ミサイル発射装置の配備が拡大している。この移動式発射装置は、衛星画像から容易に身を隠すことができる。さらに中国海軍は新たに、核兵器装備可能な潜水艦を増強中の艦隊に導入している。

今回報じられているサイロ建設プロジェクトによって中国は、ICBMという最強兵器を隠ぺいする手段を、さらに1つ手に入れる可能性がある。今回の衛星画像に発見された建設現場は2つの巨大な帯状の地帯に配置されており、ユーメンの西と南西に広がる砂漠盆地の一部をカバーしている。ユーメンは古代中国のシルクロードにある都市で、17万の人口を擁する。

個々の建設現場と建設現場とは約3.2㎞の間隔があり、多くの現場は巨大なドーム型の覆いで隠蔽されている。これは、中国の他の地域でのミサイル用サイロ建設現場として判明している各地点でも、採用されている覆いだ。そのドームが設けられていない現場では、建設作業員たちが円形の穴を砂漠の大地に掘っている様子が窺える。これは、サイロに固有のものだ。さらにもう1つの建設現場では、コントロール センターの建設が途中まで進んでいる模様だ。

Lewisによれば、こうしたサイロに入るのはおそらく、DF-41と呼ばれる中国のICBMであろう。これは複数の核弾頭を搭載でき、最長で14,880㎞離れた標的に到達できる。つまり、アメリカ本土も射程に入る。掘削工事が始まったのは今年初めで、そのための準備作業はそれ以前に何か月も行われていたのだろうと、Lewisは語っている。

北京にある中国外務省とワシントンにある中国大使館には、コメントを求めるEメールやファックスが送付されたが、まったく回答はない。

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この記事はまだ続きますが、長いので日本語化は今回はここまでにしておきますね。
次回の投稿で、後半の日本語を紹介します。

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