ロシア軍、ザポリージャ原発を「基地として利用」

下で 「ザポリージャ原発の基地化」 を憂慮する記事紹介を
しましたが、ついに同原発からロシア軍がミサイルを発射して
いるという報道が流れています。
ああ、しばらく落ち着いてすぐ下の “Ten Serious Flaws —” を
紹介したかったのですが、核関連の出来事が、それも深刻な
ものが多すぎて、落ち着くことは許されないようです。。。

では、France 24のライブ報道ブログ英語版より、私の抜粋・日本語化で。
いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。

フランスの国営国際放送France 24による英語記事より。
Live: Russia accused of shelling from Zaporizhzhia nuclear plant (france24.com)
(ライブ報道: ロシア軍、ザポリージャ原発から砲撃を実施、
非難を受ける)

初投稿: 16/07/2022 – 07:07   修正: 16/07/2022 – 12:32

************
ウクライナ政府高官たちは、ロシア軍が占拠している原発を
武器保管庫兼発射基地として利用していると、非難している。
ロシア軍はウクライナの諸都市に対する攻撃を激化させており、
土曜日 <16日> にはキーフで空襲警報のサイレンが鳴り響いた
・・・ <下記の> 時刻記載はいずれもパリ時刻。 <東京より
7時間遅い>

・・・ 該当箇所へと飛びます ・・・

あそこを押さえられると、手が出せない ~~ 私の20分クロッキー

あそこを押さえられると、手が出せない ~~
私の20分クロッキー

06:41am: ロシア軍が占拠している原発からミサイルを発射して
いるとの非難

ロシア軍は、ヨーロッパ最大の <ザポリージャ> 原発を基地と
して利用、「ミサイル システム」も含んだ武器を保管している。
さらに同原発を基地として、ウクライナ国内の同原発周辺地域を
砲撃していると、キーフの核エネルギー機関の高官が金曜日に
述べた。同日、ウクライナのほぼ全土が空襲警報の対象となっていた。

その核エネルギー機関エネルゴアトムの理事長によれば、
ザポリージャ原発の状況は 「著しく緊張して」 おり、最大で
500名のロシア軍兵士が同原発を制圧している。

「占拠部隊は軍の機械類をこの原発に運び入れており、
それにはミサイル システムも含まれている。そうした兵器により、
ロシア軍部隊は既にドニエプル川 <ザポリージャ原発のすぐ北側を
流れている大河> の対岸地域やニコポル地区に対し砲撃を加えている」
と、エネルゴアトムのペドロ コーティンはテレビのインタビューで
述べた。川の対岸にある町の状況に関する発言だ。

このウクライナ南西部にあるザポリージャ原発は、ロシア軍による
侵略の初期段階から今まで、ロシア軍の支配下にある。ただし今も
原発の稼働はウクライナのスタッフが担当している。

戦闘の前線から離れた地域からも空襲の報告があり、ウクライナの
ほぼ全土で空襲への警戒が高まった。ヴォロディミール ゼレンスキー
大統領によれば、ロシアの目的は 「ウクライナの諸都市に可能な
限りの被害をもたらすことだ」
同大統領は毎日、TVで国民にメッセージを届けているのだが、
この日は 「改めてお願いしますが、この空襲警報は決して無視しないで
ください」 と述べていた。
********************

早くプーティンが正気を取り戻してロシア軍が撤退し、ウクライナに
平和が戻ることを祈っております。
それと、下の7月9日の記事で問題にした、「原発の軍事的リスク、その4」 が
いよいよはっきり現実化しちゃいましたね。日本の原発を最大9基再稼働する
とか日本政府は仰ってますけど、軍事的防御はできるのでしょうか??
敵国が原発を占拠・基地化してしまった場合、こちらは下手に手を出せない
「極めてやっかいな敵基地」 になるのは、容易に想像できますよね。
また日本国は現時点で、確かに戦争状態にはないですが、テロという
危険もございまして ~~ ページ g-5) と g-6) 参照。
どうしても再稼働したいなら、福島第一の大惨事から今までの11年間の
間に、こうしたリスクへの対策は考えて実施しておくべきでしたよね。
11年間も、何をやっていたのか ・・・

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Ten Serious Flaws in Nuclear Deterrence Theory

では、すぐ下で予告した Nuclear Age Peace Foundation (NAPF)
という国際的 NPOが公表しているTEN SERIOUS FLAWS IN
NUCLEAR DETERRENCE THEORY (核抑止理論に見られる10の
欠陥)という文章を、少しずつ紹介してまいります。NAPF の
設立者の一人、David Kriegerさんの考察です。2011年2月のもの
ですが、核抑止という問題に関する限り、2022年7月現在でも
有効な考察です。
いつもどおり私による抜粋・日本語化、< > 内は私からの
補足説明です。
*******************

「安心できない安心」 私が昔描いた絵画の、地塗り段階

「安心できない安心」
私が昔描いた絵画の、地塗り段階


Ten Serious Flaws in Nuclear Deterrence Theory (wagingpeace.org)
 より

TEN SERIOUS FLAWS IN NUCLEAR DETERRENCE THEORY
(核抑止理論に見られる10の欠陥)

David Krieger | 2011年2月7日

核抑止とは、所定の行動に対する核による報復という脅迫のことで、
一般的には<その「所定の行動」とは> 核抑止に訴えている当該国に
対する <敵対国からの> 攻撃のことである。核抑止理論によれば、
こうした脅迫を <敵対国が> 現実のものであり充分な被害を
もたらすものだと認識すれば、<その敵対国は> 攻撃その他の所定の
行動をとらないはずだ。

核抑止を求める願望は、核兵器そのものが出来上がる以前から
存在していた。二次大戦中にヨーロッパから <アメリカへと>
避難していた科学者たちは、ドイツが核兵器を開発する可能性を
憂慮し、アメリカ政府に対してウラニウムの核兵器製造における
利用を研究するよう促した。アルバート アインシュタインも、
<当時のアメリカの> ルーズベルト大統領に対して核爆弾の実現
可能性を調べるプログラムを発足するよう強く勧めた科学者たちの
一人であった。ドイツが核兵器の製造に成功した場合、その核兵器の
使用を抑止するため、というわけだ。のちに広島と長崎で核爆弾が
使用されたが、それを知ったアインシュタインは <このアメリカ
政府への提言を> 自分の人生での最大の誤りの1つだと認識を変えた。

アメリカが核兵器を開発したのは1945年7月のことだったが、その
時点でドイツは既に降伏していた。アメリカはその強力な新型爆弾を、
広島と長崎に投下した。そうすることでアメリカは、核抑止の
メッセージを他の諸国、特に <当時の> ソヴィエト連邦に送ったのだ。
アメリカは核兵器を保有し、それを必要なら使うぞ、というメッセージだ。
当時ソヴィエト連邦は秘密裏に核兵器プログラムを進めていたが、
アメリカに今後核兵器を使用させないように、ということでその
秘密プログラムが加速される結果を招いた。その他の諸国も同様の
動きに出た。ソヴィエトを抑止するため、英国とフランスも核兵器
装備を始めた。イスラエルも、自らの独立を守り他の核兵器保有
諸国からの介入を防止するため、核兵器開発を進めた。また
インドは、中国とパキスタンを抑止するために核兵器を開発し、
パキスタンはインドを抑止するため同じ動きに出た。北朝鮮は、
アメリカを抑止するために核を保有した。

あいつがやるなら、俺も 私の20分クロッキー

あいつがやるなら、俺も
私の20分クロッキー

核時代 (Nuclear Age) に常に見られる要因の1つとして、
核兵器保有国は必ず核抑止理論を信奉する。核兵器を開発した国は
いずれも、核抑止の実現であるという理由で、その開発を正当化
してきた。その核保有国自体だけでなく、人類の文明そのものの
安全が、核抑止理論の信頼性にかかっている、というワケだ。
全世界の多数の人たちが、核抑止が地球の安全に、さらには自分や
家族の安全に、寄与していると考えている。だが、本当にそうなのか?
核兵器保有国すべての政治・軍事的指導者たちは、核抑止理論を
金科玉条、あたかも神聖不可侵な教えであるかのように扱ってきた。
核抑止があれば、安全が守られる、という非現実的な教義だ。
だが、そうした指導層が間違っていたら? その場合、人類の未来は
致命的な危機を迎えることになりかねない。核抑止が現実には
機能しなくなった場合、人類の存在そのものを脅かす脅威が
訪れかねないからだ。

アメリカ戦略軍の前司令官であったジョージ リー バトラー将軍は、
在任期間中にはアメリカの前核兵器を管轄していた。アメリカ空軍を
退役した後、バトラー将軍は核抑止理論を批判、「国家の安全保障の
究極の目的に関して、この核時代における合理的な思考を危うくして
しまっている。国家安全保障の最終目的とは、その国家を存続
させることだ」 と語った。バトラー将軍の結論として、核抑止とは
「危うい知的構築物で、現実の世界にはほとんど該当しない。
現実世界には、偶発的な危機もあれば動機説明が不可能な動き、
諜報活動の不完全さ、人間関係のもろさといった諸問題が溢れている」

火山が噴火する前には、明確な兆候が見られ警告となる。同様に、
核兵器の使用と核抑止の崩壊にも先立つ兆候があり、我々はこの
核時代においてそうした実例を見てきている。噴火のような力の
ために核兵器群が急激に 「噴火」 し、核抑止理論による比較的
脆いものでしかない 「防御」 をぼろぼろに壊してしまう場合も
あり得る。そうした危険を考えるなら、我々は現状に満足しては
ならない。また、核兵器が自分たちを守ってくれると主張する
「専門家」 たちの意見で安心し続けているわけにも、いかない。
実は憂うべきことは実に多数あり、核兵器保有各国の核政策決定者や
理論家たちが説いているよりもずっと多い。下記 <次回以降に紹介>
では、核抑止理論に私が認める10点の深刻な欠陥を考察する。
こうした欠陥を考えるなら、核抑止理論は安定性にかけ、
信頼できず無効な理論なのだ。
*******************

今回は、イントロですね。
次回から、少しづつ 「10の欠陥」 を紹介してまいります。

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しばらくTen Serious Flaws in Nuclear Deterrence Theoryを

核抑止理論について調べておりますが、今後何年かかけて
追求していくべき問題です。
でも、その「何年か」のあいだ、ずっと新規投稿をお休み
するわけにも、まいりません。

そこで、私が読み調べしている材料の中から、
比較的わかりやすいと判断したものを、少しづつ
紹介していくことといたします。

まずは、
Ten Serious Flaws in Nuclear Deterrence Theory (wagingpeace.org)
を。
Nuclear Age Peace Foundation (NAPF) という国際的 NPO (国連の
Peace Messenger Organization としても認定されています)が
公表している文章です。
タイトルのとおり、「核抑止理論に見られる10の欠陥」を
取り上げています。
NAPF の設立者の一人、David Kriegerさんによる文章で、
2011年2月7日付のものです ーー つまり、11年も前のものですが、
いかんせん、世界情勢はそれ以来改善などしておりません。

分かりやすい内容なので、できるだけ上記のリンク先にある
原文をお読みくださいな
でも、それが無理な読者の皆様もいらっしゃるでしょうから、
そうした方々のため、次回から少しづつこの文章を
私の日本語化で紹介していきますね

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原発の軍事的リスク、さらにもう1種が現実化

Russia turns Zaporizhzhia NPP’s site into military base – Energoatom
(ロシアがザポリージャ原発の敷地を軍事基地に改造と、エネルゴアトム)

UKRINFORM
(ウクライナの放送用マルチメディア プラットフォーム)

ウクライナのUKRINFORMからの下記記事によると、原発の
抱える軍事面でのリスクのうち、新たなリスクが現実化して
しまっているようです。「占拠された原発が軍事基地に ”改造“ されて
しまう恐れがあり、そうなるとその基地には下手に手が出せない」
(原発目掛けて爆弾を落とすわけにいかない)
というリスクですね。
仮に本件がフェイクであったとしても (フェイクであってほしいですが!)。
この 「原発を占拠して、下手に攻撃できない軍事基地に変えてしまう」
というリスクは、いずれ将来現実化してしまう恐れがありますよね。

、今まで 「やかんをのせたら~~」 では、原発の軍事面での
リスクとして、次の3種類を取り上げました:
・ 核兵器の proliferation risks (拡散リスク)
・ 原発が巨大な dirty bomb になってしまうリスク
・ 原発の存在が、他国からの侵入を正当化する 「言いがかり」 に
されてしまうリスク
(「A国は、そのXX原発で核兵器用Pu を製造している可能性が
ある」 ⇒ それを言いがかりに、A国に侵攻、というリスク。2003年に
アメリカや英国がイラクに攻め込んだとき、2022年にロシアが
ウクライナに侵攻したとき、このリスクは現実化してしまった)

そして今や、ザポリージャにおいて上述の 「原発が、攻めづらい
軍事基地に改変されてしまうリスク」 が現実化してしまっております。

ではそのUKRINFORMからの記事を、私の日本語化で紹介しますね。
いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。

英語原文を読める方は、ぜひ原文をお読みくださいな:
Russia turns Zaporizhzhia NPP’s site into military base – Energoatom (ukrinform.net)

***********************

2022年7月8日
ザポリージャ原発の現地を、ロシアが軍事基地に改変してしまい、
同原発のスタッフはロシア軍からのプレッシャーの下で任務をこなしている。

そう述べたのはウクライナのエネルゴアトム国営核発電公社の社長、
ペトロ コーティンで、Ukrinformの記者によれば、EnergoBusinessとの
インタビューでの発言である。

「<同原発の> スタッフは、今もロシア軍からのプレッシャーの下で
作業を続けており、同原発の現場には数百名の武装部隊がおり、
重火器も弾薬の備蓄も備わっている。この原発で起こっているすべての
ことに対して、IAEAは反対すべきであった。つまり、同原発内にロシア軍
部隊が立ち入ること、同原発の周囲の物理的防壁が破壊されたこと、
ウクライナによる同原発の管理が許可されていないこと、である。
<同原発の> スタッフは重いプレッシャーの下で勤務しており、
休むことも許可されていない。安全のための規則では、スタッフの休みは
義務付けられているのだが。食料も不足している。こうした現実は
いずれも、核や放射線の安全性規定への直接的な違反であり、IAEAは
それらすべてに対応すべきだったと、コーティンは語った。

コーティンによれば、同原発は予め作成された計画に沿って稼働している。

「たいていの場合、我々は 「予定ぎりぎりで」 動くことはしない。
コンポーネントも化学物質も予備の備蓄を準備しており、“追加の供給なし
でも” しばらく稼働を続けられる。無論、これがかけてはならないという
生命線はある。それをどう確保するか、あるいはそれらなしにどう稼働
できるのか、検討しているところだ」と、コーティンは述べた。


“Run! For your life!”
私の昔の作品、部分
・・・ (後略) ・・・

*************************
いうまでもなく、原発を敵軍に占拠され、そこからミサイル攻撃や
砲撃を敵軍が行っている場合、その原発を本来保有している国家は、
下手に手出しができませんよね。原発には、下手をするとそうした
厄介な敵基地に改変されてしまうリスクがあるわけですね。

日本で原発問題というと、いまだに反原発派の多くからは 「地震や
津波 ⇒ 原発事故 ⇒ 放射能こわい!」 といった判で押したような
反応が返ってきます。
原発事故を軽視しているわけじゃ、まったくありませんよ。ただ、
当然、原発推進勢力はアレコレ反論を打ち出してくるわけですよ。
たとえば:
・ 最近喧しい 「原発を再稼働しないと、電力が不足する」 という
主張 (⇔ 付録 w-6)、w-9) 参照)
・ 「原発を使わないと、CO2を削減できない」 という
主張 (⇔ 付録 w-1)、w-3)、w-8) 参照)
・ 「新型の小型炉なら、メルトダウンしません」 という
主張 (⇔ ページ s-0) からs-3) 参照)

我々反原発派も扱う問題系を広げ、組織化して、原発に伴う
各種リスクを広く世界に訴えましょうよ。
特に、今まで4種類紹介してきた軍事関連リスクは、いずれも
深刻なものなのに、日本の反原発団体などはあまり具体的に
アピールしてきませんでした。もっと情報発信をしっかり
させましょうよ!

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付録 w-9) をアップロード

付録 w-9) をアップロードしました。

本来の本ウェブサイトのフォーカスである核発電の軍事的側面からは、
大きく離れてしまうのですが、
・ 今年6月終わりの危険な暑さのなかで電力不足リスクがあり、
案の定、「原発を再稼働しないから、熱中症で人が死んでる!」
といった訳の分からない主張を、一部の政治家などがしている
・ それに関して、反原発団体などからの「真実の説明」が、
あまり聞こえてこない

という情けない現状ですので、暑さの中で 「何で、私がこんな事
書かないといけないの??」といぶかりながら記した付録です。

上の黒いメニューでは、項目は基本的にアルファベット順に
配列していますが、「付録」 はメニューの終わりに並べてございます。
メニューの終わりあたりにある付録 w-9) をクリック!

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ザポリージャ原発から、残虐事件

yahoo! news より

The occupiers tortured the diver of the Zaporizhzhia Nuclear Power Plant to death – the mayor of Enerhodar (yahoo.com)
(ザポリージャ原発で潜水士を占拠中のロシア軍が拷問、死なせたと、<ザポリージャ州> エネルホダル市長)

すぐ下の記事で、ザポリージャ原発のスタッフの状態が憂慮
されているとのREUTERSの報道を紹介しましたが、
Ukrayinska Pravdaというウクライナ語オンライン新聞による
7月4日付の記事をyahoo! newsが紹介しているものによれば、
どうも同原発では拷問・致死といった事態も発生しているようです。
そのyahoo! news 経由のUkrayinska Pravdaの記事を日本語化
して紹介しますね。
ウクライナ語 ⇒ 英語ときたものを、さらに日本語にリレー言語
転換するような結果になりますが。

Ukrayinska Pravda

2022年7月4日

KATERYNA TYSHCHENKO 記者、オリジナルは2022年7月3日

ザポリージャ原発 [ZNPP] の水系統施設で潜水士を務めるAndrii
Honcharukさんが同地を占拠中のロシア軍部隊による拷問を受け、
その後エネルホダル市で死亡した。

情報源: エネルホダル市長Dmytro Orlov氏、<SNSのTelegramに公表>

Orlov氏の発表からの引用: 「本日7月3日、ザポリージャ原発の
水系統施設で潜水士を務めるAndrii Honcharukさんが死亡した。

数日前、原発に勤務する経験豊富な専門的潜水士が、同原発を
占拠する部隊から、極度に残虐な拷問を受けた。同潜水士は
ザポリージャ原発の<温水冷却用> 噴水池に潜水するよう
要求された。彼が拒否したところ、人の姿をしたモンスターの
ような占拠部隊はHoncharukさんを拷問にかけた。

ディテール: Orlov市長によれば、Honcharukさんは多数の
けがを負い意識のない状態で、エネルホダルの病院に搬送された。
だが彼が受けた負傷は生命に係るもので、彼は意識を回復すること
なく日曜日に他界した。

背景:

  • Orlov市長によれば、同原発を占拠しているロシア軍部隊は
    同原発の従業員たち地下室に閉じ込め、何週間も拘束して
    いるという。
  • 占拠部隊はさらにカネのために人を拉致しており、釈放して
    ほしければ一人当たり50,000フリヴニア (およそ1,700米ドル) を
    支払えと要求している。

***************
ただならぬ内容ですね。
発電所という施設では、その発電所の現状に慣れたスタッフで
ないと実際には動かせない機械が多くあるものです。そのスタッフを
閉じ込めたり殺害しているって ・・・
ザポリージャ原発を暴走でもさせたいのでしょうか???
さらにザポリージャ原発の latest newsを追いかけ、随時日本語化
紹介してまいりますね。

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ザポリージャ原子炉のスタッフ、窮地に

REUTERS, 2022/06/24

少し遅くなりましたが、ザポリージャ原発で心配な事態が発生、IAEAも現状を確認したいと明確な懸念を表明しているそうです。
日本語のメディアでは、この報道をあまり見かけませんね。なんで??

そこで、REUTERSによる報道
IAEA voices concern for staff at Ukrainian nuclear plant, demands access (msn.com)
から、
IAEA voice concern for staff at Ukrainian nuclear plant, demands access
(IAEA、ザポリージャ原子炉のスタッフに関し懸念を表明、現場視察を要求)
という2022年6月24日付の記事を日本語化して紹介しますね。
例によって、< > 内は私からの補足説明です。

*************
ウィーン発、Reuters  – 国連の核監視機関 <であるIAEA> は、
ウクライナにありロシア軍が占拠中であるザポリージャ原発の
スタッフの状態について、懸念を増大させている。同原発は
ヨーロッパでは最大の原発。IAEAが金曜日 <6月24日> に
発表したところでは、すぐにでも現場視察が必要だとしている。


「ああ、もう ・・・・」
私のデッサン練習

ザポリージャ原発ではウクライナのスタッフがロシア軍部隊の
命令の下で原発稼働に務めているが、IAEAはこの数か月間、
これでは安全上のリスクが高く、使節団を同原発に派遣したい
としてきた。

「IAEAでは各種メディアその他による最近の報道を認識して
おり、ウクライナ最大の同原発でのスタッフの状況悪化を示す
兆候を見聞きしている」 と、ウィーンに本拠を置く国連機関
IAEAによる声明は述べている。

さらに同声明によれば、「同原発スタッフの直面している状況の
困難が激化しつつあり、IAEAでは憂慮を募らせている ・・・
できるだけ早急にIAEA施設が現地に赴き、本件も含めた各種の
緊急事態に対応する必要がある」

そうした各種緊急事態の1つとして、IAEAの査察官が検証作業を
行う必要があり、それには同原発にある 「大量の」 放射性物質の
検査も含む。

そうした放射性物質に関するデータをIAEA本部へと沿革送信する
伝送は今月回復したのだが、物理的なストック確認は査察官が
現場で行わねばならず、そのための期限も 「所定の日時を過ぎて
はならない」 とIAEAは述べたが、それ以上の詳細な説明はない。

同原発には6基の原子炉があるが、そのうち2基では最近核燃料の
交換を行った。そうした場合には、稼働再開の前に燃料の検査が
必須だと、IAEAは述べている。しかも現在、この2基の原子炉は
稼働してしまっている。

「この大型原発でのこうした現状は、擁護のしようもないものだ。
我々が得た情報によれば、同原発の現場は武装したロシア軍部隊が
制圧しており、ウクライナ側のスタッフは極度にストレスの強い
環境下で原発を稼働させている」 と、IAEAのラファエル グロッシ
事務総長は声明で述べている。

「最近見聞きしている報道は実に憂慮を深めるもので、
同原発のスタッフの状態についての心配を募らせている」

(Francois Murphy記者、Mark Heinrich編集者)
***********************

なんやら我々のほとんどが心配してきたとおりの展開に
なっちゃってます!
重大な危機が発生しないうちに、ロシア軍がこの原発から
撤退することを祈っています!
それと、原発というのは戦時に占拠された場合、いかに
厄介なものか、日本社会でも全世界でも広く認識して
もらいたいです!
なんせ、IAEAによる交換後燃料の検査すらすっ飛ばして
稼働を始めちゃってるとは ・・・
ご存じのとおり、IAEAの査察などをすっ飛ばすように
なると、兵器製造に転用されてしまうのを止めようが
なくなってしまいます。(北朝鮮も、その実例でしたよね)

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韓国の方向転換、後半

Can Nuclear Energy Power South Korea’s Future? – The Diplomat
にあるEunwoo Lee記者による記事、後半を紹介します。

2022年6月25日付の記事、私による日本語化です。
いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。

この暑いのに、こんなもん読むのは~~ 私の20分クロッキー

この暑いのに、こんなもん読むのは~~
私の20分クロッキー

******************
後半

こうした期待が高まってはいるが、ユーンにとってもその
推し進める核発電産業にとっても、道行は険しい。直ちに
問題になるのは、使用済み核燃料の処理・処分をする場所を
見つける、という問題だ。原子炉内部ではウラニウムが
核分裂のプロセスを起こし、その核分裂のエネルギーを
電力に変換する。その際の副産物の一部や残余ウラニウムは、
高レベル放射性廃棄物となる。これは煉獄のような灼熱と
物体を透過してしまう強烈な放射線を発するので、放射性
物質による汚染を防止するため、高度な取り扱いと防御が
必要になる。

だが韓国の通商産業エネルギー省 (MOTIE) によれば、
韓国内の原発では今のところ使用済み核燃料を原発敷地内の
一時保管施設に保管しており、これは今まで処分場に適切な
場所を幾度も探してきたのだが、見つかっていないためだ。
2031年から、各原子炉にある一時保管施設は容量が満杯に
なっていく。ユーン政権がどこかの市町村の説得に成功、
核ゴミ処分場のホスト市町村になってもらえたと仮定しても、
乗り越えねばならないハードルはさらにある。同省の報告書を
さらに見ると、当局も原発敷地内の一時保管施設の経験しか
なく、核ゴミの輸送や保管、処理技術、技術者の増員といった
ニーズが焦眉の急だ。

だが政府機関が恒久処分施設をどこに設けることにしようと、
結局は失敗に終わってきた。これは、当該地区の住民からの
抗議 (しかも場合によっては、それは暴動に近づいた) 、
あるいは環境検査の結果 <不適切性が明らかになった> ためだ。
そんな事情で過去に韓国政府は19年を費やし、韓国唯一の
保管施設をギョンジュ (慶州) 近くに設けようとした。
これは <最終ではなく> 中間保管施設で、しかも低・中
レベルの核ゴミしか扱わないものだったのだが。核発電産業は
高レベル核ゴミの処分場も必要としており、高レベル処理施設
建設となれば、反対はさらに熾烈化するはずだ。MOTIE の
推定では、恒久的な高レベル核ゴミの処分施設を建設し稼働を
開始するまでには、最大で37年を要するという。それよりも
かなり前に、韓国の原発は現場保管の核ゴミの山に埋もれてしまう。

ただよぃ、うずもれる ・・・ 私の20分クロッキー2つ

ただよぃ、うずもれる ・・・
私の20分クロッキー2つ

 

同時に、韓国は領土面積が小さく人口密度は高いため、事故が
発生した場合に対する市民の認識が厳しいだけでなく、実際の
事故の招く結果も深刻なものになるはずだ。韓国の領土は東西
方向では平均で300㎞ほどで、技術的にはどの程度の放射性
物質を巻き込んだ災害でも、全人口に影響がある。さらに、
4つの近くプレートが重なる地点のそばにあるため、韓国では
毎年70回ほどの地震がある。

このように地理的な制約と市民の核プロジェクトへの嫌悪が
あるため、韓国政府は韓半島の南東端に原子炉を集めて
設置するしかなかった。この地域は既に面積当たりの原発密度が
世界最大になっており、原発のメルトダウンなどの発生確率も高い。
この地域ではすでに2度にわたり大規模な地震を経験しているが、
いずれも幸運にも原発のそばではなかった。

3月には発電と送電を制御するハヌルの送電開閉所のそばで
山火事が発生、送電線の一部が機能できなくなった。ブラック
アウトをかろうじて逃れられたのだが、地元の消防車の大半を
原発に向かわせたためであった。山や民間住居を犠牲にしての
ことであった。この山火事の惨状は全国にTV放映され、
核エネルギー産業の社会イメージは損なわれた。気候変動に
伴い山火事や嵐は今後増えるものと見られ、しかも既存原発の
大半は東部海岸線に迫る山がちの地域に立っているため、
次の福島第一型惨事は韓国で起きるのでは、との心配も聞こえる。

2011年の福島第一原発大惨事では、大地震のため送電線が
壊れ、それに続いた津波でバックアップ用の発電装置も洪水に
吞まれた。被災した3基の原子炉を冷やせるだけの電力が
なくなり、炉心のメルトダウンに至った。未だに、実際の損害が
どこまでひどかったのかは解明されていない。この大惨事のため、
その当時には世界中で原発反対の論調が高まり、しかも韓国では
自然災害の激化にも見舞われていた。そのため、韓国政府による
核エネルギーへの取り組みに反対する人口が増えることは、
容易にありえた。

大事故が起きる前に、叩いとかなきゃ ・・・

大事故が起きる前に、叩いとかなきゃ ・・・       私の20分クロッキー

 

国内からは、その他の問題も出てきた。核エネルギー業界では
いまだに透明性の欠如や汚職、ゆすり・たかりが横行しており、
安全性に疑念を抱かざるを得ない。一例として韓半島東部の
海岸地帯にある町ウルジンには、8基の原発がある。そこで発生した
事故件数は、1988年から今までに100件前後に達する。地元市民の
監視団体が放射線量の急増を検知して抗議したが、当局は以前には
チョルノービからの放射性物質の影響だとして真剣に取り合わ
なかった。2013年にはある技術者が構造上の欠陥をピンポイントで
指摘、この欠陥のためハヌル原発の蒸気発電機の稼働寿命が本来の
半分になってしまった。 だが稼働担当の企業はその技術者に対し、
誤った問題指摘をしたと訴訟を起こした。当の欠陥は、今もそのままだ。

また国内のサプライヤー各社は安全証明書を捏造、まがい物や
質の劣るコンポーネントを取り付けている。<原発に絡む大金には>
政府役人たちも 「たかって」 いる。現金を受け取る代わりに、
<不正行為を> 頻繁に見逃したり、場合によっては契約書に
定めてあるはずのパーツをサプライヤーが無視することを
許容したりしている。個別のパフォーマンス試験は経費が
かさむのでめったに実施されず、災害が発生するまで誰も問題を
指摘しないため、こうした癒着がまかり通ってきた。

核エネルギー業界で50年ほどの実績を有し、核安全委員会
(Nuclear Safety and Security Commission) の委員でもある
Lee Byeong-ryeong 博士の話によれば、韓国核エネルギー産業の
病巣の根底にあるのは 「核マフィア」 だ。 韓国水力原子力社
(KEPCO)、韓国核安全研究所 (Korea Institute of Nuclear Safety)、
そして最高権威である核安全委員会 の周囲に形成された少人数の
集団で、緩すぎる法規制を適用するとともに核エネルギー関連の
研究ならびに政策策定を独占してしまっている。

ユーンが韓国の核エネルギーの未来を安全なものにしたいので
あれば、「核マフィア」から廃棄物処分まで、克服せねば
ならない問題があふれている。
***************

ああこまった~~ 私の20分クロッキー

ああこまった~~
私の20分クロッキー

やれやれ、決して韓国に限った問題なんかじゃなくて、日本の現状も酷似してますよね。
「平和利用」 などとお題目を唱えたところで、しょせん核エネルギーはもともとが大量破壊兵器の技術、原子炉は原爆製造のための設備です。そして、近代社会では国防に巨額のカネが動きます。当然、カネ目当ての有象無象が集まり、法規の改悪、贈収賄、隠ぺい ・・・ろくでもない事項がリストアップされる結果になります。

韓国の軍事戦略との関連も何かあると思うのですが、それは今後
調べていきますね。
何か見つけ次第、このウェブサイトで紹介してまいりますね。

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韓国の方向転換

The Diplomat の記事より
(もとは隔月刊の印刷ニュース媒体で、オーストラリアで発行。
2009年にオンライン雑誌に移行、現在はワシントン DCに本拠)

日本語メディアでも報道されているように、韓国の新政権は
Nuclear Renaissanceないしは “Nuclear Reconquista“ とでも
呼びたくなる核発電方針に転向したようです。
すでにUAEには韓国製の原発がありますが、それを今後、
世界に広めていく所存のようですね。

そうなるとすぐに、日本の反原発派の皆様からは、「韓国の
原発で事故があったら、風向き次第で日本にも放射性物質が
飛んでくるんじゃないの!?」、「東海 (日本海) の魚は、
食べて大丈夫??」 といった反応がありそうですよね。
無論、それらも深刻な問題ではあります。
でも、私がまず気にしているのは北朝鮮の核兵器との関連ですね。
北朝鮮は既に核兵器を保有 → 韓国も、対抗できる核技術を
保持し続けねば → 当然、核発電をやめるわけにはいかない、
前任の文政権の脱原発政策は愚かだ
という因果関係が実はあるのであれば、北朝鮮の核兵器を
なくさない限り、韓国の原発もなくなることはない、
という結果になってしまいます。

しかしまずは、韓国の核発電の今後全般に関する論考を
読んでみましょう。
The Diplomatの2022年6月25日付の記事で、Eunwoo Lee
記者によるものです。
長い記事なので、2回に分けて私の抜粋・日本語化で紹介しますね。
いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。

原文は、
Can Nuclear Energy Power South Korea’s Future? – The Diplomat
にありますので、読める方は元記事をお読みくださいな。
では今日は記事の前半を。

Disco People
さわげ、さわげ ・・・
“Disco People”
かなり昔の、私の作品

***********************
韓国の未来は、核エネルギーで大丈夫か?

<韓国の新大統領である> ユーン大統領は韓国の未来の
原動力として核エネルギーを活用、炭素排出の+/― ゼロを
目指すとともに、国際的に <核発電先進国としての> 地位を
固める狙いだ。だが、その行く手は険しい。

<spanitemprop=”name” style=”box-sizing: border-box;”>Eunwoo Lee

2022年6月25日

韓国の核エネルギーの歴史は、汚点に溢れている。ジェンダー間の
公正や住宅供給、コロナ対策などと並んで、原発推進にはデリケートな
一触即発の問題が絡んでいる。保守派の70%以上が核エネルギーの
拡大を好んでいるのに対して、進歩派の約70%は反対している。
実際、ある有名な世論調査では回答者の核エネルギー利用に対する
姿勢を、その回答者の政治的・イデオロギー的な傾向を判断する
ためのバロメーターの1つに採用しているほどだ。

保守派は核エネルギーを自国の技術的能力を世界に示す
旗印のように受け止めている。輸出増進や手早い炭素中立性の
実現手段だと見ているのだ。李明博前大統領は核技術を
「我が国の、将来の飯のたね」 であると持ち上げ、2009年には
UAEに原子炉4基を建設する契約を締結した。当時、同前大統領は
2030年までに原子炉80基を輸出しようと目論んでいた。

それに対し進歩派は、核発電の問題点に目を向ける。環境関連での
実績のまずさ、安全性に係る詐称、金に係る闇の動きなどが韓国の
核産業には長年付きまとってきている。文在寅前大統領は2017年に
選出されたリベラル派で、彼の政権の代表的政策である原発フェーズ
アウトを開始していた。

就任直後に文は進行中であったコリ原発の拡張工事を注視させた。
これは、韓国最大の各コンプレックスだが、のちに民事陪審団の
決定に則り2か所の発電所の工事再開を余儀なくされた。それでも
文は、韓国第2位の原発であるハヌル原発への原子炉2基の新設を
なしにした。文政権下ではコリ第1原発は既に40年間稼働した後に、
遅まきながら廃炉が決まった。ウォルセン第1は予定より早く閉鎖
された。文前大統領の5年間の政権下で、電力供給の原発依存率は
ほぼ30%から26.5%にまで低下した。この傾向が続けば、2050年
にはこの依存率は6%にまで低下する見込みであった。

せっかく、喜んでいたのに~~ 私の20分クロッキー

せっかく、喜んでいたのに~~
私の20分クロッキー

だが今や、5月に文を継いだユーン スク イェル新大統領の下で、
原発業界では楽観論が溢れている。ユーンは韓国を、「原子炉
超大国」 にすると公約しているのだ。ユーンが提示している
エネルギー計画では、シン ハムル原発を拡張するとともに、
18の原発の稼働期間を延長する。これらすべてが計画通りに
進めば、2030年までに核発電は韓国の総エネルギー消費の最大
35%を占めることになる。ユーンの期待では、こうした原発依存の
段階的な拡大によって、現在の韓国が総エネルギー消費の約2/3を
化石燃料に頼っているという化石燃料依存を軽減できるはずだ。
2050年までに炭素中立性を達成するという課題に役立つ以外にも、
ユーンのエネルギー政策の裏には石油価格の過激な変動や天然ガス
供給の中断、それらに伴って必要とされるエネルギー自給の実現と
いった要因がある。

ユーンは、国外市場にも狙いを付けている。韓国の通商産業
エネルギー省 (MOTIE)は近日、「核輸出財団設立プロジェクト」 を
発足する計画で、これは核エネルギー関連の会議や展示会への資金
拠出や輸出手続きの迅速化などを担当する。同省ではさらに狙いを絞り、
官民協働の 「準備タスク フォース」 を設立して韓国独自のパッケージを
まとめ、国外の原発市場を捉えるつもりだ。

今年5月終わり、アメリカのジョー バイデン大統領とユーンは、
「核エネルギーでの協力を拡大し、共同で輸出プロモーションや発電容量
拡大のためのツールを活用、先端原子炉や小型モジュール式原子炉の開発
そして世界への導入を加速していく」 旨の取り組みを確認した。ユーンは
東アジア地域のライバル諸国に対して強い姿勢を保ち、韓国を 「世界の
主要国」 に仕立てていくことを願っているが、その重要な要素の1つが
核エネルギーである。特にユーンはアメリカ主導の 「小型モジュール式
原子炉技術の責任ある使用のための基盤インフラストラクチャー」
(Foundational Infrastructure for Responsible Use of Small Modular
Reactor Technology) というプログラムならびに「インド太平洋繁栄枠組み」
(Indo-Pacific Framework for Prosperity) にも参加している。後者は、
同盟諸国の間でのサプライ チェーンの確保をさらに強化するためのものだ。
両者は基本的には、中国、ロシア、北朝鮮を封じ込めまたそれらと競い合う
ためのものだ。これら3国はいずれも、核技術にただならぬ関心を抱いている。

ああ、予想通りでがっかり~~ 私の10分クロッキーより

ああ、予想通りでがっかり~~
私の10分クロッキーより

韓国の核産業はこうした最近の動きを歓迎、伸び悩む同業界にとっての
「ルネッサンス」 を招くものだとしている。ロシアのウクライナ侵略に
伴いヨーロッパはエネルギーの希少化に悩み、ロシアからの天然ガスに
変わるエネルギー源を探している。核産業の専門家たちによれば、韓国と
アメリカの協力により韓国はヨーロッパ市場への足場を固めることになろう。
韓国水力原子力社 (Korea Hydro & Nuclear Power、KEPCO) のトップが
6月中旬にフィンランドを訪問、同国がロシアからのエネルギー源依存を
やめエネルギー総生産量のうち原発の比率を34%から60%へと押し上げる
よう努める中、韓国製原子炉を採用するよう説得に努めた。
ユーン政権はさらに、サウディ アラビアも引き付けようと努めている。
同国は、外国製の原子炉に関心を抱いてきているのだ。一方で
UAEは韓国製のバラカー原発を 「UAEをクリーン エネルギーの
主要生産国へと押し上げてくれた、必要不可欠なプロジェクト」
だと称賛している。これも、韓国核発電業界の威信を高揚させて
いる要因だ。

********************
まあ、予想通りの展開になっているようですね。
問題点については、後半で紹介されています。
お楽しみに。

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ロシア軍が核兵器を使う可能性について ・・・ The Moscow Timesより

The Moscow Timesより (5月17日の時点ですが)
ロシア軍が核兵器を使う可能性について

西側の報道では、「ロシアをあまり追い詰めると、核兵器を
使ってくる恐れがある」 といった主旨の発言が目立ちますが、
当の 「ロシア出身の」 メディアは、どう報じているのか?
ロシア国内の報道には政府による検閲やプレッシャーが
かかっているので、「ロシア出身の」 メディアがどういって
いるのか、以前から気になっていました。もっと早く見つけ
たかったのですが、MSR関連の調査などを優先したので、
今になってしまいました。

The Moscow Timesという、「モスクワ出身の」 報道機関です。
まず同社の概略を、英語版 Wikipedia より私が抜粋・日本語化します。
その後で、同紙による 「ロシアが核兵器を使う可能性」 に
関する記事を私による抜粋・日本語化で紹介します。

元記事がかなり長いので、覚悟してくださいね。

いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。

Something Wicked This Way Comes
Something wicked this way comes —
私の、かなり昔の作品より

英語版 Wikipedia より:
The Moscow Times – Wikipedia

The Moscow Times は、英語とロシア語による独立系の
オンライン新聞。1992年から2017年まではロシア国内で
印刷媒体として発行され、英語を使う観光客や元ロシア国籍で
あった読者が多いホテルやカフェ、大使館、航空機内などで
フリー ペイパーとして配布されていた。また、定期購読も
受け付けていた。モスクワ在住の外国籍の住民や英語を話す
ロシア市民の間で、同紙は人気を博した。2015年11月、同紙は
デザインを変更、日韓から週間に切り替わった。毎週木曜日
発行となり、ページ数が24ページに増えた。

2017 年7月に同紙はオンラインのみでの発行となり、2020年には
ロシア語での発行も始めた。さらに2022年、ロシアのウクライナ
侵略に次いで同国でメディアを誓約する法律が成立したことを受け、
本社をオランダのアムステルダムに移した。その後、ロシア国内では
同社のウェブサイトは非合法とされた。

・・・ (以下略) ・・・

***********************

Light Gazing
Light Gazing
闇の中で、見通しがきかない ・・・
私の昔の作品

では、そのThe Moscow Timesの記事を紹介しますね。

Pyotr Topychkanov記者 (SIPRIのシニア フェロー) による、
2022年5月17日付の記事です。
原文は
McDonald’s to Sell Russian Business, Ending 32-Year Presence – The Moscow Times
にありますので、ぜひ原文を読める方は原文をお読みください。

***********************
ロシア、核という選択肢を使うのか?
核兵器使用の可能性は小さいが、ありえないわけではない

ウクライナへの核攻撃という脅威については、各種メディアや
SNSで議論が喧しい。この脅威については、懐疑的に見るべき
理由もあれば、大いに心配すべき理由もある。

だが初めに、注意を促しておきたい2月24日に始まった戦闘は
今もウクライナで続いているが、核戦争へとエスカレートして
しまうとの思弁は建設的でなく、無責任である。

まず、国営の公式メディアであれ、その従業員であれ、専門家で
あれ、誰が公言したのかに関わらず、武装闘争にあっては核戦争
へのエスカレートという脅威を持ち出すと、防衛側やそのパートナー
諸国が思い切った手を植えてなくなってしまうので、攻撃国に
とって好都合な言説である。

核の脅威を口に出すと、防御側が戦意を失ってしまう危険性が、
常に存在する。

第2に、ロシアが核攻撃を仕掛ける可能性があるとの思弁は、
現実のデータに基づいたものではない。現実には、ロシアが
ウクライナ侵略で何を目指しているのか、公にされている
検証済みの情報はわずかしかない。さらに視野を広げると、
ロシアが西側と対立している意図や、ロシアがその目的を
実現する方法についても、そうした情報はわずかなのだ。

ウクライナへの侵略について、ロシア側からは正当化の口実が
アレコレと提示されている。そうした口実は多数あるので、
ロシアが軍事侵攻に踏み切った本当の理由がどれなのか、
それともまだ公表されていない理由が何かあるのか、見極める
のは難しい。

Dead End
Dead End
誰が決めてるの??
かなり昔の、私の作品

さらにロシア ウォッチャーたちがすぐに気づいたことだが、
ロシアでの意思決定のあり方が分からないのだ。最高司令官
一人の意志だけで、1国が核攻撃を始められるのか? それとも、
あくまで関係者たちの同意が必要なのか?大統領以外の誰かが
核という選択に対し断固として 「ノー」 と言えば、核攻撃
という選択肢は消えるのか?

現実をほとんど、あるいはまったく知らない政府高官たちが
さまざまなことを言っているが、それらは互いに食い違っている。
ロシアが核攻撃を始めるとも、始めないとも、どうやって
判断できるのか?

そうした疑問にいずれに関しても、公にされている情報では
明確な回答が得られないのだ。

そのため、現実を無視した判断ではいずれかの陣営を有利に
してしまうので、そうした判断は抜きにして、核の脅威論には
懐疑と警戒の両方をもって対応すべきであることを、本記事
では述べる。

ロシアは今も、ウクライナでの戦闘のことを <「戦争」とは
呼ばす> 「特別軍事作戦」 と呼んでいる。こういう扱いである
以上、国家総動員は除外されており、ロシア側の視点に立てば
核兵器を使用する法的根拠はない。ロシアにとってこれが特殊
作戦である限り、局地的な紛争でありその目的も限られたもので、
リスクも大きなものではない。

ウラディミール プーティン大統領もその大臣たちも、いわゆる
ドネツク人民共和国やルハンスク人民共和国、ならびに
ウクライナ国内のロシアが一時的に占拠している領土の併合に
ついては何も語っていない。したがってロシア軍やドネツク、
ルハンスクの部隊がウクライナ軍による反攻に対抗するとき、
ロシアのものではない領土を守っていることになる。
確かに、ロシアの与党である統一ロシア党の党首は最近
ケルソンで、「ロシアはいつまでも、ここを収める」 と述べた。
またウクライナ国内のロシア軍が占拠している地域では、
ロシアの通貨が流通している。ウラディミール プーティンが
考えを変え、占拠した地域やドネツク、ルハンスクを併合する
可能性はある。またウクライナそうした地域やクリミアの奪還に
努めれば、ロシアには自国領土の防衛のためという、核兵器使用の
正式な正当化ができる。だが現在までのところ、そうした発言も
行動も、政治面でも法的にも正式なものとはなっていない。

現状では、ロシアのマスメディアのレトリックに反し、ロシア軍が
NATO加盟諸国に核攻撃を行う可能性は、さらに小さい。今回の
軍事侵攻の開始時点で、ウラディミール プーティンは第3国による
介入があれば未曽有の結末を招くぞ、と脅していた。この脅迫は
効果的で、直接的な軍事介入を避けようとする西側指令層の立場を
固めた。その一方、部隊を派遣はしないものの相当な兵器や経済的な
支援を行うこととした諸国は、同盟諸国にも非同盟諸国にもある。

その一方で、NATOの部隊はまったくウクライナには入って
いない以上、ロシア側は納得すべきである。だがその反面、
ロシア軍の作戦の先行きは曇りつつある。ウクライナには諸外国
からの援助が大量に流れ込んでおり、その軍隊の力を維持さらに
向上することを可能にしているからだ。NATOによる直接の軍事
介入を抑止する以外に、ロシアの核兵器にどのような役割がある
のか、不明である。


Flower of the Sunset
実像はどちら??
私の昔の作品

核兵器が抑止という役割を演じている限り、西側諸国が核戦争への
エスカレートを警戒することは明らかだ。一部のロシア メディアに
ある無責任な呼びかけにロシアが万一応答してしまい、NATO加盟国に
対する核攻撃を実行してしまった場合には、その核兵器は抑止のため
ではなく、積極的な戦闘の手段になってしまう。さらに今回の
「特殊作戦」 という扱いでは、第3国への攻撃を行う根拠がない。
核攻撃なら、さらにそうだ。

核攻撃は、一種のレッド ラインである。万一ロシアがそれを
超えてしまった場合には、西側諸国もがウクライナ側について
直接の戦闘に加わる要因は、何もなくなってしまう。

そうなれば、全世界が核戦争の危機にさらされることになる。
さらにロシアの将来も、長年プーティンが構築してきた政治構造も、
機器に曝されてしまう。

ロシアがウクライナに核攻撃を行うのも、レッド ラインとなるの
だろうか?これは、よく分からない。アメリカでは、ホワイト
ハウスに陣取る政権がウクライナ側について戦闘に参加すべしとの
強力なプレッシャーを受けることになろう、との見方が広まっている。

だが、アメリカとその同盟国とがそのような場合に結局どうした
対応に出るのか、予想するのは難しい。ロシアへの制裁が強烈になり、
ロシアの孤立が深まることだけは確かだが。

ウクライナでの特殊作戦の一環として、ロシアが核兵器を使う理由が
あるだろうか?想像力を覆いに働かせるなら、核攻撃が軍事的に意味を
持ち得るシナリオが少なくても2つある。

第1に、核攻撃によって主要都市を攻略し、ウクライナ政府にロシア側に
好都合な和戦協定を呑ませることができる。(先例として、
アメリカ軍が広島と長崎に原爆を投下して太平洋での第二次大戦を
終結させた例がある <← 下線部は原文記者の見解でして、私 (ひで) の
見解では、ありません>

2番目のシナリオとして、ロシア、そしてドネツク人民共和国や
ルハンスク人民共和国の通常兵器軍では、ウクライナ軍による強烈な
反攻を抑止できない場合がある。

つまり、ロシア軍は1つ目のシナリオでは一般市民への攻撃として、
2つ目の場合にはウクライナ軍への攻撃として、核兵器を
使用することになる。

ウクライナの一部都市をロシア軍が完全に破壊するようなら、
第1のシナリオの現実性が窺えよう。こうした都市の完全破壊が
現場の司令官の判断による孤立したケースではなく、ロシア側が
こうした完全破壊を容認しており、非戦闘員の殺戮も戦いを
優位に進めるために認めているのであれば、ロシア軍をはじめ
ドネツク、ルハンスクの軍人たちの,死亡数を減らすためロシアが
さらに強力な兵器に訴えてくると見るのも、あながち非現実的とは
言えなくなる。

あれは50年も昔のこと ・・・ 私の10分クロッキーより

あれは50年も昔のこと ・・・
私の10分クロッキーより

2つ目のシナリオは、戦場の状況とは切り離されたもののように
見受けられる。一番最近にこの種の核戦争シナリオが考慮されたのは、
冷戦時代にNATO軍とワルシャワ条約機構軍が対立していた時代の
ことであった。だが現時点でウクライナで起きていることは、
規模においても形態においても実質においても、冷戦時代の状況
とはまった似ていない。

いずれのシナリオに対してもあり得る反論として、ロシア軍は
今もウクライナ市民に対するロケット弾や爆撃攻撃を実施して
いないと主張しており、ウクライナ軍がしでかしたことにしている、
という事実がある。ロシア軍は、クラスター爆弾のような国際
条約で禁じられている武器を使用したことを否認している。
この否認方針は、ウクライナでの戦闘が停戦に至った場合に、
ロシアが諸国との関係を正常化、あるいは最低でも改善できる
ようにすることが狙いだ。

ウクライナでロシアが核兵器を使用した場合、核兵器の使用は
否認することは不可能であるし、ウクライナ軍のせいにする
こともできない。<つまり、一度でも核兵器を使用してしまうと>
ロシアが西側との関係の改善をどれだけ臨んだとしても、
その望みは完全に崩壊してしまう。

現在の状況では、ロシアがウクライナに対して核兵器を使用する
軍事的あるいは政治的根拠はないし、ましてや
NATO諸国に
対して使用する理由は見当たらない。

だが、今回の戦争でロシアが苦しみ、クリミアなどロシアが
自国領と認識している地域に敵の勢力が入り込む可能性が高くなり、
しかもロシアが政治的にも経済的にもまったくの孤立に陥った場合
には、ロシア政府が核という脅迫に訴える理由が強まってしまう。

すると、いったいなぜ、プーティンは核兵器という選択肢に言及するの
だろうか?我々の思弁では、ロシア当局が 「核という盾」 で自らを
守り、最悪の事態を防止しようとしているのだ、という理解に至る
かもしれない。だが、この 「盾」 は、ロシアが核兵器を使用
しない場合にのみ機能できるのだ。

**************

Long Lake, MN
常に理性的でいられるのか?
私の昔のスケッチ、ミネソタ州 Long Lake

現実的に考えれば、実際に核兵器を使用するケースは考えにくい
のかもしれません ・・・ その決断を下す人たちが合理的な判断を
する限り。
ただ、
そうした人たちが 「正気」 を失った場合は?
核兵器以外に局面を打開できそうな選択肢がなくなった場合は?
といった心配が残るわけですね。
つまり核兵器とは、心理的に他国を行動しにくくさせる効果が
大きい兵器ですよね。
極論すれば、仮にある国が実は核兵器を保有していなくても、
「持っていると他国に信じさせて」 おけば、「核の脅迫」 が
できてしまうという、厄介な代物です。

それが巡り巡って、たとえば食糧危機を招き、餓死者が出る
・・・ そんな危険性も笑えなくなってきております。
いうまでもなく、最も賢明な対応は、世界から核兵器や大量破壊
兵器をなくすことですよね。
そして核発電は、核兵器開発の 「隠れ蓑」 に幾度も悪用されて
きたのです。(付録 w-4) のゴア元副大統領のインタビュー参照)

「やかんをのせたら~~」では今後も、proliferation risksを
中心に核発電と核兵器の不可分性を問題にしてまいります。
当然、今回のような核兵器問題に関する報道・論考などの
紹介も時折していくことになります。

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