ウィーン会談第6ラウンド、12日に再開 ・・ Trend の記事

JCPOA再建交渉の第6ラウンドがすでに始まっているはずです。
その会談の中身については、14日(月)の午後4時JST現在、まだ報道記事が
見当たりません。

そこで、6月11日付のTrend News Agencyによる記事を紹介しますね。
ウィーン会談の再開に関するものです。
交渉が進展し、核兵器開発が中止に向かうことを祈っております。
そんな良いニュースを、今週にはここでお知らせできると良いのですが。

「日本は、コロナ不況で大変なんだ! 中東で核兵器ができても、
何の関係があるんだ!?」などとおっしゃる方々もいらっしゃるかも。
でも、ご存じのとおりサウディの皇太子は「イランが核兵器を手にした場合、
サウディも対抗すると明言してらっしゃいます。(本ウェブサイトの
ページ f-4) 参照。上の黒いメニューで f-4) をクリック)

そうでなくても、日本では「消費増税不況」+「コロナ不況」で私たちは
経済的にはいつくばっているのに、さらに
中東で核兵器保有国が増大 → 緊張が高まり、原油価格が高騰
なんてことになれば、壊滅的な打撃になりかねませんよね。
そんなことが、起こらないよう祈っております!

(Trendの記事本文)
The Joint Commission of the Joint Comprehensive Plan of Action (JCPOA) will resume in a physical format this Saturday (June 12) in Vienna, EU External Action Service said in a release, Trend reports citing IRNA.

The Joint Commission will be chaired, on behalf of EU High Representative Josep Borrell, by the Deputy Secretary General/Political Director of the European External Action Service, Enrique Mora, the release added.

The commission, as it was in the past, will be attended by representatives of China, France, Germany, Russia, the United Kingdom, and Iran, according to the EU release.

“Participants will continue their discussions in view of a possible return of the United States to the JCPOA and on how to ensure the full and effective implementation of the JCPOA.”

Participants of the JCPOA, and the US indirectly, have held five rounds of talks during the last two months to revive the nuclear deal put in danger of elimination by former US President Donald Trump

Trump ceased US participation in the deal in 2018, resuming all sanctions against Iran which were lifted by the deal. To deteriorate the situation, Trump even added hundreds of sanctions against Iran.

Joe Biden, the incumbent US President, has hinted his administration was willing to rejoin the Iran nuclear deal, but has yet to take the difficult decision to remove all sanction, as Iran demands.

Iran has said it would reverse all compliance reduction measure it has taken to reciprocate US withdrawal of the deal, in case the Washington ‘verifiably’ remove sanctions.

(私による日本語化)

包括的共同行動計画(JCPOA)の合同委員会は、この土曜日(6月12日)に対面での会談をウィーンで再開すると、EUの対外活動サービス(External Action Service)がリリースで発表した。本Trend記事は、イランのlRNAという報道機関からの情報を引用している。

この合同委員会の議長を務めるのは、EUの上級代表者のJosep Borrellではなく、欧州対外活動サービスの事務総長代行兼政治ディレクターのEnrique Moraであると、同リリースは述べている。

合同委員会に出席するのは、今までと同様、中国、フランス、ドイツ、ロシア、英国、イランの各代表者たちだと、そのリリースには記載されている。

「参加諸国は引き続き、アメリカのJCPOA復帰を目指しての話し合いを続け、JCPOAのフルで効果的な実施を確保するにはどうするべきかを論じ合う」

JCPOAの参加諸国ならびに間接的ながらアメリカはこれまでに5ラウンドの会談をこの2か月間に持ち、アメリカのドナルド トランプ前大統領のために消滅の危機にさらされているこの核合意を復活させるべく務めてきている。

トランプは2018年にアメリカをこの合意から脱退させており、この核合意でいったんは解除されていたイランに対する制裁も、すべて再開した。トランプはさらに新たな対イラン制裁も追加、状況をさらに悪化させた。

現在のアメリカ大統領ジョー バイデンは、このイランとの合意にアメリカが復帰する可能性をほのめかしている。だが、イランが要求しているすべての制裁の解除については、困難な決断でありまだ決定を下していない。

アメリカの核合意からの脱退への報復として、イランはこれまでJCPOA順守を縮小してきたが、アメリカ政府が「制裁を解除し、それを検証できるならば」それをすべて逆行させ完全な順守に戻るとイラン政府は述べている。

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核発電を普及させてしまうと、核兵器の開発製造にもつながってしまう場合がある
ことの、実例ですね。そして、国際交渉でそれをやめさせようとしても、これだけ
困難が伴う。(さらに、北朝鮮は実際にもう、核兵器を保有しちゃってますよね)
核発電と核兵器の両方を地球から廃絶するしか、現実には平和への道はないと
本ウェブサイトは主張しているのですが、こうした現実に根拠を置く主張なのですね。

では、引き続きJCPOA再建交渉に関する報道の紹介を、次回投稿以降も続けて
まいりますね。

 

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Al Jazeera、「イラン大統領選挙までに、核交渉は再開」

Al Jazeera
Nuclear talks to resume ahead of upcoming Iranian election

Effort to revive landmark pact blocking Iran from obtaining nuclear weapons in return for lifting US sanctions.
(アメリカによる制裁債を解除し、代わりにイランによる核兵器開発をやめさせようとする歴史的合意の再建努力)

2021年6月9日

Nuclear talks to resume ahead of upcoming Iranian election | Elections News | Al Jazeera
(イラン大統領選挙までに、核交渉は再開)

第5ラウンドで妥結に至らなかった以上、JCPOA交渉の今後が気になるところですが、
その再開に関する報道です。かなり長いですが、もともとの記事が長いわけで、
ご容赦くださいな。

(記事本文)
Negotiations between Iran and world powers on how to revive the 2015 nuclear accord will resume over the coming weekend, US Deputy Secretary of State Wendy Sherman said on Wednesday.

Biden administration officials had hoped to conclude an agreement with Iran before the June 18 Iranian presidential election, which could complicate the talks, said Sherman.

“I know that the negotiation will start again over this coming weekend,” Sherman said during a virtual event organised by the German Marshall Fund.

“I think there’s been a lot of progress made, but out of my own experience until the last detail is nailed down, and I mean nailed down, we will not know if we have an agreement,” said Sherman, who was part of the Obama administration team that negotiated the original agreement with Iran.

The talks seek to revive the landmark pact under which Iran agreed to curbs on its nuclear programme in return for the lifting of international sanctions and which had opened the way for a brief thaw in decades of US-Iranian confrontation.

A host of barriers to the revival of Iran’s nuclear deal remain firmly in place ahead of talks, suggesting a return to compliance with the 2015 accord is still a way off, four diplomats, two Iranian officials and two analysts told the Reuters news agency.

“This is complicated, of course, by the Iranian presidential election, which is happening in just a few days,” Sherman added.

President Hassan Rouhani, a pragmatist who promoted the original deal, is widely expected to be followed by a hardline successor.

Among six candidates dominated by conservatives and hardliners, Iranian chief justice Ebrahim Raisi is considered to be the frontrunner in the upcoming election, Al Jazeera has reported.

Former US President Donald Trump abandoned the deal in 2018 claiming it would allow Tehran an eventual path to become a nuclear power.

Trump reimposed US sanctions and embarked on a “maximum pressure” campaign. Iran responded by violating the agreement’s limits and reinvesting in its uranium enrichment capabilities.

Biden has sought to restore the deal’s nuclear limits and, if possible, extend them to cover issues such as Iran’s regional behaviour and missile programme.

Iran wants all sanctions lifted and no expansion of the terms.

Appearing before a US Senate committee on June 8, Secretary of State Antony Blinken said the US was very unlikely to remove all of its sanctions from Iran.

If Iran were to return to the 2015 agreement, which prevents it from developing nuclear weapons, the US would lift sanctions related to Iran’s nuclear programme but not those imposed by the US for alleged aggressive actions, Blinken said.

“I would anticipate that even in the event of a return to compliance … hundreds of sanctions would remain in place, including sanctions imposed by the Trump administration,” Blinken said.

“If they are not inconsistent with the JCPOA, they will remain unless and until Iran’s behaviour changes,” he said, using the formal name of the 2015 agreement, the Joint Comprehensive Plan of Action.

Blinken said Iran’s trajectory after leaving the agreement puts it on a path to obtain enough fissile material for a nuclear bomb within a few months.

In the Gulf, Saudi Arabia and the United Arab Emirates, resigned to a revival of a nuclear pact with Iran, have been engaging with Tehran to contain tensions while lobbying for future talks to take their security concerns into account.

“The Gulf countries have said ‘fine, the US can go back (to the nuclear deal), this is their decision we cannot change it, but … we need everybody to take into account regional security concerns’,” Gulf Research Center’s Abdulaziz Sager, who has been active in past unofficial Saudi-Iran dialogue, told Reuters this week.

(私の日本語化)
2015年の核合意を再建しようというイランと世界主要国の間の交渉は、この週末に再開する見込みだと、アメリカの国務次官Wendy Shermanは水曜日に(6月9日)述べた。

Shermanによれば、バイデン政権の高官たちは、6月18日のイラン大統領選挙までにイランと合意を締結することを望んでいた。大統領が変わることで、会談がさらに複雑なものになる可能性があるためだ。

ドイツ マーシャル ファンドが主催したオンライン イベントでShermanは、「この週末には交渉が再開することは、分かっている」と語った。

さらに同外務次官は、「これまでに大きな進展がったが、私自身の経験から言って、最後のディテールが締結されるまでは、しっかりと締結されるまでは、合意が成立したといえるか否かはわからないものだ」と述べた。Shermanは、イランとの2015年の合意締結に当たったオバマ政権のチームの一員であった。

現在の話し合いは、国際的な対イラン制裁を解除する代わりにイランが核開発プログラムを縮小することに合意した歴史的な合意を、再建しようとするものだ。この合意により、何十年も続いていたアメリカとイランの対立は、短期間ながら雪解けを迎えていた。

今回の交渉では、イランとの核合意を再建するには、数々の困難な問題を乗り越えねばならない。つまり、2015年の合意を復活させるまでの道のりは、まだまだ遠い。通信社のロイターに対しそう語ったのは、4名の外交官そして2名のイラン高官だ。

さらにShermanが述べたところでは、「無論、イラン大統領選挙までにこの交渉を妥結させるのは大変な課題だ。大統領選は、あと数日で始まってしまう」

イランのハサン ルハーニ現大統領は現実主義者で、2015年の合意を推し進めていた。だが(この大統領選挙で彼は退任し)その後には強硬派の大統領が就任するものと見られている。

Al Jazeeraの報道によれば、今回の大統領選の候補者は6名だが、いずれも保守派や強硬派で、現在のイラン司法長官であるEbrahim Raisi が先頭を走っていると見られる。

アメリカのドナルド トランプ前大統領が2018年に、この2015年合意のためイランはいずれ核兵器保有国となってしまうと主張、JCPOA合意を破棄した。

トランプはアメリカによる対イラン制裁を再開、「最大限のプレッシャー」という動きに打って出た。それに対抗してイランはJCPOA合意によるウラニウム濃縮の上限を無視、さらに自国のウラニウム濃縮能力強化に努めた。

バイデン現大統領はJCPOA合意の核開発制限の再建に努めてきており、さらに可能なら合意範囲を拡大してイランの中東での行動やミサイル プログラムをもカバーしようとしている。

イラン側はすべての制裁の解除を求めており、合意内容の拡大を望んでいない。

6月8日のアメリカ上院の委員会に出席したAntony Blinken 国務長官によれば、アメリカが対イラン制裁をすべて解除する見込みは、きわめて小さい。

Blinkenによれば、2015年の合意はイランの核兵器開発を禁じているが、それに復帰するのならアメリカがイランの核開発プログラムに関連する制裁を解除せよと、イランは要求している。だが、イランが展開してきたと思われる対外活動に対するアメリカによる制裁については、その限りではない。

「たとえ合意に復帰したとしても、アメリカによる対イラン制裁は多数残るはずだと私は見ている。その中には、トランプ政権が設けた制裁も含まれるだろう」と、Blinkenは述べた。

さらに同国務長官は「そうした制裁がJCPOAの規定と食い違ったものではなければ、イランが行動を変えるまでは、そうした制裁は残存することだろう」と語り、2015年合意の正式名称である「包括的共同作業計画」(Joint Comprehensive Plan of Action)を口に出した。

Blinken によれば、2015年の合意を破棄して以来のイランの行動を見ると、同国はあと2-3か月で原爆を作るに充分なだけの核分裂性物質を手に入れる道をたどっている。

ペルシャ湾岸では、イランとの核合意の再建を望んでいるサウディアラビアとUAEがイラン政府に働きかけを続けており、緊張の緩和に努めている。今後の国際交渉で両国の抱える安全保障上の懸念をも交渉に取り入れるようロビー活動に努めている。

Gulf Research Center (ペルシャ湾研究センター)のAbdulaziz Sagerは、「湾岸諸国の主張はこうだ。“結構なことだ、アメリカは核合意に復帰すればよい。それはアメリカの決定で、我々が変えることはできない。だが … 関係者すべてに、ペルシャ湾地域の心配も計算に入れていただきたいのだ”」と今週、述べている。Sagerは以前、非公式のサウディとイラン間の交渉にかかわっていた。

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来週には、JCPOA交渉の進展状況についての報道があるでしょうから、
それを紹介してまいりますね。

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ページ w-1) 原発はCO2を出さない??

本サイト「やかんをのせたら・・・」の本題からは離れるのですが、
どうも巷では、核推進勢力がいまだに「原発はCO2を出さない」といった
主張を流布しているようです。

そうした問題への指摘が、最近(2021年6月)にも、AERA.dotでありました。
6月8日付の古賀茂明さんによる記事で、皆様もお読みになったかもしれませんね。
秋の選挙後に怒涛の展開か 原発新増設を巡る菅総理の「策略」 古賀茂明 (msn.com)

本当に、核発電はCO2を出さないのか??その問題について、
「付録」(あくまで、本ウェブサイトの本題からは外れるので)の
ページ w-1) で短く取り上げております。

上の黒いメニュー(ゴチャゴチャしていて、すいません!いずれ、
内容が一通りそろったら、きれいに整理する必要がありますね)で、
w-1) をクリックしてくださいな。

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次回ラウンドへと続く

結局、JCPOA再建交渉は第5ラウンドでは終結せず、次回ラウンドへと続きそうです。
イラン、イラクを中心に中東情勢を専門に扱っている報道機関である
Iran Focusの記事を紹介します。6月4日付のものです。

Iran Focus
Esmaeil Mohades, June 4, 2021

Vienna JCPOA Talks Have Not Come to a Final Conclusion – Iran Focus

(ウィーンのJCPOA交渉、最終合意に至らず)

(記事本文)
On the eve of the fifth round of Vienna talks between Iran and world powers over the former’s illicit nuclear projects, Mikhail Ulyanov, Russia’s representative in the Atomic Energy Agency, said in the talks that the fifth round would probably be the last round of negotiations. But evidence suggests that the fifth round of Vienna talks has not come to an appropriate conclusion.

Then in a tweet on June 1, 2021, he stated that, “Everything is so much complicated in relations between Iran and the #IAEA to our regret! Nevertheless, we appreciate the fact that they continue to maintain the necessary level of cooperation. We have reasons to believe that the current difficulties are of temporary character.”

(Tweet省略)

Vienna talks over four rounds and the fifth round was in progress that news announced by Rafael Grossi, the Director General of the Atomic Energy Agency, made the maintenance of the talks more complicated as he said:

“Iran’s failure to provide credible explanations for traces of uranium found at two undeclared sites is “a big problem” that is affecting the country’s credibility.”

Then he added that a linear return to the old JCPOA, “It is not possible. Iran has accumulated knowledge, has accumulated centrifuges, and has accumulated material.”

Then he added: “They have developed new centrifuges. Research and development have taken place. It was not allowed by the original JCPOA. It has happened and now the issue is how to deal with the results. What you absolutely need is a way to verify that if they have that knowledge, it is not being used to make bombs.”

Separately, France, one of the signatories to the deal, voiced concern after a report from the U.N. nuclear watchdog which showed on Monday that Iran had failed to explain traces of uranium found at several undeclared sites.

Now following the release of the new International Atomic Energy Agency report on the origin of new uranium particles, the three European powers must now decide whether they want to resume pressure to pass a resolution against the Iranian regime, as it could overshadow and making the ongoing talks to revive the JCPOA more complicated.

Three months ago, three European countries, Britain, France, and Germany, suspended the plan that the United States had submitted to the Board of Governors to issue a resolution against the Iranian regime on the discovery of new nuclear particles.

According to the latest report by the IAEA, the Iranian regime has not been able to provide a convincing explanation of the origin of the new uranium particles on several of its unannounced sites.

Of course, these were not the only news which are complicating the situation. In the middle of the fifth-round talks, the Agency provided another negative information about Iran’s nuclear program.

Iran’s 20 percent uranium deposits increased to 62 kilograms, which is an increase of 44.4 kg comparing the amount in February. The Agency also announced on May 31, Iran’s enriched uranium reserves reached 16 times the authorized ceiling allowed by the JCPOA. This rate was agreed upon 202 kg, while now Iran has 3.41 kg enriched uranium.

All this news is worrying while the Agency previously on 23 February 2021 has also announced that they have no access to the regulatory data.

Surprisingly, with this level of ambition, Iran’s government expectation that all the sanctions will be lifted at once is just an illusion.

The Vienna negotiations indicate that the main issues behind the scenes remained not only unresolved, but the agency’s recent statement adds to the volume of the complications and stagnation.

And the proof for that is, that the representatives of the negotiating counties returned to their capitals on June 1, 2021, without any progress, despite all the regime’s claims about progress.

Laurence Norman, a Wall Street Journal reporter in Brussels, wrote in a Twitter message on June 1: “Understand the current plan is to organise a break from Iran talks tomorrow or Thursday for delegations to return to capitals. Could change but that’s the plan. The Big question: when to resume and whether to continue before Iran presidential elections is not yet settled.”
(私の日本語化)
(JCPOA交渉という)イランの不当な核開発プロジェクトに対応した、イランと世界主要国の間の会合の第5ラウンドがウィーンで開かれているが、その前夜にIAEAへのロシア代表Mikhail Ulyanovは、この交渉ではおそらくこの第5ラウンドが最後の会談になるだろうと述べていた。 だが現実を見ると、ウィーン会談の第5ラウンドでは、好ましい結論はまだ出ていないようだ。

2021年6月1日付のTweetでUlyanovは「嘆かわしいことに、イランとIAEAの間の関係は、あらゆる点で極めて複雑なものだ!それでも両者は今も必要なレベルの協力を続けており、これは高く評価できる。今直面している困難は、一時的なものだと考える根拠がある」

ウィーン会談はすでに4ラウンドを重ね、(先週まで)第5がもたれていた。IAEAのRafael Grossi事務総長が発表したところでは、この会談の継続がさらに困難になっている。その発言を紹介する。

「イランの未申告の施設2か所でウラニウムの痕跡が発見されたのだが、それについてイランは釈明をしていない。これは“深刻な問題”であり、イランという国に対する信用が損なわれている」

さらに同事務総長は以前のJCPOAの単純な回復に関し、「それは、不可能だ。イランも知識を積み重ねており、遠心分離機を増設し、材料も蓄積している」と述べた。

さらにGrossiの述べたところでは「イランは新たな遠心分離機を開発しており、研究開発も行っている。もともとJCPOAでは、そうした行為は許可されていなかった。それが現実になされており、今では問題は、その成果にどう対処するか、である。イランにはそうした知識があることを確認し、それを原爆製造に利用していないことを検証することが、焦眉の急だ」
それとは別に、この核合意への加盟国の1つであるフランスは、国連の核監視機関であるIAEAからの月曜日の報告を受け、憂慮を表明している。イランの未申告の施設数か所でウラニウムの痕跡が発見されたのだが、それらについてイランが説明をしていない、という報告だ。

新たに発見されたウラニウム粒子がどこから来たのかに関するIAEAによるその新報告の公表を受け、ヨーロッパの加盟3か国は、イラン政府に対する制裁決議を可決せよという圧力を強化するか、決断を迫られている。だがそうした決議をすると、JCPOA再建のための現在の交渉がさらに複雑なものとなり、前途が暗くなる恐れがある。

3か月前、これらヨーロッパ3か国つまり英国、フランス、ドイツは、この新たなウラニウム粒子の発見を理由にイラン政府に制裁を加えよと求めてアメリカがIAEA理事会に提出したプランに関しては、一時停止を選んでいた。

IAEAからの最新の報告によれば、イラン政府はいまだに、同国の未申告施設数か所で新たに発見されたウラニウムの由来については、納得できる説明をしていない。

無論、交渉を難しくしている事情は、それだけではない。第5ラウンドの会談の途中で、IAEAはイランの核開発プログラムについてさらにネガティブな情報を発表した。

ウランを20%まで濃縮していたイランだが、その重量がこの2月比で44.4㎏増え、62㎏に増大していたのだ。さらにIAEAが5月31日に発表したところでは、イランが保有する濃縮済みウラニウムの備蓄量が、JCPOAで許可している上限の16倍にも膨れ上がっていた。本来は202㎏までとされていたのだが、今やそれが3.41㎏に達しているのだ。

こうしたニュースだけでも憂慮すべきなのだが、さらにIAEAが今年2月23日に発表したところでは、(イランによる)規制に関するデータを入手できない、とのことである。

こうした(核への)野望を抱きながら、イラン政府はすべての制裁を解除せよと求めているが、これは幻想に過ぎず、あきれた話だ。

ウィーン会談で明らかになった問題として、表に出ない重要な諸問題が解決されていないだけでなく、IAEAの最近の声明により、そうでなくても複雑で困難な交渉が一層難しいものになっている。

その証拠として、この6月1日には参加各国の交渉官たちがいったんそれぞれの国に戻っており、交渉には何の進展も見られなかった。それぞれどの国も、進展があったと述べてはいるのだが。

ブリュッセル駐在のWall Street Journal記者であるLaurence Normanが6月1日付のTwitter メッセージに記したところでは、「今のところの予定では、明日あるいは木曜日に対イラン交渉を中断して代表団はそれぞれの国に帰国するものと見られる。変更の可能性もあるが、予定としてはそういうことだ。問題は、イランの大統領選挙の結果が出る前に交渉を継続すべきなのか、いったいいつ再開すべきか、ということだ」

***************
やはり国際社会では、いったん何かの合意を締結して後に破棄したりすると、
その合意の再建はかなり難しくなりますね。

なお、本ウェブサイト「やかんをのせたら・・・」の次回投稿では、
JCPOA問題を短く離れて、「核発電とカーボン排出」という
別問題に関する日本政府の動きを取り上げます。
本来、他の反原発団体などで取り上げてくれている問題なので、通常なら
ここで論じる話題ではないのですが、どうも巷で人と話していると、いまだに
「でも、原発なら二酸化炭素が出ないのだろ?」と真顔でおっしゃる方が
いらっしゃるので。社会的な洗脳やマインド コントロールというものは、
なかなか消えていかないのだなと呆れてしまったので。

AERA.dotの6月8日付の古賀茂明さんによる記事をもとにしますので、
皆様もお読みになったかもしれませんね。
秋の選挙後に怒涛の展開か 原発新増設を巡る菅総理の「策略」 古賀茂明 (msn.com)
では、次回に!

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Sputnik Internationalより

JCPOA再建交渉について、ロシアの報道も見てみましょう。

Sputnik Internationalによる、5月31日付の記事です。

Sputnik International
May 31, 2021

Iran’s Top Negotiator Reportedly Says Nuclear Talks Unlikely to Conclude in Current Round
(イラン交渉団のトップ、JCPOA核交渉は現在のラウンドでは完結しそうにないと発言との報道)

Iran’s Top Negotiator Reportedly Says Nuclear Talks Unlikely to Conclude in Current Round – Sputnik International (sputniknews.com)

(記事本文)
MOSCOW (Sputnik) – Iran’s top negotiator on the revival of the Joint Comprehensive Plan of Action (JCPOA), Abbas Araqchi, said that the fifth round of talks was difficult and unlikely to be the last, media reported.

Negotiators have been debating how to bring Iran and the United States back into compliance with the 2015 nuclear deal since April. Russian Ambassador to international organizations in Vienna, Mikhail Ulyanov, said after meeting the Iranian delegation alongside Chinese diplomats, that talks are at the cusp of concluding.

“I am personally not sure that we will reach a conclusion in this round [of talks]. However, we will continue our efforts… no final decision has been reached yet,” Araqchi told reporters in Vienna, as quoted by Iranian national news outlet Press TV.

The Deputy Foreign Minister added that delegations may need to travel back to their home countries for consultations.

“The negotiations are very complicated. We are dealing with the main points of difference. We think that we have made good progress so far and trodden a good path,” Araqchi said

Iran has scaled back its commitments under the agreement to produce purer uranium after the US quit the pact in 2018 and reimposed crippling sanctions on Tehran. Iran wants all economic curbs lifted before agreeing to any concessions.

(私の日本語化)
Sputnik
、モスクワ発報道によれば、JCPOA核合意の再建交渉でイラン代表団のトップを務めるAbbas Araqchiは、同交渉の第5ラウンドは困難なもので、これで交渉が完結する見込みは低いと述べた。

2015年の核合意にイランとアメリカを復帰させようとする、代表者たちによる討議はこの4月に始まった。ウィーンにある各種国際機関に対するロシア大使であるMikhail Ulyanovが、中国代表団とともにイラン代表団と会合した後に述べたところでは、交渉は完結し始めている。

「(会談の)今回のラウンドで結論に到達できるか否かは、私個人としては定かではない。しかし、努力を続ける。今のところ、最終的な結果は出ていない」と、Araqchi はウィーンで記者団に対して述べた。イラン国営の報道機関であるPress TVの報道による。

Araqchi外務次官はさらに、各国の代表団がそれぞれ自国に戻り、検討を行う必要があると述べている。

「この交渉は、きわめて複雑なものだ。主な食い違いについて、話し合っている。今までの交渉でかなり良い進展が得られたと見ており、ここまでは良くやったと思う」と、Araqchiは語った。

2018年にアメリカがこの核合意を脱退、イランに対する過酷な制裁を再開した。それを受けてイランもJCPOAの規定順守を縮小し、ウラニウム濃縮の純度を高めている。何らかの妥結をする前に、まずすべての経済制裁を解除することをイランは要求している。

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やはり、アメリカの主流メディアによる報道とは色合いが違いますよね。
例えば、最後の段落の crippling sanctionsとか。上では私は「過酷な制裁」と
日本語化しましたが、字義的には「対象をまともに機能できなくするような
制裁」ということです。

今後も本「やかんをのせたら・・・」では、可能な限り他地域での報道を紹介して、
特定地域の視点への偏向を軽減したいと願っております。

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では、その36条の本文

前回までの投稿でお分かりのとおり、イランがウラニウムの過剰濃縮を再開しちゃった
のは、アメリカが先にJCPOAの合意順守を放棄したからだというのが、イランの主張
ですよね。

そこで、当の36条本文を紹介しましょう。

JCPOAの合意内容本文より、第36条。
0. Main Text (europa.eu)
より

DISPUTE RESOLUTION MECHANISM

  1.  If Iran believed that any or all of the E3/EU+3 were not meeting their commitments under this JCPOA, Iran could refer the issue to the Joint Commission for resolution; similarly, if any of the E3/EU+3 believed that Iran was not meeting its commitments under this JCPOA, any of the E3/EU+3 could do the same. The Joint Commission would have 15 days to resolve the issue, unless the time period was extended by consensus. After Joint Commission consideration, any participant could refer the issue to Ministers of Foreign Affairs, if it believed the compliance issue had not been resolved. Ministers would have 15 days to resolve the issue, unless the time period was extended by consensus. After Joint Commission consideration – in parallel with (or in lieu of) review at the Ministerial level – either the complaining participant or the participant whose performance is in question could request that the issue be considered by an Advisory Board, which would consist of three members (one each appointed by the participants in the dispute and a third independent member). The Advisory Board should provide a non-binding opinion on the compliance issue within 15 days. If, after this 30-day process the issue is not resolved, the Joint Commission would consider the opinion of the Advisory Board for no more than 5 days in order to resolve the issue. If the issue still has not been resolved to the satisfaction of the complaining participant, and if the complaining participant deems the issue to constitute significant non-performance, then that participant could treat the unresolved issue as grounds to cease performing its commitments under this JCPOA in whole or in part and/or notify the UN Security Council that it believes the issue constitutes significant non-performance.

    (私の日本語化)
    紛争の調停のための仕組み

36.  E3/EU+3(JCPOAの参加国でイラン以外の諸国)のいずれか、あるいはすべてがJCPOAの下での責任を果たしていないとイランが判断した場合には、 イランはその問題を合同委員会に報告して解決を求めることができる。同様に、イランがJCPOAの下での責任を果たしていないとE3/EU+3 諸国の何れかが判断した場合にも、合同委員会に報告して解決を求めることができる。合同委員会は報告を受けてから15日以内にその問題を解決すること。ただし、合意によってこの期間を延長することができる。合同委員会による検討の後、いずれの加盟国も、合意順守の問題が解決していないと判断した場合には、その問題について外相と相談することができる。関係諸国の外相たちは15日以内に、その問題を解決すること。ただし、合意によってこの期間を延長することができる。合同委員会による検討、そしてそれと並行しての、あるいはそれに代わる外相レベルでのレビューの後で、その問題を提出している加盟国あるいは合意順守への違反が疑われている加盟国のいずれも、諮問委員会によるその問題の検討を要請することができる。この諮問委員会は3名のメンバー(問題提出国が1名、問題ありとされている加盟国が1名、独立した第3の加盟国が1名)で構成される。諮問委員会は15日以内に、その合意順守問題に関する見解を発表すること。ただし、この見解には拘束力はない。ここまでの30日間のプロセスの後で、その問題がなお解決していない場合には、合同委員会は諮問委員会の見解を最長で5日間検討し、問題の解決に努めること。それでもなお、その問題が未解決であり、しかも問題提出国がその問題が深刻なものであるとみなす場合には、未解決であると判断する場合には、その提出国はその未解決問題を理由として、JCPOAの下での自らの責任のすべて、あるいはいずれかの履行を中止し、国連の安全保障理事会に対し、その問題が加盟国による義務不履行の深刻な例であると考えている旨を通知することができる。

************
要するに最後の方の、
then that participant could treat the unresolved issue as grounds to cease performing its commitments under this JCPOA in whole or in part and/or notify
(・・・ その提出国はその未解決問題を理由として、JCPOAの下での自らの責任のすべて、あるいはいずれかの履行を中止し、・・・)
という箇所が、イランのウラニウム“過剰濃縮”(西側寄りの態度でいうんじゃなくて、発電用なら5%でまったく充分なのですから!)再開の根拠となっているわけですね。何せ、アメリカがJCPOAそのものからいったん脱退しちゃったのですから。トランプ元大統領のやることは ・・・ この条項がある限り、アメリカが脱退しちゃうとイランが過剰濃縮を再開しちゃうってことを予測できなかったのでしょうか??
イランもイランで、ウラニウム濃縮で63%というのは、もう何を目指しているかは言うまでもないですよね。

一般にウラニウム濃縮という行為には、そうしたリスクが付きまといます。なにせ、確かに大量の遠心分離機を稼働させる施設が必要とは言え、あくまで「発電用濃度」と「核兵器用濃度」との間の差は単なる「程度問題」ですからね。
ですから、ウラニウム濃縮という行為そのものを各国・地域で行うことを全世界で禁止し、IAEAなりが一元管理する認定施設のみで行う ・・・ そんな風に変革したらどうかと、私は考えます。
むろんこれは、地球上に核兵器や核発電が残っている間の話でして、あくまで両方がこの世界から消えるのが最終的な解決ですが。

では、次回投稿でもJCPOA関連の報道を紹介していきますね。
福島第一からの汚染水海洋放出も大問題ですが、これについては反原発団体などが
YouTubeその他で報じてくださっていますので。
ですから私は、あくまで自分のフィールドである「核発電と核兵器の不可分性」に
関連した話題にこだわりたいと思います。

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その、第36条について … Tehran Times 3月30日

では、やはりイラン側からの視点も知るため、Tehran Timesが3月30日に報じた記事を見てまいりましょう。

Tehran Times, March 30, 2021
Iran to halt 20% enrichment only if sanctions lifted: Press TV – Tehran Times
(アメリカが制裁を解除した場合にのみ、イランは20%濃縮を停止する)

(記事本文)
“20-percent uranium enrichment is in line with paragraph 36 of the JCPOA and will be stopped only if the U.S. lifts all the sanctions,” the official said on Monday evening.

The official said Iran will not stop any of its current nuclear activities before the removal of all sanctions.

“The Biden administration is losing time, and if it fails to lift the sanctions soon, Iran will take the next steps, which will be further reduction of its JCPOA commitments,” the official added.

The Iranian official made the remarks in reaction to a report by Politico which claimed the U.S. is to end the deadlock over the 2015 nuclear deal with a new proposal.

Biden administration officials, mindful of the increasingly unfavorable calendar, plan to put forth a new proposal to jump-start the talks as soon as this week, two people familiar with the situation told Politico.

In reaction to the report, the Permanent Mission of the Islamic Republic to the United Nations reiterated that no proposal is needed for the U.S. to rejoin the JCPOA. “It only requires a political decision…”

Iran is in touch with the remaining participants in the #JCPOA on issues.

No proposal is needed for the U.S. to rejoin the JCPOA. It only requires a political decision by the U.S. to fully and immediately implement all of its obligations under the accord and abide by UNSCR 2231.

— Iran at the UN (@Iran_UN) March 29, 2021

The proposal asks Iran to halt some of its nuclear activities, such as work on advanced centrifuges and the enrichment of uranium to 20 percent purity, in exchange for some relief from U.S. economic sanctions, said one of the people, who stressed that the details are still being worked out.

The American proposal slated to be set forth this week is, “more than anything, about trying to get the conversation started” between the United States and Iran, one of the people familiar with the situation said.

Asked for official comment, a senior Biden administration official declined to discuss details of diplomatic conversations. “We have been clear that we are ready to pursue a mutual return to the [Iran deal],” the official added.

“We have also been open that we are talking with our [international] partners … about the best way to achieve this, including through a series of initial, mutual steps. We have been looking at options for doing so, including with indirect conversations through our European partners.”

Shahrokh Nazemi, the head of the press section at Iran’s mission to the United Nations, has also told Politico that the “return of the U.S. to the [deal] needs no specific proposal. It only requires a political decision by the U.S. to go for the full and immediate implementation of its obligations under” the agreement and a key UN resolution.”

Tehran has been insisting that since it was the U.S. that first quit the nuclear deal and slapped sanctions on Iran naturally it must be the first reverse its decision.

・・・(以下略)

(私の日本語化)
「20%のウラニウム濃縮はJCPOAの第36条に則ったもので、それを停止するのはアメリカが制裁をすべて解除した場合だけだ」と語るのは、あるイラン高官だった。月曜夜のことだ。

この高官によれば、制裁がすべて解除されるまでは、イランは現在行っている核開発関連の活動のいずれをも停止することはない。

さらに同高官によれば、「バイデン政権は、時間を無駄にしている。すぐに制裁を解除しなければ、イランは次のステップに進む。つまり、JCPOAの順守をさらに縮小する」

このイラン高官による発言は、ある政界からの報告に対する応答としてなされたものだ。その報告によれば、アメリカが2015年の(JCPOA)合意の行き詰まりを打破するため、新しい提案を用意している、という。

バイデン政権の高官たちは時間がなくなりつつあることを憂慮、今週にも交渉を躍進させるための新しい提案をする見込みだと、事情通2名が政治関係者向けに述べた。

その報告に応答して、イラン議会の対アメリカ代表団は、アメリカがJCPOAに復帰するには何の提案も必要ではなく、「ただ、政治的決断だけが必要だ …」と繰り返した。

JCPOA交渉での核問題に関して、イランはアメリカ以外の参加諸国と連絡を取り合っている。

「アメリカがJCPOAに復帰するには何の提案も必要ではなく、ただ、この核合意の下でのすべての義務を守り、UNSCR 2231(国連安全保障理事会決議)を遵守するという政治的決断だけが必要だ」

— Iran at the UN (@Iran_UN) March 29, 2021
Iran at the UN (@Iran_UN)
、2021年3月29日

その新たな提案では、イランは最新型遠心分離機の使用やウラニウムの20%濃縮といった核関連活動の一部を停止し、その代わりにアメリカが制裁の一部を解除することになると、上述の事情通の一人は述べた。詳細はまだ検討中であると、強調していた。

今週テーブルに提出される見込みのこのアメリカからの提案の狙いは「何よりも、アメリカとイランの間での対話を始めることにある」と、事情通の一人は語っている。

バイデン政権の高官の一人に正式なコメントが求められたが、外交会談の詳細について話すことは拒否した。さらに、「(イランとの合意に)両国が復帰する用意があることは、以前から明白にしている」と付け加えた。

「さらに我々が、その実現のためのベストの方法を求めて(国際的な)パートナー諸国と交渉を重ねていることも、オープンにしてきている … その一環として、最初に両国がどのようなステップを踏めばよいのかといった問題も討議している。アメリカのパートナーであるヨーロッパ諸国を介して、核合意再建のための選択肢を探している」と、同高官は語っている。

イランの対国連代表団の報道部門ヘッド、Shahrokh Nazem も政治関係者に向かい、「アメリカが(この核合意に)復帰するには、特に具体的な提案など不要だ。必要なのは、この核合意と国連安全保障理事会決議の下でのすべての義務を守るという政治的決断だけだ」と述べている。

イラン政府は、この核合意から最初に脱退しイランに制裁を科したのはアメリカなのだから、合意の再建にあたってもまずアメリカが態度を変えるのが当然だという主張を変えていない。

・・・(以下略)

要するに、JCPOAの第36条の規定では、アメリカ側がこの合意を破棄したのだから、イランは20%濃縮を再開してよいのだ、とイラン側は主張しているわけですね。

そこで次回投稿では、当のParagraph 36本文を紹介しますね。

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5月30日付のTasnimの報道、ロシアの代表より

Tasnim News Agency
May 30, 2021

Russia’s Envoy Foresees Showdown in JCPOA Talks – Politics news – Tasnim News Agency
(ロシアの代表者、JCPOA会談は山場と予想)

(記事本文)
TEHRAN (Tasnim) – The permanent representative of Russia to the international organizations in Vienna predicted that the current and fifth round of talks for the revival of the 2015 Iran nuclear deal would be the final round of negotiations.

“The fifth round of the Vienna talks on JCPOA is under way. As of now, there are no plans for the sixth,” Mikhail Ulyanov said in a post on his Twitter account on Sunday.

“The negotiators proceed from the understanding that the current round should be final,” the Russian ambassador noted.

The most recent round of JCPOA negotiations that began on April 6 examines the potential of revitalization of the Joint Comprehensive Plan of Action (JCPOA) and the US’ likely return to it.

The US left the JCPOA in 2018 and restored the economic sanctions that the accord had lifted. Tehran retaliated with remedial nuclear measures that it is entitled to take under the JCPOA’s Paragraph 36.

(私の日本語化)
テヘラン発、Tasnimの報道 – ウィーンに本拠を置く国際機関向けのロシアの常任代表者Mikhail Ulyanovの予想によれば、2015年のイランとの核合意の回復を目指す交渉は、現在第5ラウンドが進行中だが、それが交渉の最後のラウンドになるだろう、とのことだ。

その代表が日曜日に自分のTwitterアカウントで述べたところでは、「JCPOAの第5ラウンドが進行中だ。今のところ、第6ラウンドの予定はない」

「現在の交渉は、このラウンドが最後になるという了解で行われている」と、このロシア大使は述べている。

現在のJCPOA交渉のラウンドはこの4月6日に始まり、包括的共同行動計画(JCPOA)を回復させる可能性を探るもので、アメリカはこの合意に復帰するものとみられている。

この核合意によりアメリカは対イラン制裁を解除していたのだが、2018年にJCPOAから脱退、制裁を再開した。それに対抗してイラン政府は、JCPOAの第36条でイランが行ってもよいとされている核関連の対応(ウラニウムの20%濃縮)を実施した。

***********
では次回は、その36条に関するTehran Timesの記事を紹介しますね。

本日の記事を選んだのは、ロシア代表の発言を取り上げているからです。
どうも日本のメディアは、アメリカからの情報やアメリカ寄りの視点でものをいう
ことが多いのですが、ロシアなどの視点も紹介するべきだと思いますので。

Tasnimというイランの通信社の記事を選んだのも、日本のメディアはアメリカからの
情報を取り上げることが多く、イラン側の視点をあまり説明しないからですね。
本「やかんをのせたらら ・・・」では、可能な限りイラン側の情報も紹介するよう、
努めますね。


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JCPOAの進展状況、DOHA Newsより

引きお続きJCPOA再建のためのウィーン交渉の進展状況について、今日はDOHA Newsという報道機関がAxiosという機関からの情報を基に報じた記事で、5月27日付のものです。

DOHA News
May 27, 2021

US-Iran ‘likely’ to reach an agreement over JCPOA revival: Axios
(アメリカとイラン、JCPOA復活で合意する「模様」、Axios(という報道機関)が報じる

US-Iran ‘likely’ to reach an agreement over JCPOA revival: Axios – Doha News | Qatar

(記事本文、私による日本語はその下に)
It has not been confirmed whether the fifth round of talks was the the last of the indirect US-Iran meetings in Geneva.

The US is likely to reach a deal with Iran to revive the 2015 nuclear deal as more progress is shown at the Vienna talks, Washington officials told Axios on Wednesday.

The US official said that while a deal is achievable within months, it will still require more compliance from Iran regarding its nuclear activity.

Diplomats involved in the talks are looking towards reaching a possible break in negotiations ahead of the Iranian presidential elections on June 18th, Axios reported.

The latest positive comments came following the fifth round of Vienna talks on May 25th, initially thought to be the date for the final meetings which kicked off in April with hopes to revive the Joint Comprehensive Plan of Action [JCPOA] following Washington’s 2018 withdrawal.

“The latest round of talks was constructive and saw meaningful progress. But much work still needs to be done,” tweeted Rob Malley, leader of the US delegation at the talks and Special Envoy for Iran, ahead of the fifth round.

Washington officials also told Axios that last week’s round of indirect US-Iran nuclear talks was the first in which progress was made in terms of sanctions relief and nuclear measures.

The US reportedly witnessed more flexibility from Iran’s side in the fourth round of talks, most notably through its decision to extend the nuclear inspections agreement with the UN’s nuclear watchdog, the International Atomic Energy Agency [IAEA], for another month following its expiry.

The three-month monitoring agreement was initially signed in February, when the head of the IAEA, Rafael Grossi, visited Iran to monitor its nuclear activities. The hopes were to lift the sanctions imposed by the US following Donald Trump’s withdrawal from the accord in 2018.

Meanwhile, in a joint press conference with Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu on Tuesday, US Secretary of State Antony Blinken promised to continue “close consultations” with Israel over its potential return to the nuclear accord JCPOA.

Following the meeting, Netanyahu said he hoped the US would not sign the deal again warning that “whatever happens, Israel will always retain the right to defend itself” against any Iranian nuclear threat.

“I hope that the United States will not go back to the old JCPOA, because we believe that deal paves the way for Iran to have an arsenal of nuclear weapons with international legitimacy,” said Netanyahu.

The fate of the restoration of the nuclear deal was put to test following the attack on the Natanz nuclear enrichment facility.

(中略)

Citing its opposition to the return of the deal, Iran blamed Israel for the attack and swiftly retaliated by increasing its nuclear enrichment to 60%.

Since April, representatives from the countries involved in the nuclear deal– China, France, Russia, the UK and Germany—have been holding talks in Vienna in effort to reach a mutual US-Iran agreement.

Apart from the P5+1, Qatar has also offered to mediate between the US and Iran, saying that it will “spare no efforts” to ensure that the JCPOA is restored.

(私の日本語化)
今回の(JCPOAを再生させようという)ジュネーブでの5回会談によって、アメリカとイランの間での間接的会談が終結したのか否かは、まだ未確認である。

このウィーンでの会合でさらに進展が見られれば、アメリカはイランと合意を締結し、2015年の核合意(JCPOA)を再生させる模様だと、ワシントンの高官は水曜日にAxios(という報道機関)に述べた。

その米高官によると、何らかの合意は数か月以内に到達できそうだが、イランがその核関連の活動において合意をさらに順守することが不可欠である。

Axiosの報道によれば、今回の会談に関与している外交官たちは、6月18日のイラン大統領選挙までにこの交渉がまとまることを願っている。

5月25日に行われたウィーンでの会談の第5ラウンドの後には、ポジティブな発言が聞かれたところだ。JCPOAからアメリカは2018年に脱退したのだが、その合意を復活させようという目論見でこの4月に始まったのが今回の会談で、その最後の会合が5月25日にもたれるものと当初は予定されていた。

今回の会談でアメリカ代表団を指揮する同国の対イラン特使Rob Malleyは、第5ラウンドの会談に先立ち、「今までの会談は建設的で有意義な進展を遂げてきた。だが、まだまだやるべきことは多い」と語っていた。

さらにワシントン高官たちがAxiosに語ったところでは、アメリカとイランの間で行われた先週の核問題会談では、制裁解除と核監視に関して初めて進展が見られた。

その第4ラウンドの会合では、イラン側が柔軟な態度を強めていることをアメリカ側は体験したとされている。その最も明確な表れとして、国連の核監視機関であるIAEAによる検査に関する合意の期間がいったん期限切れとなっていたのだが、イランはそれを1か月延長する決定を下している。

この検査に関する合意は本来3か月間のもので、当初はこの2月に締結されたものだ。その際、IAEAのトップRafael Grossiがイランを訪問、同国の核関連活動を監視した。ドナルド トランプのアメリカは2018年にJCPOA合意から脱退、それ以降アメリカはイランに制裁を科していた。その制裁を解除することが、Grossiによる訪問のねらいであった。

他方、アメリカのAntony Blinken 国務長官は火曜日、イスラエルのベンジャミン ネタニヤフ首相との記者会見において、アメリカのJCPOA復帰に関しては、イスラエルとの「緊密な相談」を続けると述べた。

その記者会見の後でネタニヤフは、「どのような事態が起きようと、イスラエルはイランの核という驚異に対抗して、自らを守る権利を絶えず保持する」と警告、アメリカがJCPOAに署名しないことを望むと述べた。

同首相は、「私としては、アメリカにJCPOAに復帰してほしくない。そうした合意が締結されるなら、イランが核兵器を保有することが、国際的に正当なものと認められてしまうからだ」としている。

(イランの)ナタンズにあるウラニウム濃縮施設に対する攻撃が(この4月に)あったが、そのためにこの核合意の再生の先行きが危ぶまれていた。

(中略)

イスラエルがこの核合意の再生に反対していることを根拠として挙げながら、イランはその核施設攻撃に関してイスラエルを非難、報復としてウラニウム濃縮を短期間で60%にまで引き上げた。

その4月以来、この核合意の加盟諸国つまり中国、フランス、ロシア、英国、ドイツの代表団がウィーンで会談を持ち、アメリカとイランの合意形成に努めてきた。

これら(国連安全保障理事会の)5か国+ドイツ(P5+1)以外に、カタールも確実にJCPOAを再生させるために「いかなる労力も惜しまない」と述べ、アメリカとイランの間の仲介を申し出ている。
***************

なお、この記事本文には次の疑問点があります:
・ Genevaとあるのは、Viennaの誤りでは??

元になったAxiosという報道機関自体の関連記事を、次回紹介しますね。

とにかく私としては、アメリカとイランだけでなく、イランとイスラエルの間でもいずれ核廃絶のための交渉が行われることを祈っております。

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JCPOA交渉についての報道、続き — Tasnim News Agencyより

では、ウィーンで行われているJCPOA再建のための交渉第5ラウンドの進展状況について、他の報道も見てみましょう。

5月26日付の、イランの通信社Tasnimによる記事です。
Outstanding Issues Need to Be Finalized in JCPOA Talks: Araqchi – Politics news – Tasnim News Agency
(Tasnim News Agency、政治ニュース ― JCPOA交渉では、未解決の問題を解消する必要、アラグチ氏)

(記事本文)
TEHRAN (Tasnim) – Iran’s top negotiator in the latest round of talks on the revival of the 2015 nuclear deal pointed to the outstanding issues about which the parties should make decisions in order to hammer out a deal.

Speaking to reporters at the conclusion of the fifth round of the JCPOA negotiations in Vienna on Tuesday, Abbas Araqchi said the important subjects include the outstanding issues that must be finalized and the decisions that must be made to reach an agreement.

While many delegations are hopeful that this will be the final round of negotiations and a conclusion can be at hand, it is necessary to be cautious, he added.

“We are looking for an agreement that fulfills our demands,” Araqchi underlined.

In a separate interview with Press TV, the Iranian deputy foreign minister said, “In the last round, we were able to make some meaningful progress in our negotiations but still there are some key issues to be resolved.”

“I cannot say that we are able to conclude our job in this round of negotiations but this is possible; it depends on how much we are able to make progress on key issues and how much the other parties are prepared to make their own difficult decisions,” he said.

The most recent round of JCPOA negotiations that have begun on April 6 examine the potential of revitalization of the nuclear deal and the US’ likely return to it.

The US left the JCPOA in 2018 and restored the economic sanctions that the accord had lifted. Tehran retaliated with remedial nuclear measures that it is entitled to take under the JCPOA’s Paragraph 36.

On Friday, the JCPOA parties agreed to proceed with and speed up the intensive negotiations by holding several meetings at various levels on a daily basis.
(私の日本語化)
火曜日にウィーンでのJCPOA交渉の第5回目が幕を閉じたが、その際Abbas Aragchi氏は記者団に対し、重要な課題として未解決の諸問題の解決と、合意に至るために必要な決定とがあると述べた。

多くの代表者たちは、この5回目の会談が最後のものになると期待しており、成果は手の届くところまで来ているのだが、まだ慎重に進む必要があると、Aragchi氏は付け加えた。

「イランからの要請を満足させるような合意を求めているのだ」と、同氏は強調した。

このイラン外務次官はさらに別途、プレスTV社とのインタビューにも応じ、「今回の会談では交渉を有意義に進めることができたが、まだ解決しないといけない重要な問題は残っている」と述べた。

「今回のラウンドで任務を完了できるとは言わないが、それもあり得ることではある。肝心なのは、重要な問題でどれだけの進展が得られるか、そして他の代表者たちが困難な決定をどこまで下せるか、ということだ」と同氏は語った。

このJCPOA交渉の最新ラウンドが始まったのは4月6日のことで、この核合意を回復できるかどうか、その可能性を探っており、アメリカはJCPOAに復帰するものと見られている。

アメリカは2018年にJCPOAを脱退、そのためJCPOAの下では解除されていたイランへの制裁を再度発令した。これへの対抗としてイラン政府は、JCPOAの第36条で同国に認められている救済的核活動を実施した。

JCPOAの加盟諸国は各種レベルでの会合を毎日、合計で数回開き、集中的な交渉を加速化して進めることで金曜日に合意していた。

*********
次回以降も、しばらくはウィーンでの会談に関する報道を取り上げてまいりますね。
日本語の報道の大半は、今のところCOVID19 にかかりきりなので、JCPOAについては
イランなどの通信社による英語の情報をここで紹介していこうと考えております。
少しでも、皆様のお役に立つなら うれしいです。

 

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