では、Al Jazeera 英語版の5月19日付記事の紹介を続けますね。
EUのコーディネーター、Moraさんの4月20日のTweetからです。
Enrique Moraによる4月20日のTweet
Joint Commission today. Progress made over the last two weeks. But much more hard work needed. Third expert group was created to address sequencing issues. I continue to think that diplomacy is only way forward for the #JCPOA to address ongoing challenges”
(記事本文)
Negotiators will now head back to their countries to discuss progress, and will be back in the Austrian capital early next week to conduct what is hoped to be the final round of negotiations to restore the nuclear deal.
However, not all of the many hurdles on the way of bringing the JCPOA back have been removed.
—– (略)
(私の日本語化)
(MoraさんのTweet)
合同委員会に来ています。この2週間で、進展がありました。でも、まだまだ取り組みが多く残っています。一連の問題に対処するため、3つ目の専門家グループが設けられました。JCPOAがこれからの課題に対処するには、外交交渉だけが道だという私の考えには、変りはありません。
(記事本文)
交渉担当者たちはこれでそれぞれの母国に戻り、今回の会談の進捗を報告するとともに、来週初めにはウィーンに戻り核合意JCPOAのための交渉を続ける。これが最後の交渉となることを、彼らは願っている。
だが、JCPOAを再建するまでには多数のハードルがあり、それらをすべて取り除けたわけではない。
(略)・・・・・
Two upcoming dates have put pressure on the talks: the May 21 deadline of a three-month agreement Iran signed with the global nuclear watchdog in February, and Iran’s presidential elections on June 18.
The agreement was signed by Iran’s moderate government with the International Atomic Energy Agency despite vehement opposition by the hardline parliament. It stated that Iran would keep the camera tapes of its nuclear sites pending the full lifting of US sanctions, or else they will be deleted, leaving a monitoring gap.
Earlier this month, Araghchi suggested Iran is open to renewing the agreement if necessary.
(私の日本語化)
この会談へのプレッシャーとなってきたのは、次の2つの期限だ。1つは、イランが国連の核監視機関であるIAEAとこの2月に締結した3か月間の合意が、5月21日に期限を迎えること。(この合意の期間中には、IAEAがイランの核施設の画像を入手できるのです。詳しくは、
Iran ends access to nuclear images | The Standard | Warrnambool, VIC
をお読みください) もう1つの期限とは、6月18日のイラン大統領選挙だ。
イラン政府は穏健派が多いのだが、IAEAとのこの合意の締結に当たっては、強硬派の多いイラン議会から猛烈な反対があった。同合意の下では、イランの核施設を(ビデオ)カメラで撮影できたのだが、強硬派が支配する議会ではアメリカによる制裁を全面的に解除する交渉の間にはそうしたカメラを引き続き作動させるが、全面解除がなされない場合にはカメラ画像を削除する、としている。そうなると、IAEAによる監視に大きな穴が開いてしまう。
今月これまでにイランの交渉代表者であるAraghchi氏は、必要ならイランは上述の合意を更新するとしていた。
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やはり、国際的な交渉には参加各国の国内事情が絡みますね。
なお、イランの大手通信社であるMehr News Agencyの5月25日付テヘラン発報道によれば、この画像提供の合意は、もう1か月延長された模様です。
Latest round of JCPOA talks ‘constructive, meaningful’: Envoy – Mehr News Agency
その記事の中ほどを抜粋します:
Iran’s ambassador to IAEA, Kazem Gharibabadii confirmed the decision of the Islamic Republic of Iran to extend the agreement between Iran and the International Atomic Energy Agency for one month.
(私の日本語化)
IAEAに対するイランの大使 Kazem Gharibabadii が確認したところでは、イランイスラム共和国はIAEAとの(画像提供の)合意を1か月間延長した。
さらに、Iran Dailyウェブ版の5月25日付記事からも抜粋します:
JCPOA members resume ‘final’ round of Vienna talks (irandaily.ir)
International Desk
Six parties to the 2015 Iran nuclear agreement resumed on Tuesday a fifth and likely “final” round of talks in Vienna to resuscitate the tattered accord.
(私の日本語化)
国際デスク(が執筆した記事)
2015年締結のイランの核合意に加盟している6つの当事者たちは、火曜日、このズタズタにされた合意を復活させるため、第5回の会談をウィーンで再開した。このラウンドが「最後」ともみられている。
とりあえず、ホッとしますね。でも、これからのJCPOA交渉の先行きが問題です。
それと、どこの国にでも強硬派というのはいるものですが、核や生物兵器などについては、冷静な思考を保ってほしいものです!
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ついでながら、この実例が示すように、ウラニウム濃縮には「兵器レベルに近づく “過剰濃縮”」 という危険が伴うわけですね。
「潜在的核抑止」を求めてきた日本も、国内の六ケ所というところにウラニウム濃縮工場を持っています。次の、日本原燃のウェブページをご覧ください。無論、今までのところはあくまで発電用の3-5%までの濃縮ですが。
日本原燃のウェブページ(青森県六ケ所)
[濃縮事業] 遠心分離機・カスケードとは | 事業情報 > 概要 – 日本原燃株式会社 (jnfl.co.jp)
(3-5%)
[濃縮事業] 濃縮事業の概要 | 事業情報 > 概要 – 日本原燃株式会社 (jnfl.co.jp)
私は何も、日本原燃(株)さんにイチャモンをつけたいんじゃ、ありませんよ。
本ウェブサイトのページg-3) と g-4) をご覧になれば明らかなように、私が問題にしたいのは国家政府の方針です。
「潜在的核抑止」のために自国で核兵器を製造できる能力を保持しておきたいのなら、
ヒロシマ型原爆の製造にはウラニウムの濃縮技術は不可欠ですので、国内にウラニウム濃縮工場は不可欠となりますよね。そうした思惑が、六ケ所村の背後にないことを願うのですが ・・・