アメリカのプルトニウム ピット増産

中国のICBM増産もやめて欲しいですが、その一方で、アメリカはプルトニウム(長崎型)原爆の中核装置(「プルトニウム ピット」)を増産しようと ・・・近年、アメリカは「プルトニウム ピット」という長崎型原爆の中核となる装置の増産に努めているそうです。
私としては、どちらもやめて欲しいのですが。

South Carolina Environmental Law Project という、サウス カロライナ州の自然環境やコミュニティを守ろうとする法律関係のグループ(1987年結成)によるリリースを紹介します。
「ピット」の増産をやめさせようと、アメリカ政府を相手取った訴訟が起こされたようです。

Lawsuit Filed Against Biden Administration Over Nuclear Bomb Core Production Plans (scelp.org)

(原爆のコア装置製造計画に関し、バイデン政権を相手取った提訴)

2021年6月29日付の発表です。上のリンクをクリックすれば英語本文をご覧になれます。

この下には、私の日本語翻訳を紹介しますね。長いので、今回は前半を。
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(私による日本語化)
原爆の中核装置の製造計画に関し、バイデン政権を相手取った提訴

国を挙げてのプルトニウム ピットの増産を再検討することを連邦諸機関は拒否したが、これはアメリカの国家環境政策法および行政手続法への違反だと、原告各グループは主張

サウス カロライナ州エイケン発 – 本日、コミュニティ グループや公益グループの連合体が、アメリカ政府のエネルギー省(Department of Energy (DOE))ならびに国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration (NNSA))を相手取り、訴訟を提訴した。(元のウェブページの下の方にあるダウンロードというボタンをクリックすると、訴訟本文をご覧になれます) この訴訟は、両機関が「プルトニウム ピット」の製造を4倍以上に増大するという計画を国家環境政策法に則り「厳しく再検討する」ことを怠り、しかもその製造場所をニューメキシコ州のロス アラモス国立研究所とサウス カロライナ州のサヴァンナ リヴァーとの2か所に分割したことを受けてなされた。

プルトニウム ピットとは、核爆弾の中核部であり、起爆装置である。その製造には、極度に有害な放射性物質を広範に処理し扱う作業を伴う。2018年、アメリカ連邦政府は2030年までに最低でも毎年80個のピットを製造するよう求めた。そのうち30個以上をロス アラモスで、50以上をサヴァンナ リヴァーで製造するというものだ。この新たに製造するプルトニウム ピットはW87-1という核弾頭用のものだ。これはカリフォルニアにあるローレンス リヴァモア 国立研究所で開発中の新型核弾頭で、賛否の議論を呼んでいる。 新型の設計であるため新型のピットが必要で、原爆の中核部分はすべて上述の両施設で2038年あるいはそれ以降までに製造する必要があると、政府の文書には記されている。

本文とは関係ありませんが、私が描いた浅草カトリック教会の、クイックスケッチ。ボールペンで30分。

本文とは関係ありませんが、私が描いた浅草カトリック教会の、クイックスケッチ。ボールペンで30分。

3つの団体すなわちニュークリア ウォッチ ニューメキシコ(Nuclear Watch New Mexico)、サヴァンナ リヴァー サイト ウォッチ(Savannah River Site Watch、環境放射性物質に反対するトライヴァレー コミュニティーズ(Tri-Valley Communities Against a Radioactive Environment はエネルギー省(DOE)ならびに国家核安全保障局(NNSA)に対し2019年から今までに6回働きかけているが、それはロス アラモスとサヴァンナ リヴァー サイトでプルトニウム ピットを増産することにあたっては新規または補充的な全米的で広範に及ぶ「計画的な環境への影響に関する声明」(PEIS)が法的に要求されている、という問題に関するものであった。だがそれら3団体に対する2021年3月22日付の回答(リリース本文中のリンクから、PDFをダウンロードできます)でNNSA は、ピットの製造についてはすでに検討済みでそれを再考する計画はなく、10年以上前に作成した時代遅れのPEISを補完的に分析するとともに、サヴァンナ リヴァー サイトだけを対象にする単独のレビューを別途実施することで良しとする、としていた。ピットの製造を1か所だけで行うのか、それとも2か所で実施するのかには大きな違いがあり、2か所だと廃棄物も増えその2施設から廃棄物を輸送する必要も生じる。

今回のピット製造計画の変更に対応した両政府機関の評価活動は断片的かつ事後対応的なものであり、恣意的しかも気まぐれで、国家環境政策法および行政手続法への違反であると、この火曜日に提出された異議申し立ては主張している。この申し立ては、上述の3団体ならびにグラー・ジーチー海島しょ連合(Gullah/Geechee Sea Island Coalition、グラー・ジーチーは2000年7月にノース カロライナからフロリダの沿岸部で独立を宣言した国家。アフリカ系の方々や先住民の方々が多い)に代わりサウス カロライナ環境法プロジェクト(South Carolina Environmental Law Project)が、サウス カロライナ地裁エイケン分所に提出したものだ。

今回の提訴のねらいは、被告である両政府機関に、レビューや意思決定のプロセスに一般市民を参加させ、この大幅に変更されたピット製造計画が環境に及ぼす影響の評価を行うようにさせることにある。これには、両施設近隣にありながらも充分な注意を向けられていないコミュニティ多数にとっての環境的公正さも含む。NNSA が今までに国家環境政策法(NEPA)に基づくレビューを実施したのは、この2か所を結び付けて拡大したプルトニウム ピット製造計画の一部の特定箇所のみであり、ピット製造に関連するすべてのDOEの施設に対する影響やピット製造プロセスで出来る廃棄物の処理、この計画の実現性に深刻な嫌疑を引き起こす一連の新情報など、プログラム レベルでの重大な問題については評価を行っていない。

サヴァンナ リヴァー サイトでのピット製造には、「MOX燃料製造施設」(Mixed Oxide Fuel Fabrication Facility)として知られる失敗した過去のプロジェクトの施設を完全にオーバーホールする必要がある。この失敗で、70億ドル以上もの経費が無駄になった。2020年2月の 推定では、サヴァンナ リヴァー サイトだけの経費が46億ドルとみられていたのだが、今やそれが111億ドルにまで急増しており、この金額は2021年5月28日付のNNSAの予算要求(リリース本文中のリンクから、ご覧になれます)においても確かめられる。最近の下院での証言でNNSAの指導者たちはすでに、SRS(サヴァンナ リヴァー サイト)で2030年までに毎年50個のピットを製造するとの目標であるが、これは2035年にまで先送りする必要が生じるかもしれないと述べている。

(長いので、今回はここまで。後半は、次回に)
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「プルトニウム ピット」ですが、プルトニウム型原爆は起爆するのに implosion という特殊な起爆方法が必要で、それには技術が必要です。そのため、「プルトニウム ピット」という特殊な起爆装置が開発されたのですね。長崎での「実際の使用」から76年、いくつかのタイプのピットが開発されていますが、さらに新型のものをアメリカは作ろうというわけです。
核武装拡大に取り組んでいるのは中国だけではなく、アメリカも新型プルトニウム核弾頭の開発・製造に躍起のようですね。世界はまた、核軍拡競争の時代に入ってしまったのか・・・
「核発電」反対陣営と、「核兵器」反対陣営とに分かれている余裕は、ありませんね。両者の不可分性を認識・情報発信して、力を合わせて「核」廃絶に世界を向かわせないと。

では、このリリース後半の日本語訳は、次回!

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中国北西部にICBM用サイロ新設? 続き

中国北西部ユーメン近郊の砂漠地帯に新たなICBM用サイロが大量建設中のようだ、という専門家の画像分析結果を取り上げたThe Washington Post の記事の前半をすでに紹介しました。長い記事なので、途中まで前回紹介しましたが、今回は後半を。

記事本文は、下の7月2日の投稿にあるリンクをクリックすれば、ご覧いただけます。
ここでは、私の日本語訳の後半を。

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アメリカ防衛省のスポークスマンは、この衛星画像に対しても、アメリカの諜報機関による中国の各プログラムに対する評価についても、コメントを拒否している。だがそのJohn Suppleスポークスマンは、ペンタゴンによる報告や分析によって以前にも、中国のミサイル用サイロに伴う核兵器拡散に関する憂慮が高まったことを指摘した。Suppleによれば、「防衛省の指導道は中国の核武装の増大について以前から証言し、公に発言してきた。今後の10年で、それは倍増あるいはそれ以上に強化されるものと見られる」

ミサイル用サイロを発見するのは、訓練を積んだ画像アナリストであれば容易なことで、核戦争勃発の場合には早い段階で精密誘導ミサイルにより破壊されやすい。そうした理由から、今回のサイロ建設プロジェクトはアメリカとロシアと比較すると核武装がわずかなものに過ぎない中国が、核抑止能力を増強しようとしている戦略の一環であろうとLewis は見ている。米ロ両国の保有核弾頭数は、合計で11,000に達する。

ワシントンならびにモスクワを相手に核軍拡競争を展開すると大変な経費が掛かるので、中国は以前から「限定的抑止」という方針を採用してきた。つまり、規模は小さくても堅固な核武装を構築、攻撃を受けた場合には中国が確実に敵に報復攻撃ができるようにする、というものだ。

U.S.-China space race is heating up

(アメリカと中国の宇宙開発レースが過熱、記事本文のリンクをクリックすればお読みになれます。日本語翻訳は、省略)

だが近年、ロシアとアメリカが核兵器の近代化プログラムを提唱しており、そのため中国の核抑止力が信頼性を失っていると、中国の高官たちは不満を口にしている。新たに核武装の制限を設けられると、中国は米ロに比べ二流の核武装国という立場に恒久的に抑え込まれてしまいかねないとの懸念から、中国は新たな軍縮交渉への参加呼びかけにも難色を示してきている。

カンスー省での今回の建設プロジェクトの画像をLewisおよびEleventhという研究チームに供給したのは商用衛星企業のPlanet社で、核建設現場の更新されていく画像を連続して時系列で供給した。Lewisは自らの分析をもとに、「中国がだまし合いを演じている可能性が高い」と述べた。つまり、サイロのネットワークの中に、少数の核弾頭を隠ぺいしているというのだ。だがLewisによれば、新たな発射用サイロがこれほど多数登場すれば、アメリカの高官たちもアメリカの核武装を近代化する取り組みを加速させよというプレッシャーを受けることになろう。

「我々は新たな軍拡競争に陥ろうとしているが、その大きな原因はアメリカ自身の投資とミサイル防衛だ」とLewisは述べている。ペンタゴンはアメリカの核兵器と配送システムとを今後の20年間で公判にアップグレードすると発表している。その一環として、新型の空中発射クルーズ ミサイル、また少なくても2種類の新型核弾頭も含まれる。

この2月にAntony Blinken国務長官はある声明で、バイデン政権は「中国が核武装の増強と近代化に努めており、その危険を軽減するために軍縮に努める」と宣誓している。 それをどのように実現するのかという方法は述べていないが、バイデン政権は「効果的な軍縮を追求し、安定と透明性、予測可能性を増大させつつ、軍拡競争という経費も膨大で危険なリスクを軽減する」としている。

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なお、本件に限らず、今後報道記事を紹介する場合には、
その記事そのものの本文はイチイチ掲載せず、リンクだけ紹介して、
その記事本文を私が日本語化したテキストだけを本ウェブサイトに
掲載することにしますね。
本文の後に日本語訳という掲載方法だと、大変長くなってしまうので。

ご了承願いますね。

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元のThe Washington Postの記事より

本日は中国のICBM増設に関するThe Washington Postの記事です。これ、日本語メディアでも取り上げられていましたが、短い記事だったのですね。もっと詳しく、The Washington Postの記事全体を、ぜひお読みくださいませ。
私の日本語翻訳の方は、この記事が長いので、今回と自戒の2回に分けて紹介してまいります。

The Washington Post、2021年7月1日付記事
China building more than 100 missile silos, expanding nuclear capabilities – The Washington Post
(中国、ミサイル用サイロを100以上増設、核兵力を増大)

(記事本文)
Exclusive
China is building more than 100 new missile silos in its western desert, analysts say

By Joby Warrick
July 1, 2021 at 4:25 a.m. GMT+9

China has begun construction of what independent experts say are more than 100 new silos for intercontinental ballistic missiles in a desert near the northwestern city of Yumen, a building spree that could signal a major expansion of Beijing’s nuclear capabilities.

Commercial satellite images obtained by researchers at the James Martin Center for Nonproliferation Studies in Monterey, Calif., show work underway at scores of sites across a grid covering hundreds of square miles of arid terrain in China’s Gansu province. The 119 nearly identical construction sites contain features that mirror those seen at existing launch facilities for China’s arsenal of nuclear-tipped ballistic missiles.

The acquisition of more than 100 new missile silos, if completed, would represent a historic shift for China, a country that is believed to possess a relatively modest stockpile of 250 to 350 nuclear weapons. The actual number of new missiles intended for those silos is unknown but could be much smaller. China has deployed decoy silos in the past.

During the Cold War, the United States developed a plan to move its ICBMs across a matrix of silos in a kind of nuclear shell game, to ensure that Soviet war planners could never know exactly where the missiles were at any given time.

The construction boom suggests a major effort to bolster the credibility of China’s nuclear deterrent, said researcher Jeffrey Lewis, an expert on China’s nuclear arsenal and part of a team that analyzed the suspicious sites, first spotted by colleague Decker Eveleth as he scoured photos taken by commercial satellites over northwestern China. Lewis described the scale of the building spree as “incredible.”

“If the silos under construction at other sites across China are added to the count, the total comes to about 145 silos under construction,” Lewis, director of the East Asia Nonproliferation Program at the Center for Nonproliferation Studies, part of the Middlebury Institute of International Studies, said in a summary of his findings provided to The Washington Post. “We believe China is expanding its nuclear forces in part to maintain a deterrent that can survive a U.S. first strike in sufficient numbers to defeat U.S. missile defenses.”

Analysis: China contributing to ‘Cold War mentality’

 The discovery follows recent warnings by Pentagon officials about rapid advances in China’s nuclear capability. Adm. Charles Richard, who commands U.S. nuclear forces, said at a congressional hearing in April that a “breathtaking expansion” was underway in China, including an expanding arsenal of ICBMs and new mobile missile launchers that can be easily hidden from satellites. In addition, the Chinese navy has introduced new nuclear-weapons-capable submarines to its growing fleet.

The reported silo construction project could provide China with yet another means of concealing its most powerful weapons. The construction sites spotted on satellite photos are arrayed in two huge swaths, covering parts of a desert basin stretching to the west and southwest of Yumen, a city of 170,000 people along China’s ancient Silk Road.

Each site is separated from its neighbors by about two miles, and many of the sites are concealed by a large, dome-like covering, following a practice observed at known construction sites for missile silos in other parts of China. At sites where the dome is not in place, construction crews can be seen excavating a characteristic circular-shaped pit in the desert floor. Another construction site appears to be a partially built control center.

Lewis said the silos are probably intended for a Chinese ICBM known as the DF-41, which can carry multiple warheads and reach targets as far away as 9,300 miles, potentially putting the U.S. mainland within its reach. Major excavation work on the sites began early this year, although preparations were probably underway for months, Lewis said.

Emails and faxes seeking comment from China’s Foreign Ministry in Beijing and the Chinese Embassy in Washington did not receive a response.

A Defense Department spokesman declined to comment on the satellite images or to discuss U.S. intelligence assessments of China’s nuclear program. But the spokesman, John Supple, noted that Pentagon reports and analysts have previously raised concerns about the proliferation of China’s missile silos. “Defense Department leaders have testified and publicly spoken about China’s growing nuclear capabilities, which we expect to double or more over the next decade,” Supple said.

Missile silos are easily spotted by trained imagery analysts, and they are vulnerable to destruction by precision-guided missiles in the early hours of a nuclear war. For those reasons, Lewis sees the silo construction project as part of an expanded deterrent strategy by a country whose nuclear arsenal is dwarfed by those of the United States and Russia, which collectively possess more than 11,000 nuclear warheads.

Rather than engaging in an expensive arms race with Washington and Moscow, China has traditionally embraced a “limited deterrence” doctrine that prioritizes a lean but robust nuclear arsenal that ensures Beijing’s ability to retaliate against any adversary if attacked.

U.S.-China space race is heating up

 In recent years, however, Chinese officials have complained that their country’s nuclear deterrent is losing credibility because of nuclear modernization programs proposed or already underway in Russia and the United States. Beijing has resisted calls to join new arms-control talks because of fears that new limits would forever enshrine its status as a second-rate nuclear power compared with Washington and Moscow.

Photos of the Gansu construction project were supplied to Lewis and Eveleth by the commercial satellite company Planet, which provided a continuous stream of updated images showing progress at each of the construction sites over time. Based on his analysis, Lewis said, there was “a very good chance that China is planning a shell game” in which it hides a relatively small number of warheads across a network of silos. Still, he said, the sudden appearance of so many new launch sites could increase pressure on U.S. officials to speed up efforts to modernize the U.S. arsenal.

“We’re stumbling into an arms race that is largely driven by U.S. investments and missile defense,” Lewis said. The Pentagon has announced plans for an extensive upgrade of U.S. nuclear weapons and delivery systems over the next two decades, including a new air-launched cruise missile and at least two new types of warheads.

In February, Secretary of State Antony Blinken vowed in a statement that the Biden administration would “pursue arms control to reduce the dangers from China’s modern and growing nuclear arsenal.” He did not explain how that goal would be accomplished but said the administration would seek “effective arms control that enhances stability, transparency and predictability while reducing the risks of costly, dangerous arms races.”

本文とは関係ありませんが、近所のメソディスト教会のサンクチュアリー、ボールペンでの40分スケッチ

本文とは関係ありませんが、近所のメソディスト教会のサンクチュアリー、ボールペンでの40分スケッチ

(私による日本語化)
スクープ記事
中国が西部砂漠地帯に新たなミサイル用サイロを100以上建設中と、アナリストたち

Joby Warrick
2021年7月1日4:25 a.m. GMT+9

中国はその北西部にあるユーメン(玉門)近郊の砂漠地帯に、100以上もの大陸間弾道ミサイル発射用サイロを新設中であると、独立系の専門家たちが主張している。この建設ラッシュは、中国政府が核武装を大幅に増強しようとしていることを示すものかもしれない。

カリフォルニア州モントレーにあるジェームズ マーティン核不拡散研究センター(James Martin Center for Nonproliferation Studies)の研究者たちが入手した商用衛星による画像を見ると、ユーメンのある中国・カンスー省(甘粛省)の砂漠地帯の中で、数百平方キロに及ぶ1つのグリッドの中に、進行中の建設工事を示す地点が何十も見られる。119か所ある各建設現場はいずれも同一の施設のようで、現存する中国の核弾頭搭載弾道ミサイルの格納庫に生き写しだ。

これら100以上の新設ミサイル用サイロが完成すれば、中国政府の大きな方向転換を示すことになる。今まで同国の保有する核兵器は250から350基と、比較的少数とみられている。新設中のサイロに実際に何基のミサイルが新たに配備されるのかは不明だが、ミサイルの数はサイロよりもずっと少なくなる可能性もある。過去に中国は、ミサイルのないデコイ(おとり)のサイロを配備していたことがあるからだ。

(1940年代後半から1991年まで続いた旧ソビエト連邦とアメリカの間での)冷戦時代には対立諸国の間で核の「だまし合い」が流行り、アメリカもICBM 用サイロを行列に従って移動させる計画を策定していた。ある時点でアメリカのミサイル用サイロが実際にどこにあるのかを、対立していた旧ソビエトの戦略形に発見されないようにするためだ。

ユーメン近郊での建設ラッシュからは、中国が核抑止の信頼性を高めようとする大きな労力が窺えると、研究者のJeffrey Lewisは述べている。Lewisは中国の核武装の専門家で、嫌疑がもたれる今回発見された地点の分析を行ったチームの一員でもある。今回の地点を最初に発見したのは彼の同僚のDecker Eveleth で、中国北西部を撮影した商用衛星画像を調べている際に発見した。Lewisによれば、今回発見された建設ラッシュの規模は、「信じられない」ほどのものだ。

The Washington Postに今回の発見の用紙を説明する際、Lewisは「中国では他の箇所でもサイロを建設しており、それらも含めるなら、合計で145か所ほどにサイロを建設していることになる」と述べている。Lewisは核不拡散研究センターで東アジア不拡散プログラムのディレクターを務めている。このセンターは、ミドルベリー国際関係研究所(Middlebury Institute of International Studies)に所属している。さらにLewisによれば、「中国が核武装を増強しているのは、アメリカから(核による)先制攻撃があった場合に、アメリカのミサイル防衛に勝るだけの充分なミサイルを保有することで、核抑止を維持しようという意図によるだと、我々は考えている」

Analysis: China contributing to ‘Cold War mentality’

(分析: 「冷戦メンタリティ」を増幅する中国 ~~ お読みになりたい方は、記事本文にあるリンクから、ご覧ください。ここでは、翻訳しません)

今回の発見は、中国の核武装能力の急速な発展についてペンタゴンの高官たちがこのところ発していた警告を裏打ちするものだ。アメリカの核兵器軍を率いるCharles Richard司令長官がこの4月の連邦下院公聴会で述べたところでは、「息を吞むほどの増強」が中国で進行中(a “breathtaking expansion” was underway in China)で、その一環としてICBMの備蓄や移動式の新型ミサイル発射装置の配備が拡大している。この移動式発射装置は、衛星画像から容易に身を隠すことができる。さらに中国海軍は新たに、核兵器装備可能な潜水艦を増強中の艦隊に導入している。

今回報じられているサイロ建設プロジェクトによって中国は、ICBMという最強兵器を隠ぺいする手段を、さらに1つ手に入れる可能性がある。今回の衛星画像に発見された建設現場は2つの巨大な帯状の地帯に配置されており、ユーメンの西と南西に広がる砂漠盆地の一部をカバーしている。ユーメンは古代中国のシルクロードにある都市で、17万の人口を擁する。

個々の建設現場と建設現場とは約3.2㎞の間隔があり、多くの現場は巨大なドーム型の覆いで隠蔽されている。これは、中国の他の地域でのミサイル用サイロ建設現場として判明している各地点でも、採用されている覆いだ。そのドームが設けられていない現場では、建設作業員たちが円形の穴を砂漠の大地に掘っている様子が窺える。これは、サイロに固有のものだ。さらにもう1つの建設現場では、コントロール センターの建設が途中まで進んでいる模様だ。

Lewisによれば、こうしたサイロに入るのはおそらく、DF-41と呼ばれる中国のICBMであろう。これは複数の核弾頭を搭載でき、最長で14,880㎞離れた標的に到達できる。つまり、アメリカ本土も射程に入る。掘削工事が始まったのは今年初めで、そのための準備作業はそれ以前に何か月も行われていたのだろうと、Lewisは語っている。

北京にある中国外務省とワシントンにある中国大使館には、コメントを求めるEメールやファックスが送付されたが、まったく回答はない。

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この記事はまだ続きますが、長いので日本語化は今回はここまでにしておきますね。
次回の投稿で、後半の日本語を紹介します。

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政権が移行するけど~~

ご存じのように、イランではこの8月に次期大統領Raisi氏が就任の予定ですが、
それがJCPOA再建交渉にどう影響するのか?
それが懸念を招いてきたのですが、現時点(6月30日)ではまだ、
当のRaisi氏からJCPOAに関する発言が聞こえてきません。

今のところは、Tehran Timesに次の記事がありますので、それを紹介しておきますね。

Tehran Times   June 26, 2021

Araqchi briefs President-elect Raisi on JCPOA talks – Tehran Times
(Araqchi氏、次期大統領Raisi氏にJCPOA交渉に関するブリーフィング)

(記事本文)
Deputy Foreign Minister Seyed Abbas Araqchi, who is leading the Iranian negotiating team in the Vienna talks, were instructed by outgoing President Hassan Rouhani to brief President-elect Ebrahim Raisi on the latest developments of the Vienna talks aimed at reviving the 2015 Iran nuclear deal, officially known as the Joint Comprehensive Plan of Action (JCPOA).

Mahmoud Vaezi, the Iranian president’s chief of staff, said the JCPOA is an important issue and that’s why Rouhani instructed his diplomats to brief the incoming government.

Speaking to reporters on the sidelines of a cabinet session on Wednesday, Vaezi said, “As regards the JCPOA, which is an important issue, the president ordered Araqchi, along with the foreign minister, to meet with Mr. Raisi as soon as he arrives in Tehran, and to announce the progress and restrictions. The meeting lasted an hour and a half and everything was announced.”

Vaezi also said that the Iranian president has instructed all cabinet members to consult with Raisi’s transition team if they are making decisions that affect the next government.

Araqchi has recently returned to Iran from Vienna after concluding the sixth round of the JCPOA talks. Diplomats from Iran and other parties to the Iran nuclear pact held a meeting on Sunday noon to conclude the sixth round of talks that have been underway since April to revive the nuclear deal. Araqchi issued a statement about the holding of the meeting of the JCPOA Joint Commission. He said at the end of the sixth round of the Vienna talks, a meeting of the JCPOA Joint Commission chaired by Enrique Mora, the EU Deputy High Representative for Foreign Affairs and Security Policy, was held.

The top Iranian nuclear negotiator also hailed the progress made during the last round of talks in remarks to Iranian state TV.

“Our progress in this round has been relatively good, because a large number of texts are ready now, and the amount that is not ready has at least one very clear situation, and it shows a picture of the differences and what stage (the differences) are in, and this helps decision makers make the right decision. We have come a long way so far and we are nearing the end, but the rest of the way, as I said before, will not be an easy one,” he said, adding, “I hope and I think that if the other parties can make their own decisions, God willing, we will be able to reach an agreement that we want. Our positions have not changed since the beginning of the talks, and we want all U.S. sanctions to be lifted, as well as their verification and then Iran will return to its commitments under the JCPOA.”

Vaezi also confirmed that significant progress was made during the talks. He said the negotiating parties agreed to lift all insurance, oil, and shipping sanctions. According to Vaezi, about 1,040 Trump-era sanctions will be lifted under the agreement. He also said that the parties agreed to lift some sanctions on individuals and the Leader’s Office.

Vaezi underlined the need to brief Raisi on these developments. To that end, Rouhani has held a meeting with Raisi.

“Today, the president-elect came to visit Hojatoleslam President Hassan Rouhani by attending the Pasture,” the presidential communications office said in a tweet on Wednesday.

Alireza Mo’azi, director of the communications office, said the transition period is being done in a “professional, civil and ethical” manner.

本文とは全く関係ありませんが、近所にあるアブラハムの銅像とガンディーさんの銅像を、私がクロッキーしたもの。いずれも、20分クロッキー。

本文とは全く関係ありませんが、近所にあるアブラハムの銅像とガンディーさんの銅像を、私がクロッキーしたもの。いずれも、20分クロッキー。

(私による日本語化)
イランの外務次官Seyed Abbas Araqchi はウィーン会談で同国の交渉チームを指揮しているが、近く任期切れとなるHassan Rouhani大統領がそのAraqchiに、新たな大統領として選出されたEbrahim Raisiにウィーン会談の最新の展開に関しブリーフィングをするよう指示した。この会談は、2015年締結のイラン核合意を再建しようというものであり、同合意は正式には「包括的共同行動計画」(Joint Comprehensive Plan of Action (JCPOA)) と呼ばれている。

イランの首席大統領補佐官Mahmoud Vaeziによれば、JCPOAは重大な問題であり、だからこそRouhaniが外交官たちに対して次期政権に対しブリーフィングを行うよう命じたのだ。

この水曜日の閣議に合わせ集まった記者団に対しVaezi は、「JCPOAに関しては、これは重大な問題なので、現大統領がAraqchiならびに外務大臣に対してRaisiがテヘランに到着し次第彼と会い同会談の進展状況や制約について報告するよう命じた。そのブリーフィングは1時間半続き、すべての内容を報告した」と語った。

さらにVaeziによれば、Rouhani現大統領は閣僚全員に対し、次期政権に影響を及ぼすような決定があれば、すべてRaisiの政権移行チームと相談するよう命じた。

Araqchiは先日、ウィーン会談の第6ラウンドの終了後にイランに帰国した。この核合意の再建に向けた交渉の第6ラウンドはこの4月から現在まで継続されており、その第6ラウンドの終了としてイランならびにその他の同合意加盟諸国の外交官たちはこの日曜日の正午に会合を開いている。Araqchi は、JCPOA合同委員会の会合開催に関する声明を発表している。彼によればウィーン会談の第6ラウンドの終わりに。JCPOA合同委員会の会合が持たれた。その議長を務めたのは、EUの外交および安全保障政策担当の副上席代表者Enrique Mora だった。

イランの核問題交渉を指揮するAraqchiはさらに、イランの国営TVへ4の発言の中で、会談の第6ラウンドで達成できた進展は大きなものだったと称賛した。

「今回のラウンドで達成した進展は比較的良好なものだった。今ではかなりの文書が出来上がっており、まだできていない文書についても、少なくてもどういう段階にあるのかは明らかで、参加諸国間の食い違いとその程度が明記されている。そのおかげで意思決定の担当者たちは正しい決定を下せる。今までの道のりは長かったが、終点に近づきつつある打が残る道のりも、以前に申し上げたように、易しいものではない」とAraqchiは述べ、さらに「他の参加諸国がそれぞれの決定を下せば、神の御意志であれば、イランが望んだ合意を締結できるだろう。イランの立ち位置は会談の開始当初から変わっておらず、アメリカによる制裁すべての解除を望んでおり、しかもその検証を望んでいる。その場合、イランはJCPOAの規定順守を再開する」

Vaeziも、会談ではかなりの進展が見られたことを確認している。彼によれば、参加諸国は保険、石油、輸送に関する制裁をすべて解除することに合意している。Vaeziによると、今回の合意が締結されれば、トランプ政権下でアメリカが課した約1,040件の制裁が解除となる。さらにVaeziによれば、イランのある種の個人や最高指導者オフィスも現在制裁の対象となっているが、そうした制裁の一部も解除することに交渉参加諸国は同意した。

Vaeziは、そうした展開に関してRaisiにブリーフィングをすることの必要性を強調していた。そのために、RouhaniはRaisiとの会合を持ったのである。

「本日、次期大統領Raisiが, イスラム教シーア派指導者の一人であるHassan Rouhani 大統領と会見、Pastureという会合に参加した」と、大統領府の広報担当者が水曜日にTwitterで発表している。

Alireza Mo’azi広報担当オフィス ディレクターによれば、政権移行は「高度で文明的、倫理的に」行われている。

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イラン新政権のJCPOAに対する態度に関する報道を見つけたら、また紹介しますね。

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IAEAによる査察は??

イランの核施設に対するIAEAの査察がどうなっているのか?これから、どうなるのか?
それがどうも、よく分かりません ・・・

まず、時事通信社による日本語の報道をご覧ください。

時事通信社  2021年6月26日

査察延長の可否、返答なし=イランとの暫定合意期限切れ―IAEA (msn.com)

ずっと下の5月30日の投稿「JCPOAの進展状況、DOHA Newsより」で紹介したように、
その第4ラウンドの会合では、イラン側が柔軟な態度を強めていることをアメリカ側は体験したとされている。その最も明確な表れとして、国連の核監視機関であるIAEAによる検査に関する合意の期間がいったん期限切れとなっていたのだが、イランはそれを1か月延長する決定を下している。(私の日本語訳)
というわけで、IAEAがイランの核施設を査察できるというイランの合意は、この5月にいったん期限切れとなっており、それを1か月延長したものでした。それからさらに1か月が経過したので、再度延長するのか否か、気になるところだったのです。

上のリンク先でご覧になれる時事通信社の報道によれば、イランからそれに関する返答がまだない、とのことです。

他の報道も見てみましょう。(イラストの下へ。)

近所にある、アシジの聖フランシスの像。私の20分クロッキー。「主よ、私をあなたの平和の器となし ・・・」

近所にある、アシジの聖フランシスの像。私の20分クロッキー。「主よ、私をあなたの平和の器となし ・・・」

The Times of Israel, 23 June, 2021

Iran to rule on extending IAEA nuclear site inspections only after deal expires | The Times of Israel
(イランがIAEAによる核施設査察を許可するかどうかの決定は、暫定延長合意の期限が切れてから)

(記事本文)
UN atomic watchdog hasn’t been able to access surveillance cameras at Iranian nuclear sites since late February

Iran will decide whether to extend a monitoring deal with the International Atomic Energy Agency after its expiry on Thursday, presidential chief of staff Mahmoud Vaezi said Wednesday.

“It has been decided that after the expiration of the agreement’s deadline, Iran’s Supreme National Security Council [will] decide about the agreement’s extension at its first meeting,” Vaezi said, according to Iran’s state TV.

The IAEA hasn’t been able to access its surveillance cameras at Iranian nuclear sites since late February, along with data from its online enrichment monitors and electronic seals, hobbling the UN nuclear watchdog’s monitoring abilities.

A temporary agreement was reached whereby Iran committed to preserving the surveillance footage until June 24.

If Iran’s nuclear program remains unchecked, US Secretary of State Antony Blinken has warned, it could shrink Tehran’s “breakout” time down to “a matter of weeks.” That has worried nonproliferation experts.
(まだ続きますが、ここまでにしましょう)

(私による日本語化)
この2月終わり以降、国連の核開発監視機関(IAEA)はイランの核施設の監視カメラにアクセスできず

イランとIAEAは(イランの核施設に対する)監視の合意を締結してきたが、その合意はこの木曜日で期限切れとなる。その後でイランは同合意を延長するか否かを決定すると、イランの首席大統領補佐官Mahmoud Vaeziはこの水曜日に述べた。

「この合意の期限がきた後の最初の会合で、イランの国家安全保障会議がこの合意を延長するか否かを決定するはずだ」とVaeziは述べたと、イランの国営TVは報じている。

IAEA は今年2月下旬以降、イランの核施設に設置した監視カメラや、オンライン式の補強モニター、電子署名システムを利用することができていない。そのため、国連の核監視機関であるIAEAによる監視活動は難航している。

イランが引き続き監視記録を6月24日まで保管するという一時的な合意が締結されている。

イランの核開発プログラムに対する監視がなされないままだと、イラン政府が「核兵器を手にするまでの期間」は「わずか数週間」に短縮されてしまう恐れがあると、アメリカのAntony Blinken国務長官は警告している。そのため、核不拡散の専門家たちは憂慮している。
(まだ続きますが、ここまでにしましょう)

***********
こういう期限の問題も絡んでおり、このJCPOA再建交渉からは目を離せないのですね。
「原発 → 事故、放射能、廃棄物」という問題だけに近視眼的な目を向けていると、「イランのことなんて、日本の我々に関係ない」という反応に陥りやすいのですが、「発電と兵器の不可分性」を理解するなら、注視するべき問題は世界中に散らばっています。「核」は1940年代以降の世界を形成してきた、大きな要因の1つですからね。そして、今までのところ日本政府が、「大事故があろうが、その被害者がどれだけ苦しもうが、血税を何兆円無駄にしようが」核発電を手放そうとしないのも、実は「潜在的核武装」という理由があることを、本「やかんをのせたら…」のページ g-3)、g-4) で説明いたしました。
そうなると、事故、労働者被ばく、放射線医学、核廃棄物、兵器との不可分性、原発ビジネスの不可能性 ・・・ あまりにも広く複雑な問題系ですから、言うまでもなく誰も一人ですべてをカバーすることはできません。組織的・継続的な「脱原発運動」が必要ですよね。

もう1つ、これでもしイランが核武装する日が近づくと、イスラエルが黙ってはいないでしょう。
すでに過去の事実として、イスラエル軍はイラク(本サイトのページ c-1))、シリア(c-2))、そしてStuxnet(d-4))といった、核施設への攻撃がありました。
ここで注意しておきたい軍事面での現実として、
「核兵器を持った国は、その核兵器や核施設を防衛するために、通常兵力も増強する必要に迫られる」
という現実があります。上述の3つの実例からも、明らかですよね。
ページg-3) とg-4) で説明したように、「日本は潜在的核抑止力を持っておくべきだ」→「だから、原発や再処理施設を廃止してはいけない」という主張がいまだにこの国にありますが、
・ まず、「潜在」が「顕在化」するような事態になった場合、つまり日本が実際に核兵器を保有することになった場合、それを守るための通常兵力を急に増強できるのでしょうか??大変な資金も人材育成も必要になりますが。
・ 次に、「潜在」のままであっても、原発や再処理施設などを確実にテロリストなどから守れるのでしょうか??本サイトのページ g-6) をご覧ください。

原発も段階的に廃止していき、「核のない世界」を求める運動の世界的リーダー国に、日本にはなってほしいのですが。それが、私自身の祈りです。そして、そうした方が、「潜在的核抑止」なんかにこだわっているより、よほど「現実主義的」だと私は考えます。

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第6ラウンドの終了 ・・ Tehran Timesより

Tehran Times, June 20, 2021

JCPOA parties conclude sixth round of Vienna talks – Tehran Times
(JCPOA諸国、ウィーン会談の第6ラウンドを終了)

(記事本文)
Iran’s Deputy Foreign Minister Seyed Abbas Araqchi, who leads the Iranian negotiating team in Vienna, issued a statement about the holding of the meeting of the JCPOA Joint Commission. He said at the end of the sixth round of Vienna talks, a meeting of the JCPOA Joint Commission chaired by Enrique Mora, EU Deputy High Representative for Foreign Affairs and Security Policy, was held.

During the meeting, the heads of delegations, while expressing satisfaction with the continuous and intensive efforts of the expert teams, jointly evaluated the results of the current round of talks.

Araqchi, while referring to the progress made in this round of negotiations, especially regarding the draft of negotiation texts, said that the remaining important issues require serious decisions in the capitals, especially in the negotiating countries. He called on the negotiating parties to make the necessary decisions with realism, seriousness and strong will to maintain and revive the JCPOA.

While stating that we are closer to an agreement than ever before, the deputy foreign minister expressed hope that an agreement could be reached in the next round of talks, although it could not be guaranteed.

The heads of the other delegations, while confirming the progress made, stressed the need for the participation of all parties with a constructive approach in creating the ground for reaching an agreement.

In remarks to Iran’s state TV ahead of the JCPOA Joint Commission, Araqchi said all texts of the agreement are almost ready and that all parties involved in the talks need to make decisions.

He said, “Today is the last day of the sixth round of talks, and we have gone through very difficult days. We are now in a situation where we think almost all the agreement documents are ready. The main issues of contention that remain, some issues have been resolved and some issues still remain, but it has taken a very precise form and it is quite clear what the dimensions of these disputes are.”

“I think the time has come for our negotiating parties to decide, because the scene of negotiations and a possible agreement is quite clear. They have to make their own decisions. It is now clear what areas [are solvable], what is possible and what is not possible. So, it’s time for all parties, especially those facing us, to make their final decision.

So, for a few days, which I cannot say exactly how many days it is, we will stop the talks and return to the capitals. Not just for further consultation, but for decision making,” he continued.

The top Iranian nuclear negotiator added, “My colleagues had very difficult days and worked on the documents until late at night. Last night, they worked until 2 in the morning on the last sheet of documents and the last answers that had to be given. Anyway, you know that indirect negotiation is not an easy task and to avoid misunderstandings, it is necessary to work much more carefully and with more details and prepare the material.”

Araqchi noted, “Every round we negotiated, we made progress, some rounds of less progress and some rounds of more. I think we have made good progress this round and, as I said before, we are now closer to an agreement than ever before, but the gap between us and the agreement now is not easy to fill and requires decisions that need to be made by the other side. I hope that in the next round, we will go through this short distance, although it is hard work and we will be able to reach a final conclusion.”

He concluded, “This is my hope for the next round, but it is certainly not possible to predict whether we will be able to do it in the next round or not, but I am very hopeful.”

本文とは全く関係ありませんが、東京は上野にある教会の内部、10分スケッチ

本文とは全く関係ありませんが、東京は上野にある教会の内部、10分スケッチ

(私による日本語化)
イランのSeyed Abbas Araqchi外務次官はウィーン会談でイランの交渉チームを指揮しているが、JCPOA合同委員会の会合開催に関する声明を発表した。同氏はウィーン会談の第6ラウンドの終わりに、JCPOAの合同委員会の会合が開かれたと述べた。この委員会会合の議長を務めたのは、EUの外務ならびに安全保障政策担当の上級副代表Enrique Moraだった。

同会合で各国の代表団のリーダーたちは、専門家チームの集中的な努力が続けられていることに満足していることを述べ、共同で現在のラウンドの会談成果を評価した。

Araqchiは今回のラウンドでの交渉で見られた進展について言及、特に交渉用テキストの草稿について述べた。彼によれば未解決の重要な問題には、関係諸国、特に交渉参加諸国の政府による真剣な決定が求められる。Araqchi氏は、交渉参加諸国が現実主義と真剣な態度と強固な意志をもって必要な決定を下し、JCPOAを維持し再建するよう求めた。

今まで以上に合意締結に近づいたと述べ、同外務次官は会談の次回ラウンドで合意に到達できることを願っているが、その保証はないとした。

イラン以外の参加諸国代表団のヘッドは、今までの進展を確認しながらも、合意を形成するための基盤を作り上げるためには、関係しているすべての当事者による参加が必要だと強調した。

今回のJCPOA合同委員会に先立ちイラン国営TVにAraqchi氏は、合意のための文書はすべてほぼ完成に近い状態にあり、交渉にかかわるすべての渡欧自社が決定を下す必要があると述べていた。

同氏によれば、「今日は会談第6ラウンドの最終日であり、ここまで大変困難な日々を重ねてきた。今日までに、合意のための文書はほぼすべて整ったようだ。問題の一部は解決を見たが、残っている問題もある。だがそうした未解決の問題も明確な形態をしており、どの程度のものかが極めてはっきりしている」

さらにAraqchiが述べたところでは、「イランの交渉団も決定を下す時が来たようだ。交渉の現状は明確で、合意締結の可能性もはっきりと見えている。参加諸国もそれぞれ、決定を下さねばならない。今では、どういった分野で(問題が解決できそうか)、実現可能なのは何か、不可能なのは何かが明確になった。したがって、今や関係諸国、特にこの会談に参加している諸国が、最終的な決定を下す時だ。

そこであと数日、何日なのかは分からないが、会談を中止して各国の首都に帰国する。そこで単に相談を重ねるだけではなく、決定を下す」

イラン交渉団のトップである同氏はさらに、「私の同僚たちは大変困難な何日かを過ごし、深夜まで文書の作成に取り組んだ。昨夜は、最後の文書の質問に回答するため、深夜2時まで取り組んでいた。ともかく、こうした間接的な交渉というものは容易なことではなく、誤解が生じやすい。さらに慎重に事を進め、詳細まで文書を完成させねばならない」と語った。

Araqchi氏によれば、「いずれの会談ラウンドでも我々は進展を遂げたが、進展の程度はラウンドごとに異なっていた。今回のラウンドでは大きな進展が見られたと思う。先ほども申し上げたように、今までになかったほど合意締結に近づいている。だがそこに至るまでの道のりは容易ではなく、交渉相手が決定を下すことが必要だ。次回のラウンドではその道のりを乗り越えられることを願っている。それには大変な労力が必要だが、最終的な合意を形成できると良いのだが」

結論として同氏は、「次回ラウンドではそうして合意に到達できることを願っているが、果たして次回ラウンドで実現できるか否かは、予想不可能だ。だが、私は可能だと見ている」

**********
どうも、次回のラウンドがありそうですね。
それに関する報道記事も、また見つけ次第紹介してまいります。

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イラン大統領選の結果とJCPOA再建交渉

で、そのイラン大統領選挙の結果が、JCPOA交渉にどう影響するかという問題ですが、当のイランのZarif外相はこの交渉では現在のRouhani大統領の任期中、つまりこの8月までには、何らかの合意が締結されるものと予想しています。もしそうなら、大統領選の結果からの影響はほとんどないことになります。
当のイランの報道機関である、Tehran Timesの記事を紹介しますね。

なお、記事が長いので途中で記事内容とは無関係な20分スケッチを挿入しております。
その下に、日本語翻訳があります。

Tehran Times、2021年6月19日

Zarif says all must back President-elect Raisi, predicts JCPOA would be revived in Rouhani admin. – Tehran Times
(イランのZarif外相、全イラン国民の大統領選勝者Raisi氏への支持をアピール。JCPOA合意は、Rouhani政権の任期中に復活すると予想)

(記事本文)
When asked about the recent arguments in the presidential debates, Zarif considered these arguments as a sign of liveliness in political atmosphere of Iran, saying, “We are way ahead of most countries in the region in terms of having a lively political debate.”

Zarif also predicted that the JCPOA – the official name for the 2015 nuclear deal – would most likely be revived during the remaining term of Hassan Rouhani’s administration.

On the ongoing nuclear deal talks in Vienna, Zarif also said, “I have read the revised draft. It is getting purer and purer, brackets are to be removed.”

The foreign minister said Iran and the United States are somehow reaching a common understanding on the deal but they have not sill reached the “desired destination”.

“U.S. cannot achieve what they couldn’t accomplish in economic war against Iran on negotiations table. We are getting closer to a mutual understanding, but not reached desired destination,” Zarif remarked.

He also said the whole world now knows that Iran cannot return to the JCPOA without the approval of the parliament.

“We need to have approval from parliament before we resume implementation of JCPOA.”

On the possibility of returning to the deal, he simply said, “If there is a will, there is a way.”

Zarif says does not trust Biden

Zarif went on to criticize the European Union for blindly following the path of the United States in imposing sanctions on Iran, saying, “Sanctions are not assets. Sanctions are a liability. Sanctions are illegal. Sanctions are unlawful. Europeans have been forced into succumbing to U.S. sanctions, but it doesn’t mean that they approve it.”

He then said he does not trust Joe Biden, or anyone, because “diplomacy does not mean you put your trust in somebody else, diplomacy is not love affair!”

On possibility of enriching uranium beyond 63%, Zarif simply said, “We may, or we may not, that is a decision we make without any limitation,” indirectly suggesting that the move highly depends on the U.S. decision to return to its JCPOA obligations or not.

When asked Zarif about the Tehran-Riyadh talks, he said that Iran has had negotiations with the Saudis in Baghdad, but not in Russia.

“We have had three rounds of talks with Saudi Arabia in Baghdad, our representation was inclusive. We had representatives from Supreme National Security Council, Ministry of Foreign Affairs, Ministry of Intelligence, and the military.”

He added that the main issue with Saudi Arabia is that they want to purchase security from outside, and they should know that “nobody can buy security from outside.”

He then went on to elaborate about Iran’s position in the region, saying, “Our neighborhood doctrine is that we are bound to live together forever. We will remain in the neighborhood; others come and go.”

“I am ready to send an ambassador to Saudi Arabia tomorrow. It depends on them. There is no reason that we should not be able to resolve our conflicts,” the minister remarked.

On the allegations that Iran is arming the Yemeni Houthis, Zarif laughed and said it is not Iran that has destroyed Yemen. He said, “Nobody has been able to conquer Yemen.

They don’t need anybody’s arms to defend themselves. Those bombing Yemeni schools, hospitals, markets, those are destroying Yemen, not Iran.”

He then pointed to another issue of conflict between Iran and Saudi Arabia, saying that they have to understand they cannot impose their will, not through diplomacy or war.

“Diplomacy is to understand how to get to yes,” he added.

Zarif said that Iran has not even been able to send food and medicine to Yemen.

“How can we send arms?” he asked.

“They know how to build their own arms,” Zarif said.

When asked by the interviewer about Iran-Iraq relationship, Zarif said that many have mistaken Iran’s relationship with its friends with their own reasoning, but the bonds are more than money.

“The relationship between Iran and its friends, is not the relationship of proxies. We are not like others who pay,” he said.

Criticizing the arrogance of some regional countries, he said that the relationship of “master-slave” does not work in this region.

“You need to establish relationships in this region based on mutual interests. We don’t dictate to Hezbollah or Iraqis,” he added.

When asked if Iran has any regrets helping Syria, Zarif said every crisis makes one think if he could go back and do something better, as there is always room for improvement, but “we are not at all unhappy about standing up with the people of Syria to defeat ISIS, as we stand with Afghans to defeat ISIS in Afghanistan.”

The Antalya Diplomacy Forum is an event promoted by Turkey as the Turkish version of the World Economic Forum and the Munich Security Conference.

本文とは無関係な、私の20分スケッチ

本文とは無関係な、私の20分スケッチ

(私による日本語化)
土曜日(19日)のアンタリヤ外交フォーラムで本題以外の話題に触れたZarif外相は、Raisi氏がイランを収めるにふさわしい「適切な人物」であると述べた。

大統領選挙での最近のディベートに関して質問を受けたZarif氏は、そうした議論はイランの政治的状況の活発さを示す兆候であるとし、「活力ある政治的ディベートをかわせるという点では、中東地域のほとんどの国よりも、イランは進んでいる」と述べた。

さらにZarifの予想では、2015年の核合意つまりJCPOAは、Rouhani現大統領の在任の残り期間で再建される可能性が高い。

この、ウィーンで現在持たれている核合意交渉に関し、「私も改訂草案を読んだが、より純度が高まっており、括弧がなくなっている」とZarifは述べた。

同外相によれば、イランとアメリカはこの合意についてある程度共通の理解を得てはいるものの、いまだに「望まれる目的地」には到達していない。

「アメリカはイランに経済制裁をかけたが、それによっては狙った目的を実現できなかった。交渉の会談でも、それは同じことだ。共通の理解に近づいてはいるものの、望まれる目的地にはまだ到達していない」と、Zarifは語った。

さらに同外相によれば、イラン議会の承認がなければ、イランはJCPOAに復帰できないことは、全世界の知るとおりだ。

「JCPOAを実現する前に、イラン議会の承認が必要だ」

同合意に復帰する可能性について、同外相は単に「意志あるところ、方法もある」と述べた。

Zarif 氏、バイデン米大統領への不信を表明

Zarif氏はさらにEUに批判の矛先を向け、アメリカに無批判に追随してイランへの制裁に参加したことを批判、「制裁は、資産にはならない。制裁は債務だ。制裁は非合法だ。法にかなわない。欧州諸国は、アメリカの制裁を求める圧力に屈したのだ。だがそれは、そうした諸国が制裁を是認したことにはならない」と述べた。

さらに同外相は、ジョー バイデン米大統領も含め、誰をも信用してはいないと語った。それは、「外交とは、だれか特定個人に信頼を置くということではないからだ。外交とは、色恋沙汰ではない!」

ウラン濃縮を63%を超えた濃度に高める可能性に関しては、Zarifは単に「そうする可能性もあるが、そうしない可能性もある。これは、何の制約もなく我々が決めることだ」と述べるにとどめ、アメリカがJCPOAの規定順守に復帰するか否か次第で濃縮程度が変わるということを間接的にほのめかした。

またイランとサウディアラビア間の会談について質問を受けると、Zarifはイランが確かにバグダッドでサウディ代表と会談を持ったことを認めたが、それはロシアでのことではないと述べた。

「バグダッドでの会談では3ラウンドの話し合いを持ち、イランの代表団は関係各方面の代表を含んだものだった。国家安全保障最高評議会、外務省、情報省、軍部の代表を含んでいた」

さらに同外相が述べたところでは、サウディアラビアの主な問題点は国外から安全を買おうとしていることだ。だが「国外から安全を変える国など、ない」ということをサウディは知るべきだ。

同外相はさらに中東でのイランの立場について詳しく語り、「イランの近隣諸国に対する信念とは、永遠に共存することだ。国々の興亡はあろうが、イランはこの地域に立ち続ける」と述べた。

「明日、私はサウディに大使を派遣する予定だ。そうなるか否かは、サウディの態度次第だ。サウディとの対立を解消できないという理由は、どこにもない」と、同外相は述べた。

イランがイエメンのフーティという集団に武力を提供しているという疑惑に関しては、Zarifは一笑に付し、イエメンを破壊したのはイランではないと述べた。彼によれば、「イエメンを征服したものなど、今まで誰もいない」

「イエメンが自国を防衛するのに、誰の武力も必要ではない。イエメンで学校や病院、市場、を爆撃している者たちこそ、イエメンを破壊しているのだ。それは、イランではない」

さらに同外相はイランとサウディの間でのもう1つの摩擦原因を指摘、外交交渉であれ戦争であれ、サウディがイランにサウディの意思を押し付けることはできないと語った。

さらに彼は、「外交とはいかにイエスを引き出すかという作業だ」とも述べた。

Zarif によれば、イランからはイエメンに食料や衣料品を送ることさえ、できていないという。

「なら、どうやって武器を送れるというのだ?」とZarifは述べた。

「イエメンの関係者たちは、自分で武器を製造できる」とも彼は述べている。

イランとイラクの関係についてインタビュアーから質問を受けた同外相は、自分の謬見から、イランとその同盟諸国との関係について誤解をしている人たちが多いと語った。実際には、イラクとの関係は金銭を超えたものだとした。

「イランと友好職の関係は、単なる代理という関係ではない。金銭で代理を務めさせるようなことを、イランはしない」と彼は述べた。

中東の一部諸国が示す傲慢さを批判して、「主人と奴隷」という関係は、中東では機能しないとした。

「この中東地域では、お互いの利益をもとに国家間の関係を構築せねばならない。ヒズボラもイラクも、支配しようとは思わない」と、彼は述べた。

シリアの内戦に加担したことについてイランには後悔があるかという質問に対しては、Zarifは改善の余地というものが常に存在する以上、何か危機があるたびに“あの時、ああしておけばよかった”と思いたがるものだ、と同外相は述べた。だが、「シリアの人々ともにISIS打倒に尽力したことについては、何も不満はない。アフガニスタンでも、アフガンの人々ともにISIS打倒に努めたのだから」と彼は語っている。

このアンタリヤ外交フォーラムはトルコ主催のイベントで、世界経済フォーラムとミュンヘン安全保障会議のトルコ版と言える会合である。

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次回は、JCPOA交渉の第6ラウンドがすでに終了していますので、その様子を報じる
記事を紹介しますね。

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イラン大統領選挙の結果

アイルランドの報道機関 RTE、2021年6月19日
超保守派のライシ氏が当選

タイシャン原発の事故については、本当に中国当局が発表した程度の出来事だったのか、それともFramatomeが主張するように放射性物質が漏出しているのか、今後報道があると思います。それを待ちましょう。
それまでの間、JCPOA交渉の報道に戻ります。JST で6月19日にはイラン大統領選挙があったのですが、その結果がJCPOA再建交渉にも影響するかも・・という懸念がありましたよね。
そのイラン大統領選挙ですが、大方の予想通り、「超保守派」と言われるライシ氏が当選したそうです。
アイルランドのRTEによる報道記事を紹介しますね。

Raisi wins Iranian presidential vote as rivals concede (rte.ie)
(対立候補たちが譲歩し、ライシ氏がイラン大統領に当選)

(記事本文)
Ultraconservative cleric Ebrahim Raisi was declared the winner of Iran’s presidential election, a widely anticipated result after many political heavyweights were barred from running.

Mr Raisi won 62% of the vote with about 90% of ballots counted from yesterday’s election, poll officials said, without releasing turnout figures, after the three other candidates had conceded defeat.

“I congratulate the people on their choice,” said outgoing moderate President Hassan Rouhani without naming Mr Raisi. “My official congratulations will come later, but we know who got enough votes in this election and who is elected today by the people.”

The other two ultraconservative candidates – Mohsen Rezai and Amirhossein Qazizadeh Hashemi – explicitly congratulated Mr Raisi, as did the only reformist in the race, former central bank governor Abdolnasser Hemmati.

Mr Raisi, 60, takes over from Mr Rouhani in August as Iran seeks to salvage its tattered nuclear deal with major powers and free itself from punishing US sanctions that have driven a sharp economic downturn.

Mr Raisi, the head of the judiciary whose black turban signifies direct descent from Islam’s Prophet Mohammed, is seen as close to the 81-year-old supreme leader, Ayatollah Ali Khamenei, who has ultimate political power in Iran.

Many voters chose to stay away after the field of 600 hopefuls including 40 women had been winnowed down to seven candidates, all men, excluding an ex-president and a former parliament speaker.

Three of the vetted candidates dropped out of the race two days before yesterday’s election, and two of them quickly threw their support behind Mr Raisi.

Populist former president Mahmoud Ahmadinejad, one of those who were barred from running by the Guardian Council of clerics and jurists, said he would not vote, declaring in a video message that “I do not want to have a part in this sin”.

Mr Raisi has promised to fight corruption, help the poor and build millions of flats for low-income families, and holds deeply conservative views on many social issues including the role of women in public life.

To opposition and human rights groups, his name is linked to the mass execution of political prisoners in 1988.

The US government has sanctioned him over the purge, in which Mr Raisi has denied playing a part.

Ultimate power in Iran, since its 1979 revolution toppled the US-backed monarchy, rests with the supreme leader, but the president wields major influence in areas from industrial policy to foreign affairs.

Mr Rouhani, 72, leaves office in August after serving the maximum two consecutive four-year-terms allowed under the constitution.

His landmark achievement was the 2015 deal with world powers under which Iran agreed to limit its nuclear programme in return for sanctions relief.

But high hopes for greater prosperity were crushed in 2018 when then-US president Donald Trump withdrew from the accord and launched a “maximum pressure” campaign against Iran.

While Iran has always denied seeking a nuclear weapon, Mr Trump charged it was still planning to build the bomb and destabilising the Middle East through proxy groups in Iraq, Lebanon, Syria and Yemen.

As old and new US sanctions hit Iran, trade dried up and foreign companies bolted. The economy nosedived and spiralling prices fuelled repeated bouts of social unrest which were put down by security forces.

Iran’s ultraconservative camp – which deeply distrusts the United States, labelled the “Great Satan” or the “Global Arrogance” in the Islamic republic – attacked Mr Rouhani over the failing deal.

Despite this, there is broad agreement among Iran’s senior political figures, including Mr Raisi, that the country must seek an end to the US sanctions in ongoing talks in Vienna aimed at rescuing the nuclear accord.

(私による日本語化)
超保守派のイスラム教聖職者Ebrahim Raisi が、イランの大統領選挙の勝者として認められたが、今回の大統領選では政界での大物たち多くが立候補できなくされていたため、これは大方の予想通りの選挙結果であった。

昨日(18日)の投票のほぼ90%がカウントされた時点で、Raisi 氏は総投票数の62%を獲得していると、選挙管理委員会の役員たちは述べている。他の3名の候補者たちが敗北を認めた後でのことだったが、投票率の数値は示していない。

「任期終了をまもなく迎える穏健派の(現職)大統領Hassan Rouhaniは「イラン国民が賢明な選択をしたことに、お祝いを申し上げたい。いずれ後ほど正式な祝辞を述べるが、今回の選挙で当選するだけの票を集めたのはだれか、イラン国民の選択したのはだれなのかは、我々の知るとおりだ」と述べたが、Raisi氏という名前は口に出さなかった。

超保守派の候補は他にも2名いた。Mohsen Rezai と Amirhossein Qazizadeh Hashemi だが、Raisi氏にはっきりと祝辞を述べている。今回の選挙では唯一の革新派であった候補Abdolnasser Hemmati は、イラン中央銀行の前総裁であったが、その彼もRaisi氏の当選を祝っている。

60歳のRaisi氏はこの8月にRouhani氏の後継者として大統領に就任する予定だが、イランは主要諸国との核合意を再建し、アメリカによる過酷な経済制裁を解除させようと懸命だ。制裁のため、イラン経済は急激に悪化してしまった。

Raisi氏はイランの司法長官であり、黒いターバンを身に着けているのはイスラム教の預言者ムハンマド直系の子孫であることを示している。81歳になる最高指導者Ayatollah Ali Khamenei氏の側近であると見られている。最高指導者は、イランでの最高の政治権力を握っている。

この大統領選では当初、40名の女性も含め600人の候補者がいたが、それが男性ばかり7名に絞り込まれた。そのため、今回の選挙で投票しなかった市民が多い。なお、その7名には前職大統領と議会の前議長とは含まれていない。

昨日の投票の2日前に、最後に残っていた候補者たちのうち3名が出馬を取り消した。しかもそのうち2名はすぐに、Raisi氏の支持に回った。

聖職者と法律家からなるイラン護憲評議会はポピュリストであるMahmoud Ahmadinejad前大統領の出馬を禁止していたが、そのAhmadinejad氏は投票に行かないと述べていた。しかも動画メッセージで、「この罪悪行為に、自分は参加したくない」と述べている。

Raisi氏は汚職と戦い、貧困層を助け、低所得世帯向けに数百万軒のアパートを建設すると約束しており、公的生活での女性の役割も含め社会問題の多くに関しては、きわめて保守的な見解を支持している。

彼の見解に反対しているグループや人権団体にとっては、Raisi氏の名前は1988年の政治犯の大量処刑から切り離せない。

そのためアメリカ政府はRaisi氏個人を制裁対象としているが、Raisi氏はそれへの関与を否定している。

イランは1979年の革命で、アメリカを味方にしていた王制を打倒、今やその最高権力は最高指導者の手にある。だが産業政策や外交政策も含め、大統領が各種分野で大きな影響力を行使できる。

72歳のRouhani現大統領はこの8月で、憲法で定められている4年任期を最長の2期務めることになるため、職を去る。

彼が歴史に名を遺した功績として、2015年に世界の主要国と締結した合意がある。その合意でイランは、経済制裁を解除してもらう代わりに、自国の核開発プログラムに制限を設けることに合意した。

そこで一層の繁栄を目指していたイランであったが、2018年にその希望が打ち砕かれた。当時のアメリカ大統領ドナルド トランプがその合意を棄却、イランに対する「最大のプレッシャー」というキャンペーンを始めたのだ。

イランは決して核兵器を欲しがってはいないという表明を貫いているが、トランプ氏によればイランは今も核爆弾を製造する計画を保持しており、しかも代理武装集団を使ってイラク、レバノン、シリア、イエメンなど中東の不安定化の原因となっている、という。

2015年以前と2018年以降のアメリカによる経済制裁を受け、イランの対外貿易は枯渇し、外国企業も撤退した。イラン経済は急速に失速、物価が急騰し社会不安の中で暴動などが繰り返され、それを治安部隊が鎮圧するという事態が続いている。

イランの超保守派勢力はアメリカに対して深い不信を抱いており、アメリカを「大いなる悪魔」や「世界に名だたる傲慢国家」と呼んでいる。その超保守勢力はRouhani氏が締結した核合意の破綻を理由に、同氏を攻撃していた。

だがそうした動きにも関わらず、Raisi氏も含めたイラン政界の指導層の間には、ウィーンで現在進行しているJCPOA合意の復活を目指す交渉でアメリカによる制裁を解除してもらわねばならないという合意が広く存在している。

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それでは、ウィーンでの会談の進展状況については、今後も報道記事を紹介して
まいりますね。

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BBCの記事では ・・・

タイシャン原発で放射性物質が漏れだしたというCNN報道について、
やはり他の報道機関からの記事もあれこれ出回るようになりましたね。

今回はそうした報道の中から、BBCの記事を紹介します。
日本時間では、6月16日深夜の発表です。

Taishan nuclear plant: China admits damage to fuel rods – BBC News
(タイシャン原発: 中国政府、燃料棒の損傷を認める)

(記事本文)
The Chinese government has acknowledged damage to fuel rods at a nuclear power plant in the south of the country, but said no radioactivity had leaked.

China’s Ministry of Ecology and Environment said the problem was “common” with no need for concern.

The admission comes after CNN reported that the US government was assessing a reported leak at the facility.

The French energy firm which helps operate the plant in Guangdong province earlier reported a “performance issue”.

On Monday, a spokesperson for EDF Energy said a problem with fuel rods had led to the build-up of gases, which had to be released into the atmosphere.

In its report, CNN said the company had warned the US government that China’s nuclear regulator had raised limits on permissible levels of radiation outside the plant to avoid shutting it down.

But in a statement on Wednesday, China’s environment ministry said this report was not true.

The statement – its first official confirmation of the incident – said while the regulator, the National Nuclear Safety Administration (NNSA), had reviewed the use of noble gases in a reactor, this had “nothing to do with the detection of radiation outside the nuclear plant”.

(中略)

An increase in radiation levels was detected in Taishan’s Unit 1 reactor, but this was within the parameters for safe operations, the ministry said.

The ministry said the increase was caused by damage to the cladding of a small number of fuel rods. Fuel rods are sealed metal tubes which hold nuclear materials used to fuel the nuclear reactor.

Of the 60,000 fuel rods in the reactor, the damaged ones accounted for “less than 0.01 percent”, the ministry said.

Its statement said “fuel-rod damage during the operation of nuclear power plants is unavoidable” and “a common phenomenon”.

The Taishan plant provides power for the Guangzhou and Shenzhen areas, both major manufacturing hubs.

China has dozens of nuclear plants and has invested billions of dollars to develop its atomic energy sector.
(私による日本語化)
中国南部にある(タイシャン)原発で燃料棒に損傷があったことを、中国政府は認めた。だが、放射性物質の漏れはないと主張している。

中華人民共和国生態環境部によれば、今回の問題は「普通に」みられるもので、心配する必要はない。

中国政府が燃料棒の損傷を認めたのは、同原発で放射性物質の漏れがあり、それをアメリカ政府が調査しているとCNNが報道したことを受けてのことだ。

広東省にある同原発の運営に協力しているフランスのエネルギー企業(EDF系列のFramatomeという企業)が先に、「パフォーマンスの問題」を報告していた。

今週月曜、EDF エネルギーのスポークスマンが、燃料棒に問題が発生して放射性ガスが蓄積し、大気中に放出されたと述べていた。

CNNの記事によれば、 Framatomeがアメリカ政府に対し、中国の規制当局が同原発周辺での許容最大放射線量を引き上げ、同原発の稼働を停止させる必要がないようにしたとの警告を出していた。

だが中国の環境部がこの水曜日に発表したところによれば、その報道は誤りだったという。

その発表は、中国政府が初めて公式に今回の事故の発生を認めたものだが、それによると規制当局である中国の国家核安全局(NNSA)が(同原発の)ある原子炉での希ガスの使用状況を調査したのだが、その結果「同原発外部での放射線検出とは何の関係もない」ことが判明したとしている。

(中略)

確かにタイシャン原発の1号炉で放射線レベルの増大が検出されたのだが、安全な稼働のパラメーター以下のものであったと中国環境部は述べている。

同環境部によれば、この放射線レベルの増大を招いたのは少数の燃料棒の被覆に損傷が発生したためである。核燃料棒は金属製のチューブの中に密閉されており、原子炉のエネルギー源となる物質はそのチューブ内部に封じ込まれている。

問題になっている原子炉には60,000本の燃料棒があるが、今回の損傷が発生した燃料棒はそのうちの「0.01%未満」にすぎないと同環境部は主張している。

タイシャン原発は広東と深センの両地域に対して電力を供給しており、ともに重要な工業地帯である。

中国には数十基の原発があり、原子エネルギー部門の発展のために、数十億ドルを今までに投資している。

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実際は、現場ではどうなっているんでしょうね?
・ チェルノブイリの時も、当時のソビエト政府などが大事故を認める前に、
スウェーデンの観測者が放射線の急上昇を発見して世界に発表、
そのためさすがの旧ソビエト政府も事故を認めざるを得なくなったのでした。

・ 日本での福島第一メルトダウンの場合にも、水素爆発などで
原子炉建屋がぶっ壊れている様子が報道されても、一部の「御用学者」たちが
なお「まだ、メルトダウンには至っていないのでは・・・」などと
宣うてらっしゃいましたよね。当然、日本政府はメルトダウンという事実を
なかなか認めませんでした。

要するに、核(兵器も、発電も)については事実がなかなか明らかにされない、
という深刻な問題が洋の東西を問わずあるわけです。

では、しばらくタイシャン原発とJCPOA再建交渉の両方に目を配りながら、
いずれかの新しい報道記事を紹介してまいりますね。

 

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CNNによれば、中国のタイシャン原発で放射性物質漏れ?

皆様もお聞きになってらっしゃると思いますが、中国南部の広東省、香港の西にあるタイシャン(泰山または台山)原発で、放射性物質を含む気体の漏れがあったという報道が、アメリカのCNNから流れています。
発信ソースがもともとCNNだけで、他社の報道はCNN情報をもとにしているので、異なる報道を比較検討することができません。
とにかくCNNの報道内容を見ると、
(タイシャン原発はフランスのFramatomeと中国のパートナーとが共同で運営しているのだが) そのFramatomeがアメリカ政府に6月8日、同原発での放射性物質の漏れが疑われると報告したそうです。中国の原子力安全管理当局は、同原発での安全基準を緩和し続けて稼働停止を回避していると、同社は主張しています。
アメリカ政府は今のところ、タイシャンの状況はまだ危機的レベルには達していないと述べている、とのことです。

そんなわけで、JCPOA再建交渉の話題はいったん中断して、そのCNNの記事そのものを見てまいりますね。

China nuclear plant: US assessing reported leak at facility in Taishan, Guangdong – CNNPolitics
(中国南部の泰山原発で放射能漏れか?通報をアメリカ政府が検討中)

CNN報道、6月14日
CNNの情報提供者は、Kylie Atwood, Kristen Holmes, Yong Xiong and Shanshan Wang

(記事本文、長いので途中まで)
(CNN) The US government has spent the past week assessing a report of a leak at a Chinese nuclear power plant, after a French company that part owns and helps operate it warned of an “imminent radiological threat,” according to US officials and documents reviewed by CNN.

The warning included an accusation that the Chinese safety authority was raising the acceptable limits for radiation detection outside the Taishan Nuclear Power Plant in Guangdong province in order to avoid having to shut it down, according to a letter from the French company to the US Department of Energy obtained by CNN.

Despite the alarming notification from Framatome, the French company, the Biden administration believes the facility is not yet at a “crisis level,” one of the sources said.

While US officials have deemed the situation does not currently pose a severe safety threat to workers at the plant or Chinese public, it is unusual that a foreign company would unilaterally reach out to the American government for help when its Chinese state-owned partner is yet to acknowledge a problem exists. The scenario could put the US in a complicated situation should the leak continue or become more severe without being fixed.

However, concern was significant enough that the National Security Council held multiple meetings last week as they monitored the situation, including two at the deputy level and another gathering at the assistant secretary level on Friday, which was led by NSC Senior Director for China Laura Rosenberger and Senior Director for Arms Control Mallory Stewart, according to US officials.

The Biden administration has discussed the situation with the French government and their own experts at the Department of Energy, sources said. The US has also been in contact with the Chinese government, US officials said, though the extent of that contact is unclear.

The US government declined to explain the assessment but officials at the NSC, State Department and the Department of Energy insisted that if there were any risk to the Chinese public, the US would be required to make it known under current treaties related to nuclear accidents.

Framatome had reached out to the US in order to obtain a waiver that would allow them to share American technical assistance in order to resolve the issue at the Chinese plant. There are only two reasons why this waiver would be granted, and one is an “imminent radiological threat,” the same verbiage used in the June 8 memo.

The memo claims the Chinese limit was increased to exceed French standards, yet it remains unclear how that compares to US limits.

“It is not surprising that the French would reach out,” according to Cheryl Rofer, a nuclear scientist who retired from Los Alamos National Laboratory in 2001. “In general, this sort of thing is not extraordinary, particularly if they think the country they are contacting has some special ability to help.”

“But China likes to project that everything is just fine, all the time,” she added.

(今回は、ここまでにしておきますね。今後もし新たな報道などが見当たらなければ、記事の後続部分も紹介していきます)
(私による日本語化)
(CNN) CNNがレビューした、アメリカ政府高官たちとその関連文書によれば、中国の原発を共同所有しその稼働を支援しているフランスの企業が「逼迫した放射線脅威」に関する警告を発し、それを受けてアメリカ政府は先週、その放射性物質漏れ報告を検討した。

そのフランス企業がアメリカ政府のエネルギー省に提出した書簡をCNNは入手しているが、その書簡によれば警告内容の一部として、中国の安全管理当局が広東省にあるタイシャン原発外部での検出放射線の許容限度を引き上げて原発の稼働停止を回避していると非難している。

そのフランス企業つまりFramatomeからの警告にも関わらず、バイデン政権は同原発がまだ「危機的レベル」には達していないと、関連情報筋の1つは述べている。

アメリカ政府高官たちは今のところ、同原発の従業員や周辺住民を深刻な安全面での脅威にさらすような状況には至っていないと見ているが、Framatomeと共同で同原発の運営に当たっている中国国営企業は、放射性物質漏れの問題が存在することをまだ認めていない。そうした中、アメリカ企業ではないFramatomeがアメリカ政府に一方的に警告を知らせてきたというのは、尋常な行為ではない。こうした状況にあって、放射性物質漏れが続く、あるいは対応ができず悪化した場合には、アメリカは面倒な立場に追いやられる恐れがある。

だがこの警告は充分に現実的なもので、アメリカ政府高官たちによれば、アメリカの国家安全保障会議(NSC)は先週幾度も会合を開き、問題の現状を監視した。代理レベルの会合が2回、さらに金曜日には次官レベルの会議が持たれた。金曜日の会議の指揮を執ったのは、NSCの中国担当上級ディレクターであるLaura Rosenberger と軍縮担当上級ディレクターのMallory Stewartであった。

アメリカのエネルギー省の情報筋によれば、バイデン政権はこの問題について、フランス政府ならびにエネルギー省の専門家たちと相談している。さらにアメリカ政府は中国当局とも連絡を取っていると米高官たちは述べているが、その連絡がどの程度のものかについては明確ではない。

アメリカ政府はその検討の詳細を説明していないが、NSCや国務省、エネルギー省の高官たちが断言するところによれば、中国の一般市民に何らかのリスクが生じた場合には、原子力災害に関する現存の条約の下でアメリカ政府にはそのリスクを公表する義務を負う。

Framatomeがアメリカ政府に警告を伝えたのは、中国の同原発での問題を解消するためにアメリカの技術支援を得るための許可を求めてのことであった。この許可が認められるのは、2つの場合に限られる。その1つとは「逼迫した放射線の脅威」であり、6月8日付の(警告を伝える)メモにも同じ言葉遣いが見られる。

そのメモによれば、中国の放射線許容上限はフランスの基準を超えて引き上げられているそうだが、それがアメリカの上限と比べてどうなのかは、いまだ不明である。

2001年にロス アラモス国営研究所を退任した核科学者Cheryl Roferによれば、「フランス企業がアメリカに働きかけてきたのは、驚くに当たらない。一般に、この種の問題は珍しいことではなく、連絡相手の国に特殊な支援能力があるとみなされている場合には、特にそうだ」

「ただし中国はいつも、万事正常だという取り繕いをしたがる」とも、Roferは語った。

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1986年のチェルノブイリの時もそうでしたが、かなりの放射性物質が漏出しているのに、その国の政府が隠ぺいに努めてしまう場合もありますよね。あのときには、
スウェーデンで放射線の急増が観測されて、ばれたのでした。
今回は、隠ぺいが行われていないことを願います!

では、次回は本件に関する報道記事の様子を見て、本件をさらに続けるか、
それともJCPOA交渉の話題に戻るかを決めますね。

 

 

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