付録 w-24) 外部電力が必要ってことは~~
2026年3月
本ページも、かなり基本的な内容です。ちらっと見てみて、
「ああ、こんなこと知ってるよ」とおっしゃる方は、
本ページを無視なさってください。
それと本ページの内容は、上の黒いメニューにある
ページ 付録 w-15) や w-18) 、また
g-10) 、g-5) 、 g-6) 、 d-6) などなどと重複します。
付録 w-23) で原発の冷却の基本をまとめたので、原発には
稼働中も停止中も冷却が必須 ⇒ そのため、外部から原発への
電力供給が不可欠、ということはご理解いただけたと思います。
では、外部電力の供給が不可欠という事実から、どのような
リスクが存在するのか、それをまとめたのが本ページです。
簡単にまとめて言ってしまうと、
外部電力の原発への供給が不可欠 ⇒ 原発自体がぶっ壊れなくても、
それに外部電力を供給しているグリッドが壊れれば/破壊されれば
(テロや軍事攻撃、自然災害)、原発の冷却に支障が ⇒
最悪、メルトダウン ⇒ 巨大なダーティ ボムに
ということです。
だからこそ、ザポリージャ原発では現在(2026年2月)までに
外部電力供給のグリッドがたびたび破壊されており、そのたびに
急いで修理が必要ということで、IAEAが現地で大騒ぎして
きたわけですね。
例として、以下のIAEAによる発表を取り上げたAnadolu Agencyの
最近の記事(2026年2月20日)を参照(英語):
IAEA chief says Zaporizhzhia nuclear plant operating on sole remaining power line
以下、「外部電力が不可欠であるために生じる問題」を4点に
まとめて要約します:
1> とりもなおさず、原発は「電気くい虫」にもなりえる
外部電力を消費する以上、当然の帰結ですね。
さらに、大事故で稼働をやめた後も、冷却は必要です。
その実例:チョルノービルで外部電力喪失 ⇒ また原発事故か?
というパニック
1986年の話じゃなくて、今年1月のことですよ!
Chernobyl radiation panic erupts after Russian strike triggers blackout
反論として考えられるのが:
( ・_・) 原発にはHPCIとかRCICといったRHR(残留熱除去)
装置もあって、それらは停止後も炉内から出る水蒸気でポンプを
駆動するので、「外部電力喪失 ⇒ 冷却不能」は短絡しすぎでは??
これに対する説明をしておきますと:
・ まず、HPCIとかRCICというのは、点検時の停止直後や
緊急時に使うシステムのことです。平常の発電時に使うものじゃ、
ありません。
・ で、福島第一原発にもそうしたRHRシステムはあったの
ですが、どういう結果になったか?いうまでもないですよね。
つまり、RHRシステムがあっても、外部電力が途絶えると
きわめて危険なわけですね。(だからこそ、2026年3月現在、
ザポリージャ原発ではIAEAが大慌てしているわけですね)
2> 外部電力の発電をしているのが火力だったら、結局はCO2を
排出している。
まあ、これはすでに幾度も説明済みですが。
上の説明図を。
3> 自然災害で送電グリッドなどが壊れたら~~
これは、明らかに福島第一事故が典型的な実例ですよね。
4> テロ組織や軍隊が送電グリッドを破壊したら~~
送電グリッドを破壊するのは、自然災害だけじゃありません。
軍隊やテロリストの攻撃でも、同じ問題は発生しえます。
なお、
( ? _?) ちと、テロを警戒しすぎじゃないの~?
といったご感想もおありと思います。
でも、テロ警戒の甘さを指摘しているのは、私だけじゃ
ありません。
たとえば東京新聞さんの社説も、この警戒の甘さを
ご指摘です:
<社説>原発のテロ対策 「猶予」延長は禁じ手だ:東京新聞デジタル
事情通の方々の反論として、こんな意見があるかも:
( -_-) たとえば柏崎刈羽の場合、外部電力供給の
ルートは5種類もある。
( 110516e.pdf で、2.3参照) しかも、ルートの地理的位置は
テロ防止のため秘密とされている。テロリストがすべてを
破壊できるとは思えない。
これに対する説明をしておきますと:
・ 秘密にされていても、テロ組織の工作員が入り込まない
という保証はない
(上の <社説> を参照 ・・ 日本の原発でのテロ防止策には、
甘さがつきまとっております)
・ ザポリージャ原発には外部電力供給のルートが10系統あった
そうですが(Update on Zaporizhzhia — ANS / Nuclear Newswire
で、Off-site power: の段落を参照)、そのすべてが実際に
壊されてしまったからこそ、上の IAEA chief says — という
リンク先にあるような事態になってしまっているわけですね。
本ページの結論として、
∴ 外部電力供給の不可欠性を知っておかないと、原発を
現実的に論じることはできません。
これは、反対派か推進派かを問いません。
事実を弁えてから、推進か/反対かを決めるのが
正論でしょう。
( ^O^) / 2026年3月7日追記 \ (^O^ )
私はIAEA NewsというEメールのニュースレターの購読者でして、
毎週IAEAから最新号が届きます。
で、このページの内容について、「外部からの電力供給は確かに
必要だけど、それを強調しすぎじゃない?」とか「崩壊熱の
冷却って、そんなにいつまでも必要なの?」とおかいった疑問が
おありかも。
そこで、日本時間で3月7日早朝に届いたIAEA NewsのMarch 6 Editionから、関連個所だけを私が抜粋・日本語化して紹介
しますね。
いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。
(IAEA Newsは国連の公用語で発行されていて、日本語版は
ありません)
元の英語記事を読みたい方は、次へ:
IAEA Director General’s Introductory Statement to the Board of Governors | IAEA
では、その「IAEA理事会での事務局長による開会声明」
(3月2日付)より:
**********************************
—–
ザポリージャ原発は2週間以上前に残っていた唯一のバック
アップ送電系が損傷して以降、目下、ただ一つ残っている
メインの外部電力供給系に依存している。
私 <Grossi事務局長> はウクライナとロシアの両者に働きかけ、
<ザポリージャ原発周辺での> 停戦の合意を得た。先週末、
ザポリージャ火力発電所(Zaporizhzhya Thermal Power Plant、ZTPP)の330 kVスイッチヤード <電力分配所> にて、
<修復作業のための> 準備作業を完了した。地雷除去などの
作業である。そして目下、そこでは修理作業が進行中だ。
ZNPPつまりザポリージャ原発にはIAEAのチームが滞在して
修理作業を監視している。IAEAがウクライナとロシアの
<ザポリージャ地区での> 停戦を修復作業のために仲介した
のは、これで5回目だ。ZNPPへの外部電力供給送電線はこの
3か月の間に何度か切断されており、そのうち2回では外部
電力供給が完全に途絶えた。今回の戦争が始まって以来、
これで全面的な外部電力供給は12回となった。
——–
—— チョルノービル <チェルノブイリ> 原発の跡地でも
外部電力供給の喪失が一時的に発生、緊急用のディーゼル
発電装置に依存する事態が発生した。
<文字色協調は、私>
*******************************************
まず、原発への外部電力供給が途絶えるということが
どれだけ危険なことか、上記のIAEAの対応が証明して
くれていますよね。
比較のために申しておきますが、この開会声明では
ザポリージャやチョルノービル関連の発言はおよそ
2ページ半に及んでいます。
その直後で福島第一からの「トリティウム水」排出の
件にも触れていますが、その長さは半ページほどです。
事の重大性を考えるなら、バランスの取れた配分だと
私は考えております。
もちろん、他人の漁場にトリティウム水を放出するという
行為は言語道断だと私も見ておりますし、当然この放出に
私は反対です。しかし、ウクライナの原発の状況は、それ
以上に深刻で緊急対応を要する、ってことです。
つまりは、原発への外部電力供給が途絶えたら、いかに危険か。
とんでもない危険事態でないのなら、IAEAがここまで慌て
ふためく必要はない、ということですよね。
それと、チョルノービル原発はご存じの通り1986年4月に
暴走事故を起こし、そのあと現在まで稼働はしておりません。
そこでの「緊急用のディーゼル発電装置に依存する」って??
つまり、停止しても原発には外部電力を送り込んで冷却を
続けないと危険だということですね。しかも、
チョルノービルの場合、すでに40年も。
その40年の間、無論、発電はしていないわけですから、
ただ一方的に電力を食いまくってきているわけですね。
核発電の実態というものを知ってから、反対するか/
推進するか、決めましょうよ。(実態を知ったうえで
推進するのは、・・・ おそらく、何らかの利害関係に基づく
プロパガンダでは?)








