Kyiv Post ウェブサイトに掲載の論考、 パート 4

Kyiv Post

OPINION: Europe in Flames: The Next
Conflict (Part 4)
(論調
炎に包まれるヨーロッパ: 次の紛争
(パート4) )

ウクライナ戦争に関するKyiv Post
ウェブサイトに掲載の論考、
パート4です。

英語元記事を読みたい方々は、
Opinion: Europe in Flames: The Next Conflict (Part 4) (kyivpost.com)
へどうぞ。

More coming!?
私の15分クロッキー

The Russo-Ukrainian war is not a local
conflict. The future of Europe is at stake.
An in-depth five-part analysis examines
the options facing the West.
(ロシアVSウクライナ戦争は決して、
特定地域だけの紛争ではない。
ヨーロッパの未来が左右される。
西側を待ち受ける選択肢を考察する、
5つのパートからなる徹底論考の
パート4)

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

今回もかなり長いので、お時間の
ない方は何回かに分けてどうぞ。
*************************************

Hans Petter Midttun
2023年12月27日

本来の自分と違うじゃないか!
私の20分クロッキー、男性のモデルさん

NATO

NATOはそれが以前に抱いていた戦略
コンセプトとは矛盾した行動を取って
きており、NATOという同盟の安全を
脅かす紛争をやめさせるため政治的・
軍事的両種のツールを併用するとして
いたのだが、それに失敗した。決意の
弱さと自分たちの価値や原理への忠実性
とが欠落していることが、明らかに
なってしまった。それだけでなく、
軍事面での欠点もいくつか明るみに出て
いる。持続可能性のなさと防空システム
の問題も、そうした実例のうち2つに
過ぎない。

だがアメリカとNATOの危機管理能力
については、ウクライナ以外でも課題
が露呈している。シリアでも、ロシア
は紛争に加担している。その結果、
ロシアが紛争解決の一部になっている。
イスラエルの対ハマス戦争も実例の1つ
だが、ここではロシアのパートナーで
あるイランがプレイヤーの1つになって
いる。さらにバルカン半島でもロシアは
長年、セルビアなどスラヴ系集団と
密接な同盟関係にある。「ボスニアや
ヘルツェゴヴィナ、またセルビアと
コソヴォの間では、未解決の紛争の
亡霊がじわじわと姿を現しつつある。
そうした中でロシアがそうした進行中
の不安定な状況を利用、自分の影響力
を強化する一方でEUとNATOを
弱体化しようと努めている」

NATOの領域の教会、あるいはアメリカ
が利害を有する地域の周辺で新たな危機
や紛争、戦争が発生するごとに、NATO
の軍事力構造は既に縮小ないしは無理に
引き延ばされているにも関わらず、
さらに引き延ばされることになって
しまう。そのため西側の注意は、
ウクライナも含めたすべての無視でき
ない紛争各地に分散してしまう。
したがって問題は、次の危機がいつ・
どこで起きるか、である。バルカン
半島なのか?紅海か?韓半島か?
北アフリカか?スヴァルバール諸島
なのか? <スヴァルバール諸島は
ノルウェー領の群島で、ノルウェー
本土よりかなり北にあるのですが、
ロシアとの利害が衝突しています>
どこになるのだろうか?

政治的解決をしたくても、当事者本人が不参加では~~

NATOの関与

NATOの戦略は2014年から今まで一貫
しており、ロシアが武力で解決しようと
している戦争を政治的に解消しよう、と
いうものだ。NATOとしては非軍事的な
支援の身を行うという方針であり、妥当
と見られる軍事的支援を行うか否かは
加盟各国の判断に任されている。NATO
は今も「現地に軍靴で入らない」という
方針を貫いているが、現実には
ウクライナは重大な脆弱性と欠点で苦悩
しており、ロシアはNATOとEUに
対してHybrid Warを続けており、戦争が
ヨーロッパの政治的局面にもたらす
「津波のようなさざ波効果」の長期的な
影響があり、<もし今回の戦争で>
ロシアが勝つならヨーロッパの安全
保障に 破壊的な影響を及ぼす恐れが
あるのだが。

NATOは、平和を打ち破って危機や
紛争、戦争を引き起こすロシアに好都合
な戦略に今も固執している。したがって
現在のこの戦略は、まさにこの理由
から、持続不能なのだ。

このままじゃ、何も解決しない


NATO
は、火の粉を払う努力を始める
必要

2022年8月、私 (Midttun) は西側
による「ウクライナへの介入は避け
られない」と主張した。アメリカと
NATOとは、ウクライナ防衛のために
軍部隊を配備することはしないと宣言
し、それを今も守っているのだが、
いずれ配備することになるだろう。
現実には西側は、以前から予想されて
いたこのステップへと進むだろう。
同様に、ロシアも兵站の都合から侵略
当初の目標を変更せざるを得なかった
のだが、同じ兵站の都合がNATOの
戦略変更をも強いるだろう。NATOは
戦略コンセプト1999-2022に則り
行動することが求められよう。つまり、
「加盟国の安全を脅かす進行中の紛争
をやめさせる」というものだ。

私の「ロシアは何があってもウクライナ
への配線を認めない」という想定が
正しければ、ヨーロッパとアメリカは
最終的には、ヨーロッパの安全を再確立
するために直接的に介入するしかない
という結論に達する。欧米の選択肢は、
2つしかない。国連の防衛責任の
ドクトリンと <NATOの> 最近の
戦略コンセプトとに則り軍事的に介入
するのが1つ。もう1つはウクライナ
が1か月ほどでNATOに加盟すると
いう政治的解決策だ。(この1か月は
移行期間であり、その間にロシアは
ウクライナ領土から撤退できるので、
NATOの規約第5条の発動を回避する)
<加盟国のいずれか1国が侵略を
受ければ、加盟国全体で反撃する、
という条項です>

We pray —   私の15分クロッキー

いずれの選択肢でもウクライナの独立
と主権を保ち、第二次大戦以降で最悪
の人道的破局を防止、さらに今も
続いているウクライナでの破壊行為を
やめさせることができる。 さらに
この選択により西側はその焦点を、
防衛と人道的・経済的支援から、
再建と <避難した市民の> 帰国と
に移行させることができる。また、
NATOの抑止と軍事同盟としての
ステータスとを再構築できる。
2024年にはそれが現実になって
ほしいものだが、はたして ・・・

希望が持てる要因

今回の戦争が始まった時点でアメリカ
とヨーロッパが <兵器や弾薬などの>
増産を怠ったことについては、既に
述べた。増産のプロセスは遅れて開始
されたのではあるが、その成果が
2024年にはかなり現れてくるものと
期待できる。

今回の全面的な侵略が始まる前には、
アメリカの月間砲弾製造量はおよそ
14,400発であった。155mm 砲弾の
生産高はすでに、2023年12月の時点
で2倍に増大している。 この増産は
2024年の間も続く。アメリカ陸軍は
月間の生産量を3月までに36,000に、
9月までに60,000に、2024年初頭
までには70,000 から 80,000 に増やす
計画だ。議会が補正予算法案をいつ
通過させるのかにより、変更がある。

激しい戦闘 ・・・ 早く終わってほしい

全面戦争が始まった時点でのEU諸国の
年間での155mm砲弾の生産量は
約230,000発で、アメリカよりもおよそ
1/3多い。だがそれ以降のヨーロッパ
での増産は計画よりも遅く、これはEU
がコンセンサスにこだわる体質である
ことが阻害要因となっている。
ヨーロッパのDIBの一部は今も、防衛
調達の受注を待機している。一方、
フィンランドなど一部諸国はすでに
増産を進めている。2023年2月まで
の1年でヨーロッパが製造した砲弾数は
およそ300,000発である。11月までの
時点で、圏内市場担当の欧州委員会
委員Thierry Bretonはヨーロッパは
年間で約400,000発の砲弾を製造
できるとしていた。エストニアの防衛
大臣Hanno Pevkurはこの数値を
600,000から 700,000と見ており、
2024年中には100万に達すると
している。

西側のDIB全体で、同様のトレンドが
見られる。ADシステムやミサイル
なども増産が進んでいる。最低でも
言えることとして、現在のウクライナ
が受け取っているのは砲弾の「滴り」
であるとすれば、それが2024年末
までには「小川」になるということだ。
それも旧式化した古い砲弾を使わねば
ならないのではなく、現在のスマート
で効果絶大な弾薬を使えるように
なろう。

この一時的なギャップを埋めるため、
ウクライナはドローンの国内生産を
増やして砲弾の不足を補っており、
さらに2024年からは西側企業と協力
して155㎜砲弾を国内で製造する
計画だ。

機械だけあっても~~人材が・・・

 

F-16の戦場導入

現在、ウクライナのパイロットや
技術者たちは、この戦闘機とその
センサーや武器システムの訓練中で
ある。逆に言えば、ウクライナの領空
を防衛するために緊急で必要な人材が、
現時点では入手できていないという
ことだ。これは、ウクライナとロシア
の間での戦闘任務回数の比率にも現れて
いる。今年の夏ロシアが実施した戦闘
任務の回数は、ウクライナの5倍に
のぼっていた。今月になると、この
比率はほとんど7倍になっている。
2024には、こうした様相はすべて
様変わりしそうだ。

今回の全面戦争の開始時点では、
ウクライナは軍用飛行機120機を
保有していたのだが、そのうち使用
できるのはわずか1/3であった。

2024年春になれば、ベルギー、
デンマーク、オランダ、ノルウェーが
.F-16 の納品を始める予定だ。供与
総数は、まだ公表されていない。
デンマークは19機、オランダと
ベルギーのhave 42 and 53 F-16
保有数は、それぞれ42と53だ。
ノルウェーには57機あるのだが、
32機をルーマニアに引き渡し中だ。
つまりアメリカが供与をしない限り、
ウクライナに供与できる戦闘機数は
最大で139ということになる。
実際には、それよりいくらか小さく
なりそうだが。

「人とぶつからない、安全な新型車だよ~~」
機械は、決して万能にはなりえません
「新型車同士がぶつかったら、どないなんねん!?」

F-16といえど、万能ではない。とは
いえ、ウクライナに現在あるジェット
戦闘機に比べればはるかに優れている。
ウクライナの現在の戦闘機はソヴィエト
時代の旧式MiG-29、Su-24、Su-25で
あり、既に本来の儒教が切れたものだ。
それを、F-16に取り替えることとなる。
それでもなお、数の上ではロシア空軍に
劣るのだが、航空阻止、近接航空支援、
敵国の防空の抑圧といった能力は劇的
に向上する。それに劣らず重要な点と
して、ウクライナはアメリカと
ヨーロッパの両方からパイロットを
調達できる。

F-16が戦闘で使用されるようになる
のは2024年夏のことで、Valery
Zaluzhny将軍 <ウクライナ軍の最高
司令官> はあらゆる可能な手段を
用いて反転攻勢に取り組むタイミング
に間に合いそうだ。

ロシア軍用艦はどこだ・・・


海での戦闘

前述の通り、ウクライナは巡航
ミサイルやUAV <無人航空機>、
会場ドローン(“Sea Baby”)などを
用いてロシアの軍用艦や潜水艦、船舶
23隻を沈没させ、あるいは破壊して
きた。その結果、水陸両面作戦を実行
するロシア軍の能力がほぼ皆無と
なった。海上での阻止作戦を展開し
ウクライナの港を閉鎖させるロシアの
能力は、減少した。黒海艦隊の一部は
クリミア半島からNovorossiyaへと
配置変更された。.

2024年も、会場での戦闘は引き続き
進むだろう。さらにウクライナは、従来
よりも能力の高い新型海上ドローンも
開発中だ。加えて、新たな海上連携を
先日、英国、ノルウェー、その他数か国
と締結した。こうした提携で、
ウクライナの海上安全保障の強化も
進むことだろう。ウクライナはようやく
海上での戦闘や防御能力の向上のために
必要な支援を手に入れられそうだ。

上記に加え、ブルガリア海軍と
ルーマニア海軍の機雷撤去グループが
既に 、ブルガリア沿岸部から国会の
機雷撤去を開始している。ウクライナ
が新たに設定した海上回廊に沿っての
作業で、10月に始まった。トルコ、
ルーマニア、ブルガリアはこの1月に
共同で黒海の機雷を除去する合同計画
を締結する予定だ。

航行の自由を確保するのも、楽じゃない

「黒海での航行の自由」(Freedom of
Navigation in the Black Sea)という
作戦があり、北極海や南シナ海での
<高校の自由を確保しようとする>
作戦を同様に必要不可欠なものだ。
NATOがこれを実施することを決め
れば、直ちに BSFからの脅威は消え
去るはずだ。この作戦を実行する /
しないという選択肢は、ウクライナに
NATOが介入するかしないかという
選択と同程度の確率となろうが、
航行の自由を世界的に保持できない
という場合には、全世界に各種の
悪影響が出よう。

本論調にある見解は著者自身のもので、
Kyiv Postの見解でもあるとは限り
ません。
************************************

「特定地域だけのものではない」という
指摘には、私たち反核勢力は注意が
必要です。
どうも多くの人間は、何か深刻な事態が
発生した場合、「自分の問題じゃない、
XXXという特定地域の問題だ」で
片づけようという誘惑が襲来する
ようです。

「ウクライナの戦争だ、日本の問題
じゃない」 ⇔ ご存じの通り、この
戦争の影響の1つとして、すでに
電気料金が高騰しているのですが。

福島第一が大災害を起こした際にも、
「福島の人たち、かわいそーね」 ⇔
東海村原発が大事故を起こして放射性
物質が大量に出ちゃった場合、風向き
次第で東京23区の大半も居住不能
地帯になりかねないのですが。

「中国南部で新型感染症が蔓延してる
そうだけど、日本まで来ないよね」 ⇔
後にどうなったか、ご存じですよね。

騙されないで
私の点描練習より–

Divide and conquer とよく言われます
が、大問題が発生した場合、
局地化する (特定地域の問題だという
認識を広めてしまう)⇒ その地域の人
たちと、それ以外の人たちとに世論が
分かれる ⇒ 問題の本質や拡大は見逃
される
というパターンが頻出してしまうよう
に考えます。

ウクライナ戦争の例であれば、
「核兵器の影」が及んでいることは
明らかなので、私たち反核勢力が
「世界的に」核廃絶の声を高めていく
ことが必要でしょう。
「XXX地域だけの問題」にして
しまわないように。

では、近日中にこの論考の締めくくり
Part 5 も紹介しますね。

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付録 w-15) をアップロード

新たな固定ページ
付録 w-15) 原発の冷却って?(基礎的内容)
をアップロードしました。

上の黒いメニューの終わりの方で付録 w-15)
見つけてクリック!
(メニューが膨張しすぎており、分かりにくく
なっておりますが、基本的にはアルファ
ベット順です)

能登半島地震の被害にあわれた方々のため、
被災地域の早い復興のため、
祈っております!

その地域にある志賀原発では、地震発生時には
発電稼働をしていなかったはずですが、
それでも変圧器の異常やSFP (使用済み核燃料
冷却プール) の放射性冷却水があふれ出る
などの問題が発生したと、報じられていますよね。

「稼働していないのに、なんで問題が?」と
キョトンとしてらっしゃる方々もいらっしゃった
ので、原発の冷却に関する基礎的内容のページを
作ったわけですね。

Posted in Uncategorized | 付録 w-15) をアップロード はコメントを受け付けていません

能登半島の震災と原発 ・・国外でも報じられてます

Beyond Nuclear Bulletin
2024年1月4日号より

能登半島での大震災で志賀原発に
問題があったことは、現在毎日のように
日本語メディアでも報じられていますが
英語圏でもかなり知られています。
こうしたチャンスを捉えて、世界的な
反核勢力の共同作業を始めていけない
ものかと私は願っております。
「日本では、大地震が発生しないと、
反原発の声が高まらない。地震が過ぎて
しばらくすると、何事もなかったかの
ように原発推進が再開してしまう」と
いったパターンに陥ってしまったのでは
正直言って世界的な恥だと思います。
日本を愛する者たちの一人として、
世界に誇れる日本国になってほしい。
「世界に誇れる」という以上、世界から
どう見られているかも意識することに
なります。そうであれば、諸外国の
反核勢力との交流や協力は不可欠です。
「内向き」になって日本国内ばかりを
気にしている余裕は、ございません。

The whole world is watching!
私がかなり昔、あるウェブサイト用に描いたイラストより

では、そうした諸外国の反核団体の
中でも有名なものの1つ、Beyond
Nuclearの1月4日付Bulletinより、
能登半島の震災と日本の原発に関する
記事を。

元の英語記事を読みたい方は、
Earthquake rattles Japan’s nuclear revival – Beyond Nuclear
をどうぞ。

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です。

***************************
Earthquake rattles Japan’s nuclear
revival
(日本の原発リヴァイヴァル、地震で
揺らぐ)

2024年1月4日

少額ながら救援募金など送りつつ、早い復興を祈っております

2024年元旦、日本の西岸地域でマグニ
テュード7.6 の大地震が発生、日本海
沿岸に津波警報のサイレンが鳴り
響いた。2011年3月11日の東日本
大震災と福島第一原発での3基の原子炉
のメルトダウンという、恐怖の記憶が
蘇る。ただし、今回の大震災では放射線
量の増大などは報告されていない。日本
には稼働しうる原子炉がまだ33基ある
が、2011年の原発大災害の発生時点
では54基であった。そのうち12基が、
福島災害後に厳格化された安全基準の
下で発電稼働を再開している。この
新たな基準は、災害後に新設された
原子力規制委員会(Nuclear Regulatory
Authority、NRA)が設けたものだ。
それとは別に5基の原子炉が既に
再稼働の承認を受けており、立地自治体
政府による再稼働承認を受けるための
最終的な審査が進行中だ。さらに他の
10の原子炉が現在検査中で、再稼働
できるか否かの判断を待っている。
再稼働申請をしていない原子炉も、
9基ある。また東京電力の福島県内に
ある原発 <福島第一と第二> の
10基も含めて24基は恒久的な廃炉
作業が進行中だ。既に再稼働を始めた
原発は、川内原発1号機と2号機、
玄海原発3号機と4号機、伊方原発
3号機、美浜原発3号機、大飯原発
3号機と4号機、高浜原発の1号機
から4号機だ。

美浜原発3号機、大飯原発3号機と
4号機、高浜原発の1号機から4号機
という稼働している原子炉7基は、
今回の能登半島地震の影響をこうむった
地域にある。この地震による死者数は、
既に発見された遺体数では73名だが、
今後さらに増加すると見られている。
崩れた残骸の下に、まだ遺体が埋もれて
いると思われるためだ。この地震のため
海岸地域には津波警報が発令され(最大
の津波は、高さが3mだった)、該当
する県では住民10万人以上が高所への
非難を余儀なくされた。火曜日の朝
<2日朝> のことだ。最初の揺れの後
今まで、1月1日から3日までの間に
日本の気象庁は500以上の揺れを検出
している。さらに余震や地すべり、
新たな津波が続く可能性があり、
それに備えるよう警告が出ている。

一見静かな地に見えても ~ この列島に、自信のない場所なんてない
私がずっと以前に描いたスケッチより

今回の大地震の被害を被った地域には、
日本の電力会社のうち数社が原発を
設置している。

東京電力の柏崎刈羽原発は7基もの
原子炉を擁しているが、今回の地震
では被害を受けていない。この原発の
稼働許可は2007年から今まで規制
当局から指し止められており、現在も
発電稼働はしていない。この 一時停止
は、東京電力の福島第一原発の原子炉
4基が2011年の東日本大震災で壊れ、
6基の原子炉全てが停止されたことを
受けて、さらに延長となった。

月曜日 <1日> に関西電力が発表した
ところでは、同社の美浜原発、大飯
原発、高浜原発の合計11基の原子炉は
1日の最初の地震では問題を起こして
いなかった。これら11のうち7基は
現在のところ再稼働の承認を受けている
のだが、残る4基は廃炉作業中だ。

北陸電力の志賀原発1号機と2号機は
今回の地震震央に最も近い位置にあるの
だが、報告によれば揺れの間に
「使用済み」核燃料冷却プールの放射性
冷却水が揺れでこぼれ出し、それに続き
そのプールへの冷却水ポンプへの送電が
中断した。(現在までに、回復している)
この送電中断の原因は、パイプの破損、
油漏れ、地震による爆発音を伴った
トランスの故障であった。さらに
NHK ニュース サービスの報道による
と、志賀原発の原子炉がある現場
では、今回の津波の水位は3mに
達した。この原発の原子炉は2基
とも、2011年の福島第一大災害を
受けての地震と洪水に対する安全性向上
のための 改善作業の官僚と承認とを
待機中で、再稼働許可を待って閉鎖中で
ある。

ふらふらと舞い戻っちゃった・・・
私の20分クロッキーより

日本原子力発電(株)の発表によれば、
福井県にある同社の敦賀原発では問題は
発生しておらず、その2基ある原子炉も
正常だ。そのうち1基は廃炉作業中で、
残る1基は定期検査のため停止中である。

2011年の核災害を受け日本は一旦は
国家として <原発をなくしていく>
エネルギー政策を採択したのだが、
2023年2月に岸田文雄首相はその方向
を逆行させ、核発電リヴァイヴァル
政策を承認した。既存原子炉の使用期間
を実働で60年を超えて延長し、廃炉
された原子炉に代えて新たな原子炉を
建設することとした。だが、日本の市民
社会の中で活動をしているかなりの部分
においては、核発電は今も賛否議論の
激しい問題であり、そうした市民勢力の
代表者たちが勤める自治体政府は、
核発電への依存の延長や継続には反対
している。核発電は、汚染を広げ危険で
巨大な費用を要する代物なのだ。

****************************

The whole world is watching!

内容は、既に日本語メディアから
ご存じの通りだと思います。
では、なぜワザワザ上記の記事を紹介
したのか?
日本国外でも、今回の地震による原発、
特に志賀原発への影響は広く報じられ
ているのだ、ということを納得して
いただくためですね。
政府や産業界には、世界が見ていると
いう事実をよく弁えていただきたい
ものです。
2011年にあれだけの大災害 ⇒
それでも、ほとぼりが冷めると核発電
リヴァイヴァル ⇒ そこに、またもや
大地震
これでは、「性懲りのない国だ」と
世界に思われても仕方がないですよね。
The whole world is watching!!

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Kyiv Post ウェブサイトに掲載の論考、 パート3

Kyiv Post

OPINION: Europe in Flames:
The Unknowns (Part 3)
(論調
炎に包まれるヨーロッパ:
不確定要因 (パート3) )

ウクライナ戦争に関するKyiv Post
ウェブサイトに掲載の論考、
パート3です。

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The Russo-Ukrainian war is not a local
conflict. The future of Europe is at stake.
An in-depth five-part analysis examines
the options facing the West.
(ロシアVSウクライナ戦争は決して、
特定地域だけの紛争ではない。
ヨーロッパの未来が左右される。
西側を待ち受ける選択肢を考察する、
5つのパートからなる徹底論調の
パート3)

戦争は、早く終わってほしい ・・・

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
*************************************

Hans Petter Midttun
2023年12月27日

ドローン戦争

ドローンによる戦争が繰り広げられて
いるが、それにより戦争のやり方も
変化しつつある。ドローンを活用
すれば、従来の偵察活動では2週間
かかっていたものを、わずか数分で
目にすることができる。またドローン
によって、今までの手法では攻撃不能
であった標的を攻撃できる。一人称
視点(First-person view、FPV)を
備えた「カミカゼ」 <自爆式>
ドローンは操作性が高いうえに極めて
高速だ。さらにカメラを利用した
手動操作であるため、GPS妨害電波
などに対して強い。また高速である
うえに比較的小型で、操縦がしやすい
ため対航空機用防空システムでは
対処しにくい。

こうしたドローン システムは商的に
販売されており、高価ではなく操縦も
しやすいため、砲撃や射撃よりも精度に
優れる。さらに手りゅう弾から対戦車用
弾頭まで各種の武器をロードでき、
特別に硬化させた標的でなければ、
壊滅的な効果を発揮できる。さらに
ドローンが残す経路も、情報戦では
重要な意味を持つ。数百米ドルの
ドローンが、何百万ドルもする重兵器を
破壊している。

敵はどこだ??

本格的な戦争では、いまやドローンは
すべての重要な戦争で利用されている。
「ドローンがないと、視界なしで戦って
いるようなものだ。敵は自分たちを見て
いるのだが、自分たちは敵を視野に
収められずにいるのだ」

海軍を持たない国であるウクライナが、
ここまでにロシアの軍用艦や船舶23隻、
そして潜水艦1隻を破壊しているが、
これは巡航ミサイルや UAV <無人
航空機>、海上ドローンを活用しての
ことだ。ロシアの黒海艦隊をロシア
本土に帰らざるを得ないようにし、
2023年7月17日に黒海穀物イニシア
ティブ <Black Sea Grain Initiative
ウクライナ、ロシア、トルコ、国連の
合意による協定で、ウクライナの港から
商戦が穀物を国会の外へと運べることを
保証したもの。2023年7月にロシアが
破棄しました> が実質的に終了して
以来今までに、226席以上の商戦が
ウクライナの港に入港することを可能に
してきた。ウクライナの一人称視点
(FPV)  を備えたドローンが現時点で、
ロシア軍の戦車の40%以上を破壊して
おり、武装車両や砲、トラックの30%
以上を撃退している。ウクライナの
各企業が毎月50,000機のFPV付き
ドローンを製造しているのだが、
これでも必要量の10-15%に過ぎない。

敵は強力だ

ロシア軍のドローン製造と輸入の量は、
はるかに多い。ウクライナの専門家
Maria Berlinskaによれば、「ロシア軍
はウクライナ軍よりもはるかに先を
進んでいる。自動化も進んでおり、
「ドローン編隊」も編成でき、自動
光学ナヴィゲーション(ドローン自体
が標的を認知し攻撃するかどうかの
決定を下す)も可能だ。こんなドローン
が何千と飛来してきたら、ウクライナ軍
は2-3週間で何十キロも後退せざるを
得なくなる。」

両国とも、パートナー諸国と防衛産業
ベースとを動員し、戦場で決定的な優位
に立とうと努めている。それに成功する
方が、この戦争の様相を根本的に変える
こととなりそうだ ・・ そうかも
しれない。

心理的要因

戦争に関連するありとあらゆるトラウマ
に、ウクライナの人々は晒されている。
今回の全面戦争が始まる以前でも、
ウクライナには851,068名の退役軍人が
いた。戦争が今日終結したと仮定した
場合、ウクライナの退役軍人はさらに
1,800,000 名増大する。彼らの家族まで
含むと、支援を必要とする可能性のある
人口は恐るべき7,200,000 人(つまり、
総人口の10-20%)に達する。
これは、今回の戦争での戦闘からの
トラウマだけを考えた数値だ。だが
ウクライナはさらに、実存的な戦争を
も戦っている。ウクライナ兵士たちの
士気の高さは戦場で実証済みであり、
ウクライナが自分よりも強力なロシア
軍を打ち負かしている原因でもある。

かなりの損害だ・・・

ロシアが被った損失は、第二次大戦以降
で最大のものだ。アメリカの諜報機関に
よると、ロシア陸軍はこの戦争の開始
時点で3,100両の戦車を有していたが、
そのうち2,200両を失っている。
1950年から1980年にかけて製造した
旧式の戦車や装甲車、砲などを
引っ張り出して「バックフィル」
<古いもので埋め合わせをする> を
せざるを得なくなっている。最低でも
ロシア軍兵士315,000名が死亡、
あるいは負傷している。これは、
ロシア軍が今回の全面戦争を開始した
時点で有していた人員の90%近くに
相当する。 .

ロシア軍は「人海戦術」でウクライナ
の陣地を脅かそうとしてきたのだが、
その多くは装甲車両や砲による支援なし
でのことだった。上述のような大規模の
損害を受け、場合によっては
「障壁部隊」を設定して兵士たちに前進
を強いるしかない場合もあった。酒に
酔う徴兵された兵士たちや命令に服従
しない兵士たち、有罪判決を受けた兵士
たちはStorm-Zというロシアの懲罰部隊
へと強制的に押し込まれる。そこから、
「大砲の餌食」としてウクライナの前線
へと送り込まれる。士気もやる気も最低
レベルで、最近ロシア軍の「ドニエプル
グループ」の司令官は将校たちを集め
襲撃ユニットを編成せざるを得なく
なった。さらにローテーションも無理
なので、状況はさらに悪化しそうだ。

ロシア軍は、第一次大戦で見られた
ように崩壊・解体する可能性もある。
その破局がいつ・どのように訪れるのか
は予測しがたいが、2024年に起きる
可能性も充分にある。ロシア軍が要塞化
されたウクライナ陣地を無理に襲撃
せざるを得ないようにし(バフムートや
アウディーウカなど)、重大な損害を
受けさせれば、そうしたロシア軍の崩壊
を実現できるのかもしれない。あくまで
可能性の話だが。

在庫がなくなっておりまして~~


防衛支援

西側からの兵器や弾薬の供給が減少して
いるが、メディア各社はそれを
「支援疲れ」の一環だとしている。実は、
そうではない。それは、欠陥のある戦略
思考と安全保障と国防への投資を渋った
結果なのだ。既に昨年、西側諸国は
ウクライナがろ紙を打ち負かすために
必要なだけの兵器や弾薬の備蓄がない
ことに気づいていたのだ。

2022年8月、私(Midttun)は次の警告
を発した:「NATOがウクライナに
供与できる兵器がなくなりつつある」
NATO諸国は今回の戦争が2014年に
始まった際に、その防衛産業ベース
(Defense Industrial Base、DIB) の
動員や軍の増強、武器弾薬の備蓄の
増大を怠ったのだ。2022年4月、
アメリカの防衛産業が発表したところ
では、防衛関連の必要物調達の発注を
受けた場合、生産増大には18から
36か月を要するそうだ。

オレは本気だ

アメリカのウクライナ向け防衛支援が
再開するのは、来年になる公算が大だ。
これは単純に、アメリカの国益という
事情のためだ。(アメリカにとっての)
コストを最小にして、ロシアの軍事
活動を削減するという狙いだ。敵対する
恐れのある諸国すべてにアメリカの意思
と能力を示す合図を送り、将来の紛争を
抑止するというものだ。この努力により
アメリカのDIBの拡大増強を図る。
既存の生産ラインも新規のラインも稼働
させる。アメリカ軍部から以前に直接に
供与した兵器を、新型の現代的兵器と
交換する。 さらにそのコストの大半は
アメリカ国内で消費することで、雇用を
創出する。同時にアメリカは、
ウクライナの軍事技術やドローンへの
対抗策、ロシア軍の戦術・戦略などに
ついて実戦に基づく貴重な情報を
集める。ロシアの電子戦に対抗する
うえでの手助けになる。アメリカの
ウクライナ向け支援は支出ではなく、
長期的には戦略的な投資と見るべき
なのだ。

ヨーロッパは、アメリカからの防衛支援
に取って代われる状態にはない。この
30年間、ヨーロッパは軍事支出が不充分
で軍の縮小や効率化を進めており、
そのためウクライナに必要な武器や弾薬
を供与できないのだ。ヨーロッパ諸国
には、自国の軍隊とその持続可能性とを
再建することが急務である。ヨーロッパ
のDIBはいかなる意味でも必要に応え
られるだけのものを製造しておらず、
その表れの実例として100万発の砲弾
を供与するとの約束を守れておらず、
2024年から2025年にかけて防空
システムを供与するとの誓約も果たせて
いない。2024年には生産量が増強
されることを願うのだが ・・
そうなれば良いが。

黒海の危険 ・・・??


黒海

ウクライナは、黒海では優れた戦果を
挙げてきている。
黒海艦隊(BSF)の一部をクリミアから
他所に配備転換せざるを得なくなって
いるほどだ。ウクライナ南岸への陸海
共同での上陸という脅威は消えた。BSF
が認知されている艦船配備(maritime
recognized picture)を編成できる能力が
劣化した。フラグシップ艦を失い、
ミサイル輸送船の一部も失い、潜水艦も
1隻破壊された。ウクライナの港を閉鎖
する能力も弱体化した。

ルーマニア、ブルガリア、トルコの領海
を通過しての船舶輸送航路も、
ウクライナは再会できている。8月8日
以降、ウクライナ海軍が設けた
ウクライナ回廊経由で、ウクライナの港
から200隻以上の船舶が出港している。
さらに12月4日までに、ウクライナの
港に入港した船舶は 226隻にのぼって
いる。

今までのところ、ロシアはこうした
輸送海路には介入も封鎖もしない
ことにしている。この海路を封鎖する
選択も検討しているのかどうかと
尋ねられたロシア外務省のスポークス
パーソンMaria Zakharovaは、直接の
解答を避けたが、この輸送海路が軍事
目的に利用されている恐れがあるとの
嫌疑を述べた。これは7月19日付の
ロシアの「黒海でウクライナの港に
進行していくすべての船舶は、軍事
物資を輸送している可能性があるもの
と見なす」という声明を再度強調した
ものだ。つまり、そうした輸送船舶を
合法的な軍事標的とする、との含意
がある。

疑わしきは、攻撃する

この点でのウクライナの戦果は目を
見張るものだが、BSF とその海軍
航空部隊とはお望みであれば民間船舶
の入港などを禁じ停泊させる能力を
保持している。そうした行為をロシア
が控えた場合には、西側がこの戦争に
直接に介入することを回避するという
長期的な目標のためである可能性が
極めて高い。外国船隻の船舶を沈没
させたり、損傷を与えたりすれば、
まさに西側の介入を招く危険性があり
得る。あくまで、可能性であるが。

 

本論調にある見解は著者自身のもので、
Kyiv Postの見解でもあるとは限り
ません。

*************************************

よく見てみれば ・・・
私の点描練習

今回のパート3には、核兵器や原発の
話題が直接には登場していません。
ですが、
・ そもそも核兵器使用されたら・・・
という脅威が、現在の状況を招いた
大きな要因の1つ。
・ こうした現状のただ中に、原発が
立っている。
という現状は充分に意識しておくべき
ですね。
特に、私たち反核勢力は、こうした
世界情勢などにも目を光らせておく
必要があります
福島第一からの ”トリティウム水”
排出もウォッチを続けるべきですが、
同時に世界ではウクライナ、イラン、
サウディ、北朝鮮などなどで凝視を
続けるべき事態が進行中です。
反核勢力のやるべきことは、極めて
多いのですね。

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Hans Petter Midttun氏による論調、 パート2

Hans Petter Midttun氏による論調、
パート2
OPINION:
Europe in Flames: the Factors of
Concern (part 2)
(論調
炎に包まれるヨーロッパ: 憂慮すべき
要因 (パート2) )

ウクライナで最も長い歴史を誇る英語紙
Kyiv Post にあるEurope in Flames: the
Factors of Concernのパート2です。
今回は、いよいよ核リスクに関する
言及も登場します。
英語の元記事を読みたい方は、下を
クリック:
Opinion: Europe in Flames: the Factors of Concern (part 2) (kyivpost.com)

ロシアVSウクライナ戦争は決して、
特定地域だけの紛争ではない。
ヨーロッパの未来が左右される。
西側を待ち受ける選択肢を考察する、
5つのパートからなる徹底論調の
パート2。

長くて疲れる~~
私の人体デッサン
Croquis Cafe 366をベースに

かなり長い論考ですが、読む価値は
あります。お時間のない方は、
何回かに分けてどうぞ。

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

*************************************
Hans Petter Midttun
2023年12月27日

核リスク

今回の全面戦争が始まって2年近くに
なり、<ロシアによるクリミア侵略の
開始からだと> ほぼ10年になる。
クリミア侵攻が始まった際に西側は
軍事的には介入しないことにしたの
だが、それは核での衝突という極めて
仮説的な不安のためであった。今や
我々は、数種類の核災害のリスク
<たとえばザポリージャ原発の状況
など> が現実に存在し、しかも増大
を続ける中で生き続ける術を得て
しまっている 。

人類史上初めて、15機もの原子炉が
ある場所で熾烈な戦闘が繰り広げられ
ている。ザポリージャ原発は、2022年
3月以来今も <ロシア軍に> 占拠され
ている。人員が不足しており、定期的な
外部電源供給の喪失が発生している。
メインテナンス作業のできず、本来の
設計や既存の規則とは食い違った稼働が
なされている。

1986年のチョルノービ原発大事故を
上回る核大災害のリスクが、日増しに
増大している。

この下を探していくと、ザポリージャ関連の記事は多数あります

防空

ウクライナの防空装備(air defense、
AD)は旧ソヴィエト時代の遺産の
ような代物で、徐々に劣化している。
しかも西側からのADの供与は時間が
かかり、限定的なものだ。NATO加盟
諸国の大半は、冷戦の終結以来現在
まで、頑強なADネットワークへの
投資とメインテナンスを怠ってきて
いる。そのためそうした諸国には、
ウクライナに供与できる装備備蓄が
少ないのだ。しかも多くの諸国では
大急ぎで自国のADを再構築し深刻な
脆弱性をなくそうと慌てている始末だ。

最近供与の約束があったものの多くは
まだ出来ていないシステムの供与で
あったりする。たとえばドイツは
IRIS-T というシステム8つをウク
ライナ軍に支給すると約束したのだが
そのうち3つが納品済みだ。<まだ
5つ残っている> アメリカは
NASAMS12個のウクライナへの供与を
約束したが、そのうち最低で6個は実際
に供与されることになりそうだが、
時間がかかる。(2025) カナダも
NASAMS1個の供与を約束したが、
まだ実際に引き渡せてはいない。

旧ソヴィエト時代の武器を~~~

すぐに供与できるADが不足している
ことに困ったアメリカは、Franken
SAMUS 防空システム(ハイブリッド
型のADシステム)用の技術を供与
した。ウクライナの軍事力を増強する
ためである。このアメリカが実施した
FrankenSAMプロジェクトでは、次の
3種類の作業を合体させている。1つは、
アメリカのSea Sparrowというミサイル
を <ウクライナが保有する>
ソヴィエト時代のBuk発射機で発射
できるようにするというものだ。2つ目
として、アメリカのSidewinderという
空対空ミサイルとソヴィエト時代の
レーダーの組み合わせ。3番目のプロ
ジェクトは秘密とされているが、最も
効果の高いものとされている。

ロシアの戦闘機は、昨年
<2022年> 春以来、ウクライナの
制御している領空を飛んではいない。
だがロシアは長距離ミサイルと
ドローン両方の製造を増大させており、
2024年に入りウクライナのADネット
ワークが弱体化した場合には、戦況は
ロシア寄りに劇的に変化してしまう
だろう。

弾切れだと、何もできない・・・


防衛産業

エストニア国防省の推定によれば、
「西側同盟の155mm 砲撃システムは
ロシアの相当砲撃システムである
152mmシステムよりも射程が長く、
発射速度も高く、精度もよい。 現地
での火力での優越性をウクライナが
維持するには、最低でも毎月 200,000
発の砲弾を必要とする。これだけの
砲弾を供給すると、ヨーロッパと
アメリカの2024年用砲弾備蓄がなく
なってしまい、弾薬をその他諸国から
大量に買い入れる必要が生じる」

ウクライナは既に、弾薬の不足に悩んで
いる。ウクライナ軍の砲兵たちは弾薬を
散発的に使用するしか選択がない。
ウクライナの同盟諸国が現在供給できる
以上の弾薬を、ウクライナは必要として
いるのだ。この不測のためウクライナ軍
は、弾薬の割り当てを変更し軍事任務の
作戦を変更することを余儀なくされて
いる。「砲弾がないままでは、単に
ロシア軍に占領されている領土を取り
戻せないだけでなく、ロシア軍の攻撃を
止められず、結局はこの戦争に敗れる
ことになってしまう」 砲弾不足のため
ウクライナ軍(Armed Forces of Ukraine、
AFU)は一部の作戦の中断を余儀なく
された。

戦闘の前線全体にわたり、ウクライナは
今までソヴィエト時代の遺物兵器である
122mm と 152mm の砲弾の不足に
悩んできている。

今年9月、ウクライナは初めてロシア
軍と同等の火力を得た。だがその後、
ロシアは砲弾の輸入と製造量を増やし、
一方でウクライナへの西側からの国防
支援が減少していき、今ではロシア軍
からの砲弾発射量はウクライナからの
砲弾の5倍から7倍に達している。

これじゃ、刀でスナイパーに対抗するようなもの

 

それに応じウクライナは、国内での
砲弾製造の再建にフォーカスしている。
最近ウクライナは国際的な兵器企業
数社と数件の契約を締結、兵器と弾薬
の合弁製造の体制を固めた。だが
そうした製造ラインが稼働を始める
には、2から3年を要する。

この戦争が始まって約10年になるが、
アメリカとヨーロッパの防衛産業は
いまだに製造の増産に悩んでいる。
これは、国家政府が長期的な生産契約を
渋っているためだ。<その戦争が
始まった直後の2014年にNATO諸国が
集まりサミット会議をウェールズの
ニューポートで開催したのだが> その
ウェールズ会議から既に9年が経過して
いるものの、しかも戦争は拡大激化して
いるにも関わらず、その会議での決定
事項を守って実行しているのは出席
31か国のうちわずか11か国に過ぎない。
GDP比率で2%を防衛費に充て、防衛費
の中の20%を設備費とする、という
目標であったのだが。31か国のうち
5か国は、いずれの目標にも到達できて
いない。 その結果、西側はウクライナに
供与できる兵器と弾薬とが多かれ
少なかれ不足しているのだ。だがこの
欠乏は既に1年半前に「はっきりと警告
があった問題」<writing on the wall、
ヘブライ聖書(旧約聖書)のダニエル書
5章を参照> であり、西側は適切な
戦略を採択できなかったのだ。

これに対しロシアはその国防産業ベース
(defense industrial base、DIB)を
徐々に動員、ウクライナでの深刻な
損失に対処し長期的な戦争努力を維持
できるように努めている。経済制裁の
作用を軽減するための策略も、以前から
設定済みだ。プーティン大統領はロシア
経済と社会とを戦時体制に以降させつつ
ある。2024年のロシアの国防予算は、
同国の予算総額の29.4%に達しており、
1/3に近い。こうした動きには必ず問題
が伴うものだが、勝つためなら何でも
するという決意の実証であることに
間違いはない。

同盟があっても、同盟外の戦争にどこまで関与できるのか??


NATO
による抑止

NATOによる抑止は、作用しない。
なぜ作用しないのか、その理由には
いくつかあるのだが、最も重要な理由を
1つ選ぶとすれば、そもそもNATOと
いう抑止が作用するのであれば、今回の
ようなウクライナでの全面戦争は
始まっていない。なぜか?NATOという
同盟は「NATO諸国の安全保障に影響し
うる発生中の危機が軍事紛争に発展して
しまうことを防止し、すでに発生した
紛争が同盟諸国に影響するのを防止
する」ためのものなのだ。NATO は
ウクライナを守るという使命を認めて
おらず、あくまでウクライナを支援する
ことで時刻を守ろうとしているのだ
(その例が、ポーランドやエストニア、
ラトヴィア、リトアニア、チェコ
共和国、ルーマニアなどであり、
しかもそうした諸国が増えつつある)

侵略を検討しながら、ロシアは2010年
の戦略コンセプトで定めたところに則り
NATOの関りを査定していたこと
だろう。そして、NATOは恐れるに
足らずと判断したようだ。困ったことに
ロシアの判断は正しかったことが実証
されてしまった。

不協和音・・・

NATOの凋落

私 <Midttun> は以前、NATOという
同盟の今後に疑問を呈した。
Will NATO survive the war? – Euromaidan Press

NATOは言葉の上では団結を標榜して
いるが、その関与意識のレベルの
メンバー諸国間の違い、共通の戦略の
欠落、政治的意志の欠如や軍事力の
差などで不協和音を奏でている。
ヨーロッパは安全保障や国防への投資
において失敗を続けており、アメリカ
もヨーロッパへの関りという点では
目標に到達できず、さらには価値観や
原則の共有ができず統一性に欠ける。
NATO加盟諸国の間では、そのため
不整合が見られるのだ。

その結果、今回の <ウクライナでの>
戦争は規模と範囲という面でヨーロッパ
を巻き込んで拡大しつつあるのだ。

こんなのが当選したら ・・・

選挙

アメリカでもヨーロッパでも2024年
には重大な選挙がいくつかある。2024年
の大統領選挙でドナルド トランプが勝利
したら ・・・ というのが多くの人たち
の深刻な懸念事項になっている。
トランプはヨーロッパへのアメリカから
の支援を削減し、NATOからも脱退する
恐れがある。

だがアメリカ議会では民主・共和両党
ともウクライナへの強い支援方針を
示しており、アメリカの国益にとって
ウクライナの勝利がいかに不可欠かも
認識されている。そうであれば、
アメリカからの支援がなくなってしまう
ことは考えにくい。むしろ、支援の規模
や範囲が問題となろう。

そうはいっても、アメリカ政治では孤立
主義的な感情が長年存在してきている。
ウクライナそしてヨーロッパの安全保障
をめぐる安全保障や防衛政策の検討に
おいても、この孤立主義は大いに浮かび
出ている。バイデン政権は結局のところ
ウクライナを勝利に導くことはできて
いないのだ。

私 <Midttun> としては、ヨーロッパ
で予定されている選挙が気がかりだ。

生活費の高騰のため前例がないほどに
抗議活動が急増しており、ストやデモ
行為、暴動なども増え、世界的に
過激な活動が増大している。

そのため、政治的な局面も徐々に変化し
つつある。ヨーロッパ全体で極右政党が
勢力を拡大、NATOもEUも今後の結束
が危ぶまれている。オランダでは先日の
選挙で極右視力の政府が成立したが、
これもあくまで最新の「被害国」で
あるに過ぎない。

監視機関だけがあっても ・・
「いちぬけた~」があり得ます


チェンバレインが大勢なのにチャーチル

がいない
(この下にある「パート1」で、
最後の段落を参照)

アメリカにもヨーロッパにも、戦略的な
思想家がいない。「この時代における
平和」が何十年も続いた時代の後と
なった現在、各国政府も省庁も軍部も
学術界もメディアも、安全保障に関する
リスクや通常兵器ならびに核兵器による
戦争、危機管理、全体的な国防、抑止、
準備態勢、持続可能性、その他の問題を
大人の話し合いとして討議するための
経験も知識も、そしてヴォキャブラリー
さえも、失ってしまっているのだ。

この戦争が始まって10年になるが、
西側は今も今迄からの戦略を踏襲して
しまっている。その戦略のおかげで、
ロシアは平和を危機と紛争、戦争に
変えてしまったのだが。ロシアは対立を
激化させ拡大しつつあり、グローバル
サウスとの関係強化を進めているという
のに、西側はこの戦争からの「津波の
ようなさざ波効果」を甘んじて受け
止めているのだ。

新たな、より勇気ある戦略が間違いなく
必要だ。ウクライナでロシアが勝とう
ものなら、ヨーロッパの安全と安定も
破壊されてしまう。

バケモノは、こっちにもやってくる恐れが

本論調にある見解は著者自身のもので、
Kyiv Postの見解でもあるとは
限りません。

Hans Petter Midttun氏について:
独立系のアナリストで、Hybrid Warfare
を専門とする。Centre for Defence
Strategies(防衛戦略センター)の非常勤
フェロー、Ukrainian Institute for Security
and Law of the Sea(ウクライナ安全保障・
海洋法研究所)の理事会メンバー、また
ノルウェーの対ウクライナ国防アタッシェ
も歴任、またノルウェー軍士官でもある。

***************************************

核兵器保有国が「イカレて」しまったら
・・・
全世界が手に負えない事態になりかね
ない。
それが現実化してしまった実例が、
今現在進行しているわけですね。

ああ、見てられない・・・
私の人体デッサン, Croquis Cafe 200をベースに

核兵器と核発電の廃絶は人類の必須
課題の1つですが、「発電は平和利用
でしょ?」という無知な認識を、いま
だに目にします。日本では、反原発運動
の中でも、そうした誤認識を目撃して
きました。
そこで、日本語で「核兵器と核発電の
不可分性」を説明するウェブサイトと
して、本「やかんをのせたら~~」の
運営を続けております。

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炎に包まれるヨーロッパ: 2024年 の予測 (パート1)

Hans Petter Midttun氏による論調、
パート1
OPINION:
Europe in Flames: a Prognosis for
2024 (part 1)
(論調
炎に包まれるヨーロッパ: 2024年
の予測 (パート1) )

”Weeping Face”
私のかなり昔の作品

現在のウクライナでの戦争は、少なく
ても2つの点で「核」が絡んだ戦争です
よね。
・ ロシアによる核兵器使用の「脅し」
のため、西側が軍事的には介入できない
・ 核発電施設(原発)が戦闘に巻き
込まれている
その意味で、当のウクライナの報道
機関に紹介されている専門家による
本戦争の考察を、「やかんをのせたら
~~」では取り上げないわけにまいり
ません。
ノルウェーの軍事顧問などを務めた
独立系アナリスト Midttun さんの考察
が、Kyiv Postに紹介されていますので
紹介しますね。

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

英語の原テキストを読める方は、
そちらにどうぞ:
Kyiv Post — Ukraine’s Global Voice
(ウクライナで最も長い歴史を誇る
英語紙です)
Opinion: Europe in Flames – a Prognosis for 2024, Part1 (kyivpost.com)

******************************

Out in the cold —
私のかなり昔の15分クロッキー

ロシアVSウクライナ戦争は決して、
特定地域だけの紛争ではない。
ヨーロッパの未来が左右される。
西側を待ち受ける選択肢を考察する、
5つのパートからなる徹底論調の
パート1。

Hans Petter Midttun
2023年12月26日

パート1: 基礎事項

予測をするのは、困難な作業ではない。
だが的確な予測をするとなると、
大変だ。そのため、何が変化しうる
要因で、何がそうではないのかを明確
にすることが大切だ。私の2024年
予測では、現状を続けるとみられる
要因の一部と、変化がありそうな要因
の一部とに光を当てる。

まず時間と空間を問わず現状のままで
あり続けそうな要因であるが、それら
をこの分析の出発点としよう。一方の
変動要因とは、2024年にこの戦争の
要望を作っていきそうな要因である。
そうした要因の例として、ネガティブ
なトレンドとポジティブなトレンドの
両方がある。ただし、変動要因の中には
ネガティブにもポジティブにもなりえる
ものもある。不確実性や未知の要因だ。

振り返れば、あの日・あの時 ・・・
オイルパステルでの20分クロッキー


現状を続けそうな要因

まず、この戦争を分析する場合、必ず
2014 年という年が開始地点となる。
2024年2月20日が来れば、この戦争
は <ロシアによるクリミア侵略開始
から数えるなら> 10年続いている
ことになる。確かに2022年2月24日
にこの戦争は劇的に拡大したのだが、
それでも「Hybrid War」(複合戦争)
であることに違いはない。

侵略者も同じ、兵器や目的も同じ、採用
戦略も同じ、使うツールも変わって
いない。2014年から。

2年前にロシアは、主な努力の在り方を
非軍事的な努力から軍事的なものに切り
替えた。だがその軍事的努力は、今も
あらゆる非軍事的ツール (たとえば、
外交や政治、エネルギー、経済、情報、
安全保障、州境など) に支えられて
いる。

情報操作やプロパガンダ、積極的な
各種手段が今も、Hybrid Warに不可欠
な要素である。ほぼ10年間続いている
この戦争の展開している主な領域とは、
市民たちや意思決定・政策決定者たちの
認識という空間の内部にある。戦闘や
情報操作、サイバー攻撃、脅迫、脅し、
挑発、でっち上げ、軍事偽装、その他の
手の込んだ手段により、一種の仮想
現実を作り上げているのだ。それを
受けて西側はロシアの望むような政治的
決定を下しているのだが、それがロシア
の操作によるものだとは考えもして
いない、あるいは認めていないので
ある。

え!!下手すると核使うぞって ・・・

核による脅迫は、絶えずこの戦略の一部
であった。だがそれ以上に今では、
ウクライナでロシア陸軍が苦闘して
いるが、その核という「既成事実」戦略
が大変効果的であることは、既に何年も
実証されてきている。そのために西側
<の軍隊> は踏み込めず、ウクライナに
決定的に関わる決断ができないでいる。

この戦争の最初の8年間もそうであった
が、交渉をほのめかすことで西側の
ウクライナ支援という決意が揺るぎ、
支援が手薄になっている。

第2に、ロシアの狙いは2014年から
変わっていない。<今年の> 12月9日
ロシア外務省のスポークスパーソン
Maria Zakharova は「ウクライナを
中立・非同盟・非核という状態に保ち、
その武装解除と非ナチ化を進め、
<ロシアが略奪した> 新たな領土を認め
ウクライナに暮らすロシア語を話す住民
や少数派文化集団の権利を確保すること
が重要だ」と強く述べていた。

「非ナチ化」という用語は、ロシアに
都合の良い政権変革を言う。「武装解除」
と「ウクライナの中立・非同盟・非核」
は今後のロシアによる領土などの拡大に
対し、位名が無防御に晒されるという
ことだ。

その5日後 <12月14日> に
プーティン大統領は「ウクライナの
非ナチ化や武装解除、中立といった
・・・ 目標を実現すれば、平和が
訪れる」と力説した。

諦めねえからな!

ウクライナとその国際的なパートナー
諸国による抵抗にも関わらず、ロシアは
ウクライナ(とベラルーシ)を服従
させるという目標を諦めていない。
ロシアはすでにクリミアと4つの州を
非合法に併合しているが、それ以外の
地域への領土的野望は衰えてはいない。
さらに重大な問題として、ロシアは今も
アメリカやヨーロッパの犠牲の上で
超大国としてのステータスを勝ち取ろう
と躍起だ。旧ソヴィエト連邦の解体に
よって被った歴史的な不当な被害を正し
たいと、ロシア政府は考えているのだ。
かくして、東部ヨーロッパ背の影響力
を取り戻そうとしているのである。

第3に、現在の戦争はロシア対西側と
いう大きな意味での対立の一部でも
ある。ウクライナを降参させるという
のは、はるかに大規模の目標の一部に
過ぎない。ウクライナなしでは、ロシア
は超大国にはなれないのだ。ウクライナ
(とベラルーシ)とをロシア連邦に取り
込んだ暁には、ロシアは大規模な人口
動態問題を解消できると睨んでいる。
さらにロシアは、ウクライナの防衛産業
や技術、それに関連した制度や機関、
世界有数の農業地域の一部、さらに鉱物
資源、天然ガス、石油の豊富な埋蔵をも
掌中に収めようとしている。<この併合
が実現するなら> 少なくても、ロシア
軍をロンドン、ベルリン、パリから
今までより1,000㎞近い位置に配備
できるようになる。

ウクライナを従属させることは、ロシア
が超大国としてのステータスを手に
入れるための前提である。アメリカ
そして中国と肩を並べる超大国と認め
られるには、人口も経済力も技術も、
したがって軍事力も強力でなければ
ならないのだ。

俺たちは配備する、お前らはするな!
どういう屁理屈や!?

つまり、ヨーロッパのすぐ隣に攻撃的で
帝国主義的な大国が出来てしまい、
それが軍事力を行使して次の目標を
達成しようとするわけだ。その「次の
目標」とは、ヨーロッパへの影響力だ。
NATO軍を1997年の境界にまで引き
下がらせること、アメリカが軍と
核兵器をヨーロッパに配備できない
ようにすること、なのである。

第4に、今回の戦争は根本を揺るがす
ものだ。ウクライナは、存亡をかけて
戦っている。ロシアは、超大国になり
たいという野望にうなされて戦争を
始めた。その野望を実現するには、
ウクライナを破りロシアに併合して
しまうことが不可欠だ。こうした、
相手に挑発されたわけでもない戦争を
始めてしまうと、引っ込みはつかない。
友好諸国も、敵に回してしまった。
世界はもはやロシアのことを、帝国
主義的、侵略的な犯罪国家と見なして
いる。結果としてあり得るのは、勝利
を収め(そして超大国となった)
ロシアか、敗北し(国際コミュニティ
ではパーリア国家と扱われる)ロシア
か、のいずれかなのだ。

だがその同じ今回の戦争は、西側に
とっても根本を揺るがすものだ。
ヨーロッパの安全を保つ多雨には、
ウクライナが領土を完全に保ち、
独立と主権を維持することが不可欠
なのだ。Josep Borrel <スペインの
政治家、以前に欧州議会の議長も
務めた> の言葉を借りれば、
「ウクライナの敗北は、我々
ヨーロッパの敗北だ」なのである。

第5に、ウクライナへの敗北をロシアが
認めることは決してありえないという
ことを、我々は弁えておく必要がある。
西側が歩調を揃えてウクライナに必要な
ものを供給、ウクライナがロシア軍を
国外に追放できたとしても、ロシアは
敗北を認めることはない。ロシアの
歪んだ「物語」の中では、ウクライナ
は「存在しない」ことになっている
からだ。

核を持った国家は、下手をすれば
隣国の存在そのものを ・・・

ベストのシナリオでも、ロシアが
ウクライナからの撤退を受け入れると
すれば、受け入れなければウクライナ
よりもはるかに強力な相手と戦わねば
ならなくなる場合だ。そうなれば、
ロシアの現体制も国家の存続も危ぶまれ
てしまうリスクがある。

最後に西側は昔からの行動習慣を踏襲
している。1930年代にそうしたように
西側は侵略国家が平和を破壊し危機と
紛争、戦争を引き起こすのを傍観する
ことを選んでしまった。その結果、
侵略者は軍事力によって戦略的目標を
達成できると信じ込むに至って
しまった。

根拠なき恐怖 ・・・

再度、西側は根拠なき恐怖に支配されて
しまっている。過去の戦争(と国際的な
作戦)の経験に嫌気がさし、戦略的な
思考をする者もいない。「今は平和な
時代だ」という精神性が支配的なのだが、
現実はその反対なのだが。自由世界には
現在、チェンバレインは有り余るほど
いるのだが、チャーチルがいない。
<Arthur Neville Chamberlain (1869 –
1940) は昔の英国の首相 (1937 – 1940)。
ナチスに対する宥和政策を採用した。
一方の Winston L. S. Churchill (首相
在任は1940 – 1945, 1951 – 1955) は
ナチスに対する対抗姿勢を示した>
第二次大戦前夜の時代と同じく、
ヨーロッパもアメリカも火災が鎮火
不能に広がる前に消化してしまおうと
いう意志に欠けるのだ。

ああ、鬱になりそうな ・・・
私の点描練習

本論調にある見解は著者自身のもので、
Kyiv Postの見解でもあるとは限り
ません。

Hans Petter Midttun氏について:
独立系のアナリストで、Hybrid Warfare
を専門とする。Centre for Defence
Strategies(防衛戦略センター)の非常勤
フェロー、Ukrainian Institute for Security
and Law of the Sea(ウクライナ安全保障・
海洋法研究所)の理事会メンバー、また
ノルウェーの対ウクライナ国防アタッシェ
も歴任、またノルウェー軍士官でもある。
****************************************

ヨーロッパがロシアにどう向き合う
べきか、というお話ですが、そこでも
やはり核問題が絡んでいますよね。
核兵器というものは実に厄介なもので、
それを人類はわざわざ作ってしまったの
です。廃絶するのが「ヒトの責任」だ、
と言ってよいでしょう。

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イスラエル企業がγ線防御技術を

イスラエル企業がγ腺防御技術を

The Times of Israelのウェブサイトより
Israel’s StemRad inks $4.5m contract to shield US troops from gamma radiation (msn.com)

Israel’s StemRad inks $4.5m contract
to shield US troops from gamma
radiation
(イスラエルのStemRad社、アメリカ
軍兵士をγ放射線から守る技術の供給
を、450万ドルで契約)

防御服の類は、いろんな場面で必要に

イスラエルのStemRadという放射線
防御用品の企業が、ヒトをγ腺から
守る技術を開発、アメリカ軍などに
販売するかも、というニュースです。
放射線はいずれも人体に有害ですが、
γ腺は特に貫通力が強く、防御し
にくいのは有名ですよね。それから
人体を守れる技術ができたのなら、
それ自体は良い知らせなのですが ・・・
そもそも、核兵器と核発電を廃絶
すれば、もっと効果的で安価な
「防御策」になるはずでして。

では、いつもどおり
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

********************************
Sharon Wrobel記者
2023年12月22日

γ腺は人を死に至らせる危険性を有して
いるが、イスラエルで開発した技術が、
アメリカ軍兵士たちをそのγ腺から守る
ことになりそうだ。これがあれば
アメリカ軍兵士たちは、アメリカ国内
での核事故に対して対応しやすくなる。

イスラエルのStemRad社は放射線
防御服を開発している企業で、その
防御技術は宇宙探索や緊急対応、軍隊、
核発電作業員、医療人員などに活用
されている。そのStemRad社が
アメリカ国防省と、450万ドルの契約を
締結した。同社の放射線防御シールドを
アメリカ警備隊(National Guard)に
導入するためだ。.

テロ防御でも、やはり防御服は必要になるし~

この契約の一環として、イスラエルと
アメリカにまたがった企業である同社
は、360 Gammaという放射線防御用
ベルト630着を、アメリカ国内での
放射線事故などに対応する陸軍や空軍
の人員に供給する。こうした事態と
しては、ダーティ ボムやテロリスト
や敵国軍による攻撃、原子炉のメルト
ダウンなどの事故、その他がある。
さらにStemRad ではケンタッキー州
レキシントンにある国家警備隊事態
対応支援センター(National Guard
Consequence Management Support
Center)にて現地でのトレーニング
も行う。

「この21世紀、核と放射線の脅威は
増大の一方だ」 そう語るのは、
StemRad社のCEOを務めるOren
Milsteinだ。「ウクライナ島南部に
ありヨーロッパ最大の原発である
ザポリージャ原発を現在ロシア軍が
占拠している。イランや北朝鮮と
いったいくつかの国々も、核兵器
保有を目指しているか、既に保有
している」

「そうした展開の中、緊急事態対応策と
緊急対応人員を有害なγ線から守ること
の重要性が浮き上がる」とMilstein は
述べた。

イスラエルとアメリカにまたがった企業
であるStemRadは、2011年の福島第一
事故を受け、緊急対応人員を保護する
技術を開発しようと、Milstein と Daniel
Levittとが設立した。原発事故などでは
緊急対応人員は、貫通力の極めて強い
ガンマ線に被ばくしてしまう。
StemRadの放射線防御スーツは、原発
の作業員や放射線を浴びる緊急対応員、
内科医、軍人、宇宙飛行士などを防御
するために使用される。

裸体に放射線を浴びたりすると、大変なことに ・・・
私の昔の作品
Pastel on paper

テル アヴィヴに本社を置くStemRadは
アメリカのフロリダ州タンパ ベイにも
オフィスを有しており、生物学の専門家
や核物理学者、産業デザイナーたちの
チームを擁している。その中には、
ノーベル賞受賞者3名もいる。

現在までに同社は1,600万ドルを集めて
おり、リード投資家Jeff Vinikの支援を
受けている。Vinikは以前にはFidelity社
でヘッジ ファンド マネジャーを務め、
またフロリダのホッケー チーム「タンパ
ベイ ライトニング」(Tampa Bay
Lightning)のオーナーでもある。さらに
Alex Gurevich博士は以前、JP Morgan
ならびにタンパ ベイの <資産家で
ある> パテル一家で、グローバル
マクロ トレーディングのヘッドで
あった。

StemRadの技術は全身を保護しようと
するものではなく、放射線に対して特に
敏感な内臓器官を選んで保護する。
そうした器官の例として、腰や背骨の
骨髄や胃腸がある。

γ線に被曝すると、放射線障害を起こす
危険がある。以前には急性放射線症候群
と呼ばれていたもので、血液細胞の破壊
の加速、骨髄の損傷が続くため血液細胞
の補充ができなくなる、などの問題が
生じる。新たな血液細胞を作り出すには
骨髄 <の健全な機能> が必要だ。

全身の骨髄の約50%は鼠径部ならびに
胴体の中央部にある。そうした個所を
StemRadのスーツが保護するのだ。
これにより、作業員や緊急対応員は
放射線の悪影響から保護され、しかも
他人を助けるために必要なだけの体の
自由な動きを維持できる。

動けないんじゃ、意味がない~

「人体保護のための製品として弊社の
製品が承認を得たので、2024 年から
2025年にかけてアメリカ軍の他の部門
いくつかも弊社の技術の購入を検討して
いる。今後何か月かで、アメリカ本土の
防衛を任務としているアメリカ軍の
警備隊以外の各種部門も弊社の製品を
入手することとなろう。さらにその後
には、戦闘部門にも進出する計画だ」
とMilsteinは述べている。

「さらにその他の顧客候補としては、
核発電企業、アメリカ以外の軍隊
(NATO加盟諸国など)、人口が密集
した大都市の消防隊員などがある」
とも、彼は述べている。

2023年これまでに、StemRadはその
360 Gamma放射線シールドを60着、
ウクライナの緊急対応や緊急救助
サービスに寄贈した。ザポリージャ原発
の近辺に配備されている人員だ。この
シールドはベストの一種で身体に着用
するのだが、それをMilstein 自らが
キーフに届けた。ウクライナ南部に
ある原発へのたびたびの砲撃やロシア
のヴラディミール プーティン大統領
による核兵器使用の脅しなど、
ウクライナでの戦争の展開を受けて
のことである。

ダミーだよ

アメリカ国防省以外にも、StemRadは
<イスラエルの> ディモナにある
ネゲヴ核研究センター(Negev Nuclear
Research Center)やアメリカの議会
衛視、さらにはアメリカと日本の
いくつかの消防署とも契約を締結して
いる。またMilsteinによれば、商的な
セクターの顧客企業としてフロリダに
ある原発の原子炉2基とも契約
している。

StemRadの技術はさらに、宇宙でも
試験を受けている。NASAの無人宇宙
ミッションArtemis I が発射され宇宙
デビューを果たしたが、それには
同社のAstroRadというスーツを
まとったダミー人形が乗り込んでいた。
この放射線防御スーツはアメリカの
防衛企業大手ロッキード マーティン
(Lockheed Martin)と共同開発した
もので、重要な器官をγ線から守る
ためのスーツだ。
****************************************

ぬか喜びだった・・・私のかなり昔の10分クロッキー

上の記事にもあるように、1991年に
冷戦が集結してしばらくは、世界から
核の脅威が薄らいだと暢気に構える
流れが支配的でした。でも21世紀に
入ってしばらく経過してみると、
核の脅威は全く軽減していない
どころか、新たな核兵器保有国が
生じている始末です。
核兵器と「もともと核兵器の製造
手段であった」核発電との廃絶を
求める世界的な動きが、もっと
喧しくなってしかるべきでしょう。

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核発電を3倍にという合意、暗礁に ~ Beyond Nuclear Bulletin 2023年12月21日号より

Beyond Nuclear Bulletin
2023年12月21日号より

Triple nuclear plan lands with a thud – Beyond Nuclear

Triple nuclear plan lands with a thud
(核発電を3倍にという合意、暗礁に)

COP28での「核発電を3倍に」という
誓約の件ですが、「やっぱりなあ~」
と言いたくなる現状のようです。
Beyond Nuclear Bulletinより、
その記事を。

笑うしかない目標 ~~

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
***********************************

核発電を3倍にという合意、暗礁に

2023年12月19日

COP28では、2050年までに全世界の
核発電容量を3倍にする宣言がなされ
たが、この会議の終了後にさらに精彩
を失うことになった。まず、Sharon
Squassoni
 <という科学者> が
The Bulletin of the Atomic Scientists
に優れた数の分析を披露している。
核発電を拡大しようとしているのは、
わずか22か国に過ぎない。しかも、
そのうち17か国では、既に核発電
プログラムをすでに進めている。
残る5か国には核発電プログラムが
なかったが、Squassoniによれば
「これら5か国が今後20年間で
核エネルギーを3倍にするという目標
に大きく貢献できる見込みは小さい」

Squassoniはさらに、「その5か国
以外の <核発電プログラムを既に
有している> 17の署名諸国は、
核エネルギーを利用している世界の
すべての国のうち半数強に過ぎない。
そのため、現実に2050年までに
核エネルギー利用を3倍にすると
いう目標達成には、どれだけの
サポートがあるのかという疑問が
生じる」

明日の地球??こんなことに、なりませぬよう!

Common Dreams <という
アメリカに本拠を置くニュース
ウェブサイト> の運営編集長である
Jon Queallyは、気候変動の活動家たち
や学者たちからの批判を集めているが、
そうした人々全員の結論として今回の
核発電宣言は危険なもので、気候変動
対策を妨害してしまうとともに、
「<核発電は> あまりにも費用が
かさみ、リスクも大きすぎ、民主主義
に反し、工期もかかり過ぎる」

さらにQueallyはある事実を思い
起こさせてくれている。既に2019年
に「ハーヴァード大学のNaomi
Oreskes教授と著名な作家にして心理
歴史学者のRobert Jay Liftonが」既に
著していたことだが、「核発電の
提唱者たちは核発電は ”クリーンで
効率的、経済的、安全な技術だ” と
主張しているが、実際にはそのいずれも
該当しないことは既知の事実なのだ」
Orsekes と Liptonがその当時に記した
ように、「<核発電は> 高価なうえに
我々の物質面にも心理面にも深刻な
危険をもたらす」  両者は「気候変動
対策の技術として核発電を採用して
しまうなら」、原発の新設が加速し
「世界規模の核危険性地帯ができて
しまう。地球規模の危険システムで
あり、人類の自己滅亡を招きかねない」

無理です ・・・

World Nuclear Industry Status Report 
<この下にある12月9日付の記事でも
登場してます> の2023年版が先日
発行されたところだが、その主要著者
であるMycle Schneiderが The Bulletin
of the Atomic Scientistsのインタビュー
を受けた際、今回のCOPの核発電
3倍宣言は「実現可能性という点では
実現不可能だ」と述べている。.

Schneiderはさらに、次のように述べて
いる。「小型モジュール式原子炉
<SMR、上の黒いメニューでページ
s-1) 参照> を利用してこの目標の
実現に近づこうとするのであれば、
その目標に近づくためにはSMRを
何百基、何千基と新設せねばなら
なくなる。そんなことは、不可能だ。
現実を直視して何が実際に実現可能
なのかを議論すべきだ。
それを議論して初めて、ある目標の
賛否を論じることが可能になる」

一方の2030年までに再生可能
エネルギーを3倍に増大させるという
目標については、Schneiderは「今から
7年以内、という目標だが、私の見方
ではこの再生可能エネルギー増大目標
を達成できれば、核エネルギー増大
目標の亡骸を収めた棺桶に、とどめと
なる釘を刺すこととなろう」と指摘
している。
****************************************

絵に描いた餅」ならぬ「絵に描いた原発」

だいたい、核発電は大事故が発生しなく
ても、とにかく巨額のカネがかかる
ものです。
計画から発電までの調査や交渉、工事
期間も長いですし。廃炉作業も長期間・
巨大費用を擁しますよね。(現在、
日本の東海村で実証済みです)

そんなものをワザワザ3倍に増やそう
といっても、乗ってくる国がわずか
なのは、初めから目に見えていたこと
でして ・・・ たとえ事故が全く
なくても、核発電とはひどいカネクイ
ムシで非現実的な代物ですね。
そんなカネクイムシに喰わせる資金が
あるのなら、はるかに安上がりな再生
可能エネルギーに投じるべきでしょう。
(上の黒いメニューにある 付録 w-14)
も参照)

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先日の北朝鮮による ミサイル発射に関するAPの報道

North Korea and Russia clash with US,
South Korea, and allies over
Pyongyang’s latest missile launch
(北朝鮮とロシア、先日の北朝鮮による
ミサイル発射に関しアメリカや韓国、
その他同盟諸国と対立)

North Korea and Russia clash with US, South Korea and allies over Pyongyang’s latest missile launch (msn.com)

日本語になると、軍事面の情報が少なくなるのは、なんでやねん??

北朝鮮のミサイル発射については、
日本語メディアでも頻繁に取り上げて
らっしゃるので、「やかんをのせたら
~~」ではあまりカバーしません
でした。その代わり、日本語メディア
でほぼ無視されているイランの
ウラニウム濃縮などに注力してきた
のですね。
ところが。
最近どうも、日本語メディアによる
北朝鮮ミサイルのカバレッジが、短く
浅いものになってしまっているように
私には思えてなりません。
そこで、つい先日のミサイル発射に
ついて、APの報道を紹介しますね。

いつもどおり、
私の抜粋・日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

なんで、私を仲間外れに~~!?
そりゃ、ミサイル飛ばしてたら ・・・
けど、非難している側も核ミサイル持ってるってとこが~~

****************************************

Edith M. Lederer記者、AP

2023年12月20日

国連発 (AP) — 先日、北朝鮮が大陸間
弾道ミサイルを発射したが、それを受け
国連は火曜日 <12月19日> 緊急の
安全保障理事会の会合を開いた。そこで
北朝鮮とロシアが、」アメリカ、韓国、
その同盟諸国と対立した。北朝鮮はこの
対立を、アメリカや対立勢力からの脅威
に対する「対抗警告措置だ」と主張して
いる。

北朝鮮の国連大使キム ソン(Kim Song)
は、韓半島 <朝鮮半島> の軍事・安全
保障情勢という点で、今年は「最悪の年
だ」と述べている。米韓合同軍事演習の
拡大と、「核戦争の危険」が高まって
いる <この半島という> 地域に
アメリカが原子力潜水艦を配備したうえ
その他の核施設まで導入したことを
指摘している。

一方、アメリカとその同盟国9か国は、
今年ここまでにICBMを5回、さらに
弾道ミサイル技術を利用して弾道
ミサイルを25回、人工衛星を3回
打ち上げたことを指摘した。 これは
安全保障理事会の複数の決議に違反
しており、「近隣諸国ならびに国際
コミュニティの平和と安全を」脅かす
ものだ、としている。

この会議の直前に他の諸国の大使たち
に囲まれた中でアメリカの国連大使代理
ロバート ウッド(Robert Wood)が
読み上げた声明では、アメリカと韓国を
含む10 か国は12月18日のICBM発射
とそれ以前のすべての発射とを非難した。

対立 ・・・

キムは国債コミュニティに対し、北朝鮮
の安全保障上の懸念事項を考えるよう
強く要請、北朝鮮による <上述の避難
への> 対抗措置は、北朝鮮が自国を
防衛するという当然の権利を履行した
もので、「明らかに打倒、正常な対応」
であると主張した。

キムはアメリカと韓国に対し、両国が
「無謀で無責任な <北朝鮮への>
軍事的脅威」を続けるのであれば、
北朝鮮軍は「立ちすくむことなど
ありえず、どのような結果を招いても
それは全面的に挑発した諸国の責任で
ある」と警告を発している。

北朝鮮はさらに「さらに先進的な武装
による戦略的実力の強化に努め、
アメリカやその同盟諸コックからの
脅威をはねのけ、制圧する。圧倒的で
決定的な反撃を、直ちに展開するのだ」
と、キムの警告は続いている。

安全保障理事会は、2006年に北朝鮮が
最初の核爆発実験を実施した後に制裁
を科した。それ以後も合計で10の
決議を採択して制裁を強化、北朝鮮の
核や弾道ミサイル プログラムを止め
させるための資金枯渇に努めてきたが
今までのところ功を奏していない。

最後の制裁決議が採択されたのは
2017年12月のことだった。2022年
5月にもアメリカ主導で決議が提唱
されたのだが、中国とロシアが拒否権
を発動した。この決議が採択されて
いれば、北朝鮮による大量の大陸間
弾道ミサイルの発射に対し新たな制裁
を設けることができたはずであった。
理事会としての審議などを、ロシアと
中国が拒否権を行使して食い止め、
<理事会としての> メディアでの
発表もその時以来できなくなった。

黙っていては~~

両国と対立している10か国、つまり
アルバニア、エクアドル、フランス、
日本、マルタ、韓国、スロヴェニア、
スイス、英国、そしてアメリカは、
安全保障理事会が沈黙していては
「違反諸国すべてと北朝鮮とに、
誤ったメッセージを送ってしまう」
と述べている。

これら10か国は北朝鮮に対し非合法な
核開発と弾道ミサイル開発のプログラム
を破棄し、「北朝鮮国民に充分な食料を
提供」して外交努力に切り替えるよう
求めている。さらに安全保障理事会の
すべての加盟諸国に対し、あまりにも
長期間続いている沈黙をため、
核不拡散体制を支えるよう強く要請
している。

一方、ロシアの国連大使代理アンナ
エフスティニェーナ(Anna Evstigneeva)
は、こうした北朝鮮への非難を求める
動きは「一方的なアプローチだ」と
している。

言葉なんて、どうにでも言える

ロシアの同大使は、状況は悪化を続けて
おり「危険の一歩手前にいる」と主張
している。北朝鮮も韓国も自己防衛と
いう名の下で敵対的な動きを正当化
しているとの指摘だ。さらにこの大使
代理は、アメリカが膨大な軍備を
韓半島地域に展開していると非難、
それが「<北朝鮮への> 攻撃作戦の
用意のようにいよいよ見受けられる」と
している。 アメリカ側は、敵対的な
意図は一切ないと主張しているのだが。

エフスティニェーナによれば、ロシア
は再度、「外的な圧力のない」政治的・
外交的手段で韓半島でのすべての問題
を平和的に解決するよう要請する
そうだ。

アメリカの国連大使代理ウッドはこれに
反論、アメリカの軍事演習は防衛のため
のものであり、国連安全保障理事会の
決議に違反したのは北朝鮮であり、韓国
でも日本でもアメリカでもないと述べて
いる。ウッドによれば、アメリカは
北朝鮮との無条件での話し合いを幾度も
開催しようとしたのだが、北朝鮮が拒否
してきた、とのことだ。
************************************

しっかりしなきゃ!
私の20分クロッキー

まあ、特に韓半島情勢などに詳しい
ウェブサイトなどであれば、この程度
の内容は日本語のサイトでもカバー
してらっしゃるものと思います。
しかし。日本語でのこの種のニュースは
多くがAPやReutersなどからの情報
ですから、やはり元の通信社による報道
を読んでおくことも必要ですよね。
そんな意味で、今後も時折、北朝鮮の
軍事関連の報道も紹介してまいり
ますね。

それと、ヨンビョンの原子炉 ⇒ Pu ⇒
核兵器開発という流れを考えれば、
「最近 旗色の悪い」日本の反原発団体
が「核発電と核兵器との不可分性」を
社会に訴え、核発電廃止を求める根拠の
強化に努めるうえでは、こうした北朝鮮
によるミサイル発射には声を上げるべき
だと考えます。もちろん、アメリカや
ロシアの核兵器に対しても。

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2050年までにウクライナが原発発電量 を3倍に?COP28の戯言?

2050年までにウクライナが原発発電量
を3倍に?COP28の戯言?

Ukraine Newsより
Ukraine pledges to triple use of atomic energy by 2050 | Ukrainian news (ukranews.com)

平和を祈っております!
私の、かなり昔のTシャツ作品

どうもCOP28の背後には、核発電産業
の裏金でも蠢いているのでしょうか??
原発をロシア軍に占拠されて困り果てて
いるはずのウクライナが、こんな約束
を?
それに、現在の戦争が終わった後には
ウクライナは巨額をかけて復興せねば
いけないはずですが、そのときに原発を
建設していたのでは、膨大な経費も
工事期間もかかります。そういう国に
とって、原発の新設というのはまったく
現実的ではない選択であるハズ。
すると、次の疑念も湧いてきますよね:
「それとも、実はウクライナは戦後、
核兵器を開発・保有することも視野に
入れているのか? 今後のロシアからの
侵略などを防ぐために??」
そうでないことを、私は願いますが~

なお、核発電が本当に気候変動対策
として役に立つのか否かについては、
本ウェブサイト「やかんをのせたら
~~」でも、黒いメニューの下の方
にある
付録 w-1) , w-3) , w-8)
をご覧くださいな。
他にも、この問題については多様な
ウェブサイトなどが取り上げて
らっしゃいます。

「燃料製造用の発電で煙だらけ、表向きはきれい」

では、いつもどおり
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

************************************
Ukraine pledges to triple use of
atomic energy by 2050
(ウクライナ、2050年までに核発電量
を3倍にすると誓約)

Tetiana Herasimova
2023年12月14日

ウクライナ、2050年までに核エネルギーの使用を3倍に、再生可能エネルギーの発電量も2030年までに3倍に、それぞれ増大すると約束

これを発表したのは <ウクライナの> エネルギー省の広報部門であると、ウクライナ ニュース機関 (Ukrainian News Agency) は述べている。

この報道によれば、気候変動対策会議COP 28 においてウクライナは2つの国際的宣言に署名した。

– 核エネルギーの使用量を3倍に増大する(2050年までに).

– 再生可能エネルギー システムの容量も3倍に増やす(2030年までに)

ウクライナのエネルギー大臣Herman Halushchenkoが2050年までにエネルギー部門を脱炭素化するとの報告を提出したが、これはアメリカのネット ゼロ ワールド (Net Zero World) というイニシアティブの一環として、アメリカの国立各研究所や科学者たち、専門家たちとの協働でエネルギー省からの支援を受け 作成したものだ。

さらに同報告によると、ウクライナのエネルギー施設の復旧や小型モジュール原子炉 <SMR、上の黒いメニューでページ s-1) に説明があります> に必要な基盤の開発とを、アメリカは今後も支援していくとのこと。

さらに、2030年までに国家エネルギー・気候変動計画 (National Energy and Climate Plan、NECP)を作成する作業における進捗も報じられている。.

PWR(加圧水型)の原理
再掲

<ウクライナの国営核発電企業である> Energoatom国営原子力発電社 (National Nuclear Power Generating Company) がウクライナの原発を運用しており、同国の原発はザポリージャ、リウネ、南ウクライナ、クメルニツキーの4か所だ。合計で発電ユニット15基を擁している。(そのうち13がVVER-1000という原子炉、2基がVVER-440 <どちらも、西側でいうPWRに相当します>)  合計での発電容量は、13,835 MWだ。

ザポリージャ原発は、ヨーロッパでは最大の原発。VVER-1000原子炉6基を擁し、総発電容量は6 GWだ。

2022年3月4日、同原発はロシア軍部隊に占拠された。

一方、<ウクライナの非政府系シンクタンクで政治経済問題を扱う> ラズムコフ センター(Razumkov Center)が2021年12月31日付で発表したところによば、 同国のエネルギー部門が設置している再生可能エネルギーの総発電容量は 9,655.9 MWで、これには個人住宅用のソーラー装置も含む。

だが2023年初頭にエネルギー省が報じたところでは、ロシアの侵略のため、ウクライナは既存の風力発電量の約90%、太陽発電も最大で40%を失ったそうだ。

Ukrainian News Agency が以前に報じているように、ウクライナは2032年までに核発電ユニットを2基新設し、SMRのパイロット プロジェクトも開始する計画だ。
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冒頭で申し上げた通り、どうも私には理解困難な決断です。
SMRがたびたび登場しているので、「売れていない」SMR業界からの宣伝・圧力があるのかと、勘ぐってしまいますね。

一刻も早くウクライナに平和が戻ることを祈り続けている私としては、戦後の復興のことも考えざるを得ません。そのときに、「SMRなら、とりあえず小さいので大型原発よりも安価に設置して電力を供給できる」ということで、SMRを設置する計画なのでしょうかねえ??

分からない~~
私の昔の作品

しかし。
SMRであっても、ただ小型というだけで、送電グリッドからの外部電源供給がなければ原子炉を冷却できないことは同じです。そのグリッドが、ロシア軍に痛めつけられていますよね、既に。
さらに、西側のSMR設計でアメリカのNRCから承認を受けているものは、現時点でNuScale社のものだけだったと思いますが、そのNuScaleのビジネス展開が暗礁に乗り上げていることは、下の11月4日の記事で紹介済みです。
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隣国ロシアが「お隣さんに攻め込んで、領土をいただく」という体質を持っている限り、核発電には手を出さないのが現実的な選択だと、私は思うのですが ~~

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