Federation of American Scientistsのウェブサイトより、中国のサイロ新設の件 -4

ほんと、この報告は長いですよね。
今日で、最後になります。

元の英語記事は
https://fas.org/blogs/security/2021/02/plarf-jilantai-expansion/
にあります。

(私による日本語化)
(続き)

アメリカの対ミサイル防衛システムがもたらしえる影響を克服する   アメリカのミサイル防衛システムのため、中国の報復能力が無意味になってしまうのでは、という懸念は絶えず深刻なものであった。中国は既にDF-5B というICBMに複数核弾頭(MIRV)を搭載することを決定している。核ミサイルが最大で5個までの核弾頭を搭載できるのだ。新型のDF-41 ICBMもMIRV搭載が可能で、将来配備予定の JL-3 SLBM も複数核弾頭を搭載できる。サイロ配備型の固形燃料ミサイルと、それが搭載する核弾頭数とを増やすことで、中国はミサイル防衛システムを確実に突破する核兵器を追求していくことであろう。

固形燃料式サイロ配備ミサイルへの移行   中国の旧式ICBMである液体燃料式ミサイルは燃料充填に時間がかかり過ぎ、発射までに時間が大変かかる。そのため、敵国からの攻撃に曝されやすい。さらに、液体燃料を扱うのは面倒で、危険が伴う。固形燃料式サイロ配備ミサイルに切り替えることで、敵からの攻撃時に機能を維持できる能力、稼働手順、さらにICBM軍の安全を向上できる。

まだ燃料満タンにならへんの??

まだ燃料満タンにならへんの??

非戦時にもミサイル警戒態勢を保つよう、変更  中国のミサイルは平時には核弾頭を外して配備されているものと見られているが、アメリカやロシアのものはいつでも発射できる状態で配備されており、発射命令があれば短時間で発射できる。アメリカとの軍事競争がエスカレートしているため、中国もミサイル発射までにそのような時間をかけて準備している余裕があるのか、疑わしい。現状のままでは、中国は信頼できるだけの抑止力を維持できない恐れがある。2020年にアメリカ国防総省が確かなこととして述べたところでは、ジランタイのサイロ建設は「中国が米ロにか適わぬまでも、何とか抑止力を持とうと努めていることの、新たな証拠だ」。

ICBM軍のバランス  中国のICBMの80%は可搬式で、数も増大中である。中国はICBM軍全体の増強に努めているので、サイロ配備ミサイルも増強し、しかるべき役割を果たさねばならない。

中国の核攻撃力の増強   中国は従来、「最低限の抑止力」という原則を保ってきたため、今までは核ミサイル発射装置を比較的小さなレベルに保ってきた。だが今や中国指導層は、核弾頭を増やしたミサイルを増強し、敵国の軍事施設に対する脅威を強化せねばならないと、判断した可能性がある。アメリカ、インド、ロシアは今も自国の核兵器装備の近代化に努めており、核兵器の強化あるいは増大を進めている。

誰かが増やすと、その他も増やしてしまう ・・・

誰かが増やすと、その他も増やしてしまう ・・・

短時間で発射できる通常兵器の強化   ジランタイで新設中のサイロは核ミサイル用のものとみなされているが、1つの可能性として、まず通常弾頭の弾道ミサイルをサイロに配備するという選択もあり得る。(本筆者は、その可能性を提唱しているわけではないが) そうした配備を実施すれば、戦略的(大陸間など)レンジではなく中距離の標的に対して極めて短時間で攻撃を行う能力が得られる。

国家の威信   中国は富を増やしており、従来よりも力を付けている。強国はミサイルもそれだけ多数保有するものであり、そこで中国も、強国としての立場を強く打ち出すため、ミサイルを増強する必要がある。

現代型の固形燃料式ミサイル用サイロをジランタイ近郊に12基以上も建設しているという事実から、中国の核兵器戦略は、サイロ配備のミサイルへの依存度を高めようとしている可能性がある。その動機が核兵器全体の増強にあるのか、脆弱性の拡大に対する対抗なのか、それとも短時間で発射できるICBMが将来どのような役割を演じるのかに関して独自の考えがあるのか。それは、今後の展開を見ないと判らない。いずれにせよ今回のサイロ建設は明らかに、核兵器の近代化を推進する核抑止のダイナミクスを思い起こさせる事実であり、他の何よりもジランタイのトレーニング地域を観察すれば、中国の労力を探ることができる。

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長かったですね、ようやく終わりました。

上のリンク先、つまり元の英語ページには、本件に関する背景情報へのリンクなどもあります。英語の書物など読める方々は、どうぞ!

 

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Federation of American Scientistsのウェブサイトより、中国のサイロ新設の件 -3

このFederation of American Scientistsの記事、かなり長いですね。
続きを紹介します。

英語の元記事は、
https://fas.org/blogs/security/2021/02/plarf-jilantai-expansion/
にあります。

(私による日本語化、続き)

ドライブスルー式トンネル

今回のトレーニング地域にみられる新施設の中でも特に関心を引くものとして、2か所のドライブスルー式トンネルがある。これらのトンネルは、移動式発射装置で利用するものかもしれない。正確な機能は不明だが、その物理的寸法と位置を見ると、これらトンネルは発射台やミサイルの再装着施設を覆い隠すためのものかもしれない。移動式発射装置は、隠さずに稼働させると、大変攻撃に弱いものだ。

現時点までに発見されている2か所のトンネルは、トレーニング地域の両端に配置されており、このトレーニング地域には新たな施設や発射台が工事中で拡張が行われている(英語本文の下の図を参照)

この2か所のトンネルは長さがおよそ350メーターで、計算上はDF-41の発射台12台を収納できる。より現実的には、実際に収納できる発射装置はそれより少数で、支援用車両も収納するのであろう。トンネルの入り口は幅と高さがおよそ6メーターで、大型の発射装置も充分に入り込める。

各トンネルには出入り口が2か所あり、片側には長さ75メーターの部分があってトンネルのその他の部分よりも幅が広くなっている(20メーターと13メーター)。この幅広部分はおそらく、ミサイルの再装備あるいは人員が集まる場所であろう。この幅広部分に隣接しているのが四角形の建築物で、3棟の高い建築物がある。これらは、地上からトンネルに出入りするため、あるいは耐天候制御システムを収納するためのものであろう。

こうしたトンネルは、稼働旅団基地エリアにおいても建設中である可能性がある。ただし、本記事の著者はまだそれを発見してはいない。

覗いてみたら ・・・

覗いてみたら ・・・


要約と意味合い

ジランタイ近郊のPLARFのトレーニング地域は独自ののぞき窓とでも呼ぶべき存在で、そこからは中国の核に関する姿勢を探ることができる。中国は現時点で18基から20基のサイロを運用しており、ジランタイのトレーニング地域に建設中のサイロが出来上がると、この数は一気にほぼ倍増してしまう。今までのサイロが旧式の液体燃料式DF-5というICBMを配備するためのものであったのに対し、ジランタイの新たなサイロは1基を除きすべてそれより小型で、新型で小型の固形燃料式ICBM、たとえばDF-41やことによってはDF-31Aなどに合わせた設計になっている模様だ。

1か所のトレーニング地域内にこれほど多数のサイロ(今までのところ、16基)が建設中であるのは、奇妙なことだ。(たとえばウーザイ(五寨)の発射試験施設には、トレーニング用サイロは2か所しかない) サイロが2基もあれば、トレーニングには充分であると考えられる。1つの説明として考えられるのは、中国が数種類のサイロ設計を試しており、どのタイプのサイロをどの旅団の基地地域に最終的に建設すべきかを見定めようとしている、という可能性だ。米国国防総省が2020年に断言したところによれば、ジランタイはDF-41を「サイロ配備するための少なくてもコンセプトをまとめるため、利用されている可能性が高い」  その目的のため、同地域のサイロは実際の使用能力もある程度実現する可能性すらある。

攻撃されたら報復できるよう、武器を増やしとかなきゃ~~

攻撃されたら報復できるよう、武器を増やしとかなきゃ~~

仮に中国のICBM用サイロの数が倍増あるいは3倍増したとしても、アメリカやロシアが運用しているICBM用サイロの個数と比べれば、はるかに小さいものにすぎない。その事実は、指摘しておくべきだ。アメリカ空軍にはサイロが450基あり、そのうち400はミサイルを搭載している。ロシアは稼働可能なサイロを約130基擁しており、それに対し中国のジランタイで16基新設というのは、アメリカのICBM軍団1つの中の1中隊が持つサイロ数の、1/3にも足りない。

だが中国にしてみれば、あくまで「最小限度の抑止」というのが核戦略であり、従来よりも多数のサイロをジランタイに建設するのは重要なことなのだ。運営コンセプトが定まれば、中国国内の他の旅団基地においても、新しいサイロのクラスターが2~3箇所、建設開始となる可能性は否定できない。今までのところでは、中国のサイロ建設はアメリカとのサイロ数での対等化を狙ったものではなく、準対等化さえ目指すものではないのだが、ならはそもそも、中国は何のためにサイロの新設などに取り組んでいるのか?その建設の動機とは?その説明として考えられるものが、いくつかある。(あるいは、それらのうちいくつかを組み合わせた説明も可能だ。以下、そうした可能な説明を列挙するが、順序には意味はない)

報復能力の保護強化  現在のICBM用サイロでは、アメリカやロシアからの攻撃に対して脆弱すぎると中国が懸念している可能性がある。サイロの数を増やすことで、先制攻撃を受けても存続できるICBMの数が増え、報復攻撃でそうしたミサイルを発射できる。現在中国は車載の可搬式固形燃料ICBMを開発中だが、これはアメリカCIAの分析によるなら、アメリカ海軍がTrident II D5ミサイルを太平洋に配備したことに対する対応であった。こうした作用・反作用の力学こそ、中国が目下進めている核兵器近代化の要因の1つであろう。
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ほんと、長い記事ですね。最後の部分は、次回に。

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Federation of American Scientistsのウェブサイトより、中国のサイロ新設の件 -2

https://fas.org/blogs/security/2021/02/plarf-jilantai-expansion/

にあるFederation of American Scientists、Hans Kristensenさんによる報告の続きです。
かなり長いテキストですので、次回にも続きます。

(私による日本語化)
サイロの建設

ジランタイ トレーニング地域での新たな動向の中でも最も重要なものの1つとして、弾道ミサイル用とみられるサイロがかなりの個数、建設されている。いずれ、こうしたサイロからミサイルのテスト発射がなされるのを見ることになるかもしれない。

基地のある地域にはDF-5という大型ICBM用のサイロがあるのだが、このジランタイ地域のサイロはそれよりも、ほぼすべて小型である。アメリカ国防省によれば、「ジランタイのサイロは、DF-41の基地とするための作業のコンセプトを最低でも得ることを目的として、使用しているのであろう」

現在建設中のサイロは、少なくても16基ある模様だ(下の画像を参照)。それらには多様な寸法のものがあり、今までのところ建設工事は3段階で行われてきている。まず2016年に最初のサイロ施設の建設が始まり、次に「ロシア型」サイロ4基の建設が2018-2020年にかけて行われた。そして2020年終わりごろ、さらに新たなサイロ11基の建設が始まった。いずれのサイロも、トレーニング地域の中央部10×20㎢の範囲内に配置されていた。サイロ間の間隔は2.2から4.4キロで、1つの核攻撃で2つのサイロが破壊されることのない間隔であったのだろう。

サイロ間の間隔、かなり簡略化した説明

サイロ間の間隔、かなり簡略化した説明

今回のサイロ建設が始まったのは2016年のことで、1基のサイロと地下施設数か所で始まったものとみられる(39.7000, 105.4164)。その輪郭と特徴とは従来のものと類似はしているものの、同一ではない。その実例が、ウーザイ発射試験場にある新設サイロだ(38.888, 111.5975)。ジランタイ施設にあるものがサイロかどうかはまだ確認されておらず、その建設現場は大型の建造物で数年間にわたって覆い隠されていた。だが2019年の衛星画像から確認できたこととして、半円形の構造物が見られ、サイロの壁面である可能性がある。もしこれが正しければ、DF‐5程度のサイズのミサイルを想定しているのかもしれない。

今回のサイロ建設の第2段階が始まったのは2018年6月のことで、今やほぼ完成している。中央のトレーニング地域の西端に沿って配置された4基のサイロも含まれる。建設工事中にこれらのサイロは、第1段階と同様に構造物で覆い隠されていた。この4基のサイロはロシアのものによく似ており、地表のインフラストラクチャーがほとんどない。ミサイルを搬入してくるトラック用の曲がった道路、ミサイル搭載用の全長30mの発射台、そして直径がおよそ6メートルのサイロ蓋がある程度だ。

この第2段階の工事が始まったのは、アメリカ国防総省による中国の軍事動向に関する年次報告2018年版が出る直前であった。その報告には「中国はDF-41の発射方式をさらに拡充することを検討している模様だ。それには、鉄道での可動式の発射や、サイロ発射も含まれる」との記載がある。

2019年9月の記事で私(Hans Krinstensenさん)が取り上げたのはこの第2段階の建設で、その発見事項は後にアメリカ国防省による中国の軍事・国防の動向に関する2020年版議会向け報告においても認められたものだ。同報告によれば、そうしたサイロのサイズを考えると「DF-5の装備は考えられず、DF-41や中国の小型ICBMであるDF-31Aなどの装備を検討してのサイロかもしれない」とある。

空気を入れて、隠しましょ

空気を入れて、隠しましょ

第3段階の工事は2020年後半に始まり、今までのところでは最大規模のものだ。2021年の最初の2か月のうちに、合計で11基のサイロと急速に拡大してきている。工事はまだ初期段階だが、衛星画像を見ると今回のサイロは第2段階の4基よりも小型である。だが、今回の建設現場は様子が異なる。以前のサイロが強固な構築物で隠されていたのに対し、今回のサイロを隠しているのは、耐天候用テントあるいは空気を入れて膨らませる構造物のようだ。

ジランタイでのサイロ建設と並行して、ホーナン(河南)省のスンディアン近郊でもサイロが建設中である可能性がある。

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かなり長い記事なので、続きはさらに次回に。

 

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Federation of American Scientistsのウェブサイトより、中国のサイロ新設の件 -1

中国軍部がユーメンやハミ、ジランタイなどに建設中なのは、風力発電所なのか?
それとも、ICBM用サイロなのか??

その決め手は衛星画像の分析ですが、今までの報道記事はそうした技術的な側面を
あまり詳しく取り上げてくれていませんでした。

そこで詳細な考察のあるテキストを探したところ、ありました!
Federation of American Scientists(アメリカ科学者連盟)のウェブサイトに、

China’s Expanding Missile Training Area: More Silos, Tunnels, and Support Facilities
(中国、ミサイル用訓練エリアを拡張 ― サイロやトンネル、支援施設を増設)

という報告がありました。著者は Hans Kristensen、 2021年2月24日付のテキストです。

それを何回かに分けて、日本語化して紹介してまいりますね。
元の英語テキストは、
https://fas.org/blogs/security/2021/02/plarf-jilantai-expansion/
にございます。

「風力発電所なんだったら、なんでこんなもんがあるのよ!?」

「風力発電所なんだったら、なんでこんなもんがあるのよ!?」

(私による日本語化)

中国中部の北側に、トレーニング用地域が不規則に広がる。そこで中国は弾道ミサイルの新たなサイロを増設中とみられる。

最近入手した衛星画像からは、少なくても16か所のサイロが建設中と思われる。この地域でのサイロに対する最初の言及があったのはわずか2-3年前のことであった。それから短期間のうちに、かなりの増設をしたことになる。

同じ衛星画像からは、独特なトンネルの姿も窺える。ミサイル発射ユニットまたは搭載操作を隠ぺいするためのものとも思われる。

このトレーニング地域は内モンゴル自治区のジランタイという町の東部にあり、中華人民共和国ロケット軍(PLARF)がここでミサイル部隊の人員訓練や、道路搬送型ミサイル発射台ならびにそれらのための支援車両の操作のための精密な手順の実施を行っている。
ジランタイのPLARFトレーニング地域

ジランタイのトレーニング地域は140㎞ほどの長さで、面積はほぼ2,090平方メートルに達する砂漠と山岳の地帯である。比較的最近できたトレーニング地域で、施設の大半は2013年以降に出来たものだ。それ以来拡張を続け、ミサイルの発射練習や搭載訓練では今や140台を優に超えるミサイル発射台をミサイル部隊が使用している。また発射部隊が短期間滞在してさらに別の場所へと移るキャンプ地も24か所以上あり、発射装置や支援車両の修理などを行うハイベイ型(高い位置に設備がある)修理工場も5か所にある。加えて、必要物の大型供給基地1か所と隣接する支援施設なども揃っている。(画像を参照)

このトレーニング地域では盛んに活動が行われており、現時点でいくつかの地区へと拡張が進んでいる。特に、中央部と南北とに拡張が目立つ。この拡張工事では、発射台やミサイルを扱うハイベイ型新施設、発射装置が使用する無数の発射台、ミサイル用サイロ、発射部隊が利用するキャンプ場、発射装置を隠し保護するための地下施設などを建設している。

「見るな」と言われると、みんな余計に見てしまう

「見るな」と言われると、みんな余計に見てしまう

この地域のマッピングは大変な作業で、この2年間に行われた建設活動をカバーせねばならなかった。困ったことに、Google Earth にあるこの地域の画像は極めて限られており、しかも昔のものなのだ。比較的最近(2019)の画像があるのは、北東部だけである。今ある画像の大半は、2013年から2014年のものだ。この地域に対してはかなり世界の関心が向けられていることを考えると、これは奇妙な現象だ。そこで本記事の著者はGoogle Earthに頼るのでなく、本記事の末尾に列挙してある資金援助者の皆様からのご支援を活用して、Maxar’s Secure Watchというサービスに加入、最新の高解像度画像を入手できた。このサービスで広域の画像を集めると膨大な経費がかかり、またPlanet Labs だと、低解像度の画像でも大変な出費となってしまう。幸運にも、ヨーロッパのSentinel Hub Playground というサービスなら、低解像度ではあるが無料の画像を利用でき、それを有用なツールとして新しくできた構造物(画像は5日ごとに更新される)を検知、さらに検知した新しい構造物をMaxarの画像で詳しく精査した。

この地域をモニターすることで、PLARFがどうやってその移動式ミサイル部隊や作戦に関与する車両類を配備しているのか、潤沢な情報が得られる。さらに、中国全土にわたって、実際に吉が設けられている箇所にはどのような構造物や特徴がみられるのかも、分かってくる。そのうえ、中国の核兵器近代化の現状と今後を知るための手がかりも得られ、中国の戦争能力に関してアメリカ軍の士官たちが主張していることがどこまで真実なのかを評価するうえでも役立つ。
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まだまだ続く長い記事なので、続きは次回以降に。

 

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本日、接種を受けます

みなさま、

私は本日後ほど、COVID19ワクチンの接種を受けます。
副反応のために明日(10日)、一日中休む必要が生じた場合には、
明日はここに投稿ができなくなります。
その場合、ご心配なく。休んでいるだけですので。

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続きの続き

Business Insiderの記事、長いので区切り区切り紹介しておりますが、
今回で全部です。

元の記事本文は
https://www.businessinsider.com/what-building-missile-silos-may-mean-for-china-nuclear-force-2021-7
にございます。

(私による日本語化)

ミサイルの向上

中国が建設中とみられる新型サイロの位置は、従来よりへき地で防御しやすい場所にある。同コックの以前のサイロと比べると改善が施されており、おそらくはさらに強化したICBMを配備するものとみられる。

Kristensenの説明によれば、中国がこのように新設活動を続けているのは、単純に「より堅固なサイロにより高性能のミサイルを配備して、攻撃を受けた場合の報復能力の存続性を高める」という狙いであるのかもしれない。

アメリカ戦略軍のヘッド、Charles Richard司令官がこの4月に議会で行った説明によれば、中国軍は「サイロ発射型の固形燃料式大陸間弾道弾へと移行している」そうで、「液体燃料が他のミサイルよりも、敵からの攻撃に対応しやすい」とのことである。

目下建設中のサイロは、すべてでなくとも、少なくてもその一部は、中国の固形燃料式新型ICBMであるDF-41のためのサイロだと見られている。従来の液体燃料式サイロ発射型ミサイルDF-5と比べると、この新型ミサイルはあらかじめ燃料を充填しておくことが可能で、作業員にとっての危険が少なく、発射までの準備時間が短くて済む。

DF-41が最初に公に公開されたのは軍事パレードでのことであったが、そこでは輸送発射台に装備されていた。つまり、中国の他の核兵器と同様、道路を走行する車両に搭載するミサイルとして公開されていた。

その場合に問題となるのが、ミサイルのサイズと重量のために輸送に制限が生じることだ。

「確かに輸送式ではあるが、この輸送をすれば道路が断裂してしまう」と、Lewisは述べている。「橋を渡るのに困難があり、回転半径もひどく大きい。実際には、道路の外に出るのは難しい」  しかも、発生する可能性がある問題は、それらだけではない。

動けない ・・・ 私の20分クロッキーより

動けない ・・・
私の20分クロッキーより

Open Nuclear Networkという反核団体のアナリストであるズ ティアンラン(Xu Tianran) によれば、「DF-41 TELはあまりに大型で、現在そして今後の偵察技術をもってすれば、輸送手段も発見され使用不能にされてしまうリスクが増大する」

Lewisによれば、「陸上を輸送できれば地上の潜水艦でもあるかのように思えるので、どうも道路での移動能力に注意が向かいがちだ。だが、この種のシステムには現実には制約があることを見逃しやすい。大型ミサイルを運ぶ場合には、特にそうだ」  それと比べれば、サイロの方が賢明な判断であるのかもしれない。

アメリカも以前、道路輸送式のミサイル導入を検討したのだが、結局は今もおよそ450か所のサイロにICBMを配備している。

さらに固形燃料式のDF-41をICBMとしてサイロに配備しておくことで、中国は既存のサイロをベースにした部隊を警告即発射型(Launch-on-Warning、LOW)部隊へと移行させ、核報復能力の存続性を高めることができる。

Lewisによると、「中国にはレーダーがある。すぐに発射できるミサイルもある。ミサイルをサイロに配備して警戒態勢を保つというのは、実に容易なことのはずだ」

アメリカ国防省がその中国の軍事力に関する最新報告で述べたところによれば、「サイロ型核兵器に対する投資の増強」も含めた証拠を見れば、「中国が少なくてもその軍の一部をLOW体制に置こうとしていることが」窺える。

だが、核兵器の近代化や軍の体制の変更には、必ず困難が伴う。ある国が安全保障を向上させようとすると、他国から不安の目で見られるからだ。

「その一方で、敵国による核攻撃は抑止せねばならない。だが抑止や脅しが強すぎると、敵国が武力増強に訴え、以前よりも危険性の増した敵国に対応する羽目になってしまう。そうした事態は、避けたい」と、Kristensenは語る。

今回発見されたサイロについては、不確定の問題が多数付きまとっている。軍縮を求めつつ、Kristensenは「アメリカと中国は、これからどう進むのかを実に慎重に決めていかねばならない。下手をすると、コントロールできない事態を極めて短期間で招きかねないからだ」と語った。

**************
この中国のサイロ新設問題、あまりに重要な世界的問題(ICBMですから、
北米大陸も射程内です。日本列島など、言うまでもありません)なのに、
日本語メディアではほとんど報道を見かけません ・・ オリンピックのメダルが
どーのこーのという報道ばかりが目立っています。

そこで次回も、またこの問題に関する別の機関からの報道を紹介しますね。
一般の通信社などではなく、Federation of American Scientistsによる
かなり詳細な調査結果です。

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中国のICBM用サイロ場新設について、続き

https://www.businessinsider.com/what-building-missile-silos-may-mean-for-china-nuclear-force-2021-7
の記事、続きを日本語化紹介しますね。
記事の最初の部分からお読みになりたい方は、このすぐ下の投稿に
私の日本語化があります。

サイロを大幅に増大

ミサイル用サイロの数が多ければ、こちらがミサイルを発射しないうちに敵国がこちらの核兵器を全滅させてしまうことが困難になる。しかも、すべてのサイロにミサイルを装備する必要はない。

MIIS(ミドルベリー国際大学院)の東アジア不拡散プログラムのディレクターを務めるJeffrey Lewisは、中国が「かくれんぼ」ならぬ「隠しんぼ」戦略に打って出ているのではないかとみている。サイロの一部にだけ、ミサイルを配備するという戦略だ。冷戦時代には、アメリカ軍も似たような戦略を採用していた。

Lewisは「サイロが存在している限り、ミサイルでいっぱいになっている危険性を真剣に考えないといけない。だからこそ、“隠しんぼ” に効果があるのだ。確認はできないが、そこにミサイルがあると想定しないといけない」と述べている。

中国が最小限核装備での抑止という立場を保持しながら、核報復能力も保ちたいのであれば、この“隠しんぼ” 戦略は妥当なやり方といえる。ミサイル用サイロを建設するコストと、それを破壊するコストとを比べれば、中に何も入っていないサイロでも敵国による攻撃を抑止する効果を持ち得る。

隣に何かある … 私の20分クロッキーより

隣に何かある … 私の20分クロッキーより

「核弾頭のついたミサイルを増やすよりも、サイロを増設する方が安上がりで済む」と、Lewisは説明している。

彼によれば、今回のサイロの配置はサイロとサイロの間隔が大きく1つの核弾頭では複数のサイロを破壊できない。しかも、離れすぎてはいないので、必要ならサイロの間でミサイルを入れ替えることは可能だと、Lewisはこの「隠しんぼ」戦略を説明している。
米国科学者連盟(FAS)で核情報プロジェクトのディレクターを務めるHans Kristensenも、そうした「隠しんぼ」戦略が採用されている可能性は確かにあると認めている。

Kristensenによれば、「これだけのサイロを建設することで、中国がいわば”核のスポンジ”を作り出したといっても良い。もしこれが“隠しんぼ”戦略であれば、アメリカ軍のプランナーがミサイルの入っているサイロを探して攻撃するように仕向けることで、大量の核弾頭を無駄に使わせる狙いであろう」

ただしKristensenは、「中国の立場に立てば、必ずしもそう考えるだろうか?もっと単刀直入な戦略もあり得るのでは?」とも述べている。

Kristensenとその同僚のMatt Kordaが今週発表したハミでの展開に関する報告によれば、中国のサイロ建設は「中国史上最大規模の核武装増強」の表れである可能性もあるそうだ。

KristensenとKordaによれば、核兵力を充分に増強し、敵国の防衛線を突破して戦略的立場を危うくさせることを可能にするには、サイロを増設する必要があると中国が判断した可能性もある。

さらに今回のサイロ増設は、国威発揚のため、超大国というステータスを求める中国の願望の表れとみることもできる。ただ、中国はいまだにこのサイロ建設を認めておらず、その意図は不明瞭のままだ。

中国の核兵器総数はアメリカやロシアと比較するとはっきりと少なく、米ロはいずれも数千基もの核兵器を擁している。だが中国が核兵器送料を増大させようとしているのなら、最小限の抑止という方針を離れたことを示唆している。

Kristensen と Korda が記したところでは、「今回の核兵器増強は“最小限度”などと呼べるものではまったくなく、中国が敵国との競争で優位に立とうとする核武装競争の一環と見受けられる」

(長い記事ですので、残りはさらに次回に)

 

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中国のICBM用サイロ場新設について、さらにほかの報道

8月6日です。広島での原爆に殺された方々を追悼し、平和を祈る日ですね。
この「やかんをのせたら~~」は、365日絶えず、そうした祈りをもって書いて
おります。
あれだけの方々が殺されたにも関わらず、いまだに核兵器を増大あるいは
新たに保有しようとする勢力がこの世界に存在しているのは、
実に忌まわしい現実です。
そして、その核兵器の製造に「悪用できる」核発電を「平和利用」と呼んで
推進することが、いかに実際に危険を招いてきたか、その実例を「やかんを
のせたら~~」では紹介してきました。

今回は、引き続き中国のICBM用サイロ新設か?という問題についての報道を
紹介しますね。今日は、Business Insiderから。
Business Insiderの報道のあり方には、「スポンサー付き報道」や「大げさ」などの批判もあるのですが、本「やかんをのせたら~~」では同じ問題に関して可能な限りいろいろな報道を紹介することに努めておりますので、Business Insiderの記事も見ておきましょう。

Business Insider
Ryan Pickrell2021731

Massive fields of new nuclear missile silos may be China’s answer to rivals with a lot more nukes

(新たな核ミサイル用の巨大なサイロ場 ・・ 核兵器で大きく優勢なライバル諸国に対する中国の応答が、これか?)

元の記事は、次のリンク先へ
https://www.businessinsider.com/what-building-missile-silos-may-mean-for-china-nuclear-force-2021-7

(以下は、私による日本語化)

(冒頭の写真下)

中国の新型DF-41 ICBM、移動式ミサイルとしてパレードに登場しているところ。だが、中国当局はこれを、地下サイロに配備する計画か?
AP 写真提供 Mark Schiefelbein

(冒頭の要点)

  • 中国国内で数百か所にも及ぶ新たなミサイル用サイロとみられるものが建設中であることを、専門家たちが発見した
  • そうしたサイロに配備されるのは、新型のDF-41大陸間弾道弾とみられる
  • サイロは敵からの攻撃で破壊されやすいが、充分な数のサイロに適切なミサイルを配備すれば、有利性につながる

 

「グリッド」とは、例えばこういう網の目のような構造。 もちろん、これはサイロじゃなくて、ビーズ細工です。

「グリッド」とは、例えばこういう網の目のような構造。
もちろん、これはサイロじゃなくて、ビーズ細工です。

(本文)
大陸間弾道ミサイルを装備する新たなサイロを数百か所、中国が新設中の模様で、その意図が問題とされている。Insiderが取材した専門家たちの中には、そうした巨大な新型サイロ場が、核武装に勝るライバル諸国に対する中国の対応を指示している、と考える者たちもいる。

この数か月の間に、Federation of American Scientists(米国科学者連盟)とMiddlebury Institute of International Studies(ミドルベリー国際大学院) のアナリストたちが商用衛星画像を分析したところ、250前後にも及ぶ新たなミサイル用サイロを中国が建設中であるものとみられている。従来、中国にはこの種のサイロは20か所前後しかなかった。

サイロ建設がはっきりと見て取れ、進行中であると思われるのは、シンチャン地区のハミ、ガンスー(甘粛)省のユーメン、そして内モンゴルのジランタイ(吉蘭泰)の3か所の模様だ。ハミサイロ場はまだ建設が初期段階のようで、面積は300平方マイル(約777平方キロ)程度、ユーメンはおよそ700平方マイル(約1,813平方キロ)である。

サイロがグループ化されているが、グリッドの配置を見るとサイロとサイロの間の間隔が約2マイル(3.2キロ)あり、中国の以前のサイロとは様子が異なる。グリッド(格子)状にグループ化されているのだが、サイロとサイロの間の間隔がおよそ2マイル(3.2㎞)あり、従来の中国のサイロとはかなり異なる。同国の以前のサイロは広範囲に散在しており、一つ一つが孤立、何らかのカムフラージュが施されていた。

今回の各発見に関する報告を共有しているアメリカの戦略軍は今週、「世界が中国の各増強という脅威に直面しているが、それを中国が秘密のベールで覆ってしまっていると我々は以前から主張してきた。それを広く世界の人々が今、発見したのだ」というトゥイートを発表している。

サイロは、ほかの発射方法と比べ脆弱性が極めて高い。これは、サイロは移動できないので発見されやすく、標的にされやすいためだ。だが、充分な数のサイロと現代のミサイル技術があれば、サイロには利点もある。

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記事はまだ続きますが、長くなるので、残りは次回と次々回に。

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まだあった、建設中(サイロ)

タイシャン原発の事故以上に気になる、シンチャンでのサイロ新設。それについて、別の報道を紹介しましょう。

Military Times, 2021年7月31日

中国が核ミサイル用サイロを増設していると、アメリカ軍が警告

Huizhong Wu、Jon Gambrell、ならびにアソシエーティド プレス(AP)

(元の記事本文は、下のリンク先に)
https://www.militarytimes.com/news/your-military/2021/07/30/us-military-warns-china-is-building-more-nuclear-missile-silos/
(私による日本語化)
(写真下)
2021年6月4日、Planet Labs Inc. 社の提出した衛星画像をMiddlebury Institute of International Studies(ミドルベリー国際大学院) のJames Martin Center for Nonproliferation Studies(ジェームズ マーティン不拡散研究センター)の専門家たちが分析、中国のユーメン近郊に大陸間弾道ミサイル発射場が建設中であると判断した。(Planet Labs Inc.、James Martin Center for Nonproliferation Studies at Middlebury Institute of International Studies提供、AP経由)

おい、もう1つあったのか?? 私の昔描いた絵画の地塗り段階

おい、もう1つあったのか??
私の昔描いた絵画の地塗り段階

(記事本文)
台湾・台北発 — 中国とアメリカの間の緊張が高まる中、中国が核ミサイル用サイロ場を大幅に増設していると専門家たちが見なしており、米軍が警告を発している。

Federation of American Scientists(米国科学者連盟)の研究者たちの推定によれば、 中国は地価のミサイル用サイロ約250か所を建設中である。これは、衛星画像を分析し中国西部に建設中の新たなサイロ場を特定した結果である。

水曜日のアメリカ戦略軍のトゥイートにはNew York Times掲載の記事に対するリンクがあり、それは科学者連盟による上述の発見に関する記事である。この記事は、今週公表されたものだ。

「中国の核武装拡大が世界にとっての脅威となっていると我々は以前から言ってきており、またそれを中国は秘密のとばりの中に隠してきたのだが、今や広く講習がそれを知ることになった」と、米の戦略軍は語っている。同戦略軍は、アメリカの核兵器の監督も担当している。

シンチャン地区にある問題のサイロ場は、この夏になってから報道された新設ミサイル用サイロ場の中で、2番目のものだ。この6月、カリフォルニアにあるJames Martin Center for Nonproliferation Studies の研究者たちが、シンチャンに隣接するガンスー(甘粛)省でも別のサイロ場が建設中であることを特定した。

そうした報道に関して、中国はコメントしていない。アメリカからの最新の指摘に関して金曜日に質問を受けた中国外務省は、そうした問題を認識していないと答えた。

こうした報道がなされている今、米中関係はここ数十年間でも最悪のレベルに落ち込んでいる。各種の問題で両国は対立しており、通商はもとよりテクノロジー、サイバーセキュリティ、人権、そして習近平主席の下での中国対外政策の強硬化などが挙げられる。

台湾や南シナ海など一触即発の地帯での軍事対決の可能性をアメリカが計算するうえで、中国の核武装拡大も要素の1つとして算入されるはずだ。
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中国が核発電・核兵器を持つようになった経緯については、
本「やかんをのせたら~~」の固定ページでは、まだ説明しておりませんが、
どうもいずれページを作った方が良いようですね。

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では、そのCNNによる報道を ・・ タイシャン原発の件

タイシャン原発事故、続報(7月23日付、CNN)

ではタイシャン原発事故の件、中国当局が否定したCNNによる報道を紹介しますね。

断っておきますが、私は、いわゆる「嫌中国」でもなんでもありません。
その証拠に、ユーメン近郊の「ICBM用サイロ??」発見の報道に関して、
中国側の「あれは、風力発電所だ」という主張も、本ウェブサイトでは
取り上げました。
しかし!主張を支える証拠を中国政府がもっと世界に提示しないと、
という不満は抱いています。この惑星に暮らす一市民として。

それでは、2021年7月23日付のCNNによる報道を、私の日本語化で。

記事そのものは、次のリンク先に。

https://edition.cnn.com/2021/07/22/china/edf-taishan-nuclear-plant-china-intl-hnk/index.html

中国のタイシャン原発の状況、シャットダウンの必要があり得るほど深刻だと、共同所有者のフランス企業が警告

記者: Barbara Wojazer, Zachary Cohen, Michael Callahan and Jessie Yeung, CNN

(私による日本語化)

(写真下)
中国南部のグアンドン省(広東省)にあるタイシャン原発のそばに置かれている建設用機器、2021年6月17日

coffee dripper  左側、すぐに止めないと~~ 私のクイックスケッチより

coffee dripper 左側、すぐに止めないと~~ 私のクイックスケッチより

(記事本文)
(CNN) 中国にある原発を共同所有しているフランス企業は、可能なら同原発をシャットダウンしたいとしていると、スポークスパーソンが述べた。燃料棒の損傷に対応するためだ。だがその決定はあくまで、同原発の中国側運営企業が下す。

(その共同所有企業である)Electricite de France (EDF) 社の同スポークスパーソンがこの木曜日に述べたところによれば、中国南部のグアンドン省にあるタイシャン原発は「まだ緊急事態と呼ぶほどではないものの、深刻な事態が進展している」とのことだ。

この原子炉がフランスにあれば、同社はすでに原子炉をシャットダウンしているはずだ。それは、「フランスで稼働している原発の慣行や手順に従うなら、シャットダウンしている」ためだと、同スポークスパーソンは語っている。

このスポークスパーソンは、中国当局に対して直接には、同原発の稼働停止を求めはしなかった。それはあくまで、同原発の稼働を担当しているパートナー企業ならびに過半数株主である中国広核集団(China General Nuclear Power Group (CGN))が決定することであるからだ。

CNNは当初、この6月に、タイシャン原発の稼働をサポートしているフランスEDF子会社のFramatomeが、同原発での「放射線に関わる差し迫った脅威」を警告し、放射線漏洩の可能性について検査するようアメリカ政府に求めたことを報道した。

中国の原発安全を担当する当局は、これに応じてタイシャン原発外部での検出放射線の許容上限を引き上げ、同原発のシャットダウンを回避したと、Framatome社は当局を非難した。これは、Fr4amatome社がアメリカ政府のエネルギー省にあてた書簡に基づくことで、CNNはその書簡を入手している。

CNNによる上述のスクープ報道があって直ちに、中国当局は同原発にはどのような危険も存在していないと主張した。「環境の放射線にはいかなる異常も見られず」、同原発の安全性は「保証される」としていた。だがFramatome社がアメリカ政府に発した警告に関する質問については、中国当局は回答していない。

6月に中国の核安全保証当局は、同原発の2基ある原子炉のうち1つで燃料棒に損傷が発生し、その一次冷却系で放射線レベルの上昇がみられたことを認めた。だがそれは「放射線漏れ事故とはまったく別の出来事」で、「物理的障壁は安全な状態にある」と主張していた。

同当局はさらに、原発外部での放射線許容上限を引き上げたことを否定、放射線レベルは「安定した稼働に伴う許容範囲内にある」としていた。

同安全保証当局はさらに以前、問題の原子炉の6万本を超える燃料棒のうち、損傷があったのは5本だけであると発表、さらに「環境への放射線漏れ」のリスクは皆無であると述べていた。

この木曜日、Electricite de France (EDF) 社の同スポークスパーソンは、原子炉内部での希ガスの増加を検出していること、同社はこの中国原発の所有者にして運営事業者である台山原子力合弁事業(Taishan Nuclear Power Joint Venture Co., Ltd (TNPJVC))に対して自らの立場を公表してきたことを、繰り返し述べた。

TNPJVCの株式のうちEDFの持ち分は30%である。TNPJVCは、 EDFと中国国営の中国広核集団(China General Nuclear Power Group)による合弁事業である。

「当社EDFでは合弁相手に対し、当社の分析のすべての要素を開示しており、フランスでならこれは原子炉稼働停止になるはずだという理由も示している。だから、責任ある運用会社として、広核集団は必要な判断を下せるはずだ」と、同スポークスパーソンは語っている。

このスポークスパーソンによれば、EDFが単独で判断を下してよいのであれば、「燃料棒へのさらなる損傷を回避するためにこの原子炉の運転を停止し、調査を実施し、発電施設にさらに損傷が発生しないように努めていた」はずだという。

だが実際には最終的な決定権があるのはTNPJVCで、この集団は独自の分析を行うつもりだと、同スポークスパーソンは述べた。EDFによれば、この原発の運営業者が決定を下すまでのスケジュールも、EDFは知らされていないそうだ。

そのEDFの発表に関してFramatomeはさらにコメントを求められたが、コメントを拒否した。
CNNの Nectar Ganが、香港から報告。

 

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