ロシアのクルスク原発近くでドローン攻撃?

Russia says West is sponsoring ‘nuclear terrorism’ after Ukrainian drone strike | Reuters

Reutersのウェブサイトより

7月15日JST現在、各種報道によれば
ウクライナ東北部と国境を接している
ロシアのクルスク州でドローン攻撃が
あったようです。
クルスク州の州都クルスクは同州のほぼ
中央にありますが、そこから西におよそ
50㎞のところにクルチャトフという町が
あり、そこにクルスク原発があります。
この町の名称そのものがIgor Kurchatov
という旧ソヴィエトの高名な核物理学者
の名前からとったもので、そもそもこの
町そのものがクルスク原発建設のために
1968年に設立された自治体だそうです。
Kurchatov, Russia – Wikipedia

クルチャトフ、1903 - 1960 クイック スケッチですよ。 旧ソヴィエトの核兵器開発の指導科学者 マンハッタン プロジェクトへのソヴィエトからのスパイが得た情報も、かなり利用したそうです。 (マンハッ タン プロジェクトに旧ソヴィエトのスパイが入り込んでいたのは、よく知られた事実ですよね)

クルチャトフ、1903 – 1960
クイック スケッチですよ。
旧ソヴィエトの核兵器開発の指導科学者
マンハッタン プロジェクトへのソヴィエトからのスパイが得た情報も、かなり利用したそうです。
(マンハッタン プロジェクトに旧ソヴィエトのスパイが入り込んでいたのは、よく知られた事実ですよね)

この原発はセイム川湖畔に立ち、1977
年に稼働を開始しました。所有者は
Rosatomで、炉の型式はRBMKが3基
です。年間の純電気出力は22,760 GW-h。
Kursk Nuclear Power Plant – Wikipedia
お分かりの通りかなり老朽化してますの
で、2017年には近くにクルスク第2
原発の建設が始まり、こちらはVVER
です。(これも、
Kursk Nuclear Power Plant – Wikipedia

で、VVERは、まあ一種のPWR (上の
黒いメニューでページ d-2) を参照。
メニュー内の項目は、基本的にアルファ
ベット順です) なので、とりあえず
今日のところは扱いません。

水分があれば中性子を吸収してくれる が・・・泡の内部には水がない 説明のための、かなり簡略化した図ですよ!

水分があれば中性子を吸収してくれる
が・・・泡の内部には水がない
説明のための、かなり簡略化した図ですよ!

問題はRBMKでして、冷却材は軽水です
が、減速材が黒鉛(グラファイト)なの
ですね。(「減速材」、「冷却材」に
ついての説明が必要な方は、上の黒い
メニューでページ tw-1) を参照)
1950年代に旧ソヴィエトで設計された
型式です。濃縮していないウラニウムも
使用できるという利点はあるのですが
・・・
冷却水が水蒸気になる際に「泡」が大量
に発生、この泡は中性子を吸収しない
(技術用語では、「ヴォイド係数が正」)

ところが、中性子の減速は引き続き黒鉛
が行ってしまう
⇒ 原子炉内の核分裂反応が暴走
というリスクを、設計上抱えています。
それが現実化してしまったのが、悪名
高い1986年のチョルノービ
(チェルノブイリ)原発の惨事でした。

話を元に戻して、そのRMBKの近くで
ドローン攻撃があったというのは、
聞き捨てならぬ事態ですよね。
当然、ロシア側からは「ウクライナと
西側によるテロだ」という趣旨の発表が
あるだろう ・・・ はい、予想通り
ありました。

そのロシア側からの発表について、
Reutersの報道記事を。

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明です。

Kettle 2020 Nov 8

国際関係にスパイはつきもの ・・・

国際関係にスパイはつきもの ・・・

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Russia says West is sponsoring ‘nuclear
terrorism’ after Ukrainian drone strike
(ロシアの主張: ウクライナのドローン
攻撃を受け、西側が「核テロ」を支援)

Andrew Osborn記者
2023年7月14日

モスクワ発 (Reuters) – 金曜日
<14日>、ロシアは西側が「核テロ
リズム」を支援していると非難した。
ウクライナのドローンがロシア西部に
あるクルチャトフという町を攻撃した
との、関連当局による発表を受けての
ことだ。この町には、あの悲劇の原発
チョルノービに類似した原発があるのだ。.

ウクライナと国境を接しているロシアの
クルスク州知事であるRoman Starovoit
によれば、ウクライナのドローンが
クルチャトフの町にある居住用アパート
に突撃した。この町はソヴィエト時代に
建設されたもので、クルスク原発用
の冷却水貯水池の岸にある。同原発は、
今も稼働している。

StarovoitがTelegramというメッセージ
用アプリで発表したところでは、
「クルチャトフの街に昨夜、ドローンが
突っ込んだ。幸い、<そのアパートの
住民にけが人はなかった。ドローン突撃
とそれに続く爆発による重要な施設への
損害はなかった」

火星人が出た~?ほんまかいな??

火星人が出た~?ほんまかいな??

 

唯一の被害として、アパート1棟の正面
とガラスとが損傷を受けたと、この知事
は述べている。家屋の損傷の復旧に
当たっては、当局が支援を行うとして
いる。

ウクライナからは、直ちには反応は
なかった。ウクライナはロシアからの
大量のドローンによる攻撃に日夜晒され
ており、ウクライナからロシア領土内
へのドローン攻撃や破壊工作について
は、ほとんど発言をしない。

ロシアが激怒

今回のドローン突撃に先立ち、ロシアは
この5月にクレムリン近郊でウクライナ
のドローン2機を撃墜したと発表して
いた。今回のドローン突撃が原発に
近い位置であったため、ロシア外務省
からは怒りにあふれた反応があった。

同外務省のスポークスパーソンMaria
Zakharovaは皮肉を込めて、
「ウクライナ政府に(ドローンを)供与
している諸国は、核災害が起きたら火星
にでも逃げるつもりなのか?そんな
時間なんて、あるのか?」と語った。

「NATO諸国の人たちは、ウクライナ政府
による核テロ攻撃を自国政府が支援して
いることに気づくべきだ」

防空システムだけがよくても ・・・

防空システムだけがよくても ・・・

 

ロシア政府のスポークスパーソン
Dmitry Peskovが語るには、ロシアの
防空システムが今回のドローンを
効果的に排除したという未確認の
ソーシャル メディア<日本でいう
SNS>上の報道があるが、確かに
防空システムは完ぺきに機能して
いた。また、ウクライナがロシア
領土内の標的への攻撃を続けている
のは明らかだとも述べている。

ロシア連邦保安庁(FSB、保安機関)が
昨年8月に公表したところによれば、
クルスク原発に電力を供給している
送電線をウクライナの破壊工作員が
破壊、同原発が一時的に機能を失った
そうだ。それを受け、同原発施設周辺
のセキュリティを強化した。

ロシアの国営核エネルギー公社Rosatom
のヘッドAlexei Likhachevがこの木曜日
に国営テレビで述べたところでは、同
原発のセキュリティは「管理下」に
あり、防空能力も含めて,必要な措置を
すべて講じてあるそうだ。

ロシアとウクライナはもう何か月も、相手
が核の破局を引き起こそうとしていると
相互に避難しあっている。-ウクライナ
南部にありロシア軍占拠下にある
ザポリージャ原発は、砲撃を受けて
きている。.
**************************

いろいろ未確認の事項が多く、ロシア側
からのプロパガンダもかなり混じって
いるのでは?と思うのですが ・・・
そうであっても、万が一、原発への
攻撃の応酬なんて事態になれば、世界
は局地的な核戦争と同じような放射性
物質汚染を体験することになります。

そんな事態になりませぬことを!

日々、祈っております! 東京・原宿の教会(教会ぽくありませんが、 教会です) 私のスケッチ

日々、祈っております!
東京・原宿の教会(教会ぽくありませんが、
教会です)
私のスケッチ

それと、忘れちゃ困るのは、原発は結局
一種の核兵器としても利用できてしまう
という真実が明らかになりつつあるって
ことですね。
核兵器廃絶を願う私は、当然の帰結と
して核発電の廃絶も求めているの
ですね。

** 16日JST 追記 **

同じくReutersの報道によると、
クルスク地区でクルスク原発につながっ
ている高圧線の塔が破壊され、ロシア
のFSBはウクライナによる破壊活動だ
と主張していますが、ウクライナ側は
「カルマ(因果応報)」だとしている
そうです。
Russia says Ukrainian ‘sabotage’ behind pylon blasts in southern Kursk region | Reuters
Reutersは、今のところそうした事態を
確認できなかったようです。

About FrancisH

A freelance painter, copywriter, and beading artist
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