How likely are nuclear disasters and cyber warfare in Ukraine? | DW News
(DW Newsより: ウクライナで、原発災害とサイバー戦争の可能性は?)
そのうち 0:00 – 5:44
Assessing the risks of a nuclear accident
(原発事故のリスクを問う)
How likely are nuclear disasters and cyber warfare in Ukraine? | DW News – YouTube
Deutsche Welle(ドイツの国営放送) による、2022年3月3日JST付のヴィデオより
上の黒いメニューにあるページ u-1) で、ウクライナ国内4か所に稼働中の原発があり、
ロシア軍の攻撃によって(仮に、意図しない誤爆などであっても) 原発事故が発生
する危険性を考えました。原子炉そのものが損傷を受けなくても、外部電源供給が
絶たれると、大変なことになるリスクも述べました。
地図を、再度掲載します。
特にザポロジェ (カタカナ表記は、ザポリージャとも) 原発には稼働中のVVERが
6基あり、ヨーロッパ最大の原発であることは、日本語でも報道されていますよね。
大変心配な事態ですが、3月3日付のDeutsche Welle(ドイツの国営放送)による
関連ヴィデオを見つけました。英語放送です。
そのうち、0:00 – 5:44を抜粋して、音声から直接日本語化しますね。
Shaun Bernieさんはグリーンピースの原発関連アナリストで、スコットランドから
リモートでこのニュース報道に出演されています。
いつもどおり、< >内は私からの補足説明です。
A (アンカー): 先週、ロシア軍がチェルノブイリ原発を制圧しました。1986年に
メルトダウンがあった原発です。<ロシア軍の>タンクや部隊が入り込み、放射性の
ダストを巻き上げたため、<大気中の> 放射線レベルが急上昇しました。これは
今までに低下したのですが、ウクライナの原子炉がどうなるのか、というさらに
大きなリスクを考えると不安が募ります。こうした <稼働中の原発が多数ある
ところでの戦闘という> 事態は、歴史的にも前例がありません。大規模な原発
プログラムを進めている国家が、戦争の只中にあるという事態です。ウクライナは
原発依存率が高く、その原発ネットワークは世界的に見ても大掛かりなものです。
<現時点で>4か所の原発を稼働しており、原子炉は15基にのぼります。<建設中の
ものは除く> 戦闘の前線が原発に近づくにつれて、いずれかの原発が戦火に
曝され、原発大災害が再度発生してしまうのでは、という不安が広がっています。
そうした事態が起こらないことを願いますが、リスクは確かに存在します。
Shaun Bernieさんはグリーンピースで核問題の上級専門家を務めてらっしゃいますが、
スコットランドから <リモートで> ご参加いただいています。
Shaunさん、この番組にご登場くださり、ありがとうございます。先ほど入った報道に
よれば、IAEAの事務総長が、このウクライナの状況は原発のプログラムとネットワーク
が多数あって稼働しているところで戦闘が行われているという未曽有の事態だと発言
しています。
そこで、この戦争のため原発事故が発生する確率は、どの程度あるのでしょうか?
S (Shaun Bernie): もちろん、確率がどの程度なのかは、分かりません。ウクライナ
での戦争の状況は、大変ひどいものですからね。ウクライナの核施設、原発は、今も
大変攻撃に曝されやすく、大変複雑なシステムです。こうした原発は <稼働させるため
の外部電源として> 送電グリッドからの電力供給に依存しており、そのため大きな懸念
を抱いております。グリッドからの外部電源供給に問題が発生した場合、原子炉は
緊急用のディーゼル発電装置で冷却しないといけません、特に、ウクライナ南部の
ザボリージャ原発が心配です。問題は、そうしたディーゼル発電装置が稼働できる
のか、どこまで稼働できるのか、ということですね。特にザボリージャでは、大型の
6基の原発のうち現時点で3基が稼働中でして、ここ数年間、<ディーゼル発電装置の>
信頼性などが問題となっております。原発では膨大な熱が発生しますので、それを
冷却しないといけません。外部からの電力供給がないと、炉心を冷却することが、
すぐにできなくなります。さらに冷却が必要なのが使用済み核燃料の保管プール
でして、ここでは強い放射線を発し高温の使用済み核燃料を冷却しています。
そこから、考えられるシナリオの一部が見えてきますよね。実に、背筋の凍る
思いです。
A: では、原発事故の原因としてもっとも考えられるものは、どんなものでしょうか?
たとえば、送電グリッドに対するサイバー攻撃なのでしょうか?それとも、ミサイル
での直接攻撃なのでしょうか?<2001年のアメリカでの> 9/11テロを受けて、
原子炉にテロリストが航空機で突っ込むという懸念が広くあります。
S: そうですね、この状況は大変な惨事ですから、未知の要因が多数あります。
論理的に考えれば、原子炉を標的にミサイルをぶち込んでも、何の意味もありません。
軍隊からの攻撃に耐えられるよう設計されている原子炉というものは、存在しません。
ミサイルであれ、戦車砲であれ。でも、意図的な攻撃以外のシナリオとして、
偶発的な事態があります。ロシア軍がミサイルや戦車砲をどこに向けて発射してきたか、
すでに皆さんもご覧になってらっしゃるでしょう。あまり、正確だとは言えないの
ですね。
さらに心配なのが、原発からは何十キロか離れた地点であっても、送電グリッドの
配電所が被弾してしまった場合ですね。そうなると、実に深刻な事態となる危険性が
あります。
A: ここで、ウクライナの様子を少しご覧いただきます。本日、ザボリージャ原発の
従業員の皆さんが、ザボリージャの町に入っていく道路をブロックしてらっしゃいます。
ロシア軍がそれ以上町に入っていかないように、というブロックですね。この原発は、
ヨーロッパでは最大のものです。ここからも、ウクライナ人々が原発の被弾が
あったらどんな事態になるかを憂慮してらっしゃる様子が、伺えます。
S: 確かに、ここからもうくらいの皆さんが自国の原発の脆弱性を心配してらっしゃる
ことが分かりますね。はっきりと私共も申し上げたことですが、ウクライナの原発で
働く皆様の真摯な取り組みには敬意を表します。これほど、想像を絶する苦渋の中に
あって、これほどのことを なさるのですから。原発のそばにまで軍隊が進攻している中、原発を極力安全に保とうと、これほどまでに努めてらっしゃるのです。さらに、
この原発から6-10㎞ほどの位置にあるエネルホダルという自治体の皆様も、
そうです。事態は実に大変な状況でして、軍事攻撃からウクライナの原発の安全を
確保できる方法は、ありません。戦争が終わらない限りは。
この問題を考えても、ロシア軍の軍事侵攻、このプーティンによる暴行は、すぐに
やめるべきです。
A: 確かに、その通りですね。
グリーンピースのShaun Bernieさん、今日はお時間を割いて貴重な考察をいただき、
本当にありがとうございます。ウクライナ情勢は危険と流動性に溢れていますね。
どうも、ありがとうございました。
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それにしても、ページ u-1) などに記した私の心配が私だけのものでなく、
グリーンピースの核問題専門アナリストの方も同じ心配を共有しているのが、
お判りいただけたと思います。
では、トリウム サイクルの調査を続けながら、何か核兵器や核発電関連の
ニュースが入った場合には、随時取り上げてまいりますね。