Beyond NuclearのBulletinより
Palomares reflections ENG 09Jan.pdf
60年前に水爆が ・・・ スペインのパロマレスにて
アメリカのワシントンDC近郊に本拠を置くBeyond Nuclear
という反核団体があって、無料のBulletinを毎週Eメールで
送信してくれます。
ご希望の方は、上の黒いメニューにあるページ v-1) で
短い紹介をお読みいただき、
さらにURL Home – Beyond Nuclear: energy advocacy non-profit
をクリック → Beyond Nuclearサイトのトップ ページを
スクロールダウンして、
右下にあるJoin Usをクリック → 必要項目を記入して
Sign Up をクリック
すれば、Bulletinを送ってもらえますよ。
で、今回はそのBulletinのJanuary 22, 2026号にある記事を。
60年前にスペインの南東部にあるパロマレスという町の
上空で米軍の軍用機が事故を起こし、核兵器を落として
しまった、というものです。
幸い爆発はなかったのですが、Pu汚染はありました。

再掲 核兵器の分類
Thermonuclear というのが、現在の英語での「水爆」です。
では、私の要約・抜粋・日本語化で紹介しますね。
< > 内は、私からの補足説明です。
元の英語記事を読みたい方は、次をどうぞ:
https://beyondnuclear.org/wp-content/uploads/2026/01/1-17-26-Ketterer-Palomares-reflections-ENG-09Jan.pdf
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パロマレスでの出来事: 60年経ち、あるアメリカ
市民の回想
1966年1月17日の夜明け前、本文章の著者である私は 6歳で、
ニューヨーク州バッファローの郊外にあるノース トナワンダ
というところにいた。その時刻、私はまだ眠っていた。
そのとき、イベリア半島の上空ではアメリカ軍の軍用機2機が
上空で衝突を起こしていた。B-52爆撃機とKC-135給油機とが、
空中で給油をしていたところだった。アメリカ空軍の
戦略航空軍団 <1992年まで存続> では日々、武装した航空機
による監視を実施していたのだが、このB-52はその日の監視を
終えようとしていた。衝突からものの数秒で、熱核爆弾
<水爆> 3個が地面へと落下、もう1個は海へと落ちた。
パロマレスという村の近くでのことだ。スペイン
<南東部にある> アンダルシア地方のアルメリアにある、
地中海から西へ2㎞程の村だ。
・・・(中略)・・・

探せ~~
<落下した4個の水爆のうち> 2個は落下の衝撃で壊れたが、
核爆発は起こさなかった。だが、数kgのプルトニウム(Pu)
がトマト畑やパロマレスの住民たちを汚染した。風の強い日
であった。もう1つの水爆は、地元住民が発見した。
付属しているパラシュートが開いており、ほぼ無傷だった。
だが、残る1つの水爆は地中海深く沈んでおり、アメリカ
空軍の優先課題は直ちに切り替わった。あらゆるリソースを
尽くして重大ミッションに努めよ、ということになったのだ。
ソヴィエトが発見する前に、この水爆を見つけよという
ミッションだ。結果、無事に発見できたのだが、両国が
全世界の報道で発信し、パロマレスの出来事として広まった。
現在では、その発見回収された水爆がアメリカ海軍のPetrel
という艦船に載せられている姿は、インターネット上で
パロマレスの光景として頻繁に取り上げられている
イメージの1つになっている。
・・・(中略)・・・
・・・ そのPuのごく一部を含んだ船舶がスペインから出航、
報道関係者たちも注目していたのだが、私はまだ幼稚園児
だった。1975-1976年、私は同じ町でというBuffalo Evening
News新聞の配達をしていた。同紙をほとんど毎号読んで
いたのだが、パロマレスへの言及などほぼ確実に見たことが
なかった。バッファローの天候の記録を見ると、 1976年の
創刊10周年記念号を私は配達していたはずだ。その日の
気温は用天下摂氏10度を下回っていたのだが。それにも
かかわらず、パロマレスに関する記事を見た記憶がない。
その日に限らず、バッファロー地区のどの新聞を見ても、
パロマレスへの言及は見覚えがないのだ。
・・・(中略)・・・
2000年代初頭になると、私は学究科学者になっていた。
環境中のプルトニウムの超微量痕跡に関する研究を始めた。
すると、核実験によるPuが世界のどこにでも見つかる
ことを発見したが、特に汚染度の激しい場所では空中を
浮遊して沈下したPuではなく、他のソースからのPuが
見つかる場合が多いこと、しかも同位体の組成に特徴が
あることを見出した。
・・・(中略)・・・
上述の落下事故から40年を経た2006年、パロマレスで
採取された土壌中に1つの水爆からの破片粒子が見つかり、
その検査プロジェクトを私は始めた。Journal of
Environmental Radioactivity(環境放射線ジャーナル)
という学術誌に論文を発表したのだが、私は二人目の
著者として名を連ねた。・・・
・・・(中略)・・・

知られざる死の灰
体内にいつの間にか入って、体内被曝の恐れが
Silent fallout
Little demons entering humans
・・・ 冷戦には代償があった。パロマレスの除染作業は
まったく不適切なもので、何千人ものスペインならびに
アメリカ国籍の人たちが過剰なPuで被爆したことは
間違いない。1966年の事故で漏出したPuの過半数は、
2026年になってもパロマレスの土に残っている。そこの
住民が自宅で過剰なPu被爆を味わったことは、確実だ。
・・・(中略)・・・
パロマレスは、冷戦期の核神話の実例だ。実際問題として、
パロマレスはPuだらけの砂箱のようなものだ。適切な除染
など一度たりとも行われたためしがなく、Puの大半は
アルメリア地区の土壌に残っている。今後もPuはそこに
残り、付随する神話も残存していくだろう ・・・
・・・(中略)・・・
2025年7月、アメリカ議会はRECA(Radiation Exposure and Compensation Act、放射線被ばく補償法)という法律を
成立させた。死の灰やウラニウム採掘との関連で、あるいは
ミズーリ、ケンタッキー、テネシーの各州のうち特定地区の
住民で、特殊ながんに罹患した被害者たちに補償を行う
ものだ。このRECAという新法は2028年には廃止され、
多数の制約があるのだが法案作成者たちは対応できていない。
全米に呆れるほどの対象外とされる地域があり、たとえば
オハイオ州のPike郡やScioto郡、コロラド州の Cotter工場
跡地、テネシー州北東部のNolichucky 分水界などなどだ。
パロマレスもそうした一例で、実に憤慨を招く除外で
ある ・・・
<ミズーリ州Bridgetonという場所にある地下廃棄施設では、
マンハッタン プロジェクトからの放射性物質が埋められて
いる可能性があるそうです。
ケンタッキー州には、Maxey Flatsという低レベル放射性
廃棄物の処理場があります。
テネシー州には、良く知られたOak Ridge国立研究所が
あります。
オハイオ州南部のPikeとSciotoにはPortsmouthウラニウム
濃縮工場がかつてありました。そこからの廃棄物を埋めた
のですが、放射線被害が問題になっています。
コロラド州のCotterにはかつてウラニウム加工工場が
ありました。そこから環境中に放射性物質が漏出した
ようです。
テネシー州NolichuckyにはNuclear Fuel Service社の
Erwin工場があって、高濃縮ウラニウムの製造などを
行っています。>
・・・(以下略)・・・
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どうしても避けられないの?
私のクロッキー(速写画)、Croquis Cafeベース
核兵器や核発電には、廃棄物をどう処理するのか?
という宿命的問題がつきまといます、
「廃棄物」などと呼んでいますが、もともと原子炉とは
Pu-239を製造するための機械であり、それに「やかん」を
のせて発電をするようになったから、「廃棄物」扱いに
なったわけですね。
つまり、もともとが「放射性廃棄物」を生み出すことを
目的とした機械でしたから、その種の廃棄物をどうする
のかという問題を回避できるハズはないですよね。
なお、「水爆」(thermonuclear bomb)は核融合を利用する
のだから、Puがなんで含まれているの??とお考えの方も
いらっしゃるかも。
現実にはまだ核融合だけによる核兵器は実現しておらず、
今あるものは
fission –> fusion –> fission というメカニズムで爆発します。
つまり、
まずfission(核分裂)→ fusion (核分裂のエネルギーで、
核融合を起こす)→ fission(その核融合のエネルギーで、
さらに巨大な核分裂を起こす)
というわけですね。
では、次回はAtlantic Councilの卓上シミュレーション
紹介に戻ります。