付録 w-25) 「原発か?/高い電気代か?」~~はあ??

付録 w-25) 「原発か?/高い電気代か?」~~はあ??

2026年3月

私(ひで)のフォーカスはあくまで「核発電と核兵器の
不可分性」にあります。
ですから、今まで本「やかんをのせたら~~」では、
発電コストについては
あまり取り上げてきませんでした。今後も、それは
変わらないでしょう。

ただ、どうも最近の日本語報道など見ていると、
「原発の電気は安い ⇒ 原発か?/高い電気代か?という
二択だ」
という論調が目立つようです。

今は、こっちが安い ~~ でも、将来は?

前提となっている「原発の電気は安い」というのは、
現時点では事実だと思われるでしょう。でも、長期的にも
そうなのでしょうか?
その問題を指摘しておくことも、現在の状況下では必要かと
思います。

そこで本ページを作成しましたが、あくまで短いものです。
私の ”専門外” なので。
つまり、あくまで「付録」です。
詳しいことは、発電コストを専門に扱ってらっしゃる
方々の著作やウェブサイトをお読みください

では、本ページでは主に火力発電と核発電のコストを
考えます。

海峡封鎖 ⇒ 石油価格高騰 ⇒ 火力からの電気料金高騰

1 今のところ、原発は火力より安そう

この(おそらく一時的な)現象は、いうまでもなく次の
3つの要因によります:
・ ウクライナ戦争やイラン戦争などのため、石油や
天然ガスなどの価格が高騰している
・ データ センターなどのための電力需要増大が予想
されている
・ 火力発電では、燃料費が総コストに占める比率が大きい

最初の2つは現時点での常識だとして、3つ目について
もう少し詳しく見てみましょう。
まずは、エネ庁の周辺組織である「発電コスト検証
ワーキング グループ」が2025年2月6日付で公表した
発電コスト検証に関するとりまとめ」という報告書
(PDF)から。
(ただし、自然エネルギー財団からのこの報告書に対する
批判も、後で紹介いたします。

この「とりまとめ」のP. 80を見ると、LNG火力では
燃料費の比率が総コスト(社会的費用も含む、IEAの
シナリオではなくページ左側の場合)のうち約47.1%を
占めていますよね。(9.0 / 19.1 x 100)
世界情勢の中で燃料価格が上がれば、電気代も高騰する
はずです。

燃料費の比率が小さいんだよ~~
単に建設費とかがバカ高いってことやろ!

次に核発電(原子力)の場合ですが、「とりまとめ」の
P. 132にあります。
燃料費という明記がありませんが、おそらく
「運転維持費」の一部なのでしょう。
確かに、LEUの価格が上がっても、その電気料金への
影響は小さくて済みそうですね。

それでも、ウラニウム価格が高騰した場合、いくらかの
影響が電気料金にあるのは確かでしょう。
上の黒いメニューにあるページ s-0) と付録 w-22) でも
言及した通りです。
実際、ウラニウム価格はここ何年も上昇基調です。
Trading Economicsのウェブサイトを参照。
さらに、単なる燃料高騰で済めばよいのですが、
核兵器が拡散してしまいウラニウムの買い占めなどが
あったら?そもそも充分なLEUが日本に入ってこなく
なる危険性は?

日本は現在、ウラニウムについては100% 輸入依存です。
(石油もLNGもUも輸入依存 ・・・ 太陽や風や温泉、
海水などをうまく活用する技術を推進して、エネルギー
自給を進めないと)

しかし、以上だけだと何やら原発の燃料費という子細な
問題点をツッツキ回してしまっていますよね。
そこで「とりまとめ」のP. 132を見ると、原発で最大
シェアを占めるコスト要因は資本費で、約30.1% を占める
ことが明白です。(事故リスク対応費用を最小のo.2円と想
定した場合)
つまり、建設費などが高騰すれば、原発の発電コストも
大きく膨張することは確かですよね。

この報告書、どっかバイアスが ・・・

2 そこで自然エネルギー財団の「2024年発電コスト検証の前提条件に関する問題」を

上の1では、エネ庁周辺の発電コスト検証ワーキング
グループによる「とりまとめ」をデータの根拠と
してました。
しかし、その前提条件に潜む問題点を専門家たちが
指摘している報告書があります。
自然エネルギー財団の2025年3月付の
2024年発電コスト検証の前提条件に関する問題
という報告書です。
PDFですので、ぜひダウンロードしてお読みになって
くださいな。

その報告書から、随所取り上げてまいります:

PDFを開いて、該当箇所をお読みくださいな

・ まずは、P. 5の本文
そもそも「とりまとめ」には、核発電への ”えこひいき”
みたいなものが伺えるように、私も思いました。

・ P. 9の下段落
このIRR相当政策経費の扱いは、「とりまとめ」の実に
奇妙な前提です。

・ P. 10の中央から下
いよいよ建設費の問題が出てきましたよ。

・ P. 11の全体
いよいよ、建設費が予算を大幅に上回ってしまった
実例を紹介してますね。
これが、原発建設の現実です。

なお、「やかんをのせたら~~」でもとっくにこうした
”予算を超えた大膨張” の実例を紹介済みです。上の
黒いメニューにあるページ al-1) (終わり近くにある
The Atlanta Journal-Constitution紙の記事の紹介)や
al-4) (全体)など。

・ P. 12の中央あたり
この女川原発のケースも、実例なのですよ。
原発の建設や安全対策に伴う費用って、「予算の数
10%」などでは済まなくなる場合が多いのですね。

・ P. 13の本文
TRU廃棄物とはTRansUranicの略で、「超ウラニウム元素」
を含む廃棄物のことです。
放射線については低レベルであっても、半減期が大変
長いため地層処分が必要になります。

建設費と安全対策費が予算の20倍に膨れ上がってしまったので~~
電気料金sky rocket

こうした建設費や安全対策費が予算を超えて膨れ
上がれば、当然電気料金にも影響します。

つまり:
・ 今のところ、原発に頼れば電気料金を抑えられると
しても
・ そのため原発依存社会になると、いずれ将来に新たな
原発建設が必要になる。
・ そのときに建設費や安全対策費が予算を超えて
膨れ上がれば、電気料金も急騰してしまう。
というわけです。

事故や災害で地域が停電してしまうことをblackoutと
呼んでいますが、電気代が高騰しすぎて電気を充分に
使えなくなったら、redには「赤字」って意味もあるので、redoutとでも呼べばいいのでしょうかねえ?

とにかく、nuke addictionに陥らないよう、ご注意!
というページでした。

冒頭にも記しましたが、発電コストに関する詳細は、
その道の専門家の方々によるウェブサイトや著作などを
お読みくださいませ。
私にとっては、あくまで「専門外」です。本ページは、
あくまで「付録」ということで

困った~~
私のクロッキー(速写画)、Croquis Cafeベース

最後に、「やかんをのせたら~~」らしいことも指摘
しておくと ・・・

核発電に伴うproliferationが現実化し、核兵器保有国が
増えてしまった場合
(想像上の問題なんかじゃなくて、実際すでに北朝鮮は
そうした実例になってしまっています)、その周辺諸国は
軍備や外交で対応に追われることになりますよね。
つーか、実際に今の韓国や日本はとっくに対応に
追われています。
その費用たるや、試算が困難でしょう。

さらにそうした核兵器が実際に使用されてしまった
場合には、その被害は金額で表せるようなものじゃ、
ありません。何万もの人命が奪われた場合、
「被害総額」なんていう金額で表すのは不可能です。

何でもかんでも数値化できるってワケじゃない~~

2026年3月20日追記

以上を記し終えてマンガを作成していたら、アメリカの
メリーランド州に本部があるBeyond Nuclearという
反核団体からBulletin(Eメール)が届きました。

Beyond Nuclearについては、
Home – Beyond Nuclear: energy advocacy non-profit
(英語)をご覧くださいな。
リンク先ページの右下にあるJoin Usをクリック ⇒
Bulletinを申し込めば、
無料で毎週、eメールのBulletinが届きますよ。

で、先ほど届いた3月19日付のBulletinに、私にとっては
実にタイムリーなことに、原発の資本投下の予想を
超えた膨張の実例が紹介されてました。
要約・日本語化で紹介しますね。
<  > 内は、私からの補足説明です。
***************************************
失敗の典型例
原発新設コストが高騰

<フランスの電力公社> EDF <Électricité de France> は
英国で2件の <原発> プロジェクトを進めているが、
工期とコストの点で致命的な失敗の実例となっている。

Hinkley Point C原発はフランス開発のEPR原子炉
(1,630 MW)2基で構成されているが、そのコストが
当初の推定では240億米ドルとされていたが、今では
およそ680億ドルにまで跳ね上がっている。契約に定めた
電気料金は当初にはMWあたり$125.30だったが、
これも増大しそうだ。竣工予定も <当初予定より>
13年も遅れ2030年となっている。
<上で紹介した自然エネルギー財団の「問題」P.11を参照。
金額については、インフレ率や英ポンド・米ドルの為替
レートの問題があるので「問題」と上記とが食い違って
いるように見えますが、おそらく上記のデータの方が
新しいのでしょう。Hinkley Point Cのコストはずっと
膨張を続けていますのでね。なお、上の黒いメニュー
にあるページ al-4) でも、EPRの建設コスト爆発と
工期だらだら延長については、紹介済みです>

EDFではSizewell C原発 <イングランド東部のSuffolk
という場所での建設予定> というやはり原子炉2基の
プロジェクトも進行中だが、まだ基礎工事段階だ。
その発電する電力の価格は$163 /MW-hrで、これは
現状の電気料金のほぼ2倍だ。英国政府自身が、
それを認めている ・・・*********************************************

原発依存 ⇒ 将来の電気料金高騰 というパターンは、
すでに現実に実例が出ているわけですね。

これから、どうなるの?
私のクロッキー(速写画)、Croquis Cafeベース

 

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