NuScale社の電力供給プロジェクトが 瓦解、SMRの 終焉か

The collapse of NuScale’s project
should spell the end of small modular
nuclear reactors
(NuScale社の電力供給プロジェクトが
瓦解、SMR(小型モジュール炉)の
終焉か)

下で紹介したUtilityDiveの関連記事、
抜粋・要約紹介

下の2月12日の記事の本文冒頭で登場
するUtilityDive掲載のRamana博士に
よる記事、抜粋・要約で紹介しますね。

元記事を読みたい方は、次へどうぞ:
The collapse of NuScale’s project should spell the end for small modular nuclear reactors | Utility Dive

PWR型のSMRのメカニズム
かなり簡略化したもの、再掲

いつもどおり、
私による抜粋・要約・日本語化
< > 内は私からの補足説明 で、
原文ではところどころ関連文書への
リンクがあるのですが、以下は
あくまで抜粋・要約なので、
リンクは無視しております。
**************************

ユタ州公営共同電力事業体 <Utah
Associated Municipal Power Systems、
UAMPS> というプロジェクトに固有の
諸問題もあったものの、同プロジェクト
で発生した財務面の課題とコスト面での
傾向とは、今後すべてのSMRプロ
ジェクトにも付き纏うはずだ。

2024年1月31日発表

M.V. Ramana博士

だれがこんなもんに、投資すんねん??

昨年11月、ユタ州公営共同電力事業体
<Utah Associated Municipal Power
Systems、UAMPS> が「アメリカ初の
NuScale Power社のSMR稼働開始」と
なったはずのプロジェクトを終了
させた。これは、予想されていた惨劇
だった。もう数年も前から、警告音は
鳴りっぱなしだった。UAMPSに固有の
諸問題もあったものの、同プロジェクト
で発生した財務面の課題とコスト面での
傾向とは、今後すべてのSMRプロ
ジェクトにも付き纏うはずだ。SMRは
今も理論上の原子炉に過ぎず、正気を
保っているのであれば、SMRに10円
でも投資しようとする電力企業も
政府も考えにくい。

2015年に発表があった通り、UAMPS
プロジェクトは当初、12基のSMRを
建設し合計で600 MWの発電を行う
計画であった。そのころには、
「2023年前後に」稼働を始めるつもり
だった。本来、「とりあえずのコスト」
は30億ドルであった。2018年に
なってNuScalは設計変更を発表、
個々のSMRの発電量を60 MWにする
と述べた。合計では720 MWとなった。
同社の主張では、この変更により
「発電量1キロワットあたりのコスト
を当初の5,000ドルから4,200ドル
前後にまで削減できる」ことになって
いた。

2018年にはこのプロジェクトの推定
コストが42億ドルにまで膨れ上がり
2020年にはさらに61億ドルにまで
上昇した。2023年になると、ついに
93億ドルに達した。2021年に発電量
を462 MWに下げる変更があった
のだ。最終的に、コストが膨れ上がり
過ぎてUAMPSの加盟自治体が対応
できないものと化していた。

——— (中略) ———–

ありゃまあ、どの原子炉もカネクイムシだったのね~~
私の10分クロッキー

このUAMPSプロジェクトは決して
例外的なものではなく、原発プロ
ジェクトには無数にあるコストと工期
の超過という長い歴史に新たな一例を
加えたに過ぎない。2014年にある
学術的研究が行われ、全世界の原発
プロジェクト180件を調査した。
その悔過、なんと175件で当初のコスト
を大きく超過しており、プロジェクト
完成の時点では平均で117%もの超過で
あった。工期も平均で、当初の予定より
64%も長くかかった。

近年のプロジェクトになると、予算や
工期の超過はさらに悪化している。一例
として、フランスで現時点で建設中の
原子炉はFlamanville 3のみであり、
これが原子力産業の申し子のような
存在になっている。その推定コストは
132億ユーロ(150億ドル程度)に
昇っており、建設開始時点での推定額
の4倍ほどに達している。工期も、
建設開始時には4年半であったものが
なんと16年を超えるまでに延長
されている。

これほどコストが膨張しているため
当然、電気料金の値上げにつながって
いる。2023年4月にLazardという
金融企業が推定したところによると
アメリカの場合で新設原発による電力
政府からの補助金が出ない場合には
均一化すると1 MW・1時間当たりの
コストが141から221ドルになって
しまう。これに対し、電力会社に
ふさわしい規模の太陽発電施設を
新たに建設し、日没後も送電できる
よう何らかの蓄電装置を設けた場合、
やはり補助金なしの均一化した
コストは1 MW・1時間当たりで
46ドルから102ドルで済むとLazard
は推定している。.
文字色強調は、私> ———–

———(中略)———-

グリッドで電力需要と供給をマッチさせるには、
大変高度な施術と経験が必要です

Lazardによる推定が示しているように
こうした大型発電所そのものに、
再生可能エネルギーと競争する力は
ない。.

——–(中略)———

核エネルギー推進勢力は再生可能
エネルギーは変動しやすいという点を
指摘、電力システムを安定化させる
には何らかの形態の核発電が必要だと
主張している。だが、安定していると
思われている発電所があっても、
昔から送電グリッドというものは電力
供給の変動に対処してきたのだ。
たとえば原発は、安全性のために突如
としてシャットダウンせねばならなく
なる場合がある。(一例として、
福島第一原発の大事故の後、日本各地
の原発が停止したように) 
<やはり安定していると思われて
いる> 石炭火力も、燃料の輸送列車
の脱線など燃料供給が中断すれば、
稼働できなくなる恐れがある。
フランスの全原発の平均値を求める
と、各原発は2019年には96.2日、
2020年には115.4日、2021年には
103.8日、2022年には152日、停止
していたのだ。<停止原因の一例と
して、上の黒いメニューの終わりの
方にある固定ページ 付録 w-10) も
参照>

揚水発電所の概要、再掲

現在では再生可能エネルギーの 
<発電量の> 変動は、各種技術の
多様化を進め組合わせて用いること、
地理的な所在地を分散化させること、
再生可能エネルギーが潤沢である
時間帯に電気を使うよう消費者向けの
インセンティブを実施すること、
そして最終的には各種の蓄電技術への
投資を進めることで、解消できる。
蓄電技術としては、リチウム電池や
揚水発電などがある。だがそうした
すべての措置以前に、エネルギー利用の
効率化という手がある。効率化を進め
れば、電力供給の変動にも対応しやすく
なる。その例として、建築物の放熱や
吸熱をゆっくりと行われるように
すれば、発電量が低下している場合で
あっても、内部の人たちが快適に
過ごせる時間が長くなる。太陽が照って
いない時間帯や風が凪いでいる間で
あってすら、それを埋め合わせるのに
原発は不要なのだ。

上記のすべてから分かるように、気候
危機を解消するためには、核発電は
必要ではない。核発電はあまりにも
高価であるだけでなく、建設に長期間を
要する。気候変動への対応は緊急の責務
であり、我々には原発を建設している
時間の余裕などないのだ。

———-(以下略)————

思い込みを打ち破ろう

*************************

終わりの方の文字色強調した箇所から
も、現時点の日本社会の一部で叫ばれ
ている
「電気料金を下げるために、原発再
稼働を急げ!」 とか
「再生可能エネルギーでは、不安定
すぎる」
といった主張が、いかにオカシナ
ものか分かりますよね。

こうした社会状況のただ中にあって
正しい情報を発信していくことは、
私たち反核勢力の責任です。

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SMRドミノ、崩壊開始?

First SMR domino falls, potentially to start cascade
(SMRの最初のドミノが倒れた。あるいは、ここから総崩れか)

Beyond Nuclear Bulletin
2024年2月8日号より

元記事は、次へ:
First SMR domino falls, potentially to start cascade – Beyond Nuclear

Beyond Nuclear BulletinではSMR
プロジェクトのビジネス面での失敗に
ついて以前から最新の動向を紹介して
くれていますが、日本ではSMRという
言葉さえあまり耳にしないですよね。
でも上の黒いメニュー(項目は基本的
にアルファベット順)にある固定
ページ s-0) で述べた通り、日本でも
政府などは既にSMR導入を検討して
います。それに対し、反核勢力がSMR
という言葉も知らないままだと、
あまりにも無警戒ですよね。
そこで、「やかんをのせたら~~」
では、SMRとその挫折を紹介する
Beyond Nuclear Bulletinの記事を今後
も日本語化して紹介してまいります。

「連続殺人鬼が、この町に潜入したかもしれへんそうやで~~
そいつの特徴は ・・・」
「わあ~~、こわい、はよ逃げよ!」
「ちと待ちなはれ、特徴を知っとかんと」

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
**************************

SMRに限らず、どのようなタイプの
原子炉でも同様の財務的危機が
起こりえる

Utility Diveというエネルギー業界向け
のジャーナルがあるが、その2024年
1月31日号に掲載された Opinion
<お読みになりたい方は、 The collapse of NuScale’s project should spell the end for small modular nuclear reactors | Utility Dive へ。
近日、これも要約して日本語化しよう
か、考え中です>
という記事が、業界を揺るがせている。
この記事は
The collapse of NuScale’s project
should spell the end for small modular
nuclear reactors <NuScaleの給電
プロジェクトが崩壊、SMRの終焉の
兆し>
という適切なタイトルのもので、
核の愚行に関する幅広い典拠を
備えた調査だ。このOpinionの著者で
あるM.V. Ramana博士は、カナダの
ヴァンクーバーにあるブリティッシュ
コロンビア大学で公共政策と世界情勢
学部の教授ならびに軍縮・世界と人類
の安全保障に関するSimons Chairと
いう会長職を務めている。同博士は、
アメリカで建設・稼働される予定だった
大量生産の小型商用発電原子炉としては
最初のものとなるはずであったユニット
に関し、その財務面での失敗について
鋭い観察眼を向けている。

SMRは基本的に、工場で量産して
現場に運び、設置します

オレゴン州ポートランドに本社を置く
NuScale Power Corp社は2007年設立
のスタートアップだが、アメリカ発の
小型モジュール炉 (Small Modular
Reactors、SMR)を大量生産するよう
アメリカのエネルギー省(Department
of Energy、DOE)からSMRの代表
企業という扱いを受けていた。
NuScale社を所有・支配しているのは
アメリカの核エネルギー業界の巨大
企業であり水爆のメーカーでもある
Fluor Corporation社だ。だが代表企業
となるどころか、2023年11月9日、
NuScaleは核発電プロジェクトで
増え続けている財務的破綻の新たな
1例となったことが発表された。
核発電プロジェクトではコストの
抑えがきかず工期延長の繰り返しと
いうパターンがみられており、
プロジェクトは難航している。だが
NuScaleのケースでは、同社が選定
した原子炉設計をアメリカの原子力
規制委員会(Nuclear Regulatory
Commission)からの実施可能な設計
としてのライセンスを受けて工事
開始セレモニーを行えるようになる
以前から、犠牲にされていたのだ。

小型だから安全です
と主張していますが、実際には
1つの原発に多数のSMRを設置
するので、コントロールは複雑になります

NuScaleによる今回のパイロット
プロジェクトは当初、ライセンスを
受けてSMR 12基を隣接させて建設し
稼働させることを目的としていた 。
(各SMRの発電容量は50から
60MWeで、12基合計での発電容量
が最大で720 MWe)  12基を
1つの建屋に収納、コントロール
ルームも1か所だ。このやり方が
建設でも稼働でも安全性が高くコスト
も低く、工期も短くできると考えて
いたNuScaleだが、同社のSMRは
実は、実現困難なほど高価で大型
(1基あたり800 から 1150 MWe)の
商用PWRという何十年も昔の原子炉
を設計しなおしたものに過ぎない。
そうした旧式PWRは、稼働
ライセンスを延長してもらって現在も
稼働を続けているのだ。かくして1960
年代にまで遡る広範な経験をもとに
再設計したとはいえ、この再設計に
よっては完成コストの推定や完成
までの工期、あるいは稼働を予算内
で実施できるのかについては、信頼性
の向上は得られていない。実のところ
「スケール メリット」に則った新型
原子炉の設計と建設を核発電業界は
放棄しており、しかも小型原子炉で
コストの小さい電力を生み出すという
夢も「蜃気楼」として消え去り、
もはやかなわぬ夢と化したのは明らか
なのだ。

この研究所では、1961年にSL-1という小型原子炉の爆発事故があり、3名が他界なさいました。

NuScaleによるパイロット原子炉の
建設現場は、DOE が 連邦政府所有の
アイダホ国立研究所(INL)の敷地内の
土地が与えられている。アイダホ
フォールズ <アメリカ本土北西部の
アイダホ州の南東部にあります> の
そばにある。 NuScaleはUtah
Associated Municipal Power System
(UAMPS) と契約を締結、予想して
いた電気利用顧客ベースの獲得に
努めた。このUAMPS <ユタ州公営
共同電力事業体> は西部7州に
またがる50の地方自治体による電力
使用の協同組合で、参加希望の利用者
には最大で合計14億ドルの補助金が
DOEから10年間かけて支払われる。

だが、そうして連邦政府が核発電電力の
利用顧客が被りえる財務面でのリスクの
軽減に努めたにも関わらず、NuScaleと
UAMPSとが電力購入契約の顧客獲得に
初めから苦闘した様子を、Ramana博士
は示している。この購入契約にはある
「逃げ道」が用意される予定で、一旦
加入した顧客もそこからすぐに逃げ出す
ことになったのだ。そうした自治体が
財政上の懸念からこの核発電プロ
ジェクトより脱退、UAMPSとNuScale
とはこのプロジェクトの原子炉数を再度
交渉し、定格77 MWeの原子炉6基に
縮小した。合計発電量は462 MWeと
なる。それでもなおこの原子炉の設計
の安全性には問題があり、原子力規制
委員会からの承認をまだ得ていない。
かくして、この原子炉も巨額を費やす
脆い建築物であることが実証されて
しまった。以前、2005年にアメリカ
議会と核発電業界とは「原子力
ルネッサンス」を提唱したが、その際
に同業界は「革新型」第3世代原子炉
<例として、EPRやAP1000など。
上の黒いメニューにある固定ページ
al-1) や al-4) を参照> 34種類を
提唱したのだが、現時点で商業稼働が
可能なのは1基のみ (Vogtle原発の
3号機) であり、もう1基 (Vogtle
の4号機) は今も建設中である。
このジョージア州のVogtle原発で
進められている新原子炉建設プロ
ジェクトの当初の予算は140億ドル
であったが、現時点では400億ドル
に膨れ上がっており、いかに
カネクイムシかが分かる。

カネクイムシだよ~~

 

DownToEarth, <というインドに
本拠を置く環境問題などを扱う
ウェブサイト。元記事は https://www.downtoearth.org.in/blog/climate-change/tripling-nuclear-energy-by-2050-will-take-a-miracle-and-miracles-don-t-happen-94249
に> では上記の件をフォローする
記事を2024年2月3日付で公表、
M.V. Ramana 博士とFarrukh A.
Chishtie との共著による “Tripling
nuclear energy by 2050 will take a
miracle, and miracles don’t happen”
<2050年までに核発電を3倍にする
のは奇跡だが、奇跡など起こりえない>
という記事である。地球規模での気候
変動対策として核発電を拡大しようと
するのは危険な暴走であり、失敗する
ことが明らかだと説明している記事だ。

Chishtie と Ramanaという2名の
専門家は、この <2050年までに
各発電を3倍にという> 提案に反論
している。この提案は、UAEのドバイ
で開催された第28回気候変動対策会議
(COP28)でアメリカの前特使John
Kerry が唱えたものだ。専門家両名は、
2050年までに核発電をあり得ないほど
馬鹿げたと言ってよいレベルにまで拡大
することは無理だとする主な理由と
して、「核発電の経済的現実」を歴史
から現在に至るまで紹介している。
核発電をいまさら3倍増しても、
加速的に悪化しつつある気候変動を
緩和するには、手遅れだ。

「核エネルギーを短期間で拡大する
のは無理だという証拠は、圧倒的に
多数ある。核発電をさらに拡大すれば
気候変動を緩和できるという考えを
放棄すべき時代になっている。むしろ
再生可能エネルギーの拡大とそれに
関連した技術の向上とに傾注し、
厳格なエネルギー効率の向上措置を
実施し、エネルギーの移行を急速に
進めるべきなのだ」

努力の方向を変えよう

*************************
上述の通り、DownToEarthの関連記事も
近日中に要約・抜粋で紹介する予定で
おります。

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原子炉だけ浮かべても~~

「浮体」SMR免震は結構ですが ~~

先日、多数の日本語メディアが
「E – ディフェンス」でのSMR対象の
浮体式免震装置の実験を取り上げ
ました。
たとえば、
小型原子炉用免震装置を公開=能登地震の「揺れ」で実証試験―防災科研など (msn.com)
などなどですね。

そりゃまあ、浮かぶものには揺れが少ない ・・・

原子炉そのものは浮体にすれば、確か
に免震化できますよね。
SMRについては上の黒いメニュー
(項目は基本、アルファベット順)に
ある固定ページ s-0) から s-8) で
述べております。
SMRなら小型なので発電用蒸気
タービンなどまで含めた冷却系まで
浮体化すれば、地震の際の損傷は
軽減化できるのでしょう ・・・
これで、地震に伴うメルトダウンは
防止できる ~~ のでしょうか??

現実には、原子炉とその配管だけ見て
いては、原発の安全性を正しくは評価
できません。送電塔の倒壊が福島第一
事故の主な原因の1つであったこと
を、思い出してくださいな。
原子炉そのものに大きな損傷を起こさず
とも、外部からの電力(冷却系のポンプ
などを動かす)を取り入れる送電線を
ドローン爆弾などで破壊すれば、原発が
大騒ぎになることは、固定ページ
g-5) や g-6) で紹介済みです。

まあ、私の分野じゃないんだけど ・・・
イタリア風たこ焼き

まあ、この浮体化免震というのは
「やかんをのせたら~~」の本来扱う
話題ではありません。また私自身、
免震構造といった問題系にはシロート
です
そこで本ページでは、シロートとして
の私の疑問を短く挙げておきます。

防災科研(NIED、National Research
Institute for Earth Science and Disaster
Resilience)のウェブページ
E-ディフェンス公開実験のお知らせ -小型原子炉用の浮体式免震装置の実証試験(取材案内)-|2023年度|報道発表|最新ニュース|防災科研(NIED) (bosai.go.jp)

JAEAの関連ウェブページ
多方向の地震力低減可能なユニット型3次元免震装置を開発|日本原子力研究開発機構:プレス発表 (jaea.go.jp)

ロシアの船上原発などオフショア原発に
関するwikipediaのページ
Russian floating nuclear power station – Wikipedia
などなどを参照しております。

で、その私からの疑問とは:

I – SMRの下にあるプールそのものに
亀裂など生じたら??
これは、誰でもすぐに思いつく問題で
しょう。地震の際には、プールが乗っ
かっている大地そのものが揺れるわけ
ですからね。

II – 外部電源喪失
現時点でSMRの多くは、要はPWRを
小型化したものです。(PBR型HTGR
のSMRが中国の威海で2021年に稼働
を始めたようですが、西側では
アメリカのNRCから現時点で承認され
ているSMR設計は、NuScaleのPWR
だけだったと私は記憶しております。
「PBR型のHTGRって、なに??」と
いう方は、固定ページ p-o) から p-3)
をお読みくださいな)

で、大型PWRであれ小型PWRで
あれ、はたまたPBRであれ、冷却の
ために外部からの電力供給が必要で
あることに変わりはありません。
(必要な方は、固定ページ 付録 w-15)
を参照)

原子炉:何の損傷もないんだけど、
外部から電気が来ないので動けない~

つまり、原子炉やその冷却系が完全に
無傷であっても、その外部からの電源
供給が途絶えて station blackoutに
陥れば、最悪メルトダウンになって
しまうわけですね。

実際に、
福島第一の大事故の主な原因の1つは、
送電用鉄塔が倒れたことでしたし、
最近の志賀原発でも、外部からの電力を
電圧変換するトランスフォーマーが
壊れましたよね。稼働中ではなかった
ので、大事には至りませんでしたが。
もし稼働中だったら、
非常用ディーゼル発電の類をすぐに
動かさないといけなくなる事態で
したね。

浮かぶ原子炉 ~~ そこから出てくる
使用済み核燃料を冷やすSFPは、どないすんねん?


III – SFPはどうやって免震するの??

いくらSMRは小型だといっても、稼働
を続ければ使用済み核燃料は増加を続け
ます。
当然、使用済み核燃料の冷却・保管
プール(SFP)が必要で (固定ページ
付録 w-15) を参照)、その数も増えて
いきます。
そうした増え行くSFPは、どうやって
免震するのでしょうか??
上述のリリース類からは、さっぱり
分かりません。
はたして ・・・

・ sloshingで放射性汚染水がSFPから
こぼれ出た場合に備え、SFPも免震
プールの上に設置するのか?
⇒ 結局、かなり巨大な、あるいは多数
の免震プールが必要に ⇒ コストも
かさむ
・ それとも、SFPには何かほかの免震
技術を適用するのか??
⇒ なら、それがどんな技術なのか、
説明が欲しい ⇒ 上のリリース類からは
不明

あっちも見ないと ・・・
私の点描練習

結局、原発の安全性を問うときには、
原子炉とその周辺だけを見ていては視野
狭窄でして、SFPや外部からの電源供給
などなどの問題も考えませんと

あと、「原発ならCO2を排出しない」
という主張に出くわした場合にも、
温排水はいいの?
外部電源の発電元がたとえば石炭
だったら?
使用済み核燃料を地層処分した後の、
CO2放出は?
などなど、「原子炉の外の諸問題」を
考えませんとね。

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A folly without a turkey / 七面鳥もいない愚行

What a turkey
(ひどい愚行 ・・・ * )

* 英語のturkeyはもちろん「七面鳥」と
いう意味ですが、スラングでは「愚行を
やらかす人」という意味もあります。
ただ、国名のTurkeyとスペルも発音も
一緒なので、トルコの方がいらっしゃる
場合には、ウッカリ使わないで
くださいね

Beyond Nuclear Bulletin
2024年2月1日号より
What a turkey | Beyond Nuclear International

英国で建設中のHinkley Point C原発の
建設コストがとんでもなく膨張、
ついに世界第2位の高価な建築物に
なってしまった ・・・ という報告
です。

英語の元記事を読みたい方は、
上のリンク先へどうぞ。

ヒネクレ ・・・いや、Hinkleyって、どこや??
Where is hinky — I mean Hinkley??

日本語読者の多数派の皆様のため、
このHinkley Point Cのごく短い略歴を
最初に紹介しておきますね。
英語版Wikipediaの”Hinkley Point C nuclear
power station” というページを基本に
しています。
詳しい情報は、
Hinkley Point C nuclear power station – Wikipedia
をお読みくださいな。

Hinkley Point C 原発、ごく大雑把な概要

所在地: 英国・イングランド、
Somerset州
所有者:
・ EDF Energy社(英国のエネルギー
企業ですが、親企業はフランス国営の
EDF社)
・ 中国广核集团(中国の国営企業)

建設開始: 2017年3月、2024年2月
現在も建設中

* 既に2023年2月のEDFによる発表
で稼働開始見込みが予定より15か月
遅れの2028年9月とされ、建設費も
大幅に予算超過。2024年1月には
さらに、稼働開始は3年ほど予定より
遅くなり460億ポンドに膨らみました。
当初予算の倍以上の金額だそうです。
(”まともな”ビジネスの論理で
あれば、こんなプロジェクトはやめる
べきですよね)

原子炉: EPRです。EPRに工期延長と
予算超過がつきまとってきたのは良く
知られており「やかんをのせたら~~」
でも上の黒いメニューにある
ページ al-4) で紹介済みです。

A、B、C ・・・
α、β、γ ・・・
А、Б、В ・・・

なお、”C” という名称からお分かりの
通り、Hinkley Point A とBもあった
のですが、
Aは1965年に稼働開始、2000年に
廃炉が発表されました。Magnox原子炉
でした。(減速材がグラファイト、
一次冷却材がCO2、上の黒い
メニューで e) を参照)
Bは1976年稼働開始、2022年に廃炉
発表。ガス冷却炉(GCR)でした。

それと、日本の三菱重工(MHI) もCに
絡んでおり、2022年11月発表の
リリースによれば、緊急冷却用ポンプを
納品したそうです。重大事故発生の場合
に、格納容器や燃料プールの冷却に使用
するポンプです。
三菱重工 | 英国ヒンクリーポイントC原子力発電所向けポンプの初号機を納入 残りの機器も順次製作、納入予定 (mhi.com)

下で日本語化紹介するBeyond Nuclear
Bulletinの記事では、このHinkley Point
C の工期遅延と予算オーバーを問題に
しています。
原発は実際には、いかにコストが
膨らみすぎる代物かお分かりいただ
けると思います。

では、そのBeyond Nuclear Bulletin
の記事を
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
****************************

飽くことなきカネクイムシ  These money eaters never stop devouring —

2024年1月31日
Linda Pentz Gunter記者
(Beyond Nuclearの国際問題専門家)

Hinkley Point C costs hit a new high but
the nuclear plant still isn’t roasting
Christmas turkeys
(Hinkley Point C原発の建設コストは
さらに膨張したが、いまだに
クリスマス用七面鳥 * を焼いてくれ
もしない)
<* 冒頭で説明したように、英語の
turkeyの二重の意味を生かした
言葉遊びです>

<サウディ アラビアの> メッカに
ある大モスクは、1,152億ドルで世界で
最も高価な建築物だと見られている。
それに続く第2位は ・・・ 英国で
建設中の原発だ。2基の原子炉を擁する
<発電能力が> 3,260MW のHinkley
Point Cという原発だが、英国で今も
建設中である。今のところそのコスト
は最低でも460億ポンド (590億
ドル)<8兆6,435億円程度、これ
だけ巨額を費やし、税金も投入して、
得られるものは電気だけです> で、
これは開発担当企業であるフランス
のEDFというエネルギーの巨大企業
が公表した最新の数値だ。

こうした現実から、Hinkley Point C
原発は今や世界で2番目に高価な
建築物という不名誉な栄冠に輝いて
いる。しかもこの原発は、まだ完成
してさえいない。建設コストは、
今後さらに膨らみ続ける恐れもある。

当分、焼かれずに済む ・・・  For the time being, I don’t have to get roasted

もともとEDFは、2017年までには
ブリテン(英国)の人たちは
Hinkley Point C原発からの電気で
クリスマス用七面鳥を焼くことに
なっているはずだと、大口を
たたいていた。この建設完成予定は
今や、「2029年以降」となっている。.

核発電業界というのは、コストや工期
などを3倍に膨らませることが得意だ。
昨年12月のCOP28気候変動対策
サミットでは、2050年までに世界の
原発を3倍に増やすと発表したのだが
これは例外となりそうだ。<つまり、
実現しないだろう>  だが新設原子炉
のお値段は? 建設期間は? そうした
面では、核発電業界は確実に3倍増を
達成しているのだ。

3倍必要なんだよ~~
I need triple this —

Hinkley Point C原発でも、その3倍増
がほぼ実現できつつある。 現在の建設
コストは、最初の推定であった180億
ポンド(230億ドル) <3兆3,350
億円くらい> の倍以上に膨らみ
あがっている。伸びに延びた延長工期
を考えると、コストの3倍増は充分に
あり得そうだ。

核発電業界の今迄の実績を考えるなら
Hinkley Point Cのこのコスト倍増は、
特に驚くこともないニュースだ。
それに先立ち、英国のリーシ スナク
首相の保守党政権は先日、英国は
「今後70年間、核発電の過去
最大級の拡大を開始、雇用創出と電気
料金の軽減、英国のエネルギー安全保障
の強化に努める」という無理な発表を
していた。その計画がその目標のいずれ
も達成できそうにないことは、言う
までもない。

Hinkley原発プロジェクトで英国の
消費者が払う電気料金は値下げする
どころか、実際には「電力市場での相場
料金よりもはるかに高いものとなる
だろう」と、Norbert Allnoch博士は予想
している。同博士はドイツの
ミュンスターに本拠を置くInternational
Economic Forum for Renewable
Energies (IWR) <Internationales
Wirtschaftsforum Regenerative Energien
再生可能エネルギーに関する研究や
コンサルテーション、国際ネット
ワーキング、啓蒙活動などを営む機関>
のCEOである。

「膨れた分は、利用者の皆さんに負担してもろて~~」
「ええ~~!!」
”The difference is on the rate payers —”
”No kidding!!”

そのIWRの推定によれば、Hinkley Point
Cが発電する電気のコストは「15
セント/kWhという基準よりも大幅に
高くなり」、しかも上昇を続けそうだ。
これは、英国政府が「核発電のために
EDFに支払う金額を国家が保証する
こと、それがインフレ率に応じて修正
されること」に合意しているためだ
と、IWRは発表している。

こうした問題に先立ち、先日の発表に
よると英国の政府当局は、イングランド
南東部のサフォークの海岸部にある
サイズウェル原発 <2006年12月に
廃炉発表されたGCR原子炉の原発
SIzewell Aがあり、イチオー今も稼働
可能なPWR原子炉の原発Sizewell B
もあります。そこに新たに全く同じ
EPR原子炉2基のSizewell Cを建設
しようという計画があります> の
EPR 2基について、 EDFに対し
Development Consent Order (DCO)
<直訳すると「開発同意命令」、
国家規模で重要なある種のインフラ
プロジェクトを正式に認可するもの>
を承認したとのことだ。このプロ
ジェクトには、英国政府は13億ポンド
(16億ドル)<2,320億円程度> を
投じる。このフランス企業EDFは既に
現地の原生林を伐採、近隣のMinsmere
自然保護地区に暮らす野生動物たちの
生息域を脅かし混乱を発生させている。

「おい、アイツの分のカネ、どないすんねん!?」
”Hey, what R U gonna do with his portion of the budget??!

一方でフランスは英国に対し、Hinkley
でのコスト超過とSizewellでも工事が
始まるとコストが膨らむと予想されて
いるのでその超過分とを支払うよう強く
要請している。報道によればフランスは
英国がSizewell C原発から中国を締め
出したうえ、Hinkley原発からも中国
企業の中国广核集团が保有していた
33.5%の持ち分を引っ込めるよう
促したとして、英国を非難している
そうだ。

英国の核発電プロジェクトに対する
中国の投資は、今までしばらく政治的
には厄介な難問だった。結局、中国
からの投資は「国家安全保障上の、
容認できないリスク」と 見なされるよう
になった。<同じ英国の> Essex州
Bradwell<廃炉作業中のMagnox原子炉
の原発があります> でも新たな原子炉
建設が提案されているのだが、これが
中国とフランスの合弁プロジェクトで
あるため、進捗しそうにない。その理由
の少なくても一部は、中国が関与する
ことに伴う安全保障上の懸念なのだ。

そうした問題のため英国政府は別の
出資者を探すことになり、結局は
Regulated Asset Base (RAB) <直訳
すれば「規制資産ベース」> という
手段で電気料金を支払う人たちから
徴収するしかなくなった。このRAB
という方法では、原発の設計や建設、
発電開始、稼働のために予測される
コストを予め電気料金に乗せることで
電気料金を支払う人たちの出費を集めて
将来の原発プロジェクトの資金を効果的
に集められる。

銀行の金庫爆破 ・・・ どれだけの
損害なのかも、分かりません~~
The bank’s been blown up — no idea how much the loss is

Together Against Sizewell C <という
反原発団体> のスポークスパーソンが
X (以前のTwitter) に投稿したものに
よれば、「Hinkley Point C には
やりたい放題な集金手段があって、建設
工事は遅延に遅延を重ねコストは呆れる
ほどの膨張を続けている。この原発が
いつになれば発電を始めるのか、その
ためどれだけの資金が浪費されるのか、
誰にも確かなことは分からなくなって
しまっている」

Hinkley Cの事例は、核発電産業が
「経済的に歯止めが利かなくなって
しまっている」ことの実例だ。そう
語るのは、Beyond Nuclearで原子炉
監視プロジェクトのディレクターを
務めるPaul Gunterだ。EDFのEPR
原子炉をフランスのFlamanvilleで建
設中だが、今も未完成だ。そのEPR
のコストは現時点までで当初予算の
4倍以上に膨れ上がっており、$150
億ドルに達している。フィンランドの
Olkiluoto原発 <フィンランドの南西岸
にある原発で、3基ある原子炉のうち
3号機がEPRです。そのEPRの建設は
2005年に始まりました> でもEPRを
建設したのだが、コストは当初の32億
ドルから120億ドル超にまで膨張、
稼働開始は当初予定から12年も後の
こと <2023年4月> だった。

アメリカに目を転じると、ジョージア
州のVogtle原発でAP1000 原子炉
2基 <上の黒いメニューのはじめの
方にあるページ al-1) を参照。Vogtle
原発に関する記載もあります> を
建設中だが、その総コストは最低でも
350億ドルにのぼっており、当初の推定
より少なくても200億ドル高い。
しかも2基あるうちの2番目の原子炉
は、まだ発電稼働に至っていない。
***********************

発電コストだけ見てね~~ 原発が一番安いよ~~
Take a “close” look at the “power generation only cost” —
see? Nuclear is the most reasonable!

ここでご注意いただきたいのですが、
原発建設はこれほどコストが膨大に
なるのに対し、日本での核発電推進
勢力は「発電稼働中のコスト」つまり
燃料費などだけを並べて「原発は発電
コストが安い」などと喧伝しています
よね。
しかし、巨大な建設費用や廃炉コスト、
核ゴミの長期保管コストなどの一部は、
我々が収めている税金で賄われている
ことをお忘れなく。

35年ほど昔のことですが、私が都内
に当時あったクリエイティブ
エージェンシーでChief Creative Officer
を務めていた時、エネルギー庁関連で
原発広報の仕事にも関わっておりまし
た。(今から思うと、後悔!)
その広報職務の一環で、原発建設中
だったある立地町に取材や撮影に
行ったことがありました。通産省
(当時、今の経産省)関係の担当者の方
と一緒に、まず町役場に挨拶に行ったの
ですが、そこでの歓迎ぶりと言ったら
・・・ なにせ、原発のおかげでその町
には巨額の交付金などが国から舞い
降りてくるわけですもんね。
町にあった宿屋さんで夕食になろうと
したとき、町役場からのご来客が
・・・ ビールやウィスキーのボトルを
抱えて、我々「御一行様」の部屋に
お持ちになったのでした。
まあ、私自身はアルコールが苦手なの
で、他の人たちが飲んだのですが。
問題は、「原発のゼニ」は形を変えて
こんな「もてなし」にまで回って
きちゃうって事実ですよね。無論、
このアルコールは「直接的には」その
町の住民税が財源だったのでしょう
けど。

たとえばこんな感じで、かわいい
オネーさんが酒を持ってきてくれました ・・・
って、この町はいつ公営バーになったんだ??

税金の使われ方として ~~ 現時点で
あれば「原発おもてなしのアルコール」
なんかに税金を使うんじゃなくて、
たとえば能登半島地震で避難して
らっしゃる方々のため、優先して
使ってほしいものです!

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北朝鮮、巡航 ミサイルの試験を実施

North Korea says it tested long-range
cruise missiles to sharpen attack
capabilities
(北朝鮮、攻撃能力強化のため巡航
ミサイルの試験を実施したと発表)

APのウェブサイトより
North Korea says it tested long-range cruise missiles to sharpen attack capabilities (msn.com)

北朝鮮のミサイル実験については
日本語メディアもカバーしているので
「やかんをのせたら~~」がワザワザ
取り上げなくても ・・・ 最近までそう
考えていたのですが、日本語の報道
記事とAPやReutersの英語記事とを
比較すると、どうも日本語記事の多く
はテキストが短く、そのため内容が
浅いように見受けます。
そのため、「やかんをのせたら~~」
でも北朝鮮の核武装関連の記事を紹介
することにしたわけですね。
なにせ、IAEA査察官などを追放、
NPTから脱退して核兵器を保有した
国が今度は長距離ミサイルだというの
ですから ・・・
こうしたニュースがなくなり、
「やかんをのせたら~~」も必要が
なくなる日が、早く来てほしいもの
です!

こんな平和な世界を ・・・
私がずっと以前に描いたスケッチより

では、いつもどおり
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

************************
Kim Tong-Hyung記者、AP
2024年1月31日

韓国、ソウル発(AP)
この水曜 <1月31日>、北朝鮮は
長射程の巡航ミサイルの発射試験を
実施したと発表した。その狙いは北の
反撃能力ならびに戦略的攻撃能力を
強化し、韓国ならびに日本にとって
脅威となる最新の兵器を見せびらかす
ことにある。

これは北朝鮮の国営メディアによる
ものだが、北朝鮮が複数の巡航ミサイル
を韓国西岸沖めがけて発射したことを
韓国軍が検知した、その翌日の発表と
なった。北が巡航ミサイルを発射したの
は、この1月としてはこれで3回目と
なる。外交交渉が停滞したままである
中、北朝鮮はアメリカとその同盟
アジア諸国とに対する軍事的圧力を
高め続けており、挑発的な兵器実験を
続けている。今回の発射実験も、
その挑発行為の続きである。

北朝鮮の国営報道機関である朝鮮通信
によると、この火曜日 <1月30日>
の発射実験の兵器はHwasal-2で、
この発射によって近隣諸国の安全が
脅かされることはなかったという。
この報道では、発射したミサイルの
正確な本数や飛行性能などは述べて
いない。

なんぼ持ったら、気が済むねん!?

北が以前に発表したところでは、
Hwasal-2 は核弾頭を搭載可能で、
射程は最大で2,000 kmであり、これは
日本にあるアメリカ軍基地を攻撃できる
距離だ。

近年、北朝鮮は巡航ミサイルのライン
アップを拡充しており、しかも陸上と
海上の両方から発射が可能だ。北は
既に弾道ミサイルをかなりの量保有して
おり、それを補完するものである。
同国の弾道ミサイルの中には短距離の
固形燃料型ミサイルも含まれ、韓国の
ミサイル防衛網を圧倒することを狙い
としている。さらに大陸間弾道ミサイル
も保有しており、これらはアメリカ本土
を標的としている。

2021年以来、北朝鮮は少なくても11回
の発射実験を実施しており、それらに
ついて陸上発射と海上発射両種の長距離
巡航ミサイルであるとしている。

ああ、魑魅魍魎 ・・・

今回に先立つ2回の巡航ミサイル実験が
この1月24日と28日とに実施されたが
そこで発射したミサイルはPulhwasal-
3-31という新型兵器とされている。
これは潜水艦発射用の設計となって
いる。この日曜日 <1月28日> には
その2回目の発射があったのだが、
その後に北朝鮮の指導者である金正恩は
核武装した海軍を構築して高まる外部
からの脅威だと彼が呼んでいるものに
対抗することが目的だと述べた。

さらに1月14日、北は新型の固形燃料
型中距離ミサイルの発射実験も行い、
太平洋にあるアメリカの軍事資産を攻撃
できる兵器を強化しようという姿勢を
強調した。その標的としては、ガム島に
あるアメリカ軍のハブ基地も含まれる
そうだ。

韓半島(朝鮮半島)の緊張はここ数年
で最強に達しており、金は兵器開発を
前例のないペースに加速しており、
しかもアメリカ、韓国、日本に対する
挑発的な核の脅威を仕掛けている。
アメリカとその同盟アジア諸国はそれに
対抗、合同軍事演習を強化するとともに
抑止戦略の刷新にも努めている。

北は核武装を着実に進めるとともに
ロシアとのつながりも深めており、
それで気を大きくした金が、今年選挙を
迎えるアメリカと韓国に対する対抗心を
さらに高めるのではないかとの懸念も
ある。

専門家たちによれば、金の長期的な
目的は北朝鮮の核兵器保有をアメリカ
に認めさせ、交渉で安全保障上の譲渡と
制裁の解除とを <核という圧力で>
引き出すことにあるそうだ。
******************************

ああ、困った~
私の20分クロッキー、男性のモデルさんです

核兵器なんてものが存在していると、
外交も交渉も無視され「核という力
だけ」で目的を達成しようとする勢力
が登場してしまいます。その実例を、
私たちはたった今、経験しているわけ
ですね。
さらに、日本も北の核兵器の標的の
1つにされている ・・・ ここで
すぐに、「日本も核兵器を!」と騒ぐ
勢力が登場していますが、長期的に
賢明なのはあくまで、世界の市民と
連帯して地球からの核の廃絶を
求めることでしょう。

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ザポリージャ原発の核燃料、期限切れが近づく

New threat arises on Zaporizhzhia
NPP. Fuel life expires
(ザポリージャ原発に新たな脅威。
核燃料の使用期限が切れる)

Ukrainian Newsのウェブサイトより
New threat arises on Zaporizhzhia NPP. Fuel life expires | Ukrainian news (ukranews.com)

こんな状態では ~~

ザポリージャ原発の現在使用中の
核燃料の使用期限が迫っている、
という実に怖いニュースです。
ウクライナのUkrainian Newsのウェブ
サイトより。
私としては、誤報であってほしいの
ですが ・・・ 敵国が占拠している原発
ですから、こういう事態も充分に考え
られます。
日本にどこかの敵国が攻め込んできて、
その敵国がたとえば柏崎刈羽原発を占拠
したら?この記事と似たような事態が
起こらないとは、限りません。占拠軍が
原発を不適切に稼働させた場合、
大事故の可能性は否定しきれません
よね。
原発や再処理工場などの核施設がある
と、軍事的脆弱点になってしまいます。

では、まずはUkrainian Newsの記事を。
いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

この飴、検査する前に溶けてまいよったがな~~

***************************
2024年1月26日

Tetiana Herasimova編集者

ザポリージャ原発の6基ある原子炉
全てで、使用中の核燃料の6年間と
いうメーカー指定の搭載期限が切れ
ようとしている。そのため、異常な
事態が発生する危険性がある。

<ウクライナの核エネルギー公社で
ある> エネルゴアトム社の取締役会
議長代理Petro Kotinが、この危機を
指摘した。

Kotinの説明によれば、期限切れの
核燃料を使用することは安全基準の
違反行為だ。そうした使用をすれば、
核燃料の固体単位が崩壊し事故が
発生する恐れがある。

「しかも侵略軍 <ロシア軍> は
原子炉を ”コールド シャット
ダウン” <水蒸気を発生させない
状態> から ”ホット シャット
ダウン” <水蒸気を発生させる
状態> へと交互に移行させようと
しており、そのため状況はさらに
悪化しかねない。こうした意向
そのものが、核施設の稼働のための
国家核規制検査局の認可要件への違反
である。つまり、ウクライナの規定と
国政的な規定の両方に違反する結果と
なってしまう」とPetro Kotinは
力説している。

既にウクライナ報道局(Ukrainian News
Agency)が報じたように、IAEA査察官
が今年1月初めにザポリージャ原発の
原子炉の建物内を査察しようとしたが、
入場が <ロシア軍から> 許可され
なかった。同原発を占拠中のロシア軍
は、この施設内の現状を見られたく
ないのだ。

また昨年の11月初め、ザポリージャ
原発の5号基の冷却水からホウ素水が
漏れたと、IAEA 査察官たちは発表
した。<ホウ素は中性子をよく吸収
するので、一次冷却水中にホウ酸など
を混ぜれば、核分裂反応の調整に
役立ちます。ホウ素の濃度が高まれば
核分裂反応が少なくなるのですね。
それが漏れ出たということは、
そうした調整能力が劣化した恐れが
あるわけです>
*****************************

自分の脆弱性をワザワザ作るって ・・・
私の15分クロッキー

原子炉を敵軍が占拠してしまった場合
どれだけ厄介な事態となり、しかも
原発事故を招くリスクが発生するか
・・・ その実例ですね。
ロシア軍が結局はウクライナに侵略
しましたが、当初は日本に侵略すると
いう選択肢もあったと、日本語
メディアでも報じられていますよね。
もし、柏崎刈羽とかが占拠されて
いたら ・・・

やはり、ここまで軍事的に脆弱な
施設は持つべきでないですね。

それとも、「いざとなれば短期間で
核兵器意を製造できるよう、核施設と
核物質・核技術は保持せねば」という
のでしょうかねえ??でも、その
核施設自体が占拠されてしまったら、
何の意味もなくなってしまいますよね。

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イランには核兵器を作るのに充分な Uと、アメリカの専門家

Iran has almost enough uranium for
nuclear bomb, US expert reports
(イランには核兵器を作るのに充分な
Uと、アメリカの専門家)

イスラエルのThe Jerusalem Post
Iran has almost enough uranium for nuclear bomb, US expert reports (msn.com)

イスラエルの報道機関による報道で、
イランが核兵器を作れるだけの濃縮U
を既に保有しているとアメリカの専門家
が報じている、とのニュースです。
問題は、当のイスラエルもとっくに
核兵器を保有しているはずだってこと
です。(上の黒いメニュー(項目は
基本的にアルファベット順)にある
ページ c-3) と c-4) をお読み
くださいな)

隠しても、隠しきれない ・・・

そもそも、イランが核開発を始めた
「裏の目的」は、イスラエルの核への
対抗であったのでは? と私は見ており
ます。そして、その「裏の目的」を隠す
ために、「発電」が見事に利用された
実例の1つでは?
だから、「やかんをのせたら~~」では
どちらかのサイドに立つことはしません
が、どんな現状なのかを知っておくこと
はサイドの有無を問わず必須ですよね。
で、どうもイランの核開発については、
イスラエルの報道機関がずっと目を
光らせているようでして。そこで、
イスラエルからの報道記事を時々紹介
せざるを得ないのですね。

問題の根本解決は、どこかのサイドに
つくことはなくて、この惑星から核兵器
と核発電を廃絶することですね。

では、その記事を。
いつも通り、私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

******************************
Benjamin Weinthal 記者
2024年1月22日

アメリカの物理学者David Albrightは
核兵器プログラムに関する世界でも
有数の専門家の一人だ。そのAlbrightが
イランの現政権が原爆を作るために充分
なウラニウムを製造するのに約1週間
程度しかかからない、という内容の報告
を発表した。

時が経つにつれて ・・・

「How quickly could Iran make nuclear
weapons today?」(現時点で、イランが
核兵器を作るのにどれだけの日数が必要
か?)というタイトルの1月8日付の
報告でAlbrightは、次のように主張して
いる:「イランは多数の核兵器に使用
する兵器グレードのウラニウムを
短期間で充分に製造できるようになった
が、これは2003年にはできなかった
ことだ。現在では、イランとしては
初めての核兵器のために充分な濃縮
ウラニウムを製造するのに、1週間程度
しかかからない。1か月で核兵器6個分
の兵器グレード ウラニウムを製造でき
兵器グレードのウラニウム製造を
5か月も続ければ、核兵器12個を
保有しうる
<このくだり、どういう
計算なのか私(ひで)には分からない
のですが、とにかく原文通りに記載
しておきます>」

Albrightはワシントンに本拠を置く著名
な研究所Institute for Science and
International Security,(科学国際安全
保障研究所)の創設者にして所長でも
あるが、「さらにイランは、兵器
グレードのウラニウムを核兵器のコンポ
ーネントに作り変えるための準備作業を
直ちに始めることも可能だ。兵器
グレードのウラニウムがすぐに得ら
れる、という想定だ」とも語る。

発電から兵器へ ・・・

「イランがそうした作業のかなりの
部分を実現したのはアマド プランの
時代の頃で <AMAD Projectとも呼ば
れるこの核開発プロジェクトは1989
-2003年にかけて実施されたと、
IAEAは主張しています。イスラエル
によれば、それ以降も継続したそう
です。イラン政権自体は、このプロ
ジェクトの存在そのものを否定して
います>、それがさらにこの数年間は
エスファハンの民生用核施設で発展、
イランの核開発プログラムの進展の一環
となった。<エスファハン(イスファ
ハンとも)はイラン中央部やや西にあり
イラン最大の核研究施設です>
そこでは20%濃縮金属ウラニウムを
少量製造していたが、これはさらに
濃縮すると兵器グレードにしやすい」
<文字色強調は、私。「民生用」の
核施設で、実は核兵器用ウラニウム
濃縮もできてしまうことの実例ですね。
北朝鮮の核兵器のPuも「研究用」
原子炉から得られたことも、
お忘れなく>

イランの現時点での核能力

Albrightは以前、イラクで国連の兵器
査察官も務めた。その彼が、こう記して
いる:「 イランが核兵器製造能力を
高めていることは、幾度も非難を招いて
きた。最近の例として、<2023年の>
12月28日にアメリカとその強い同盟
ヨーロッパ諸国とが発表した共同声明が
ある。その共同声明は、60%濃縮
ウラニウムの製造量を増やそうという
イランの行動に対する反応であった」

イランの最高指導者アヤトーラ アリ
ハメネイは、同国の核開発の実績を
次のように評価している。テヘラン発の
2023年6月11日付の情報だ。
(クレジット: Office of the Iranian
Supreme Leader/WANA (West Asia
News Agency)、REUTERS経由)

ウラニウムの濃縮度と用途、再掲

「このレベルまでウラニウムを濃縮でき
れば、核兵器製造に最適の濃縮レベルで
ある兵器グレードつまり90%までの
濃縮も、もう少しだ。イランの核兵器
設計で求められている濃縮レベルも、
90%以上である。2000年代初頭の
イランの核兵器プログラムはAmad
Planというコードネームで、既に急激
に終了したが、この程度の濃縮
プログラムをほぼ達成していた。この
プログラムは2003年に終了、規模を
縮小し拠点を分散した開発プロジェクト
を代わりに延期して続けることを
決めた」

イランは高濃度のウラニウムを濃縮

Albrightが上述の報告を公表したのち、
IAEAのヘッドであるラファエル
グロッシはUAEの国営新聞社である
The Nationalに対して、次のように
述べた:「極めて高レベルの
ウラニウム濃縮を実施している非核
保有国は、世界でもイランだけだ。
しかもその濃縮度は兵器グレードに
極めて近い。まだ、イランが核兵器を
保有しているとは言っていない。ただ、
微妙なところに近づいている、と
言っているのだ。そうなった国には、
規則を守ってもらいたい」

「知らない間に」困ったことをやらかす
(お下劣な例で、失礼!)

Albrightは次のように警告を発して
いる:「西側諸国の諜報機関は、
イランが核兵器製造活動を始めても、
それを察知できない恐れがある。現在
の中東の紛争と複雑性とのただ中、
イスラエルのものも含め西側諸国の諜報
機関の活動は限界に達している。核兵器
製造を秘かに、知られないように始めて
しまえば、諜報機関の目を潜り抜ける
可能性がある」

核問題の専門家Albrightが奨励して
いる対応として、「警告となる兆候を
発見してから核兵器ができるまでの
期間の短さと、<2015年一旦締結
された> 核合意 <の再建される>
見込みが小さいことを考えると、
アメリカと同盟諸国にとって残された
選択肢はほぼ唯一、イランが初めから
核兵器を製造しないよう抑止力を
かけるという戦略に集中することと
なる。具体的な事例によって、イラン
が核兵器を製造するならば国際社会は
軍事攻撃も含めた劇的な対抗措置を
直ちに始めるということをイランに
充分に認識させる必要がある」

Albrightによれば「イスラエルと
アメリカ軍の協力でイランの核製造
能力を破壊する努力を強化し、イラン
が核兵器製造へと向かう兆候が見ら
れた場合、直ちにイスラエルがイラン
の核施設を確実に破壊できるように
すべきだ。それには、イランが再度、
核兵器製造を始めた場合にはそれも
攻撃し破壊する能力も含む」

「アメリカの同盟諸国ならびに中東
地域のパートナー諸国とともに軍事
能力を高めることが、優先課題と
なる。アメリカは、イランが核兵器
を保有することを防止し、またイラン
が報復攻撃に出ることを抑止するよう
努めるべきだ」
**************************

こんなところに、こんなものが!!

やはりイスラエルの報道だけに、
はっきりとイランの核施設への軍事
攻撃も主張してますよね。
いずれのサイドにも立たない
「やかんをのせたら~~」の立場から
指摘したいのは:
核兵器製造の兆候があると、その製造を
やめさせるため、核施設への攻撃が
実施される場合もある
というリスクですね。
現実に、2010年にはSTUXNETによる
イランの核施設攻撃のことが報道され
ましたし、核施設へのイスラエル軍に
よる爆撃は、過去に2回実際に
ありました。
上の黒いメニューでページ c-1) と
c-2) をまだお読みでない方は、
この機会にお読みくださいな。

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核兵器禁止条約の発効から3年

Third anniversary of the TPNW
(核兵器禁止条約の発効から3年)

Beyond Nuclear Bulletin
2024年1月25日号より

元の英語記事を読める方は、
そちらへどうぞ:
Third anniversary of the TPNW – Beyond Nuclear

核兵器禁止条約の発効から3年に
なります。
まあ、日本国は署名していないの
ですが(2024年1月現在)。
核兵器の保有諸国も参加していない
のは、まあ、予想通りといえば予想
通りですね。
核兵器保有諸国に、どうやって
「核を捨てさせる」のか? それが、
この星での巨大な課題の1つですね。

やめられねえ~~
やめようよ!!

この課題について、ICANからの情報を
Beyond Nuclearさんも紹介して
らっしゃいます。

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
******************************

ICANからの情報:
本日 <1月22日> は、歴史上に永く
名を記す核兵器禁止条約(Treaty on
the Prohibition of Nuclear Weapons、
TPNW)が発効して3回目の記念日だ。
全世界で同じ日に多数の記念イベント
が行われたが、その背後には現在も
行われている核保有国2国、つまり
ロシアとイスラエルによる戦争への
憂慮の高まりがあった。このTPNW
の実現において立役者となった核兵器
廃絶国際キャンペーン(International
Campaign to Abolish Nuclear Weapons、
ICAN) は全世界の核廃絶を目指す組織
のネットワークだが、TPNW実現の功績
で2017年にノーベル平和賞を授けられ
ている。そのICANが発表した声明の中
には、次のくだりがある:

「3年前、国際法で核兵器を禁止すると
いう目標を達成した。TPNWが発効
したのだ。 それによって、大量破壊
兵器をすべて非合法とするという目標
は達成でき、それ以来現在も強力な
影響を有している。この3年間で
TPNWが世界を変革した実例の一部を
以下に紹介しよう:

こういう暮らしになってしまわないように ・・・


核の恫喝を非合法に

TPNWでは具体的に、 核兵器を使用
するぞという脅迫を非合法と定めて
いる。それでもなお、そうした恫喝を
行っている諸国も一部にあるが、この
規定をきっかけに状況を問わず核使用
という脅迫に対する全世界的な反感と
反対が改めて高まった。

TPNW加盟諸国は、核使用するぞと
いう脅迫行為を非難する動きの先頭を
走っている。最も新しい例として、
加盟諸国の会議第2回では加盟諸国は
「核兵器使用の脅迫ならびに喧しさを
増しつつある核用語のレトリックとを
痛く嘆くとともに、強い警戒を保って
いる」と発表している。

核兵器産業の縮小と回避

TPNWの発効以来、核兵器製造に
携わっていた企業数が減ってきている。
その一例としてSerco <英国に本拠を
置く、防衛や保険、宇宙などの多国籍
企業> は、以前には英国の核兵器配備
と関わっていたことが投資家たちの懸念
を招き、投資家たちからの圧力を受けて
今後は核兵器にかかわる事業を一切
やめることを決めた。従来通り核兵器
がらみの事業を経緯属した場合、その
コストが膨大なものとなってしまう
のだ。

「核兵器産業」の一部

実のところ、確かに核兵器保有9か国
はいずれも自国の保有する核兵器の
近代化を進めているのだが、核兵器
産業は縮小しており企業間の買収や
合併が見られる。その一例として、
RTX社(以前にはRaytheon)
<アメリカに本社のある防衛・航空・
宇宙産業の多国籍企業> とUnited
Technologies社 <やはりアメリカに
本拠を置く多国籍企業で、防衛を含む
多方面の産業で営業をしていましたが
2020年に業務再編、航空宇宙事業部は
Raytheonと合併> があり、さらに
もう1つの例としてNorthrop Grumman
社 <1994年にノースロップ社が
グラマン社を買収、世界有数の軍需産業
の1つになりました> による Orbital
ATK 社 <アメリカの軍需産業、ここ
での買収は2018年> 買収がある。

核産業での受注企業数が減少したこと
で、金融機関やその他の投資家は
核兵器産業を投資対象から排除する
ことが容易になる。さらにこうした
核兵器との関与のゆえに排除されて
いる企業数も、TPNW発効以前の
77社から現時点での109社へと増大
している。

核抑止という概念の最高

核抑止とは一種のギャンブルであり、
その実効性は証明されてはいない。
あくまで理論の1つで、しかもそれに
人類の未来がかかっている。核抑止
理論の基礎として核兵器使用があるぞ
という暗黙の脅迫 <が先制攻撃を抑止
するという理論> があるのだが、実際
にはそうした脅迫のために世界が
核戦争の一歩手前にまで進んでしまった
実例がいくつかあった。

「核抑止」という誤りに気づこう

核抑止政策のため世界の安全保障が
脅かされるという事実の認識に立脚し、
先日のTPNW加盟諸国会議では
「核使用がもたらす人道面での結果や
核兵器のリスクに関する新たな科学的
証拠の探求と提示を進め、それらを
核抑止理論に内在するリスクや想定と
対比することで、核抑止理論に基づいた
安全保障のあり方の問題を明らかにして
いく」という合意に達した。

現時点で核保有2国がそれぞれ軍事
紛争を行っており、現実世界の諸状況に
あっては核抑止は機能しないことは
明らかだ。核抑止が機能するためには
実際に核兵器を使用するぞという意志を
実証する必要があるが、もともとの
核保有5か国自身が、核兵器は実際に
使用するわけにいかないということを
公に認めている。ほとんどの核保有
諸国は、核兵器使用はあってはならない
と認めているのだ。<核抑止の実態に
関する> 証拠を集める必要があり、
核兵器に何か魔法のような特性がある
と吹聴することをやめるべきだ。その
ような魔術など、存在しないのだから。

核兵器に伴う問題は、核兵器を廃絶
するまで解消することはない。幸い
にも3年前にTPNWが発効し、
核兵器という問題を永久に終わらせる
ための道具が得られたのだ」

******************************

みんなが爆弾を持てば、平和になるのか?

核推進論では大抵の場合、
「核抑止」が持ち出されるのですが、
実際にどこまで有効なのか??

いずれ、「やかんをのせたら~~」でも
核抑止を取り上げてみたいと考えて
おります。調査研究がかなり必要に
なるので、いつ頃アップロードできる
かは、分かりませんが。

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北朝鮮、韓国を恒久敵国扱いに

北朝鮮、韓国との和平を否定、
恒久敵国扱いに ~~
核を持って誇大妄想を患っている
実例??

APのウェブサイトより
Analysis: North Korea’s rejection of the South is both a shock, and inevitable | AP News

Analysis: North Korea’s rejection of the
South is both a shock and inevitable
(分析: 北朝鮮が韓国 <の存在> を
否定。ショックであると同時に、
不可避)

抑止しあってます~

核兵器を擁護する意見の多くは、
核抑止を根拠としたものです。
しかし、
核兵器を持った ⇒ 他国が攻め込み
にくくなった(抑止)
というのであれば、
同時に次のパターンも発生しえます
よね?
俺たちゃ核を持った ⇒
他国が攻め込みにくくなった ⇒
憎き隣国が核兵器を持つ前に、
攻め込んで併合してやろうか~~

現実に、ロシアの「核の脅し」のせい
で、西側はウクライナに本気で介入
できず、戦争は膠着し長引く一方
です。

そして今度は、北朝鮮が。
北朝鮮が「新冷戦」を叫んでいます
が、それについての分析を読んで
みましょう。

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です。

お前らは、永遠に敵だ!

*****************************

Kim Tong-Hyung 記者、
Jiwon Song 記者
2024年1月17日

韓国ソウル発(AP) ― 北朝鮮は
挑発行為を何から何までやって来た
国ではあるが、それでも最近になって
金正恩指導者が敵対する韓国との和解
という国家の存亡も絡んだ目標を放棄
すると宣言したことは、ショックで
あった。だがよく見てみるなら、この
宣言は長年にわたり高まってきた緊張
の、必然的な結末だともいえるのだ。

金が権力を握ったのは2011年のこと
であったが、それ以降で最大の金に
よる外交政策での宣言がどのような
波紋をもたらすのか、世界各国は目を
凝らして見つめている。彼の収める
北朝鮮は小さく貧困に喘いでいるが、
核兵器を保有している。その北朝鮮に
とって、韓半島 <朝鮮半島> には
優れた可能性もあれば、危険も潜んで
いる。その半島で金は、自分の立場を
さらに強化しようとしているのだ。

今回の騒ぎの元となったのは、今週
開催された <北朝鮮の> 最高人民
会議という <金の定めた通りに進行
する> 予定調和的な議会において、
金が北朝鮮憲法の改正を求めたことだ。
戦争で引き裂かれた北朝鮮と韓国の
統一という理想を断念し、韓国を
「無条件に主要敵国として」扱うこと
を固定化しようというものなのだ。

会談は無意味だった ・・・

2019年2月にはベトナムのハノイで
金はアメリカのドナルド トランプ
大統領(当時)と会談、核を利用した
外交を進めようとしたが、何の合意も
得られなかった。それ以来、北朝鮮と
韓国の間の関係がどれだけ拗れて
しまったか、その今までで最悪の兆候
が今回の宣言なのだ。このハノイ会談
は世界に広く報じられたが、それ以降
北朝鮮の敵意は高まり、北の核武装は
加速、それまでにないほど拡張された。
しかも、アメリカと韓国とに対する
核戦争の脅しを繰り返すようになって
いる。

月曜日の最高人民会議で金は、韓国を
アメリカのための「道化役の中の
トップ クラス」と呼び、韓国の極東
での影響力を損ないながら北朝鮮と
アメリカの間での直接の核交渉を実現
しようとしている可能性がある。

この勧告に対する金の新たなアプローチ
は、金が外交での孤立を打ち破り極東
での北朝鮮の足場を強めようとしている
ことの表れだ。金は、ロシアの
ウクライナ侵略に伴うアメリカとロシア
そして中国との間の緊張の高まり、
また中国の攻撃的な外交政策を利用
している。

結局、冷戦の再現って ・・・

北朝鮮はこのところロシアならびに中国
との結びつきを強め、アメリカに対抗
する同盟前線を形成しようとしている。
これを金は、「新冷戦」と呼んでいる。
これは、彼が9月にロシアを訪問し
ロシアのヴラディミール プーティン
大統領との会談を行ったことからも
分かる。

2019年のハノイ会談が無成果で
終わって以来、北朝鮮は極東での
やり方を調整しなおしてきている。
そう述べるのは、カーネギー国際平和
基金 (Carnegie Endowment for
International Peace) に勤める専門家
のAnkit Pandaだ。

「だが今や、北朝鮮の核兵器や
ミサイルの性能も向上し、ロシアや
中国からの支援も得られた。そのため
金はアプローチの偏向を実施して問題
ないと自信に溢れている。その結果、
彼が権力の座について以来外交面での
最も破門の大きいせrン源を出すに
至ったのだ」とPandaは語っている。

以前の北朝鮮は、韓国のことを
ワシントンから譲歩を引き出すための
役に立つ仲介者だと見ていた。だが
今では、韓国というライバルは北朝鮮
が世界での立場を強めるうえでの障害
であると見なしている。そう語るの
は、韓国の南北統一研究所(Institute
for National Unification)でアナリスト
を務めるHong Minだ。

同盟ですから、イザってときはあれも使ってね

韓国の保守派大統領 のことを、
北朝鮮政府は常に激しく批判して
きた。同大統領は2022年に就任して
以来、アメリカならびに日本との
軍事面での協力を拡大しつつ、北から
の核攻撃があった場合にはアメリカの
同盟国である韓国を守るために速やか
にアメリカがその核兵器を使用して
北朝鮮を打ち負かしてくれるよう、
アメリカからの約束の強化を求めて
いる。

金は韓国との国家としての共存という
理想を放棄したのだが、これは北朝鮮
の昔からのやり方である韓国を無視し
アメリカとの直接交渉を狙うという
方法論の発展である可能性もある。
Hongによると北朝鮮政府の昔からの
想定では、1950-1953年の朝鮮戦争
の戦闘が終わって以来の休戦状態の
直接の交戦国は韓国ではない。この
停戦に署名したのはアメリカ、国連軍
司令部、北朝鮮、中国なのだ。中国も
北朝鮮支援のため部隊を派兵していた。

韓国を将来の和解の相手ではなく
恒久的な敵対国と宣言したことの狙い
としては、核兵器を強化していくと
いう金のドクトリンの信頼性を高める
こともあった可能性がある。この
ドクトリンでは、北朝鮮の指導層が
危険に晒された場合には北朝鮮軍が
先制核攻撃を行うことを認めている
と、Hongは述べている。

また韓国文化の影響をなくし北朝鮮
としての独自のアイデンティティを
強化していくというキャンペーンも
高まりつつあるが、これは金一族の
王朝支配をさらに固めることが狙い
と思われる。

シンボルを取り払っちゃったら、何の建物かも分からなくなっちゃう
東京聖イグナティオ教会、内部。私のクイック スケッチ。

今回の最高人民会議で金は北朝鮮国家
に対し、韓国との和解を示す過去の
シンボル類を取り除くよう命じた。
これには、国境をまたぐ鉄道区間や、
ピョンヤンにある統合シンボル碑も
含まれ、後者のことを金は「目の上の
たん瘤」と呼んでいる。さらに「統合、
和解、同胞などの概念を、我らが
共和国の国家歴史から完全に消し去れ」
とも命じた。

「北朝鮮は、自国民の心の中に残って
いる統合や北朝鮮と韓国間のやり取り、
協力関係といった幻想を払しょくしよう
としているのだ」 そう語るのは、
ソウルにある慶南大学校の極東研究所
で教授を務めるLim Eul-chulだ。

これは、2018年時点での金自身の
アプローチの逆転だ。この年、金は
韓国のリベラル派の文在寅 大統領と
外交関係を開始、さらに後には
トランプとのやり取りでソウルを
かけ橋のように利用していた。これは
経済的に困窮していた北が核兵器増大の
ための手段として資金を得るための
野望の一環であった。

ハノイ会談の失敗を受け、北朝鮮は
韓国との一切の協力を停止、2020年
には韓国との協力オフィスも爆破した。
もっとも、オフィスは既に無人になって
いたのだが。韓国に対する不満の
意思表示であった。

そっちを見ててくれよ ・・・
私の20分クロッキー

ここ何か月かは、金はロシアの
ウクライナ侵略を利用して諸国の関心を
そちらに向けさせ、その隙に兵器実験を
記録的なペースにまで増やしている。
北朝鮮とロシアの結託のため、兵器での
協力関係があるのではとの憂慮も生じて
いる。明らかに北朝鮮はロシアに砲弾や
ミサイルを提供しており、ロシアの
戦闘能力を支援している。引き換えに、
ロシアから経済と軍事両面での援助を
受けている可能性がある。

北朝鮮製の兵器がロシアへ流れていると
アメリカと韓国は非難を発しているの
だが、ロシア政府と北朝鮮政府はともに
それを否定している。

「ロシアは北朝鮮製の兵器を必要として
いるし、そのため北の弾薬産業は、当然
繁盛している。北の経済もある程度、
そのために潤っている。そのおかげで
北は(おそらく)エネルギーや食糧、
技術での援助を得ているのだ」 そう
述べているのは、ソウルの東国大学校の
研究者であり南北統一研究所の前所長
でもあったKoh Yu-hwanだ。

金の長期的な狙いとは、北朝鮮の核兵器
保有をアメリカに認めさせることにあり
今年のアメリカ大統領選挙に合わせ極東
の緊張を高め、11月の大統領選挙で
どちらが選出されようが、その新大統領
と会談することを視野に入れている。
これは、ソウルの梨花女子大学校の教授
を務めるPark Won Gonによる見方だ。

もう何年も、北朝鮮は武器の誇示や
脅しで緊張を高め、そのうえで交渉の
提案を出して譲歩を勝ち取る、という
手口の名人である。

「脅し」は脅しでも、手の込んだ脅し・・・

尹錫悅の政権はさらに、この4月には
重要な議会選挙も迎える。

アナリストたちの中には、金が既に韓国
と戦闘を始めるという戦略的決断を
下したのでは、と主張している人たちも
いるが、その他のアナリストたちは
それをあり得ないとしている。

「韓国と北朝鮮が交戦するというリスク
を無視することはできないが、北朝鮮は
全面戦争に入る手前まで韓国の反応を
探る可能性もある。韓国とアメリカの
政治情勢から、金にとってはそれが魅力
あるアプローチとなるだろう」と、
上述のPandaは語っている。

___

Kim Tong-hyungは、APの記者として
2014年以来、韓国と北朝鮮を担当してきて
おります。 Jiwon SongもAPの記者と
して、2023年以来、韓国と北朝鮮を担当
してきています。
**************************************

脅しがまかり通る世界って ・・・
私の点描練習

ロシアといい、この北朝鮮といい、
ある根本的な問題を皆様は感じ取られ
ませんでしょうか?? つまり、核兵器
をもって実際に使用しなくても、持って
いることさえ証明しちゃえば、世界は
警戒しますよね。そこで、
「核兵器さえ先に持っちゃえば、西側
の同盟だって下手にウチに手は
出せねー。好きなように、隣国を侵略
しちまおうぜ ~~」
というのがまかり通っていく ・・・
そんな世界になりつつあるように
感じるのですね。
私の考え過ぎに過ぎないことを願うの
ですが ・・・
おまけに、核兵器を保有しえるのは
国家とは限りませんよね国際的な
テロリスト組織が1個でも持ってしま
えば、世界はそのテロ組織の一挙一動
におののく羽目に。

私は非力な一市民に過ぎませんが、
大量破壊兵器がせん滅され平和な地球
が来るのを祈りつつ、声を上げて
まいります。

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ガザでの戦争に世界が注目する中、イランは核兵器へ

As the Israel-Hamas War Governs the
World’s Attention, Iran Is Quietly
Marching Towards Nuclear Breakout
(イスラエル対ハマスの戦争に世界が
注目する中、イランは秘かに核兵器
保有へと向かう)

TIME誌のウェブサイトより
Amid the Israel-Hamas War, Iran Approaches Nuclear Breakout  | TIME

少し前の記事なのですが、重要だと
思うので。ご存じの通り、ガザで今も
進行中の戦争にはハマスはもちろん、
ヒズボラやフーティも絡んでいるわけ
ですが、そうした組織の背後にイラン
がいることは良く知られてますよね。
問題は、そのイランが核開発を進めて
きていることでして ・・・

背後に誰か ・・・

では、記事を紹介しますね。
いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

この記事も長いので、時間のない方は
何回かに分けてお読みくださいね

**************************************
Jeffrey Sonnenfeld記者(イェール大学
の経営学部で経営実践担当の教授)
Adam Boehler記者

2023年12月9日

<2023年の> 10月7日、ハマスと
パレスティナ イスラム ジハードとが
イスラエルに侵略したが、この攻撃は
ホロコースト以後ではユダヤ人に
対する最も凄惨な攻撃であった。だが、
問題はそこに留まらない。両テロ組織は
イランから訓練や支援を受けており、
イランが秘かに核兵器保有に向けて歩を
速めていることから世界の目をそらせ
たのだ。<2023年>2月、バイデン
政権のトップ高官で当時は政策担当
国防事務次官であったColin Kahlは,
イランはすぐにでも雑な核爆発装置
なら数日で組み立てることができる
ようになると認めた。

これは納得できることだが、アメリカ
とその同盟諸国は今のところ、当該
地域での危機的状況という緊急事態に
集中している。つまり、イスラエル
国防軍(IDF)がガザ地区からハマス
をせん滅し、レバノンのヒズボラ
という武装集団の増大する脅威にも
対処しようとしていることだ。だが
長期的には、イスラエルや中東、
そしてアメリカにとっても、地域
安全保障上の最も深刻な脅威とは
あくまでイランの核保有なのだ。
イランによる核保有への歩みを止め
させるのに、まだ遅すぎるわけでは
ない。

まあ、合意はしたけど ・・・

イランの核への渇望の背後にある
外交面での背景には、既に変化がみら
れる。10月7日の攻撃に先立つ
数週間内氏は数か月間、イスラエルと
サウディ アラビアは国交正常化合意
をもう少しで締結できる状態であった。
アブラハム合意 <Abraham Accords、
2020年8月にUAEとイスラエルの間
で締結された平和・外交条約> を
基本にした正常化合意だ。アブラハム
合意はもともと、その作成者Jared
Kushnerの手になるもので、本記事を
記している記者2名もアドバイスと
交渉に関与した。

それから間もなくサウディ アラビア
もアブラハム合意に加わることに
なったのだが、同国にはイスラムの
スピリチャルな中心地であるメッカが
ある。どうも、それに反応してハマスは
イスラエルを攻撃する気になったよう
だ。サウディとイスラエルが国交を
正常化してしまえば、イランの最高
指導者であるアヤトーラ アリ
ハメネイやイランに動かされている
テロリスト組織、そしてイラン政府
が以前から表明しているイスラエルの
せん滅という目標にとっては、破滅的
事態となる。中東の人たちがイスラ
エルの存在を受け入れるようになる
ほど、イランがユダヤ人国家を消し
去り中東での支配的地位を手に入れる
ことが困難となる。

先行きは明るい~~と思ったのだが

本論の著者両名は今でも、いずれは
サウディがイスラエルの存在を認める
日が来ると信じている。だが、それは
今ではない。イスラエル軍の兵士が
ガザを更新する様子が全中東で放送
されており、もともとあったイスラ
エルへの憎悪が燃え上っている。その
ため現時点では、国交正常化は政治的
状況のため考えにくい。ペルシャ湾岸
諸国の王侯たちは市民の投票行為を
気に欠ける必要がないのだが、
そうした諸国すら現時点では正常化は
困難だ。

著者両名は、このアブラハム合意の
次への発展が頓挫してしまったのは
10月7日の攻撃による深刻な地政学的
被害だと判断して疑わない。さらに
重要な問題として、西側がこれでイラン
の核開発プログラムから目をそらし、
真剣に阻止しようとしてこないだろうと

アヤトーラ アリ ハメネイが考えている
のだ。実はこの核開発プログラムの結果
本格的な核兵器をイランが手にする日が
近づいているのだが。

ここ数年、イランの核開発プログラムの
歩みは秘かに進んできている。現時点で
IAEAが収集したデータによれば、
わずか12日で核兵器を製造できる
だけの濃縮ウラニウムを同国は保有
している。

ウラニウムの濃縮度と用途、再掲

これだけのウラニウムを有している
イランは、本質的にあと一歩で
核保有国となりえる国家だ。ウラニ
ウムのの濃縮度も推定で84%に
達している。この意味を分かって
いただくために言っておけば、ウラ
ニウムの濃縮度では90%が核兵器
製造の目安となる。しかも弾道
ミサイル プログラムとの関連での
イラン政府に対する国際的経済制裁
も実施されたのだが、それも期限
切れとなった。そのためイラン政府
は、<ミサイルという核弾頭の>
輸送手段をさらに開発・多数製造
しても構わないという自由が得られ
たような結果になっている。
<そうした輸送手段があれば、
イスラエルの> テル アヴィヴや
ハイファ、あるいはヨーロッパの国の
首都すら攻撃できる能力を得られる
のだ。.

イランが核兵器を保有すれば大変な
破壊力のある兵器を手にしたことに
なるのは、明らかだ。だが、イラン
が核兵器を持つぞという脅威だけ
でも、現時点でのアヤトーラ アリ
ハメネイにとっては強力な武器と
なる。ヴラディミール プーティンが
核兵器使用という脅しをかけている
ため、アメリカがウクライナを全力
では支援できないでいる模様である
と、アメリカの前外交官John E.
Herbst などの専門家が語っており、
ハメネイもその様子を見ていることは
疑いない。アヤトーラ ハメネイは
今頃、似たような脅迫を利用してみよう
と大胆になっている恐れもある。特に、
イスラエルが長期間にわたりガザを
再占拠した場合や、ヒズボラからの
攻撃に対応してイスラエル軍が今後
何か月か以内にレバノンに侵攻した
場合には、その危険性が強くなる。

アサ―シンが ・・・

アメリカは度々イランとの衝突を、
小規模のものであっても回避して
きた。これは、中東地域に紛争が
広まるのを回避するためだ。ここ何週間
かイランからの支援を受けた武装組織が
在イラクアメリカ軍部隊に攻撃をかけた
が、それらに対するアメリカの対応も
やや臆病なものだった。11月に
60 Minutes <というアメリカのドキュ
メンタリーTV番組> が詳細に報道
したように、イラン政府によるアメリカ
領土内でのアメリカ高官やイラン国籍の
反イラン政府主義者たちを暗殺しようと
する動きも、今も収まってはいない。

イランの核の脅威が高まり続ける中、
ハメネイがさらに攻勢を激化させていく
ことは、充分に考えられる。アメリカと
イスラエルの高官たちは、イランが
核兵器を手に入れることを決して許さ
ないという決意を伝達したのだが、
イスラエルとアメリカにイランによる
核兵器製造プログラムを破壊するだけ
の政治的意思が実際にあるのかは、
今後の展開を見てみないと分からない。

イランが既に核兵器保有の一歩手前
にいる国として認識されているもの
の、7西アジアにあるこの国の
核開発をやめさせるのに、まだ手遅れ
ではない。現在の紛争にアメリカは
反応し、イランを押しとどめる抑止を
取り戻すべきだ。イラン政府にとって
の最大収入源である石油収益を断ち
切るための経済制裁を強化して実施
することっから始めるのが良かろう。
イランの石油収益は核開発プログラム
にも、イランの代理として活動する
テロリスト組織にも同じように流れ
込む。しかも以前の論考
<原文には次のリンクが: https://insights.som.yale.edu/insights/to-prevent-wider-war-in-the-middle-east-choke-off-irans-oil-sales> で述べたように、
石油輸出増大で収益も増えている。

テロリストに何が流れてしまうのか ・・・

2016年にアメリカの国務長官で
あったJohn Kerry は、彼が策定した
核合意のおかげで世界はより安全に
なったと自慢していた。この合意の
時点では、イランへの経済制裁を解除
するのに伴いアメリカが1,500億ドル
を費やした。今になってみると、
Kerryはその資金の一部がテロ組織に
流れる恐れがあったのだが、それを
彼はいやいや認めざるを得なかった。
困ったことに、これは現実となって
しまい、アメリカは直ちにこの流れを
止めるべきなのだ。

さらに、IAEAがイランの核施設の
査察を厳格に実施し、イランが規定を
守っていない場合には政府の責任を
追及するよう、引き続き圧力をかける
必要がある。 9月4日に発表された
IAEAの報告には、次の記載がある:
「JCPOA <上述の、2015年の核合意
のこと> に関連した監査やモニター
活動のために IAEAが以前に設置した
装置すべてをイランは撤去することを
決定したのだが、これもマイナスの
効果があり、IAEAがイランの核開発が
平和目的のためのものか否かを確認する
能力が低下してしまった」

核開発の進展を抑止するため、世界は
イランがIAEAの規定を回避した場合
に、従来よりも重い新たな罰則を設け
ねばならない。核兵器を現実化して
しまう道をイランが先に進む前に、
イランを止めねばならない。そうし
なければ、イランは核兵器という脅し
を利用して策略を思いのままに進めて
しまう公算が、いよいよ大きくなる。
それがイスラエルの危機 <への介入>
であれ、レバノンやイェメン、イラク、
シリア、その他地域でのイラン代理テロ
組織への支援の増大という形であれ。

核が絡むと、とにかくややこしくなる

アメリカの政策考案者たちは、ガザ
でのテロリスト組織へのイスラエル
による反攻を支援するという、緊急
かつ重要な任務に取り組んでおり、
これは正しいことだ。だが、現在の
危機には核兵器へと突き進んでいる
イランの歩みを止めねばならないと
いう戦略上の必須課題が不可分に
絡みついているという事実を見逃し
てはならない。イランの核プロ
グラムに直ちに対応し対抗できな
ければ、中東で現在行われている
諸紛争はさらに悪化してしまう公算
が強いのだ。

***********************************

先行きが ・・・
私の昔のオイルパステル作品、制作途上の状態

この主張は明らかにイスラエル寄り
ではありますが、
・ 中東での武装集団の一部をイラン
が支援していること、
・ イランの核開発プログラムが、
既に「平和利用」の域を超えている
こと(60%とIAEAが発表したことは、
報道済みです。
右の「アーカイブ」の下で 2024年
11月 をクリック ⇒ 11月25日の
IAEAの一部査察官の現場入りを
イランが制限
」という記事も参照)
の2点は、既に世界的によく知られ
ております。

さらに、イランが核兵器を持って
しまった場合、サウディ アラビアも
対抗して追随する危険性があること
も。(2018年、モハメド ビン サルマン
皇太子がCBSとのインタビューで述べ
ました。詳しくは、上の黒いメニュー
で f-4) を)

核兵器なんてものは、存在すること
そのものが大罪である ― それを、
全世界の市民が声高に叫び続けたい
ものです。

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