The New York Times 報道 ・・ イラン、イスラエルが2名の科学者を毒殺したと嫌疑

The New York Times の報道より

Iran Suspects Israel Poisoned Two Scientists to Death – The New York Times (nytimes.com)
(イラン、イスラエルが2名の科学者を毒殺したと嫌疑)

Farnaz Fassihi 記者、 Ronen Bergman 記者

2022年6月13日

下でJCPOA再建交渉の難航 (ひょっとしたら、破談??) に
関連する Tasnim の記事を日本語化して紹介したところですが、
そんな折、今度はイスラエルがイランの科学者2名を毒殺したと
イランが嫌疑を抱いている、との報道が The New York Times に
ありました。

私のような一個人の立場では、この建議の真偽については何も
申し上げられない (真偽を判断できるだけの充分な情報がない)
のですが、世界の各事情を考える上では重大な嫌疑ですから、
The New York Timesの該当記事を抜粋・日本語化して紹介しますね。
いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。
文字色を変えた個所は、私の強調です。(あまりにも物騒な報道
内容なので、そうした強調も入れました)

日本語メディアでの本件の扱いは極めて簡略化したものなのですが、
下記をお読みくださればお分かりのように、極めて深刻な問題が
絡んでおります。さすがは The New York Times、問題の深部に
入り込もうとした記事になっています。

核発電に反対するのなら、ぜひ知っておいていただきたい記事です。
「原発問題」を 「電力供給 + CO2問題 VS 事故被害 + 核ゴミ処分場がない」
という疑似二項対立に矮小化して捉えてしまうと、この「影の戦争」の
ようなさらにdeadly な本質を見逃すことになってしまいます。

嘆き ・・・ 私の点描練習より

嘆き ・・・
私の点描練習より

では、その記事を:

*****************
イラン、イスラエルが2名の科学者を毒殺したと嫌疑

この毒殺か?という疑念が正しいことが確認された場合には、
イランが核兵器製造能力を手に入れつつある現在、新たに
し烈さを高めつつある「陰の戦争」での最新の殺害事例となる

<今回死亡した> 2名の科学者はともにイランのトップ
レベルの大学を卒業した若く健康な人物で、運動にも優れて
いた。その両名がともに、この5月末に病気に倒れた。
両科学者の病状は悪化の一途をたどり、640㎞ほど離れた
2か所の病院の集中治療室にそれぞれ運び込まれた。

そして、両名とも息を引き取ったのだが、両者の死亡した
日付は、お互いから数日しか離れていなかった。

イランの認識では、イスラエルが両名の食事に毒を持って
殺害した。この認識を表明したのはイラン政府の高官であり、
さらにイラン政府とつながりのある2名の人物だ。この2名は
匿名を前提に話をした。これは、話題そのもののデリケートさの
ためだ。<今回殺害されたとされている> 2名のうち一人
Ayoub Entezari は航空エンジニアで、軍部の研究センターに勤務
していた。もう1名は地質学者のKamran Aghamolaei だ。

両名の死亡は謎に満ちているが、それをさらに複雑化させている
要因として、イスラエルのメディアもイラン国外のペルシャ語
ニュース チャネルも、Aghamolaei氏がイランのナタンズ核施設で
勤務していたと報じている。だが友人たちはそれを否定しており、
同氏が民間の地質学研究企業に勤務していたと主張している。
The New York Timesも、同氏がイラン政府や何らかの武器
プログラムに関連していたという裏付けを入手できなかった。

Entezari 氏は航空工学の博士号を取得しており、イランの
ヤズドという都市にあるイラン政府の航空センターでミサイルや
航空機タービンに関するプロジェクトに携わっていた。
この都市は、首都テヘランの南東約620㎞にある。

あるイラン上級高官のスタッフ メンバーによれば、同氏は
ヤズドである夕食会に招かれ、それに出席した後で食中毒の症状を
呈した。その夕食会のホストは姿を消しており、当局がこの人物を
捜索したと、このスタッフ メンバーは語っている。なおこのスタッフ
メンバーは公に発言すること許可を受けていなかったため、人物名を
挙げることができない。

Aghamolaei 氏の方はイラン北西部にあるタブリズに仕事の出張で
出かけ、テヘランに戻ってきた直後であった。そのタイミングで、
激しい嘔吐と下痢に襲われ、それが日増しに悪化し、内臓が機能
不全に陥り死亡したと、彼の知人は述べている。

行く先は不透明 ・・・ かなり昔の私のスケッチ

行く先は不透明 ・・・
かなり昔の私のスケッチ

イランが主張しているように、この両名の謎に満ちる類似した
死亡事件が暗殺であるのなら、イランとイスラエルの間での
「影の戦争」で見られるパターンに良く合致している。
両国は真相を探りにくい方法で互いを攻撃しあっており、
全面戦争を回避してきているのだ。
今や、この影の戦争は激化しつつあるようだ。この2週間だけ
でも、イスラエルの関連した一連の死亡事件が発生、イランを
揺るがせている。どうもイスラエルはその標的を、イランの
核開発プログラムに関与している指導層から、それより下の
階級の科学者たちや軍部の人員へと拡大したようにも思われる。

イスラエルの総理大臣オフィスのスポークスウーマンは、
今回イラン国内で発生した2件の死亡事故については、コメントを
拒否している。

だがイスラエルは既に何年も、イランの核開発と兵器プログラムを
とん挫させようと密かに努めてきており、その実例としてこうした
プログラムに関与していた専門家たちを暗殺している。例として、
先端型のドローンやミサイルを開発していたイランの軍事施設を
攻撃した。

これに対しイランは、全世界でイスラエル市民を標的としており、
またレバノンのヒズボラのような反イスラエルの地域民兵組織に
資金や武器を供与している。

だが争いの多くは、イランの核開発プログラムに関するものだ。

イスラエルはこのプログラムに強硬に反対しており、イランと
世界主要国が2015年に締結した核合意の再建に取り組んできたが、
成果は芳しくない。2018年、アメリカのドナルド トランプ大統領
(当時) が、この核合意から脱退したのだ。この合意下では、
イランの核開発活動に制約を設ける代わりに、イランに対する
経済制裁が緩和されていた。

イランは核兵器製造に充分なだけの濃縮ウラニウムをもうすぐ
製造できるとイスラエルは深く憂慮しており、この核合意だけ
ではイランの核開発活動を十分には制限できないとイスラエルは
感じている。

だが同核合意の支持者たちによれば、この核合意によってイランの
ウラニウム濃縮に制限を設け、国連の核拡散監視機関 <IAEA> が
イランの核開発プログラムを監視することを可能にし、イランが
核兵器を開発する脅威を軽減できると主張している。

イランは以前から、その核開発プログラムは平和目的だけのために
行われているものだと主張してきた。だが数年前のアメリカ諜報機関に
よる評価では、イランは以前に核兵器開発プログラムを進めていたの
だが、2003年にそれを停止させたと結論づけている。

本当かしら・・・? かなり昔の、私のスケッチ

本当かしら・・・?
かなり昔の、私のスケッチ

2015年の核合意を再建しようとする交渉が決裂し、イランが
その核開発活動を加速、あるいは国連による監視への協力を
縮小した場合には、水面下で展開されているイスラエルとの
戦争が公の紛争に開花してしまうリスクもある。

「核合意があろうがなかろうが、この種の活動は激化しやすい。
つまり、イランはイスラエル包囲網を広げようとし、イスラエルは
イラン内部にさらに深く入り込もうとすることだろう」 と、
政治リスク コンサルタント集団であるユーレイジア グループの
イラン アナリスト、Henry Rome は語っている。

このところイランへの攻撃のペースが高まっており、イスラエルの
指導者たちによる昨今の発言も考え合わせると、イスラエルの
戦略の変更が窺える。

<6月7日の> 火曜日に開催された、イスラエル議会の外交問題
ならびに国防・外交問題の委員会の会議で、イスラエルのナフタリ
ベネット首相は 「2021年、イスラエルは対イラン戦略を変更した」
と 述べた。「ギアを上げた。常時、あらゆる場所で活動を展開して
おり、今後もそうする」

イランではこの2週間、強力な組織である革命防衛隊の上級
メンバーであるSayad Khodayee が標的とされ、テヘランで近づいて
きた車両から射殺された。さらに国防省の若いエンジニアがドローン
攻撃で暗殺された。さらに革命防衛隊の別の上級メンバーがバルコニー
から落下して死亡したが、これにも暗殺の疑いがもたれている。

そして、今回の2名の科学者の死亡事件である。

Entezari氏(35歳)が死亡したのは、5月31日のことだった。同氏が
勤務していた軍部の研究施設の同僚がSNSで公表したところでは、
事件の前夜まで同氏には異常がなかったが、翌日に突如、体調が
急変した。しかもイランのメディア報道によれば、家族も
その夜には一緒に食事をしており同じものを食べたのだが、
同氏以外には体調が変わった者はいなかった とのことである。

同氏が暮らしていたヤズド州の知事は故人の家族に額入りの
追悼の辞を手渡し、同氏を 「殉教者」 と称えるとともに、
家族に国家のための犠牲をささげてくれたと謝辞を呈した。
敵軍の攻撃に倒れたイラン国民や国家のための任務に就いていて
死亡した国民に対し、イラン政府は 「殉教者」 という名誉ある
称号を授与している。ヤズド市議会のある議員は、同氏の死亡の
ことを 「生物学テロ」 と呼んでいた。

だがイスラエルはイランの安全保障を幾度も侵害しており、
関連する政府役人たちは突如Entezari氏を 「殉教者」 と呼ぶことを
撤回、イスラエルからの攻撃である可能性を示すその他詳細に
ついても発言を控えるようになった。こうした詳細が明るみに
出ると、当局が面目をつぶす恐れがある。

闇の中 ・・・ 昔の私の作品

闇の中 ・・・
昔の私の作品

同知事の広報オフィスは 「殉教者」 という呼称を2日後に撤回、
これは誤りであったとした。ヤズドの検察当局はEntezari氏が
航空エンジニアであることを否定、工業系企業の平均的な従業員で
あったとしている。

イランのメディアで2019年に公表された写真や動画では、
Entezari氏がガディール産業タービンという会社 (Ghadir
Industrial Turbines Company) で当時のハサン ルハーニ大統領に
対して、プレゼンテーションをしている様子が見られる。同社で
Entezari 氏は勤務していた。こうした画像は同氏が政府の施設に
勤務していたという情報と合致しており、さらに同氏が実は
航空工学のエンジニアだったという出身大学の同窓会による主張とも
一致している。

ヤズドでツアー ガイドをしているEntezari氏の親戚Mahmoud
Entezariが自分のInstagramに公表したところによれば、
エンジニアのEntezari氏は <死亡する前に> 地域メディアで
自分がルハーニ元大統領とともに撮影された写真が拡散して以来、
生命の危険にさらされていると憂いていた。同氏が親せきに語った
ところでは、これらの写真は秘密扱いにされるはずであった。

Mahmoud Entezariにコメントを求めたが、拒否された。

一方、6月2日に死亡したAghamolaei氏に関しては、イラン政府
高官たちは口が堅い。

The only official mention of Mr. Aghamolaei氏の死亡に関しての
公式の言及は、テヘランのタルビアト モダレス (Tarbiat Modares)
大学の学長からの追悼の辞のみだ。この追悼の辞によれば、同氏は
地質学の博士課程に学ぶ学生とされている。さらにこの追悼辞に
よれば同氏は故郷のイゼーで心臓発作により他界した、とされている。
イゼーは、イラン南部のクゼスタン州にある労働者階級の小さな町だ。

遺族は、政府の検死局による検視結果の発表を待っており、同氏の
死の様子を述べた友人によると同氏は食事の後で突然体調を崩した
そうだ。だがこの事件にまつわるデリケートな状況のため、この検死
結果が自分たちに通知されないのではと、遺族は心配している。
*****************

闇の中で ・・・ 私の、昔の作品

闇の中で ・・・
私の、昔の作品

「表向きは」 “発電用のウラニウム濃縮” の裏で、どうも核兵器開発
・・・ そのため、どうも暗殺者まで暗躍か??? という事件ですよね。
核発電に係る闇と残虐のひどさが、典型的に表れた事件です。

「反原発」 を唱えるなら、ここまでの闇が実在することを弁えたうえで ・・・

では、その 「闇」 の基底にある 「核抑止」 理論に関する調査を続けますね。

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イラン政府側に言わせれば ~~ Tasnimより

Iran Nuclear Chief Blasts IAEA for Being Exploited By Zionists – Politics news – Tasnim News Agency

イランの核関連チーフ、シオニストに利用されているとIAEAを非難

イラン政府に対する西側からの批判に対応して、イラン側が
困った対処に出た (監視カメラの取り外しなど) という
The New York Timesの6月9日付の報道は、下で紹介しました。
では、イランの国営報道機関 Tasnimは、その件をどう報じて
いるのか?それを見てまいりましょう。

"Argument IV -- Conclusion" (口論 IV ・・ 結論)
“Argument IV – Conclusion” (議論の顛末)
私の昔の作品より

いつもどおり、私による抜粋・日本語化で、< > 内は私からの
補足説明です。

  • 2022年6月10日

テヘラン発、タスニム  –  イラン核エネルギー機関(Atomic
Energy Organization of Iran、AEOI)の長モハンマド
エスターミ (Mohammad Eslami) は、今週 <2022年6月5日に
始まる週> ウィーンで開催されたIAEAの理事会議の後に
発表されたイラン政府を非難する決議に関し、遺憾を表明した。

エスターミ機関長によれば、IAEAはイスラエルの政権に支配
されており、利用されているという。

イラン核エネルギー機関の長であるモハンマド エスターミ が
この発言をしたのは、木曜日 <9日> に行われた国営テレビとの
インタビューでのことで、イランのIAEAとの協力と先述の35か国
理事が集まった会合で採択した決議とについて話していた時点での
ことだ。

「<イスラエルという> 非合法な政府によって国際機関が利用
されており、その評判も汚されているのは、残念なことだ」 と
エスターミは語った。これは、イスラエル政府のIAEAに対する
影響力を問題にしての発言だ。

イランのエスターミによれば、イランは2015年の正式には
「共同包括的行動計画」<JCPOA> という核合意の定める義務を
超えて行動しており、その誠意を実証してきた。だがそれに対して、
IAEAが誠実に応答していない、という。

「(こうした義務を)なぜ我々イランは引き受け、自らに拘束を
課したのか?それは単に、(イランに対する) 非難をかわすため
だけのことだ。だがイランの誠実さと楽観主義は無視されて
しまっている」 とエスターミは語った。

さらに彼によれば、イランは国内の各施設に新型遠心分離機の
設置を開始しており、違反行為をまったく始めていない。

同氏はまた、「イラン政府は初めて、国家プログラム枠組み
(Country Programme Framework、CPF) をIAEAに提出した」
とも語った。

「IAEAの憲章によれば、IAEAにはイランに技術的・教育的支援を
行う義務があるのだが、IAEAもその他の国際機関も、シオニスト
たちの手にとらえられてしまっている」

Alstroemeria, done / 完成
本文と関係ないですが、私の点描練習より
CPFとは、IAEAとその加盟国との間での技術協力の中期的な
立案をするうえでの枠組みで、その国の開発上の目標達成を
支援するため、核技術の移転と技術協力のためのリソースを
配置するうえでの優先分野を特定するものだ。

エスターミはイランの平和的な核エネルギー関連活動はIAEAの
規定の下で技術的に今後も続くと強調しつつ、そうした規定
枠組みの中でのみイランはIAEAの検査官たちによるイランの
核活動の監視を許容すると述べた。

・・・ (中略) ・・・

上述のイランを非難する決議はアメリカ、ドイツ、フランス、
英国が草案を作成したもので、<8日の> 水曜日遅くに採択された。
賛成30票、反対2票、棄権3票だった。

IAEAの事務局長ラファエル グロッシは先週、理事会に対して
<この決議案を> 紹介する発言において、イラン非難の
レトリックを繰り返していた。

グロッシの主張によれば、「イランはJCPOAの下での自国の
核関連任務の履行を停止するという決定を下しており、
それには追加議定書 <と呼ばれる規定、Additional Protocol> も
含まれている」 ため、2021年2月23日以来、IAEAの活動に
「深刻な影響が出ている」 とのことだ。

グロッシによればイラン政府は 「国内に、IAEAに通知していない
核施設を3か所有しており、それをIAEAが発見したのだが、
それらについて技術的に信頼できる説明をまだしていない」

この、西側が非難決議を採択した動きのきっかけとなったのは、
今回のウィーン会議に先立ちグロッシが足早にイスラエルを訪問
したのだが、その後でIAEAが発効したある報告書であった。

IAEAが発したイランの核関連活動に関する決議の直接的な根拠として、
イスラエルが提出した文書があるのだが、イラン政府はそれを捏造で
あるとして繰り返し否定してきている。


あっち向いてしまってる ・・・
私の20分クロッキー
イランの外務大臣はその声明において今回の決議を 「政治的な
ものであり、誤っており建設性がない」 と否定している。
「イランはIAEA加盟諸国の中でももっとも透明で平和的な
核開発プログラムを進めている諸国の1つであるのに、その
イランを非難するものだ」 としている。

イランは以前から、IAEAが本来の技術的アプローチから逸脱し、
イランの核プログラムに対し政治的なスタンスを取るのはおかしいと、
警告を発していた。それにも関わらず、今回のグロッシによる
<イランを非難する> 発言がなされた。

<8日> 水曜日には既に、イランは <その各施設に設置してある>
IAEAの監視カメラをオフにした。もともとこれは、<イラン側が>
「善意の現れ」 として自発的に設置許可したものだ。

イラン核エネルギー機関によれば、このカメラの役割は核非拡散
条約 (NPT) の拡散防止合意に定めたものではなく、この
「善意の現れ」をIAEAは「正しく受け取らず」、イランの「義務」と
理解してしまっている。

同核エネルギー機関のスポークスパーソン、ベルーズ カマルヴァンディ
(Behrouz Kamalvandi) によれば、今回の監視カメラのオフ化に続き、
イランはさらに追加の措置を講じるという。

カマルヴァンディは 「その他の措置も検討中であり、<IAEAが>
正気を取り戻しイランからの協力には協力で応じるようになって
くれることを願う」 と述べている。

電源を切断して監視カメラの接続を切った時点の記録を、
同核エネルギー機関が公開している。

・・・ (中略) ・・・

イランは報告に未記載の核関連活動や隠れた活動をまったく
行っておらず、そのことを今までにク度も公表してきた。
イラン政府は世界の信頼を得るため数々のステップを
踏んできており、これらはIAEAや国際社会に対し、
イランの核プログラムが平和目的のものであることを示す
事のみを目的としている。
*******************


架空のバラ、やはり本文とは無関係な挿絵
私の作品より
やはり、西側メディアだけを見ていては、片翼飛行に
なりますね。
でもイラン側の主張を鵜呑みにするわけにも、まいりません。
そもそも60%を超えるウラニウムを濃縮して、核兵器以外の
何に使えるのか、説明が欲しくて以前から私は待っている
のですが ・・・
それと、相変わらずイラン政府は 「反イスラエル」 ですね。
ま、モサドが絡んだ暗殺事件とみられている事件が何度か
発生しているのは、存じておりますが。でも、
アフマディネジャド大統領のころから 「ホロコーストの事実否定」
発言があったりしたので、イスラエルが反応するのも当然だとも
言えます。

そんなわけで、「どちらを信じるかは、あなた次第」 などと
言って済ませるわけにはいきません。
私たちには、両方の主張を聞きながら、今までの経緯なども
考えつつ判断していくことが求められますね。

では、引き続き 「核抑止理論」 の調査を進めながら、何か
その他の情報が入ればここで紹介してまいりますね。

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固定ページ、付録 w-7) をアップロード

「核種変換」という作業がありまして、例えば U-238 に
中性子線を照射すると、Pu-239 に変換します。

これを利用して、
「使用済み核燃料中の放射性物質を 核種変換 し、放射能のない
元素に変えれば、使用済み核燃料のゴミ箱がないという問題も
解消できる」
と主張している核発電推進勢力が、一部にいらっしゃいます。

この主張、実はちょっと調べてみると、実に大笑いできる
事実を発見できます。

というわけで、今回のアップロードは笑えます!
上の黒いメニューの底部で、付録 w-7) をクリック!

 

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JCPOA再建、座礁か??

The New York Timesの報道より

Iran Begins to Dismantle Nuclear Program Cameras After Western Criticism – The New York Times (nytimes.com)
(西側からの批判に反応、イランが核開発プログラムの監視
カメラなどの取り外しを開始)

JCPOA再建交渉が難航してきたことについては、本ウェブサイト
でも今まで何度も取り上げてきました。今回、西側からの批判に
対応して、イラン側が困った対処に出たそうです。

それを取り上げたThe New York Timesの記事から、抜粋して
紹介しますね。
いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。

"Facing Off"
“Facing Off”
私の昔の作品

Isabella Kwai 記者、2022年6月9日付

西側からの批判に反応、イランが核開発プログラムの監視
カメラなどの取り外しを開始
イランが間もなく核爆弾製造に充分な量の核分裂性物質を
手に入れると専門家たちが主張する只中、国連が設置した
監視カメラを <イラン側が> 取り外し始めた。これは、
2015年 <に締結されたJCPOA合意> の再建交渉 がさらに
難航する兆候だ。

イランの核開発プログラムへの国連による監視システムを
イラン側が撤去し始めたのは、今週のことだ。そのため、
検査官たちはプログラムの一部を見ることができなくなった。
この撤去は明らかに、国際検査官たちにイラン政府が協力的で
ないという非難決議が採択されたことに対する抗議だ。しかも
この時点で、イランは核爆弾の製造に充分なだけの核分裂
物質を再度保有する手前にいる。

今回のイラン政府による撤去の決定は、核燃料の製造量を
劇的に増大しうる新設備を設置するぞという脅しと相まって、
2015年締結の <JCPOA> 核合意からトランプ前大統領の下で
アメリカが脱退して以来、イランと西側の間の対立が最も
深まっている現れだ。バイデン政権の高官たちによれば、
同政権の外交面での主要イニシアティブとしてこの核合意の
再建があるのだが、再建できる見通しは極めて少ない。

バイデン政権は今回のイランの動きを糾弾しており、フランスや
ドイツ、英国も同調した。その生命によれば、「2022年3月から
有効な提案を提示しているのだが」 イランがそれを拒絶した、
という。

専門家数名によれば、今回の緊張の高まりは憂慮を招くもので、
イラン政府の態度の硬化を示しているという。国連の核兵器
拡散監視機関であるIAEAがこの水曜日に、あと何週間かで
イランは核兵器製造に充分な濃縮ウラニウムを生産できるという
警告を発しており、イランはそれに反応したようだ。その
生産能力には、イランは既に達していると見るアナリストも
いるが、大半の専門家はイランがそうした核分裂性物質を
ミサイルの弾頭に収められる兵器にするまでには、
まだ1-2年を要するとしている。

この木曜日 <9日> にイランが取った行動は重大なもので、
7年前にオバマ政権がイランと締結した合意を破棄するという
サインであり、しかも最終的な意思表明である可能性もある。
同合意では、イランは保有する核燃料の97%を国外に出し、
国内の核物質濃縮用遠心分離機の大半を解体することに
なっていた。この遠心分離機は超音速で回転してウラニウムを
濃縮、へ津電溶の燃料にするのだが、その純度を高めれば
核兵器の爆薬に出来る。

後にトランプ氏がこの合意を一方的に破棄したのだが、
それでもまだ1年間ほどイランはこの合意の規定を順守していた。
だが <IAEAの> 検査官たちが一部領域に立ち入ることを拒否した。
そうした領域では、過去の疑わしい核開発活動の形跡が見られるの
では、という嫌疑があった。徐々にイランは検査官たちが一部の
監視機器を利用することも拒否するようになり、本日、監視カメラを
オフにし取り外した。

全米イラン系アメリカ人評議会 (National Iranian American Council) の
前会長でアナリストでもあるTrita Parsi によれば、まだこれで合意
再建の 「弔いの鐘」 となったわけでは、ない。

だがParsiによれば、「弔いが極めて近づいている。ここ何か月か、
交渉は休眠状態にあった。実質的な進捗も動きも見られなかった」
******************

20-min croquis, Apr 23 / 20分クロッキー、4月23日
実態は、どれだ?
私の20分クロッキー

たびたび私が参照先として、上の黒いメニュー底部にある
付録 w-4) の後半に引用したアル ゴア元副大統領のインタビューが
あります。ゴアさんと言えば、An Inconvenient Truth で
知られるように、気候変動への対策を焦眉の急として訴えた方
ですよね。ですから、単細胞に考えてしまうと、「原発も
推進しているのか?」 と見なしてしまいやすいのですが、
この引用したインタビューにある通り、核発電には期待して
らっしゃいません。その理由は、核兵器開発の隠れ蓑になって
きた、という単純明快なものです。
この認識が如何に正しいか、それを例示する実例の1つが、
上記のJCPOA問題ですよね。
何も私は、イランを敵視しているわけじゃありません。
核発電がまかり通っている限り、日本も含めた他の諸国だって、
いつ 「ひそかな核開発」 を始めるか分かりません。それに、
アメリカやロシアがいまだに大量の核兵器を保有していること自体、
重大な問題です。

大国による核兵器保有を正当化してきた理論が、核抑止理論です。
現在、それについてアレコレ調査中です。

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ウクライナの国営原発企業、ロシア占拠中の <ザポリージャ> 原発へのIAEA視察計画を批判

ザポリージャ原発がどういう状況なのか、引き続き
気になりますよね。
6月7日 JST 現在、英語圏の報道を見ても最新の記事が
少ないので、困っております。
そうした中、Radio Free Europe / Radio Libertyの
ウェブサイトに、本日 (6月7日) 付の短い記事が
ありました。Reuters とAPによる情報のようです。

いつもどおり、私の抜粋・日本語化で紹介しますね。
<> 内は、私からの補足説明です。

ウクライナの国営核発電企業エネルゴアトムが、ウクライナ
南部にありロシア軍が占拠しているザポリージャ原発に
国連の核拡散監視機関 <であるIAEA> が使節団を
派遣するという計画を拒否した。

ヨーロッパ最大の原発である同原発は現在ロシア軍が
制圧しているが、この地域でロシア軍対ウクライナ軍の
激しい戦闘が繰り広げられる只中、今もウクライナの
スタッフが同原発の稼働を続けている。

今年の2月24日にロシア軍がウクライナ侵略を開始して
以来、同原発の状況をIAEAは懸念材料としていた。

「(ザポリージャ原発)に何らかの形で使節を送りたい
というIAEAのヘッドからのこの知らせだが、我々はこれが
同原発でのロシア軍の存在を正当化し、今回の軍事侵攻を
容認してしまうことにつながってしまうと考える」 と、
エネルゴアトムは ・・・ (中略) ・・・ 記している。

6月6日、IAEAのラファエル グロッシ事務局長は、
IAEAとして同原発に専門家による国際使節団を派遣する
よう努めていると述べていた。

6月5日には、ロシア軍の巡航ミサイルが同原発の上空を
「危険なほど低空で」 飛行したとエネルゴアトムは
述べている。
****************

最後の1文、実に心配になりますよね。
ご存じのように、原子炉そのものはかなり分厚い鋼鉄などで
出来てはいるのですが、外部電源の供給はグリッドから
電線などで行っているわけですから、もしやそれが爆撃などで
切断されたら ・・・ 最悪、メルトダウンにつながってしまいます。

では、今後もザポリージャ原発関連の報道を見つけたら、
本ウェブサイトで日本語化して紹介してまいりますね。

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ザポリージャ原発、展開次第で停止? いや、あくまで稼働??

ザポリージャ原発について、各社の報道内容が錯綜してますね。
ザポリージャ原発のコントロールがウクライナからロシアに
移った場合、ウクライナは同原発を停止させる可能性が、
という報道も流れています。

戦争の場合、現場の状況については報道内容がこのように
錯綜してしまうのは、よくあることですよね。私たちも、
しっかりと目を開いて複数の報道を照らし合わせていきたい
ですね、平和の回復を祈りながら。

そんなわけで、上記の 「停止可能性」 を否定する報道記事を、
いつも通り私の抜粋・日本語化で紹介しましょう。
例によって、< > 内は私からの補足説明です。
2022年6月3日付のReuters報道です。

元の英語記事は、次のリンク先にあります。ぜひ、元記事を
お読みください。
REUTERS
Ukraine power operator denies report it may turn off Russian-held nuclear plant | Reuters

ウクライナの戦力公社、ロシアが選挙中の原発の稼働停止
という可能性を否定

キーフ発、6月2日 (ロイター)  –  ウクライナの国営核発電事業
企業のエネルゴアトムは木曜日 <6月2日>、ロシア軍部隊が
占拠している地帯にある <ザポリージャ> 原発の現場での
稼働コントロールをウクライナが失った場合には同原発を
停止する可能性を否定した。

ウクライナ南東部にあるザポリージャ原発はヨーロッパ最大の
原発だ。ロシア軍部隊が占拠したが、今でも稼働に当たって
いるのは、ウクライナの専門家たちだ。

インターファックスの報道によれば、ウクライナ大統領側近が、
ウクライナが同原発のコントロールすべてを失った場合には、
同原発をシャットダウンする可能性もあると述べた。

だがエネルゴアトムは声明を発表、「技術的、安全面、経済的、
政治的な各面で、同原発を停止させることはできない」とした。

またウクライナの国営電力グリッド企業 <であるウクレネルゴ> は
先週、ロシアの政府関係者からの同原発からロシアへと送電すべき
との提案について、「物理的に不可能」 と拒否している。
*****************

現地での実情などに詳しい方は、情報を私 (ひで) まで
お知らせくだされば、ありがたいです。

yadokari_ermite[at]yahoo.co.jp
まで!

 

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ページ add-4) 「原発問題」という1つの分野があるわけじゃ、ない!

add-4) 「原発問題」という1つの分野があるわけじゃ、ない!
をアップロードしました。
私が前々から言いたかった内容です。
エッセンスとしては、
イタリア料理のトラットリアに入って、
”大トロ握ってくれ~~” というのは、オカシイ!
ってことです。

ドーゆーことかは、上の黒いメニューの底のほうにある
add-4) をクリック!
メニュー内の項目は基本的にはアルファベット順に
配列していますが、add -x) と 付録 とは、一番下に
まとめてあります

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ページ mr-3) をアップロード

固定ページ mr-3) をアップロードしました。
上の黒いメニュー(項目は基本、アルファベット順で配列)
で mr-3) をクリックして、お読みくださいな。

これで、2022年5月時点での新型原子炉の
proliferation riskに関するページを終わりとします

本ウェブサイトでまだ取り上げていない新型原子炉については、
ここまでの該当ページをお読みくださった読者の皆様であれば、
適切な書籍やウェブサイトをお読みになれば、ご自分で
問題指摘がお出来になると思いますのでね。

で、次回アップロードでは
「原発問題という1つの分野があるわけじゃ、ない
ということを取り上げたページをアップロードします。

さらにそれ以降は、いよいよ核問題の本質である
「核抑止理論」を考えていきたいと思います。

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ページ mr-2) をアップロード

固定ページ mr-2) をアップロードしました。
MSRのメルトダウン以外の事故危険性や
環境汚染の可能性を、UCS による論文からの
抜粋・日本語化で紹介しています。

さらに学びたい方は、その論文
“Advanced Isn’t Always Better” (Lyman, 2021) を、
ぜひ原文でお読みください。

でも、「英語の論文を読みましょう」なんてこと
ばっかし言っていると、いつまでたっても
日本の反原発運動には、新型原子炉のリスクなどに
関する情報が広まらないですよね。
それは致命的なので、「やかんをのせたら~~」では、
国外からの新しい技術的見解などを紹介するよう、
努めております。

では、上の黒いメニューでは項目を基本的に
アルファベット順で配列しておりますので、
mr-2) をクリック!

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ページ mr-1) をアップロード

ページ シリーズ mr-x) の2枚目のページ、
mr-1) をアップロードしました。

MSRとはどういうものなのか、概要を図などで説明しております。
後半では、
UCS(憂慮する科学者同盟)が公表している論文を
紹介するとともに、
原子炉が宿命として逃れられない自己矛盾に
ついても説明しております。

では、上の黒いメニューの項目は、基本的にアルファベット順
ですので、mr-1) をクリック!

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