JCPOA、「再建するならアメリカは脱退しないことを確約せよ」とイラン議会

PRESS TV (イランの国営メディア)
Iranian MPs: US must give Congress-approved guarantee it won’t quit Iran deal again (presstv.ir)
より

10 April 2022

西側メディアは日本語のものも含めてウクライナ情勢に掛かり切りで、
JCPOA再建交渉については最近、音沙汰がないですよね。
そこでイランの英語メディアを見てみると、やはり報道がありました!
イラン国営メディアであるPRESS TVの4月10日付記事です。

その最近の記事を抜粋・日本語化して紹介しましょう。
例によって <  >内は、私からの補足説明です。
イラン議会の議員たち、再建した合意からはアメリカが決して
離脱しないという、アメリカ議会の承認を得た保証を必須として要求

イラン議会の多数派の主張によれば、2015年のJCPOA合意を再建
させた新合意を締結するには、アメリカ政府がその新合意から決して
脱退しないという確固たる法的保証が不可欠だとしている。

この主張は声明という形でなされ、この日曜日<4月10日> に
イラン議会の議員250名以上が署名している。オーストリアの首都
<ウィーン>でJCPOA(包括的共同作業計画)合意の再建を目指した
交渉が続いているが、その進展状況に焦点を合わせた声明だ。

そうした議員たちによれば、ウィーン会談での今までの経験から、
アメリカならびにその他の交渉相手が上述のような保証をするべき
なのだが、イランの国益に見合うような保証をしておらず、むしろ
イランの国益を損ない、そのため合意再建にまだ至っていないのだ
と主張している。

「したがって今後の階段では、アメリカは(イランに対して)法的な
保証を行う必要がある。再建JCPOAからは決して脱退しないという
保証である。この問題をアメリカの議会も含めた意思決定機関が検討し、
完全に法的な形態で保証し、(その保証を)将来も順守するうえで何の
障壁もないようにしてもらう必要がある」と、イランの議員たちは
主張している。

・・・・(中略)・・・・

イラン議会がもう1つ強調している点として、イランがどの国にでも、
OPEC加盟諸国の合意に基づくどのような量でも、石油を輸出できる
権利が必須だとしている。ここでは、国際信仰システムを経由して
イランが石油輸出の収入を得られるようにする必要性が強調されている。
いかなる国かを問わず石油輸出の収益やブロックされている資産も含め、
自国のすべての金融リソースや利益を自由に移動させる権利をイランは
有しており、その妨害となっている者を交渉相手の諸国は除去する
必要があると、イラン議会は主張している。

したがってイラン議員たちによれば、今回の合意を再建するためには、
「アメリカ大統領の発言も含め、口頭での約束では保障と見なすことは
できないのは、明らかだ」

*********************

proliferation (核拡散) にフォーカスした立場である限り、
核発電・核兵器が密接に絡んでいるウクライナ情勢にも注目は必須
ですが、このJCPOA再建交渉のような問題からも目をそらすことは
できません。何年も展開を見続けることが求められるわけですね。

核に固執する諸国が1つや2つではない現在の世界で核廃絶を目指す
なら、こうした粘り強さは必ず必要になります。

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「あってはいけないABC」のBとCについては??

この世界に存在してはいけない「ABC」つまり
核兵器
生物兵器
化学兵器
のうち、「C」つまり化学兵器がウクライナでロシア軍によって
使用されたのでは?という報道が広まっており、
世界的な騒ぎになっていますよね。

私(ひで)は、もちろんBとCにも断固反対しています。
ただ、本「やかんをのせたら~~」では「A」ばかりを
論じていますが、これは単に本ウェブサイトが
核発電と核兵器の不可分性
にフォーカスしたサイトであるためです。

BやCにフォーカスした活動をしてらっしゃる方々とも
協力できるならしたいと、マジで願っています!
それと、軍事的リスクにフォーカスした反原発団体などが、
広くBやCへの反対勢力とも協力し合っていくことを、
心から願っております!

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上の黒いメニューで、クリック!
メニュー内の項目はアルファベット順に並んでいます。

トリウム サイクルの概要や特徴を短く説明しております。
トリウム サイクルの推進勢力が最大にアピールしているのは
proliferation riskが小さいという主張でして、
「事故危険性」(変な日本語ですが)関連ではありません。
それに実際、今までのところトリウム燃料の実験炉では、
あまり多くの大事故が発生しておりません。
したがって、トリウム サイクルに関しては、事故危険性を
特に取り上げたページを作成しません。

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ザポリージャ原発の方は??

チェルノブイリからロシア軍が引き下がったことは広く
報道されましたが、ザポリージャ(ウクライナ語では、
「ポ」にアクセント)原発の方は、どうなったのでしょう
ねえ? あまり報道がないのが、イライラしますよね。

仕方なく英語圏のインターネットを「4月5日現在で、
一番新しいザポリージャ原発の報道を探していたら、下の記事が
ヒットしました。

NPR (アメリカのNational Public Radio)

Russian attack on Zaporizhzhia nuclear plant more dangerous than first thought : NPR

Video analysis reveals Russian attack on Ukrainian nuclear plant
veered near disaster

(ヴィデオ解析から判明、ウクライナの原発へのロシア軍の攻撃時に、
大災害を寸前で回避)

2022年3月11日

NPRラジオ放送のMorning Edition という番組で放送

長い記事なので、私が抜粋要約して日本語化しますね。
< >内は、私からの補足説明です。

Combined 3D / 組み合わせた3D
裏を見てみれば~~
私のクロッキー(速写画)3枚を、”切り開いて”
組み合わせたもの

先週<2022年3月の最初の週>、ロシア軍がザポリージャ原発を
襲撃したが、その襲撃とそれ以降のヴィデオと写真をNPRが解析した
ところ、これは当初見られていたよりも遥かに危険なものだった。

この襲撃を記録したセキュリティ監視ヴィデオの画像が4時間21分あり、
それを徹底的に検討したところ、ロシア軍は同原発の巨大な原子炉建屋
目掛けて重火器を繰り返し発砲していた。さらに写真からは、原子炉
施設のすぐ前にある管理棟がロシアの砲火に曝されていた。また原発
内部で撮影したヴィデオからは損害が判明、2号機の建屋からわずか
75mの地点に砲弾が命中した模様だ。

このセキュリティ監視カメラの記録からはさらに、ロシア軍部隊が
同原発の主管理棟目掛けてグラネード ロケット弾を手当たり次第に
発射、近隣の訓練棟で発生した火災が猛威を振るっていたにもかかわらず
ウクライナの消防団を追い返していたことも判明した。

こうした証拠は、先日のIAEAによるコメントとは極めて対照的で、その
コメントではロシア軍部隊による砲撃は原子炉からは離れた位置で行われて
いた、としていた。6基ある原子炉の安全市捨ては、まったく損傷などを
受けていないとしていた。

現実には訓練棟も複数回の攻撃を受けており、しかもそうした建物はこれ
だけではない。ウクライナの核規制当局は、他の3か所でも損害があったと
主張していたが、それはセキュリティ画像などからも支持される。1号機の
建屋、6号機のトランス、使用済み核燃料の保管施設の3か所だ。さらに、
砲火による攻撃が高圧線に対して行われている様子も判明した。
IAEAによれば、この攻撃で高圧線2本が損害を受けた。

Union of Concerned Scientists(憂慮する科学者同盟)の核発電安全性
担当ディレクターEdwin Lymanは、「このヴィデオを見ると、実に心配に
なる」と語っている。1986年に爆発を起こしたチョルノービ原発<黒鉛炉>と
比べると、ザポリージャ原発の原子炉はずっと安全性が高い<旧ソヴィエトで
開発した、一種の加圧水型軽水炉なので>ものではあるが、それでも
今回のようなロシア軍による攻撃があれば、日本の福島第一が2011年に
起こしたようなメルトダウンが発生しうると、Lymanは警告している。
**************

西側の報道であることは意識して読むべきですが、画像や写真という証拠が
あるのが ・・・・・ これだけで充分恐ろしい話なのですが、さらに詳しく
お読みになりたい方は、上のリンクから英語の元記事をお読みください。
もっと怖いですから、覚悟して。
これほどの「正規軍」による攻撃でなくても、原発の事故はテロ組織による
ドローン攻撃でも起こしうる危険性もあります。上の黒いメニューで、
ページ g-5) と g-6) をお読みくださいな。

では、トリウム サイクルの説明ページの作成に戻りますね。

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JCPOA再建交渉、合意に近づく?

しばらく「ウクライナ原発情勢」に注目していたので、JCPOA
再建交渉のことは、しばらくお暇しておりました。4月3日JST、
イランの国営ニュース ネットワークPress TV によれば、
合意達成に近づいているそうです。ただ、あまり詳細を述べて
いない報道なのですが。

Iran foreign minister: We are close to agreement in Vienna talks, ball in US court (presstv.ir)

いつも通り、私が抜粋・日本語化して紹介しますね。< >内は、
私からの補足説明です。

イラン外相: ウィーン会談は合意に近づいており、あとはアメリカ
側次第

2022年4月3日(日)

イラン外相によれば、2015年締結のイランとの<JCPOA>合意再建の
ためのウィーン会談で、交渉に当たっている各当事者たちは最終的な
合意到達に近づいている。さらに同外相は、この後どうなるかは
アメリカ側の決定次第だとも述べた。

イランのHossein Amir-Abdollahian 外相が上記の発言をしたのは、
日曜日に行ったAntonio Guterres国連事務総長との電話会談でのことだ。
その会談で両者は正式には共同包括的行動計画 (Joint Comprehensive
Plan of Action、JCPOA) を再建するため現在進んでいる交渉と中東
ならびに世界での現在の状況について話し合った。

イラン外務省の公表した同会談の要約によれば、「この交渉で我々は
合意に近づいており、未解決の諸問題についてのイランからの提案を、
EUの交渉団トップ(Enrique Mora)を介してアメリカ側に提示した。
今、交渉の今後はアメリカ側次第だ」 とAmir-Abdollahian は述べた。
・・・・・(中略)・・・・・

この再建交渉に参加しているその他の当事者、つまりロシア、中国、
フランス、英国、ドイツも交渉官たちが最終合意の形成に近づいて
いると述べた。

・・・・・(以下略)・・・・・

 

(この後は、イエメン情勢に関する記載となっています)
************************

どうも、どのような合意内容になりつつあるのか、などの具体的詳細が
見当たらないのですね。
最終合意に至ったら、発表されるのでしょうか?

とにかく、最終合意の発表を待ちましょう。

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上の黒いメニュー(アルファベット順に、項目を並べてあります)で
クリックなさってくださいな。

SMRやTWR以外に、トリウム サイクルという核燃料サイクルも
これから「メルトダウンしにくい、proliferation riskが小さい」と
喧伝される可能性がかなりあります。

予め、反核勢力がそうした「ごまかしや誇大宣伝」を警戒して
事実を社会全般に広めておいた方が良いので、
そのトリウム サイクルを紹介するページ シリーズです。

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ロシア軍部隊、チョルノーブル原発周囲に塹壕を掘り「深刻な量の放射線に被爆」??

昨日、下で短く取り上げたチョルノーブル原発からのロシア軍部隊の
撤退に関して、今日(2022年4月1日)になってから、アメリカのビジネス
ニュース主体のウェブ メディア INSIDERなどに続報が入りましたので、
例によって私が短く抜粋して日本語化しますね。
呆れかえるような内容です!

* なお、Chornobyl(以前はChernobylとスペルされてました)や
Kievといったウクライナの地名の日本語表記についてですが、
日本政府や日本語メディアもいろいろ変更中のようです。
私としては、実際のウクライナ語での発音に可能な限り近い表記をする
ことにし、「チョルノービ」、「キーフ」と記しますね。

INSIDER

Russian troops got ‘significant doses of radiation’ after digging trenches around Chernobyl, Ukrainian power authority says
(ロシア軍部隊、チョルノーブル原発周囲に塹壕を掘り「深刻な量の放射線に被爆」と、ウクライナの電力当局)

Jake Epstein 

2022年4月1日 JST

Russians Retreat From Chernobyl After Getting Sick From Radiation (businessinsider.com)

(一部抜粋・日本語化、< >内は私からの補足説明)

Russian forces have begun to withdraw from the Chernobyl nuclear plant
after reportedly suffering from “a significant doses of radiation,” Ukraine’s
state nuclear agency said on Thursday.

Energoatom wrote on Telegram that Russian troops dug trenches in the
highly radioactive Red Forest — within Chernobyl’s Exclusion Zone —
where they fell ill and decided to retreat to the Belarusian border.

Insider did not see independent evidence that soldiers had been affected
from radioactive exposure, and the Ukrainian power authority did not
disclose what symptoms the troops had that suggested this.

A small number of Russian troops will remain at the plant for now,
Energoatom said.

ロシア軍がチョルノーブル原発からの撤退を開始したが、ウクライナ
政府の核担当機関が木曜日(3月31日)に発表したところによれば、
「深刻な量の放射線被ばく」を受けてのことだという。

<その国営機関つまり> エネルゴアトムがTelegramで発表した

ところによると、このロシア軍部隊はチョルノーブル原発周辺にある
立入禁止地帯の中にあって放射線の強い「赤い森」に塹壕を掘った。
その塹壕で舞台は体調を崩し、ベラルーシとの国境にまで撤退する
ことを決めた、という。

この兵士たちが放射線被ばくの影響を受けたという独立した証拠を、
Insiderでは入手していない。またウクライナの電力当局も、放射線
被ばくを見られるような症状としてどのようなものがあるのかを
開示していない。

今のところは、少数のロシア兵士が同原発に留まる見込みだと
エネルゴアトムは述べている。
*************

お分かりのとおり、この報道内容の真偽を確認できないのですが、
もし真実であれば呆れかえる愚行ですよね!
チェルノブイリ原発の惨事で環境中に飛び散り地面に積もった放射性
物質 ⇒ それを覆い隠すため、土をかぶせた、というのが基本的には
チョルノーブルでの “除染” でした。福島第一周辺でのように放射線
物質を含む表面の土を「削り取った」場合、ご存じのようにその土の
処分場に困るので、上から土をかぶせた方が賢明な処置だと私は考えます。
しかし。その地面をわざわざ掘って塹壕を造り、その中で被ばくするとは
・・・ 放射線について、適切な教育が必要ですよね。
ついでながら、エネルギー問題や気候変動について、
そしてproliferation risksについても。
国家がやらないのなら、私たち反核勢力などがやらないと。

では、近日中にトリウム サイクルについての固定ページを
アップロードする予定です。

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ロシア軍がチョルノーブイリ原発から撤退??

Russia-Ukraine War LIVE: Russia Pull-out from Chernobyl Nuclear; UK Spy Chief Warns of Moscow Cyber Targets (msn.com)
(ロシアのウクライナ侵略、ライブ: ロシア部隊、チョルノーブイリ原発
から撤退か? 英国諜報局の長、ロシアからのサイバー攻撃の標的について警告)

News 18
2022年3月31日 正午ごろ JST

どうも日本語メディアの報道を見ると、ロシア軍がチョルノーブイリ原発からの
撤退を始めたというような単純な報道が目立ってますよね。でも、このNews 18に
よる現時点での最新報道を見ると、楽観は許されないようです。
(一部抜粋)
In an early morning video address, Zelenskiy referred to Russian troop
movements away from Kyiv and Chernihiv and said that was not a withdrawal
but rather “the consequence of our defenders’ work.”

Zelenskiy added that Ukraine is seeing “a build-up of Russian forces for new
strikes on the Donbas and we are preparing for that.”

(私による日本語化)
本日早朝のヴィデオ演説でゼレンスキーはキーフならびにチェルニーヒウ
(という都市)からロシア軍の部隊が撤退中か、という件に触れて、これは
撤退などではなく「ウクライナの防衛に携わる者たちの奮闘の成果だ」と述べた。

さらにゼレンスキーは、「ロシア軍はドンバス地域への新たな攻撃に備えて
増軍を進めており、ウクライナはそれに対抗する準備をしている」とも述べた。
***************

では、トリウム サイクルの調査を続けますが、日数がかかっているのは
トリウム燃料を使った原子炉での実際の事故例があまり報告されていない
ためです。
したがって、「事故安全性」の側面については、トリウム サイクルに関する
ページ シリーズではページを設けず、その後に予定しているMSR(溶融塩原子炉、
SMRとは別物ですよ)に関するシリーズで紹介したく思います。

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付録 w-5) をアップロード

付録 w-5) をアップロードしました。
上の黒いメニューの底部にあります。

2022年3月の出来事に対応して、反原発団体や個人の皆様による
情報発信を呼びかけるものですが、大した内容ではないです。

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ページ u-3) と g-6) に追記

上の黒いメニューは基本的に項目をアルファベット順で
並べております。
そのページ u-3) と g-6) に、3月21日付の追記を加えました。

u-3) では、問題のチョルノーブイリ原発で職員の皆様が
交代を許可されていないという問題について、ロイターからの
情報を抜粋・日本語化して紹介しております。
日本語報道を見ると、単に交代ができたとだけ記されている
ものが多いのですが、ロイター報を見ると20日に
交代できたのはおよそ半数だそうです。
残る約半数の職員の皆様の健康が心配ですし、
今後は「通常通りの」スタッフ入れ替えをできるのか、実に
気になりますよね。

g-6) では「ドローン爆弾による外部電源供給線へのテロ攻撃
⇒ station blackout」という事態への防御策が、現在日本の
原発では行われているのか??という問題についての追記です。

島根原発での実例を紹介しておりますが、要はこの「ドローン
爆弾リスク」を、少なくても現時点では、日本の当局などは
あまり計算に入れていないようですね。

ドローン攻撃の危険性については、このすぐ下の3月16日の
Home記事でも言及しております。

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