As the Israel-Hamas War Governs the
World’s Attention, Iran Is Quietly
Marching Towards Nuclear Breakout
(イスラエル対ハマスの戦争に世界が
注目する中、イランは秘かに核兵器
保有へと向かう)
TIME誌のウェブサイトより
Amid the Israel-Hamas War, Iran Approaches Nuclear Breakout | TIME
少し前の記事なのですが、重要だと
思うので。ご存じの通り、ガザで今も
進行中の戦争にはハマスはもちろん、
ヒズボラやフーティも絡んでいるわけ
ですが、そうした組織の背後にイラン
がいることは良く知られてますよね。
問題は、そのイランが核開発を進めて
きていることでして ・・・
では、記事を紹介しますね。
いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
この記事も長いので、時間のない方は
何回かに分けてお読みくださいね。
**************************************
Jeffrey Sonnenfeld記者(イェール大学
の経営学部で経営実践担当の教授)
Adam Boehler記者
2023年12月9日
<2023年の> 10月7日、ハマスと
パレスティナ イスラム ジハードとが
イスラエルに侵略したが、この攻撃は
ホロコースト以後ではユダヤ人に
対する最も凄惨な攻撃であった。だが、
問題はそこに留まらない。両テロ組織は
イランから訓練や支援を受けており、
イランが秘かに核兵器保有に向けて歩を
速めていることから世界の目をそらせ
たのだ。<2023年>2月、バイデン
政権のトップ高官で当時は政策担当
国防事務次官であったColin Kahlは,
イランはすぐにでも雑な核爆発装置
なら数日で組み立てることができる
ようになると認めた。
これは納得できることだが、アメリカ
とその同盟諸国は今のところ、当該
地域での危機的状況という緊急事態に
集中している。つまり、イスラエル
国防軍(IDF)がガザ地区からハマス
をせん滅し、レバノンのヒズボラ
という武装集団の増大する脅威にも
対処しようとしていることだ。だが
長期的には、イスラエルや中東、
そしてアメリカにとっても、地域
安全保障上の最も深刻な脅威とは
あくまでイランの核保有なのだ。
イランによる核保有への歩みを止め
させるのに、まだ遅すぎるわけでは
ない。
イランの核への渇望の背後にある
外交面での背景には、既に変化がみら
れる。10月7日の攻撃に先立つ
数週間内氏は数か月間、イスラエルと
サウディ アラビアは国交正常化合意
をもう少しで締結できる状態であった。
アブラハム合意 <Abraham Accords、
2020年8月にUAEとイスラエルの間
で締結された平和・外交条約> を
基本にした正常化合意だ。アブラハム
合意はもともと、その作成者Jared
Kushnerの手になるもので、本記事を
記している記者2名もアドバイスと
交渉に関与した。
それから間もなくサウディ アラビア
もアブラハム合意に加わることに
なったのだが、同国にはイスラムの
スピリチャルな中心地であるメッカが
ある。どうも、それに反応してハマスは
イスラエルを攻撃する気になったよう
だ。サウディとイスラエルが国交を
正常化してしまえば、イランの最高
指導者であるアヤトーラ アリ
ハメネイやイランに動かされている
テロリスト組織、そしてイラン政府
が以前から表明しているイスラエルの
せん滅という目標にとっては、破滅的
事態となる。中東の人たちがイスラ
エルの存在を受け入れるようになる
ほど、イランがユダヤ人国家を消し
去り中東での支配的地位を手に入れる
ことが困難となる。
本論の著者両名は今でも、いずれは
サウディがイスラエルの存在を認める
日が来ると信じている。だが、それは
今ではない。イスラエル軍の兵士が
ガザを更新する様子が全中東で放送
されており、もともとあったイスラ
エルへの憎悪が燃え上っている。その
ため現時点では、国交正常化は政治的
状況のため考えにくい。ペルシャ湾岸
諸国の王侯たちは市民の投票行為を
気に欠ける必要がないのだが、
そうした諸国すら現時点では正常化は
困難だ。
著者両名は、このアブラハム合意の
次への発展が頓挫してしまったのは
10月7日の攻撃による深刻な地政学的
被害だと判断して疑わない。さらに
重要な問題として、西側がこれでイラン
の核開発プログラムから目をそらし、
真剣に阻止しようとしてこないだろうと
アヤトーラ アリ ハメネイが考えている
のだ。実はこの核開発プログラムの結果
本格的な核兵器をイランが手にする日が
近づいているのだが。
ここ数年、イランの核開発プログラムの
歩みは秘かに進んできている。現時点で
IAEAが収集したデータによれば、
わずか12日で核兵器を製造できる
だけの濃縮ウラニウムを同国は保有
している。
これだけのウラニウムを有している
イランは、本質的にあと一歩で
核保有国となりえる国家だ。ウラニ
ウムのの濃縮度も推定で84%に
達している。この意味を分かって
いただくために言っておけば、ウラ
ニウムの濃縮度では90%が核兵器
製造の目安となる。しかも弾道
ミサイル プログラムとの関連での
イラン政府に対する国際的経済制裁
も実施されたのだが、それも期限
切れとなった。そのためイラン政府
は、<ミサイルという核弾頭の>
輸送手段をさらに開発・多数製造
しても構わないという自由が得られ
たような結果になっている。
<そうした輸送手段があれば、
イスラエルの> テル アヴィヴや
ハイファ、あるいはヨーロッパの国の
首都すら攻撃できる能力を得られる
のだ。.
イランが核兵器を保有すれば大変な
破壊力のある兵器を手にしたことに
なるのは、明らかだ。だが、イラン
が核兵器を持つぞという脅威だけ
でも、現時点でのアヤトーラ アリ
ハメネイにとっては強力な武器と
なる。ヴラディミール プーティンが
核兵器使用という脅しをかけている
ため、アメリカがウクライナを全力
では支援できないでいる模様である
と、アメリカの前外交官John E.
Herbst などの専門家が語っており、
ハメネイもその様子を見ていることは
疑いない。アヤトーラ ハメネイは
今頃、似たような脅迫を利用してみよう
と大胆になっている恐れもある。特に、
イスラエルが長期間にわたりガザを
再占拠した場合や、ヒズボラからの
攻撃に対応してイスラエル軍が今後
何か月か以内にレバノンに侵攻した
場合には、その危険性が強くなる。
アメリカは度々イランとの衝突を、
小規模のものであっても回避して
きた。これは、中東地域に紛争が
広まるのを回避するためだ。ここ何週間
かイランからの支援を受けた武装組織が
在イラクアメリカ軍部隊に攻撃をかけた
が、それらに対するアメリカの対応も
やや臆病なものだった。11月に
60 Minutes <というアメリカのドキュ
メンタリーTV番組> が詳細に報道
したように、イラン政府によるアメリカ
領土内でのアメリカ高官やイラン国籍の
反イラン政府主義者たちを暗殺しようと
する動きも、今も収まってはいない。
イランの核の脅威が高まり続ける中、
ハメネイがさらに攻勢を激化させていく
ことは、充分に考えられる。アメリカと
イスラエルの高官たちは、イランが
核兵器を手に入れることを決して許さ
ないという決意を伝達したのだが、
イスラエルとアメリカにイランによる
核兵器製造プログラムを破壊するだけ
の政治的意思が実際にあるのかは、
今後の展開を見てみないと分からない。
イランが既に核兵器保有の一歩手前
にいる国として認識されているもの
の、7西アジアにあるこの国の
核開発をやめさせるのに、まだ手遅れ
ではない。現在の紛争にアメリカは
反応し、イランを押しとどめる抑止を
取り戻すべきだ。イラン政府にとって
の最大収入源である石油収益を断ち
切るための経済制裁を強化して実施
することっから始めるのが良かろう。
イランの石油収益は核開発プログラム
にも、イランの代理として活動する
テロリスト組織にも同じように流れ
込む。しかも以前の論考
<原文には次のリンクが: https://insights.som.yale.edu/insights/to-prevent-wider-war-in-the-middle-east-choke-off-irans-oil-sales> で述べたように、
石油輸出増大で収益も増えている。
2016年にアメリカの国務長官で
あったJohn Kerry は、彼が策定した
核合意のおかげで世界はより安全に
なったと自慢していた。この合意の
時点では、イランへの経済制裁を解除
するのに伴いアメリカが1,500億ドル
を費やした。今になってみると、
Kerryはその資金の一部がテロ組織に
流れる恐れがあったのだが、それを
彼はいやいや認めざるを得なかった。
困ったことに、これは現実となって
しまい、アメリカは直ちにこの流れを
止めるべきなのだ。
さらに、IAEAがイランの核施設の
査察を厳格に実施し、イランが規定を
守っていない場合には政府の責任を
追及するよう、引き続き圧力をかける
必要がある。 9月4日に発表された
IAEAの報告には、次の記載がある:
「JCPOA <上述の、2015年の核合意
のこと> に関連した監査やモニター
活動のために IAEAが以前に設置した
装置すべてをイランは撤去することを
決定したのだが、これもマイナスの
効果があり、IAEAがイランの核開発が
平和目的のためのものか否かを確認する
能力が低下してしまった」
核開発の進展を抑止するため、世界は
イランがIAEAの規定を回避した場合
に、従来よりも重い新たな罰則を設け
ねばならない。核兵器を現実化して
しまう道をイランが先に進む前に、
イランを止めねばならない。そうし
なければ、イランは核兵器という脅し
を利用して策略を思いのままに進めて
しまう公算が、いよいよ大きくなる。
それがイスラエルの危機 <への介入>
であれ、レバノンやイェメン、イラク、
シリア、その他地域でのイラン代理テロ
組織への支援の増大という形であれ。
アメリカの政策考案者たちは、ガザ
でのテロリスト組織へのイスラエル
による反攻を支援するという、緊急
かつ重要な任務に取り組んでおり、
これは正しいことだ。だが、現在の
危機には核兵器へと突き進んでいる
イランの歩みを止めねばならないと
いう戦略上の必須課題が不可分に
絡みついているという事実を見逃し
てはならない。イランの核プロ
グラムに直ちに対応し対抗できな
ければ、中東で現在行われている
諸紛争はさらに悪化してしまう公算
が強いのだ。
***********************************
この主張は明らかにイスラエル寄り
ではありますが、
・ 中東での武装集団の一部をイラン
が支援していること、
・ イランの核開発プログラムが、
既に「平和利用」の域を超えている
こと(60%とIAEAが発表したことは、
報道済みです。
右の「アーカイブ」の下で 2024年
11月 をクリック ⇒ 11月25日の
「IAEAの一部査察官の現場入りを
イランが制限」という記事も参照)
の2点は、既に世界的によく知られ
ております。
さらに、イランが核兵器を持って
しまった場合、サウディ アラビアも
対抗して追随する危険性があること
も。(2018年、モハメド ビン サルマン
皇太子がCBSとのインタビューで述べ
ました。詳しくは、上の黒いメニュー
で f-4) を)
核兵器なんてものは、存在すること
そのものが大罪である ― それを、
全世界の市民が声高に叫び続けたい
ものです。