付録 w-9) この暑いのに、なんでこんなことを書かなきゃ~~

2022年6月

2022年6月30日の午後、危険な暑さの只中で
この付録を記しております。
正直なところ、私の部屋にはエアコンがついておりません。
保冷剤を頭に乗せ、扇風機の風に当たり、水分を取りながら
PCに向かっております。
皆さんにも、そんな真似をせよなどとは申しません。ただ、
私がこの一見無謀なことをやらかしているのには、れっきと
した理由があります。電力の社会的優先順位、という理由です。
私は若くはありませんが寒暖に強くて、部屋にエアコンも
ストーブもありません。
なぜ、ないのか? 2022年6月下旬、東京は大変危険な暑さの
中でのたうち回っています。
日中に道を歩けば、ふらふらと歩けなくなって佇んでおられる
高齢者の方。もちろん、危険なので近くの自動販売機で冷たい
飲み物を買って差し上げ、それを冷たいまま首の後ろなどに
当ててもらうと、意識がはっきりするようです。そしたら
日影でその飲料をゆっくり飲んで休んでいただくと、なんとか
歩けるようになりました。
同じ道を歩いていたのに、私の方は大丈夫だったのですね。
ということは、電力不足が社会問題になっている現時点の東京では、
貴重なエアコン用電力をまず誰に使ってもらうべきか?(まあ、
TEPCO管内での注意報は30日夕方でいったん終わったようですが)
この高齢者のような方々や病気療養中の方々が、私などより優先
されるべきなのは明らかですよね。「私は後回しでいいから、
病気やご高齢の方々、赤ちゃんなどを優先してくれ!」 って
ことです。
およそ何らかのリソースが不足に陥った場合には、こうした
社会的公正をまず考えるべきでしょう。

それにしても、むしろ私が頭にくるのは日本政府や電力会社が、
この11年間何をやってた!?!? という問題でして ・・・

Coffeeshop Argument
あんたのせいでしょ!?
Coffeeshop Argument
かなり昔の、私の作品

★ で、誰のせいで電力不足に??

ここからは 付録 w-6) の内容と重なってしまいます。
今現在、一部の核発電推進論者が「すぐに既存原発再稼働を!」
などと喧しいので、反核の立場から有志が 「理性の声」 を
発信せざるを得ないのです。そのため、付録 w-6) との重複を
承知で、これを記しております。
東京電力圏内で 「原発からの電力」 が基本的になくなった
のは10年前の春、柏崎刈羽原発が点検のため稼働休止に入った
2012年春のことだったと記憶しております。(現状は、
柏崎刈羽原子力発電所 – Wikipedia  に)
発送電なんてものは社会インフラストラクチャーなのですから、
しかも天然ガスもウラニウムも日本は輸入に頼っているのですから、
輸出国が戦争に巻き込まれた場合に備えるのは、政府やインフラ
企業の社会的責任であるハズ。さすがに、2年や3年でどうにか
しろとは私も申しませんが、福島第一の大惨事からすでに11年
以上が経過しております。
11年間も何をしていたのか?? しかも、その間にたとえば中国は
ICBM用サイロらしきものを増設 (右の「アーカイブ」から、
2021年8月4日の記事などを参照) したり、カザフスタンの
ウラニウムを大量に買う契約を締結したり。 (付録 w-6) 参照)
日本国内には、今日現在、ウラン鉱山はないのですが。つまり、
ウラニウムも石油などと同じく、輸入に頼る資源なのです。
一方、太陽光や風、潮力などは日本国内に絶えず存在しています。
それらだけで電力需要すべてをまかなえるとは私は考えませんが、
戦争や買い占めなどのリスクを考えるなら、常に国内にある資源を
軽視するのは愚策です。

もちろん、そうした改革には年月がかかります。それにしても、
11年間とは短い期間ではなかったはずで ・・・


11年 経過したけど ・・・
私の点描練習より   Based on Croquis Café 366

★ まず、原発のメカニズムを知れ!

そもそも、「既存の原発を再稼働せよ!」 と求めるなら、
その既存の原発とやらのメカニズムを知ったうえで、モノを
言わないと! 日本の既存原発で商用稼働実績のあるもの
(実験炉などは、今回の電力不足騒ぎという文脈では、該当
しない原子炉でしかない) ということですから、PWRとBWRって
ことになります。
この2種類の原子炉の発電原理については、ページ d-2) で説明済みです。
で、発電用の水蒸気を得るための熱源として原子炉炉心で
U-235 + n ⇒ 核分裂生成物 + 大量の熱
という核分裂を起こさせるのですが、PWRやBWRの場合、
Accelerator-Driven System (ADS) と違い、核分裂の連鎖反応を
起こさせます。つまり、反応は 「ドバ!」 っと起こり、強弱を
つけられないのです。
そもそも原発は出力調整などがやりづらいからこそ、「揚水発電」
などという熱力学的にはまったく無駄な 「蓄電設備」(付録 w-5)
参照)が必要になるわけですね。
つーことは! 「電力足らないから、不足分を既存原発再稼働で
補って~~」 なんてことは、できないんです!
おまけに、核燃料に再度中性子線をぶつけて臨界状態にうまく
保つなんて、一朝一夕にできることじゃありません。急にやれって
言われても、できるわけないんですよ。
加えて、原子炉を再稼働するなら、IAEAの検査や承認も必要です。
こんなの、原発のメカニズムの基本中の基本です。そんな基本すら
無視した再稼働論なんて、まともに考察する価値もありません。
某政党の政治家がそんな再稼働論を唱えているなら、その政党全体の
無知を疑うべきです。


Run! For your life!
私の作品

★ 次に、交流の送配電って ・・・

「だったら、既存原発をベースロードとして再稼働 →
その他の発電所を出力調整せよ!」
などと仰る御仁もいらっしゃるかも ・・・ これも、ハッキリ言って
グリッド送電のややこしさを無視してます!

交流電気を適切にグリッドで送配電するというのは、おもちゃに
乾電池を入れるのとは、まったくわけが違います。これを無視して、
単に「発電所の発電容量の単純な足し算」 で片付くと思い込み、
原発再稼働を唱える輩が、いまだにネット上でも巷でも散見されるの
ですが ・・・ その原因の1つとは、私たち反原発派が、正しい
情報を十分に発信してこなかったことにあるんじゃ? だって、
反原発ですと自ら仰る方の中に、「揚水発電って、何ですか?」 って
真顔でおっしゃる方々も、いまだにいらっしゃいますからね。
我々反原発派の不勉強や怠慢が、巡り巡って今回の 「再稼働騒ぎ」 の
背後にもあるんじゃ??

交流の送配電が如何にややこしいかは、すでに2018年9月の
北海道での大地震 → ブラックアウトの時に、私たち反原発派が
情報発信しておくべき問題でした。国の検証委員会も、泊原発
稼働でも全域停電に陥った可能性を否定しませんでした。まあ、
地震が原発のある地域を襲ったら、原発が稼働していてもすべて
停止させるしかありませんからね。そして、地震なんてどの地域を
揺らすか、分かったもんじゃありません。つまり、管轄地域の
中でうまく発電所を分散しておくことが必要になります。
北海道)泊原発稼働でも全域停電 国検証委がリスク指摘:朝日新聞デジタル (asahi.com)
こういう事件があった時にタイムリーに情報発信を反原発団体や
個人が展開しないと、いずれ今回のような 「アホばか再稼働論」 が
まかり通る羽目になります。
話を交流送配電に戻すと、グリッドの管理運営が大変複雑なもので
あることを弁えれば、「既存原発を再稼働 → それをベースロードに」
なんてことをするには、いかに大変な作業と日数が必要か、
弁えられるはずです。

以上のとおり、既存原発を再稼働してグリッドで送配電する ・・・
なんてことは、急にはできないんです。原発を停止させていたから
いけないんじゃ、ありません。福島第一の惨事が仮に起きなかったと
仮定しても、原発には定期点検というものも必須ですし。
燃料のLEU価格が高騰したり、天然ウラニウムが買い占められたりする
可能性だってありますし。(付録 w-6) 参照)
「原発再稼働」 じゃなくて、「上手なリスク分散」 が必要なのですね。

「ニュークリアーたこやき」って ・・・ 実は、Pu製造だろ?

「ニュークリアーたこやき」って ・・・ 実は、Pu製造だろ?

「なにが ニュークリアたこ焼だよ、本業はPu製造だろ!?」

★ そして、問題の根源 = 核兵器

Homeの2022年5月8日、「独裁者が核兵器を持つと ・・・」で
指摘済みの問題ですが、今回のエネルギー価格高騰ももとを
ただせばプーティンがウクライナへの侵略開始時点で、核兵器を
特殊なアラート状態 (ただし、どういうことなのか、意味は不明) に
設定したため、西側が下手に対応できず困っていたことに、
大きな要因の1つがありますよね。
要するに、
・ エネルギーや食糧を大量に輸出する国を、独裁者が治めている
・ その独裁者が、核兵器の発射命令権も有している
・ その独裁者が隣国に侵略、人権蹂躙をやらかしている
・ でも他国は、核兵器への不安から手が出しにくい
・ そして経済制裁への対抗処置などで、世界的にエネルギーや食糧の
価格が高騰
という現実を、私たちは現在、実際に体験しているわけです。
ここで 「核発電と核兵器の不可分性」 を弁えているなら、
* この状況で核発電を拡大するなんて、悪循環を激化させるリスクが
ってことに、すぐにお気づきでしょう。

Homeの5月8日の記事から、再登場

Homeの5月8日の記事から、再登場

でも、私たち反原発派は、こうした本質的な問題指摘を、
また世界情勢に応じたタイムリーな情報発信を、どこまで
やってきたのでしょうか??
「だって、原発は平和利用ではあるんでしょ?」 と真面目に
のたもー “本質の分かっていない反原発派” も、まだ少なくはない
ように、私自身は実感しているのですが。

★ 付録のおまけ:
「原発を稼働させないから、熱中症で人が死ぬんだ~~!」という
たわけた主張について

本来、こんな主張は真面目に反駁する価値さえない主張です
(上記の説明からも、お分かりになると思います)
さらに、本ウェブサイトのフォーカスから遠く離れてしまいます。
けど、
・ 2022年6月末現在、こんな乱暴な主張が、国会などから少なからず
聞こえてきます (誰だ、そんなのに投票したのは!?)
・ そうであれば、反原発勢力の中で電力問題にフォーカスしている
グループなどから 「そうじゃなくて、事実はこうだよ」 といった
情報発信が十分にあって然るべきですが、
あまり聞こえてきません。
そんなわけで、仕方なく、このたわけた主張のおかしさについて、
短く言及しておきます。

★ 「節電」のため熱中症件数が増えたのなら、2011年~12年以降、
件数が増えたはず
⇒ 実際は、減ったりしている

福島第一の惨事で東京電力管内の原発数が急に減ったのが2011年3月、
柏崎刈羽原発が定期点検に入り、東京電力の管内から原発の電力が
基本的になくなったのが、2012年春のことでした。
それを意識して、たとえば
冬日日数 (tokyokankyo.jp)
のスライド2をご覧くださいませ。
東京での熱中症件数の推移がグラフになっています。
まあ、2013年までのデータなので、納得なさらない方もいらっ
しゃるかも。
そこでさらに
heatillness_manual_1-3.pdf (env.go.jp)
を見てみると、2014年から2021年の、日本全体での夏季における
熱中症救急搬送数がグラフになってます。消防庁のデータによるものだ
そうです。2010年夏から現在の水準になっていますので、2011年春の
福島第一の大事故や、その後の原発稼働停止が原因ではないことは
明らかです!
このheatillnessの資料から分かることとして、
・ 熱中症防止では、特に高齢者がまず高リスク集団と見なされるべきこと
・ 熱中症増加傾向の原因は、猛暑日の増加そのものにあること
これらは経験則からも明らかでしょう。

何でもかんでも 「原発を再稼働させないからだ」 ということに
したがるのは、現実のデータを無視したお笑い沙汰でしかないですよね。
私は TV というものを持っていないので、現在の日本語TV で漫才が
どの程度放送されているのか、存じないのですが ・・・・ まあ、
漫才で 「原発を再稼働させないから、熱中症患者が増えた!」 とか
言うのは、私は許容できます。オーディエンスを笑わせるための
ジョークに過ぎないですからね。でも、議会の議員が真面目な顔を
して、そんなことをノタモー ようなら ・・・ 誰だ、そんなのに
投票したのは!!

* 「「やかんをのせたら~~」 みたいな軍事的側面にフォーカスした
ウェブサイトで、無理に 「付録」 と称して電力は送配電問題を
扱わなくても、ボクが/ワタシが~~~でやってるよ!」
と仰る方、ぜひあなたのウェブサイトなりブルティンなりを、
私 (ひで) にお知らせくださいな!
yadokari_ermite[at]yahoo.co.jp
です!
お知らせいただければ、今後は例えば 「電力や送配電関連の問題は、
~~さんの○〇というウェブサイトをご覧くださいませ」 というふうに
折に触れ紹介させていただきますね

原発党党首:「核ゴミの最終処分場を作って、そこから怪獣がたくさん出てくれば、日本の映画産業はハリウッドをしのぐ規模に ・・・」 ( - へ-)「あほくさ~~」

原発党党首:「核ゴミの最終処分場を作って、そこから怪獣がたくさん出てくれば、日本の映画産業はハリウッドをしのぐ規模に ・・・」
( – へ-)「あほくさ~~」

現在の東京での電力不足や価格高騰との関連で、付録 w-6) と
w-9) を記しました。
要するに、
2011年夏以降もっとはやく、「日本国内にいつもある」各種
エネルギー源の利用を急ぐべきだったのに、今まで11年間も
「のそのそ」やってきた。そして、今になって電力が足り
ない ⇒ 原発再稼働を! と叫んでしまっている
⇔  11年間も、何をやってきた!?!?
ということです。

「やかんをのせたら~~」はあくまで核発電の軍事面にフォーカス
しておりますし、私は電力問題の専門家ではないので、上記の主張を
バックアップしてくれる専門家の見解で、誰にでも分かりやすいものを
探してました ・・・ YouTubeにありました!!

電力不足の本当の理由 太陽光に偏るワケ【7月5日(火)#報道1930】 – YouTube
YouTube、2022年7月5日

Time stamps:
24:00 – 1: 03: 50
特に 26:00 – 36:19, 36:30 – 37: 52, 37: 53 – 40: 44, 44: 50 – 47: 17, 50: 20 – 57: 30,
59: 30 – 1: 01: 17

お時間がおありの時にご覧くださいませ。

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