d-17) (発電原理) 制御棒って、何するもの?(チョー基本的内容)

d-17) (発電原理) 制御棒って、何するもの?(チョー基本的内容)

2026年2月

このページは、きわめて基本的な内容です。
「そんなことなら、もうとっくに知ってるよ」と
仰る方は、本ページを無視なさってくださいませ

柏崎刈羽原発、またおネンネ

柏崎刈羽の6号機、14年近い眠りから覚めてようやく
再稼働 ・・・ かと思ったら、すぐにまたお休みに
なっちゃいましたね。
東京新聞や毎日新聞だけの報道ならともかく、「ある種の
傾向でよく知られている」産経新聞も報じていました:
1月23日に同社のウェブサイトにポストされた記事

ご存じの通り、今回の「再びおネンネ」は”周辺住民の
反対”などによるもんじゃなくて、純然たる機械の異常が
原因ですよね。

「壊れてるんで、またおネンネ~」
「おいおい、5分前に起きたとこやがな~」

正直、予想してました

「やかんをのせたら~~」では、上の黒いメニューを
ご覧いただければすぐにお分かりの通り、原発再稼働問題を
あまり取り上げてきませんでした。言うまでもなく、核発電の
核兵器との不可分性にフォーカスしているからですね。
それでも、アメリカはミシガン州のPalisades原発の「ゾンビ―
再稼働」などについては、取り上げてきています。
(黒いメニューにある yards-1) や yards-2) など)

で、柏崎刈羽再稼働については、「周辺住民の反対とか
じゃなくて、純然たる機械の問題でそう上手くはいかない
だろう」と、私は2025年終わりごろから予想しておりました。
正直に、発言しておりますよ。

(  -_-) ふん、どーせex eventu(事態が発生してから、
予想していたと嘯くこと)だろ!?

などとお考えの方々もいらっしゃるでしょう。
しかし、極めて正直に、私は「この再稼働は、機械の問題で
順調には進むまい」と予想していたのです。

そもそも、乗用車であっても~~

自動車をお持ちなら想像していただきたいのですが、
14年といわずとも2年ほど全く動かしていない乗用車が
あったとして、それをいきなり運転して公道を走りますか??
おそらく、どこかに上手く作動しない箇所があると考える
べきですよね。
まして、原発のような巨大複雑システムを14年近くも
稼働していない場合、「何か問題」があると考えるのが
むしろ常識でしょう。

この車、2年ぶりに運転してみるか~

ついでながら、日本の原発での大事故がいつか起きると ・・・

pre-Fukushima I 反核勢力(私自身も含む)の多くは、
予想しておりました。福島第一原発の大事故があった
以前から核発電に反対していた人々の多くは、「日本の
原発でもいつか、どこかで大事故が起きるよ」と予想して
いたのです。私自身も、同意見でした。(私は1980年代後半に
エネ庁周辺で原発広報の仕事を受けていたのですが、原発の
「正体」を知って1991年にその仕事を辞めました。
以来ずっと、核発電と核兵器に反対しております)
無論、いつ・どの原発で大事故が発生するのかまでは予想
できませんでしたが。(たとえば、浜岡が ”候補” に挙げられる
事が多かったりしました)

こうした予想の実例として有名なのが、広瀬隆さんの著作
「原子炉時限爆弾」でしたよね。2010年8月に書店に
並んだ本で、いつか日本の原発でも大事故が発生しうると
予想していましたよね。(福島第一の大惨事は、2011年3月)

いつか、どこかの原発で起きるよ
(1991年当時は、これを言うとバカにされました)

そして、推進勢力のトンでも発言

で、ここ数日、柏崎刈羽の「またおネンネ」を受けて、
巷ではこんなトンでも発言を耳にしました:
「制御棒のアラームが故障してるくらいで再稼働やめて
ないで、再稼働早く始めて、電気料金下げてくれよ~~」

やれやれ~~ この発言、二重三重に事実を誤認しています:
・ まず、この再稼働が順調に始まったとしても、我々が
請求される電気料金には大した違いはありません。
たとえば、こちらをご覧くださいな
・ 仮に再稼働で電気料金が下がったとしても、原子炉の
機械的問題を無視してでも再稼働して料金下げろという
主張は
「俺の電気代下げるためなら、原発周辺の人たちが危険に
さらされても構わない」
という要望に他なりませんよね。
・ そして、このトンでも発言の主はおそらく、「制御棒」
とは何をする装置なのか、お分かりでないのでしょうね。

そこで、基本中の基本ですが、「核分裂連鎖反応」と
「制御棒」を説明します

「そんな基本中の基本、とっくに知ってらあ!」と
おっしゃる方々は、このページは無視なさって
くださいませ。
前置きが長くなっちゃいましたが、「核分裂連鎖反応」
と「制御棒」を以下で説明します。もちろん、「核問題の
基本を全く知らない方々向け」の説明ですから、かなり
簡略化した記述になりますよ。

じゃあ、学ぶわよ ・・・
私のクロッキー(速写画)、Croquis Cafeベース


原子炉の熱源

上の黒いメニューにある d-1) の一番下の説明図を
ご覧くださいな。
「ヤカン発電」の概念図 (^-^ ;;)
というものです。
その「発熱装置」に該当するのが、原子炉ですね。

では、その原子炉内で発生する熱はどこから?

核分裂の連鎖反応から出てくる熱です。
原子炉内にある「核燃料」の中で人為的に「核分裂」
の「連鎖反応」を起こし、その際に発生する大量の熱を
利用するわけです。

核燃料棒に中性子をぶつける

1- 核燃料

現在の商業用原発の多くでは、長さ2~3m程度の細長い
金属棒なのですが、ご存じの通り中にはウラニウム
(日本ではなぜか「ウラン」と呼んでます。以下 元素記号で
Uと表記)の小片(ペレット)が詰まっています。

Uにはいくつも「同位体」があって、その中で自然界に
一番たくさんあるのがU-238という同位体です。「同位体」
とは何かについては、義務教育で学んでらっしゃいます
よね?この238は、下ですぐに述べる核分裂を起こし
にくいのですね。

さらに自然状態ではU鉱石中に0.7%ほど存在している
のがU-235という同位体で、こちらは核分裂しやすいのです。

2- 核分裂

原子炉内部では、原子核を形成する粒子の1つである中性子
という粒子を核燃料に「照射」、つまり「ぶっつけ」ます。
すると ・・・
U-238はその中性子を「吸収」し、短時間でNp-239
(ネプトゥニウム239)という放射性元素に「核種変換」
つまり”変身”します。これがさらに約2.4日でPu-239
(プルトニウム239)に”変身”します。核分裂はしません。

U238とU235に中性子をぶつけると~

U-235に中性子がぶつかると、Uの原子核が ”壊れる”つまり
「核分裂」します。
中からは中性子が飛び出ていきます。当然、「壊れた」後に
残る原子核は他の各種元素に ”変身”しており、そうした
各種元素を「核分裂生成物」と呼んでいます。
原発事故で環境へと放出されてしまう核分裂生成物の代表的な
ものとして、
Sc137(セシウム137)やI-131(ヨウ素131)、Sr-90(ストロンティウム90)
などがあります。いずれも放射性です。
これら生成物と一緒に、熱も放出します。この熱が、
原子炉内部での熱発生の主な原因です。(ただし、それ以外
にも放射性物質特有の「崩壊熱」という発熱もあります。
これについては、最後に)

U238→Pu239
U235 –> fission products

3- 連鎖反応

U-235が核分裂するときに放出される中性子が、周囲の
U-235原子核にぶつかる → その原子核も分裂 → その分裂
からの中性子も、他のU-235原子核にぶつかる → それも
核分裂、中性子を放出 → ・・・・
↑ それが、核分裂の連鎖反応です。当然、大量の熱が出ます。

chain reaction of U235 fission

こうした目に見えない世界での核分裂の連鎖が熱源ですので、
人為的なコントロールが難しいことは容易に想像できますよね。
U-235の濃度が数十%を超え、特に90%以上という
「兵器グレード」になると、いったん核分裂連鎖が始まれば、
もはや人間にはコントロール不能な「核爆発」となって
しまいます。
それは困るので、現在主流派の原発では、核燃料中のU-235の
濃度は3 ~ 5%になっています。

再掲 U-235の濃度と用途
「核燃料」と「核兵器」とは、単なる「程度違い」であることをお忘れなく!

そうであってもなお、核分裂の連鎖を人間がコントロールする
のは限界があるので、原発は電力需要が下がる夜間でも発電を
続けることになります。じゃ、余った電力をどうしているのか?
揚力発電所という実に奇妙な施設を使って、夜間の余剰電力を
蓄電しておき、需要が高まる昼間に消費したりします。

揚水発電所の原理

それにしても、核燃料内の連鎖反応を止めないといけない
場合も多いですよね。定期点検を始めるときとか。でも、
ほっとくと核分裂は止まらず、大量の発熱が続いてしまう
・・・

では、連鎖反応を止める/調整するには?

大量の熱が原子炉内で発生を続ける以上、ほっとくと火災や
爆発になっちゃいますよね。
何とかして核分裂の連鎖を止めたり、調整することが必須です。
その手段が「制御棒」です。

中性子を吸収してしまう物質を突っ込んで、”飛び回っている
” 中性子の総数を減らす → 核分裂の頻度を減らす

という単純な原理ですね。
制御棒は核燃料棒と同じくらいの長さの細い棒で、材質は
B(ホウ素)、Cd(カドミウム)、Hf(ハフニウム)など
中性子をよく吸収する物質です。
なお、Bはガンなどの「中性子捕捉療法」でも使いますね。

以上で、制御棒が原子炉の暴走や過熱を防ぐために不可欠な、
安全のための装置であることをご理解いただけました
でしょうか?
制御棒のコントロールが万全にできない原子炉など、
稼働させちゃいけないのですね。

制御棒と中性子

* 崩壊熱

放射性物質は、中性子をぶつけて核分裂を起こさなくても、
「勝手に」(自然に)他の元素に ”変身” していきます。
これを、「崩壊」と呼んでいます。上で言及した
Np-239 –> Pu-230も、そうした崩壊の例ですね。
この ”変身”は ”勝手に”起こります。

この「崩壊」の際にもかなりの発熱があり、「崩壊熱」と
呼んでいます。
これも冷ます必要がありまして、そのため原発には
・ 使用済み核燃料(その中では核分裂の連鎖はもうない
のですが、崩壊は起きています)の冷却プールがあり、
・ 原子炉内に核燃料がある限り、停止中であっても
(発電はしてない時でも)、炉内の冷却を続けないと
いけません。つまり、こういう期間中は、原発は
「発電施設」どころか、単に「電気くい虫」になる
わけです。

放射性物質からは崩壊熱が出るので、原発の停止中であっても、グリッドから電力を原発に供給して崩壊熱を冷まさないといけない

 

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