b-12) (原子炉の正体) 原発へのサイバー攻撃、現実になった
2026年7月
インドのクダンクラム原発でサイバーテロ
インドの雑誌Outlookのウェブサイトより
Kudankulam Data Breach Explained: What Was Leaked And Does It Threaten India’s Nuclear Security? | Outlook India
インドのクダンクラム原発でサイバーテロがあり、重要な
機密情報が盗まれたこと自体は、日本語メディアでも
報じられてますよね。
それをインドの雑誌から、もう少し詳しく紹介しますね。
今回のクダンクラム原発でのサイバー攻撃では、特に原発の
安全性に関する部分の情報が盗み出されたわけでは、
なかったようです。しかし。今回のような事態が現実に
あった以上、将来のサイバー攻撃では原発の安全に関わる
情報の盗み出しも、ありえますよね。
たとえば、原発の外部電源の送電経路はテロ対策として
秘密にされていますが、それが盗難されてdark webに
公開などされたら??しばらくその原発の稼働を停止させ、
新たな外部電源経路をいくつか設けざるを得なくなっちゃい
ます。(付録 w-24) 参照)
その他にも、本「やかんをのせたら~~」ではもう何年も
前から、原発へのサイバーテロの危険性を指摘してきました。
たとえば、上のゴチャゴチャな黒いメニュー(申訳ない!)にあるページ d-15) g-5) g-6) g-10) などもご覧くださいな。
私がそうした原発へのサイバー攻撃の危険性を指摘していた時、あるいは一部の読者の皆様は、「考えすぎだ」と笑って
らっしゃったかも。
でもいまや、現実に原発へのサイバーテロが発生したのです。
なお、今回の標的とされたクダンクラム原発について:
インド南端のクダンクラムという場所にあり、インド最大の
原発です。
6基の原子炉があり、うち4基は建設中。いずれもVVER
(簡単に言えば、ロシア型のPWR)。1号機と2号機は
それぞれ2014年と2017年から商業稼働中。
じゃ、いつもどおり
私の日本語化
< > 内は、私からの補足説明
************************************
Kudankulam Data Breach Explained: What Was leaked And Does It Threaten India’s Nuclear Security?
(クダンクラム原発からのデータ漏洩の解説。どんな情報が
漏れたのか、インドの核の安全にとっての脅威となるのか?)
Outlook News Desk
2026年7月16日
クダンクラム原発プロジェクトの下請け企業が絡んだ
ランサムウェアを使用してのデータ漏洩があったが、
そこからサイバーセキュリティやサプライ チェーンがらみの
リスク、さらにはインドに欠かせないインフラストラクチャーの保護という各点で、憂慮が生じている。
クダンクラム原発プロジェクトに関連するファイル類の
キャッシュが、Reliance Infrastructureの絡んだサイバー攻撃で <盗まれたうえ>、オンラインで公開された。Reliance Infrastructureは、インド最大の原発 <である同原発> の
拡張に携わっている下請け企業の1つだ。今回の事件を受けて
インド原子力社(Nuclear Power Corporation of India Limited、NPCIL)では調査を開始、重大なインフラに関連する機密
情報の保護に関する憂慮が高まっている。
さらに今回の事件により、核施設に対するサイバー攻撃とは
どのようなものか、という議論も喧しい。<今回の件では>
原子炉システムや核安全性インフラの問題は発生している
証拠はないと、関係高官たちは断言している。だが工学関連
文書やサプライヤーに関する情報、本プロジェクトの記録
などが公開されてしまったと報じられており、ある脆弱性に
関心が向かっている。つまり、原発の戦略的なインフラを
支える下請け各社やサード パーティーのサービス
プロバイダー各社のサイバーセキュリティが懸念の対象と
なっているのだ。現時点で判明していることを、
以下に記す:
漏洩したのは、どのような情報だったのか?
今回の情報漏洩に関する報道で中心にあるのは、クダンクラム
原発の3号機と4号機の建設に関するファイルだ。この2基は、
現在建設中である。Reutersの報道によれば、ランサムウェア
のグループであるWorld Leaksがほぼ19,000 ものファイルを
公開、その合計容量は約14.3 GBに達した。Reliance Infrastructureのデータを収納したファイルであると
みられる。これら文書は2016年から2025年中ごろまでの
もので、技術図面やサプライヤー情報、検査記録、会議記録、
保険関連書類などである。
Reutersによれば、こうしたファイルの中には、換気や冷却
システムのレイアウト、承認ベンダーのリスト、建設
工事中に実施された合同検査の記録、保険書類も含まれて
いる。Reutersではこれらファイルを閲覧はしたが、各文書の
真正性を独自に確認することはできなかったとしている。
The Hindu紙の報道によるとNPCILによれば、こうした
文書類は「核の安全性や安全保障システムには関係して
いない」とのことだ。同社によれば今回の文書群は発電所の
収支というパッケージに関連するもので、関連する施設の
「核にかかわらない側面」を記載しており、火力発電所や
その他の加工工場でよく作成されるものだそうだ。この文書
パッケージに記されているのは、原子炉自体ではなく
それをサポートするインフラである、とのことである。
だがサイバーセキュリティの専門家たちによれば、原子炉や
安全性に関する情報がないからといって、安全保障面での
リスクがないわけではないそうだ。技術図面やサプライヤー
の詳細情報、プロジェクトの記録などからも、テロ行為を
もくろむ者たちにとっては貴重な情報が得られうる。
クダンクラム原発がハッキングされたのか?
今のところ、クダンクラム原発の発電用核システムに
異常が発生した兆候は見られていない。
そうではなく入手済みの情報を見る限り、下請け企業の
保有していたプロジェクト データを巻き込んだ問題が
判明している。2018年には3号機と4号機の共通サービス用
施設に関するエンジニアリング、調達、建設のための
契約をReliance Infrastructure社が手に入れている。
The Hindu 紙が報じているように、NPCIL は公開入札の
過程で指示図面や技術仕様などを発表しており、その後で
Relianceは機器類のメーカー各社と相談しながら、詳細な
工学的設計を作成した。そうした図面をその後にNPCILが
審査・承認したのだが、NPCILによればそうした文書類は
核発電固有ではない部分に関するもので、原子炉の機密と
なる箇所に関わるものでは、ないそうだ。
Reutersによれば今回漏洩したデータをホスティングして
いたサーバーはサード パーティーのデータ センター
プロバイダーであるYotta社のものであり、NPCILの運用
ネットワークのサーバーではなかった。この違いは、
重要だ。下請け企業が保管している工学文書の漏洩は、
原子炉制御システムや安全メカニズムへの違法アクセス
とは、根本的に別物だ。<今回の漏洩では> 原子炉の稼働
や核安全システムへの違法アクセスや障害が発生したと
いう証拠は、見つかっていない。
今回の違法行為は、どのように発生したのか?
Investigators 調査官たちは今も今回の一連の出来事を
つなぎ合わせているが、今回の犯罪ではランサムウェアで
よくあるパターンが該当するようだ。
Reutersの報道によれば、Reliance Infrastructureの保有する
サーバーでの疑わしい行為をYotta社が検出したのは5月29日
のことで、このランサムウェアと見られる違法ソフトの
実行を停止させた。<ところが> 外部から脅威をもたらそう
としていた者たちがこの原発プロジェクト関連データが
盗み出されダーク ウェブに公開されているぞと主張、
それにYotta社も気が付いた。同社によればこうした技術
関連の発見事項をReliance Infrastructureとも共有、今も
進行中の調査に協力している。
The Hindu紙はこのプロジェクトに関わっている情報源に
依拠しつつ、今回の事態によりクダンクラム原発の管理に
関する懸念が発生、NPCILとCERT-In <というインドのComputer Emergency Response Team [コンピューター
緊急事態対応チーム] > は事態の調査を開始した。
これらの各情報源によれば、疑わしい活動を最初に検出した
のは5月終わりのことで、情報漏洩の疑いが報じられたのは、
それより何週間か後のことだった。
World Leaksは企業のデータを盗み出し、それを公開されたく
なければカネを支払えと要求することで、知られている。
被害者組織が支払いを拒否した場合、World Leaksは多くの
場合、盗み出した情報をそのダーク ウェブのポータルに
公開する。クダンクラム プロジェックと関連とされている
ファイルのすべてが実際にそうなのか否かは、まだ調査中だ。
Reliance Infrastructure社の発表は?
Reliance Infrastructure は、Yotta社にホスティングされて
いたインフラに保管されていたデータの「一部が漏洩した」
ことを認めている。
Reutersが公表したReliance Infrastructureによる声明に
よれば、同社は本事件をインド政府に報告はしたが、
不法にアクセスされたファイルがあったのならばどの
ファイルなのか、オンラインで公表されている秘密情報が
同社のシステムからのものなのか否かについては、まだ
明らかにしていない。漏洩した文書の内容についても、
同社は公にはコメントしていない。
NPCILではそれと同時に、インドの核安全性の枠組みに
問題が発生したわけではないと一般市民に納得させようと
努めている。The Hinduが報じているように、今回公開されて
しまった情報は核以外の部分のインフラにかかわる情報で、
原子炉に固有の重大な部分にかかわるものではないと
NPCILは主張している。
<それでも> サイバーセキュリティの専門家たちが憂慮を
示しているのは?
憂慮すべきは直ちに原子炉の稼働に関する何かの問題が発生
するかどうかではなく、技術情報からどれだけの内容が
読み解けるか、という問題である。
Nuclear Threat Initiative <という団体> のNickolas RothがReutersに述べたところでは、今回漏洩したファイルから、
「このプロジェクトにアクセスできるのはだれかという問題
だけではなく、そのアクセス対象となるのがどのシステム
なのかも、侵入者が把握できてしまう」そうだ。今回の
漏洩文書をそれぞれ個別に見れば、ありきたりの情報と
見受けられるかもしれないが、複数を組み合わせることで
サポート用インフラのマッピング、サプライ チェーンの解明、
潜在的な脆弱個所の洗い出しなども可能となる恐れがある。
そうした脆弱点を、次回以降の <原発への> サイバー攻撃や
物理的攻撃で疲れる危険性がある。
さらに今回の事件から、重要なインフラに対するサイバー
攻撃のトレンドも浮かび上がる。 厳重に保護されている
稼働用システムの奥深くに直接侵入しようとするのではなく、
下請け企業やベンダー各社、サービス プロバイダー各社を
標的にしている攻撃者が増えているのだ。こうした各社の
情報はサイバーセキュリティの制御が別のシステム下に
あることが多く、しかも <原発プロジェクトの> 情報を
広範に含んでいる可能性がある。
今回の事件で、インドの重要インフラの弱点が露呈して
しまったのか?
入手できた情報を見る限り、今回のクダンクラム原発の
事件によってインドの原子炉や安全システムに問題がある
ことが実証されたわけではない。だが、重要なインフウラ
プロジェクトを支えるエコシステムの安全を、今まで以上に
広範に確保する必要性が浮かび上がったことは、確かだ。
今回の事件を見て、当然の比較対象となるのが、2019年の
マルウェアによる事件だ。<2019年9月、Lazarusという
マルウェアの攻撃が、同じクダンクラム原発に対してあり
ました> その事件でもNPCILは原子炉の稼働に影響はないと
発表していたが、クダンクラム地区の行政ネットワークには
影響が出ていた。今回の事件とは確かに異質だが、どちら
からも浮かび上がる教訓は同じだ。つまり、サイバー攻撃に
対する抵抗力を高めるには、業務用技術を保護するだけでは
なく、下請け各社やサプライヤー各社、デジタル インフラの
共有部分の安全も保つことが必要だ、という教訓だ。
今回の事件からは、重大なインフラを扱う事業者が直面して
いる広範な課題も表に出る。核施設では通常、稼働用システム
と外部ネットワークとを厳密に隔てる。だが下請事業者は、
工学文書や調達記録、技術的データなどを厳密に隔離された
環境の外部で扱うケースが、よくある。こうした事業者の
安全を守ることも、核施設そのものの保護に劣らず重要だ、
ということだ。
インドは核発電プログラムもその他の戦略的インフラも
拡張に努めており、サイバーセキュリティを工場事業者の
枠を超えて、工学関連の秘密情報を扱うすべての組織へと
広げることの必要性は増大中だ。そう考えるなら、今回の
クダンクラムの事件は原子炉制御での問題というよりも、
下請け各社やサプライヤー、デジタル サービスの
プロバイダーなどが関わりあい複雑性を増大させている
ネットワークに伴うリスクの問題なのだ。そうした各社は、
インドの重要なインフラを支えているのである。
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上の記事が明言している通り、今回は原子炉や使用済み
核燃料の保管プールなど「まともに核」のシステムの情報が
狙われたわけでは、なさそうです。
でも将来のサイバー攻撃で、「まともに核」の部分が狙われ
ないっていう保証はありません。実際、STUXNETはイランの
核施設の中にまで入り込みましたよね。
それと、「まともに核」の部分を厳守できても、その他の
システムからの情報をつなぎ合わせて推察できる事項も
あります。
今迄から本「やかんをのせたら~~」では指摘してきました
が(たとえば、u-1) add-5) など)、そうした「推察」でテロ
組織が原発への外部電源の経路を特定できたら??
たびたび指摘してきたように、そのテロ組織が原発への
外部電源を供給している変電所をドローンなどで破壊
しちゃえば、最悪メルトダウンを引き起こせます。
非常用ディーゼルは、あまり長期間頼れる代物じゃ、
ありません。ディーゼルの燃料交換が頻繁に必要になり
ますが、その燃料輸送車をテロ組織がドローン攻撃
したら??










